運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-06-10 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第64号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十日(火曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小林 政夫君            小宮山常吉君            田村 文吉君            森 八三一君            江田 三郎君            赤松 常子君            大野 幸一君            下條 恭兵君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   政府委員    外務省経済局長 湯川 盛夫君    大蔵政務次官  西村 直己君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省理財局長 石田  正君    日本専売公社監    理官      久米 武文君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国際通貨基金及び国際復興開発銀行  への加盟に伴う措置に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○連合委員会開会の件 ○外資に関する法律の一部を改正する  法律案に関する件   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第六十三回の大蔵委員会開会いたします。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案について質疑を行います。外務省から湯川経済局長東郷経済局第二課長さんがお見えになつております。又理財局長石田さん、宮川総務課長が見えられておりますから、御質問をお願いいたします。
  3. 黒田英雄

    黒田英雄君 ちよつとお尋ねしますが、この第二条の、「本邦通貨金額が九百億円に相当する」云々ということですが、これは二万五千ドルが今日の三百六十円で換算して九百億円ということでしようが、これは今日、今加盟して出すときには、これでいいが、将来為替レート変更したような場合には、これは変るのですか、変らんのですか。こうなつておればこれでいいのですか。
  4. 石田正

    政府委員石田正君) これはこの法律の施行の日におけるところの一応為替相場で換算して、そうして契約をされるのでございますから、従いまして将来為替相場変更いたしました場合には変つて来るということが予想されると思います。
  5. 黒田英雄

    黒田英雄君 基金で、アメリカの合衆国のドルで払つているようなものはいいのですがね、日本通貨でやつた場合、何割かは日本通貨でやるというのですね。そういうのは日本通貨は何ですか、日本日本銀行に保有するようになるのですか、どうなんですか。
  6. 石田正

    政府委員石田正君) この日本通貨分につきましては、現金払の僅かな金額と、それから国債を発行する場合と二つあるわけでございますが、現金払のほうは国際通貨基金の名前で勘定が日本銀行に設けられます。それから国債を発行いたしました場合におきます分につきましては、その国債国際通貨基金なり、或いは国際復興開発銀行なりに附属するものでございまして、それが日本銀行に寄託されておる、こういう形に相成るわけでございます。
  7. 黒田英雄

    黒田英雄君 それを送金するというようなことはないわけでございますね。
  8. 石田正

    政府委員石田正君) そういうことは一応予想いたしておりませんです。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつとお聞きしますが、この通貨基金加入に当つて一体大蔵省はどういう程度のことを考えておるのですか、加入するおつもりなんですか、どの程度のことが、具体的に例えばプラス面はどういう面がプラスになるか、それからマイナス面についてはどういう面がマイナスになるか、その点具体的に一般には何か通貨基金に入ることによつて、何らか一応国際的に日本の信用というものがそれで確保されるという点は認められると思うのですけれども、何らか非常に何かいいことがあるのか、漠然として考えられておるのですが、具体的に大蔵省としてはどういうことを考えておるか、こういうようなものに加入をして……。その点を先ず伺いたい。
  10. 石田正

    政府委員石田正君) 国際通貨基金及び国際復興開発銀行加入いたしますにつきまして、別段政府といたしまして、今もお話のありましたような、いい点はこういう点である、悪い点はこういう点であるということを、別に閣議決定をいたしたわけでもございません。それから大蔵省におきましても決議をいたしておるというわけでもございません。従いまして、これから申上げますることは、そういう意味の公的なもので或いはないかも知れませんが、一応考えられておりますることにつきまして、お話申上げたいと思います。根本的な問題といたしましては、日本という国は国際経済の中において、その交流の中に入つて生きて行かなければならない国だということは根本的に考えられなければならないと思うのであります。そういう場合におきまして、各国が自分勝手なことをやつておる、自分の国に都合のいいことをやつておるということであつては、これは困る。やはり国際経済というものはお互いに協調して行くという上において成立つものであろうというふうに考えておるわけであります。そこで開発銀行構想につきまして、これは本当に完璧なものであるかどうかということを議論すれば、これはなかなか切りのないお話だと思うのであります。併しながら各国がそれぞれこの通貨関係におきまして、特に為替の問題につきましてお互いに協調して勝手なことはしない、お互いにそれぞれの特殊事情というものは認め合うけれども、併し大きく言つて国際経済が円滑に動く、こういう大きな意義があると思うのであります。これは併し改善を要する点はあろうかと思いますが、そういう機運に各国がなるということ、それからそういうことが減少するということは、これは結構なことではないかというふうに考えております。そこで日本といたしましては、当然そういう機構に入つて行くということが日本の大きな国是に合致するということが、これが先ず第一点に考えられます。それから具体的な問題としてどうであろうか、いい点はどうある、悪い点はどうあるかということでございますが、この点につきましては、国際通貨基金のほうは御承知通り各国がその為替相場を維持し、又国際収支というものを調整して行きます上におきまして、一時的に、短期的に困つた事態が起りました場合には、その資力を供与して、何とかしてそこのところをカバーさせて行きたい。そういうことによりまして世界経済影響を与えるようなドラステイツクな方途に各国が出ることを阻止したいということが根本であろう。それから国際復興開発銀行のほうは、そういう短期的なものではなく、各国におきまするところの何と申しますか、経済構造と申しますか、そういうものの間において不均衡がある。極端なことを簡単に申上げますれば、先進国後進国というものがある。この後進国地位というものを上げることによりまして、そうして国際経済というものの中味なり、幅なりを大きくし、よくして行こうと、こういうのが理想でございます。そこで日本がこの二つ機関に入りました場合に、幸いにして日本国際収支というものは、戦後援助等によりまして、どうやら推移して来たわけであります。又この独立を迎えるに当りまして、この一年間というものは援助がなくしても国際収支均衡を保つ、保つどころか、むしろ過剰ができるような結構な状態で推移しておるのでありますが、併し国際間に処して行きまする上におきまして、どういうことが将来起るかということは予測すべからざるものがあるわけでございます。これから日本国際経済に処して行きまする上におきまして、将来不測な事態が起り、困る事態が起つたという場合には、その援助を求め得るような途があけてあるということは必要なことであろうかと思うのであります。国際通貨基金加盟するところの端的な利益というのは、今すぐに金を借りよう、資金を得ようというわけではありません。そういう困つた事態が起つた場合に借りられる、頼りになるものが一つあるということは、これは必要なことであろうというふうに考えておるのであります。それから国際通貨基金に関連いたしまして、では入つたために工合が悪い点があるかというと、先ほど申しましたところと関連いたすのでありますが、勝手なことはできないということであろうと思うのであります。これはその中で大きな面が二つあろうかと思います。一つ為替相場変更についての制約がある。この点につきましては、過日小林委員から御質問がありまして、その制約程度というものについては、お話し申上げたつもりであります。それから為替管理の点がございまするが、この点につきましても、これは為替管理を撤廃いたすということを理想としております。その点において日本が将来の為替管理をやつて行きまする上において、やはりこの国際通貨基金というものに話合をして行かなければならない。そこの制約が起つて来るであろうということが考えられるわけでございます。そういう点が工合が悪いであろうというところの直接のものとして考えられまするが、大局的に考えますと、日本がそういう制約を受けることは、ほかの国が制約を受けるということで、制約を受けるということは非常に軛のように感ずるけれども、それは軛と感ずるよりもむしろ一つの枠というか、国際経済を動かして行く上において、こういうことが適当であろうという、一つ規則だというふうに考えるべきものであると考えておるのであります。そういたしますならば、その制限というものは、勝手のことができないという意味においては制限でありますけれども、併し国際経済がうまく動いて行く上においては必要な規則であるというふうに考えるならば、これは当然そういう規則を守つて行くべきではないかというふうに考えるのであります。  それから次に国際復興開発銀行のほうの関係でございますが、国際復興開発銀行加盟いたしますためには、特段の日本制約をこうむるということは私どもはないと思つております。むしろこれは日本がこの機関を通じて、借金をすることが適当であるかどうか、借金をすることができるかどうかと、こういう問題であろうかと思うのであります。日本が若し借金するとして、そうして或る特定の目的のために低利な長期資金使つて、そうして日本経済の将来の改善される基礎を開くならば、これは結構なことではないだろうか。但しこれは資金力に限度のあることであります、ほかの国も借りたいという希望も多いわけでありますから、どの程度まで借りられるかということを今きめてかかることもできませんし、又こちらだけできめてかかつても、それは一つの胸算用に過ぎないので、どれだけ借りられるかという問題であろうと思うのであります。そういう性質のものである。これも先ほど申しましたように、日本為替資金のいいときに入つたほうがいいのではないかと、かように考えておる次第であります。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体考え方はわかりましたが、差当つてすぐ金が借りられる、こういう気持よりも将来に備えて入つておいたほうがいいと、こういう意味に解せられるのですが、そこでこの通貨基金及び開発銀行ができた当時と、それからその後の実際の実績がわかつて来ておるわけで、これについては、いろいろ国際的にも批判があります。併しながら私は入るのが悪いというわけではない。十分そういう問題点を把握しておく必要があるのではないかと思うのです。これに入れば何かいいことがあるんだ、そういうような気持で入るんでは、これはとんでもない話なんであつて、実はこれへ入るについては相当大きな問題があると思うのです。入ることについて、さつきマイナス面ということもありましたけれども、相当日本の今後の経済政策がそれで制約されるわけです。自由に為替変更できない、一割以内に限つて変更できますが、それ以上できないということになる、これはイギリスのほうでもちよつと問題になりましたけれども、いわゆる雇用政策でも、その他の政策でも、その国が自由にやることができない、こういう問題があると思うのです。そこで一番何といつても問題になるのは為替レートの問題だと思う。この為替レートは一体これから協定するのかどうかですね、どういうふうにきまるのか、この三百六十円でそのままきまるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  12. 石田正

    政府委員石田正君) これは為替レートの問題につきましては、国際通貨基金日本政府加盟いたしました後において平価の相談をいたします。そうしてきまるというのが筋でございます。それから日本政府といたしましては、三百六十円というところの、まあ対米基準、そうしてこれを基礎にして平価をきめようという意図は変つておりません。又現在におきましては、それを変えようという意思は毛頭ないと申上げてよろしいかと思うのであります。それから先方はどうであるかということにつきましては、私は三百六十円を基準とするところの平価、これについて国際通貨基金は別に異存はないであろうと思う、一応そういうふうに考えております。但しこの点は先ほど申しましたように筋道を通す問題でありますから、今の段階におきまして、相手方を必ずこうであろうと判断をいたすことは時期の点におきまして、これは尚早ではないか、かように考えます。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、為替平価は今後きめられる、それを日本政府としては三百六十円を変える意思はないという御答弁、併しお説のように通貨基金で一番問題になつたの平価の問題、為替平価の問題です、煎じ詰めればですね。そこでケインズホワイト論争があつたわけです。それでこの国際復興開発銀行というものは最初予定されていなかつた、御承知のように……。最初は国際通貨基金というものが問題になつて、そうしてどうしてもこの為替平価をきめた結果、絶えず入超になつて国際収支のバランスが困るというところに対しては、為替変更を大幅に認めない代りに、国際復興開発銀行というものを設けて、そうしてそこに投資して、そこが常に入超にならないようにその国を開発銀行調整する、そこで為替平価をきめて、一体大幅に為替変更を認めない一つの代償として国際開発銀行を設ける、これは私は疑いないと思う。結局ホワイトケインズ論争の第一点は私はここにあつたと思う。国際復興開発銀行というものを設けて妥協ができた、こういうふうに我々承知しておるんです。そこで単に国際開発銀行というものは単に未開発国を開発するというだけでできているのではなくて、この国際通貨基金と密接不可分な関係があるわけです。それは結局この為替平価にやはり問題がある、為替平価のきめ方。それで当初不用意に平価をきめて、あとほうぼうで平価変更を余儀なくされた、その後の経過を見ますと……。そこでこの為替平価をきめるに当つてはよほど慎重な態度をとらなければならん、そういう意味でこの三百六十円という、今、日本が対米為替相場をきめておるから、それで漫然と入る、それで為替平価をきめて行くんだ、こういうのでは私は頼りないんで、又仮に三百六十円で為替平価をきめるとしても、そこに将来これを維持し得る自信があるかないかについては、相当私は検討すべきものだと思う。ただ今臨時的に朝鮮動乱、或いは特需、或いはアメリカ軍外国人国内消費等外貨ちよつとたまつておるから、日本外貨ポジシヨンがいいんだから、三百六十円を維持できるんだ、こんな漫然たる考えで、やはり三百六十円に為替平価をきめるという、日本政府がそういう考えであるということについてはもつと慎重に考えるべきだと思うのです。為替平価の問題について、私は国際開発銀行加入する、或いは国際通貨基金加入する場合に一番の問題点は、この為替平価の問題です、何と言つてもですね。これがきまつてしまつてあと日本経済政策について自主性がなくなるということになつたのでは困るから、よほど慎重に考えて頂きたい。それで今現在いわゆる購買力平価はどのくらいですか、対米で……。幾らぐらいと大蔵省は見ておられますか。    〔委員長退席理事大矢半次郎委員長席に着く〕
  14. 石田正

    政府委員石田正君) 今お話の中で国際通貨基金というものを作るときに相当問題があつたから、そこでイギリス側の主張に基いて復興開発銀行ができたのではないか、これはいささか私たちと見方違つておるのではないかと思うのであります。御承知通り国際通貨基金ができまする場合に英米間において考え方違つてつた、それは事実だろうと思います。そこでその妥協というものをどこに求められたかというと、三十二億五千万ドルというような大きな借款、そういうことによつて妥協されたと思うのです。大体国際通貨基金国際復興開発銀行というもの、これは特に後者につきましては、イギリス側ではなくて、アメリカ側構想があろうというのは当然であると思うのです。何故ならば、これはその当時におきまして、資金的に他国を援助するような地位にあつたというものは、これはイギリスよりもむしろアメリカである、これはその後の経過におきまして実証されておるわけです。要するにこれは短期為替資金の移動なり、或いは短期為替相場というものを成るべく激動しないようにしたい、これが国際通貨基金目的でありまして、要するに貿易とか、或いは短期経営取引というものを行なつておるところの共同利害にマツチするゆえんである、こういうところに国際通貨基金のあれがあるだろうと思います。併し短期国際的なこのフアンクシヨンというものが仮にうまく行くといたしましても、根本的なことによつて経済構造が違うとうまく行かないのではないか、結局強いものは強くなりつ放しである、弱いものはますます弱く、なりつ放しであるというところにこの国際復興開発銀行というものの設立された趣旨があると思います。国際通貨基金と言い、国際復興開発銀行と言い、これは両方とも意味が同じものであろうと思うのでありまして、両者を通じて問題の焦点が平価にあるんだというような見方は、平価を対象としたものだと思いますが、因縁から見まして、平価を中心にしてこの二つ機関ができたというふうには必らずし考えなくてもいいのではないか、かように考える次第でございます。それからこの国際通貨基金ができました当初におけるところの平価、これは戦争を経由しておりますところの終戦直後におきまして、この当初の開発銀行におきましては、為替平価というものが昔のままを踏襲して行われたわけであります。従いまして、それがその後の情勢に応じて何らかの調整が必要であろうということは当初から明らかであつたと私は思います。併しそうかといつて新らしい平価というものが急にきめ得られないということになれば、やはり暫定的に現在行われておるところの平価調整せざるを得ない、そういう事情があると思います。従いまして、その後におきましても平価変更というものが行われて来た、かように考えるのであります。その後まあ現在まで相当の時日を経過しておるわけでありますが、その中間の過程におきまして入つた国はございます。その中間の入つた国といたしましても、これは国際経済というものがいささかも落着きがない、非常に混乱しておる状態の中において行われたものにつきましては、その後非常に変更がありました。併しそれであるからしで日本の場合は必らず平価変更しなければならんというのも当然であろうかと思うのであります。日本の三百六十円というものが、終戦直後の平価をそのままやつておるのではなくて、とにかくだんだん今のところやつて参りました結果として、ここに出て来たところの相場でございまして、その相場の、すぐ終戦直後ありましたような、ほかの国の平価というものと比べて見て、そうしてこれは必らずすぐ変更しなければならないものだというふうに断定することは如何かと思うのであります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは大蔵省としてはそう考えられておるのですけれども、もう少しよくお調べになるとわかるのです。この平価の問題と開発銀行の問題、これを一番よく調べたのは、鬼頭仁三郎君だと思います。これは一番よく具体的に、あの経過を系統的、理論的に研究しております。又大内兵衛先生も研究しておられますが、やはり国際開発銀行というのは、どういうふうな経過になつて出て来ておるか。金平価の問題に関連して非常によく分析しておるのです。やはり今の御説明はそれと関連しておるのであつて短期的の調整国際通貨基金長期的調整が結局国際開発銀行でやるということになるわけでありますが、併しそれにつきましては、平価のきめ方如何によつてアメリカとしては強く金に結び付けて、成るべくこれを余り変動の幅を大きくさしたくない。こういうような形ですが、そこで若し、金平価をきめるときにそれがきまるのであつて、それを今度は借りられないということになると非常に自主性がなくなる、平易に、自由に借りられるようにする、それと対立して、並行して行くと自由に借りられる点をうまく調整する意味で、それでまあ国際開発銀行というものを設けて、それで若し無理に為替平価をきめて長期的にそれを維持して行く、そこで平価のまあ安定を維持して行くというようなことに、そういうふうにこの前調べたところでは記憶しておるところです。これはまあ過去のあれですから、見解の相違かも知れませんが、私の調べた範囲ではそうなんです。そこで問題は、今すぐに私は為替を変えろとか、変える必要があるというのではなくて、三百六十円というものを、何かこれまで一定不変のごとくに考えて来ておるのです。今までの場合、今度の問題でも、現に直面しておる今の為替相場の問題について、千八円という問題については、そこでやはり今後この為替相場については、もう少上弾力性を持つて考えて行く必要があるのではないか。占領下におけるのと違つて、今後独立した場合に、もう独立して、一応したと言われておるのですが、その場合にやはり国際経済変動国内経済に及ぼさないように防波堤になるものは為替政策ですよ。それの自主性がなかつた。今まではなかつたのです。これは非常な重大な問題で、ここで若し入つて、三百六十円で入つた、それで非常にこれが弾力的に日本国内政策に応じてこれを変更し得ないということになると、これは非常な、結論としてデフレ的影響がやつて来る。私はそういうふうに考えます。そこでもつと自主的に考える必要がある、そこでまあ基金に入るについても、一%から一〇%の幅については、これはもつと拡げるという意見もあるのです。これは入つた場合、日本としてはただそつと入れてもらつたのだから、有難いので黙つておるのか、それともこの国際通貨基金については、或いは国際開発銀行については、もつとこれが活溌に、フアンクシヨンするように積極的に意見を述べるとか、何とかするとか、或いは又今の為替平価のきめ方について、いろいろ又意見を持つて入るのですか。それから又もう一つ取引相場の問題ですね。取引相場については、今一%以内にきまつておるわけです。これをいわゆる一〇%に拡げるという意見もあるのです。これだと日本政府としては、どういうふうに考えるのか、やつぱり拡げたほうがいいのじやないかと私は思う。取引相場についてはどういうふうに考えておるか、そういう点についても伺いたいのです。
  16. 石田正

    政府委員石田正君) 国際通貨基金協定におきまして、一%の範囲、一〇%の範囲でありまするならば、大体通貨基金としてはいいのではないか、それ以上のものにつきましては意見を言うことができますが、併しこれは国際通貨基金が必ずしも反対するというものでもございません。それからして又反対する場合もあろうということであろうと思いまして、為替相場の問題は規定の問題より運営の問題ではないか。それから今自主性お話がございましたが、自分のほうが自主性を持つということは結構でございますが、併し今度相手の国も考えて行かなければならんと思うのであります。日本政府がよその国といろいろな取引をいたします場合におきまして、どんなものになつてしまうのかわけがわからんのじや、何らの安定感がなくしてわからん。そうほうが大局的においていいのか、或いは或る程度の安定感を持たほうがいいのかということは問題じやないかと思うのであります。それから一%のお話がございました。これは又一つ見方であろうと思うのであります。私は、私見に亘るかも知れませんが、国際通貨基金というものの、先ほどちよつと触れたのでありますが、国際通貨基金の今の現在の協定そのものが一番いいとか、理想的であるとかというようなことは、必ずしもないのではないか。率直なことを申上げますれば、まあまあというところですね、ものによると、今の現在の下においてはベストになつているかと思うのであります。なぜかと申しますと、先ほどがら御指摘がありましたような、いろいろな国の、違つた国の思想が調和してできている、併し一本の思想として徹底しておらんということは言えると思うのであります。右の考え方を必ずしも結び付けてぎごちないものにしてしまうという考え方もあろうかと思うのであります。他方におきましては、非常に伸縮性にとんだ制度がいいということも、これはあり得ると思うのであります。どちらがよろしいか、ぐらついておりましては、なかなかきめられない問題であろう。その金平価というものを一応きめておくが、併し一〇%の範囲内ならば大体自主的なあれは認めるが、それ以上のものについては規制を加えようというところに落着いて来ているのじやないかというふうに思つているのであります。それから御承知通り現在の状況におきましては、これは為替相場というものは国家も一つのものをきめまして、それを固執いたしております。要するに何と申しますか、自由為替市場というものを想定いたしまするようになりますれば、又非常に違つた形になつて来ると思うのであります。又自由為替市場でなくても、もつと一層自由な状態というものが出て来れば、又違つた形も出て来るのではないか、それらのものはそういう情勢と睨み合わして考えるべきであつて、ただ実際としてこうであつたほうがいいとか、ああであつたほうがいいとかということにはなかなか行かない。やはりこれは将来はどういうふうに変るかも知れませんが、今の段階というものはまだまだ或る程度考え方のほうがいいじやないだろうか、かような考えを持つております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはまあ為替基金なり、国際開発銀行のできた経過考えれば、これは何といつてアメリカの指導の下に、国際経済を安定させようという線が非常に強く出ていると思うのです。それで例えばこういう見方もあるのです。アメリカが個々に最初投資するよりも、こういう国際機構を通じて投じたほうがアメリカは安全である。こういう考え方もあつた国際的にはそれで我々がここでこの問題を考える場合にしつかりしておかなければならないことは、ここに入ることによつていろいろなアドヴアイスを受けることはいいのです、いろいろなアドヴアイスもあると思う、いろいろな資料も得られますし、非常な便利もあるのですが、その範囲ですね、いろいろなアドヴアイスに混つて、国内のいろいろな政策に好意的にアドヴアイスしても、それが干渉みたいなことになつては困る。そういう点は十分しつかり考えておかなければならない。そういう点どういうふうに考えておられますか。やはり私が憂えるのは、何か今度の講和を機会にここに入るのは有難いのであるけれども、いい加減な考えで行つてはいけないので、こういう経過から見ても、イギリスあたりでも、これはお読みになつたかも知れませんけれども、コールが書いているものは、現在、将来の二つを見ておるのです、自分の国の経済の事情というものについて非常に深刻に考えておるのです。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕  コールはやはりこういうものに加入することによつて自分の国の経済政策自主性がなくなるということについては非常に深刻に考えておるのですよ。その点漫然とこれに入つたら何かいいことがあるぐらいのことで入つてはならないのです。勿論今のお話ではそういうことは考えておりません、もつとしよつぱく考えている、これはわかりましたけれども、一般的に何かいいことがあるのではないかという考え方があるのであつて、入つたのちにおいての日本経済自主性がなくなると言うことは極言かも知れませんが、相当制約されるということについては十分これを念頭において、私は入るについてもそういう心構えを持たなきやならんと思うのですが、その点については石田さんに言うというより、一般にそういうふうにそういう点について訴えたいと思いまして、たまたま石田さんが答弁に当つているので、石田さんを対象にしてそういうことを述べているのですけれども、政府としてもそういう点について十分考える必要があるのではないか、その点について伺いたい、石田さんにも御答弁を伺いたい。外務省では湯川さんからもそういう点について、その加入に当つて一体どういう心構えを以て加入考えているか、その点を併せて伺いたいと思います。
  18. 石田正

    政府委員石田正君) これはこういう国際通貨基金ばかりではございませんが、一般に国際機関加入するということは、その加入する国の自主的選択に基いて加入すべきものだと考えております。ということは、自分の国の立場というものをよく考えて然る上において入るべきものである。要するにお祭騒ぎで入るべきものではないという感じを私個人としては持つておるのであります。国際通貨基金に入るためのこの法案を出しておりますゆえんも、そういう見地から来ているわけでございます。ただ私がここで心配いたしまするのは、やはり国際社会というものは理解と協調ということが基本であろうと思いますし、このために努力しなければならんと思います。自分勝手なことをやつておればよろしいのだ、そういうことでは国際社会というものは成り立たないだろうと考えております。結局先にも申しましたが、軛であるか、規則であるかということが問題になつて来るのでありまして、この入るためにありますところのものが要するに自主性を喪失するものであるということになるなら、これは入らんほうがいいだろうと思いますし、併しそうではなくて、それが本当のルールなんだということになるならば、そういうルールを自分も守り、人にも守つてもらうということが大切なんではないかと思います。かように考えております。極めて抽象的なことに相成りますが、これは現実の問題を見て考えているわけであります。実質的な問題につきましても、本当にその国がちやんとした経済的に見まして筋の通つたことをやつているものについて、それが困るという場合と、それからして経済的に言つて滅茶苦茶なことをやつている、その滅茶苦茶なことを補強するためにいろいろな対外政策をやるという場合において、それが国際機関の上において障害になるというのでは場合が非常に違うのじやないか、やはり具体的にものを考えなければならんのじやないかというふうにまあ一応考えている次第であります。
  19. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 私も只今石田君から御説明のあつた趣旨に全然同感であります。要するに一般にいろいろな国際団体に加入しますときには、日本の立場をよく考えて自主的に決定をいたしますが、その団体に入りました際には、今度はその機関加盟することによつて生じた義務というものは忠実に果すと、こういう建前でやるものと考えております。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ政府委員としては、そういう答弁をするよりしようがないでしようが、甘いです、考え方が甘過ぎるのですよ。まあそういう答弁をするよりほかにしようがないだろうと思いますけれども、コールが書いたものに、こう言つているのです。コールは国際通貨基金の問題が起つたときに「問題は、世界全体にとり至上の重要性をもつものであり、またそこにはイギリスや、自治領諸国や、また西欧全体がアメリカから生ずる影響に自国経済を不当に従属させたり、あるいは「完全雇傭」政策を成功裡に遂行するために必要な諸方策を各国政府が実施する自由を制限するような拘束的取極めに加入するに先立ち、慎重に検討を要する諸問題が伏在していた。」、こういう心構えでイギリスはこれに入つたのです。ですから、こういうできたものに入るのですね、何か国際機関に入る、入つたらまあそのルールを守るということは、それは勿論でありましようが、入るに先立つてそんなに甘い考えで入つたらとんでもないことになるのであつて、根本的にはもつと大きい問題になるのですが、こういう条約について自主性がない。これと並行して、こういう国際機関に入つたときに口では国際的ルールに従うのだと言つても、それは従属して行く、アメリカ経済に従属して行くという形に私はなる虞れがあるのじやないかと思います。それでまあそういうことを私は申上げるのであります。それで次に伺いたいのですが、さつきの購買力平価ですね、どのくらいかということです。最初この基金の割当はソ連もあつたのですね、最初の割当では……。ソ連は今どういうふうになつておりますか。中国も割当があつたのですが、これはどういうことにこの経過はなつておりますか。
  21. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) ソ連と中国のことをお答えいたします。ソ連はブレトン・ウツズ会議には参加し連合国通貨金融会議最終議定書には署名しましたが、本協定には署名していませんから加盟国ではありません。そのときの割当額は一応協定では十二億ドルということになつております。中国のほうはブレトン・ウツズの会議に出まして協定に加盟いたしまして、その割当額は五億五千万ドルということになつております。
  22. 石田正

    政府委員石田正君) 購買力平価の数字はどうかということでありますが、この購買力平価というのは一つの数字として大切でございますけれども、必ずしも購買力平価であるが故に、そこで平価をきめなければならんものというふうには、必ずしも私たちは考えておらん次第であります。購買力平価の取り方についてもいろいろむずかしい問題がございまして、一時大分いろいろな数字が出まして、論議が重ねられましたことは御承知通りだと思うのであります。併しこれは大体の大局から申しまして、今の国際収支の状況その他から考えまして、私たちは三百六十円がいいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。なお先ほど御質問ではございませんが、御意見に亘りまして多少どうかと思うのでありますが、まあ甘い考えで入つてはいけないと、イギリスの例をお引きになりましてのお話でございますが、併しイギリスの今の経済の実勢なら実勢というものが、国際通貨基金に入つたために、こういう現状のような状態になつたのかどうかということについては、これは必ずしもそう言えないのではないだろうか。まあそのときの気持からいたしますならば、御指摘の点はむしろ為替平価を切下げたほうが……切下げる自由を持つべきである。為替の切上げよりも切下げの自由を持つべきである。そういうことがまあ出て来るのではないかと思います。平価に関連いたしましては……。併しながら今のイギリス平価を切下げたら、それで以てよくなるものかどうか、これは過去にも一遍やりました。そこのところは結局平価の切下げが自由に行われないから、イギリスの経済がうまく行かなかつたというふうな工合に結び付けるのは、少しどうだろうかというふうに感ずる次第でございます。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそんなことを言つているのじやないのですよ。購買力平価についても今石田さんから講義を聞く必要はないのです。いわゆる購買力平価が幾らかということを聞いているのです。それを適用することについては我々いろいろな条件を考え考えますから、幾らかという、幾らに計算しているかという数字を聞いているのであつて、又イギリスのことについては、何も私はそういうイギリス平価を切下げる自由がないから、又は通貨基金に入つたことから、イギリスの経済がどうなつたとか、そんなことを私は言つているのではないのであつて、もつと根本的に問題を考えなきやいけないという意味で言つたわけです。ですから、その点は別にそうむきになつて弁明される私は必要はないと思うのですよ。それで幾らかというのです。戦後のいわゆる購買力平価というものはですね。  それから湯川さんにちよつとお伺いしたいのですけれども、中国は最初は割当があつたけれども、その後払込手続とか、そんなものを全然やつてないのですか。すると、まあソ連と同じように、一応まあ加盟国にはなつたけれども……、その関係はどうなつているのですか。全然もう切れちやつたというのかですね。
  24. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 中国は金の一部のみを払込んでおりましたが、まだ平価もきめておりません。従つて基金資金を利用できるという地位に今なつておりません。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、あれですか。入つてはいるのですね。中国というとどつちの中国ですか。
  26. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) この基金関係では国民政府の中国であります。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 すると、加盟国になつているのですか。はつきりなつているのですか。
  28. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 加盟国です。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じや相場のほうはどうですか。
  30. 石田正

    政府委員石田正君) 購買力平価ですか。今資料を取りまとめておりますので…。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あとでもいいのですが、資料として……。
  32. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  33. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは速記を始めて……。
  34. 木内四郎

    ○木内四郎君 今、日本電信電話公社法案及び日本電信電話公社法施行法案ですか、この二法案が電通委員会にかかつているのですね。衆議院の修正を見ると、大蔵委員会としてもそのまま黙つて通すというわけに行かないと思うのです。是非一つ連合委員会を開いて頂きたいのですが。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  35. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 今木内委員から発言されました日本電信電話公社法案、同施行法案、両案について電気通信委員会に連合委員会を申込むという御希望がおありですが、そのように取り計らつて差支えございませんですか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  36. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ではそのように取り計らいます。
  37. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 私は今内閣委員会にかかつています大蔵省設置法の一部を改正する法律案並びに大蔵省設置法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、この内容について私から御説明申上げるまでもないと思いますから省略いたしておきますけれども、これを是非とも内閣委員会と連合審査によつていろいろ審議する必要があり、そしてこの委員会の意思を内閣委員会に反映せしめる必要があると思いますので、これ又連合審査の申入れをして頂くことを動議として提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  38. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今下條委員からその両案についての内閣委員会との連合委員会をすることの申出がありましたが、これは連合委員会をすぐ申込む方針をとりますか、ここで一度よく政府委員意見を聞いた上で行くということにいたしますか。
  39. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 私はあらかじめこの委員会で研究してから連合委員会を開くということには賛成でございます。併し内閣委員会の審議の関係もありますから申入れだけは先ず早速して頂いて、委員会の開催の日取等については委員長において適当にお取計らい願いたいと思います。
  40. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは只今下條委員からお話がありましたように、内閣委員会に対しての大蔵省設置法の一部を改正する法律案大蔵省設置法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、この二案について連合委員会を申込むことに差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) その通り申込むことにいたします。  なおその前にできることなら一度政府委員質問をするところの委員会を開きたいと思います。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 前に申込んでおいたのですが、この前の講和条約発効で、税法違反関係の大赦ということがある、国民の中には相当どの程度大赦になつたのか誤解しておる向きも多いですし、一応委員会としても正式にどの程度の大赦があつたのか、その内容を詳しく聴取したいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)脱税分まで免除されたのだという気持を一般国民持つておる向きもあります。
  43. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) この次の機会に関係者を呼んで……。
  44. 小林政夫

    小林政夫君 前から言つておるのですが、成るべく速かな機会にお願いいたします。
  45. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 承知いたしました。速記をとめて。    〔速記中止〕
  46. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
  47. 小林政夫

    小林政夫君 先般来経済安定委員会と連合審査をいたしました外資に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正意見を提案いたしたいと思います。  修正の第一点は、新株引受権の譲渡を外国投資家が、その外国投資家の本国の法律又は日本国内の法制的措置によつて新株引受権を行使することができないという場合に限つて、その外国投資家に対して新株引受権を譲渡することができるように改正をしようとするのが第一点。第二点は、そういつた外国投資家が新株の引受ができないために旧株を売却いたしまして、その売却代金を以て新株を購入した場合、いわゆる乗換えた場合、その元の旧株を保有しておつた株数に相当する新株分については、元の旧株を購入した時期に遡つて元本送金の始期を計算して行こう、こういう点でありまして、改正案においてはそういう場合を、旧株を売つて新株を買う、こういう事例を借替という言葉を使つておりますが、借替の場合においては現保有株数だけは当初投資の時期に遡つて元本送金の始期を計算して行く。殖えた株数については殖えた時から元木送金の据置期間を計算する。こういうふうに改正することが第二点。  第三点は、元木の送金据置期間が三年になつておりますのは二年に短縮いたしたのであります。  それから第四点は、先般投資貸付信託法の審議をいたしました際にその法律案の附則で外資に関する法律の一部を改正する法律の改正をやつてつたのでありますが、これは立法技術的に異議がありますので、同趣旨の改正案をこの修正案に織込もうというのであります。  そういう修正でございますが、多数の意見がまとまれば大蔵委員会意見として経済安定委員会に御伝達を願つたらどうかと思うのであります。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今経済安定委員会のほうからの外資法の改正について修正案を申入れる点について小林委員から修正意見四点についての御説明がありましたが、その修正意見のうち、特に原案の元本送金の据置期間三年を二年にするという修正点については私は賛成できないのです。実はこの外資法の改正案の一番重要な点は、元本送金を認めれば証券市場を通じて外資が相当入つて来るであろう。こういうところに狙いがあつたと思うのでありますし、アメリカの証券市場を実際に調査して来た人などに我々聞いてみますと、市場を通じて外資が多く入つて来るためには、単に元本送金を認めるというだけでは足りないのだと、若し仮に据置期間を五年としても、先ほど小林委員が言われた権利株の譲渡、それから乗替についての据置期間起算の緩和ですね。この点が認められますれば相当入つて来る。今市場を通じて外資が入つて来ない。今まで入つて来たけれどもこの頃小し下火になつた一番大きな原因はそこにあるのだ。それで日本は権利株売買、そこに非常に魅力があるのであつてアメリカではそういう点は認められていない。そこでその点を緩和すれば相当入つて来るのだ。緩和すれば据置期間を仮に五年にしても入つて来るのだ。問題点は据置期間にあるのじやない、こういうふうに言つております。ですから、私は重点は、その権利株売買と乗換の据置期間の緩和、この点にあるのであつて、これが修正されるならばむしろ据置期間は最初事務当局が考え通り五年にしたほうがいい。それでも入つて来るのならば日本の経済にとつて有利なんでありますから、むしろ入つて来る外資が安定性がそれだけ殖えるわけであります。増加するわけであります。そういう意味で私はむしろ緩和する。据置期間を緩和するというのは、政府原案より緩和するというのは、これは却つて不利なんだ。これを五年に殖やしても入つて来るものにわざわざこれを短縮するというのはどうしても理解が行かないのです。従つてそれを一緒にして申入れる点については私は賛成できないのであります。
  49. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今小林委員から提案された四つの修正点ですが、いずれもこれは妥当だと思つて賛成したいと思います。更に木村委員から、据置期間の三年を二年に修正することに対する御反対がありましたけれども、私どものほうでも、大体外資導入の一番の導入先は何といつてアメリカですが、アメリカの資本家の意向を各方面から調査したところによりまするというと、据置期間を長く置くということは、一体日本が外資を導入したいかどうなのか、本当の意が分らんじやないか、若し導入したいという気分があるなら、むしろ据置期間なんか設けないほうがいいのじやないかというような意見もあるのでありますが、我々といたしましては、入つて来た外資が即座にすぐ返されるというようなことでは、これは安定がとれないではないか、一年間ぐらい据置いて、その後五年間ぐらいに分割して返されるという程度が一番適当でないか、そういつたような意見を持つてつたのであります。併しながら政府意見やなんかを聞いても、一遍にこれを短くするということはこの際考えものじやないか、或る程度据置期間を三年ぐらいにしておいていいと思う。こういう意見なども出まして、いろいろ折衝の結果その問をとつて二年間ぐらい、二年間といたしましても五年という据置期間を入れれば、七年という長期に亘つて出て行くということになるわけであります。そんな点から、二年間ぐらいのところが適当として、その辺に我々賛成したいと思うのであります。そうして又全会一致で経済安定委員会に、大蔵委員会の意向としてお出し願えれば一番結構なんですけれども、根本的に木村さんなんかと我々のほうの意見が違うとすれば、この際決を採られまして、多数意見として経済安定委員長へ御交渉願えれば幸いと存じます。さようお取計らい願いたいと思います。
  50. 田村文吉

    ○田村文吉君 前例があるかないか存じませんが、そういう申入れをするときに、少数意見として、こういう意見もあつたということを附加えるということは、形がおかしいのですか、差支えないのですか。委員会議というものがあるのか、委員会の決議というものによつて申入れをするという場合、少数意見のあつたというようなことを一体通告することは形がおかしいですか。
  51. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) どうですか。前例はない……。
  52. 田村文吉

    ○田村文吉君 ないなら、僕は多数決によつて御決定を願いたい。
  53. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは、外資に関する法律の一部を改正する法律案の修正案について小林委員から御発言がありまして、木村委員からはその一点に対して又反対の御意見もありました。これに対して先ず小林委員よりの御発言のありました通りに、これを経済安定委員会に申入れることに御異議ございませんか。御異議のないかたは御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  54. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは多数御賛成のようでございますから、外資に関する法律の一部を改正する法律案の修正案を、経済安定委員会に申入れることにいたします。  それでは本日の委員会は、午前は休憩いたします。午後は一時半から始めたいと思います。    午後零時十九分休憩    —————・—————    午後二時十二分開会
  55. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 午前に引続いて大蔵委員会を再開いたします。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案について質疑を行います。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 一点伺つておきたいのですが、日銀から買入の金は、たしか五千四百億円という帳簿価格で買入れになると思うのですが、将来予算措置をとるというのは、一体いつ頃どういう方法でおとりになるのか、その具体的の説明を願いたいのです。
  57. 石田正

    政府委員石田正君) 先ほどお話のありました点は十五トン六百を五千四百万円で買うということになる、それと今四百一円で買つておりまするところの時価との差額がそこに生じて来るわけであります。この差をいつどういうふうにしてでやるかということの御質問でございますが、この点につきましては、別途御審議を願うかと思うのでありますが、接収貴金属の処理に関するところの法案がございまして、接収貴金属全般につきまして、いわゆる権利を主張されるかたから報告を徴し、現実の報告を頂きました結果、処理をきめたいというふうに思つておるわけでございますが、筋合から申しまして、この分につきましても、やはりそういう措置がはつきりいたしました時期において睨み合わせてやるべきであろうかと、かように考えておる次第であります。なお具体的内容がどうなるかという点につきましては、その接収貴金属一般に関するところの、大体の方向というものもきまりました場合におきまして、それとの関連においてきめるのが至当ではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
  58. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは第四条で五千四百万円というのを一応出すのは、予算措置とは差当つて関係がないというふうになつておるけれども、実質的においては、この五千四百万円は相当の金高に換算されるわけですね、そうすると最後の二百億円という去年の予算で以て決定した額よりは実質的差が出るわけですが、その超過はどのくらいになるわけでありますか。
  59. 石田正

    政府委員石田正君) この法案に基きまして実施をいたしまするところの金及びドルによりまするところのものは六千七百五十万ドルの相当額に相成るわけでございます。これを三百六十円で換算いたしますると、二百五十五億四千二百万円に相成るのであります。失礼いたしました二百四十三億円に相成ります。その差額というものの四十三億円というのは二百億円ではカバーできないということが先ず言えると思います。又この出資をいたしますにつきましては、日本銀行で買いました金、これを現地に輸送いたしまして、そうして改鋳をし、そうして出資をするということに相成るわけであります。この輸送関係及び改鋳関係等につきましても又費用が要るわけでございます。そこでそれらの費用を概算いたしますると五百五十四億二百万円という、いや二百五十五億四千二百万円というふうに一応我々としては算定いたしておるわけであります。これを二百億円の枠内で処理いたしまするために百八十億円分につきましては外国為替管理委員会が持つておりまするところのドルを買いまして、これを金に換えて出資をいたし、その金額が五百万ドルに相成る次第でございます。百八十億円で五千万ドルをやる、それから残りのうち五千四百万円余で以て十五トン六百キロくらいの金を買いまして、この両者によりまして六千七百五十万ドルというものに合わせるようにいたしたい、そういたしまするとお金が余るわけでありますが、その余つたお金を以ちまして輸送費、その他の出資関係の完了いたしますまでの費用に充てたい。なおそのほかにこの全体の割当額につきまして、円で現金払をしなければならん分がございます。この分も先ほど申しました百八十億円から引きました二十億円の範囲、十億円ちよつとになりますが、これをやる、二百億円の範囲ですべてをやりたい、これが本案の趣旨でございます。
  60. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 我々懸念する予算的の措置の、いわゆる財政法第五条に違反はしてないというふうに今の御説明では取れるのですね、併し将来もこういつたようなことが起きると思うのですが、やはりなんですか、只今のように便法的措置で以てやつても、財政法上には辻棲さえ合えばいいというふうな解釈を大蔵省ではされておるのですか。
  61. 石田正

    政府委員石田正君) 我々といたしましては、こういうふうな措置なくして済まされればこれに越したことはないと思いまして、そのためにいろいろと努力をいたしたのでございます。これは事情を申上げるとよろしいかと思うのでございますが、二百億円という補正予算をやりましたのは去年の夏であつたかと思うのでございます。その時分に去年の八月の九日に当方が国際通貨基金国際復興開発銀行に対しまして加入いたしたいという申入れをいたしたのでございます。そのときの事情を申しますると、大体日本の持つておりまするところの米ドルの額というものが四億二千万ドル見当であつたのであります。そこで割当額が如何になりましようとも、この四千二百万ドルの一割、一割のほうが働きまして、その金でできるのではないだろうか、かような気持でおつたわけであります。それから昨年も暮にいろいろと話がだんだん進んでおりました場合におきましても、なお且それで行けるのではないだろうかというような気持がございましたし、そういうように見えましたので、本年度の予算を作ります場合には二百億を特に増加するということなしに参つてしまつたのであります。ところがその後の、それから結局二億五千万ドルプラス六千二百五十万ドルという数字が出て来たわけであります。それで入るか入らんかということになりまして、止むを得ずこれは入つたほうがいいという判断で止むを得ずやりました措置でありまして、そういうことを繰返してやるべき筋合のものであるとは大蔵省としては毛頭考えておりません。とにかく法規に牴触しない限りにおいて新らしく御承認を得まして、この御承認の下においてやるべきだと、かように考えておる次第でございます。
  62. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その点はまあわかりましたが、次に三億円という最初の大体計画であつたと思うのですが、それが二億五千万ドルに減らされたというその事由ですね。これは国際復興開発銀行のことについてお聞きしたいのですが、これはどなたかそのほうの事由をおわかりのかたがおられたら御説明を願いたいと思います。
  63. 石田正

    政府委員石田正君) 国際通貨基金国際復興銀行とは割当額につきましては前者の割当額を以て後者の割当額にするということが好例になつておるわけでありまして、従いまして国際通貨基金との関係をどうきめるかということが、即ち両者の金額をどうきめるかという結論に相成るのでございます。そこで今お話がありましたような工合に二億五千万ドルということがきまりました結果、結果がそうなれば当然復興開発銀行もそうなる、こういう筋合のものでございます。なお三億ドルというようなこともございましたが、それがどうして二億五千万ドルに相成つたかという点でございますが、この国際通貨基金加入の場合におけるところの割当額の算式と申しますか、そういうようなものは一応ございまするが、併しその算式通りにきまらないというのが過去の例でございます。例えば早い話が日本の国民所得は一九四 ○年頃においてどういうふうになつてつたかという数字を出しまする場合におきましてもこれはなかなかむずかしい問題でございまして、一、二の数字がございまするが、どちらが正しいかということがなかなか言えないというような事情があるわけでございます。ただ日本政府といたしましては先ほど申しましたような工合に大体二億五千万ドル乃至三億ドルに割当がきまりましてもその二五%というものが出て来るのではなく、結局保有しておりますところの米ドルの一割というそちらのほうが基礎になつて変りないのではないか、そういうことであるならば割当額は多いほうに越したことはないじやないかという考え方もあるのであります。この三億ドルが二億五千万ドルになりましたところの経緯につきましてはこれは向うの国際通貨基金委員会なり、何なりの内部におきましていろいろの論議をかもしました結果そういうことが示されたのでありまして、それが向うからこういう理由でこうなつたという日本政府に対して示すべき筋合のものでないと思うわけであります。従つてそれをどうしてこうなつたかということを申上げることは本当の推測でございまして内部の事情はわからないというのが真相じやないか、こういう事情でございます。
  64. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それでは二億五千万ドルと決定した出資、それに対して一体日本として将来どの程度の融資を受けることができるかという見通しなり、或いはどういう方面に出資してもらえるかというようなことの交渉はすでにもう先方と打合せをされておると思うのですが、その根本方針はどんなことになつておりますか。
  65. 石田正

    政府委員石田正君) 国際通貨基金のほうで申上げますと二億五千万ドルの割当額でありますと、金による払込は六千二百五十万ドルになります。国際通貨基金につきましては、これは国際通貨基金加入国が申請いたしまして、そうして向うの同意を得て、日本の円をここでドルなり或いはほかの通貨なり日本が必要とする通貨を買入れるという形をとるわけであります。これは平たく申しまして買入れなら買入れ、これと少し意味が違いますが、それで御説明申上げますと、日本ができます自分の最高限度は、入つた初年度におきましては出資額であります金におけるところの出資額六千二百五十万ドルを限度にいたすわけであります。なお続けて日本が借りたいと思いましても毎年六千二百五十万ドルという最高限が規定されております。そしてそれは五年目で終るということになります。要するに二億五千万ドル、プラス六千二百五十万ドル、それだけの金額しか借りることができない。これは協定になつて明文を以て規定しておりますから、日本政府といたしましてはそれ以上借りたいと思いましてもこれは協定上できないということになります。  それから日本政府はどれだけ借りることを予定しておるかということ、及びそういうわけで借りることについて内交渉をしておるかという点でございます。これは先ほど木村委員の御質問に対しましてお答えいたしたのでありますが、日本といたしましては差当りそういう買入れを行わなければならない実情になつておらない。むしろドルは最近の情勢では殖えておるというような状況になつておるのであります。何んと申しますか先ほど申しましたように昨年の八月までは四億二千万ドルの外貨でありましたものが、現在におきましてはすでに七億ドルというような数字になりまして、それなればこそ向うから六千二百五十万ドルの割当が来たのでありまして、これは日本政府といたしましても外貨がこのくらいの調子を以つて進むか或いは将来どうなるかという予想はできませんが、現状を以つていたしますならば、直ちに国際通貨基金から買入れをしなければならんという状況ではないと思います。又そういう状況でだんだん殖えておる時に国際通貨基金に借してくれということを言いましてもそれはまだ話にならないというのが実際であろうかと思います。要するに将来日本が必要が起きました場合に先ほど申上げましたような限度内において借入れができるような途を早く開いて置く、こういうことに要点があろうかとの思うのでございます。
  66. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今私が質問しておるうは国際復興開発銀行からの借入れで、通貨基金のほうじやない。開発銀行からの借入れについては具体的に相当の折衝をされておると思うのです。例えば電源開発に対しては将来開発銀行から相当融資をするというような話合いがついておるか、そういう見通しがなくて漠然として出資するということもないと思うのですが、それの説明を願いたい。
  67. 石田正

    政府委員石田正君) 国際復興開発銀行につきましては、これは加入がきまらない前に話を受付けるということはございません。加入国及び加入国のそれらに対して取引をするというのが銀行協定の明文にございまして、要するに入るか入らないかきまらないうちに金を借してくれと言いましても話にならない。これは表向きのことでございます。併しながら国際復興開発銀行といたしましては日本に関するところの調査は正式にはいたしておりませんが、国際復興開発銀行が金を貸します場合は、入つてやはり実際の現地を見まして調査をしまして、これならばというときに出すのが普通でございます。そういう意味から申しましても、今こちらの話を向うが受付けて又こちらに調査に参るということは今の段階ではないと思います。加入してから後であろうと思います。ただ併し日本の実情は割合アメリカに知らされております。又国際復興開発銀行アメリカ機関ではございませんが、併しアメリカに存在するわけでありまして、いわゆる非公式に会うということは大分大勢の人がやつておる。日本の問題といたしましても電源開発が急務である、電源開発はどういうような大体規模のものであるというところの概念は知つておるであろうと思います。併しそれは正式にこちらで書面で確認するというのでなく、それは非公式のものであるというふうに考えざるを得ないのではないかと思います。
  68. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それは速記があつて都合が悪ければ……政府は或る程度つておられると思いますので、政府はもう少し詳しく説明される点があるのじやないかと思います。若し何んでしたら速記を止めて……。
  69. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  70. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
  71. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今主計局長もお見えになつたようですが、衆議院でも問題になつたと思いますが、只今石田さんからの話で或る程度はわかつたのですけれども、この予算措置として実際二百億というものを二十六年度の予算にきめておいて、併し実際問題として国民に知らせるためにはこの五千四百方円で日銀の手持地金を帳簿価格で買う、買うことはわかる、併しそれを海外に出してやる場合のいわゆる予算措置として国際開発銀行に二百億という枠内で以てそれに当てはめるために数字を合せたのであつて、実際的にはこれは相当の額になつた、今お話を聞くと全体で四十三億くらいの超過になる。そういつたようなものも明白にやはりすべき予算措置というものは必要だと思うのですね。これはこういうことが便法的にこの法律で以て国会で承認すればどんなことでもできるのだということなら財政法なんかきめて置いても、この財政法も常に便宜的に変えられるのだということにもなつて来る、この点についての主計局長のほうの見解をもう少し明確にして頂きたいような気がしますが、衆議院における質疑応答等に関連してその点を御発表願いたいと思うのであります。
  72. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 二百億の出資の金の使い方でありますが、油井さんのおつしやるように四十三億一応不足するような計算も出るのでありますが、これは考え方だと思うのでございますが、勿論予算措置を講じて新らしい補正予算を取つてということも一つ考え方なんですが、本年度予算も成立した後であり、又この通貨基金に入れば開発銀行への加盟は時期的に緊急を要するというので、補正予算に計上いたしました二百億円の枠内で六千二百万ドルの出資ができるように考えたわけでございます。つまりこの金は金又はドルで出資されるものがあるわけでありますから、この二百億の金で外為からドルを買い、そのドルで以てアメリカで金を買う、これも一つの行き方だろうと思いますが、この二百億の金の範囲内で賄うというために日本銀行から金を買入れて、そうしてこれを現送する、こういうことにいたしたわけでございます。そういうことにいたしまするにつきましてこの法律に当該の規定を置いておるわけでありまして、法律上は何ら差支えない、又予算の上からもそういうふうな出資に必要な経費なんでありまして、そういう点は何ら差支えないというふうに私どもは考えております。
  73. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつき石田さんからお話があつたのですが、こういうことは将来においては余り起きないだろうというのですけれども、一遍前例になりますというと何でもこういうふうに、要するに暫定的というか、臨時措置法的の問題で予算の原則というものと多少変つたような法則で片附けて行かれるのですね、そういうことが将来とも繰返されるかという点なんです。それはこの前両院協議会でいわゆる地域給の場合なんかにも出たのですけれども、あの場合は僅か六億八千万円といういわゆる予算措置を参議院側で以て大体人事委員会であなたがたのほうと或る程度打合せをして、可能性があるんじやないかといつて提案した件があつた。ところがいざというと政府側では予算措置がとれないから駄目なんだというふうに、頭から予算措置一本槍で蹴つておる、一方においてはそういうふうに都合の悪いときは蹴りながら、こういつたような政府側の企図したようなときになると法案で以て自由自在にこうなつて行くというふうにもとれて来る。そういつたような首尾一貫しないことでは甚だ国民に対する影響も面白くないんじやないか、そういうふうに思われるのでありますが、将来もやはり必要に応じては臨時措置法でどんどんやつて行けるということにもなつて来る、その点はどういう御見解をとられますか。
  74. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 予算の解明を期するという意味におきましてはこういうような措置を今後場合によりましてとるというのは余り好ましいことではないと思います。やるべきではないと思います。本件の場合について考えますと、金又はドルで出資する、この場合に日本に接収解除の金がある場合に、これで言わば現物出資みたいなものでありますが、こちらのほうが却つて安く上るということになりますればこういう方法をとつても必ずしも悪いとは、こういうことを常々やるべきではないと思いますけれども、本件に関する限りそういうことをやつても必ずしもいかんというふうには私は考える必要はないんじやないか、円の面から言いますれば、ドルであろうと金であろうと、一種の現物出資みたいなものになるのでありますから、これを如何なる値段で円が買うかという問題として考えて頂けばこの問題は解決できるんじやないかと、私はそう思います。
  75. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それでは先ほどの問題に関連するんですが、予算措置というものが絶対的のものではないんだ、やはりできるだけやり繰りのつく範囲内においては必ずしも一遍きめた予算というものに固執しなくても、将来において予算措置が講ぜられるというような場合には便法も講じられるんだ、こういうふうな一つの原則的なものになるんですが、そういうふうに了解して置いてよろしいかどうか。
  76. 河野一之

    政府委員(河野一之君) そういう原則的なものと言われましても如何かと思われますが、二百億という出資の金の使い方でありまして、これを外為でドルで買うものもあれば、或いは日本銀行の金で買うものもあるということで、日本の円にいたしますれば二百億円ということで国会の承認を経ておるのでありまして、これを六千二百五十万ドルの金を調達する上においてそういつたような方法によつて調達するということは、これは本法に書いてある限り許されてよいことであると思います。金をどういう値段で買うかということは四条の二項に規定するところでありまして、勿論アメリカとの換算で買えば一ドル三百六十円になるのでありますが、日本の金でありますならばこれは大蔵大臣が言つたような値段で買うことができる、従つて二百億の範囲内で六千二百五十万ドルが調達できる、こういうふうに考えておるのであります。
  77. 石田正

    政府委員石田正君) 速記をとめて今の関係につきまして、ちよつと補足させて頂けましようか。
  78. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  79. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の問題とまあ関連するのですが、第四条ですね。第四条に即して説明して頂きたいのですが、特にその中で、「別に法律で、定めるところにより、処理する」と、この差額ですね。この別の法律というのはいつ出るのか、それを詳しく説明して下さい。  この四条について、これを実際問題に即して説明して頂きたいのです。ほかの人はわかつているか知らんが、僕はまだよくわからないものですから。殊に四条の二項の……。
  81. 石田正

    政府委員石田正君) 四条の一項は、先ほど申しましたように十五トン六百の金を帳簿価格で五千四百万円で買上げることでございます。併しながら、この十五トン六百というものを今の金の買入れ価格、即ち一グラムにつき四百一円という数字を以て計上いたしまするならば……。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この四百一円というのは、金管理法第六条によるわけですか。
  83. 石田正

    政府委員石田正君) さようでございます。要するに一オンス三十五ドルということを基準にいたしまして計算をいたしますと、四百一円という数字が出て来るわけであります。その数字で勘定をいたしますると、六十二億五千五百六十万円という数字が出て来るわけです。そこで、その何と申しますか、今の時価で日本政府が買入れるとするならば、六十五億の金を出さなければならない。それを五千四百万円で買うということは、これは正常な方法ではないと思います。これは一般の人からそういうようなことで買上げるということはどうかという点が私はあろうかと思います。如何に予算を執行するためとは言いながら、そういうことを一般の人に対してやることはどうであろうかという点があろうかと思います。ただ日本銀行については、そういうことをやつても実質的に悪くないのではないかという点があるのであります、ということは、仮に日本政府日本銀行の持つております貨幣準備の金を評価換えをする。その場合におけるところの再評価益というものは、日本銀行に帰属すべきものではなくして、これは国家にとるべきものである。こういうふうに我々は基本問題として考えるのであります。そういたしまするならば、これは将来取るべきものを取らずに置くといいますか、取る元をその分だけ貸すと、こういうふうにも考えられる。そこで将来これは法律によりまして、再評価というようなことが実現いたしまするならば、その場合において、全部評価益をとると同時に、この差額を返してやるというような方法も考えられる。その額だけ引きましたところの再評価益を国庫へ納付せしむるという方法も考えられると思います。これはそのときの事情によつてきめるべきだと思つております。それからもう一点、これは先ほど申上げたと思いますが、接収されたところの金の中にこれが入つておるわけであります。日本銀行に百トンございます。従いまして、十五トンというものはどんなことをしても日本銀行のものとして残るということははつきりしております。併しながら全体の金がどうなるかということの関連も又見なければならんと思います。そこのところを睨み合せて一々法律を以て規定すべきものであると思いますが、実体価格としてかくのごとくなつておるわけで、そのけじめというものは法律を以てちやんときめべきものである、かような考え方に基きまして、一項だけでなく、二項も存置いたしておるのであります。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりましたが、「別に法律に定めるところにより」というのは、今お話のように、直ぐこれと同時に法律を出すというわけでなく、日銀の評価換とか、そういう金の再評価があつたような場合の納付金として納めさせる、或いはそれを買入れる、そういう措置のことを言つておるわけですな。
  85. 石田正

    政府委員石田正君) お話通りでございます。接収貴金属の処理が今直ちにつくものであるならば、この法案の中に盛り込んでも、又同時並行的に出してもいいのでございますが、接収された貴金属につきまして、どこから持つて来たのもわからない状況でございまして、それを確かめるために相当の時日を要するのであります。それまでは待たざるを得ないわけであります。そういうところにこの項の規定の原因があるわけでございます。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、これは五千四百万円で買うということになるならば、一オンスいくらで何ドルで買うことになりますか。
  87. 石田正

    政府委員石田正君) これは現在日本銀行の帳簿価格は二百九十ミリグラムについて一円ということに相成つております。これをグラム率いたしますと、一グラムは三円四十五銭ということに相成つております。従いまして、一グラム四百一円と、それからして三円四十五銭との差額というものをどう処理するかという問題が残る、そういうわけでございます。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、日銀の保有金の再評価はいくらでやるつもりか。いつ頃やるのですか。
  89. 石田正

    政府委員石田正君) これは先ほど申しましたように、接収貴金属の問題が片付きました後に行うということに相成ると思うわけであります。そのときの情勢によりまして変つて来るのでございますが、今のような状況であるならば、これはやはり四百一円というものを基準とすべきである、かように考えておる次第でございます。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、アメリカの一オンス三十五ドルですね。その割合、それに関連して聞きたいんですが、この基金のほうの最近の金に対する政策が大分変つて来ているようでして、最近では非貨幣用金については非常に野放しのような政策をとつて、非貨幣用金が退蔵されて世界的にこれは相当大きな問題になつておる。この間新聞にも出ておりましたが、政府は今後金の問題についてはどういうふうな方針をとつて行くのか、この際お聞きしておきたいのです。非貨幣用金についてどういうふうにして行くのか。
  91. 石田正

    政府委員石田正君) これは先般もちよつと申上げたのでございますが、国際通貨基金は設立以来、貨幣用の金とそれからして産業用の金も区別いたしませんで、そうして平価基準として一%の範囲内において許すということになつてつたのです。ところが昨年たしか九月頃であつたと思うのですが、そういうことではなかなかうまく行かないという批判が起つてつたのであります。その理由とするところは、若しそれを固執しておるならば、産金量というものが非常に減つて来るということに伴いまして、結局貨幣用の金が貨幣用に流れないで、皆産業用に行つてしまうということに相成ると、国際通貨基金は純然たる金本位ではありませんけれども、国際決済用としての金というものが少くなつて来て、却つて国際経済がうまく行かなくなるのではないかということが一つであります。それからもう一つは、いわゆる闇の金の値段というものが非常に高くなりまして、そうして貨幣用の金と、或いは死蔵用或いは産業用等の金の価格との差異というものが非常にひどくなる、これは好ましくないのではないかということで、むしろ実際に即して貨幣用の金、産業用の金というものを分けて、別の価格を設定するということにしたほうが終局的な目的を達するためによいであろう、こういう判断に基きまして、国際通貨基金が産業用の金について特別価格を設定することについて文句を言わないという決議をいたしたのであります。それに基きまして、いろいろの国におきまして二本建のやり方をとつておるのであります。この実情を申上げますと、非常にその後の経緯というものが複雑でございますが、一つの大きな効果といたしましては、非常に闇の金が高かつたのが下つて来た。要するに貨幣用の金と産業用の金が、鞘寄せと申しますか、そういう傾向が現われておると思います。それから又各国通貨政策によることでございまして、各国通貨政策がうまく行かないで、インフレということになると、自然金の価格が上つて来る。或いは死蔵用が殖えて来る。その最も端的なものがフランスでございまして、フランスなんかは相当高い値段になりまして、よその国の産業用の金にも影響を及ぼす事情でございましたが、ピネー内閣が成立して、フランに対するところの信用が回復するに伴いまして、フランスにおけるところの闇の金の値段というものが、相当下つて参りました。そうして現在では世界を通じましてだんだん下るという傾向にあるのであります。そこで、日本はどうするかという問題が起つて来るわけですが、私たちの端的な考え方を言いますと、一オンス三十五ドルというのは、現実問題として何としても動かせない事実でございますが、それについては反省の余地があるのではないか。而も国際通貨基金に入るということは、これは大局的に、先ほど申しましたような利益のために入るのであるけれども、その枠の中において自由が認められるならば、お互いに実情に即したところの政策がとられるべきである、かように考えまして、今回日本政府におきましても、貨幣用の金としては相変らず一円で参りますが、それ以外については、四百一円で買つたものを産金業者に返して、産金業者が消費者に売る場合は別の価格で売る、さように考えております。なおその場合においても、各国におけるところの闇の金の値段というものを考えに入れなければならんのでありまして、関金とか、産業用金とか、それは馬鹿に離れて日本ばかりが高いということは好ましくない。又ほどほどのところにおいては四百一円より高いところに設定するのがよいだろう、かように考えております。なお将来の方策はどうなるかということでありますが、これはどうも国際基金加入各国があの決議を履行するかどうかわからん問題でございます。将来におきまして、今までの状況から申しますと、産業用乃至闇の金価格が下つておるわけであります。又いつ上るかもわからない。そういう点に関連して、今将来一貫した方策の考えがあるということをここで申上げるのはむずかしい段階である、かように考えます。そのときどきにおいてやはり日本通貨価値をどうするかということでありますけれども、産業用の利益ということも或る程度考えて行きますと、何と申しますか、或る意味において妥協でありますが、しつくり行かんという点もありますが、そうするのが実情に即したゆえんであるとかように考えておるのであります。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 事情はよくわかりましたが、今後日本国際決済の支払手段としてやはり金というものを相当やはり蓄積して行く方針なのか、為替ばかりでなく。若しやはり蓄積して行くという場合には、今下つたというお話ですが、やはり三十八ドルぐらいですかね、そうしますとやはり高いですね、公定価格よりも。若しか日本も金の国際通貨支払手段としての蓄積をやるとい方針ならば、なかなかこの値段で買えないじやないか。インチキな再評価も大体四百一円である。金の再評価をするということになると、四百一円で買わなければならんということになる。なかなか非貨幣用のように買えないじやないか。そう思うのですが、その点。
  93. 石田正

    政府委員石田正君) 金が大切であるということと、それから日本の産金業の実態が各国に比べて劣位にある、この矛盾をどう解かなければならんかという問題であります。而もこの矛盾というものはますます深化して行く傾向にある。そこに我々の苦心がある。それから産金量の問題から申しまして、六トンかそこらしかとれない。それをドルに換算すれば、六百万ドルにしかならない。そういう実態も併せ考えなければなりませんから、ここですつきりした政策を立てるということは残念ながらむつかしいと思います。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この再評価ですね、四百一円で再評価するということは、これは何か貨幣法を又変える必要があるのですか。いわゆる平価の切下げですね。貨幣法、金幾らを以て円とする、その改訂が起ることになりますか。
  95. 石田正

    政府委員石田正君) 貨幣法は古い法律でございまして、昔のままそのままに手を付けずにおるのであります。当面再評価の問題につきましては、貨幣法をいじらずして再評価をした例があります。今の帳簿価格も貨幣法をいじらずして再評価をいたしましたときの帳簿価格になつております。従いまして、今貨幣法をいじるという意思もございませんし、もう少し模様を見て行かざるを得ないのであります。今の情勢で推移いたしますれば、やはり貨幣法をいじらずに、前と同じように別途再評価という法律が出るという公算が多いのではないかと思うのであります。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは御意見わかるのですが、この国際通貨基金加入を機会として、金の再評価が起つたり、そういう問題が起つて来るので、やはりこれは日本通貨、今度はドルだけでなく、金によるということになつて来るわけですね。間接的でしよう。そこでやはり日本の貨幣制度、そういうものに対して又再検討をここでする必要があるのじやないか、そういう時期に来ておるのじやないか、ですから貨幣政策、そういう、どうせまあ金為替本位的なものでしようけれども、これについて何ら貨幣法自身も法律でこれを変えないでやるということも一応理解つくのですけれども、何だかそこのところが非常に変じやないかと思うのですがね。今のお話で一グラム三円四十五銭と四百一円、こういう開きが出て来ているわけです。これはやつぱり当分このままこんな調子で一応進めて行く、根本的にこの際日本の貨幣制度について大蔵省として考えるということはしてない、そういう状態なんですか。
  97. 石田正

    政府委員石田正君) 御承知通り日本は独立になりましてからまだ日も短いのでございますけれども、国際経済に自由に自主的にやりますにつきましても、まだ実際問題としてはかすに時を以てしなければならん実情であろうと思います。そういう際に早々といたしまして貨幣制度をどうするというようなことを申しまするのは、むしろどうかと思うのであります。この点は将来研究を要する問題でありますので、今結論を下すのは少し早過ぎるのじやないかと思つております。それからなおこの国際通貨基金加入することにつきまして、貨幣法の改正を至急しなければ加入できないかどうかという点につきましては、我々は研究をいたしまして、又国際通貨基金とも、通貨基金に内々当つて見ましても、しないでもいいであろう、こういう見通しもつきましたので、今回といたしましては加入することにいたしたい、かように考える次第であります。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 差当つてはそうでしようが、大体ですね、どういう貨幣制度で行くのかについて研究はされていると思うのです。若しかそういう研究があつたらお示しを願いたい。どういう貨幣本位で行くのか。これはまあ学者の研究みたいなことになるかと思いますが、若し大蔵省にそういう研究があるならば、又されてなければならんはずだと思いますが、若しかありましたら、それは大蔵省の方針でなくてもいいのです、いろいろな学者とか何かを集めて研究したようなことがあるならば、将来の日本の貨幣制度を独立して行く、独立後の貨幣制度をどうして行くか、こういう研究があると思う。若しあつたら参考に出して頂きたい。
  99. 石田正

    政府委員石田正君) 日本の貨幣制度を考えまする場合に、私たちは国内的な見地ばかりでなく、国際的な見地も考えて立てなければいけないと思います。そこで国際情勢はどうかと申しますると、これは御承知だと思いまするが、安定いたしておらないのが実情でございます。これは今度の問題、その他に関しましても或いは相当の変革があるのではなかろうかということを我々は考えざるを得ない。そういう情勢を見極めずして日本の情勢だけで、ああだこうだと考えるのはいかんことだと思うのでありまして、そういう意味から言いまして、遺憾ながら研究というものはございません。むしろ国際情勢の研究に重点を置くべきだと考えております。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはやはり研究される必要があると思うのです。今度、今やつてないから、やつてない弁明としてそういう御答弁をせられるかと思いますが、併しこれは何かやはり重要問題として研究されなければいかんのじやないか。又そういう研究をされた場合に何か……。それからですね、これはもうどなたが質問されたかも知れませんが、今後通貨基金としては矛盾した性格を持つておるわけですが、為替取引のほうは自由にして行く、ところが平価取引相場のほうは厳格にして行く、こういうようなちよつと矛盾した性格があると思うのです。今後やはり基金としては為替取引はだんだん自由にして行くというような方向に行くのじやないか。この点為替管理との調整の問題、これはまあどういうように考えて行くか、この点について十分に研究用意がなくて、不用意に入る場合にあとで問題が起ると思うのですが、この点についてどういうお考えを持つておられるか。
  101. 石田正

    政府委員石田正君) 為替管理の問題につきましては、御指摘のごとく、為替管理を成るべく緩和いたしまして、そうして撤廃することを期するというのが国際通貨基金理想であることは間違いないのであります。併しながら理想と現実とは必ずしも一致しないのでございまして、通貨基金といたしましては、戦後の過渡期について五年間なら五年間というものだけは為替管理を認めるというようにしておりまするが、実際問題といたしまして、為替管理を撤廃し得ない事情にございます。従いましてすでに期限が来ておりまするどこの国も、まあカナダ、その他一、二の例外はございますが、大部分の国が依然為替管理を続けておる実情でございます。日本の場合におきましても、これは為替管理を撤廃し得ないということは明らかな事実だと思います。この点につきましては、そもそも日本為替管理国際通貨基金当局と打合せの上できておるのでありまして、これはその点におきまして、何と申しますか、先ほど御指摘の自主性が失われて困るということは万々ないものと思つております。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に先ほどの四条二項のほうはこれはいつ頃、この次の国会あたり……。
  103. 石田正

    政府委員石田正君) これは成るべく早く出すべきが至当だと思いますが、接収貴金属の問題につきましても非常にごたごたいたしておりまして、相当の長い時日を要しなければはつきりしないのじやないかと思つて心配いたしております。それが済んでからということになりますので、次の国会というようにはつきりお約束することは困難だと思います。できるだけ早くやりたいというのが我々の希望でございます。
  104. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 別々に出て来る……、というのはどうもおかしいのじやありませんか。若しかこの法案が通ると、二項のほうの法律が仮に否決されたらどうします。
  105. 石田正

    政府委員石田正君) 我々は否決されないような法案を出したいと思つておるのでございますが、まだ否決されるような法案を出してどうなるかということは残念ながら考えておりませんので、御了承願いたいと思います。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは僕はおかしいと思うのだ。この法案が通るような情勢なら同時に出すべきじやないかと思います。若しそれが別々に出て来るというところに僕はあれがあると思うのですけれども、どうなんですか。
  107. 石田正

    政府委員石田正君) 大体法律はどういうような方向で書かれているかという内容は今申上げたつもりでございます。具体的にはいつ、どういう形で出すかということにつきましては、まだ接収貴金属のほうの処理も報告をとる法案は審議が終つておりませんような状況でございますから、相当の時日を要すると思いまするので、我々といたしましては、時期といたしましてはもう少し御勘弁を願いたいという趣旨でございます。
  108. 小林政夫

    小林政夫君 大分大きい問題が済んだので、国際通貨基金協定の第五条の第三号(b)ですね、「加盟国は、基金の許可がなければ、先物為替取引のための用意として保有する通貨を取得するために基金資金を利用することができない。」、この運用……。
  109. 石田正

    政府委員石田正君) これは国際通貨基金は困つておる国に対しまして、資金の供与をしようというのが目的でございます。併しながらそれを利用いたしまして、そうして本当に必要であるかどうかということがわからないものをやるということは避けようという趣旨になつております。従いましてそういうふうな感じが、このところに出て来ておるのでありまして、資金が、為替取引というのは要するに予約でございます。予約の内容につきましては、実は本当に不明確なものが多いのでございます。従いましてそういうものにつきましては、原則としてはそういうことはできないのだということが謳つてあるわけであります。そういたしませんと、こういう条文がありませんと、現物、先物、双方合せてどかつと持つて行く、何だかわからんということでは困るという趣旨がここに謳われておるのであります。
  110. 小林政夫

    小林政夫君 次の第七項の(b)の(1)「増加額の半額にその年度内に自国の通貨準備に生じた増加額の半額を加えた額に相当する額」、この意味ですね、この数字の意味はどういうところですか。
  111. 石田正

    政府委員石田正君) これは国際通貨基金を無制限に利用さしては困るということが根本になつておるわけです。国際通貨基金に対しましては、通貨の、或る特定の通貨の供給を受けて、而も自分の国の外貨準備が殖えておるというふうなことでは困るわけです。そのときに金をまあ平たい言葉で申して借りた、借りながら外貨準備が殖えておるとか、こういうふうなことでは困るのではないか。そこでこの第七項におきまして、その基金のほうから申しまして、そういうふうな国に対して規定されておるわけでございますが、加盟国は一遍買つても、一遍買いますると、そうすると買戻さなければならない規定をするときに、どういう算定方式を用いるかということがここにあるわけでございますが、その場合にここのところで基金から自国通貨を買戻すに当つては、自国の通貨準備のうちからその年度内に自国通貨保有額の半額と申しまするのは、基金によつて平たい言葉で申しますれば借金した額、借金した額の半額と、それからして自分の通貨準備が殖えましたところの半額と、これを半分合せたもので買取りなさい、それからして、それが前段の場合でございまして、併し買つたものの中からして、その通貨額のほうの準備のほうが減つておれば、減つたものだけ、平たい言葉で申しますれば、或る年度におきまして通貨基金から資金の供与を受けたならば、その半額は原則として買戻しなさい、併しその場合においてなお自国の通貨準備というものが殖えておる、外貨準備が殖えておるならば、殖えた分の半額だけ買戻しを殖やしなさい、通貨準備が減つておるならばその半額だけ減らしなさい、こういう規定だと思います。なぜこの規定を設けたかと言いますと、これは基金協定を作るに当りまして、各国話合いをした結果であるだけでございまして、私たちといたしましては、どういうところから出たかということは、ちよつと申上げかねるわけであります。
  112. 小林政夫

    小林政夫君 どういうわけで出たかということを聞きたかつたわけであります。それでは次の第六条の第一項の(a)、これの原文を見て純計した基金資金を利用することとなつておるのですが、純計したという、ネツトという言葉を使つておるのですね、原文は……。
  113. 石田正

    政府委員石田正君) これは加盟国がいろいろと外貨準備等が足りませんだめに、基金から資金供与を受けます、そういう場合には、これを基金というものの性格といたしまして、経営取引に関して供与するものであるということを原則としておるわけであります。基金といたしまして、資金を供与するのに資本取引ではなくして、普通の取引である経営取引のために供与する建前になつておるわけであります。そこでそういうことでやるわけでありますが、実際問題といたしまして、或る国の国際収支の中には必ず資本的の取引が行われるわけであります。それを一々前以て定めることはなかなかむずかしいのであります。そこであとで事務的に調べて見て、各国国際収支の中で一体資本的な取引はどうなのかということをあとでちやんとネツトを調べました場合に、そのために使われたというふうなことであつてはいけないぞというのが、この規定の趣旨であろうと解するのであります。
  114. 小林政夫

    小林政夫君 まだありますが、もう相対で聞きましよう。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと技術的なことについて……。今の金の国内の相場は幾らくらいですか。
  116. 石田正

    政府委員石田正君) これは我々としましては四百一円なり、四百四円を基準とした相場があるべきだと思いますが、ただ闇取引の点をお聞きになつておるのだろうと思います。闇取引の点につきましては、これは五百円台ではないかという説もございます。六百円台というのともございますし、これは地域によりまして非常に違つておりまして、非常にそういう気配を我々は聞いてはおりまするけれども、正確な、何と言いますか、一本でもございませんようですし、どのくらいの力のあるものかは遺憾ながら捕捉しがたいという事情でございます。
  117. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは大体産金業者が売るというような場合、こういうような相場ですか。
  118. 石田正

    政府委員石田正君) そうではないと私は思つております。要するに私的に金を何と申しますか潰したりするとかする、そういうようなものでございまして、産金業者はそういうことはしておらんはずでございます。それが勢力を持つておるはずはない、かように考えておる次第でございます。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから一番最後の実施規定の所ですね、前各条に定めるものの外、この協定の履行のため必要な事項は、政令で定める、これはどういうようなことなんですか。
  120. 石田正

    政府委員石田正君) これは相手国のそれらの、こういう点はどうなつておるのか、ああいう点はどうなつておのか、いろいろな手続の問題について聞いて来ることが多いと思う、そういう場合に法律の、こういう法律に基いてやつておるという説明をしなければならん場合が多いと思つております。そういうふうなものを大体言つておるわけであります。
  121. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 最後に一点だけ追加してお聞きしておきたいのですが、日本銀行から安く買上げる。今のところは政府の命令でやつている。この第四条第二項で改めた処理をしたところで、その差額というものは、結局上納金として日本政府に又還元される、こういう結論になるようですが、そう解釈していいのですか。
  122. 石田正

    政府委員石田正君) 大体さように考えております。
  123. 小林政夫

    小林政夫君 この各国基金に対する払込ですが、一々そろばんを当つて見たわけではないのですが、多少規定よりも少い。その他これは私この前の二百億の予算審議のときに大分大蔵大臣とやつたのですが、二百億まで出さないでもいいじやないかというようなお話もしたわけですが、いろいろ今度の六千二百五十万ドルですか、これについてはいろいろお話もありましたが、各国の例が規定通りきちんと行つておるかどうか、多少内乱とか何とかで行つていない、そういう特別な協定の内容に書いてあるケースに当てはめて、当然払込額が払込まれておらないというケースもありましようが、その他のほうも若し理由のわからないことで既定の払込額をしていないというケースもあるようでございますが、その点はどうなつておるか。
  124. 石田正

    政府委員石田正君) これは国際通貨基金におけるところの措置として金の払込の問題だと思うのでございます。これは御承知通りに、割当額の二五%か、或いは金ドルのオフイシヤルな純保有額の一〇%、どちらか低いほう、こういうことになつておりますので、我々この間の事情がわかりませんので、この表の土だけで見ますと、その点がはつきりいたしませんので、これは特殊な事情によつては、相当何と申しますか、日本に対して斟酌してもらえるのではないか、特に日本占領下事情があつて、いろいろ特殊な事情があるということは、よく向うにも話したわけであります。ところが向うはこの原則を曲げておらない。ただ新規の割当をいたします新規加入国の分につきましては、大体今申しました両方の基金を見まして、そうして結局割当額を幾ら、金払込額は幾らというふうにきめまして、これは何と申しますか、ネツトのオフイシヤル・ホールデイングは明示しない慣習であるというふうに我々は聞かされておりますので、まあ各国がどれだけ金準備を持つて、それからして各国がどれだけドル準備をしておるか、その運転資金等を除いたらどういうふうになるかという計算につきましては、遺憾ながら我々としてはわかりませんが、そういう当局の説明を納得するより仕方がない。お前の国のほうの二五%のほうが一〇%よりも少いのだという、こういうことで止むを得んかと考えております。
  125. 小林政夫

    小林政夫君 こういうオフイシヤルな保有量というのは具体的にはどういうことですか。
  126. 石田正

    政府委員石田正君) 大体国が持つておるもの、これはその中に入ります。国といたしましても、これはいろいろな勘定に分れておる場合も多いと思います。大蔵省が持つておるということもございますし、平衡交付金が持つておるということもございますし、或いは為替局というものが持つておることもあります。併し国が持つておりますものはみんなこれに入ります。そのほか中央金庫が持つておるもの、これは大体入れられております。それからいわゆる為替銀行というふうなものがありますが、それが持つておりますものは大体運転資金として必要な額を除きましたものを計算いたしまして、それをオフイシヤル・ホールデイングの中に入れているというような実情であろうかと思つております。
  127. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれから討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は本法案に反対いたします。  反対の理由はこれまで政府委員の説明をよく聞きましたが、今差当つてどうしてもこの際入らなければならんという積極的な理由がどうしても見当らないのです。それですぐに加入して何か金を借りられるとか、そのためにどうしても、今非常にこの法案を上げるのを急がれておりますが、そんなに急いで加入しなければならないという積極的な理由が認められない。ただそれから金を現送したりその手続の点で早く上げなければならん、こういうふうに言われておるのですが、何ら積極的理由が見当らない。むしろこれに加入すれば日本は非常に今度は制約を受けるのです。その義務のほうが大きいのであつて、もつとこれは慎重に考えて行くべきではないかと思います。入ること自体に、私は何らそのことが悪いというのじやないのですが、こういうような法案の形で入ることに私は賛成できないです。  それから第二の反対理由は、この第四条ですが、今後日銀から安く買上げた金ですね、それを再評価した場合その差額です。これの補償の問題ですが、それは別に法律で定めるところによつて処理するものとする、この法律の内容が何らわかつていないのです。何ら示されておりません。一応その説明はされましたが、併しどういう具体的内容になつて来るのだかわからないのです。その法律がわからないので、我々若しかその処理の方法に対して、仕方について我々が反対であつた場合には、これに賛成してどうなるか、我々はそういう矛盾なことはできないです。こんな不備な法案を出して、それからさつきお話を聞きますと、実に無理をしておる、もう出資を二百億の範囲にとどめようとして非常に無理をしてこの法案を出されておりますが、そんなに無理をして今この際どうしても入らなければならん私は必要はないと思います。そういう意味で私は本案に反対いたします。
  130. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの法律に賛成するものであります。  ただし第四条に規定しておりますところの日本銀行から買上げたいわゆる金地金に対する差金、これは将来政府が予算措置上当然歳入として見て来るものということは質問の間ではつきりしたのですが、そういつたような財政処置というものがとれること自体が、今までの予算というものに関連した原則からいうと多少変則だと思うのです。併し今回の場合は、これは止むを得ない措置と思いますが、そういうことを前提として考えますとき、いわゆる法案というものに対して、予算措置がとれないからこれはやれませんというような言いがかりはこれで以て一応解消したというふうにも我々は考えられるのであります。そういう点から見ても、将来政府においては予算措置ということを余り限定せずに、必要に応じては臨機の処置をとるということも将来において考えてもいいことだと思うのであります。  それから次に国際復興開発銀行への加盟の点でありまするが、現在は成るほど日本状態から申しますというと、今すぐ借入するということは困難かも知れませんが、将来必要に応じて或る程度の借入が順になされるということの準備をしておくというのは必要だと思うのであります。その借入につきましては、本当に日本の産業の発展のために役立つような事業にこの開発銀行の融資というものを活用するということを念頭に置いて、できるだけ将来の日本産業開発のために資すような意味から、その場に当つてではなく、今からよく検討されるということを特に附加えて置いて賛成したいと思います。
  131. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議がないものと認めます。それではこれより採決に入ります。国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  133. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、前例により委員長に御一任を願います。それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    黒田 英雄   西川甚五郎    溝淵 春次   油井賢太郎    岡崎 真一   森 八三一    田村 文吉   小林 政夫    下條 恭兵   木内 四郎    大矢半次郎  大野 幸一
  134. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) なお国立病院特別会計所属の資産の譲渡等に関する特別措置法案について厚生委員会との連合委員会が明日午前十時から開かれますから一つ御出席を願います。  本日の委員会はこれを以て閉会いたします。    午後三時二十七分散会