○
政府委員(長野士郎君) それでは引続きまして
改正法案の説明をいたします。
地方自治法の一部改正案と現行法との対照というのを御覧下さい。
先ず今回の
改正法案の一応の組立てについてお話を申上げますが、第一頁でございますが、目次のところをお開きを願いまして御覧頂きますと、第四章を削除とな
つておりますところに、選挙の
規定をおくことにな
つております。これは選挙の根本
規定をおくことにいたしたわけであります。それからその次には行政の簡素化、能率化の趣旨に鑑みまして、現在
地方公共団体の他の執行
機関が各
法律によりまして、時を異にし目的を異にして設けられておりますが、これらの
機関が
地方公共団体の
機関であることを明確にいたしますると共に、各
地方公共団体相互間の関係を明らかにいたしますために、次の頁の七章に執行
機関とありますところに第一節、通則を加えることにいたしました。それから第二節を
地方公共団体の長という節に改めまして、その中に一つ款を加えまして、他の執行
機関との関係、即ち
地方団体の長と他の執行
機関との関係という款を新たに加えることにいたしたのであります。次に第三節といたしまして、
委員会及び
委員というので、他の執行
機関の通則以下の
規定をおくことにいたしておるわけであります。それから次の頁につきまして、第八章給与というのを給与その他の給付ということに改めましたが、これは
地方公務員法の給与という観念と現在の
地方自治法の現行法における給与の観念とがやや合わないものがございますので広げたわけでございます。それから第十章は監督という章でございますが、これを国と
地方団体及び
地方団体相互間の関係ということに置き換えたわけでありまして、そのような章の趣旨を改めまして
規定を追加いたしたわけであります。
七頁のところから逐条に御説明を申上げます。第一条は、そのようにいたしまして
地方自治法が
地方公共団体の組織運営に関する基本的な事項の大綱を定めるものであるということを明らかにいたしますために、第一条といたしまして新たに目的を掲げることにいたしたのであります。従いまして第一条でありましたものが第一条の二に移つたわけであります。
第二条の第二項の改正部分は提案理由の説明にもございましたが、従来法令によりまして、即ち総理府令なり各省の省令によりまして
地方団体に事務委任ができておりました建前を改めまして、
法律又はこれに基く政令によらなければ事務委任ができないということにいたしました改正の部分でございます。第三項はそれに応じまして、
規定を法令とありますのを
法律又はこれに基く政令というふうに整理をいたしたのであります。次の頁に参りますと、第三項の第五号でございますが、これらは
地方団体が任意に行いますところの事務を例示いたしておる条項でございますが、この中にやや
規定を整備いたしまして新たに加えることにいたしました。即ち公民館というところに博物館、体育館というものを加えましたし、それ以外に教育、学芸というふうな言葉にな
つておりましたが、こういう言葉は最近の法制上は使わないそうでありますのでこれを教育、学術、文化というふうに改めたわけであります。第六号はやはり同様でございまして、厚生行政関係の施設の名称その他を新しいものに整備をいたしたわけであります。第九号も同様でございます。第十号は労働組合、労働争議の調整、労働教育その他労働関係に関する事務というものも、基本的には
地方団体が公共の福祉という観点から行うべき事務と観念すべきであるという意見がございますので、第十号を加えたわけでございます。それに伴いまして以下号の番号を整理をいたしました。次の頁に参りまして四項を新たに加えましたが、
法律又はこれに基く政令によりまして
地方公共団体に義務ずけられておりますところの事務を別表に掲げることにいたしましたので、第四項はその中の都道府県が義務的に処理しなければならないものを掲げるという基本
規定でございます。これを別表第一として掲げることにいたしたわけであります。五項は
市町村の義務的処理に属するものを別表第二として掲げることにいたしました。次の頁の八項は、
地方公共団体に関する法令の
規定につきましては、各種のいろいろな法令がございますが、これらはすべてそれぞれの行政の目的によ
つて地方公共団体を動かすというような
考え方のために、
地方公共団体そのものの運営につきましての
考え方がやや足りないような点がございますが、これらもすべて法令を解釈し運用するのは
地方自治の本旨に基いて行うべきであるという基本的な建前を八項において明らかにしたわけであります。第九項は
地方公共団体が事務を処理するに当りまして、住民の福祉の増進に努めると共に、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。今回の改正法の目的が
地方団体の組織運営の合理化、能率化ということを主眼といたしておりますので、その運営の基本的な建前を
規定をいたしたのであります。十項は、組織及び運営の合理化に努めるということを
地方団体の運営の基本的な方針とするために加えた次第であります。十一項は整備の
規定でございます。
次に第三条に参りまして、第四項、第五項でございますが、
地方団体の名称、特に
市町村等の名称の変更につきましては条例で行うことにな
つておりますが、その場合に知事が許可を与えております。この名称変更等の場合の措置が政府において容易に把握できませんために、例えば郵便局の管轄区域を改めますとか、集配区域を変えますという場合に、予算上の措置その他において適切を欠くというようなことがありますので、爾後名称変更につきましては、これを報告を求めまして、報告を求めましたときには総理大臣は直ちに国の関係行政
機関に通知をするということにいたしたのであります。
第四条は
地方団体の役場とか県庁、市役所等の位置を定める場合につきまして、住民の利用に最も便利であるように適当な考慮を払わなければならないという基本的な
規定をおいたのでございます。すべて能率的或いは合理的な運営という点に着目をいたしまして、新たに
規定を加えた次第でございます。
第六条は、従来
地方公共団体の区域に属しませんでした地域というものを、新たに
地方公共団体の区域に加えますための法的手続が現在欠けておりますので、所属未定地と同様なものというふうにも考えられますが、新しい手続を加えることにいたしたのであります。これは第七条の二というところで御説明を申上げます。
第七条は
市町村の廃置分合や
市町村の境界変更に関する
規定でございますが、市の廃置分合につきましては調査
委員会議の勧告では人口五万以上に引上げるというようにな
つておりますが、この際それをいたすことは控えまして、ただ勧告のもう一つの点である、国に協議をいたしまして市にいたします場合の手続を慎重ならしめる点についての
規定を第二項に加えたわけでございます。第七項は、
市町村の廃置分合や境界変更につきまして都道府県の知事の処分によ
つて直ちに効力を生じておりますが、最近これらの処分につきまして種々問題が起
つておりますので、やはり総理大臣が告示をいたしましたときに処分の効力が発するというふうにいたしたいというのが第七項の
改正規定でございます。第七条の二は先ほど申上げました従来
地方団体の区域に属しなかつた地域を府県又は
市町村の区域に編入をいたす手続を定めたものでありまして、内閣が利害関係があると認められる都道府県又は
市町村の意見をあらかじめ聞きましてこれを定めるという手続を加えたわけでございます。
次に第八条に参りますが、第八条の三項の改正部分は、町村を市といたします場合、或いは市を町村といたします場合の
規定でございますが、市の廃置分合についてあらかじめ協議を内閣総理大臣にするということにいたしましたので、
規定を重ねて書くことにいたしまして、市を町村とする処分と町を村とする処分が同一でなくなりましたので
規定を改めた次第でございます。第八条の二は、都道府県知事が
市町村の廃置分合や境界変更の計画を定めまして関係
市町村に勧告をする、そうして
市町村の規模の適正化を促進するための
規定を新たに加えたのであります。第二項におきまして、このような計画を定めます場合には、関係
市町村或いは当該都道府県の議会及び当該都道府県の区域内の
市町村の議会、又は長の連合組織その他の関係のある
機関及び学識経験を有する者等の意見を聞いて定めるということにいたしておるのであります。第四項におきましては、内閣総理大臣がその報告を受けました場合には、第五項の
規定によりまして国の関係行政
機関の長に対しましてその旨を通知いたします。国の関係行政
機関の長はそのような計画に基きます廃置分合や境界変更につきましては、これを促進するために必要な措置を講じなければならないという
規定を第六項においたわけであります。これによりまして廃置分合、境界変更をやりましたけれども、それに伴ういろいろな関係の国の
機関の措置が遅れて困るというような点を防止しようといたしたいのであります。
第九条は、
市町村の境界に関する争論に関する
改正規定でございます。現在その黒い部分に書いてございますように、
市町村の境界に関して争論があります場合には、
裁判所に確定の訴えを提起するということにな
つております。
裁判所で司法的に解決をいたします前に、先ず行政的に或る程度これを解決する途がないか、それによ
つて現在の境界に関する争論を早期に解決をしたいというのが現在の
市町村の境界に関する争論の実態に徴しまして考えられます点でございます。従いまして第九条を全文改正をいたしまして、先ず境界に関しまして争論がありますときには、府県知事は関係
市町村の申請に基きましてこれを調停に付することができるようにいたしたいのであります。調停に付しましても境界が確定しない、即ち調停案をのまないという場合に、すべての関係
市町村の申請に基いております場合には、これは府県知事は裁定ができるということにいたしております。これらの申請につきましては第四項の
規定によりまして関係
市町村の議会の議決を経なければならないことにいたしております。これらの
規定によりまして
市町村の境界が確定をいたしましたときには、
市町村の境界変更、廃置分合の手続と同様に、内閣総理大臣に届出でまして、内閣総理大臣がこれを告示し、国の関係行政
機関の長に通知するという
規定を以下においておるわけであります。併しながら調停をのまない、或いは裁定もうまく行かないというような場合がございます。裁定に不服である場合がございますので、第八項以下にその後の解決方法といたしまして関係
市町村が
裁判所に出訴する途を開いておるのであります。特に第九項におきましては、調停或いは裁定に適しないと都道府県知事が認めた場合でありますとか、或いは折角申請を関係
市町村がいたしましても一定の日までに、即ち申請をいたしました日から九十日以内に何らの措置が講ぜられないというような場合にも、同様に早期に紛争を解決する必要がございますので、
裁判所に出訴する途を開いたのであります。第九条の二は
市町村の境界が判明ではない、まあ争論はないが判明ではないという場合の境界の確定の手続を
規定をいたしました。現行法では第九条の中に一緒に
規定をしておりますのを、今度は第九条の二として新たに加えたわけでございます。争論がない場合には県知事が関係の
市町村の意見を聞いてこれを決定することができるということにいたしておるのであります。勿論この場合にも第四項の
規定にございますように、その決定に不服がありますときには関係
市町村は
裁判所に出訴することができる途を開いております。
次に第十三条は
地方公共団体の住民の基本的権利を
規定をしておるところでございますが、この際この中に更に教育
委員会の
委員の解職の請求の権利というものを書き加えることにいたしたのであります。
地方自治法としてはこの
規定が欠けておりましたので、この
規定を基本
規定として書き加えることにいたしました。
第四章は選挙の章でありましたものが公職選挙法の施行に伴いまして削除されておりましたが、やはり
地方自治法が
地方団体の組織運営の基本法であるという建前を貫きますために、第四章選挙という
規定を置きまして、基本的な
規定を四カ条だけ加えることにいたしたのであります。即ち第十七条を読んでみますと、「普通
地方団体の議会の議員及び長は、別に
法律の定めるところにより、選挙人が投票によりこれを選挙する。」別に
法律に定めるところによりとは勿論公職選挙法のことを指しておるのでありますが、そのようにいたしまして議員、長の選挙の基本
規定、第十八条は選挙権の基本
規定、十九条は被選挙権の基本
規定、二十条は教育
委員の選挙に関する基本
規定というものを入れたわけであります。第七十五条は、今度改正法によりまして各種の
委員会を明確に
地方自治法中に基本的な
規定を入れることにいたしましたので、これに従いましてこれらの関係の
規定のありますところは明確に教育拳員会、選挙管理
委員会、人事
委員会若しくは公平
委員会、
公安委員会、
地方労働委員会、農業
委員会等の
規定を整備をして加えた次第であります。七十五条の三項の改正部分も同様であります。八十四条は公職選挙法という名前が出ます最初の条文になりますのでここに番号を入れることにいたしました。第九十条が都道府県の議会の議員の定数に関する
規定でございます。現在の
規定によりますと画一的に法定されておりますが、今回は先ほどの提案理由の説明にもございましたように基準を掲げるのみといたしまして、そうして当該都道府県の人口に応じて条例で自主的にこれを決定するということにいたしたのであります。ただその基準として掲げます数はおおむね調査
委員会議の勧告及び戦前の定数等を検討いたしまして、現在の数より基準を下げて
規定をいたしております。即ち第一、都につきましては百一人、道は八十三人というふうに
規定をいたしました。都、道は別に一号づつ掲げまして、あとの府県につきましては百万未満、百万以上二百五十万未満、二百五十万以上、こういう三段階にいたしたのであります。この基準数によりますと、おおむね現行定員より平均いたしまして十名内外の下げた基準にな
つておるわけであります。第二項はこのような条例で議員定数を定めることにいたしましたが、その場合には第二条第九項、第十項と申しますのは、常に最小の経費で最大の効果を挙げるとか、或いは
地方団体の組織運営の合理化に常に留意をしなければならないという、
地方団体の運営の基本的な
規定の趣旨に適合するようにこれを定めなければならないという基本
規定、この条例で議員の定数を定める場合にも基本的な建前としなければならないという
規定を入れたわけでございます。第三項、第四項はこの条例で議員定数を定めます場合にも、あらかじめ公聽会を開きまして広く住民の意見を聞いてその定数条例を設けましたり、或いは改正することを期待をしておるわけであり、勿論この議員定数は一般選挙を行う場合でなければこれを増減することができないというようにいたしております。
第九十一条は
市町村の議会の議員定数に関する
規定でございますが、やはり根本の建前といたしましては現行法が法定制度でございますのを改めまして、基準を掲げることにいたしまして、
市町村の人口に応じて条例で定められるようにいたしたのであります。段階は百五十万以上の市、五十万以上百五十万未満、二十万以上五十万未満、五万以上二十万未満、一万以上の町村、人口五万未満の市、人口一万未満の町村こういう六段階に分けまして、これに従いましてそれぞれの数を参酌をいたしまして決定をいたしました。二項はやはり同様な趣旨でございましてこの定数を定める場合には組織運営の合理化、住民の福祉の実現というような基本的な精神でこれを定めるべきであるということと、その次は公聽会を開いてその数を決定する場合には、広く住民の意見をあらかじめ聞かなければならないという
規定でございます。勿論これらの議員定数は基準でございますので、ここに掲げておりますように必ずしも奇数をとるとか偶数をとるとかいう必要はありませんが、今回は奇数主義をとることにいたしております。これは同数の議員が選ばれました場合に、即ち与党、野党と申しますか、そういうような関係にあります場合に、偶然にも同数選ばれました場合には議会運営が非常に困難になる実情でございますので、あらかじめ奇数を基準にしてこの弊害を避けようという趣旨に出ずるものでありますが、もとよりこれは基準でございますので、条例で偶数にも勿論定められます。或いはこれらの基準をこえて定めることも可能でございます。ただ基本的な建前として奇数主義を一応とつたということでございます。第六項の但書を削除いたしましたのは、
市町村の議員定数につきましても同様に一般選挙の場合でなければ議員定数の増減ができないというのが原則でございますけれども、
市町村につきましては廃置分合、境界変更等によりまして著しく人口の増減がありました場合には、任期中におきましても議員定数の増減を認める必要がございます。併しながら現行法におきましては新たに合併をいたしました場合の新しい人口に基く定数までしか増減ができないということにな
つておつたのでございますが、基準主義をとります関係と、
市町村の合併等の促進に便利に役立たしめるために、そういう基準をこえて定数を定めることも可能にいたしますために但書を削除いたしたのであります。
第九十六条の改正部分はこれは
規定の整理でございます。九十七条も同様に
規定の整理でございます。九十八条も
委員会関係の
規定の整理でございます。第九十九条も同様であります。九十九条の条文はこの改正法によりますると、九十八条と全く同様でございまして、「選挙管理
委員会、監査
委員、
公安委員会又は教育
委員会」とありますのを、各
委員会の
規定を具体的に定めましたので「教育
委員会、選挙管理
委員会、人事
委員会若しくは公平
委員会、
公安委員会、
地方労働委員会、農業
委員会又は監査
委員」に改める
規定でございます。
委員会関係の整理の
規定でございます。
次に第百一条は
地方団体の議会の開会に関する
規定でございますが、先ず百二条の改正との関連におきまして、従来臨時会の招集につきましては議員定数の四分の一以上のものから請求がありました場合に、単に当該普通
地方公共団体の長はこれを招集しなければならないということのみでございましたが、今回の改正におきましては、請求のあつた日から都道府県にあ
つては三十日以内、
市町村にあ
つては二十日以内に招集しなければならないという
規定に改めまして、招集義務の発生の日を確定することにいたしましたのであります。
第百二条は定例会制度を改めまして通常会と臨時会にいたしました。そうして通常会につきましては、毎年二月又は三月にこれを招集しなければならないということにいたしたのであります。これは提案理由の説明にもございましたように、議会の開催を議会の付議事件というものとの関連なしに毎年何回以上招集するというような開催の方法というものは少くとも合理的ではないという
考え方で改正を加えられたものであります。通常会におきましてはその会期は府県にあ
つては三十日、市にあ
つては十日を例とするという
規定にな
つております。従いまして通常会がそういうことになりますと臨時会の性格を変える必要がございます。従いまして臨時会につきましては先ず第一に通常会以外の場合にはすべて臨時会になるわけでございますので、前の条文のところで御説明申上げましたように、四分の一以上の請求がありました場合には必ず三十日以内、二十日以内にこれを招集しなければならないということにいたしましたのが臨時会についての改正の第一点でございますが、この第三項におきまして議員の一般選挙がございました場合、或いは長が更迭をいたしました場合には、やはり同様に選挙の日から府県にあ
つては三十日以内、
市町村にあ
つては二十日以内に臨時会を招集しなければならないことにいたしました。なお第五項の改正におきまして、従来臨時会に付議いたします事件はあらかじめ告示をいたしました事件に限られるのが原則でございまして、それ以外には臨時会の開会中に急施事件というもののみについて付議することができるようにな
つておりましたが、今回改正を加えまして、告示いたしました事件のほか急施事件のみならず、臨時会の開会中に付議事件があればすべてこれを付議することができるというふうに改めたのであります。第百十八条に参りますがこれは字句の整理でございます。
第百二十一条は
委員会関係の字句の整理でございます。第百二十五条も同様であります。第百三十八条は定数条例は常勤の職員に限るというのが原則であるということを明らかにいたしますために、職員とありますのを常勤の職員ということに改めた次第であります。
第七章、執行
機関通則に入ります。第百三十八条の二は、各種の執行
機関を通じまして先ず執行
機関が執行いたします際の心がまえと申しますか、そういう基本
規定を入れたのであります。即ち普通
地方団体の執行
機関が、現在でも他の
委員会等におきましては、あたかも国の
機関のごとき観念によ
つて運営をされております。この点を改めますために、普通
地方団体の執行
機関は先ず当該
地方団体の条例なり予算その他議会の議決に基く事務を第一に執行すべきである、同時にその次には法令、規則その他の
規定に基く当該
地方団体の事務が第二番目に
規定をされております。それの次に国、他の
地方団体その他公共団体の事務を処理するのであるという原則を明らかにいたしたのであります。
第百三十八条の三は、執行
機関の組織が系統的に組織されなければならない、すべての執行
機関は普通
地方団体の長の所轄の下に属するということを明らかにする
規定として第一項を加えたのであります。
第二項におきましては、先ず
地方団体の一体的な行政機能の発揮に努めなければならないという点でございます。第三項は執行
機関相互の間の権限について疑義が生じました場合には、普通
地方団体の長がこれを調整するように努めなければならないという
規定を置いたのでございます。
第百三十八条の四は、執行
機関として
地方団体の長のほかに
委員会、
委員を
法律の定めるところによ
つて置くという基本
規定でございます。第二項は、
委員会は
法律の定めるところによりまして法令や当該
地方団体の条例、規則に違反しない限り、権限に属する事務に関しまして規則その他の規程を定めることができる。即ち各種の
委員会の規則なり規程というものの位置を明らかにいたして関係ずけたわけでございます。第三項は、執行
機関の附属
機関として各種の審議会なり調査会の
規定がどのような位置にあるのかということを明らかにいたしますために、その基本的な
規定として入れたわけでございます。
第一節
地方団体の長とありましたのが、第一節通則を加えましたので第二節と改まつたわけでありますが、百四十八条の一項の
改正規定は、普通
地方団体の長の
機関委任の事務につきまして、従来は省令等によりましても行われたのでございますが、
地方団体自体の事務委任につきまして
法律又は政令でしなければならないということにいたしましたのと同様に、
機関委任事務につきましても
法律又はこれに基く政令によらなければならないことに改めた次第であります。第二項は先ず都道府県知事の
機関委任事務につきまして、事務的な処理に属すべきものを別表第三として掲げることにいたしたのであります。第三項は、
市町村長の
機関委任事務につきまして別表第四として掲げることにいたした
規定でございます。第百四十九条は整理の
規定でございます’。
第百五十二条は副知事或いは助役も条例で置かないことができるという定めをするようにいたしましたので、副知事や助役を置かない
地方団体におけるところの職務代理者の
規定を加えますために、従来は助役を置かない
市町村の場合のみの
規定でございましたところを加えまして、副知事若しくは助役を置かない
地方団体というふうに改正を加えたわけであります。第百五十五条の第三項もこれは改正に基く整理の
規定でございます。第五項は支庁、
地方事務所、支所、出張所、区の事務所等の
地方団体のそういう基本部局と申しますか、そういう出先
機関につきましてもやはり第四条第二項の
規定を準用いたしまして、その位置を定めます場合には住民の便利を図り、且つ他の官公署等との関係や交通の事情等について適当な考慮が払われなければならないということを明らかにいたしたのであります。
第百五十六条第三項は、
地方団体の行政
機関につきましてもその位置を定めます場合には、そういう住民の便利を図り他の官公署との関係を考えなければならないという
規定として第三項に第四条第二項の
規定を準用することといたしました。第四項は
法律によりまして
地方団体が行政
機関を義務的に設置しなければならないことに定めておりますものにつきまして、別表第五としてこれを掲げることにいたしたのであります。第五項は警察
機関の下に新たに検疫
機関という字句を挿入することにいたしましたが、これは国の
地方行政
機関を設置いたします場合には国会の承認を経なければならないことにな
つておりまして、第五項はその例外の
規定でございます。検疫
機関と申しますのは、先ず人につきましては外国から入
つてや
つて来る人についての検疫でございます。それから植物、動物につきましては農林省関係の輸入動植物についての検疫がございますが、このような
機関は
地方行政に直接影響するというようなわけでもありませんので、関係省の要求に基きましてこれを除外例のほうに加えることにいたしたのであります。
第百五十八条は都道府県の局部に関する
規定でございます。局部につきましても条例でこれを定めることにいたしまして、従来の必置部或いは随意部という制度を改めたわけであります。分類といたしましては第一に都でございます。都は八局にいたしております。第二に道であります。道は八部であります。第三が人口二百五十万以上の府県、二百五十万以上の府県になりますと、民生部、衛生部それから労働部、商工部、農林部というように分れております。第四に百万以上二百五十万未満の府県におきましては、民生、労働が一緒になりまして民生労働部にな
つております。従いまして部が六部に縮まるわけであります。第五の百万未満の府県になりますと、民生、衛生、労働が一緒になりまして厚生労働部ということにな
つております。又商工部、農林部が一緒になりまして経済部ということにな
つておりますので、基本部局といたしましては四部ということになります。なお第二項におきまして都道府県知事は必要があります場合には、条例で局部の名称或いはその所掌事務の変更或いは局部の数の増減を行うことができるようにいたしております。この場合にはやはり
地方団体の組織運営の合理化ということを基本的な建前にして考えるという趣旨で、第二条第九項及び第十項の
規定の趣旨に適合し、且つこの府県の局部というものは、単に府県の局部という性格の一面に、更に国の国政事務についてのいろいろな執行をやるという一面がございますので、国の行政組織との関連、或いは他の都道府県の局部との組織との間の権衡というものを失しないように定めなければならないという
規定を第二項に置いたわけであります。なお第三項といたしまして次の頁にありますように、局部の数を増加いたしますための条例を設け、又は改正をしようとするときには、府県知事はあらかじめ内閣総理大臣に協議をするということにいたしております。これによりまして成るべく局部の数の増加というものについては慎重な手続をとるということにな
つておるわけであります。
次の頁に入りまして、
市町村の分課につきましては従来と同様変更はございませんが、やはり分課を設ける場合におきましては合理化の趣旨及び他の
市町村の部課との組織との間の権衡ということを念頭におきますために、第六項の下に新たに
規定を加えたわけであります。
第百六十一条は副知事の必置制を改めまして、条例で定めればこれを置かないでもよろしいというふうにいたしたのであります。これによ
つて実際の必要と行政の簡素化という両方の点を目的といたしまして但書を加えることにいたしました。第二項は従いまして人口二百万以上の府県にありましては二人、三百万以上の府県にありましては三人まで増加するという
規定を削除いたしました。又第二項、第三項の改正は、町村のみは条例で行うことができるように助役についてな
つておりましたものを、市も含めまして条例で行うことができるようにいたしますために、「町村は」という字句を削除することにいたしたのであります。副知事及び助役につきましては第四項にまとめて条例で定数を増加することができるという
規定を加えました。
第百六十八条は出納長につきましてこれを随意設置にいたしますために、第一項から出納長の字句を削ることにいたしたのであります。そうして第三項に都道府県と
市町村の場合をかためて
規定をすることにいたしました。出納長、收入役の実態に即するようにいたしますために、一般職に切換えをいたしまして事務吏員の中から長がこれを命ずるということにいたしたのであります。五項、六項はそれによる関係
規定の整理でございます。第百七十条は
委員会の
改正規定のための整理でございます。
第百七十条の第四項は副出納長や副收入役を置かない
地方団体が出て参ることが予想されますので、その場合の職務代理者、即ち出納長や收入役の職務代理者の
規定を整備いたしまして、あらかじめ代理すべき吏員を定めておくということにいたしたのであります。第百七十二条の第三項の但書は、定数条例は常勤の職員について設けるということを明らかにいたしますために但書を加えたのであります。第百七十三条の二は
地方団体の長の補助
機関でありますところの職員の中につきましても、国は
法律或いは政令によりまして特別な資格や職名を付しまして、而もその職員を義務的に置かなければならないことにいたしておるものがかなり多いわけであります。従いましてこれらのものは別表第六といたしまして別表に掲げることにいたしました。第百七十四条の第四項の
改正規定は專門
委員は原則として非常勤であるということを明らかにいたしますために
規定を加えたのであります。
第五款、他の執行
機関との関係に入ります。百八十条の二は
地方団体の長が、その権限に属する事務の一部を
委員会又は
委員の同意を得まして、その
委員会或いはその補助職員に委任をさせましたり、或いは補助職員をして補助執行をさせることができる。これによ
つて機構の簡素化、合理化、能率化ということを図ろうといたしておるのであります。第百八十条の三は、
委員会や
委員の申出がありました場合には、
地方団体の長は、その自分の事務を補助する職員をこれらの
委員会の事務を補助する職員と兼ねさせましたり、或いは補助する職員に充てましたり、或いはその事務に従事させたりすることができるということにいたしておりまして、これによりまして各種の
委員会等に事務局を置き、專門職員を置かなければならないという体制を少くしようとしておるのであります。第三節は
委員会及び
委員、即ち他の執行
機関に関する
規定でございます。
第一款通則といたしまして、第百八十条の四といたしましては、先ず置かなければならないとされておる
委員会が左の通りであるということにいたしまして、教育
委員会、選挙管理
委員会、人事
委員会又は人事
委員会を置かない普通
地方団体にあ
つては公平
委員会、農業
委員会、これが府県、
市町村を通じて置かなければならないことに
法律的に定められておる執行
機関であります。第二項はそのほかに府県に置かなければならない
委員会、
委員として、
地方労働委員会、収用
委員会、海区漁業調整
委員会、内水面漁場管理
委員会、監査
委員、これだけのものを
規定をしておるのであります。それ以外に府県には
法律の定めるところによりまして、都道府県
国家地方警察の運営管理を行いますところの府県
公安委員会というものがございますが、府県
公安委員会につきましては単純に都道府県の執行
機関というふうにも言いかねる面がございますので、第三項として一項別な
規定を置いたわけでございます。第四項は、第一項以外に市及び自治体警察を維持する町村に
公安委員会を置かなければならないという
規定を入れたのであります。第五項は特別に
法律の定めがありますものを除きましては、これらの
委員会の
委員は非常勤とするということを明らかにいたしまして、行政簡素化と申しますか、経費の節約に資することも或いは職務の態様を決定することも明らかになるようにいたしたのであります。
第百八十条の五は
委員会或いは
委員というものと長との関係でありますが、最も基本的なものとして他の執行
機関としましては左の権限を原則的には有しないということで、先ず歳入歳出予算の調整、或いは議会の議決を経べき事件の発案権、
地方団体の收入及び支出命令、或いは税、分担金、加入金、夫役現品等の賦課徴収権、過料を科する権限、或いは決算や証書類の認定を議会に待つ権限、こういうものは原則としては他の執行
機関は有しないということを明らかにいたしました。
第百八十条の六は、
委員会や
委員が、自己の権限に属する事務を
地方団体の長の同意を得まして、
地方団体の長のほうの補助
機関たる職員、或いは支庁、
地方事務所、支所、出張所その他の
機関の長に委任しましたり或いは補助執行ができるようにさせるための
規定でございます。これによりまして各種の
委員会或いは
委員が、わざわざいろいろ出先
機関を改めて設けるということのないように配慮いたしたいと考えておるわけであります。
第二款、教育
委員会につきましては、やはり他の執行
機関中で最も強力な権限と最も独立性の強い
機関でありますし、又教育
委員会の有する仕事の重要性に鑑みまして、第二款として教育
委員会のみの基本
規定を掲げることにいたしておるのであります。第一項は、教育
委員会法の定めてあります通りに教育
委員会の任務を掲げております。第二項は、教育
委員会の権限に属します事務で、
機関委任事務とされておりまして、教育
委員会が事務的に処理しなければなりませんものにつきましては、府県の教育
委員会にありましては別表第三、
市町村の教育
委員会にあ
つては別表第四といたしまして、知事の
機関委任事務と同様に
市町村長の
機関委任事務を別表に掲げることにいたしたのであります。第三項は、教育
委員会の任命する職員のうちで
法律によりまして特別の資格又は職名を有する者につきましても、知事、
市町村長の職員中のこれらの者と同様の
考え方によりまして、これの義務的設置に属するものにつきましては別表第六として掲げることにいたしたのであります。
その次に第三款といたしまして、新たに選挙管理
委員会の
規定がここの位置に入ることになりました。選挙管理
委員会につきましては、現在府県の選挙管理
委員会が六人、
市町村の選挙管理
委員会が四人でありますが、これにつきましてやはり行政簡素化という趣旨からそれぞれ検討を加えました結果、都道府県及び第百五十五条の第二項の市即ち五大都市につきましては四人、その他の市及び町村にあ
つては三人ということに縮減をいたしたのであります。
第百八十二条の第四項の改正部分は、そのように選挙管理
委員会の数を滅しましたので、
委員又は補充員につきまして同一政党その他の団体に属する者の禁止
規定を、同時に二人が同一政党に属することになりましては選挙管理の事務の遂行の統制を害する虞れがありますので
規定を改めたわけであります。第百八十六条第一項は字句の整理であります。第三項は選挙管理
委員会の
機関委任に属する事務で事務的に処理をしなければならないものというものは、やはり県知事、
市町村長と同様に、府県の選挙管理
委員会にありましては別表第三、
市町村の選挙管理
委員にありましては別表四として掲げることにいたしたのであります。
第百八十九条は、
委員会の開催のための定足数でございますが、これにつきまして
委員の数を減しました結果、府県、五大市につきましては現在通りでありますが、その他の市につきましては三人になりましたのですべての
委員ということにいたしたのであります。
第百九十条第二項を整理いたしましたが、これは
市町村の選挙管理
委員について三人という場合がございますので、このような場合には
委員長が
委員として議決に加わる権限を有しないことは却
つて不都合でございますので、
委員として議決に加わる権限を有せしめますために第二項を整理いたしたのであります。
第百九十一条は、選挙管理
委員会に書記その他の職員を置くことを原則にいたしておりますのを改めまして、そういう特別の職員を置くことができるということにいたしたのであります。第二項は、職員は常勤の職員に限るということにいたしますために改正を加えます。第三項は、第百八十条の三の
規定による職員と申しますのは、知事、
市町村長の職員をそれらの選挙管理
委員会の職員に充てることや事務に従事させることができることにな
つておりますが、これらの職員を充てましたら事務に従事させました場合には、それらの職員は
委員長の指揮を受けて
委員会の事務に従事するということを明らかにいたしますために加えたわけであります。
監査
委員の改正の
規定に入りますと、第百九十五条の第三項但書は、市にありましては条例で監査
委員を四人とすることができるということにな
つておりますが、これにつきまして政令で
規定する市にあ
つては条例で四人とすることができるということにいたしまして、現在の監査
委員四人をおいております状況、或いは公営企業等を営んでおります状況等を勘案いたしまして適当に
規定いたしたい、かように考えております。第百九十六条の三項は、監査
委員につきましても原則として
法律の特別の定めがございませんと、非常勤になりますので、学識経験を有する者の中から選任されるものはこれを常勤とすることができるという
規定を第三項として入れたのであります。第百九十九条第二項は、監査
委員が監査をするに当りましての一つの基準、基本的な態度といたしまして、やはり今回の改正の趣旨に基きまして、第二条第九項及び第十項ということを加えたのであります。即ち
市町村の或いは
地方団体の組織運営が、合理的に最小の経費で最大の効果を上げておるかどうかということが、監査
委員の監査の狙いであるということを明らかにいたしますために第二項の
規定を追加いたしました。それから次の頁に参りまして第六項は
委員会の
改正規定に基く整理であります。第八項は、監査
委員の監査の結果に基きまして必要と認めました場合には、
地方団体の組織運営の合理化に資するために、監査の報告と同時にその意見を提出することができるということにいたしまして、監査
委員の監査の結果に基く意見を尊重いたしまして、組織運営の合理化に期せしめようとするようにいたしますために
規定を加えたわけでございます。
第二百条は、定数条例で常勤の職員について定めることを原則といたしますための
改正規定でございます。第三項は、知事、
市町村長の職員を以て充てます場合にこれらの職員の指揮、監督をするということを明らかにいたしますための
改正規定でございます。
第五款といたしまして、その他の執行
機関、即ち人事
委員会以下農業
委員会その他に至りますまでの執行
機関を一括して第五款として
規定いたします。即ち第二百二条の二は人事
委員会に関する基本
規定であります。第二項は公平
委員会に関する基本
規定であります。第三項は
公安委員会に関するものであります。第四項が
地方労働委員会、第五項が農業
委員会、第六項が収容
委員会及び海区漁業調整
委員会、内水面漁場管理
委員会に関する基本
規定であります。第七項といたしまして、これらの
委員会中
機関委任事務としてその処理が義務付けられておりますものにつきましては、府県のものにつきましては別表第三、
市町村につきましては別表第四として知事、
市町村長の
機関委任事務と同様に掲げることにいたしました。第八項といたしまして、
市町村の
公安委員会中の職員中で
法律で定める特別の資格、職名を持
つておりますものを別表第六として掲げることにいたしたのであります。
第六款は附属
機関に関する
規定でございます。附属
機関は条例でも附属
機関を置くことができるということを明らかにいたしますために、「又は条例の定めるところにより」という
規定を入れたのであります。第二項は、附属
機関の
委員その他の構成員は非常勤とすることを原則としております。それから附属
機関の庶務は、特別に庶務その他を設けるという趣旨を排除いたしますために、特定の定めがあれば別でございますが、原則としてその属する執行
機関が掌るということにいたしているのであります。第四項は、附属
機関で法令で
地方団体に設置を義務付けられましたものにつきまして別表第七として掲げることにいたしたのであります。
策八章「給与」の
規定は「給与その他の給付」というふうに改正いたしまして、第二百三条は、これらの
委員会の常勤、非常勤の関係を前の
規定で明らかにいたしましたので、その
規定を整理いたしましたのが第二百三条の第一項でございます。第二百四条は常勤の職員につきましての
規定でございますが、これらの
改正規定に基きまして
規定の整理をいたしました。
第二百七条は、公聽会その他証人等として選挙人その他の関係人が喚ばれました場合の実費弁償に関する
規定でございますが、今回の改正によりまして更に出頭した当事者とか関係人の場合をきめましたので、それらの関係
規定を整理いたしたのであります。第二百十三条も
規定の整理でございます。
第二百十七条は第四項でございますが、ここにはじめて従来の
規定でありますと公聽会を開きます場合の手続が定めてございますが、今回の改正によりまして第九十条、第九十一条の府県会の定数のところで公聽会の開催日数を定めましたので、この
規定は九十条四項の
規定を準用することにいたしまして改正をしたのであります。
第二百二十二条は、
地方団体の長又は
委員会は政令の定めるところによりまして手数料を徴収することができる。即ち
機関委任事務につきまして
委員会が手数料を徴収し得ることにいたしますために「又は
委員会」という
規定を入れたのでございます。
第二百二十三条は、これは第一項は字句の改正でございます。第二百二十八条は、今までの改正に基きましてやはり字句を改正をいたしました。第二百二十九条も同様でございます。第二百四十三条も同様でございます。第二百四十四条の二も同様でございます。第二百四十五条も財務に関する
規定を命令で定めるということにな
つておりますが、他の法令によりまして
法律又はこれに基く政令以外には定められないことにいたしましたので、やはり政令に改めることにいたしているのであります。
第十章が監督の章でございますが、先ほど御説明申上げましたように監督という観念を改めまして、国と
地方団体との関係及び
地方団体相互間の関係ということにいたしまして両者の協力関係を明らかにすることにいたしたのであります。
第二百四十五条の三は、内閣総理大臣や都道府県知事は
地方団体の組織、運営の合理化に資するために技術的な助言や勧告をすることができるという
規定でございます。又第二項は、
地方団体のほうからそれらのことを求めることができるという
規定でございます。第三項は、内閣総理大臣又は都道府県知事は組織、運営の合理化に関する情報を行
地方団体に提供いたしますために、先ず
地方団体から資料の提出を求めることができるという
規定でございます。第四項は、主務大臣、都道府県知事若しくは都道府県の
委員会若しくは
委員は、その担任する事務について同様に技術的な助言や勧告ができる。又第五項は、
地方団体の長や
委員会、
委員等は、主務大臣、都道府県知事等にその担任する事務についての助言や勧告を求めることができるという
規定でございます。
二百四十五条の三を加えまして、これによりまして国と
地方団体との関係というものは監督ではなく、両者が互いに相協力して高い水準における地
地方団体の行政を維持して行くという努力をするということを明らかにしたわけであります。
第二百五十一条は、
地方団体の紛争調停に関する
規定でございます。第一項におきまして
地方団体相互間、
地方団体の
機関相互間に紛争がありました場合には、都道府県や都道府県の
機関が当事者でありますものは内閣総理大臣、その他のものにつきましては、都道府県知事が当事者の申請に基き又は職権によりまして、自治紛争調停
委員の調停に付することができることにな
つております。職権によることができるようにしましたのは、調停につきましては受諾の義務はございませんし、必ずしもこれに従う義務はございませんので、ただ紛争の解決を図るということが必要でありますから、職権による場合をも認めたわけであります。それで自治紛争調停
委員と申しますのは、これは二項に書いてございますが、これは三人を基準にいたしまして、事件ごとにこれを委嘱する、そうして学識経験を有する第三者を選ぶことにいたしております。そうして紛争の種類によりましては他の当該事件に関係のあります事務を担任いたしますところの主務大臣、或いは都道府県の
委員会若しくは
委員と協議をいたしまして、内閣総理大臣又は都道府県知事が自治紛争調停
委員を任命することにな
つております。次の頁の第七項に、「第百八十二条第四項の
規定は、自治紛争調停
委員にこれを準用する。」と
規定してございますが、これは選挙管理
委員の同一の政党その他の団体に属する者が同時に二人な
つてはならないという
規定を準用いたしまして、自治紛争調停
委員を任命いたします場合は必ず同一の政党やその他の団体に属する者を二人選ぶことができないことにいたしております。これによりまして紛争調停が公正に行われることを期するというわけであります。で調停は強制をいたしておりませんので、ただ受諾の勧告をいたしまして、調停による解決の見込がないというときには調停を打切りまして、事件の要点や調停の経過を公表するということにとどめることにいたしているのであります。次の頁に参りまして、当事者や関係人の出頭及び陳述を求める、これは証言とか、そういう恰好ではございませんので、ただ出頭や陳述を求めまして正確に調停をいたしたいというための
規定に過ぎないわけであります。
次に、少し長く、くどくなりますので簡単に御説明を申すことにいたします。第二百五十二条の二、第二百五十二条の三、第二百五十二条の四、第二百五十二条の五、第二百五十二条の六に亙ります条文は、これは
地方公共団体の協議会に関する
規定でございます。即ち
地方公共団体は、その事務の一部或いはその
機関に属する事務の一部を、他の
地方団体と共同いたしまして共同に処理し、或いは又その連絡調整を図りますために、協議によりまして規約を定めまして協議会を設けることができるということにいたしているのであります。ただこの場合に
機関委任事務につきましてはやはり国との関係がございますので、府県の加入するものは内閣総理大臣、その他のものは府県知事の許可を受けるようにいたしておりますが、それ以外の団体自体の事務につきましては特別にその他の
規定を設けていないわけでございます。これが現在このような共同処理方式といたしましては
地方団体の組合というのがございます。組合でありますと事務機構、組織その他の点におきまして複雑でございますので、より簡素な共同処理方式を設けることが必要であるということが
地方行政調査
委員会議の勧告にもございましたので、先ず第一に協議会方式というものを定めたわけでございます。協議会は会長や
委員で組織をいたしますがそれらはすべて関係
地方団体の職員でございます。協議会の規約を定めておりますが、協議会と申しますのは、このような一つの申合せ的な会でございまして、この会がそれぞれの
地方団体の名において行いました行為は、それぞれの
地方団体の行為としての効力を生ずることにな
つているのであります。これによりまして各
地方団体が共同して一つの事務を誠実に行うことができるようにいたしたわけであります。即ちその
規定が第二百五十二条の五として、
地方団体の協議会が関係する
地方団体又は関係する
地方団体の長その他の執行
機関の名においてした事務の管理及び執行は、関係する
地方団体の長その他の執行
機関が管理し及び執行したものとしての効力を有するという
規定を入れているのであります。協議会に関する経費は勿論関係
地方団体が負担するところでありますし、協議会の事務に従事いたします職員その他につきましても、それぞれ関係
地方団体からそれらの職員なりそれらに要する事務的な財産や営造物につきまして、どの程度分担するかというようなことはすべて規約で定めることにな
つているのであります。これによりまして
地方団体が相互に共同いたしまして統一的な事務処理、能率的な事務処理をすることができるようにいたしたのであります。
第二百五十二条の七から第二百五十二条の十三までの
規定は、これは
地方公共団体の
委員会とか
委員、附属
機関、或いは
地方団体の職員についての共同設置に関する
規定であります。協議会は協議会として行われるのでありますが、
委員会或いは
委員、職員、特別な職員、例えば農業技術員でありますとかそういうものを
市町村が集まりまして協同設置をすることができる。これによりまして能率的に事務を処理し、経費の節約を図ることができることにいたしますために、共同設置
機関に関する
規定を設けたのであります。これらのすべて原則としては規約でこれら一切の事項を定めることにな
つておりますが、ただ規約にのみ持
つて行かれることは問題がはつきりいたしませんので、二百五十二条の九から十二に至ります間にそれらの基本的な関係だけを明らかにいたすことにな
つているのであります。でこれらの共同設置
機関が設けられました場合には、従いましてその
委員の選任の方法を書きましたのが二百五十二条の九でございます。それから議会の同意を得て選任するような
委員につきましては、それぞれの議会の同意を得て選び、或いは規約で定めました
地方団体の議会が選べばそれでよろしいというようにするか、いろいろな形をと
つているわけであります。それから、それらの
委員会や
委員会の
委員等につきましての解職請求というものはどのようにしてこれが運用できるかということを明らかにいたしますために二百五十二条の十の
規定を入れてあるのであります。第二百五十二条の十一は、それらの
委員会や
委員の事務を補助する職員に関する
規定でありまして、これは規約で定めました
地方団体の職員を以て充てることを原則といたしております。それから予算につきましても、それらの規約で定めました一つの管理団体の歳入歳出予算として計上する事務その他につきましても、管理団体が監査をいたしまして、それが関係
地方団体の長に報告し、公表をするというような
規定を設けておりますのが二百五十二条の十一でございます。
二百五十二条の十二は、この共同設置をいたしました
委員会、
委員又は附属
機関というものに、それぞれの関係する
地方公共団体の
委員会や
委員や又は附属
機関としての力を持たせなければ意味がございませんので、その
規定を加えたのであります。二百五十二条の十三は、今までは
委員会、
委員、附属
機関についての
規定でございまして、職員につきましては前五条の
規定を準用するという形で二百五十二条の十三を入れたわけでございます。
次に二百五十二条の十四から十六までの
規定は、普通
地方公共団体が他の団体に対しましてその事務を委託をいたしまして他の団体にこの事務を処理してもらう、というような手続を加えてあるのであります。現在でも例えば小学校の児童の就学委託というような制度がございますが、その関係を明らかにいたしますために、又更に如何なる事務につきましてもそういう委託が可能であるということにいたしまして、能率的な運営を図るということにいたしますために事務委託の一般的な
規定を入れてあるのであります。これも勿論二百五十二条の十五に現われておりますように、主要事項はすべて協議によりまして規約で定めることにいたしているのであります。二百五十二条の十六は、これらの委託をいたしました場合におきましても、その委託をされた事務の範囲におきましては、これらの委託をされました執行
機関等につきましての効力、法令上の適用の問題、或いは委託を受けた執行
機関についての条例、規則その他のものが委託した
地方公共団体にも効力を有するというような関係を明らかにいたしまして委託の効果を保障いたしますために二百五十二条の十六の
規定を入れてあるのであります。
第二百五十三条に参りますと、これは都道府県知事の権限に属します
市町村に関する事件で、数府県に亙りますものにつきましてその事務を管理すべき都道府県知事を定めますのに、現在は関係府県知事の協議によ
つてこれを定めることにな
つておりますが、現在いろいろな所で協議がつきませんでそれぞれ紛糾をいたしているような問題がございまして、このような場合に協議か調わない場合におきまして、内閣総理大臣がその事件を管理すべき都道府県知事を定めるというような
規定を入れることにいたしたのでございます。
二百五十四条は、この
法律におきまして人口云々という
規定が相当ございますが、この人口とは官報で公示された最近の人口ということにな
つておつたのでありますが、この
規定がやや不明確でございますので、官報で公示さえすればそれでこの
法律の入口として適用があるというだけでいささか濫に流れる傾向がございまして、これがその他の人口についての
関係法律の
規定と調子がとれていない状況にな
つて参りましたから、それらを明らかにいたしますために「最近の国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果による人口」ということにいたしたのであります。
第二百五十五条は
市町村の廃置、分合、境界変更についての
規定の改正に伴いましての整理であります。二百五十五条の二は、この
法律に定める事項についての争訟につきましては、この
法律に定める争訟の提起期間や管轄
裁判所に関する
規定によ
つて争うことを原則にいたしておりますが、
市町村の境界の裁定、決定、確定寺についての新たなる争訟手続が設けられましたので、これを加えることにいたした
改正規定でございます。
第二百五十九条は郡の区域を新たに画しましたり、これを廃止しましたり、変更します場合の
規定でございますが、それらにつきましても内閣総理大臣の告示ということを明らかにいたしますために、第四項において関係
規定の改正をいたしたわけであります。
第二百六十四条以下は特別市に関する
規定でございますが、普通
地方公共団体に関しましてそれぞれ只今まで御説明申上げましたような
法律的改正を加えましたので、特別市の
規定につきましても、現在特別市の
規定が実際に動いてはおりませんけれども、理論的に一貫をいたさせますために、それぞれ所要の
改正規定を加えることにいたしたわけであります。即ち二百六十四条の一項は「
法律又は政令」とありますのを「
法律又はこれに基く政令」、従来「法令」とありますのを「
法律又はこれに基く政令」に改めたわけであります。二百六十五条の第四項、五項はやはり特別市の区域に従来
地方団体の区域に属しなかつた地域を編入する手続として入れたわけであります。
第二百六十六条は特別市と
市町村或いは特別区との境界に関して争論がある場合の、第九条の二の
改正規定に応じますために改正を加えたわけであります。第二百六十八条は特別市にも必ずしも助役を置かなくてもよろしいということにいたしますために、第一項に但し書を加えました。第三項は字句の整理でございます。二百六十九条は副收入役は条例で置くことができるということにいたしますための
改正規定でございます。二百七十条の第四項は、特別市の区の事務所につきましても、郵便の便宜その他のことを考慮して定めさせますために、第四条第二項の
規定を準用することにいたしております。
第二百七十一条は区助役につきましても条例で置かないことができるといたしました。第二項については、特別区は行政区でございますが、ただ区長だけは公選をされることにな
つておりましたが、これにつきましては、特別区の区長についての選任方法の改正と相待ちまして、やはり行政区の区長を公選とするという手続が妥当ではございませんので、この部分の
規定を削除することにいたしまして、区長及び区助役につきましては、第三項に区長の
規定を加えまして、区長及び区助役は特別市の事務吏員の中から特別市の市長がこれを命ずるということに、はつきり理論的に一貫することにいたしたのであります。第四項は字句の改正でございます。第五項は区助役を置かない場合の職務代理者の指定についての
規定を加えることにいたしました。
第二百七十二条は、区の副收入役という
規定を削除いたしましたので、これに関する
改正規定でございます。第二百七十三条は
委員会に関する整理の
規定でございます。第二百七十五条は定数条例につきまして、臨時、非常勤の者はこれから除くための関係
規定の改正でございます。第二百七十六条は行政区に選挙管理
委員会が置かれておつたのでございますが、これは当該区には自己の選挙に関する事務がないということで、区に選挙管理
委員会を置くということが、理論的には少くとも必要ではございませんので、行政区の選挙管理
委員会を置く
規定を削除いたすことにいたしまして、行政簡素化の趣旨にも合わせることにいたしたのであります。第二百七十七条は特別市に一般の市に関する
規定を適用する関係の条文でございますが、改正法に基きまして、それぞれ
改正規定を加えたわけであります。
第二百八十一条は都の区に関する
改正規定でございます。先ず第一に「都の区はこれを特別区という」というのを改めて、提案理由の説明にもございましたように、「都に区を置き、これを特別区という」ということにいたしまして、都の区の性格を明らかにいたしたのでございます。即ち特別区は都の内部的な部分的な団体であるという性格を明らかにすることにいたしました。第二項は「特別区は、左に掲げる公共事務及び行政事務で、国又は都に属しないものを、
法律又はこれに基く政令の定めるところにより処理する」。ということにいたしまして、特別区の事務というものは
法律上明確に定められた事務に限定をすることにいたしたのでございます。
第一号は小、中学校、幼稚園、各種学校の設置、管理等の事務でございます。但し教職員の任用その他の身分取扱、教科内容及びその取扱、教科用図書の採択、その他のものは除くことにいたしておりますが、これは現在の都の区で行な
つておりますのと同様の範囲の仕事でございます。第二号は主として当該特別区の住民の使用する公園、運動場、広場、緑地及び児童遊園等の設置、管理の事務を、特別区自体の事務とすることにいたしております。これにつきましては現在よりもやや実際上は広くなる、設置、管理の特別区自体の事務になりますものが広くなるはずであります。東京の区について申上げますればやはり広くなることにな
つております。第三号は図書館、公民館、公会堂の設置、管理の事務でありまして、これは大体現行法通りでございますが、ただ現行法以上になりましたのは、住民に対する社会教育というものが特別区自体の事務であるということを明らかにした点でございます。第四号は特別区の区域内の交通の用に供する道路の設置、管理の事務でございますが、これは現在特別区自体の事務にな
つておりませんので、この種の事務は単なる区長の
機関委任事務にな
つておりましたのを、特別区自体の事務に移すのでございますから、この部分の仕事は区の自体の事務としては拡張をされたことになるわけであります。第五号は街路樹、道路の照明施設の設置、管理の事務でございますが、これらのものもやはり広くなつたものがございますが、道路の清掃事業、これにつきましては特別区自体の事務として増加した部分でございます。第六号は公益質屋、公衆浴場及び公共便所の設置、管理の事務でございます。東京の区について申しますと、本年の四月から公益質屋が特別区に移ることになつたということでございますから、これは大体同じ幅でございますが、公共便所につきましてはやや殖えておる部分があるということになります。第七号は公共溝渠の管理の事務でございます。これも区自体の事務として新たに殖えた部分でございます。公共溝渠と申しますのは汚物掃除法等に基きますところの溝渠でございます。第八号は身分証明、印鑑証明及び登録に関する事務、これもまあ特別区自体の仕事にしたわけであります。第九号は前各号に掲げるものの外、都の処理していない公共事務、これは特別区が処理することができる、それから
法律若しくはこれに基く政令又は次の第三項の
規定によりまして都の条例によりまして、特別区に属せしめられました事務も特別区として処理することができるということにいたしたのであります。即ち都が処理しておりません、およそ
地方団体として行うべき公共事務というものは、特別区は当然に処理することができる、ただこれは都が処理していないということが一つの前提でございますが当然にできるということにいたしておるのであります。第三項の
規定による都の条例により特別区に属する事務と申しますのは、第三項に原則としては、特別区の存する区域におきましては、第二項各号に掲げましたのが特別区の事務でございますが、原則的には
法律又はこれに基く政令の
規定によりまして、市が処理しなければならない事務とされておりますものは、第四項の
規定によりまして都がこれを当然に処理することにな
つております。都がそういう意味では
法律的には市と同格になり、特別区の存する区域においては都が基本的にそういう事務を処理する権能を有するということを明らかにいたしましたが、このような都に属するものでありましても、第三項の
規定によりまして、主としてこれが特別区の区域内に関するものにとどまるものについては、都は特別区の議会やその他学識経験を有する者等の意見を聞きまして、条例で特別区に委任するものとすることにいたしたのであります。第四項といたしましては、第二項の特別区の事務に属する以外のものは、特別区の存する区域におきましては、市が
法律又は政令の
規定によ
つて処理しなければならないとな
つておりまする事務は、都が処理することを明らかにいたしたのであります。第五項は、「都は、特別区が第三項の
規定により処理すべき事務と競合するような事務を行わないようにしなければならない。」ということで二重行政、二重機構ということの弊害を避けるように配意を加えました。
第二百八十一条の二は、このようにいたしまして都と特別区どの関係を新たに改めて参りましたに伴いまして、「特別区の区長は、特別区の議会の議員の選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のものの中から、都知事が特別区の議会の同意を得てこれを選任する。」という明らかに
規定の改正を加えたのでございます。第二項はこのような特別区の区長に対しましては更に事務を加えて、住民に身近な事務はすべて特別区において処理することを可能にいたしますために、特別区の事務は勿論区長の執行にかかわるものでございますが、それ以外に
法律又はこれに基く政令によりまして、市長の
機関委任事務とされておりますのは、原則としては特別区の区長が行うということにいたしておるのであります。それを特別区の区長に譲りましても、特別区の性格の改変或いは区の区長の選任の方法改正によりまして、都区一体の保障ができることになりますので、このようにいたしまして特別区の区長の仕事の幅を拡げることにいたしておるのであります。第三項は、都知事は都の権限に属する事務の中で、主として特別区の区域内に関するものについては、原則としてこれを都の規則によりまして区長に委任して管理、執行させるのが原則であるということを明らかにいたしておるのであります。第四項は特別区の
委員会、
委員につきましても、都の
委員会や
委員の権限に属する事務を委任する場合に、原則としてはこれを準用するということにいたしておるのであります。第五項はこのようにいたしまして委任いたしまして、特別区の区長や
委員会や
委員が処理いたします事務につきましては、都知事、或いは都の
委員会がこれらの特別区の区長、或いは区の
委員会を指揮監督するという
規定を定めたのでありまして、これによ
つて都区一体の関係を保障しようとするのであります。
第二百八十二条は、現行法におきましては、都が条例で特別区に関して必要な
規定をすべて設けることができる建前でございますが、今回は制度的に保障ができておりますので、これを改めまして特別区の事務について、特別区相互間の調整上必要な場合に限
つて都が条例で
規定を設けることができるようにしぼつたのでございます。第二項は、都知事は、特別区に対しまして、特別区の存する区域における都の事務の処理との調整上、特別区の事務の処理について必要な助言又は勧告をすることができるという
規定を加えたのであります。
第二百八十三条は、従来は政令で特別の定をする以外は、
地方自治法の第二編中の市に関する
規定は、特別区にこれを準用するということにいたしまして、特別区が形式的には市と同格であるということにな
つておつたのでありますが、今回特別区の性格を改めたに伴いまして、この
法律、政令で特別な定をするものを除く外、第二編中市に関する
規定は特別区にこれを準用することにいたしたのでございます。適用を準用に改めたわけであります。
第二百八十四条は
地方団体の一部事務組合に関する
規定の改正でございます。即ち現在一部事務組合は、
地方団体自体の事務についてのみ一部事務組合が設けられてございまして、
機関委任事務については設けられないようにな
つておるのでございますが、やはり団体の事務と
機関委任事務と併せて一部事務組合を作るほうが、事務処理の便宜上非常に能率的な場合が多いのでありますから、これを改めまして
機関委任事務についても、一部事務組合が作れるようにいたすための
改正規定であります。
第二百八十七条は百五頁にありますが、第三項の改正部分は、
地方団体の組合の議員や管理者、その他の職員につきましては、他の
地方団体の議会の議員や長は、
地方団体の議会の議員や長を兼ねることができないというような兼務の
規定について、やや疑問の余地があるという意見がございますので、
地方団体の組合の議会の議員や管理者につきます限りは、これを組織する関係
地方団体の議員、長が当然兼ねることができるということを、疑いを絶つために明らかにいたしたのでございます。
第二百九十二条は字句の改正でございます。二百九十四条も同様でございます。
附則第十条の改正は未引揚邦人の調査に関する事務を都道府県、特別区で行う必要があるということでありますので、その関係の調査事務を行い得まするように、未引揚邦人の調査に関する事務という
規定を加えたのであります。第三項は民生部とのみな
つておりましたが、局、部の改正に伴いまして民生部、民生労働部又は厚生労働部というふうに
規定を改正をいたしたわけであります。
附則第十七条は、最初の
地方自治法の附則の第十七条でございますが、他の法令中市に関する
規定は、政令で特別な定をするものを除きましては特別区にも又これを準用することにな
つておりまして、現在政令で特別の定といたしましては伝染病予防に関する仕事は区ではやれないとか、或いは都市計画に関する仕事は区ではやれないとか、汚物掃除に関する仕事は区ではやれないとかというふうにな
つておりますが、それ以外は区で当然にやれるようにな
つておる。従
つてこれらの
規定によりまして、特別区は当然市であるという
考え方があつたわけでございますが、今回特別区についての事務を限定をいたしましたので、他の法令中の市に関する
規定が当然に特別区に準用されるということは理論的に一貫をいたしませんので、二百八十一条第二項各号に掲げるもの、或いは特別区の区長等に委任されたものにつきましては、政令で特別な定を設ける場合を除く外は、特別区にも又これを準用するということにいたしておるのであります。
次が附則でございますが、この改正法につきましては、国会で御審議を願いまして成立をいたしましたならば、公布の日から起算をいたしまして、三月をこえない期間内で政令で定める日から施行する。多少施行に準備がかかると考えておりますので、政令で定める日から施行することにしておるのであります。第二項は従来法令によりまして、
地方団体或いは
地方団体の
機関に当然に事務委任をいたしておりましたが、これを今回の改正法に基きまして、この
法律施行の日から起算をいたしまして原則としては一年以内に、改正後の
地方自治法に即するように改正の措置をとらなければならないということにいたしまして、第三項は一年以内に改正されるまで、又はそういう
法律改正がなされるまではその効力を有する、当然に改正すべきものを改正しなければ、従来の法令による都道府県或いは都道府県知事等に対する事務委任というものは効力を有しなくなるということを明らかにいたしておるのであります。
第四項は
市町村の境界変更、廃置心合で、特に市の廃置分合等に関する
規定に改正を加えましたが、或いは又古町村の廃置分合に対しまして、内閣総理大臣の告示により都道府県知事の処分が効力を生ずるということにいたしましたので、これらに伴いましての必要な経過
規定でございます。この
法律施行の際にや
つておりましたものは差支えないということを書いたものでございます。第五項も境界に関する訴訟は、現在や
つておりますものは従来の例によ
つてやれるということを明らかにいたしました。
第六項は、議員定数につきましては、この改正後の
地方自治法が出ましても現在の議員の任期中に限りましては、なお従前の定数を似て定数とすることを明らかにいたしたのであります。第七項は、府県の局部は
法律施行の日から起算をいたしまして、五カ月以内はなお従前の例によ
つて存続をさせることができることにいたしております。第八項は、副出納長につきましても、現在特別職の副出納長の四年間の任期があります間は、なお在職をするということにいたしておるのであります。第九項は選挙管理
委員の定数を削減をいたしましたが、任期中に限りましてはなお在職することにいたすための経過
規定であります。第十項は、監査
委員を置く市につきましては、政令で
規定されません場合がありましても現在ありますものにつきましては、なお在職することを保障する
規定でございます。第十一項は、現在
地方団体が共同設置しておりますところの
委員会や附属
機関、職員、例えば固定資産評価
委員でありますとかそういうもの、人事
委員会等につきまして共同設置、或いは事務委託等がありますが、これらのものは一年以内は改正後の
地方自治法による共同設置、事務委託の
規定によりませんでもなおよろしいということにいたしますための経過
規定でございます。
第十二項は、郡の区域の変更につきましても、現在や
つておりますものについては従前の手続でよろしいということの経過
規定でございます。第十三項、十四項、十五項、十六項は都の区の改正に伴います経過
規定でございますが、
地方自治法の附則の第二条の但書によりまして、現在東京都におきましては、旧東京都制の適用が
規定の効力を有する部分がございまして、これによりまして特別区の区の区域内におきましても、他の法令中の市、市長とありますのは、すべて都や、都知事にも適用があるということにな
つておりまして、このような
規定に基きまして現在特別区の区域内における市に関する仕事というものは、都区双方にまたが
つて当然に権能を有せられることにな
つておるのでありますが、これらの効力を有する
規定の中でも、今回の改正によりまして、当然に特別区の事務として配分をされましたものにつきましてはその適用はない、即ちそれにつきましては他の法令中に市とありましても、これを都とは当然には読みかえないということを明らかにいたすための
規定でございます。
第十四項は事務引継の
規定でございまして、特別区の事務として新たに第二百八十一条第二項の各号で掲げられましたものは、現在都が処理しているものにつきましても、この
法律施行の日から九十日以内に特別区に引継がなければならないという
規定でございます。それから第十五項は現在特別区の区長の職にあります者につきましては、選挙の日から起算をいたしまして、その問は区長の身分を有するということを明らかにいたしますための
規定でございます。第十六項は、当然に特別区の区長や或いは
委員会の権限に属する事務になりますもので、この
法律施行の際に都知事や都の
委員会の権限に属して施行しておりますものの事務引継に関する
規定でございまして、この
法律施行の日から九十日以内に特別区の区長、
委員会又は
委員に引継がなければならないことにいたしております。第十七項は、これらの
規定以外にも特別区に関する掛先の施行に関して必要な経過措置を定めることがありますので、これを政令に委任をして頂くための
規定でございます。
第十八項、第十九項、第二十項につきまして一括してお話申上げますと、第十八項は公職選挙法についてでありますが、行政区の選挙管理
委員会を廃止いたしましたので、公職選挙法中二百六十九条の
規定の改正をいたしたのであります。第十九項、第二十項は、厚生年金保險法、船員保險法につきまして、厚生大臣の職権の一部を、厚生大臣が定めるところによりまして府県知事に委任することができるというふうな現行法の
規定でございますが、これは改正後の
地方自治法の趣旨に副いませんので、これを厚生省から引続いて一緒に改正をしてくれという依頼がございましたので、厚生大臣の職権の一部は政令の定めるところによりこれを都道府県知事に委任することを得るというふうにいたしました。船員保險法についても同様に改正を加えたわけでございます。
第二十一項は改正法施行のための明文として必要な事項を政令で定めるということにいたしたわけであります。これで説明は終ります。