○中田吉雄君
斎藤長官にお伺いいたしますが、
北海道の
白鳥事件ですか、
捜査の
過程でいろいろのことがあると思うんですが、新聞に発表されました各紙を通じての印象では、やはり背後に
共産党員のはつきりした
関係があるように出ているんですが、あれは
警察当局の発表から出たものではないのですか、この点をお伺いしたいと思うわけであります。
それから私特に最近すべての
暴力行為というものを
共産党に全部のつかけてしまう。そうして
国民の反共思想を煽
つて、正しい民族運動まで抑圧してしまうという手段として非常に使われる
傾向があるではないか、特に
斎藤長官の管轄だと思うんですが、島根県は大橋前法務総裁の出身地であります。あすこで安来のこの自治体
警察をどうするかという問題で、全町を挙げて大きな
課題にな
つて、安来町の進歩的な勢力からいたしまして、自治体
警察を
廃止することは投票によ
つても不可能であるというような一般の
情勢であつたわけであります。ところが検察庁、
国警等がこの自治体
警察の署長以下が
共産党と存置運動を共同
闘争をや
つているというので、その世論をひつくり返して
廃止にまで持
つて行つたわけです。ところがその後のあらゆる
捜査をや
つて見て
共産党との共同
闘争はなかつたということが判明して、それが国会の参議院のこの法務
委員会から社会党の伊藤修氏その他が実際
調査に行かれてもそういうことは全然なかつたということにな
つて、そこで検察庁としては上げた拳のやり場がなくて、自治体
警察の
職員がいろいろな検挙している犯罪をもらい下げその他でまあ不正なことがあるというようなことにすり変えちや
つている。この問題は次回その他でも正式にあらゆる資料を以ていろいろお尋ねしたいと思
つていますが、そういうようなことに
北海道の
事件なんかが使われないように、我々の党といたしましても、
暴力行為は断固
取締るべきであると思いますが、そういう反共思想を煽る
一つの手段として非常に使われる虞れがありますので、そういうことのないように、
一つ只今の御
説明では十分愼重な用意を以てお取扱いのようですが、現地で果してそういうふうに行
つておるかどうか。
それから私昨年の夏西郷
委員長と
北海道全道とは申しませんが、北は網走の徳田球一が十九年ですか、入
つておつた監獄の辺からずつとくまなく
調査いたしまして、特に
北海道の諸君が対ソ
関係をどういうふうに見ておるかということについて特別の関心を持
つて、社会党でなしにむしろ反対の自由党、民主党系のその地方で指導的な地位にある人にひそかに個人的に尋ねてみましたが、内地で伝えられるようなそういう恐怖感は、先に
斎藤長官が申されたように余り受けませなんだし、特に
国警の、名前は挙げませんが、首脳部の人も、実際現地にお
つて見ると、この東京なんかのニユースのようなことは全然感じられん、東京にいろいろな
会議があ
つて行くと、早く危險だから奥さんを東京に連れて来て、君だけ
北海道に勤めたらいいじやないかと言われて、東京からそういうふうなことを言われてまあ困るというようなこともありましたが、この
白鳥事件は安来町の自治体
警察の
廃止のような、ああいうことに使われないようにはつきりと
調査されて、この事態が單なる
暴力行為であると、或いは
共産党の十分確証に基くところの
行為であるかどうかということを十分
一つはつきりして頂きたいと思うわけであります。
それから特審
局長に、こういう点は大臣にお伺いすべきかと思いますが、
日本が終戦以来六カ年間占領下にありまして、何とか解放されたい、
独立したいと、そういう
意味で民族意識が徐徐にではありますが、根強く抬頭しつつあるわけであります。ところがアメリカは
アジアにおける戦略態勢その他の
関係からして何とかして
日本におりたい、そういうことを合法化するためにも、共産主義
宣伝を誇大にや
つて、アメリカが帰るなら、共産主義の
侵略があるなら、現在の占領の継続がいいのだというふうなことのために、必要以上にこの点が我々に扱われて、徐々に起りつつある正常な平和的な
民族解放意識を抑圧する
一つの手段に使われる虞れが極めて多いわけであります。そこでただ
法律ができてそれを適用されるという
局長の立場としては、
相馬君等に対する御
説明でよくわかるのですが、そういういろいろな抬頭しつつある民族感情、そういうものを抑える手段として反共を
宣伝して、アメリカの形の変つた占領の継続を合法化するというようなことをどう裁かれるということは、この犯罪
捜査についても非常に大きな影響を持つと思うわけであります。私はこういう大きな歴史的な流れの
一つの
過程に立
つて、正しい立場で、進歩的な立場で、民族を正しく解放する立場で
捜査活動をやるかどうかということによ
つて、特審局としての法の運用、そうして曽
つて日本が太平洋戦争その他で誤つたような形でこれが適用されるかどうかに非常に大きな影響を及ぼすものであるというふうに考えるわけであります。アメリカなんかにおきましても、マツカーシー旋風というふうに、アメリカの上院のいわば札つきの、むしろ反共を
宣伝することによ
つてそうして生計の資料を稼いでおるというような……マツカーシー旋風というようなものが起きて、我々から見ると極めて穏健であるラテイモアその他の人が非常な進歩的な意見を吐くと、すべてこれは共産主義に通ずるものであるというようなことで、大きなマツカーシー旋風が吹いて、大論争がなされておりまして、そういうことで、私は共産主義の
侵略を誇大に
宣伝することによ
つて、起りつつある民族の正しい解放意識を抑制する、そうしてそれが結局反動的な方向に行くというようなことになる虞れがありますので、なかなかむずかしい点ではあると思うのですが、その辺の呼吸について特審
局長から
一つお心がまえを……、起りつつある、民族感情、それと反共
宣伝、占領の継続というようなものを調整するためにどういう用意を持
つて法の運用をされるかというような心がまえをお伺いしたいと思うわけであります。