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政府委員(
菊山嘉男君) 平衡交付金制度になりましてから、以前の配付税制度時代に比較いたしまして、実際
地方の財源の不足いたしておりますところに適当なる財源を付與するという点においては、平衡交付金制度のほうが非常な長所を持
つているのであります。併しながら一方におきまして、果してどれだけの平衡交付金が交付されるのであるかという計算をいたしまする点から申しますると、以前の配付税制度の際においては、比較的簡單にこれの計算ができる建前でありまするがために、
割合に不平と申しまするか、受ける側においてもこれだけしか受けられないのだということに対する納得が行き易いという長所があ
つたのであります。この二三年来平衡交付金制度を施行しました結果が、すべてのいわゆる基準
財政需要額或いは基準
財政收入額の算定が紙の上においてははつきりいたしておるのでありまするけれ
ども、併しながら平衡交付金の
総額がきま
つておる
関係上、基準
財政需要額とそれから基準
財政收入額との差額の全部を平衡交付金を交付するということができないのであります。そういう
関係で
地方においてはだんだん不平が起りつつある。もつとわかり易く申しますると、
予算の足りない分は全額もらえるならば
地方においては不平は少いのでありましようけれ
ども、足りない分の幾部分しかもらえない。平衡交付金の
総額がきま
つておるものでありますから、足りない分に比例して平衡交付金が行くというのでありますから、そこで平衡交付金を幾ら交付いたしましても、それぞれの
団体が皆不平を言わざるを得ないというのが、この平衡交付金制度の
一つの欠陷と申しまするか、本質上の欠陷であると
考えられるのであります。これに比較いたしますると、配付税制度でありますれば、はつきりその計算が出て来るという長所を持
つておるのであります。併しながらこの長所は同時に欠点でありまして、そういう配付税のような制度にいたしますると、基準
財政收入額が多くして、言い換えれば
財政に非常に余裕のあるところにも配付されるという欠陷を生じて来るのであります。平衡交付金制度施行以来まだ年月を経ておりませんので、これらの欠点をなるべく少からしむるように種々工夫はいたしておりまするけれ
ども、なおことごとくこれを満足するというところにまでは到達をいたしていないことを遺憾に
考えておるのであります。併し、いわゆる基準
財政需要額或いは基準
財政收入額の算定をなるべく合理的にやり、又
地方の
人たちもこの算定の方式に慣れて来るならば、今日よりも不平不満の声が少くな
つて来るのであろうということで、しきりに研究をいたしていることを御承知置きを願いたいと思います。