運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-03-03 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月三日(月曜日)    午前十一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            中田 吉雄君            岩木 哲夫君    委員            岡本 愛祐君            館  哲二君            原  虎一君            若木 勝藏君            林屋亀次郎君   政府委員    地方財政委員会    委員      木村 清司君    地方財政委員会    財務部長    武岡 憲一君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方財政に関する件)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開催いたします。  本日は一昨日に引続きまして二十七年度地方財政について質疑を続行いたします。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 二十七年度地方財政計画について質問に入ります前に、二十六年度財政各階をどうするかという問題で一つ質問したいと思うのですが、先般土曜日でしたか、委員会を開きまして、その際にいろいろ大蔵省との折衝がその後どう進展しておるかという問題につきまし余り核心に触れた答弁がなかつたのです。ところがその日の夕刊には、直ちに大体大蔵省との折衝額府県市町村に渡さないということになつていましたが、配分なんかもすでに決定していたように公表されていたのですが、国会で問題になつていますのに口を縅して語らずにおいて、新聞にすでに発表されているという点につきまして遺憾の意を表して、その間の消息について一つ説明願いたいと思います。
  4. 木村清司

    政府委員木村清司君) 実はまだその新聞を見ておりませんけれども、まだいろいろ折衝過程にあるのでありますが、折衝過程新聞へ漏れたりいたしまして不本意に存ずる次第でありますが、我々のほうで決定をいたしまして発表したことは全然ないのであります。その点一つ惡しからず御了承願いたいと存じます。何か決定したということは全然まだありません。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体あのニユースでは、岡野国務大臣ですか、大蔵省折衝されて、ほぼ固まりかけたような記事が出ておつたのですが、大体一つまあ最終的な段階には至つていないと思いますが、一つ大体で結構ですから、新聞に出ておつたようなことを中心にもう少し詳しく一つ御発表願いたいと思うわけであります。
  6. 木村清司

    政府委員木村清司君) 新聞に出ておる数字を全然否定するというわけではありませんけれども、ここで改めてそれを確認して御報告申上げる段階に達しておらないのでありますが、実は本日も大蔵省と最後的な事務折衝をやつておるような次第でありまして、最近の機会に御報告できるかと思つております。新聞に出ておる数字そのものを、全然経過の仮定的なものとして否定するほどではありませんけれども、まだ確認して申上げることもできないのであります。その点惡しからず御了承を願いたいと思います。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 なかなか捕捉できない答弁ですが、一体あの額ではまだ不足で、八十億ですか、あの程度ではとても地財委とされては了承できがたいというような意味で確認できないというのですか。
  8. 木村清司

    政府委員木村清司君) そういう意味じやありません。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると大体あれを了承しておられるのですか。
  10. 木村清司

    政府委員木村清司君) まあ御推測に任せます。その点は一つ……。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと当らずといえども遠からずのようですが、どうも非常にこれは問題だと思うのです。先般もらいました昭和二十六年度地方財政決算見込額調というのにおきましても、地財委とされてはやはり三百九十二億の赤字だということになつそれぞれの地方公共団体見込では五日二億となつていますが、相当締められてああいうふうになつていますのに、百億未満ということになりますと非常にこれは問題になると思うのですが、それからすでにあの発表では府県と市との額まで決定されていたようですが、お伺いいたしますが、地財委大蔵省折衝される際には、各府県ごとの大体必要額を見られて、そして各府県並びに各市ごと財政欠陥を集計されて総額はきまるわけでしようが、もう総額がきまつたら各府県のは自動的に決定されるのですか、或いは全体のものがきまつて、そのきまつたものから財政の困難な度合いに応じてそれぞれ配分されるのですか、その間の消息をお伺いしたいと思います。
  12. 木村清司

    政府委員木村清司君) 総額がきまりましてから各府県実情に応じますと同時に、できるだけ合理的な基準を定めまして配分したいというように考えておる次第でありまして一応出しました数字そのものに直ちにそれを使うというまでに決定しておりません。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 いろいろ交渉過程もあつてはつきりされることは困難でしようが、大蔵省折衝されたその交渉経過からして、百億以上に出ることは困難なようですが、どうですか、その辺の……。
  14. 木村清司

    政府委員木村清司君) それは現実申上げますというと困難であると思います。まあ正直に申上げますというと、私どものほうでは百億を要求しておるし、大蔵省では五十億というのでありますから、その中間でまあ今おつしやつたような数字できまる可能性が非常に多いのじやないかというふうに私は思つております。
  15. 中田吉雄

    中田吉雄君 それから新聞には短期融資というような形で出でおつたのですが、これはどうなんですか、短期融資でしたらこの運用規則ですか、そういうものによつて非常な拘束を受けるのですが、地財委とされてはそういうふうでない財源措置として大蔵省折衝されていると思うのですが、大蔵省はそれを呑めそうですか、どうですか。
  16. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私ども交渉しているのは短期融資でなしに、財源措置としてでありまして、向うで難点で澁つているゆえんのものは、短期融資だけなら恐らく大蔵大臣のおつしやつているように、額のことには恐らく余り制限ということを考えておられないと思うのですが、私どもとしては財源措置という意味において交渉難点があるというわけでありますから、それで財源措置でありますから、従つてどものほうで主として主計局と……平衡交付金財政計画をきめます主計局と今まで主として交渉しております。で勿論金融方面とも、銀行局方面とも交渉せなければなりませんから、そういう方面とも目下最後的な折衝をしておるというわけであります。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 只今の御答弁で、大蔵省は五十億地財委は百億、こういうふうな線で大体中間にきまりそうだというお話でありますが、そういたしますと、地財委とされては財政欠陥を三百九十二億、それにはまあ特別交付金の百二十億とかいろいろな残りがあるわけですが、二百二十二億があるわけですが、その大蔵省……或いは地財委が要求された以上の百二十二億というものの財政欠陷というものは、どういうふうにして地方公共団体の面倒を見てやられようとされているのですか。これは徴税の強化ですか、或いは事業の繰延べですか、或いは節約がそれほどできると予想されているのですか、その辺の御見解を承わりたいと思います。
  18. 木村清司

    政府委員木村清司君) いずれ資料を……、まだその辺の資料を作つておりませんので確実なことを申上げることができないのでありますけれども、おつしやつたようないろいろのことで以てできるだけ相当部分の団体について赤字の補填をして行きたいと考えておる次第であります。全部これは補填するというわけには参りませんけれども、相当部分できるのじやなかろうかというふうに考えております。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 詳細な資料あとで出して御説明するということでありますが、この前の委員会にも申上げましたように、少くとも私の見ますところでは昭和二十三年頃は地方財政のやや余裕がある時で、そのときは今歳入欠陷になつているくらいな繰越額を持つて、それから漸減して、本年度はそういうものを使い果してしまつて、財布の底をはたいてなお且つそういう赤字が出たというので、非常に重大で、このあと始末をどうするかということは直ちに二十七年度財政計画に影響すると思うのですが、今の地財委考えとされては、そういうものはただ二十七年度にすべり込んで、まあどうにか、何とかなるだろうというようなただ投げ放しの行当りばつたりの考えなんですか、はつきりした計画が立つているのですか、その辺どういうお考えですか。
  20. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは地方団体赤字のうちには、元来例えば府県によるというと災害を繰上げて施行しておる、つまり大体災害は三年乃至五年間かかつてつていることを、国の計画を繰上げて施行しているというために赤字が出ているという所も相当ある。又町村にあつては学校を繰上げて施行をやるというわけで、殆んど大都市では二部教授をやつているけれども町村では二部教授がないというようなまあそういうようなこともありまして、今年度で全部いわゆる赤字ですね、出て来た赤字全部を補填する必要が必ずしも性質上ないものもあるわけですから、そういう点も考えまして、元来本年度財政計画上、二十六年度財政計画を作る上において無理であつたろうという点を考え財源  の保有が不十分であつたということを理由として赤字が出たということを考えて処理したいというように考えている次第でありまして、勿論お示し申上げました数字自体が全部補填するということには直ちに参るわけには行かないであろうというふうに考えております。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 只今災害を繰上げて仕事をやつて赤字になつているというようなお話ですが、そういうことはなしに、皆例えば私が建設省から調べたのでも大体昭和二十四、二十五、二十六と毎年度五百億ですか、皆繰延をやつて見込の立たん府県なんかにおきましては第三、第四・四半期というような事業財源措置ができるまでまだ入札も出さずにおるというふうなんですが、そういう繰上げてやつて、そういうことで財政欠陥の起きておる府県があるのですか。
  22. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私の記憶しておるのでは宮城、秋田等においてあるというように考えております。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 もう打切りたいと思いますが、大蔵省との折衝はいつ頃固まりそうですが。そうして府県に対する最終決定はいつ頃になりそうですか、その点を伺いまして、この質問を打切ります。
  24. 木村清司

    政府委員木村清司君) 今日実は事務的な折衝大蔵省に参つておりますから早急にきまることと思います。きまりましたならば早速配分承認について決定いたしたいと考えております。
  25. 若木勝藏

    若木勝藏君 大体今中田委員質問で私も相当はつきりして来たけれども、どうしても先般来まだ意見はつきりしない点がある。その点を伺いたいと思います。それは地方財政委員会としては、これは繋ぎ融資としての形式をとらないで、財源措置としての形式をとりたい。仮に百億なら百億というふうなものが認められたとすれば、それは全然二十七年度起債には関係あるのかないのか、二十六年度として打切られるのかどうか、この点はどうも私先般来はつきりしておらないので、これを質問したい。
  26. 木村清司

    政府委員木村清司君) 財政計画上出しておりますところの二十七年度起債を繰上げて使用するという考え方です。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 繰上げて使用するのですか。
  28. 木村清司

    政府委員木村清司君) 実質上繰上げて使用する。形式上は別問題です。形式上は四月一日の日附で許可いたしますけれども実質上は本年度歳入欠陥に充てるという結果になつております。
  29. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすれば二十七年度起債計画は、二十七年度事業から考えてやつておるものであつて、それに対して二十六年度赤字のほうが食い込んで来ましたら、これは同じ問題が再び二十七年度に起つて来なければならない。そういうことを地方財政委員会として処理しないで、あいまいな形にして置くということは私はいかんと思う。どんなものでしようか。
  30. 木村清司

    政府委員木村清司君) 非常に正しい方法とは思いません。従つて二十八年度分の起債と二十七年分の起債について同様の問題が起ると思います。それは二十七年度に改めて起債計画そのものを増大するという方法の正常な方法をとるのが一番正しいと思いますが、それが許されない場合においては、二十八年度分の起債と二十七年度分の起債は今年度と同様な方法で処理するというように努力したいと思つております。
  31. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで一体地財委としては地方財政の確立というものができるものとお考えなんですか。これは甚だどうもおかしな財政計画の立て方だと思う。
  32. 木村清司

    政府委員木村清司君) 地方財政には国の財政の立て方としての非難は私はあると思う。つまり地方財政委員会なり或いは政府財政の立て方としては非難が十分あると思います。地方財政自体としては私は差支えないのではないかと思います。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 それはどういう意味で差支えないのですか、それをはつきりするのが地方財政委員会の任務だと私に考える。
  34. 木村清司

    政府委員木村清司君) 今年度我我起債の許可としては、明年度起債でありますけれども、今年度歳入に入れることを認めるような趣旨で許可したいと考えております。
  35. 若木勝藏

    若木勝藏君 その辺で打切ります。
  36. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体の総額がきまつてから各県別配付基準決定するのですか。大体どういう点を問題にされてその府県と市の順位といいますか、配付される……財政欠陷がどういうふうに把握されて、その大体において試案ができておるのですか、それについて概略でも聞けたら承わりたい。
  37. 木村清司

    政府委員木村清司君) 歳入の状況も勘案いたしますけれども公共事業地方起債負担分を勘案するということが最も順当な方法ではないかと思います。或いはそのほかに災害に対する單独起債不足分とか、或いは失業救済事業に対する、非常に失業救済事業を多くやつておるというために地方負担分が多いというような標準で、且つそれに見合う歳入が、税収入の増加が少いというようなことを勘案してきめることが至当ではないかというふうに考えておる次第であります。まだその率等については決定しておりません。
  38. 若木勝藏

    若木勝藏君 二十七年度財政計画のほうに質問を入れて差支えございませんか。
  39. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 結構です。
  40. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではとよつと伺いたい、歳入の面について。前に配付されました、財政計画におきまして五十億の平衡交付金の代替として、税の徴收方面で九十七億四千四百万円を見込んで、そうして大蔵に妥協したような形をとつてつたんでありまするが、ところが今度の財政計画書を見ますというと、それが税制の改革によつて百四十七億四千四百万円増收になるような計画になつておる。従つて平衡交付金五十億、それから起債が百五十億、こういうふうになりまして総計不足額二百億になつておるようでありまするが、どうしてそんな五十億の違いが出て来たのか、前において九十七億程度のものが急に百四十七億殖えるような見込が立つたのかどうか。私といたしましては平衡交付金をそういう方面に代替したということは、すでに地方住民負担を増大したことになつて、まあ反動的なやり方だと私は考えるのでありますが、そんな九十七億が百四十七億に殖えるということになりまずと、私は單なる税の増収ということばかりでなく、更にこの中に行政整理というような方面が含まれておるんではないか、こういうふうにも考えられるのですが、その辺についての具体的な御説明を願いたいと思います。
  41. 木村清司

    政府委員木村清司君) 細かいことは或いは他の政府委員から御説明申上げたいと思いますが、五十億の点は、元来附加価値税を実施することを予定として私ども財政計画を組んだんです。ところが事業税に相成りまして、そういう計画で今度の法律案を出しておりますから、政府はそういうことに決定いたしまして法律案を出しました結果、私どものほうでは事業税を実施するという建前で財政計画を立てたので、従つて事業税で実施いたしますと約百七十億程度附加価値税の場合よりも増收になるわけです。それでありますから、そのうち今度は三万八千円の基礎控除及び法人税の一五%を二一・五%にするというような改正によりまして百二十億程度の減税をいたす、そうして残つたのが五十億です。従つて附加価値税を実施することと、事業税改正案提出のままで実施するということによる差額が五十億ということになるわけです。従つて現在の新らしい、今度提案いたします地方税法改正によつてそういう五十億の差額が出て来るというわけでおります。
  42. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると全くこれは附加価値税を延期して事業税という立場で行くのでそんな差額が出て来たというお話ですが、わかりました。  次に伺いたいのは歳出方面でありますが、歳出方面で私はやはり問題になるのは給與関係の問題だと思うのであります。先般もこれはお話があつたようでありまするけれども地財委のほうで出されたところの計画は、大蔵案に則つたものでありまして、依然として地方公務員給與を切下げる、そういうふうな立場でこれは予算を組んでおられるようでありますが、これはすでに昨年の末におきましても問題になつて、結局は地方自治体といたしましても切下げるという立場をとらなかつた。それで今いわゆる繋ぎ融資の問題が出て来たのでありまするけれども地方自治体、そういう方面に保護を加えるという立場にあるところの地財委が、地方自治体の望まないところのいわゆる切下げというふうな立場で以て予算を組まれたということは、私どうも納得のゆかないところがある。これは切下げないで給與関係計画を立てて行くのが地財委立場ではないかと思うのですが、その点についての御説明を伺いたいと思います。
  43. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私どものほうの財政計画は、地方団体があるべき姿における財政計画になつておるのであります。従いまして地方団体におきまして、自治立場から見て給與を増したいということを必ずしも阻止する意味ではないのでありますけれども、これは政府財源措置をするという意味でなしに、地方団体自身自治の力、或いは税の増収なり他の財源によつて賄うべきかと思うのであります。中央から財源措置をすべきものについてはやはり一定の規準があると思うのであります。單に現状のままそのまま認めて、高い所は高いなりに必ずそのまま認めるということについては、これは恐らく異論があることだろうと思います。従つてどもはあるべき姿というわけでありますが、併し大蔵省の査定した案それ自体があるべき姿にあるということについては疑問を持つております。従つて目下この点について調査中でありまして、その結論を得ましたならば、その数字によつてこの計画の変更があるということになりますけれども只今のところ一応その数字が出て来ないものでありますから、大蔵省数字によつておるというわけであります。
  44. 若木勝藏

    若木勝藏君 地方自治のあるべき姿ということが、いわゆる今の平衡交付金制度をとつておる以上は、地方財政需要額に対して不足の分は当然国家が持つということになると思うのであります。その点どうもあなたのはどこまでも平衡交付金によらずに、地方でできるならばそれでやつたらいいじやないかというふうに取れるのですが、そういう意味ですか。
  45. 木村清司

    政府委員木村清司君) 平衡交付金基準的な地方財政を補う場合における、必要な経費の不足を補うという意味において中央政府はやるということになります。若し基準以上の地方財政需要を補うことは、それは地方団体の独自の負担においてやるということになる。つまり基準的財政需要の必要を満たすのが平衡交付金趣旨である、こう考えております。
  46. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますとこのあなたのとられておるところの基準というものは、大蔵考えておるのが基準だと思いますか。
  47. 木村清司

    政府委員木村清司君) そうとも必ずしも考えておりません。私どものほうではそのために……、併し大蔵省で一応調査したものに対して反証がないというと一応それによりますけれども反証がありまして、調査いたしまして妥当なものでありますればそれをとる、必ずしも大蔵当局意見に従うというわけではありません。
  48. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういうふうにはつきりしておるならばいいのですけれども、どうも先ほどのお話によるというと、基準によつてやるのであるからして、その基準はむしろ大蔵のほうが正しくて、それから地方方面は或いは水増ししておるのじやないかというふうに考えられるのです、あなたの御答弁から見ますと。これは併し大蔵なんという中央のものよりも地方知事が  一番よく基準なり実態なりわかつておるだろうと思うのです。そういう点の要求に立つて大蔵或いは地方財政委員会は勿論のこと、そういう立場に立つて行かなければならんと思うのでありますけれども、どうもそういうところが昨年一昨年来の恰好を見ておりますと、何か地方財政委員会はすぐ大蔵出先機関みたいに我々には考えられるのですけれども、そういうことは絶対ありませんか。
  49. 木村清司

    政府委員木村清司君) 例を申上げますと、東京大阪のようなことをやつておること自体が全国的な基準になるかという問題になると思うのであります。と申しますというと、私は東京大阪のようなことが非常に妥当性を欠くとは思いませんけれども、又東京大阪財源が十分あるということはいいことだと思つております。併しながら東京大阪に行われておる給與実情を、給與の状態を全国にひとしくかくあるべきものであるといつて財源国家から平衡交付金を以て補填すべきものであるということは考えておらない。もう少し具体的に妥当性を帯びたものでなければならん。併しながらこれはいわゆる大蔵省で調べた一方的な見解に必ずしも服従するわけではない。従つて只今のところ地方自治庁中心にいたしまして調査中でありますから、その調査の結果に待つて、それによつて善処したいと考えておる次第であります。
  50. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで調査を待つてやられるということは私も非常にいいと思うのでありますけれども、これはいつ頃一体結論が出ますか、若しこの予算が三月なら三月に通過する前にそれが出ますか、若し前に出なかつたならば、これはどういう方法で処置されるか、その点を伺いたいと思います。
  51. 木村清司

    政府委員木村清司君) 明年度に相成りますか、或いは非常な他の財政需要とのやり繰りがつかんか、或いはその他の歳入見込等を按配の上必要ならば、必要を生じたならば平衡交付金増額等を要求したいという考えでおります。
  52. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると若しこのままで以て三月あたりに予算が通過してしまつたとすれば、その後において修正の勧告をするという御意思がはつきりあるわけですな。
  53. 木村清司

    政府委員木村清司君) 明らかにそういう必要が生じますれば勧告は、法制上の勧告はちよつとできないかと思いますけれども意見書提出をいたすべきはずだろうと私は思つております。
  54. 若木勝藏

    若木勝藏君 べきはずだろう……。
  55. 木村清司

    政府委員木村清司君) だろうということは、私委員会を代表いたしますけれども委員会の決議を待たんという責任があつて委員会として申上げかねますけれども委員会の職責上そういうふうになるべきものであると私は考えております。
  56. 中田吉雄

    中田吉雄君 木村さん、この地方財政計画は甚だしく反動的なんですね。それは先ず財政収入の面におきまして、昭和二十六年度二千五百十億だつたけれども、殆んど三千億近く、四百数十億の地方税の増徴なのであります。税法は変らないが、国民所得が殖えたという形で、先ず四百億くらい増税なのです。而も百三十九万ですかの地方公務員給與基準というものは、地財委の権威に立つての何でなしに、大蔵省の計算した単価を押付けられている。それは実際知事市町村長としてはなかなかそれができないわけなのです。従つてそれだけの額というものは必ずこれは他の何らかの予算費目に食い込んでしまつて、文化、産業、経済費その他が圧迫されるにきまつているのです。税の面では二千五百十億から二千九百億近くに増税し、而も殆んど五分の首を切り、そして更に大蔵省給與単価で以てやられているのですから、これはもう歳入歳出の面では大変な地財委の……全く独立した地方自治を純粋の立場で守るという形が根本的に否定されたこれは重大な予算で、昭和二十七年度を以て地方財政は崩壊する私はその緒ではないかと思うのですが、昭和二十四年度にはたしか千五百億だつたのですが、それが昭和二十四年に千五百、それから千九百になり、二千五百になり、年々四、五百ずつ地方税が増徴して、国税で来年度は七百七十三億の増徴になり、地方税がこういうふうに四百億以上も増徴すると、これは特に私は收入の面におきまして、歳入の面において、特需景気というようなものが地域的に極めて偏在しているというような形からも、なかなかこれはむずかしい予算ではないかと思うのですが、結局大蔵省が如何にしても平衡交付金を千二百五十億しかくれないものですから全くそれに会わせるように四百億も増徴し、それから五分の百を切り、大蔵省給與單価に引下げされた面で甚だしく我々の期待している地財委の主体性というものが確立されない予算ではないかと思うのですが、若木さんが先に言いましたように、まあ大蔵省の千二百五十億に合わせるように計算されたように思うのですが、そういう内心の不満がないですか。これで十分地方財政を守れるお考えなんですか。
  57. 木村清司

    政府委員木村清司君) 税の実収から見ますると、我々の出しました地方……、二十六年度においてもやはり二千百億、三千九十八億ですかの収入の見込があるのじやないかと思つております。従いまして明年度もここに出した程度見込があるだろうというふうに推定しておるわけでありまして、併しこの地方自治の建前から見ますというと、できる限り税収入で賄うということはこれは私は非常に望ましいことである。平衡交付金が、これは日本の経済状態から見ますと、平衡交付金を減らすというようなことは、これは農村地帯においては不可能でありますが、少くとも都市地方はできる限り自己財源で以てその行政を賄うということをしたいというふうに考えておるわけであります。地方税収入の見込につきましては、いずれ詳しくあとでお手許に差上げます資料等で御検討を願えると思うのでありますが、二十六年度の、本年度税収入見込、それが又大体その通りに行けるのじやなかろうかという状況から見ますと、明年度も日本の経済状態において特別な変化がない限りはこの程度で行けるのじやなかろうかというようにまあ考えております。
  58. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 都道府県財政収入財政支出というものと睨み合せて、市町村側のほうが非常に困難な財政状態であつたと思いますか、二十七年度にはこれは当然調整するというはずであつたと思うのですが、どういう方法でこの調整をするのですか。
  59. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私ども財政需要の見方から申しますというと、府県のほうは義務教育の教員俸給という大きな人件費を負担しておる結果、府県財政は、富裕府県を除けては、農村府県においては特に苦しいというわけでありまして、府県が楽であるという意味は、特殊な富裕府県を除いては言い得ないのじやないかというように考えております。従つてそういう意味において府県より市町村に多く増したいという考えはしておらないわけであります。
  60. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 各都道府県におきましてもいろいろその規模において或いは実情において相違はあるとは考えられますが、一例を見ますと、大阪府は金が余つて中央に返金しようというような工合の状態である。ところが大阪市は三、四十億赤字だというような問題に対する調整方法はどうするかということを聞きたいのですが……。
  61. 木村清司

    政府委員木村清司君) 大阪府について特に顕著な事例があります。東京は府と市が一緒なわけでありますから、そういう事例が起きないわけであります。大阪府については府と市が分れている結果、府においては財政収入が非常に顯著に殖えているという結果御指摘のような点が大阪府市関係について特に起きておるのでありますが、その他の県につきましては、例えば愛知或いは兵庫、福岡等につきましては、まだ我々計算からいたしましても一般平衡交付金を必要とするというように考えられております。従つて大阪府についてはお示しのような事例が起きているわけでありますが、只今のところ直ちにそれを調整するということにはなつておりません。一般的にはまだ東京大阪以外を除きますというと、いわゆる超過団体というものはないのでございます。そういう大阪府市関係以外につきましては、その調整の緊迫せる必要はないということが言えると思います。
  62. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それは大阪の場合は何とも考えておらんじや済まんので、これは大きな政治問題化する虞れも我々見ているのですが、これはやはり地財委大蔵当局折衝してこの解決をせにやならんということに積極的な一つ方針を明示してもらいたいと思うたのですが、それを一つ具体的な問題を、今日じやなくてもいいですから御明示願いたいのが一点。  それからもう一つは別のお尋ねですが、今度こうして自然増收か、歳出増加の結果によるのか、とにかく非常な増税となるわけでありますが、これはその担税能力があると思われますか。国税においても相当の、昨年より増税と申しますか、増収になる。合計一千二百億の増収になると、こういうことでありますが、これは国税との睨み合せの問題もありますが、果してこの徴収率というものが上る見通しですか、この辺をお伺いいたしたい。
  63. 木村清司

    政府委員木村清司君) 国税が見積つた課税対象ですね、国税が見積つた課祝対象を基準として地方税増収の見積りをしたというわけです。
  64. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 いや、私は一般の住民が果してこの税金が納められるような、現在の国税がこういう基準で立てられたから、それに剩つて地方税増收計画を立てたということでは済まされないと思うのであります。一体国民がこれだけの増収に耐え得るような状態か、私は地財委がどういう判定を持つておるかということをお聞きしたい。
  65. 木村清司

    政府委員木村清司君) 例えば法人税のごときものにつきましては、これはまあ私、利益があるということにいたしますならば、只今担税能力と申しますか、一応あるように思われます。それから或いは所得税につきまして、その所得税の附加税的性格を持つ住民税というものについてどうかという問題が起ると思います。これは恐らく所得税自体ですね、税法の問題であると思います。ということは要するに、最低生活費どれくらい、物価騰貴でおつて、結局ノミナル收入の中のその上に剩つておるから、今度の所得税法改正では不十分であるという根本的な問題になろうと思いますが、従来の国税が正しくて、今度の改正の国税も正しい、物価基準、そういうものを考慮の上に、まあ生活、物価やそういうものの基準の上に、従来も正しい、又将来正しいのだというように認められておるとすれば、所得税の百分の十八なりの程度を従来と同じように負担するということは可能じやなかろうかと考えます。その程度は従来負担できなかつたというような結論でありますけれども、従来が負担ができるという結論も立てば、将来も今度の改正の所得税法における百分の十八というものも負担可能であるというように考えるわけであります。
  66. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 まあ見解の相違だ。
  67. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 二十七年度地方税増収見込におきまして、もう一年附加価値税をやめて事業税を存続するということの結果、府県の收入が、税收入が殖える、非常に殖える。そこでその中から五十億だけ平衡交付金の代用に余らして、そうしてそのあとの殖えた部分を減税に当てるというわけですね。逆算をされたのである。そうして税の従来の減税ということが出て来るのですが、この五十億はこういうふうな改正で果して確実に上りますか。
  68. 木村清司

    政府委員木村清司君) 当方の見込では、大体五十億程度上る見込であります。残る見込であります。
  69. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 そう見込まれたものよりか、これがうまくこういうふうに余らない、又平衡交付金が足らないというようになつて来る。その点は十分用心をして、余裕のある増減額だと思います。差引額だと思いますが、その点はどうですか。
  70. 木村清司

    政府委員木村清司君) その点は恐らく私は逆にもう一つ附加価値税を若し実施したならば、現在の状況において実施したならばという仮定においてよりも、安全率があると思います。ということは、附加価値税については税法のいい惡いにかかわらず、この程度見込んだら取れるかどうかということについての不安定が非常にある。当初の我々の見込程度取れないのじやないか、附加価値税に直したら、それは客観的に取れるというよりも、準備が不十分であるという意味の不安定感がある。そういう意味で私ども多少不安定、それを全然否定するわけには行かない。従いまして現行税法附加価値税を、今準備不十分な府県をしてやらせしむるよりも、このほうの見込のほうが確実じやないか、遥かに私は確実じやないかということが言えるのじやないかと思います。
  71. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 わかりました、そこで今度はこの事業税の余り五十億を平衡交付金の代用にしたのですが、そうすると都道府県のほうはここにありますように、まあ九十億増税になる、改正前の收入見込よりか多く收入がある。市町村分は四十一億だけ少くなるという見込なんですが、そうすると平衡交付金はそれだけ市町村のほうに多く行く、こういうふうになりますが、そこの関係はどうなりましようか、見通しは……。
  72. 木村清司

    政府委員木村清司君) 当初の計画よりは、当初の計画通り附加価値税を実施したる場合に比しますれば、市町村のほうが、むしろ市町村のほうを現在より減らさねばならんと思われるものを減らさずに済むということに相成ります。
  73. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 基準財政収入基準財政需要との睨合せですからどういうことになるのか、ちよつとここで不明確ですが、ともかく改正前の収入見込よりか四十億は市町村のほうは改正によつて少く税収がなるのだから、平衡交付金はそれだけ余計に行くのだということは当然のことだと思いますが、その点は間違いありませんか。
  74. 木村清司

    政府委員木村清司君) 改正前の場合よりも平衡交付金が余計に行くということは言える。本年度より余計行くということは申せませんが、つまり法律、地方税法を改正しなかつた場合に比しますれば余計に行くということは言えます。
  75. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 木村委員にちよつとお尋ねしますか、今岡本委員の御質問に関連してこのお出しになつ数字が不審な点があるのですが、二十七年度ですね、地方税改正前後收入見込額比較調ですね、これの事業税の所なんですが、改正後に六百九十七億増加することになつておりますが、その改正前収入の百六十六億はこれは違いであつて、別の表には七百二十億になつておるんですが、これ間違いじやありませんか。
  76. 木村清司

    政府委員木村清司君) 改正前というのは、これは改正しないというと過年度分の收入という意味になると思います。事業税の過年度分収入、改正をいたしますと事業税はなくなりますけれども、過年度分が入つて来ますから、つまり事業税改正いたしましても、二十七年度から改正いたしましても、二十六年度以前のものは事業税として入つて来るのです。改正しなくても事業税は相当程度のものが入つて来る。
  77. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) もう一点だけお尋ねしますが、これはこの表は附加価値税を実施してあと地方税の表なんですね。
  78. 木村清司

    政府委員木村清司君) そうなんです。
  79. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) わかりました。その他に御質疑ございませんか。
  80. 中田吉雄

    中田吉雄君 二十七年度のこととはそれるんですが、伺いたいと思うのですが、前にもらいました道府県提出、二十六年度決算見込額集計表というのに、昭和二十六年度赤字でない府県がただ一つ奈良だけあるんですが、これは極めて注目すべき問題だと思うのですが、これにつきまして地財委とされて、健全財政の指標とされて何か調査されてあることがありますか、どういうところから奈良だけがこういう例外であり得たかという問題についてお伺いしたいと思います。
  81. 木村清司

    政府委員木村清司君) その点はまだ実は府県から提出された資料そのままで、生の資料でありまして、まだそういう御要求のような点は調査しておりません。
  82. 中田吉雄

    中田吉雄君 地財委が見られてそうなら何ですが、府県自身が出してなお黒字になつておるんですから、まあ、少しは仰角に言つて出すのが普通なら本当かも知れませんが、なお奈良県提出資料に基いてもやはり黒字であるということは、これはなかなか、而もそれが昭和二十五年度においてはかなりの赤字を出しておる。それにもかかわらず二十六年度、逆転したということは、なお赤字を補填しながらですね、黒字になつたということは注目すべき問題ではないかと思うのですから、一つ参考にもなると思いますので、一つ資料ができましたら御説明願いたいと思います。
  83. 木村清司

    政府委員木村清司君) 承知いたしました。
  84. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか。
  85. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 ついでに、今中田君が御質問なつた道府県提出昭和三十六年度決算見込額集計表、その二十五年度の純繰越金又は純赤字、それと昭和二十六年度年度赤字又は黒字、その表を比較して見まして、そうして二十五年度は黒字が非常に多い、二十六年度赤字が非常に多い、これはどういう関係であるか御説明願いたい。而も二十六年度府県には平衛交付金が非常にたくさん行つたというようなことになつたですね、市町村よりか。そういうような関係も織り混ぜて一つ説明願いたい。
  86. 木村清司

    政府委員木村清司君) 府県側から申しますれば、平衡交付金の行き方が足らんというように言えるでしようと思います。つまり先ほど申上げましたように教員俵給という大きな人件費を府県は持つている。つまり非常に伸縮性がないんですね。市町村は、勿論大都市のような自治体警察や大きな消防を持つておるというような所に比べますと、市町村のほうは事業なんかやりますが、事実は市町村赤字は大きな仕事をやるという所にあるのです。従つてまあ伸縮性が、弾力性が市町村についてはあるが、府県については、殊に農村県についてはそういう意味の弾力性がない。而もベース・アップが起きておるという結果、而も公共事業が農村県にある。而も公共事業に対する農村負担起債が十分に見られない。その割合が地方市町村よりも府県、殊に農村県等が負担が多過ぎる、負担が過重になつているということを現しているのです。
  87. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 いや、私の伺いたいのは、二十五年度府県歳入歳出との差、差引、それが純繰越になつたり純赤字なつたりするんだろうと思います。ところが二十五年度においては、この表が示しているように黒字の所が非常に多いのですね。それでそれに対して二十六年度赤字見込の所がことごとくであつて、奈良県だけが黒字になる、こういうような状況が起きておる。而も二十六年度平衡交付金なんというのは府県のほうは非常に市町村に比較して多く行つた、二十五年度よりか。そういうふうな状況であつて、而も皆赤字だらけであるというようなことはどこから来るのですか。
  88. 木村清司

    政府委員木村清司君) つまり財政、先ほど申上げましたように人件費が多い、人件費のペースアップは去年の一月から上りましたですね。それからまあ去年の十月から上りました。そういうベース・アップの影響があるのですね。ところが二十五年度は当初からまあ大体完全に財政需要は見てもらえる。ところが財政需要の増加割合に比しての財源措置が十分でないというふうに考えられます。従つて百億を今年増しましたけれども、十分それを増しておらんという理由のうちには、先ほど申上げましたように農村県における人件費、何ともできない人件費の割合が非常に多いということと、公共事業費の地方負担が多いということが二十五年度の場合よりもなお、……その二つの理由が影響力が重くかかつているということが言えると、こういうふうに考えております。
  89. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私はまあ仮定の問題で申上げるので、そういう心配がありやしないかということで尋ねているのですが、二十五年度はこういうように黒字が多い、苦しい苦しいと言いながら黒字を出している、だからまあ使つて大丈夫だというような気持が府県に起つて、そうしてまあ余計なとは言いませんが、事業やら何かもどんどんやつて行くというようなことでこういろ赤字を出したということになりはしないか、そういう虞れの部面はありませんか。
  90. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは全然赤字そのものを、赤字が出たからそのものを引用するという建前に立つと、そういう結果を生ずる虞れがあるわけじやないか……、私どものほうではもう少し赤字を見る上においては赤字の出る原因が、財政需要に我々の財源措置が不十分であるという点を主として考えてやるということの必要があると、そういう意味からいつて趣旨の点は参考になるのじやないかと思います。
  91. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 まあ二十六年度は人件費がうんと嵩んだ、それは確かにそうでしよう。併しそれがために平衡交付金がたくさん行つているということも言えると思います。又国の公共事業が多くなつて来たから府県負担分が多かつた、これもわかります。併しそれが総計して平衡交付金で補つて、而も二百四十七億で足らないというようなことはちよつと信ぜられないのですが、どうでしようか、その関係は……。
  92. 木村清司

    政府委員木村清司君) 従いまして、私どものほうではそれだけ全部赤字と見るというわけにも参らんのであります。
  93. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 だから私は言うのであつて赤字をことごとく出しておるといううちには、当然な給料の値上り、それから公共事業費の補助金の負担、これはもとよりあるでしよろ。そのほかにやはり気が緩んで、二十五年度に有利であつたから気が緩んだ。だから府県財政がルーズになつたということがこれで言えるのじやなかろうかというような気がするのですが、この点はどうでしようか。つまりあなたがたが締め得るのだというところはそこではありませんか。
  94. 木村清司

    政府委員木村清司君) 必ずしも私はそうとも考えておりませんが、個々の団体についてはそういうことが言える団体があるのじやないかと思いますが、それはむしろ二十五年度と二十六年度の比較よりも、団体自体の、個々の団体の問題であります。全般的の問題とは思つておりません。
  95. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 個々の団体と言われるけれども、これは府県の場合ですから、四十数府県しかないのであつて、それがもうことごとく何億というようなことになつておるのですね。その点はどうも私割切れないのだが、平衡交付金がベース・アップ等を見て上げてあるのだから、こんなに赤字がことごとく出るというのはどうも考えられない。どうなんですか、そんな少くしか行かなかつたのですか。まあよく私も調べて見たいのですが、今この表を比較して見てそういう疑問が起つたからお尋ねしたのであります。
  96. 木村清司

    政府委員木村清司君) 私は、農村県については大体私の言う通り、特に財源措置の不十分が主たる理由であると思います。まあ都市地方府県についてはお説のような点かあるのじやないかというようなわけで、一概には言えませんが、農村県については大体財源措置が不十分であると思います。
  97. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 併し一方農村県を見れば、非常な平衡交付金が行つているのですね、いつも例に挙げて気の毒ですけれども、鹿児島県なんか税収五億に対して二十三億くらい行つているのですね、一般平衡交付金が、それでもまだ足らぬということは、どうも府県地方公共団体だということを前提として考えると実におかしいですわ。そうだとなれば早く地方税法というものは改めなければならぬ。もつと自分自身が取り得る金額というものを考えてやらなきやならぬ。国からの補助じやありませんが、国が代つて取る税が地方財政平衡交付金だと私は思つておりますけれども、それにしてもやはり国からもらうということは国に依存するということになるのだから、それが自分で取る税の数倍だ、それでもまだ足りないのだということは、どうもこれは根本問題で、先ほど岩木君かが触れられた点にも関係して来るのですが、大阪とか東京は取り放題、余つて平衡交付金には関係して来ないというようなことを我々は考えるのですが、そういう点を地方財政委員会でもよくお考えになつておりましようが、近く地方税及び地方財政平衡交付金法、これの根本的な改革というようなことをお考えになつておるのか、なつていないのか、その点をお聞きしたいと思います。
  98. 木村清司

    政府委員木村清司君) これは多少私見に亙ると思いますけれども、一体農村地方に、小都市に税源があるかという問題なんです。で税源があれば……税源が全然ないとは言いませんよ、税源があるけれども、同じ税源があるならば都市に厚い、そうしますと同じ税ですね、例えば所得税を、東京都の分は国税が余計取つて地方税は少い、或いは鹿児島県の分は国税の分は少くて地方税が多い、同じ所得について取るというのは、非常に方策を講じない以上は、同じ税率、同一税率ならば、税法を如何にひつくり返しても、私は農山漁村民が非常に負担能力があるという前提に立たない以上は、農山漁村地方の自主的な地方税というものはないのじやないか、税源がないのじやないか、農村地方には一体に……。これはまあ多少私の個人的な見解になりますが、税源がないのじやないか、税源があつてもやはり都市に集中して、東京大阪などがずつと多くなるのじやないかというふうに考えられるのでありまして、無論或る程度の是正は再考の余地はありますけれども、根本的に変え得るということは、根本的に地方に自主的な税源を與えるということは、税源そのものが地方にないということから出ているのじやなかろうか。これはアメリカのように農民に十分都市の住民と同じような負担能力があるということとは非常に違うのじやなかろうか。これは日本の生産力の問題じやないだろうかという気がいたしますが、これはまあ多少私見に亘る問題でありますが、そういう関係から見て、私はどうも自主的な、本当の意味の自主的な地方の税源というものについては悲観的な考え方を持つております。これは私の個人的な意見であります。
  99. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私はここに府県制の根本問題があると思つております。そういうふうな脆弱な財政基礎しか持ち得ない府県というものが多い。而も国家平衡交付金に依存しているということになつて来ると、その府県というものが地方公共団体、つまり地方自治体であることがおかしくなりはしないか。これは税法改正して、その府県というものが自分で取れる税種が多くなるようなことがあり得るとすれば、私の今言つた議論は成り立たないのでありますけれども、あなたのおつしやるように、もうどんなに工夫してみたつて府県というものは自分で賄いができないというようなことになつているのだと、こういうことになつて来ますと、私は府県の自主性、府県地方自治体というその存立の可能性というものがだんだんなくなつて来る、こういうふうにまあ考えるのであります。これは今議論しても仕方がないのでありますが、これは考えようによつて、全部自賄いはできないまでも、今言つたようなひどい県税の有様、不公平、それを打開する方法がありはしないかと私は思います。例えばアメリカにおきましても、カウンテイ、郡と言いますか、県と言いますか、そのカウンテイが固定資産税は自分で徴収をしまして、そうしてそれを州に分け、又市町村に分ける。市町村のごときはその固定資産税が一番よく、七〇%ですか、六七%は自分から払う。徴収するのは郡がする、府県のほうも、それからもらう。もらうというのは、まあ代りに郡に取らしているというのですから、そういうような方法も加味して考えられるのじやないかと思うのですが、まあこの点は今ここで議論しても仕方がないから、こういう意見だけ申上げておきます。
  100. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なお木村委員にお尋ねいたしますが、大蔵省との折衝は明日ぐらいに完了しますか、どういう状況ですか。
  101. 木村清司

    政府委員木村清司君) 完了したいと期待している次第であります。
  102. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではお話のように明日ぐらいには大体見当がつくのじやないかと思うのですが、明日は休みまして、明後日この委員会を再開いたしたいと思います如何でしようか、御異議がなければ……。
  103. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 まだ、話が付いてからでないと、地方財政委員会の件をやるには不適当じやないか、ほかの問題をやるなら別ですが……。これは皆様にも御相談するのですが、選挙法の改正についてのことを一度委員会において聞いておくといいと思いますそれで総理府に設けられた地方選挙制度調査会の成案が出ておりますから、その説明を適当な人に求めるというようなところから始めて頂いたらどうかと思いますので、お諮りを願います。
  104. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今お聞き及びの通り岡本委員からお話がありましたが、適当な機会にここに来てもらいまして質問もしたいと思います。
  105. 中田吉雄

    中田吉雄君 今度でもいいのですが平衡交付金の額と町村の合併との関係ですね。私も実際あつちこつちに出まして、これぐらい得られれば町村の合併をやらなくてもいいという意見があるのです。最近の市町村合併の動向と、そういうものとの関係を計数に基いて一つ資料を調えて説明を願いたいと思いますが、各府県の戦後における年次別の町村の合併の数と、平衡交付金の高がどういうふうに影響を及ぼすかというような、そういうことを一つお願いしたいと思います。
  106. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 委員会は明日開きますが、一日休んで明後日あたり開きますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは明日休みまして、明後日午前十時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会