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1952-05-26 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十六日(月曜日)    午前十一時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            堀  末治君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            岡本 愛祐君            館  哲二君            若木 勝藏君            原  虎一君            林屋亀次郎君            岩男 仁藏君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方財政委員会    委員      菊山 嘉男君    地方財政委員会    財務部長    武岡 憲一君    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今より委員会を開会いたします。  本日は土曜日に申上げました通り地方財政平衡交付金法の一部改正案並びに地方公務員法の一部改正案を議題に供します。先ず地方財政平衡交付金の一部改正案について御質疑を願います。
  3. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この際地方自治庁担当岡野国務大臣並びに地財委委員長に次のことをお尋ねして、そうしてこのことに関して責任ある回答を得たい、かように思うわけでありますが、それは地方財政平衡交付金制度が生れてここに二年を閲しましたが、この問題については今日までの衆参それぞれの委員会においていろいろこの制度及び地方自治体から見てこの問題に関連して希望なり修正意見がたくさんあつたわけであります。ところが特に私が只今お尋ねし、且つ責任ある回答を求めんとすることは、独立後の日本治安確保社会公安の維持については政府当局も非常に熱心にこれらの施策を進められ、並びに地方自治体もこれに対処して相呼応して国家治安確保に努力されておると思うのであります。取分け政府独立後破防法であるとか或いは刑事特別法でありますとか、最近警察法改正等、相当治安確保に積極的なる方途を進められておることは国家独立治安の上においても、我々国民の上においても以てよくその点は了承するところであります。ところが最近の独立後の社会治安といつた問題については、非常に悪性と申しますか、過激行動が頻発されることは、すでに事例として現われておる。これはメーデー後の騒擾事件であるとか或いはその他の日共及び不逞外人等行動に徴しても明らかであります。ところがこれらの過激行動に対処する警察官身分の問題については必ずしも政府がとつておる点は万全ではない。ところが先般国家地方警察においては、こうした非常事態に対処して、その警察官身上災害或いは不慮の災厄等が起つた場合には相当程度の、現在においては相当程度災害補償方途がきまつておるのであります。これは国家公務員災害補償と又別個に、そういう危険にみずから予感して突入する奉公精神に対処する施策としては当然のことであつて警察官社会治安に対する第一線の勇気に対して国民としても非常に信頼を固めておるところであります。ところが同じ自治体警察であつて町村警察、これは国家地方警察と申されておるが、要するに自治体警察性格を持つておるのでありますが、この同じ自治体警察でも町村警察以外の、自治体それ自体が運営いたしておるいわゆる自治体警察警察官に対しては、こういつた場合に対して、ただ東京都の首都警察だという当の警視庁のみに関して同様の考え政府としては持たれておるが東京都以外の自治体警察についてはこれらの点がまだ考慮されておらない。これは是非独立日本治安第一線に挺身する警察官の身の上としては非常に不均整であつて国家治安確保ようという国家目的の同じ責任の衝に当つておりながら、これらの災害補償に対して政府施策が不均整であるということは、これは由由しきことと思うのです。そこでこういつたようなものに対処する政府補償方法としては、この平衡交付金における特別交付金、八%でありますか、約八%に相当する特別平衡交付金ようなものをこういつた予期せざる非常の場合にこれらを割当支給するということが、元来特別平衡交付金性格として、当初この法律案が出た場合に論議され且つ政府もそれに対処するゆえんを以てこれらを通過されたと承知いたしておるのであります。これは天災地変等の場合にこの特別平衡交付金一般平衡交付金によつて均整を保持されない場合に、或いは必要によつて特別平衡交付金が割当支給される、交付されるというようなことに則りましても、天災地変と同様の措置に、今私が申上げた国家治安上必要なる国家目的によつて発動された警察官身上に対する災害補償危険補償といつたようなものは当然特別平衡交付金においてこそやるべきだ、天災地変等に対する場合と同様にやるべきだと、かように思うのでありますが、政府自治庁当局及び地財委当局如何ように思われますかどうか。こうあるべきだと私たちは確信いたしておるのでありますが、これに対する返答を承わりたいというのが第一点。  それから若しさようとするならば、この際平衡交付金のうち特別平衡交付金支給については、そういつた自治体警察警察官国家目的に副う非常活動社会治安確保に必要なる政府国家要請に基く活動に対するそのよう身分災害補償に対してはこれによつて支給する方途を講ずるか、或いはその他の方法において講ずる方法考えておるのかどうか、その点を承わりたいのであります。  それからもう一つ私が附加えておきたいのは、こういつたこの非常事態においての、その場合に生じた自治体警察警察官災害補償のみならず、一般的に国家治安上必要なる調査、或いは警備その他必要なる活動国家が要請した場合の費用、例えば不逞外人或いは日共破壊活動等行動を事前に調査し、いろいろのことを調査し、又必要なる警備出動に要する費用をも私は現在の一般平衡交付金による警察費支給と別個に国家がこれらの経費負担すべきである、かように思うのでありますが、この点についても政府はこの際平衡交付金方途によつてこれらの費用をみるか、或いは他の方法においてみるのかどちらかをこの際明らかにしてもらいたい。特に私がこの点を主張いたしますのは、最近の不穏行動の点などから見て、是非これは国家が、こうしたようなものは丁度占領期間中にはそういうことは予期し得なかつた。ところが独立後になつて予期せざるこういう事態が起り且つ起りつつあることに鑑みまして、私は必ず考慮すべきだという確信の下に御希望をし、且つその措置をとることを要請するわけでありますが、以上の点についてそれぞれ御両所から責任ある御回答を承わりたい。
  4. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。自治体警察職員が先般のような場合に災害を受けた、一方において国家地方警察職員は相当な優遇を受けるけれども、自治体警察職員はそういう面においてまだどうなつて行くのかわからんからそれをどうするかというような御質問ように伺いました。これは先般岡本委員から御質問ございまして、私は原則として国家補償すべきであるというような御答弁を申上げておつたのでございますが、私の不勉強の結果であつたのでございまして、実はその方面がすでに適当なものがあつたということをその後調べまして発見した次第でございますから、この際はつきりと岡本委員のほうからの御質問並び岩本委員の御質問と併せて御答弁申上げます。  これは国家公務員災害補償法というのが昨年出ておりまして、これに対して相当な補償をするということになつておりますが、この国家公務員法災害補償法というものの趣旨に則りまして各地方公共団体におきましても同じよう條例を作つておりまして、国家公務員とかけ離れた差別待遇をしないようにするようにできておるわけでございます。そこで先ほど仰せのようメーデー以後の騒擾事件とか、いろいろ今後予想される警察官が身を挺して国家治安のために尽さなければならんというような場合がございましたならば、地方公共団体といたしましては、国家公務員が受けるに準じまして、それに入用だけの災害補償をしようと、こういうことになつて参りました。そしてこれをいたしました場合に、これを如何なる財源によつて賄うかということになりますというと、お説の通り特別平衡交付金を以てこれに充てたいと、こう考えます。この充てる方法はこれは事務当局から御説明申上げますが、財政需要財政收入とを勘案しまして、いわゆる平衡交付金趣旨に立脚しまして、そうしてその地方公共団体財政を補填して行きたいと、こう考えております。  それから第二点の、それでその他の方法でということはこれで消えて行くわけでございます。特別平衡交付金を以てこれでやつて行きたい。  それから第三点のことは私ちよつと御質問趣旨を十分つかみ得なかつたのでございますが、いろいろ国家的の仕事をやつて、そのために災害を受けたときにどうするかというようなことだろうと思いますが、今想像されますことは、やはりこれも警察関係職員に限られると思います。ほかに地方公共団体職員若しくはそういう者が国家的にいろいろ外人との関係に対してどうするとかこうするということは、仕事をよく私存じませんからわかりませんが、そういうことは国家委任事務として出て来る仕事と思います。国家委任事務として出て来ることになりますれば、今までの例によりますれば全額国庫負担とか、或いはそれに対するいろいろの損失補償というものは国家が見るべき責任がございますから、当然国家が出て来るわけですから、これは平衡交付金から問題なく分れて来るのじやないかと思います。その辺のところはその内容がよくわからませんと、私只今断定的な御返事をするわけに参りません。大体においてお説は警察官がやる仕事に限られておるような感じがいたします。もう一度その辺のところをよく承わりたい。
  5. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは私が申したのが不明確のようでしたが、警察官限つての場合今お尋ねしておる。要約いたしますと、警察官が、まあ一例を言いますれば、来る五月三十日には共産党が何らかの行動に出るのではないかというのが本日只今の情報であることは大臣も御案内の通り、そういうような場合に警察官が、国家地方警察官自治体警察官と言わず、いずれも国家治安上必要に応じて出動するわけであります。その場合に殺された、或いは不具になつたとか、その他の重要なる傷害を受けた場合に、現在の国家公務員災害補償法によるのでは誠に私は不十分である。だから警察官そういつた者に対してはそれ以上に特別の、その災害補償と言いますか、死んだ場合の補償など、或いは遺族の生活の補償などについてそれ以上に特別の考慮をすべきでないかということをお尋ねしたい。それは国家地方警察警察官非常事態出動して、そういつた場合には例えば最高百万円、八十万円、七十万円、それぞれ支給する規定があるのであります。この国家地方警察官のみにあつて自治体警察にはない、それはおかしいじやないか、不均整じやないか、だから国家公務員災害補償法によることはこれはもうよくわかつております。それ以外に特別の警察官に対しては災害補償の途をこの特別平衡交付金によつてやるべきではないか。つまり約一割近くある特別平衡交付金によつてこれらの災害補償を特別に考慮すべきじやなかろうか、それができなかつたら他の方法でやるべきじやなかろうかということが第一。  それから第二は、例えば共産党思想調査或いは行動調査、その他不逞外人行動調査、或いは特別の出動、こういつたようなものを国家地方警察及び自治体警察国家治安上必要ないろいろ指令をする場合があろうと思います。そういつた場合、例えば今、日共の地下に潜つておる者、その他いろいろのそういつた者に対する調査自治体警察に来ておるそうですが、これに対して費用は国が見てくれておらないそうです。これは一例です。こういつた例が今後なお多くなる。それなどももう少し活動費をくれれば……国家地方警察にはそれが出ておる。それは国家地方警察町村警察……、ところが日共の幹部が町村に逃げておるということはない。都合に逃げておるということが考えられておる。ところが都会の警察にそれが出ていない。これは国家治安上必要によつて国家事務を委嘱しておる。それらに対しては何ら国の費用が出ていないということは、私は片手落であるし、その徹底を欠くから、そういつた調査費特別警備費といつたようなものの経費を、国が警察に関する限りは国家地方も或いは自治体警察もいずれも全警察として国が費用支出すべきじやないか。その費用をこの特別平衡交付金でやはり同様に賄うべきじやないか。賄えなかつたらそれ以外の他の方法がありやなしや、あるならばその方法を明確にしてもらいたいということをお尋ねしておる。
  6. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 先ほど岡野国務大臣からお答えになりましたことは、地方財政委員会といたしましても大体において同様に考えておる次第であります。警察官出動によつて生じた災害補償についての補償費用は、今後の自治体警察人たちに対する補償制度は、今日の建前ではこれは当然自治体がこれを負担することになつておるのであります。ただそれに対して国家といたしましては特別平衡交付金においてこれを交付する。普通の特別平衡交付金交付原則従つてそれらの財政需要を測定して交付するということにしております。現にその通りにやつております。それからその次の調査或いは警備等国家警察活動国家の要求する警察活動に対する費用も、これも一般平衡交付金及び特別平衡交付金原則従つて、特にそういうことのために財政需要の生じた分につきましては特別平衡交付金よりこれを見ることとなるのであります。それからお説のように、これらの費用は全部国費を以て賄うべきが至当でないかということにつきましては、今日の自治体警察制度におきましては、特別平衡交付金或いは一般平衡交付金交付する以外の、或いは補助するとか或いは全部これを国費で以て負担するというようなことは、これはこれから警察のほうがお考えを願わなければならんことであります。只今のところでは交付金制度を活用してやつて行くより仕方がないと考えておるのであります。勿論この調査或いは警備等に要しました非常特別の際における費用のごときは、特別平衡交付金で考慮いたしますことは当然のことと考えております。
  7. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつと岡野大臣菊山さんも私の質問に対してまだ御理解が徹底を欠いておるのではないかという点を私は指摘いたしたいことは、先ず第一の問題は、破壊活動を暴動が起つた場合に、具体的に申上げますと、警察官が活躍して死んだり片輪になつたといつた場合に国家地方警察には百万円、八十万円、七十万円という災害補償があるのですが、自治体警察にはこの特別交付金でこれと同様にやることをそれでは承知しておるのですかどうか、そうしてそれは暫定払いにおいてでもその支給考えておる意味でありますかどうか、具体的にお聞きしたい。それから先ほどの御両所の御意見は、国家公務員災害補償法によつて適当にやる、そして特別交付金でそういつたものは見る、こう言つておるが、それは現在見ておらないようであります。おらないから自治体警察が現在やかましく言つておる。自治体警察がやかましく言うゆえんは、町村警察にはそういう百万円、八十万円、七十万円という災害補償があるが、それ以外の都市警察東京はそれに準拠した方法があるようでありますが、東京都と全国の町村警察だけにあつてそれ以外の大都市の警察にはそういう国家補償しておる制度はないのです。だからこれをやるのかやらんのか、やるんだつたら具体的に国警がきめた全額と同様をやるのか、或いは同様ではないが、どの程度までやるというのか、これはもう私が重ねて言葉を申すわけではない、具体的に言えば不逞外人とか共産党活動なりで鉄砲で打たれたとか毆られて死んだとか、片輪になつたものは国家目的であつて、例えば広島なら広島の市の問題ではない、国の治安上に関連する問題であるから、これらの災害に対しては国が補償すべきである。それも国家地方警察と差等があつてはいけないということをこの特別交付金で見るべきではないかということが第一点。それから今菊山さんは、いろいろ調査警備等の特別必要な国家委任事務費用は十分見たといつておるが、その点はまだ私は自治体警察には徹底しておらないようであります。責任あることを私は申してもいいのですが、成るべくこの委員会では申すのをはばかることといたしますが、要するにいろいろ共産党行動調査、或いはその他いろいろの点から出ておるのであります。それらに対する費用が相当要るのです、自治体警察は。それに対してあなたの地財委のほうは何ら考慮されて現在おらないから、私はそういつた国家目的に対する委任調査事務についての経費は、毎月暫定払い方法でも、あとで清算してでもかまわないから特別交付金のほうから支給するんだということを明確にすべきである。この点を私は申上げておるのです。
  8. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 各自治体警察におきまして警察官人たちが公務のために災害を受けた、負傷をし或いは死亡をいたしたというような際に如何なる補償をすべきかということは各自治体における條例によつて規定されているのであります。その條例規定に基いて支出いたしますことは、当然平衡交付金においても今日算定基礎に用いているのであります。ただその條例規定が、国家警察比較をして或いは少いということがあるかも知れません。少い所もあるかも知れないと考えられるのでありますが、これらは各自治体警察におい、国家地方警察等比較の上、財政の許す範囲においてその額をそれぞれその精神に基いておきめを願いますれば、これに基く支出に対しては当然特別交付金のほうに考慮さるべきはずであります。それから調査警備等費用は、先ほど申しましたごとくに、これも又必要なるものは、殊に国家より命ぜられてやらなければならんというよう仕事に対しまするものは、当然警察費用として自治体予算に組まるべきものであります。それらの予算に組まれましたものは財政需要として平衡交付金交付の対象になることは当然でありますから、それによつて不自由なく行くものと考えておる次第であります。
  9. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 どうも私の言い方が悪いのか、ピントが外れているのですが、その自治体條例によつてきまつたものは平衡交付金のほうの算定の基準、基礎になるから当然スライドして渡されるべきものだということでありますが、私はそれはその自治体自治体内におけるいわゆる泥坊とか強盗とかといつたよう治安の問題の場合には、或いはその意味もわかるかと思いますが、咄嗟に起つて、例えば鳥取県の鳥取市に不逞外人が上陸する、そうして鳥坂市の警察がそれに対し応戦或いは警備その他いろいろやつたというのは鳥取市の財政條例できめられた範囲内でやつてあとからそれが支出基礎になつて国から支出をされるということでは済まれないそのときに死んだとか片輪になつたとか、重傷を負つたというような者に対することは国家地方警察にはそれが十分賄われておるんです。だから当然それは国の費用として支出すべきことではないか。市の自治体條例やその他においては自治体財政から支出すべきものもあるかも知れませんが、そういつた特別の場合については私は国がそういつた死んだとか片輪になつたとか、重傷を負つたとかいう者に対する補償はして参らなければいかんのではないかということを申上げておるんです。それから自治体條例においてきまつたものは、今重ねて菊山委員が申されたように、市の財政の許す限り支給するというようなことを私は聞いておるのではないのです。現に、その点私は具体的に申上げますが、日共その他の調査、これは全部指令でありますが、或いは国家目的に対するいろいろ指令がたくさん出ておるのでありますが、その費用は県では予期せざることだ、それぞれの自治体の即ち條例において、年一回か二回議会を開いて、予期せざるものに財政上非常に困つておるんです。自治体警察では例えば一人当り二十万円の年間のものに対して国家地方警察ではそれの四割も高い国家費用が出ておる。それですらなお国家目的に必要なものは国が支弁をし、そうして非常災害の場合には百万円とか八十万円、七十万円を政府補償しておる。こういう矛盾、こういものを私は国家目的に必要なるそういう仕事に対しては国が補償すべきであるということを強調しておるのであつて地方自治体條例においてきめられた地方財政の許す範囲内で、国家公務員法に準拠してやるんだということを私は聞いておるのではない。それでは済まされないじやないかということを言つておる。その点をもう一度重ねてお聞きいたします。
  10. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 今日のやり方においては不十分である。自治体警察人たち働きに対して又災害に対して報いるところ甚だ薄いという御意見に対しましては、これは誠に御尤もな点があると考えられるのであります。併しながら今日の法律建前が、自治体警察はその費用自治体負担をするんだ、国家地方警察は国がその費用負担するんだということにはつきり区別されておりますので、平衡交付金制度を通じて只今のでこぼこを調整する以外には、法の改正を待たなければ国家地方警察自治体警察とが同じようにやつて行くという目的を達することが困難かと考えられるのであります。今日の法律規定の下におきましては、この特別平衡交付金等を活用して、自治体警察人たち活動を円滑ならしむる以外に途はないと考えておる次第であります。調査警備等につきましてもその通りでありまして、自治体警察において使います費用自治体がこれを支出する、それに対しては平衡交付金で補充をして行く、但し直接国から命ぜられて国から委託されてやります仕事については、直接国費を以て国庫負担する途もないわけではないのありまするから、そういうことになりますると、これは警察働き内容に属することでありまして、その運用に待たなければならんかと考えております。
  11. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 どうも私はいやしくも地方財政の衝に当つておる地財委の態度としては遺憾至極であります。それは何度もお話を私が重ねて申上げまする通り国家公安上必要な活動に対して地方自治財政が賄うということには限度があると思う。その財政上どうも活動できないということになると、それじや自治体国家治安上憂慮すべき事態が起つても手を拱いて見るか、或いは逃げる以外にはないといつたことはやはり国がやるべきだ、それは地方自治財政が賄い得ないから、地財委当局としては、こういつたものは国が賄うべきだということを政府に要請すべきである、要請しなかつたらそういう法律案自治庁大臣に求めてやるべきであります。その手段を講ぜずしてただ平然としておることは、甚だ遺憾である。ただここで一つ道のあることは先ほど来申上げておる通り、こういつたような場合には、他の法律によつてしなければならんという気持は私もわかりますが、ただ特別平衡交付金においてこういつたようなものを措置すべきではないかということ、その途が私はあると思うのです。ですからそういう国家公安上必要なる活動に対する経費災害補償等については、丁度天災地変特別平衝交付金が活用されるごとく、この場合にも特別平衡交付金を活用すべきじやないか、而も国家地方警察に準拠した方法を講ずべきだということは、私は当然であつて、それを地財委当局が現在の状態ではできないと言うまでは、この独立後の最近の世相から見、国際環境から見ましても、私は至急に講ずべきである、かように思うのでありまするから、この際特別平衡交付金でそういうことを暫定的にでもやるべきことではないかと思うのですが、やる意思がないのですかどうですか。それでなかつたら放つておいてもいいのですか、その点を私は大きな問題としてこの際明確にしておきたいと思います。
  12. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 国家警察目的から自治体警察がこれに協力することを命ぜられました際の費用は、国家がこれを負担する途もあるのであります。従いましてそういう際に警察官が負傷をし或いは命を落すというような場合が起りました際においては、自治体警察もその條例のきめるところによつて負担をいたしまするが、国から命ぜられた仕事を遂行する際、或いは応援を命ぜられたことによつて生じました被害等については、国家としても相当考慮せらるべきものであると考えております。それからその他の費用等につきましても、当然警察活動に必要なるものは、これは十分に特別平衡交付金を以て賄い得ることでありますが、国から命ぜられ或いは国から要請せられて、国の警察仕事をやりました際においては、直接国の警察費用から支出する途もあると考えております。これらの制度を活用いたしまするならば、相当の範囲活動ができるであろうと思いまするが、併しながらお説のごとく、こういう非常事態に当りましては、この国家地方警察自治体警察との活動を如何に円満に又有効にやるかということについては、相当考慮をいたさなければならんと考えまして、経費の点等においても地方財政委員会としては警察側とよく連繋を保つて研究をいたしたいと考えております。
  13. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 どうもピントが外れて困るのですが、自治体警察国警との非常事態に対する連繋行動を私は今言つておるのとは違う。或いは派生的にそういつた問題も問題点になるかも知れませんが、地方自治体條例に準拠して出そう、ところが国家の命令によつたものは国家がやるということは、そういつたことでこの事態は済まされない。例えば今私が具体的に申上げた通り、五月三十日には共産党が非常な全国的な活動をしようという情報は政府もわかつておるし、我々もよくわかつておる。こんなことは政府が命令しなくても大よそおのおの自治体警察は、どうも自分の管内では不逞外人共産党が提携してこういう暴動を起しそうなといえば、公務員たるの職責上、これは鉄兜に催涙弾を持つて、恐らく用意周到の下に危険に突入することは明白で、これは総理大臣が命令しなくとも、公務員としての良心的な、民族、国土を保全する、保護する職責上やる行動なんです。これは命令はされないが、みずからの責任を弁えてやることなんです。それをやることは、その一つの小さい町やら市の治安の問題じやない。国家全体、民族全体、国土全体の保衛のために活動をするようなことは、総理大臣から命令されなくとも、公務員たるの良心と責任においてやるわけなんである。これに対しての災害補償国家がやるのが当然で、やる途がなかつた地財委はそれをなぜ政府に要求しないのか。現在の法律案でできないというならば、なぜ自治庁大臣に求めてこの法律案を出さないか、出せなかつたら議員に言えば議員からでも出します。ですから私はそれは特別平衡交付金においてやるのだということをなぜ言わないのかどうか、やり得る途があるのじやないか。これは国家地方警察災害補償條例に準拠して、何度も繰返します通り百万円とか、八十万円といつて、それで災害補償規定国家地方警察には設けられておる。それに自治体警察に対してそういう途が講ぜられておらないということは、地方財政委員会及び自治庁大臣としての私は責任であつて、若しもうとてもその自治体としての財政が許さない。併しこれ以上の相当の活動をしなければならんという場合には、種子が、油が切れて活動が停止しておる、不能に陥つた場合の責任は、私はこれは誰がとるのだということから考えますると、やはりこれは窮極するところは国の行政責任者たる総理大臣が背負おなければならんということになるわけでありますから、治安確保の衝に当つておる総理大臣が背負わなければならんということであるから、私はこれは政府からそういつた非常事態、予期せざる……。先から命令したものはもとよりですが、命令せずとも、もう国民として、善良な国民とし、善良な公務員として、忠実な公務員として、かまうべき事態に対する災害補償を国が先ずやつて行くということは論を待たないわけです。今更そういう手段を講ぜられておらないということが最近わかつた。それがために全自治体警察の士気に及ぼす、責任、義務に及ぼす心境は重大なものが最近澎湃として起りつつある。この事態から見て私は暫定的に特別平衡交付金でも取りあえずやつて、そうして必要な法律案を提出すべきだと思うのです。この点についてはつきりした回答一つ地財委当局は勿論、岡野国務大臣からも願いたい。
  14. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 私の答弁がピントが外れておつて甚だ御迷惑であつたかと思いますが、そういう際に特別平衡交付金で賄うのだということを申しているのでありますから、その点はどうぞさよう御了承を願いたいと思います。
  15. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 大分話がこんがらかつたようでありますが、これは私の立場といたしましてはこう考えております。  先ず第一点といたしまして、そういうよう国家のために非常な災害を受けたという警察官自治体警察にありました場合には、当然これは特別交付金で賄うべきのであります。  これは話は違いますが昨年だつたと思います。九州で台風がありましたとき消防団員だつたと思います。消防団員が七、八人一隻の船に乗りまして、そうしていろいろ救助作業をしておりましたときにそのまま転覆して行方不明になつた命を落したということがあるのであります。そのときに特別平衡交付金を以て十分なお手当をしたという例があるのであります。これは取りも直さずいわゆる地方の行政でなくして天災、即ち例を変えて申しますならばメーデーのときにああいうことがあつたと同じようないわゆる災害であります。国家的な災害であります。そういうものに対して特別の手当をしなければならない。その特別の手当をする場合にはなかなか地方自治体ではそういう財政のやり繰りがつかないけれども、そういうときに特別平衡交付金を以て支出してそれを補填している。こういう実例を持つているわけであります。今後若しものことがありまして国家地方警察官が倒れたと同じに自治体警察官が倒れた場合には、そういう場合には無論国家公務員地方公務員と釣合いのとれた給与なりお手当をするということが今日の日本行政の精神でございますから、恐らくその通りになると思つております。ただ法的根拠がございませんからそういう御議論も起きると思いますが若しお説のように五月三十日の……、こういうことが起きるだろう。まあ起きちや困りますが、これを一つ仮定のことといたしまして、その場合に国家地方警察職員地方自治体職員とが同じような悲惨な運命にかかるというときには、国家として差別をつけるということはいたしません。それを言うならば、私は九州の消防団員が亡くなつたと同じような立場において、同じなんでございますから、特別平衡交付金で立派にこれがお手当をするということができる。救済しなければならない前例がある。こういうことで御了承を願いたいと思います。
  16. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 最後に一点、それは自治庁の責任者及び地財委責任者はそういう非常事態に対しては国家地方警察警察官災害補償と同様の取扱をするということの責任ある回答といたしまして了承いたしました。それの間違いのない実施をこの際確約して頂きたい。  ただ一つ伺いたいことは、現在主要都市には平衡交付金というものの交付がない。平衡交付金のない地区にでもこれはそういう特別の措置は別途に抽出してやるということは承知でありますね。お尋ねいたします。
  17. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これは私は地方自治という点において申上げたわけでございますが、只今のお話でございますると、その団体において十分なる支給能力があるにかかわらず、その分だけは国家費用によつて出す。こういうことはちよつと地方自治の建前から私としては割切れん次第でございます。  常識から申しますれば、又国民一般の尊敬の念、又感謝の念から申しましても、国家地方警察の人が倒れてそうして地方自治体警察の人が同じような運命を辿つたという場合に、これを差別待遇することは国民感情、国民常識に合いませんから、必ずそれをやると思います。これをやる場合には先ず地方自治の建前からすれば、地方職員地方財政によつて賄う、そういうことになります。そこでその賄う場合に、若し富裕団体であるならば富裕団体が賄うべきだ。併し富裕団体じやなくして、平衡交付金を平生いつももらつているとか、もらつていないが、併しそういうことが出たために財政需要があつて足りなくなつた。そういう場合には特別平衡交付金を出すということになりましよう。その建前は堅持しなければならん。若しお説のようになりますれば、むしろ自治体警察というものは国家警察へ併合してしまつて行けばこれは措置ができるわけであります。私はその点においては異論を持つているわけであります。自治体警察自治体警察として残しておく。又自治体は自分自身の賄える範囲でやつて行く、こういうことになりますから少しそれは違いがあると思います。
  18. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは甚だ意外なことであります。と申しますことは、東京都の警察には平衡交付金交付されないけれども、そういう国家目的非常事態には国警と同様の措置が講ぜられるということが考えられておるのであります。ところが一例を申しますと、大阪のごときは財政は、大臣地財委当局も知つておる通り、昨年度約三十数億の赤字で、あれほどすべての事業を大縮減し人員を淘汰しても、行政整理をし事業を繰延べ或いは縮小してもなお十数億の赤字である。平衡交付金交付されない。そういつた場合に、これは大阪の一例でありますが、財政としては非常に窮乏いたしておる。ところが国家地方警察で隣の村から出動した。村の警察官には死んだ場合百万円の補償があるが、大阪市の警視庁の巡査には百万円はおろか何らの方途も講ぜられないということの問題が発生すると思うのでありまして、こうした国家目的の場合は、その地方財政の窮乏か裕福であるかということは、いろいろ算定或いは意見には尽さないものがある。それぞれの実情に応じて或いはその都市の持つ発展性、国としての要請される発展政策、或いは交通、或いはいろいろの状態、地域的、例えば大潮のときには潮が満ちて土地が陥没するとか、或いは交通その他の事情においては、必ずしも現在の平衡交付金一般測定基準による交付というものが平衡を得ておらない。平衡を得ておらない場合に対して、然らば特別平衡交付金交付せられているかというと交付されておらないで、非常にその都市は財政窮乏の極限に達しておるような実情である。ところが今国家治安上必要なる活動した場合、こういう警察官身分保障については、今申上げます通り国警の隣村から出た巡査には相当の補償がありますが、財政窮乏している都市の者には補償されないということは、地方自治の、治安確保という問題を超えて、国家治安という大きな問題であるから、当然そういう平衡交付金の粋というものは別に抽出して、今申上げましたよう方法を私はやるべきだ、そこに特別平衡交付金性格ゆえんもあるのであるから、これは今大臣の言われるようなことであるというと甚だ我々としては不満であるし、ちよつと了承ができない。
  19. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) それは少し実情を御存じないことと思います。大阪は本来ならば平衡交付金は行かない地方団体でございます。併しながらジエーン台風のときといい、そのジエーン台風に続いての措置といい、二十五年には特別平衡交付金を出すと同時に、昨年度も、それがまだ完成していないという意味において二億二千三百万円の特別平衡交付金を出しております。でございますからあなたのおつしやるのと私の言うのは食い違つております。と申しますのは、地方国体が裕福というよりは、財政的に十分立つてつて、それを国家公務員災害と同じよう補償し得る能力を持つているならば、これは平衡交付金は行かん、そこで賄なつてもらう。賄なつてもらうけれども、併しはみ出すという場合はこれを認めて特別平衡交付金は出します。大阪を例にお出しになりましたが、大阪はジエーン台風で非常な災害を受けまして、そして普通ならば平衡交付金はもらえなかつたのであります。もらえんけれども、特別の災害で、あるという意味におきまして相当厖大なるところの特別平衡交付金を配付しております。私はそういう場合にはどんな場合でも地方財政と睨み合わして、そのときその年度において、財政需要が足りないということがはつきりして来れば、当然特別平衡交付金を普通平衡交付金が行かない場合出すのでございまして、今まで出した前例が申上げましたようなことでございまして、これでやつて行けると思います。
  20. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつと大臣の答弁はややこしい。それは私元来主張しているのは、国家目的に必要な行動に対する災害は、その自治体財政需要と睨み合わして翌年度に考慮されるかのようなことは行かないのであつて、やはり死んだ場合の遺族の問題、又至急に治療せねばならん、早くやれば片輪にならずに治るという場合、早く金が要るから特別平衡交付金で直ちに暫定払い、およそ見込の八割とか何掛という暫定払い方法においてこの救済措置が講ぜられるべきであるので、翌年度の財政需要と睨み合わせて考慮されるというようなことは、いわゆるこういつた私が指摘したような場合には不適合であるから、やはりそれは緊急措置としてこれを活用すべきである。  それからもう一つ私は原則論として申上げますことは、地方自治の財政と睨み合わしてということがありますが、国の非常事態に対する、或いはそういう要請に基いて活動しなければならん、活動した結果において、特にその人間に対する災害補償については、私は地方自治財政の実情如何を問わず、国家的要請に基いて活動されたいということについては、地方自治財政の如何を問わず支給さるべきだ、この原則を持つてもらわないというと非常にややこしくなつて来ると思いますが、どうですか。
  21. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御答弁の前にちよつと併せて御答弁願いたいと思うんですが、これはまあ先ほど来の岩木委員からのお話を伺つて私も気付いた点なんですが、要するに地方財政や何かの面だけ政府考えて御答弁になつている。岩木君の言われるのは、結局先日の五月一日のメーデーのときの皇居前広場で問題が起きている。即ち東京都の自警の範囲内で起きたんですが、そのときも問題になつた点で、而も政府で不明確であつた点は、要するに治安の最終責任はどこにあるのだ、その問題に対しまして本会議でも法務総裁の慎重考慮する、それから大橋国務大臣も、それは委員会の席上で保安庁の法案審議に問おれたときに答えないで、慎重に考慮するということであつたので、岡野国務大臣のお話を聞いても、ただ財政の面だけでお考えになるけれども、非常事態の場合、又メーデー事件のごとく広範囲治安上の問題でいろんな事故が起きた場合に、やはり治安の最終責任者が誰であるか、治安上の最終責任はどこにあるかということが非常なそういう後の処理に重大な影響があるんですが、この点は重大なものですから、その後閣議でも論議され、きつときまつていると思うんです。その点はどこに最終責任はあるかというふうなこと、それとやはり関連して来るんですね。その問題をはつきりしないと、ただ国の財政とか地方財政ということからきめてかかると、例えば先ほどの議論を聞いてもそうなんです。そういうことがはつきりしないと、財政上の責任地方団体の責任だけになるようなふうに取れますから、やはりメーデーのことを考えても、あれは東京警視庁の範囲内であり、自警の範囲である。併しあの場合でも議会で非常に責任を追及されたのは、治安の最終責任はどこにあるか、その点が政府は明確でなかつた。慎重に考慮するということで、明確でなかつたので、非常に我々は遺憾に思つたんですが、結局今の岩木君の問題にお答えになるのも、ただ財政のみで論議される問題ではない。治安上の最終責任はどこにあるという問題からやはり原因はそこから来ないと、単に地方財政とか国の財政ということだけでは……。それも併せて御答弁願いたい。
  22. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。治安の最終責任は内閣総理大臣にあることは、これは当然でございますが、ところが只今治安を総持するいわゆる機関というものが、それに副つた法制上建前になつていないところが今我々が非常に苦労をしているところでございます。それが結局どうしても警察制度というものを十分検討して見なければならん、こういうことになつている次第でございまして、その最終責任者である内閣総理大臣が直接その治安を維持するところの機関を持つていない、こういうことが結局今日いろいろの議論の出るところであろうと思います。これは追つて我々といたしましても終止符を打つような何かの法律上の建前をとりたいと、こう考えております。只今のところは、先ほど来申上げましたよう自治体警察ということと国家地方警察というものは建前が違つておりまして、同時に地方の行政が、自治行政が完全な自治体としてそうして警察を持つている、こういうことになりますものですから、そこにいろいろ食い違いができているのでございますが、併し皆さんの仰せのごとく自治警察職員というものは、一応は自治体の内部の治安警察の任に当る人たちで、これは当然でございまして、併し自治体たるや、やはり国を構成する一つの部分でございますから、国家全体の治安というものに対しても無関心でいてもらつちや困る。国家非常の、国家的な治安を維持するという役目を持つておられるわけで、建前といたしましては、やはりどうしてもこれは警察官……、これは架空な論でございまするが、総理大臣が持つている警察というもので以てやつて行きますれば、やはり十分国家補償というものを、総理大臣一般予算からずつと出して行くと思いますので、財政的見地から、いつも申上げますように、地方の自治は地方独自の立場におきまして行政もし、財政もやつて行く、併しそれが十分でないという場合には国家的立場から平衡交付金支給してそうして地方の安全な自治行政をやつて行くという建前になつておりますから、一応はやはり建前から行きまして自治警察自治体独自の立場で自分のことを自分でやつて行かなければならん。併しながら国家的なことであるから、その場合には今の法制上の建前では特別平衡交付金によつて支給して行きますけれども、併しお説のようなことは私も同感でございますから、国家が直接何とかしなければならんというように行かなければならんと思う。併しこれは只今の法制上はそうは行かない。そこで先ず立替を国家が先にしたらいいじやないかということになりますと、それは逆でございまして、地方の行政は地方自治団体がやつているのだから、同時に一応は地方財政的に自分自身でやつておりますから、立替するのは地方公共団体が先ず立替しなければならん、同時に平衡交付金のほうに、国家的な問題であるから国家に要請して国家が出すという場合は後に残る問題だと思います。でございますから問題は法制の建前をすつかり変えてしまつて国家的擾乱の場合には交付するのだということになればともかく、只今法律上の建前といたしましては、地方財政というものは先ず独立しておるものでございますから、それにやらせる。併し常識から申しますれば、国家地方警察警察官であろうと地方自治団体の警察官であろうと、先ほど申上げましたよう国家治安維持をするために尽したことに対しては、国家公務員地方公務員も同じような待遇を受けるべきものである。又そうしなければならんものである、又そうして行きたい、そうして行くためには先ほど申上げましたように、大阪でも特別平衡交付金を出しているのでございますから、運営を誤まらなければ御趣旨通り活動特別平衡交付金において今日完遂し得ると私は確信いたします。
  23. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 地方自治財政において建前としてはやるべきだということについて私は疑問があります。疑問がありますが、結論において大臣特別平衡交付金において国家地方警察と同様の措置を講ずべきであるという抱負を明らかにしたことについて幾分了承しておきます。問題は今までそういつたことの考えはなかつたのかどうか。今回この国家地方警察基本規程というものが閣議で決定されて、そして例えば不具、廃疾、死んだ場合には百万円、いろいろ障害の程度によつてそれからずつと落ちますけれども、国家地方警察の長官がこれを渡すことができるというようなことになつております。又その殉職者の賞恤金につきましても抜群の功労があつた者、特に著しい功労があると認めた者、或いは功労があつた者といつたようなことについて相当大幅の賞恤制度を設けられておるのであります。でありますから、暫定的に地方自治財政で立替えろというならば、或いはそれは話合いもできないことはないと思いますが、併し立替えたものについては、国家地方警察の賞恤制度に準拠して立替えたものは特別平衡交付金で必ず責任を以てその尻拭いをいたしますかどうか、これをお尋ねしておきます。
  24. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 国家地方警察に対するそういう準則ができましたならば、自然自治体警察につきましてもそれに倣つてそういう準則を作ります。そうしますれば結局財政需要というものが、法的根拠を以て地方財政委員会に対してこういう財政需要があるということが明確になりますから、そこで財政需要というものと財政收入というものを……。
  25. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それはいつ誰が作られますか。
  26. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) それは地方自治体の長が作ります。
  27. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは作りますと大臣は言われますが、作ることを政府及び地財委は認めますか。
  28. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 勿論認めます。
  29. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 地財委はこれを認めるとか認めないとかいう地位にはおりませんのであります。地方団体が條例を作るのでありまして、その條例によつて財政需要が生じて参りましたならば、これを平衡交付金算定基礎に使うということをやるのが地財委の職務であります。  それからついででありますが、先ほど岩木委員特別平衡交付金交付が翌年度になるのだという意味のことをお話でありましたが、場合によれば翌年度において考慮されることもございましよけれども、大体は急いでやらなくちやならない場合は、その年度において時期を失せず特別平衡交付金交付することになります。これらの操作を完全にやりますれば大体目的を達するのではなかろうかと考えております。
  30. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 最後に締括りを一言申上げておきます。私が翌年度に支給されるということでは泥繩の虞れがあるのじやないかといつたようなことについては、自治庁大臣地方自治財政の実情においてあとから考慮されるというような御見解があつたから、それじやいかんじやないかということを申上げたので、今地財委当局菊山委員責任を以て回答された通り、臨機応急の措置として特別平衡交付金措置をするという言明に対して委細承知いたしました。  そこでもう一点私がお尋ねいたしたいのは、それでは地方自治体の長が、この国家地方警察基本規程(昭和二十三年、国家公安委員会規則第五号)に準拠して一部を次のよう改正すると、ずつと改正條項があります。今これの朗読を省略いたしますが、要するに第一級は百万円、第二級が九十万円、第八級が四十万円、これは抜群の功労があつた者、それから特に著しい功労があつた者の第一級は七十五万円、第八級は三十万円、それから普通の功労があつたと認められる者の第一級は五十万円、第八級は二十万円、その他これに準じた扶養家族の扶養金額等それぞれ適当な賞恤金制度が決定いたされております。このようにこれと同様のひとしいようなことが地方自治体の長において地方條例で決定されて、そうして地方財政委員会にこれを要求する、これは平衡交付金算定基礎というべきものにはめるか、或いはこうしものは特別平衡交付金においてこういう措置を考慮するというのかは承らなければわかりませんが、とにかく地方自治体の長がこうしたことを起案して国家に要請した場合には、これは自治庁大臣としては認めると言われましたが、間違いありませんね。
  31. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) その通りでございます。
  32. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なお他に御質疑ございますか……平衡交付金法案に対して土曜日に申上げました通り、これは大分質疑をいたしておりましたから、質疑は終了して、お差支えなければ上げたいと思つてつたのですが……。
  33. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 この問題につきましてはまだ私のほうでも疑問を残している人があります。それからもう一つこの間から申上げました通り、これは義務教育費国庫負担法と併行してもう少し審議する必要がある。というのは向うのほうが成立すればこれは又非常に太事な点が骨抜きになつてしまうというような点、それが単位費用を改訂するということにつきましては重大な問題であるから、先般も私が委員長のほうに希望を申上げた通り、もう少し専門の方面の参考人を呼んで、その点を学校関係とか或いは警察関係とか、消防関係とかいうようなものにつきましてもつと審議を慎重にやる必要があるのじやないか、そういうところで希望を申上げておいたのでありますが、この前の日程表を見ましても、来月の五日に又審議するような予定にもなつているのでありますが、そういう点を考慮いたしまして、本日これから採決に入るということがあるとするならば、もう少し私は延期してもらいたいと、こう考えております。
  34. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今のお話はよくわかりましたが、岡野国務大臣にお尋ねいたしますが、今若木委員のお述べになつたうちに、義務教育費国庫負担法との関連があるということで、これはまあ関連が大いにあるのでありますが、その法案はどういうふうなことになりますか。衆議院のほうで何か異論があるようなふうにも聞いているんですが、その問題は政府の態度としてはどういうふうにお考えになつているか、参考のために伺つておきたいのですが。
  35. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。政府の態度といたしましては、義務教育費国庫負担法が議員提出によりまして、そうして国会の御審議になつておりますから、もう政府といたしまして何らこれに対して異論を挿む余地がないのであります。国会が適当にこれをおきめになることを待つているわけであります。
  36. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なお伺いますが、その議員提案に対しまして、与党たる自由党はこれを支持するわけなんですか、どうなんですか。
  37. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私、党のそういう方面を受持つた首脳者ではございませんので、まだそういうことをはつきり考えておりませんが、どうも相当まだ研究しなければならんような余地があるようにも聞いているわけであります。それは私が責任を以て申上げる筋合いのものではありません。
  38. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは若木君、明日もう一度これを午前中……午後は公聽会が今日、明日とあつてそれで無理に午前中だけ委員会に割いて頂いたわけですが、明日もそれじや質疑を継続しますから、質疑のある部分につきましてはなおその際質疑を願いたいと思います。まあ先ほどのお話にも来月の五日のほうに廻つているというふうな、これは参考のために、あれはもう一つのやつは事務当局がやつたのですが、御承知の通り法案が多いものですからなかなか暇があれば少しでも時間を割いてやらなくちやならんと思いまして、まあ委員各位にも非常な御迷惑をかけておりますが、又そのほかに全然手を著けてない法案がたくさんありますから、一つできるだけ差繰るといたしまして、成るべくそのうちでも問題が余りないものから順次上げて、最後はやはり税法であるとか、自治法とか、警察法とか、それから集団示威運動のあの法案があります。そういうような四つの法案が非常に大きいものですから、それに最後に時間を集中して参りたいと思います。そう思いますので、衆議院が上つて来て、余り重大な支障のないような問題は、成るべく今後皆さんの御協力を得まして上げまして、もう時間も余りございませんから、あとは大法案に時間を割く、そういう方針で参りたいと思います。どうぞその点は御了承願いたいと思います。  それでは本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時から更にこの二法案について質疑を継続いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十三分散会