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政府委員(
森永貞一郎君) 今回の行政
機構改革の一環といたしまして、
大蔵省設置法の改正案並びにそれに伴う
大蔵省関係法律の改正法樺案が衆議院を通過いたしまして、目下参議院の内閣
委員会にかか
つております。
大蔵省関係のあらゆる
法律案を御
審議頂いております当
委員会に、一度その大綱を御説明申上げたいと思
つておりましたが、
只今その機会を與えられましたことを喜んでおります。
法律案を逐條的に申上げますと、非常に複雑いたしますので、極くかいつまんで大綱並びに問題点を御披露申上げたいと思います。お手許に
大蔵省の機構改正の概要という印刷物をお配りしておりますが、大体その順序に従いまして概要を申上げたいと思います。御承知のように現在の
大蔵省の機構は、本省といたしましては官房のほかに五局、主計、主税、理財、管財、
銀行の五局を外局といたしまして、国税庁、証券取引
委員会、公認
会計士管理
委員会、造幣庁、印刷庁とございますが、今回の
機構改革の第一点は外局を廃止いたすことでございます。
五つの外局を全部廃止する。先ず国税庁でございますが、国税庁は二十四年の六月に設置されまして、今日まで三カ年を
経過いたしておりますが、国税の賦課徴收の執行面を精密に担当する外局として、当時インフレの進行途上にありまして、ややもすれば乱れがちな徴税機構を建直す、そういう目的で外局として発足したわけであります。三年間の実績を顧みますと、経済の正常化ということも他方にございましたが、相当の実績を挙げ得たのであり。まして、徴税秩序も相当回復して参りました。今回の行政
機構改革では徴税秩序が相当回復して参
つたことも考えまして、又
政府の
方針といたしまして、外局はいわゆる審判的な機能を持つもの等を除いて原則として廃止するという
方針に則りまして、従前
通り徴税事務を内局に吸収いたすことにいたしたわけであります。国税本庁の機構をおおむね半分
程度に縮小いたしまして、本省に徴税局という内局を設けまして、そこで従来の国税庁の事務を取扱わせることにいたしておるのであります。事務の範囲は一切国税庁と同じでございますが、但し一点だけ違
つておりますのは、直接の課税権の発動即ち
調査であるとか、査察宗であるとか、そうい
つたような事務は、これは徴税局では行いません。本省では行いません。国税局以下の地方出先
機関にやらせるということにいたしておるのであります。二十四年六月以前の状態に返えすということでございます。なお徴税局には事務の分量等も考えまして、二人の次長を置くことにいたしておるのであります。次は証券取引
委員会でございますが、証券取引法に基く行政事務を行わせますために、二十三年四月に設けられました
委員会組織の会議制の行政
機関でございます。こういう行政
委員会につきましても、今回の行政
機構改革に当りましては、審判的機能を持
つたものそれ以外は原則として廃止する。そして本来の行政機構の姿に戻して、機構を簡素化し
責任の所在を明確にするという、こういう
方針に則りまして、この
委員会を廃止いたしまして、極めて簡素なる形で本省の理財局に吸収するということにいたしておるのであります。
公認
会計士管理
委員会につきましても事情は同じでございまして、本
委員会は二十五年の四月に設けられまして、公認
会計士法に基く公認
会計士試験の管理、登録、監督等の事務をいたしておりますが、これ又一般的な
方針に則りまして、極めて簡素な形で理財局に吸収いたすことにな
つたのであります。
残りました外局といたしまして造幣庁と印刷庁がございますが、これは御承知のように、貨幣の製造、或いは紙幣の印刷、官報、その他の
政府印刷物の印刷とい
つたような
事業官庁でございまして、従来といえ
ども一般の外局を以て律するにはやや困難な点もあ
つたのでございますが、今回の行政
機構改革に際しましては、こういう特殊な
事業体でもございまするし、これを外局から外しまして、
大蔵省の附属
機関ということにいたしておるのであります。名称もそれぞれ造幣局、印刷局ということにいたしまして、本省の中に附属
機関として置くことにいたしたのであります。以上の
通り、現在ございます外局はすべてこれを廃止いたしておりますのが、
機構改革の第一点でございます。
第二点は、官房及び局中の部制の廃止でございます。現在の
大蔵省にございます部といたしましては、官房の
調査部は、財政経済に関する諸
調査及び統計の作成等の事務に従事いたしておりますが、その
調査部。それから主税局の中にございまする税関部、税関
関係の仕事をまとめていたしておりますが、その税関部。それから
銀行局にございます
金融機関の
検査事務を担当しております
検査部、この三部がございますが、今回の
機構改革に際しましては局の部制を廃止するという
方針でございまして、これはすべて廃止いたしまして、その代りと申しますと多少語弊があめろうかとも思いますが、事務の分量等にも鑑みまして税関部を持
つておりました主税局には、税関部の廃止後は次長を一人置く。
銀行局にも
検査部の廃止後は次長を一人置くということにいたしておるのであります。以上が部制の廃止という第二点でございます。
第三点は渉外に亘る点も含んでおりますが、内局といたしまして新たに為替局を設けようという点であります。現在為替政策は
大蔵省が担当いたしておりまして、理財局でその事務を分担いたしておるのでございますが、理財局の扱
つております為替
関係の仕事と、現在総理府にございます総理府の外局である外国為替管理
委員会及び経済安定本部の外局である外資
委員会、いずれも会議制の行政
機関でございますが、それを廃止いたしまして、その事務を本来の
大蔵省の仕事とを合せまして為替局を作るということにいたしておるのであります。外国為替管理
委員会は外貨資金の集中、管理、対外取引の決済條件の決定というような、そうい
つたような仕事をいたしておるのでありますが、沿革的に申しますと、初めこれができましたのは、司令部の指令に基いてできたのでございます。その当時、外貨資金の管理というような
大蔵省乃至は中央
銀行が所管するのが例であるところの事務を新たなこういう
委員会にやらせるのがいいかどうかということにつきましては、いろいろ問題があ
つたのでありますが、当時の事情といたしましては、戦前の旧債務の
関係で、
大蔵省とか、或いは日銀が持つということになりますと、いわゆるアツタツチメントの問題を起す虞れもある。又当時は司令部が実質的に外貨資金の管理をいたしておりましてその司令部と表裏一体の機構として管理せしめる必要がある、そうい
つたような事情がございまして、結局外国為替管理
委員会というような総理府にございます行政
委員会が設けられたのでありますが、その後
只今申上げましたような事情は、講和に伴いまして全面解除いたしておりますし、又通貨価値の対内、対外に対する維持、こうい
つたような
政府の財政経済政策の基幹であるところの政策に非常に緊密不可分の
関係にある外貨資金の管理を、
政府と半ば独立した
機関に委ねるということにつきましては、行政法上もいろいろ問題があるところでございますし、又
責任の所在が明確でなく、機構も、非常に厖大な機能を擁しておりまして、簡素化の
趣旨からこれを廃止いたしまして、本来の行政機構の姿に戻す、そういうことから、外国為替管理
委員会も、他の幾多の行政
委員会と同様に廃止せられることになりまして、財政金融政策、通貨政策について
責任を持
つております大蔵大臣の下にそれが委ねられる、そうして
大蔵省が従来や
つておりましたものを一緒に為替局をして処理せしめる、そういうようなことに相成
つた次第でございます。
外資
委員会につきましても、大体同じような
経過でございますが、外資
委員会で現在や
つております仕事は、外国人の投資活動、
日本の企業に対する
貸付金であるとか、或いは技術援助であるとか、或いは
日本の
会社の株式の取得、土地の取得、そうい
つたような個別的な案件をここで処理しているわけでありますが、今回の
機構改革に際しましては、経済安定本部はそうい
つた現業的な仕事に携わらない基本的な政策、計画の面を担当する役所にするという根本
方針に従いまして、個別的な案件である、
只今申上げましたような問題は、各省の所管に従いまして、各省に分散するということに
なつたわけでございます。
大蔵省がこれに一番
関係が深いわけでありまして、
大蔵省のほかに産業の種類別に通産省、農林省、運輸省等が共管をいたすというようなことになりまして、この事務を為替局の中で取扱うということにな
つているのであります。なお為替局の事務といたしましては、もう
一つ外国為替予算案の準備という仕事がございます。現在は外国為替予算は、閣僚
審議会、その下に幹事会もございまして、各省が集ま
つて審議しているわけでございますが、で決定されております。その準備は経済安定本部の貿易局でいたしておりましたが、外国為替予算の編成準備という仕事も、どちらかと申しますと現業でありまして、貿易政策乃至は貿易計画、これは総合的な基本的なものでございますが、それに従
つてその一番下の為替管理の実際の実務の基準たる予算案を作るという事務でございます。新設の経済
審議庁の性格を基本的な政策、計画に專念させるという
観点から、こうい
つた為替管理の実務に近い外国為替予算案の準備につきましては、これを各省に分担させるということになりまして、貿易に関する部面は通産省、貿易外の部面は
大蔵省、それを
大蔵省が便宜取りまとめまして、閣僚
審議会に提出する、さようなことに相成りまして、その外国為替予算案の準備に関する事務もこの新設の為替局で取扱うということにな
つているような次第でございます。以上が第三点でございます。
第四点は、
審議会の問題でございます。以上、
只今申上げましたように、行政
委員会が廃止されまして、機構を簡素化して吸收されるということでございますが、そのことから、その中には若干専門的な知識を活用しなければならない問題も相当あるわけでありまして、かたがた行政
委員会から一般行政
機関への移り変りを円滑にする
意味も持ちまして、証券取引
審議会、公認
会計士審査会、それから外国為替
審議会、外資
審議会、そうい
つた審議会、それからもう
一つ企業会計審議会、これは今までの説明に出ておりませんでしたが、経済安定本部に従来はございまして、安定本部の財政金融局で
企業会計基準の設定、統一、その他の事務をいたしておりましたが、これも新らしい経済
審議庁の性格から考えまして、各省に委ねたほうが適当であるということから、
大蔵省がお引受けすることになりまして、そのために
企業会計審議会を設けられたことにな
つております。
以上端しよ
つて申上げたのでありますが、以上四点が今回の
大蔵省の機構改正の骨子でございます。地方機構の問題は
只今全然触れなか
つたのでございますが、国税局以下の機構が、従来は国税庁という外局の出先
機関でございましたが、今度それが直接本省の出先
機関になるという当然の改正が行われますほかは、殆んど現状維持でございます。若干の規定の
整理等はございますが、大体において現状を維持することになるのでございます。
以上非常に簡單でございますが、一
通り要点を申上げました。