○
政府委員(
石田正君)
国際通貨基金及び
国際復興開発銀行へ
加入いたしますにつきまして、別段
政府といたしまして、今も
お話のありましたような、いい点はこういう点である、悪い点はこういう点であるということを、別に
閣議決定をいたしたわけでもございません。それから
大蔵省におきましても決議をいたしておるというわけでもございません。従いまして、これから申上げますることは、そういう
意味の公的なもので或いはないかも知れませんが、一応
考えられておりますることにつきまして、
お話申上げたいと思います。根本的な問題といたしましては、
日本という国は
国際経済の中において、その交流の中に入
つて生きて行かなければならない国だということは根本的に
考えられなければならないと思うのであります。そういう場合におきまして、
各国が自分勝手なことをや
つておる、自分の国に都合のいいことをや
つておるということであ
つては、これは困る。やはり
国際経済というものは
お互いに協調して行くという上において成立つものであろうというふうに
考えておるわけであります。そこで
開発銀行の
構想につきまして、これは本当に完璧なものであるかどうかということを議論すれば、これはなかなか切りのない
お話だと思うのであります。併しながら
各国がそれぞれこの
通貨関係におきまして、特に
為替の問題につきまして
お互いに協調して勝手なことはしない、
お互いにそれぞれの
特殊事情というものは認め合うけれども、併し大きく
言つて国際経済が円滑に動く、こういう大きな意義があると思うのであります。これは併し改善を要する点はあろうかと思いますが、そういう機運に
各国がなるということ、それからそういうことが減少するということは、これは結構なことではないかというふうに
考えております。そこで
日本といたしましては、当然そういう機構に入
つて行くということが
日本の大きな国是に合致するということが、これが先ず第一点に
考えられます。それから具体的な問題としてどうであろうか、いい点はどうある、悪い点はどうあるかということでございますが、この点につきましては、
国際通貨基金のほうは御
承知の
通りに
各国がその
為替相場を維持し、又
国際収支というものを
調整して行きます上におきまして、一時的に、
短期的に困
つた事態が起りました場合には、その資力を供与して、何とかしてそこのところをカバーさせて行きたい。そういうことによりまして
世界経済に
影響を与えるようなドラステイツクな方途に
各国が出ることを阻止したいということが根本であろう。それから
国際復興開発銀行のほうは、そういう
短期的なものではなく、
各国におきまするところの何と申しますか、
経済構造と申しますか、そういうものの間において不
均衡がある。極端なことを簡単に申上げますれば、
先進国、
後進国というものがある。この
後進国の
地位というものを上げることによりまして、そうして
国際経済というものの中味なり、幅なりを大きくし、よくして行こうと、こういうのが
理想でございます。そこで
日本がこの
二つの
機関に入りました場合に、幸いにして
日本の
国際収支というものは、戦後
援助等によりまして、どうやら推移して来たわけであります。又この独立を迎えるに当りまして、この一年間というものは
援助がなくしても
国際収支は
均衡を保つ、保つどころか、むしろ過剰ができるような結構な
状態で推移しておるのでありますが、併し
国際間に処して行きまする上におきまして、どういうことが将来起るかということは予測すべからざるものがあるわけでございます。これから
日本が
国際経済に処して行きまする上におきまして、将来不測な
事態が起り、困る
事態が起
つたという場合には、その
援助を求め得るような途があけてあるということは必要なことであろうかと思うのであります。
国際通貨基金へ
加盟するところの端的な利益というのは、今すぐに金を借りよう、
資金を得ようというわけではありません。そういう困
つた事態が起
つた場合に借りられる、頼りになるものが
一つあるということは、これは必要なことであろうというふうに
考えておるのであります。それから
国際通貨基金に関連いたしまして、では入
つたために
工合が悪い点があるかというと、先ほど申しましたところと関連いたすのでありますが、勝手なことはできないということであろうと思うのであります。これはその中で大きな面が
二つあろうかと思います。
一つは
為替相場の
変更についての
制約がある。この点につきましては、過日
小林委員から御
質問がありまして、その
制約の
程度というものについては、
お話し申上げたつもりであります。それから
為替管理の点がございまするが、この点につきましても、これは
為替管理を撤廃いたすということを
理想としております。その点において
日本が将来の
為替管理をや
つて行きまする上において、やはりこの
国際通貨基金というものに
話合をして行かなければならない。そこの
制約が起
つて来るであろうということが
考えられるわけでございます。そういう点が
工合が悪いであろうというところの直接のものとして
考えられまするが、大局的に
考えますと、
日本がそういう
制約を受けることは、ほかの国が
制約を受けるということで、
制約を受けるということは非常に軛のように感ずるけれども、それは軛と感ずるよりもむしろ
一つの枠というか、
国際経済を動かして行く上において、こういうことが適当であろうという、
一つの
規則だというふうに
考えるべきものであると
考えておるのであります。そういたしますならば、その
制限というものは、勝手のことができないという
意味においては
制限でありますけれども、併し
国際経済がうまく動いて行く上においては必要な
規則であるというふうに
考えるならば、これは当然そういう
規則を守
つて行くべきではないかというふうに
考えるのであります。
それから次に
国際復興開発銀行のほうの
関係でございますが、
国際復興開発銀行に
加盟いたしますためには、特段の
日本が
制約をこうむるということは私どもはないと思
つております。むしろこれは
日本がこの
機関を通じて、
借金をすることが適当であるかどうか、
借金をすることができるかどうかと、こういう問題であろうかと思うのであります。
日本が若し
借金するとして、そうして或る特定の
目的のために低利な
長期資金を
使つて、そうして
日本経済の将来の改善される
基礎を開くならば、これは結構なことではないだろうか。但しこれは
資金力に限度のあることであります、ほかの国も借りたいという希望も多いわけでありますから、どの
程度まで借りられるかということを今きめてかかることもできませんし、又こちらだけできめてかか
つても、それは
一つの胸算用に過ぎないので、どれだけ借りられるかという問題であろうと思うのであります。そういう性質のものである。これも先ほど申しましたように、
日本の
為替資金のいいときに入
つたほうがいいのではないかと、かように
考えておる次第であります。