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1952-04-24 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十四日(木曜日)    午前十一時七分開会   —————————————   委員の異動 四月二十一日委員石川清一君及び曾祢 益君辞任につき、その補欠として櫻内 辰郎君及び吉川末次郎君を議長におい て指名した。 四月二十三日委員櫻内辰郎辞任につ き、その補欠として岩男仁藏君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            堀  末治君            中田 吉雄君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            館  哲二君            若木 勝藏君            原  虎一君            吉川末次郎君   政府委員    地方財政委員会    委員      菊山 嘉男君    地方財政委員会    財務部長    武岡 憲一君    地方財政委員会    税務部長    後藤  博君    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方財政法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今から委員会を開会いたします。  本日は前回に引続きまして、地方財政法の一部を改正する法律案につき質疑を継続して参ります。なおこの際申上げておきますが、本日衆議院地方行政委員会において、こちらに予備審査になつております、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案について、只今討論採決を行なつておりますので、その間岡野国務大臣衆議院のほうにおります。追つて向うが済み次第こちらに参ります。なお行政協定に関する特例案向う委員会を通過いたしますので、本日場合によつて大臣出席後、提案理由説明だけを聞いておいたらどうかと思いますが、さようにいたしますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) さよう取計らいます。  では、地方財政法改正案に対しまして御質疑をお願いいたします。
  4. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はこの問題につきまして、大臣出席された場合にいろいろ大臣に質問しようと思つてつたのでありまするが、今まだおいでになられませんので、その他の二、三の点を伺いたいと思います。先ずこの問題につきまして、第十條に示されてあるところの、いわゆる国がその全部又は一部を負担する法令に基いて実施しなければならない事務に要する経費、その事項項目に亘つて挙げられてあるのでありますが、在来生活保護に要する経費その他の項目につきまして、国とそれから地方負担の度合がどういうふうな関係になつておるか、これを伺いたいと思います。
  5. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) お尋ね生活保護に要する経費につきましては、生活保護法規定によりまして、国が八割の補助負担をし、残る二割が地方負担に相成つておるのでございます。
  6. 若木勝藏

    若木勝藏君 その他のことにつきましても……。
  7. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 十條の各項目につきましてですか。
  8. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうです。
  9. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) それでは以下申上げます。第一項の第一号が生活保護に要する経費割合只今申上げた通りでありまして、次に第二の保健所に要する経費でございますが、これにつきましては、その経費の内容は経常費施設費に分れるわけでございまして、経営費につきましては三分の一、施設費につきましては二分の一が国の負担ということになつております。
  10. 若木勝藏

    若木勝藏君 それ一つ一つでは大変にあれになりますから、あとに資料として提出願います。
  11. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 一括して資料として提出いたします。
  12. 若木勝藏

    若木勝藏君 ただ、大体全般的に見まして、国がどのくらいのパーセントであり、それから地方がどのくらいのパーセントであるか。この概観でようございますから、その点一つ……。
  13. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは自治庁のほうで資料を早急に提出して頂きます。
  14. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) お尋ねの点につきましては、後ほど詳細に資料提出をいたしますが、その国と地方との負担の率は項目によりまして非常に異なつております。で、生活保護などにおきましては、特に国の負担分の多いもので八割ということになつておりまするが、そのほか二分の一或いは三分の二或いは三分の一というようにそれぞれ異なつておりまして、その総額について金額で申上げますると、ここに掲げてございますが、一から二十三までの各号に該当いたしまする昭和二十七年度の予算に組まれておりまする額について申上げますると、総額が五百六十三億、それに対しまして、国の補助金が三百八十五億、地方負担が百七十七億程度、大体その程度であります。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういう大体の負担率恰好になつておりまして、これがいわゆるこの甚だしく国と地方負担関係が不均衡であつて、そして地方行政が、まあ財政が非常に圧迫されておる、こういうふうなことについて状況はどうであるか、伺いたいと思います。そういうことがないか、或いは事実どういう状況にあるか、円滑に行つておるかどうかというような点について……。
  16. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これらの各行政項目につきましては、只今申上げましたような、まあいろいろな率に奮よつて地方負担をいたしております。勿論これらの国の施設が、いわゆる国の施設に伴いまする地方負担というものも決して軽くないのでございまして、毎年地方財政計画にその数字を掲げて御審議を頂いておりまするが、総体的に見まして、やはり相当負担であると申さなければならんと思うのであります。従いまして、国の財源措置等を考慮いたしまする際には、成るべく国としての補助率を高めて行くように、それが現在の困窮いたしておりまする地方財政相当救済する一つの方策であると、かように私ども考えております。機会ありまするごとに政府のほうに対しまして、成るべく国の負担を多からしめるように要請をいたしておるような次第でございます。
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 次にこの第二点といたしまして、今回義務教育費国庫負担法ということがまあ相当自由党方面考えられて、これに対する又文部関係、それから自治庁関係において考えが非常に対立しておるとこういうふうな問題があるのでありますが、この大きな問題につきましては、後ほど大臣がお見えになつたときにお伺いすることにいたしまして、自治庁といたしましては、その際にこの義務教育費国庫負担のなかに学校施設災害復旧に要するところの経費を含むのが妥当であるか、或いはこれを別個に取計らうのが妥当であるか、この法案で見まするというと、これは明らかに原則的には災害方面は一括して、学校災害復旧に要する経費経営費と離して、別個にこれは扱つているように聞いておるのであります。その辺の自治庁としてのお考えを伺いたい。
  18. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 災害に伴いまする負担関係というものは、経営的な負担とは異りまして、非常に特別な性質を帶びておると思うのであります。災害は必ずしも地方団体財政状態に比例して起るものではございませんで、且つ非常に一時的に多くの負担を課するものでございます。従いまして、これらの経費に対する国と地方との負担というような問題は、やはり経常的な諸経費負担関係とは角度を別にして考慮しなければならないではないかと考えておるのであります。従いまして、総体的に教育に要する経費負担関係というようなものを考慮いたしまする際にも、例えば給與費、或いは経営的な教材費等々と災害に伴う経費負担というものは、おのずからまあ別個の観点から考慮いたさなければならないではないか、かように私は考える次第であります。
  19. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点につきまして、今私の仄聞するところでは、自由党のいわゆる政調会考え方といたしましては、これを義務教育費国庫負担法の中に含む、こういうふうな一つの原案を持つて何か行政府とのいろいろな折衝中だというような話も聞いておるのでありますが、その点はどういうふうになつておるか、伺いたい。
  20. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今出ておりまするこの試案につきましての研究と申しまするか、検討と申しまするか、その具体的な進行につきましては、私まだ詳細には承知いたしておりません。
  21. 若木勝藏

    若木勝藏君 自治庁といたしまして現在これまでにルース台風とかその他の災害によりまして、学校が非常な災害を受けておる。今回も十勝沖の地震によつて北海道相当これに対する痛手を蒙つており、又鳥取の火災によつても三、四校の一学校が燒けておるような状態でありますが、従来のこの学校災害復旧に対してどの程度補助が出ておつて、その補助については地方財政立場から見て妥当であつたかどうか、これらに対するお考えを伺いたい。
  22. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 学校災害復旧のために支出されました補助金の計数的な問題につきましては、只今手許資料がございませんから申上げません。いずれ御要求がありますれば、資料として提出いたしたいと思いますが、大体原則的には、災害復旧につきましてその校舎の復旧等経費は二分の一程度国負担しておるように覚えておりまするが、これらは特に災害を受けたという特殊な財政上の痛手を受けた団体の問題のことでございまするから、成るべくその国の負担率というものは高くあるのが至当である。又その残りの地方負担分等につきましても、起債をできるだけ高率に認めて行く、そういうような方針で考慮処理をするべきではないか、かように私は考えます。
  23. 若木勝藏

    若木勝藏君 在来は二分の一の大体予算措置で以て賄つて来たというような恰好になつてつたのでありますが、この程度によつて学校災害復旧については地方財政立場から適当であるとお考えですか、その負担率が……。
  24. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これはまあ、国の予算関係等もございまするから、完全と申しまするか、我々の希望通りの実現を期待するということも相当困難であろうかと思いまするが、地方財政の実態から申しまするならば、私どもの見解といたしましては、二分の一というのはまだ低過ぎるのであつて、少くとも三分の二或いはでき得れば四分の三程度まで国の負担を高めて頂きたい、こういうふうな感じを持つのであります。
  25. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 自治庁ちよつと伺つておきますが、この十四号に協同農業、その文字が協同農業となつていますが、従来もこういうふうな文句が使われておつたようですが、それはどういう意味ですか。
  26. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは農業改良助長法の中に用いておる字句でありまして、いわゆるエクステンシヨンと申しますか、いわゆる農業の技術の改善改良を行いまする事業……。
  27. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか。
  28. 石村幸作

    石村幸作君 十一條の二にですね、但書で公営住宅に関するものを除いているのですが、これはどういうわけでこの公営住宅の分を除くか、ちよつと説明をして頂きたい。
  29. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これは、公営住宅につきましては、使用料收入がございまするので、その分を以てその歳出に充てるという意味であります。
  30. 石村幸作

    石村幸作君 次に旧法律の第十四條、現行法の十四條ですね、これをまあ削除しておりますが、そうすると、現在国庫負担にかかる地方職員があります。これは全額今度は国庫はみない。地方公共団体負担ということになるわけですね。
  31. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) そういう賞味じやございませんで、今回の改正によりまして、各行政項目につきましての経費負担区分というものが明らかになつて参りましたのでございまするが、それに掲げられておりまする項目の中に職員に関する経費も含まれております。従いまして、特にこういう別項を設けませんでも、事項によりましては、この負担区分のきまつておりまするものの中でそれに要しまする職員費がございますれば、その負担区分はその規定の中で規定される、こういうことになるのです。
  32. 石村幸作

    石村幸作君 大体そういうお答えになると思つたのですが、つまり十條の三までに大体その項目人件費も包含するわけなんですね、一応そういうふうになつていますが、事実上においてこの地方財政を圧迫するようなことは断じてないとこう断言なさいますか。
  33. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) これはまあ人件費だけの問題ではございませんで、恐らくそのほかの経費等につきましても、その負担率等法律できめましても、例えばその算定の基礎となつておりまする單価予算單価が実際よりも相当低いというようなことがございますると、まあ相当事実上地方が大きな負担をかぶる虞れがあるということは従来もあつた。そういうことは今回の規定によりまして、地方平衡交付金との負担区分を明確にいたしました精神に照しまして、成るべくそういうことのないように、実情に即して実際法律にきまつた通り負担を国と地方の間に分つて行くように、処理されるべきであると思います。
  34. 石村幸作

    石村幸作君 そこで、これは確か第十一條ですか、その負担をすべき割合はまあ法律又は政令で定めることになつておるのですが、以前もそうです。そこでこの負担割合ですが、これを一方的に政令等できめられるというのでなく、ここでこの地方公共団体と中央との本当納得ずくでこれをきあるという方法はないもんでしようか。
  35. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 実際問題として、この負担割合をどの程度にきめるかというのは、相当まあむずかしい、いろいろ具体的には問題が多かろうと思います。建前といたしましては、法律又は政令できめるということでございまして、法律できめまする場合には、特に国会で直接御審議を願うわけでございまするから、まあこれは極めて妥当な割合がきめられると思います。政令によりまする場合でも、大体まあ法律によつて委任されておる問題、或いはそれに準じたようなものが特に政令でもきめられる場合が多かろうと思います。そういう場合に地方負担が特に重くなることがないように、国に比べて不当に重い負担を課せられることがないようにすることは勿論必要でありますが、それにつきましては、現在の法律におきましても、地方負担を課するような法律又は政令等を制定いたしまする場合には、地方財政委員会意見を聞かなければならないというような規定があるわけでございます。地方財政委員会におきましては、できる限りそれらの法律又は政令によつて負担がきまりまする場合に、地方の利益を擁護すると申しまするか、正当な割合がきまるような意見を述べて、そういうふうな法律がきまるように努力をいたしたい、かように考えます。
  36. 石村幸作

    石村幸作君 今のお話で、一面形式的には整つておるのですが、こういう場合に前にも例があるので、どうも国が国の財政面を主にして、こう無理押付け的に一方的にきめちまう例が多いようで、例えば府県側にしても、非常にこれは不満があつて納得しなかつた点が多々あつた。こういうふうな点をやはり何とかいい処置をしてもらうことを考えて頂きたいと思いますが、そこでこの前にちよつとお伺いしたんだが、問題になりました一番初めの第四條の二ですが、寄附行為の問題ですが、まあ蒸し返すようで恐縮ですけれども、ここに御存じだろうと思うのですが、熊本県あたりからこの市町村等寄附金なんかの拔萃したものが参考に出ておりますけれども、これを見ても非常な驚くべき数字に上つておるのです。これは事実であります。極く最近に、この前いろいろ質問をいたしました以降にも、私は地方でこれは現実の問題で、高等学校の中に工学部という工科を設置するという地方の要望で、これは県立高等学校ですが、県がこれを承認して設置した、併し工科だから相当施設費が要る、その施設費地方で持てと言う、まあ持たなければ折角設置したけれども止めちまうぞというようなことで、いろいろ交渉した。金の問題だからつい地方は何とかしなければならん。これは決してここにあります強制的に割当徴收するという恰好にはならない。併し事実においてはそれを出さなければ根本的に工科というものは廃される。それが大体話しますと、僅か二郡ですね、二郡の町村で千六百万円も一度に出させられる。これはまあ町村長が集まつてとうとう受けなければならないことになつて泣き泣きこれを承認した。まあそういうふうなものについて私は調べて見た。そういう事実がありまして、これは決して強制的割当徴收じやないのだけれども、事実においてはこれを出さなければ設置した学校が運営できない。以前に私はこれを一種の脅迫だと言つたが、そういうふうなものです。そこで、ここにいろいろ出ておりますけれども、この四條の二の條文で、果してここに現われている熊本県の場合ですね、これは殆んど各県を通じてこの表と同じようだと思いますが、こういうふうな法令に基かない負担金寄附金がこれが非常に莫大な金額にかさむと、これによつて地方財政が非常に緊迫しておる。これをこの條文によつて救い得るかどうか、お考えはどうでありましようか。特に甚だしいのは、保健所建築に対する寄附金、これは全国恐らくこうですね、これを全部見てみると、殆んどこれは全国拾つたところが、これに書いてある全部が全国的に適用される問題であると思つております。例えば国に対する問題でも、郵政関係にしろ、一つ設備を創設する、これに、必ず寄附が伴う。又は検察庁、法務府、裁判所、税務署に至つては全部そうです。こういう場合を、この前も大分話がありましたが、強制的割当てという文句をやめれば、これが本当に第四條の二が活きると思うのですが、併しそれをやらないのは、現在のまあ国にしても地方にしても苦しい財政面だから、徹底的にそこまでやつても困るかもわかりません、お互いに。併し何とか当局で折角こういう條項をわざわざ置いたことは、地方財政寄附に悩まされておるということを考慮された上に、こういう條文を特に改めて強化されたと思うのですが、その点お考えをもう一遍伺いたいと思います。
  37. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 誠に御尤もな御心配でございまして、前回にも同様な御意見を承わつたのであります。法律寄附金を割当てて強制的に徴收するようなことをしてはならないというような書き方で、これは書き方としては非常に弱いんじやないか。勿論、寄附金のようなものを全然受けてはならんというような書き方はないかという御意見等もございました。で、この前私が申上げましたように、この條文を特に置きました精神は、全く御指摘の通り地方財政に不当な圧迫を負わせるような、こういつたような行為を嚴察しようというのが法の精神でございます。ただ現在の段階におきましては、いろいろ国或いは公共団体財政関係等もございまして、若しこの寄附をする団体なり、或いは個人なりにとつて、そうそれほどひどい影響がなくて、むしろ好意的、協力的にこの程度のものは積極的にむしろ寄附をしたいというようなものもまあ考えられ得るわけであります。ただどこにそのけじめをつけるか、殊に表面と実質とは非常に違うことがありはしないかというような御懸念は全くお考え通りでありまするが、まあ考え方としては絶対的にこれを禁止することが今の段階でいいかどうかという多少の懸念もございまして、まあこういうような文句になつておるわけでございます。ただ精神としてはどこまでも先ほど申上げた通りでございまして、問題は結局国なり或いは公共団体財政をやつて行きます場合の運用の心構えの問題に結局は帰着するのではないかと思うのです。まあこういうような精神で、ほかの公共団体なり或いは住民に対してそういう不当な影響を及ぼさないように国の事業なり或いは団体事業というものは執行すべきである、こういう考え方で以て、為政者がそういうつもりでこれを運営いたしませんことにはまあどういう、極端に申しますれば、どんな規定を作りましても、これは逃げ口のあることになりやしないか、かように考えます。非常に不徹底な申し方ではないかと思いますが、まあ要は運営じやないかというふうに私は考えます。
  38. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) この問題につきまして、委員長より菊山委員お尋ねいたしますが、前回来、本日も只今のように第四條の二はこういうふうになつておるが、どうか、当局説明では任意的又は協力的な寄附は禁止する考えはないのだ。ところが寄附はいずれもそういうふうな形式的になつておるので、現状はもういずれもそういう形をとつて強制的に取つたということはないのですが、それではこれは空文に終る憂いがあるので、こういうことに対して地方財政委員会としてどういうふうに考えておられるか、菊山委員から所見を質したいと思います。
  39. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 只今お尋ねの点でございまするが、これは地方行政の実際の施行の上から申しますると、誠に微妙なる関係がございまして、先ほどの政府委員よりお答え申上げました通りに、その局に当る者、並びに寄附を割当られると言つちや語弊がございまするが、寄附をしようとする地方かたがた本当のその心構えにかかる問題でなかろうかと思うのであります。私どもが長い問いろいろとそういう問題に関係して参りましたが、実際寄附でもなければどうもその地方のために適当なる仕事ができないと、或いは非常な年数を要するという事態に遭遇いたしますることが多々あるのであります。これを本当に割当的に、租税のごときような恰好をとつて地方民寄附と称しながら本当賦課徴收するがごときやり方になりますることは、非常な弊害があると考えるのであります。併しながら賦課徴收、或いは又いわゆる強制的、いやと言わさないで徴收するというような方法でありませんならば、地方有志かたがた租税或いはその他の公課のほかに相当寄附をしてもよろしいという本当心持を持つておられるかたがた相当あるのは事実であります。最近は殊にこの以前と違いまして、大地主でありまするとか、或いは大資本家でありまするとかいうかたがたが一口で非常にたくさんな寄附をするという昔の気風は減退をいたして参りましたけれども、併しながら大勢かたがたで適当なるものであるならばみずから進んで出したいという希望を持つておられるかたも相当あることは事実であるのであります。そういう進んで租税公課のほかに地方公共のためになるものならば、応分の寄附をしようというこの心持は尊重いたさなければならんと思うのであります。ただ、併しながら実際においてその地方における有志家、というとよろしいのでありまするけれども地方において特殊の勢力を張らんとするいわゆるボスとでも称すべきような人たちの野心を満さんがために、地方大勢人たちはいやであるにもかかわらず強制的と申しまするか、いやを言わさずに徴收するがごとき寄附金は巌にこれを排除しなければならんというのが私ども心持であります。で、それがこの規定によつてそういう目的は達し得られるかどうかということになりますると、お説のごとくこういう規定を設けても依然としてやはり強制的、割当的のような寄附が横行するのではないかという御心配は、これは私どももそういう心配は全くないということを断言することはできないのであります。併しながら現在のごとき甚だしき弊風はこれによつて相当除去せられるであろう。而して同時に地方における大勢かたがた租税公課のほかに地方のために相当負担をする熱意を或る程度達成することもできるであろうと考えるのであります。ただ、ここに一つ最もむずかしいことと考えますることは、国の施設或いは上級地方団体施設に対して上から天降り的に寄附金を仰せつかるという弊風は、これは官民相携えてこの弊風を矯正することに努めるのでなければ、なかなかこれはむずかしいのじやなかろうか。併しながら国の予算の編成或いは又地方予算の編成等に当りまして、おのおの注意をして、そういう本当の庶民に対して、多くの人たちに対して強制的に徴收するがごとき態度をやめさせる、又地方人たちもそういう心構えで以てこれに対処するという気風を起して参りまするならば、必ずしもむずかしくて実行ができないわけでもないのではないか、その実行の端緒を開く意味においてでもこの規定は有効なものであると、かように考えておる次第でございます。
  40. 石村幸作

    石村幸作君 今地財委の菊山委員から懇切な御答弁があつたのですけれども、私どもが伺つているのとちよつとお答えが外れているように思うのです。私どもがお伺いしているのは、勿論国又は地方公共団体に対する寄附、これは個人も対象になつております。併し私が特にここで強調しているのは、市町村が国又は県、具体的に言えば国又は県に対して市町村財政のうちで寄附をする、これをまあ主として言つているわけなんです。なぜかというならば、これはまあ言わなくてもわかるでしようが、法令に基かない負担金又は寄附金は基準財政需要額のうちに入らない。その金額が而も非常に莫大なんです。従つてこの正規な財政面からいうと、そう赤字にならない、やつて行ける。それが事実の運営においては非常な財政面に欠陷を生ずる。その大きな理由は、ここにこういう負担金寄附金等があるからだと、こういうことなんでして、そこで申上げたいのです。例えばこの農業委員会とか農業調整委員会とか、こんなふうなものに対しても町村相当負担しなければならない。あらゆる面において……、今縷々御説明がありましたが、それは住民が納得して、こういう我々の零細な金を集めるから、こういう仕事をやつてくれというのとは違うんで、国又は県からの希望によつて、主として私の言うのは市町村に話があると、市町村長は市町村民から一々金を集めるということは不可能だ、そこで大抵の場合市町村財政でこれを予算のうちから寄附又は負担をしている。それを申上げたのでして、市の場合ですと、幅の広い財政面だから何とかやりくりがつく、ところが町村の場合だと極く小範囲の幅のみしか持つていないので、これがすぐに自然財政面影響がはつきりして来る。それを申上げたわけで、折角いろいろ御答弁を承わりましたが、我々の気持とちよつと違つていたわけなんで、一言……。
  41. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 甚だ御質問の要旨を外れておつたそうでありまして、申訳ありませんが、市町村等公共団体予算に計上をいたして負担をいたしまするものが、最近だんだんと多くなつて来る傾向にありますることは、私どもも承知をいたしているのであります。これは市町村として当然負担をしなければならん、法律によつて命ぜられ、或いはその他国からの特別のお話で以て地方公共のためにやらなくちやならんというものは、これはだんだん多くなりつつあることはお説の通りでございます。それがために自由財源のたくさんありまする市町村はそれほどでありませんけれども、自由財源の枯渇しておりまする市町村においては非常な困難をなめておりますることも事実であります。併しながらこれを全然禁止をいたすということは現在の実情に沿わないように思われますので、やはりこれらの寄附も適当なる範囲においてやり、それぞれの公共団体の議決機関において御審議になりまして、適当なる財源を見込んでおやりになる範囲においては、干渉をすべきものではなかろうと考えるのであります。併しながらこれが最近非常に殖えつつあるようであります。この殖えまする一つの理由は、国及び上級或いはその他隣近所の公共団体財政の窮屈さということと、それからもう一つは、何とかして必要な仕事をやつて行きたいという熱意の結果、そういうものが殖えて来るようであります。併しながらこれを成るべくそういう負担金寄附金等によつてでなしに、本当のその公共団体の自由意思によつてやるというふうにして行かなければならんと私ども考えるのでありまするが、先ほど申上げましたように、今日の実情におきましては、或る程度負担をいたしますることは法律によつて命ぜられるのは勿論のことでありまするが、法律によつて命ぜられないものでもその地方公共団体にとつて有用なものであるといたしまするならば、その範囲においてこれが負担をして行く。但し自由財源のないもので無理をしてこれをやつて行くということは、これはその団体の責任において避けることがよろしいと考えております。併しながらできるだけのことは協調してやつて行くということは止むを得ないのではなかろうかと考えられます。
  42. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なおこの際、菊山委員に伺つておきますが、先ほど石村委員から第十一條の問題について御質問がありましたが、委員長よりもお尋ねいたしますが、法律又は政令できめなければならない、こうなつておりますが、法律でやる場合は国会の十分なる審議を経ますから差支えないと思いますが、政令できめる場合は政府が一方的に国の財政等との状態から政令できめた場合は、やはり地方財政は非常に犠牲になるのみならず、政令できめると非常に公共団体の自主性を阻害するのみならず、いろいろの予定せざる経費地方団体負担することになつて、そういうことが非常に多いので今まで非常に困つておりますが、今日まで法律できめても、そういうものが法律で制定したと同時に負担が殖えて来るので、地方財政を圧迫しているのですが、こういう際に更に政令できめるようなことをやつたら非常に地方団体としては迷惑極まるものだと思うのですが、この問題について、この條文について菊山委員財政委員会委員としてどう考えておられるか、所見をお聞きしたいと思います。
  43. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) お説のごとく法律によつてきめられまする場合は弊害はないと考えられるのであります。政令できめます場合におきましても、その法律の趣旨に則りまして、その範囲内において適当にきめて行くことは当然のことでございまするから、又各官庁におきましても、各地方団体の内情を考えて、そう無理の行くようなことはしないはずでございますから、或る程度においては政令できめるということもお認めを願うことが止むを得ないのではなかろうかと考えております。
  44. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今の御答弁ですが、私は非常にそういうふうな漠然たる財政委員のお答えでは私は不満足に思うのです。と言いますのは、今の菊山君は非常に楽観しておられるが、二十四年度の配付税でも、法律規定を破つて半額に削減されたようなことがあるので、それは地方財政にとつて非常に重大な問題であるのですが、今日の平衡交付金にも匹敵する配付税が、法律規定を破つて半分に切つて割当てられた、そういうふうなことが過去にもたくさんあるので、私は今御質問申上げたのですが、今のようにそういう無理のあるようなことはしないだろうと言われるけれども、現実にそういうことが法律を破つてもあつたので、私は非常にこういうことを財政委員会が楽観しておられることは非常に不見識極まるものだと私は思うのですが、もう少し地方財政の現状、過去の政府の態度、そのために政府のやり方によつて地方財政相当圧迫されたことがあるのです。配付税を半分に切つたごときはその最も顯著なものだと思うのですが、そういうことがあるのです。やはり政令できめても差支えないというような今の御答弁では、そういうようなこともあるから私は地方財政は救えないと思うのですが、そういうふうな楽観論じやなく、やはりこういう重要な国と地方公共団体経費負担する割合規定するのですから、そういうふうな政令などであいまいでやつて置くからいつまで経つてもそういうことがはつきりしない。やはり今日截然とそういうことをしようとすれば、はつきり法律で国会の審議を経てやるべきものである私はそう思つておるんですが、その点今のような楽観論では私は非常に不満足に思います。
  45. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) お説のごとくに従来の実績からみますると、何でも負担を一方的にきめられて、地方公共団体がそれがために財政上の圧迫を蒙つておる傾向のありますることは、私どもも常に遺憾に考えておるのであります。従来といえども御承知の通りにこれらの負担を伴う行為をいたしまする際においては、あらかじめ地方財政委員会意見を徴せられることになつておるのであります。これは将来もその通りにやられて行くのでありまして、地方財政委員会といたしましては諸般の実情を勘案いたしまして、その負担地方公共団体の耐え得るところでないと考えまする際にはこれを阻止し、又相談をいたして適当なところに落着けしめるように努力いたしたいと考えております。
  46. 石村幸作

    石村幸作君 只今の御答弁の問題、私実は今日自治庁側だけの御出席だと思つて自治庁側にのみ質問したのですが、菊山委員がおいでのことをあとから気が付きまして、お尋ねしなかつたのですが、今委員長からこの問題を又再び取上げて質問があつた。そこで今菊山委員の御答弁が再三あつたんでありますが、どうも過去の事実に徴しますと、この政令できめるという場合に、委員長が今お尋ねなつ通り、どうも地財委と政府との話合が地方のために余りにはつきりなつていなかつたような事実が多いのです。これはもう事実なんです。それで主としてこれは都道府県が非常に難澁した事実があるのです。今の御答弁で、非常に法の改正という精神的にはよくわかつておりますが、もう少し実態に即した、都道府県側が、本当に地財委は我々地方本当の味方であるというような、もつと具体的に強力に一つつて頂きたいことを特に附言して私の質問を打切ります。
  47. 若木勝藏

    若木勝藏君 最近地方平衡交付金が非常に少いというふうな点からいろいろ従来の配付税制度というようなものを復活したらどうかというような話が寄り寄りいろいろな方面で言われておるようでありますが、実際におきまして、地財委から発表された資料に基きましても、二十七年度のいわゆる平衡交付金を含んだ当初予算と、それから在来のこれを配付税に換算して見た場合と比較して、非常に平衡交付金の場合が少いようなふうなことを私何かの資料で見たのでありますが、そういうふうな事情は一体各年度に亘つて、二十五年度からどういうふうな状況になつているか伺いたいと思います。
  48. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 平衡交付金制度になりましてから、以前の配付税制度時代に比較いたしまして、実際地方の財源の不足いたしておりますところに適当なる財源を付與するという点においては、平衡交付金制度のほうが非常な長所を持つているのであります。併しながら一方におきまして、果してどれだけの平衡交付金が交付されるのであるかという計算をいたしまする点から申しますると、以前の配付税制度の際においては、比較的簡單にこれの計算ができる建前でありまするがために、割合に不平と申しまするか、受ける側においてもこれだけしか受けられないのだということに対する納得が行き易いという長所があつたのであります。この二三年来平衡交付金制度を施行しました結果が、すべてのいわゆる基準財政需要額或いは基準財政收入額の算定が紙の上においてははつきりいたしておるのでありまするけれども、併しながら平衡交付金の総額がきまつておる関係上、基準財政需要額とそれから基準財政收入額との差額の全部を平衡交付金を交付するということができないのであります。そういう関係地方においてはだんだん不平が起りつつある。もつとわかり易く申しますると、予算の足りない分は全額もらえるならば地方においては不平は少いのでありましようけれども、足りない分の幾部分しかもらえない。平衡交付金の総額がきまつておるものでありますから、足りない分に比例して平衡交付金が行くというのでありますから、そこで平衡交付金を幾ら交付いたしましても、それぞれの団体が皆不平を言わざるを得ないというのが、この平衡交付金制度の一つの欠陷と申しまするか、本質上の欠陷であると考えられるのであります。これに比較いたしますると、配付税制度でありますれば、はつきりその計算が出て来るという長所を持つておるのであります。併しながらこの長所は同時に欠点でありまして、そういう配付税のような制度にいたしますると、基準財政收入額が多くして、言い換えれば財政に非常に余裕のあるところにも配付されるという欠陷を生じて来るのであります。平衡交付金制度施行以来まだ年月を経ておりませんので、これらの欠点をなるべく少からしむるように種々工夫はいたしておりまするけれども、なおことごとくこれを満足するというところにまでは到達をいたしていないことを遺憾に考えておるのであります。併し、いわゆる基準財政需要額或いは基準財政收入額の算定をなるべく合理的にやり、又地方人たちもこの算定の方式に慣れて来るならば、今日よりも不平不満の声が少くなつて来るのであろうということで、しきりに研究をいたしていることを御承知置きを願いたいと思います。
  49. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁で以て、大体不平不満の原因のようなものが了承できたのでありますけれども、私の伺つているのは、事実において配付税の制度の場合と平衡交付金との場合において、そこに金額において差異がないか、平衡交付金になつた場合に少くなつておるのではないかということを伺つておるのです。
  50. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 平衡交付金の総額についてのお尋ねであろうと思いますが、御承知の通り昭和二十五年には千八十五億、昨年は千二百億、本年度千二百五十億ということになつておりまするが、従前の配付税式に所得税及び法人税の一定率ということで計算いたしまする数字は、今正確な数字は持合せておりませんが、若干これよりも上廻つてつたように思います。ただ昭和二十五年における法律改正によりまして率が半減いたしております。その半減された率で計算いたしましたものがこの総額とどういう関係になつておりましたか、今ここにちよつと数字がございませんので、調査いたしました上で正確なところをお答え申上げます。
  51. 若木勝藏

    若木勝藏君 それらの詳細のことにつきましては、なお又地方財政平衡交付金制度の一部改正の際に審査の機会があると思うのでありますが、そうしますというと、要するに政府の総予算の上から縛られて、その枠で以てやられるから、結局地財委の要求も通らないし、又地方の要求が、これなら妥当であるという線が出ないものであると、こういうふうに地財委は見られておるかのように私は考えるのですが、その点はどうですか。
  52. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 御承知のように、地方財政委員会として、地方財政の不足と考えておりまするものと平衡交付金の額との間には相当の開きがあるのであります。その開きが即ち地方財政の窮屈さとして現われて来るものであると思います。
  53. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ちよつとお伺いしたいのですが、今度の改正法で、米の供出のような費用に対する国の負担関係はどういうことになりますか、食糧の供出……。
  54. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 食糧供出に関係いたしまする経費は、地方団体負担分がなくて、国の特別会計からの交付金の形になつておつたかと思います。
  55. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうする、と現行の第十一條に、「主として国の利害に関係のある事務を行うために要する経費については、地方公共団体は、その経費負担する義務を負わない。」「前項の経費は、左に掲げるようなものとする。」ということで、現行法でこういう食糧の供出に対する経費があるのですが、今度の改正法との関係はどういうふうになりますか。即ち現行法と今度の改正の第十條の四の規定関係……。
  56. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 第十條の四は、これは制限列記じやございませんで、例示であります。即ち「左の各号の一に掲げるような経費については、」とございまして、もつぱら国の利害に関係のある事務でございますので、国が全額を負担するわけでございます。
  57. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、現行の十一條二項の五号の食糧供出に関する経費というのは、なお今度の改正法でも生きておることになるわけでしようか。或いはこの十條の四でこれを例示いたしまして、これと類似のものという、いわゆる解釈的な意味で入つて来るのでしようか。
  58. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 第十條の四は、大体主なものを拾つて例示的にいたしてございまするので、一号から八号までのものに限定する意味のものじやございません。従いましてもつぱら国がやりまする事務に伴いまする経費は国が負担をするわけであります。
  59. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は現行法との関係をお聞きしているのですが、そうすると現行の十一條というやつはなくなるわけなのでしよう。従つて食糧の供出に要する経費というのは、現行法では一応例示の中に明示されていたやつが、今度は例示の中からはなくなる、そうしてこれは一応八号までのやつは例示であるから、食糧供出に要する経費のようなものも、それはやはりその他のものとして入る、こういう解決なのでしようか。
  60. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 旧法の第十一條は、改正法の第十條の四に置き換えられておるわけであります。
  61. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それでお伺いしたいのは、なぜ現行法にある食糧の供出に必要なる経費というものは、これは削除されたのでしようか、例示の中から。その関係を伺いたい。もう一点、若しその八戸だけに限定しないで、その他もたくさんいろいろあるんだと、こういうことになると、一体あれじやないでしようか、もつぱら国の利害に関係ある事務を行うために要する経費というものは、地方団体負担しないんだと、こういうのでありますけれども、一体何がもつぱら国の利害に関係ある事務であるかという、今度は認定権の問題はどうなるのか、その関係、それからもう一点は、同時にこれらの一号から八号までの経費が、実際において或る公共団体において費したところの費用が、国の予算とマツチしない場合には、それはやはり精算補助ということで、或いは精算交付金ということで精算して、足りなければ、国に対する要求権があるのかどうか、そこらの関係は一体どうなるのですか。
  62. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この法文の十條の四に掲げておりますのは、ほかの條文と異なりまして、制限列記で、ございませんから、それは御指摘のように、実際その業務がもつぱら国の利益のために行われておるかどうかというのは、認定に待つ以外にはないと思います。且つそういう建前で実際の国のほうの予算も計上されておるわけでございますから、全額国が持つものとして、それに関する経費地方に交付されることになると思います。それから実際その業務について地方が事実上負担した場合に、それを国の負担分ということで国に対して請求することができるかどうかという問題でございますが、これはその業務に対しましてどの程度経費が必要であるかということは、国が全額負担するものにつきましては、全額国が所定の基礎に基きまして算定して交付されるのでございますから、それ以外のものについて、当然その差額分ということで国に請求することは、これはできないかと思います。ただどの範囲に経費を要するかということは、例えば第一に掲げてございますような国会議員の選挙というものは、公職選挙法によりまして、その算定の基礎が定まつておりますから、それだけの額は国から交付される、こういうことになるのであります。それ以外に事実上地方負担いたしましても、当然国が負担すべきものとして請求するというのは、これは困難ではなかろうかと思います。
  63. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも私の質問が惡いのかも知れませんが、第一点は、例えば今の米の供出に関するような経費でありますが、そういうのがどうして今度の新法では削除されてなくなつたのか、その点をお聞きしたのが一つと、もう一つは、この條文精神というものは、やはりこれらの事務については、まあ足を出したら、それは国のほうで必ず見るということでなければ意味がないのじやないかと思うのですが、どうもその点が明確な御答弁が得られなかつたことと、それから第三点には、これ以外のもうのについては、体それならばもつぱら国の利害に関係ある事務という認定は誰がするのか、その点についてもう一度……。
  64. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 旧法の十一條の第二項の五号についてのお尋ねでございます、「食糧、薪炭その他生活必需品の供出に要する経費」とございまして、これはその制度の撤廃によりまして、経費負担関係はなくなつた。それからどういう規準で專ら国の利害に関係があるかどうかの認定をするかということでございまするが、これはその事務の根拠となつておりまする法律或いは政令その他の法令に基きましてその解釈をすることになると思うのでありまして、例えばここに例示してございまするような事務については、それぞれの法律の根拠が明示されておるわけでございまするが、その他のものにつきましても、法律或いは政令の根拠によりまして、法令の根拠によりまして、その主管をするものが国家機関ということになつておりますれば、そのものについては地方負担する筋合ではないという認定が下されることになると思うのであります。
  65. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも財務部長の御答弁が私腑に落ちないのでありますが、例えば第一点の米の供出については、すでに撤廃したからこれは削除したと、こういうのですが、それはもうすでに自治法において、或いは地方財政法において米の供出を撤廃なすつたものですか、その点は……。
  66. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) そういうことじやございませんので、大体ここに書いてございますのは、そういう食糧その他の統制関係経費負担ということで例示的に挙げてあるのでございます。大体そういう各物資の統制が撤廃される傾向にございまするから、そういう項目は特にここからは除外いたしまして、いわゆる例示の範囲で以て現在の段階では解釈をする、こういう趣旨で除いてあるわけであります。
  67. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今の問題に関連して委員長よりお尋ねいたしますが、十二條を変更されて、予備隊、海上保安庁の経費を新たに加えておられますが、この條項は、国がかような問題に対する経費地方団体負担さしてはいかんという一つの例ですが、こうなつておりますが、現在予備隊の募集事務などは町村政府はやらしておるのですが、この問題は内閣との連合委員会で、先般高橋委員より御質問があつたのですが、そういうふうなことに対して自治庁並びに地財委はどういうふうに考えておられるか、所見を質したいと思います。
  68. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 国のそういう関係の費用について、地方公共団体負担をいたしますることは、実情としては止むを得なかつた場合もあつたであろうと思いまするけれども、筋合としては面白くないことと考えているのであります。国で負担をすべきものは国で負担をするという筋道を将来は立てて行きたいということに考えております。
  69. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今の御答弁ではどうも不満足なんですが、現在今こうやつて審議しておる法律案に、政府が警察予備隊、海上保安庁の経費を特に入れたのですが、今審議して、そういう法案を提案しておられるのに、一方においては、勿論その経費は予備隊のほうから流すでしようが、事務町村にやらしておるということは、実際提案した法案と、政府のやつておる実際のあれとが食い違つておるのですね。そういうことが現実にありますから、非常に我々おかしく思うので、その点を伺つたので、今菊山さんは過去にあつたように言われますが、現在今やりつつあるので、而も自治庁のほうからこういう法案を出して、警察予備隊及び海上保安庁の経費、こういうものを特に入れておられる。併しそれと逆行したようなことが行われておる。こういうふうなことは矛盾も甚だしいので、特に菊山委員出席しておられるから伺つたのですが、どうもそういう点ももう少し地財委として御研究になつて、こういうことをさせないように自治庁に進言なさらなければ、さつきおつしやつたような御答弁と違つて、我々が見ると、地方財政委員会では何かぼんやりしておつて、今私御質問しましたが、なかなか質問した趣旨がおわかりでなかつたように私は思うのですが、重ねて御所見があれば伺いますと同時に、自治庁からもどういうお考えか伺いたいと思います。
  70. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 地方財政委員会といたしましては、警察予備隊及び海上保安庁に要する経費は国が負担すべきものと考えておるのであります。併しながら実際の場合におきまして、それの一部を、或いはそれに要する経費地方団体として負担せしめております事実のありますることは、私どもも聞き及んでおるのでありますが、これは先ほど来問題になりましたる寄附と同じように、地方団体において、事実上地方団体が進んでこれを負担するという趣旨において交渉が行われてやつておるのでありまして、これは地方団体財政を圧迫するものであり、成るべくそういう、国において負担せらるべきものははつきりと国において負担せられるという区別を判然せしむることが地方団体のために頗る望ましいことと考えておるのであります。法案の趣旨を達成することについて私は希望を持つておる次第であります。
  71. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それはそういう設備の費用なんかの問題ですか、将来起るであろう募集の経費の問題とは違うのですか。
  72. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 予備隊募集についての経費地方負担することになるのではないかというお尋ねのようでございまするが、これはそうではございません。国からの委託金のような形で地方団体に交付されるものでありまして、経費負担するのは国のほうでございます。
  73. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、やはり今菊山政府委員が言われたような問題ですか。そういう意味なんですか、設備なんですか。
  74. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今武岡君の御答弁は、ちよつと私さつきした質問にはまだ答えておられないのだが、とり違えておられるのですが、勿論予備隊の募集事務経費は予備隊から流すでしようが、今回自治庁が提案して、警察予備隊と海上保安庁の経費負担さしてはいかんという法案をここに出しておきながら、経費は予備隊から流すでしようが、一方ではこういうふうな規定を作つておきながら、そういう固有の地方団体事務でないものを一方的に政府町村にやらすということはどうであろうかということを聞いておるのです。
  75. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) その事務の取扱いについて、それを本来国が行うべき仕事を地方公共団体に委託をして行わせることが、今の自治法の建前からと申しますか、自治制度の建前から好ましくないのではないかと、こういう御意見と承わりました。経費関係は先ほど申上げましたように、この規定との間に矛盾はないと思うのでありまするが、ただそういうような仕事を地方に委託することの可否につきましては、おのずから観点も又別でございまして、趣旨から申しまするならば、成るべく国の仕事は国の機関を通じてやるというのが建前でございましようが、まあ止むを得ない問題につきまして、特に国政の一部を委託するという趣旨に出たものかと存ずるので、そういうふうに解釈されるのでありますが、その可否につきましては、これはいろいろ御議論もございましようが、今の段階におきましては地方団体を利用すると申しましては語弊があるかも知れませんが、地方団体にその事務を委託するということも止むを得ないことではないかと考えます。
  76. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうもこれは財務部長が問題の本質をつかんでおられないような気がするのですが、今度この海上保安庁や警察予備隊で募集するわけなんですね。そうするとその募集事務については町村長に機関委任をしようと、こう言つておる、そのことについて一体予備隊のほうから御相談があつたかどうか、それからもう一つはそれを機関委任する場合の経費はどうなつているかということ、全国的に大体三千万円と言われております。そうすると一町村当り千円から千五百円なんですね。そういつたようなことについて、又地方財政委員会としては、一体そういう非常に僅少な金で、そういう募集事務を委託するということについて一体承知しているのかどうか、その辺のことの御折衝の経過をお聞きしたい。これが委員長に併せて、我々も又お聞きしたいという点なんです。或いはお聞きになつても、どなたかほかのかたがお聞きになり、或いは折衝しておられると思いますから、或いはこの次に御答弁になつても結構と思います。
  77. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この第十條の一号から二十三号まで、第十條の二の一号から八号まで、第十條の三の一号から九号まで、第十條の四の一号から八号まででありますが、この国と地方公共団体との現在の負担割合ですね。そしてそれが年次別に終戰以来どう変つたかということ、今お持ちでないと思いますが、財政負担がどういうように転化されたかということを判断したいと思いますので、一つ一覧表のような形にしてお願いしたいと思います。
  78. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) さつきの問題は、後日お答えになるのですか。
  79. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 一緒にまとめて、後ほどお答えいたします。
  80. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の十條の関係で、私一つ伺いたいと思いますが、義務教育費、これを省いたということについては追つて質問する機会があるかと思いますが、その他の点で一つ伺いたいのは、この託兒所の経費が従来平衡交付金の中に含まれておつたために、非常にこの、十分託見所の経費が與えられない。そのために非常に経営が困難だということをしばしば言われおるのです。これは託兒所の場合は、まあ産業の振興というような方面、或いは生活の安定というような方面から見ましても、国家として重要な事務ではないかと考える。当然平衡交付金でなしに、十條の制限事項の中に入るべき筋合のものではないかと、こう考えるのでありますが、これに対して自治庁としてのお考えはどうであるか。
  81. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) いわゆる兒童措置費、これは平衡交付金制度創設の際に、従来の補助金が廃止になりまして、交付金の中に全額算定されることになつたのでありますが、それにつきまして只今お尋ねのように、これはむしろ生活保護法に要する経費が現在補助金として残つておるように、平衡交付金の枠の外に補助金として残すべきではないか、こういう御意見はかねがね承わつてつたのであります。ただ平衡交付金制度の建前といたしまして、又現在の地方自治の総合的な運営を図つて行くという見地からいたしまして、こういうような本来地方団体が行うべき筋の行政につきましては、成るべくその事務地方団体に全部行わしめると同時に、その財源も、平衡交付金という一般の財源の形で以てやつて行きたいというのが、この制度を作りました趣旨からして、制度の本来から申せば、やはりそういうことになるべきではないかというふうに考えておつたのであります。ただ生活保護法に関する経費だけが現在の段階におきましては交付金の外で、補助金として残つておりまするけれども、これもむしろ私ども考え方といたしましては、こういうこともやはり地方団体に完全に消化された事務として、ゆくゆくは平衡交付金の中の一般財源で見て行くべきものではないかというふうに、むしろ我々としては逆に考えております。これにつきましては、勿論いろいろ御意見もあろうかと思いまするけれども、やはり地方団体としての地方自治の総合的な運営と発展を期して行きますためには、成るべくそういつたよう地方的な利害関係の非常に深いような事務は、できるだけこれを地方に委せますると同時に、その財源を平衡交付金という形にいたしまして、各行政項目に効率的に、有効に使い得るような制度にするほうがよろしいのではないか、我々はかように考えております。
  82. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは一応のお考えでありましようけれども、私は実態の方面から考えて、経営が非常に平衡交付金が十分行かないために困難である、こういうようなのが実情なんです。それではそういうふうな本旨から立たれて、これを国庫補助金から省いたということになれば、これに対しまして一応保障するというふうな形においてこれを強化しなければいかんと思うが、その点はどういうふうに考えておりますか。
  83. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 誠に御尤もであります。それは御指摘の兒童保護に関する業務のほか、各種の行政につきましてもそれぞれ言い得られる問題であると思うのであります。従いましてその点に対して、何らかのこの行政の規模と内容を維持して行くための保障が必要ではないかということも、かねがね我々の考えておつたことでございまして、今回提出いたしておりまする平衡交付金法の改正のなかで、一、二この問題を取上げたわけでございます。追つて詳細に審議をお願い申上げるわけでありますが、その考え方といたしましては、特に国として、重要な行政で、或る程度の規模又は内容を是非備えなければならんというような重要なものにつきましては、法律、又は政令を以ちまして、その規模、内容を明らかに規定をし、その規定された所定の規模内容を維持しないような団体につきましては、これを維持するように勧告をし、更に又これを補正する意味で、その勧告に従わないような団体につきましては、平衡交付金を減額するというような強制的な措置をとりまして、行政事務の内容を確保して行く、かような考え方をとつているわけであります。
  84. 石村幸作

    石村幸作君 條文のことで一点聞きたいのですが、附則の三項に、この十條の四の「もつぱら国の利害に関係のある事務」のうちで、七号の「自作農の創設維持その他土地の農業上の利用関係の調整に要する経費」と、八号の「漁業関係の調整に要する経費」、その二つに限り、政令で定めるものについては、当分の間これを除外しているわけです。地方公共団体負担とすると、特にこういうふうに附則において特例のようなものを作つている。例えば政令で定めるものというのはどういうふうなものですか、ちよつと説明して下さい。
  85. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) この農地関係、それから漁業関係経費でございまするが、これは現在国会に提出いたしておりまする農地法、それから漁業法、これがその調整費の根拠になつております。これらの経費は従来は全額国庫支弁であつたわけでありまするが、経費負担につきましては、農地法では特別な規定は現在いたしておりません。それから漁業法では国庫負担ということになつておるのであります。併しながら昭和二十七年度の予算について見ますと、自作農の創設維持につきましては、これは全額国庫負担ということになつておりまするが、それ以外の土地の農業上の利用関係の調整、即ち本来の農地調整につきましては国庫補助金は廃止されまして、全額が地方公共団体負担ということになつておるのであります。即ち地方公共団体負担になつておりますのは、この権利の設定、それから使用権の制限、農地委員の選挙人名簿の調整、それから選挙、それから小作料の最高限の制限等に要する諸経費であります。それから八号のほうの漁業調整費は、漁業調整委員の選挙費のみは全然全部地方公共団体負担になり、そのほかのものが国庫負担ということになつております。まあいずれにいたしましても、農地調整、それから漁業の調整というような事務は、国と地方公共団体の相互の利害関係があるというよりも、どちらかと申しますれば、国の利害に関係するところが特に強いわけであります。その意味でこれは全額囲の負担とすべきものと考えるのでありまするが、只今申上げましたように、現在のところ一部の経費につきましては、なお地方公共団体が全額負担をしているというようなものもございまするので、これらの経費のうち特に政令で以て規定をしたものにつきましては、当分の間その経費に限つて地方公共団体負担とするということにいたしているのであります。これによりますると、地方負担額につきましては、地方財政平衡交付金法の定めるところによりまして、平衡交付金算定の際の財政需要額のうちに算入をする。こういう建前で参りたいと思つております。
  86. 石村幸作

    石村幸作君 それでわかりました。大抵そういうふうなことだろうと思つたのですが、そうとするなら、この本文のうちにはつきりお書きになつておいたらどうかと思うのですね。附則で「当分の間」、という、こういう実にあいまいな文句を使つているのはどうかと思つて私質問したわけであります。これでよろしうございます。
  87. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは時間も大分経過いたしましたので、本円はこの程度にいたします。なお行政協定に基くところの地方税の臨時特例説明は、本日岡野国務大臣が閣議に出ているために、出席がないので、明日に説明を求めます。本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会