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1952-05-28 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第58号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十八日(水曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員の異動 五月二十六日委員椿繁夫辞任につ き、その補欠として江田三郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            野溝  勝君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            溝淵 春次君            小林 政夫君            森 八三一君            大野 幸一君            下條 恭兵君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    通商産業省通商    局長      牛場 信彦君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    外務省経済局第    五課長     光藤 俊雄君    運輸省海運局外    航課長     吉行市太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○小委員補欠選任の件 ○最近の貿易政策に関する件   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 第五十七回の大蔵委員会を開会いたします。  最初理事補欠選挙についてお諮りいたします。去る二十三日菊川委員辞任されましたので、欠員となりました理事補欠を互選しなければならないのですが、前例によりまして、成規の手続を省略して、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。……御異議ないと認めます。それでは理事補欠として野溝委員を指名いたします。   —————————————
  3. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に同じく、菊川委員辞任に伴いまして、請願及び陳情に関する小委員補欠選任をいたさなければなりませんが、前例により委員長より指名することにして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それでは請願及び陳情に関する小委員野溝委員を指名いたします。なお同委員長只今選任されました野溝委員にお願いすることにいたします。   —————————————
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に、最近の貿易政策に関する件を議題といたします。
  6. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、先に設備輸出為替損失補償に関する法案に関連して、通産省その他の意見を聞くはずであつたのでありますが、時間の関係上それができなかつたので、この際質疑をいたしたいと思うのです。設備輸出為替損失補償法案は、あれは日本からの重要物資輸入を確保するということが建前である。で、あれはやはり一つの重要な貿易政策一つとして輸入重点、ここに問題があるのです。併しそれは又あとで何することとして、最近日本貿易上に重大な変化が現われて来ているわけでありまして例えば対米貿易或いは対ポンド貿易、或いはオープンアカウント地域に対する貿易、更に貿易ばかりでなく、国際收支の上から非常に重要なウエイトを持つていた特需特別需要についても非常にこれが激減して来ておる。そこで今後の日本国際收支を一体どういうふうにしてこれをバランスを合わせて行くかという問題の一環として最近における日本貿易変化について先ず通産局長に私は伺いたいと思う。今日の朝日新聞を見ますと、通産省では二十七年度の貿易見通しを再検討した結果、輸出十三億二千七百万ドル輸入十八億一千三百万ドルと、当初の見通し輸出十五億ドル輸入二十億四百万ドルを大幅に下廻る結論に達した、こういうふうに伝えられております。この二十七年度の貿易見通しについては朝日新聞が伝えているように通産省では見通しをつけておられるのか、先ずその点についてお伺いいたしたいと思います。
  7. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 今年度の貿易見通しにつきまして、先般来検討を重ねておりますことは事実でございますが、まだ結論としてはつきりした数字は出て来ておらないのでございます。ただ現在輸出が不振である。これは日本だけではありません。世界的な一つの現象であると思うのでありますが、その余波を食いまして、日本輸出が昨年は一昨年の倍、一昨年はその前の年の倍というふうに非常に伸びて来た。それが今年はそうは行かないのじやないかというように考えておるところであります。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今計数について御質問したのでございますが、そういう朝日新聞では今申上げたように、当初の予想よりも僅かながらいいんですよ。例えば輸出については十五億ドルが大体十三億三千七百万ドルに減るかもしれない。輸入は二十億四百万ドルが十八億一千三百万ドルに減るかもしれない、正確な数字はこれは見通しでありますから、これはわからないのでありますけれども、これを見ますと相当に大幅なんです。それは世界的な不況も勿論あるかもしれません、又あるんでしよう。原因はともあれ非常に大幅な減少が予想されるんであつて、これでは講和後の日本自立経済に重大な影響を受けると思うのです。今の二十七年度予算もその他の自立経済計画も大体当初の輸出十五億、或いは輸入二十億ドル程度貿易を基礎にして立てられておるのでありますから、こういうような非常に大きな見通しの違いが出て来た場合については経済全般経済政策全般について再検討をしなければならない段階に来ておるわけです。而も特需は激減する、これは重大な段階に来ていると私は思うんです。そこで、その程度なんですが、この朝日新聞が報道しているような程度にやはり非常に辛く見通しているのか。それで具体的なことについての何か資料がありましたら、あとでその資料を頂きたいのですが、大体その勘どころをまあ聞いておるわけです。
  9. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ああそうですか。十五億の見通しが十三億に減るというような激減は私どもはないと考えております。ただこれは、これからインドネシヤでありますとか、タイでありますとか、そういう国と通商交渉をやるわけでございまして、その結果に非常にかかつております。従いまして見通しといたしまして、非常に悲観的な数字が出て来るようなことはないと思うのでございますが、これは今後の努力によりまして、大体十五億をちよつと下廻るぐらいのところまで持つて行けるというふうに考えております。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは私は貿易仕向け先別にかなり具体的に伺いたいのです。先ず対ドル貿易について伺いたいのですが、最近御承知のように、アメリカではまぐろミシン陶磁器毛糸手袋絹スカーフ、こういうものについて関税引上げ運動が起つて来た。それで日本貿易政策としては、成るべくドルバランスを有利にするために、アメリカに対する輸出は多くして、アメリカからの輸入は成るべく減じて、これをポンド圏からの輸入に振り替えると、こういうのが講和後の自立経済計画一環としてあつたのです。ところが最近アメリカにおいては日本の相当重要な商品についての関税引上げ運動が起つているのです。この結果として安本などでも大体二十七年度ドル地域輸出見通しは、三億三千万ドルぐらい当初予想しておつたと思うのです。これが更に相当まあ減るのじやないか、こういう状態になつて来ているのですが、最近におるアメリカのほうの関税引上げ運動実情、それからその見通し、延いてそれに関連して今後の対米輸出見通しについて伺いたいのです。
  11. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 今朝の新聞にも、マーフイー大使の言明が出ておりましたが、まぐろ輸出、あれは冷凍まぐろでございますか、輸出関税引上げのあれについては非常にまあ遺憾であると、これはたとえ議会を通過しても、大統領の拒否権が発動されるということも考えられるということが出ておりました。先般アチソン長官も又そのような趣旨のことを言つております。従いまして現在ミシンでありますとか、或いは絹スカーフ陶磁器というふうに、問題になつておるものは相当あるのでございますが、これも非常なひどい向う側で関税引上げを受けるとか、或いは制限を受けるというようなことはないものと思いますし、又そういうふうに努力をして行きたいと思つております。陶磁器などにつきましては、これは日本だけの問題ではございません。むしろ日本よりもイギリスでありますとか、そういう国のほうが影響が多いのでございましてアメリカとしても十分その点は考慮することと考えられますし、ただ今年はまあいろいろ選挙の年でもありますし、アメリカ政府としても、乃至は殊にアメリカ議会としても、いろいろそういう困難な状態にあると思うのでございますが、見通しといたしまして、そういうひどい制限を受けるとは考えておりません。従いまして、ドル輸出につきましては、大体昨年程度は行けるというふうに考えております。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ希望的観測としてはそうでありましよう。それから又通産省としてはそういう御答弁をしなければならないのですが、今御答弁のような程度で終われば、これはまあ非常に幸いなんですが、私は今後の世界経済変化を見通す場合に、そんなに楽観できないと思うのです。そんな甘い考え通商政策をやつておられたのでは、私は非常に見当違いになつて来る。それは朝鮮休戦本当に成立したら、今までの軍拡景気はそこで解消されて来るのであつて、この景気反動というものは相当私は深刻に考えるべきです。そうなつた場合、アメリカでは国内産業保護の立場からそういう高関税政策に、又前にも何とかいう関税政策がありました。ああいう非常な高関税政策をとつて来るのじやないかと思われるので、私はこの点についてもつと真剣に考えられる必要があると思うのです。非常にお座なり的な答弁で、私はまあ満足できないのですが、併しこれ以上質問しても無駄だと思いますから、次に私は対ポンド貿易について伺いたいのです。それで対ポンド貿易については、まあ安本なんかの当初の予想では大体対ポンド貿易は六億ドルぐらいの輸出ができるだろうという見通しつた。ところが最近では五億ドルを割るのではないか、こういうような見通しになつて来ているのです。まあ濠州の関税引上げとかイギリス本国輸入抑制等考えますと、これはなかなか楽観できない。対ポンド貿易については先ず輸出についてはどう考えるか。
  13. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ポンド向け輸出については御承知通り現在一番日本が苦に病んでおるところのものにポンド貨の累積ということがございます。これは先般の英国側との会議の際にも日本側から特に強く申しました。その結果といたしまして、日本側輸出の調整をやる、イギリスのほうもこれはほかの理由もありますが、日本品輸入を或る程度制限するというようなことになつて参りました。これは誠に遺憾なことと存ずるのでありますが、一方におきましてポンドがどんどん溜つて行くということも、これは日本経済にとつて誠に困つたことでありますので、ポンド実勢が回復するまでの間或る程度貿易規模縮小するということは、これは誠に止むを得ないことじやないかと思つておるのであります。通産省としては特にこの点は辛いところでありますが、やはり日本全体として見た場合には或る程度犠牲を忍ばなければならないのじやないかと考えております。  それから最近ポンド地域の諸国の状況を見ますと、日本が物を買つて呉れない限りは日本の物は買わないという考え方が非常に強く出ております。パキスタンのごとき、これは従来から日本輸出超過した日本の一番大きなマーケットであつたのでありますが、今般の通商交渉におきまして、とにかく日本との貿易バランスしなければいけないのだ。従いまして日本が物を買つて呉れない限りこつちは買わないということになつております。従つて今後のポンド向け輸出見通しは、非常に大きな部分が、日本がどれだけポンド地域から買えるかということにかかつております。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今後の対ポンド輸出日本ポンド地域からどの程度の物を買うか、つまり輸入するかという意味合において考えられるというお話でありますが、最近は多少事情違つたかも知れませんが、ポンドの闇相場ですか、こういうものが実在する結果として、どうしても輸入減つて輸出が殖えるという傾向になる、これは御承知通りであります。これを直さないで、そうしてこれに対して適切な政策をとらないで輸入を如何に図ろうと言つたつてそれは無理であります。輸入は困難であります。減つて来る。この状態では輸入が減ればこの意味合において輸出が減る。そうすれば対ポンド貿易縮小の一途を迫る。こういうような形になる虞れがあるのじやないか、この点はどうなんですか。  それとついでに東南アジアオープンアカウント地域だと思いますが、インドネシア等との通商協定、これはどういうふうに最近なつておりまか。東南アジア東南アジアと随分声を大にして言われて来ておる。講和後の日本経済自立にとつて東南アジア市場開発ということは非常に重大なウエイトを持つておるはずです。最近その方面との通商交渉実情、こういうものをちよつとわかりましたら、これは外務省のほうかも知れませんが、牛場さん知つておられる限りにおきまして、どうなつておりますか。
  15. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ポンド実勢レート公定レートを下廻つているために御指摘のような事情にあるということは、これは事実でございまして、その点が一番ポンド問題の解決の難点になつておると思います。従いまして、理想的なポンド問題の解決というのは、ポンド実勢を回復して、更にでき得べくんはドルとの実勢を回復して呉れればいいと思いますが、その過渡的な期間に何らかの形で、ポンド公定レートよりも低くなつておりますが、実勢レート日本としても使えるようにするべきではないかという議論、これは大蔵省為替管理委員会のほうからも非常に強くございました。我々も若しもそういうことができるならば非常にそれは結構ではないかと考えております。これは恐らく国際通貨基金でありますとか、乃至は日英支拂協定関係から申しまして、そう簡単にはなかなか行かない。それから輸出にだけは公定レート使つて輸入のほうは実勢レートで行こうというような、こういう考え方を業界のほうでよく伺いますが、これは理窟に合わない話でございまして、なかなかそうは行かないと思います。それから通商交渉のことは、現在これから始めようというところで、余り機微に亘る点は一つ御勘弁願いたいと思うのでありますが、インドネシアが一番大きな問題になつておりまして、現在六千万ドルほどの貸越しがございますので、本来ならば現金で取立てるべきでありまして、何らかの形におきましてこれを幾らか緩和しようということと、それからこの次に、協定によりましては、できるだけ日本向うから物を買えるようにして貿易規模拡大を図りたいということを考えております。これは大体きまつた方針であります。六月の初めにこちらからミッシヨンが行つて向うで話をするということになると思います。タイ国につきましても、恐らく向うの現地で交渉することになると思います。タイ国につきましては、米の輸入確保というものが非常に大きな問題になるわけで、ございまして、そのために一番都合のいい決済方法をとりたいという考えでおります。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 タイ国などでもこの輸入抑制傾向が非常に強いようでありますが、そうしますと、大体ポンド地域に対する輸出も先ほどの御答弁で、過剰ポンド対策として成るべく抑制政策をとつておる。そうすると大体ポンド貿易が前年度より減るものと見られる。次にオープンアカウント地域でありますが、今のお話によつても昨年度くらいにとどまればいいでありましようが、安本なんかの作業では最初四億ドルくらいオープンアカウント地域に見ておりましたが、三億五千万ドルくらいに減るのではないか、こういうふうに見通されておる。オープンアカウント地域見通しはどうなんですか、それは大ざつぱでいいのです。殖える傾向か減る傾向かという程度でいいのですが、どういうふうに通産省としてお見通しになつておりますか。
  17. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) オープンアカウント地域につきましては、これは大体国別貿易計画というものを毎年作りまして、それでやつております。勿論これは貿易計画数字と言いますものは、これは決して拘束的なものではないのでありますが、大体見通しをつけてやつておりますので、オープンアカウント地域輸出がどの程度になるかということは、今後のインドネシアタイとの交渉に非常にかかつておるわけでございまして、まだ大口が残つておりますので、はつきりわからないというところでございます。ただ現在アルゼンチンとかブラジルにつきましては、交渉中でございまして、これは昨年よりも拡大できるのではないかと考えております。昨年よりも縮小は或る程度は止むを得ないのではないかと思われますが、フランスとかスエーデンとか、現在貸越しになつておる所、インドネシアも幾分の縮小は免れないと思います。その他の地域につきましては、できるだけ一つ拡張を図りたい。台湾でありますとか、タイ国、フィリピン、そういうような所は非常に経済的にもうまくバランスできるような国でありますから、これは均衡的な状態においてできるだけ拡大して行きたいというように考えております。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 全体として通産省では今後の日本貿易輸出貿易は多少減つてもよろしい、抑制方針をとつて、そうして輸入重点に切替えて行くのかどうか。どうも現在の政府のいろいろな政策を見ますと、輸出重点よりも輸入重点のほうに移つて行くのではないか。それは過剰ポンド対策というものが主たる目標になつておると思うのですが、この間大蔵委員会で実は通りました設備輸出為替損失補償法案どもその一つの例であります。通産省としてはこれはどういうふうにお考えになりますか。
  19. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは非常にむずかしい問題でございまして、我々は同時に国内産業振興開発国内資源開発ということも勿論重点的に考えておるわけでございまして、輸出振興或いは輸入重点を置くか、乃至は国内資源開発重点を置くかということは、これはどちらとも言い切れない問題であろうと思うのでございます。輸出を幾らか抑制してもいいというようなことは我々は非常に言いたくないのでありますが、主としてスターリング地域との関連もありまして、止むを得ずああいうふうになりました。ただ我々といたしましても、先ほど申上げましたように、輸出が今までのテンポでは伸びないということは、これは少くとも今年度につきましては止むを得ないのではないかというふうに考えておる次第であります。輸入促進というふうに申しますのは、これは要するに結局において輸出をしたいために輸入をしたいという話でございます。決して国内産業ばかりを無理してどんどん外国の物を入れるということではございませんので、又どうしても日本はそういうようなことができる国柄ではないと考えております。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、これは非常に重要だと思いますのは、昨年度より二十七年度の輸出減つても止むを得ないのではないか、こういうふうに通産省では考えたいというお話ですが、そうしますと、二十七年度の日本国際収支というもののバランスをどうしてとつて行くか、重大な問題になると思う。それで而も最近の新聞に頻繁に出ておる経済安定本部貿易見通し作業、或いは通産省貿易見通し作業によりますと、二十七年度の貿易が多少減るどころじやない、相当減る見通しになつているのです。先ほど私は数字について申上げましたが、そうしますと、これは今後の日本国内雇用政策或いは景気政策、こういうものに重大な関係が出て来て、そうして倒産するものが出て来る、或いは失業者が出て来る、賃金の不拂いというものが出て来る、これは相当な不景気がやつて来るのではないかと思うのです。これまで貿易はそうなつて特需があるからいいということを言つておる。その唯一の救いの特需が一月に三千四百万ドル、二月には千七百万ドル、三月には九百万ドルですか、一千万ドルを割つておる。四月には千二百万ドル、大体三分の一くらいになつて来た、特需が。そうすると、日本国際収支バランスは一体何で収支を合せて行くかというと、輸出貿易が非常に見通しよりも減つて来るということと特需の減退による日本国内産業維持操業程度維持、それから雇用維持こういうものを何でやつて行くか、私は重大な局面に直面していると思うのですが、どうも余りにこの点について一般に関心が薄いので私は不審に思つております。通産局長も先ほどの御答弁では、それは心の本当の底ではそう思つていないかも知れませんが、我々に対する答弁としては、非常に通り一遍の答弁で、大した苦悩の顔色も見えないんですが、この点一体どういうふうにお考えか、その点今までの私の質問の結論として最後にその点を伺いたいのです。今後一体どうするのです。そういう輸出減つて行つても仕方がないと放任できるのかどうか、伺いたいんです。    〔委員長退席理事大矢半次郎委員長席に着く〕
  21. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これはどうも私から御答弁するのは、余りちよつと問題が大き過ぎると思うんでございますが、私ども決して輸出減つて行くことを放任するということを申上げたのではないのでございまして、とにかく輸出維持するためにもあらゆる努力をしたいというふうには考えております。ただ現在の情勢、主として日本自体よりも外部的な情勢からいたしまして、今年はそうは輸出は伸びない、つまり今まで伸びて来たような勢いで伸びることはないのではないかというふうに申上げたわけなんでございますが、輸出見込よりも輸出が若し下廻るということになりますと、これはその範囲におきまして資金的にも日本全体として余裕が出るわけでございますから、その分は国内産業振興に向けて頂く、例えば電源開発のようなことを大いにやるというようなことによりまして、只今指摘になりましたような問題は或る程度解決ができるのではないか、これは私の本当の未熟な考え方でございますが、というふうにも考えておる次第であります。   それから又国際収支につきましては、これは現在日本の持つております外貨、これはいろいろな原因溜つた  のでございますが、相当多量にあるのであります。今年の国際収支が幾らかつまり拂超になつたといたしましても、そういたしましても、そう急にあわてるほどのことはない。それよりもむしろ現在ある外貨を効果的に使いまして、将来の飛躍に備えるということが至当ではないか。結局長い目で見て一番いいところに日本国際収支バランスを持つて行くということがいいのではないか。これは例えばポンドの問題にいたしましても、今年一年で解決しろというようなことで若しやるとしますれば、これは非常にドラスティックなことをやらなければならない。これは私どもとしては絶対に避けたいのでございまして、三年なり五年なり先見通してやつて行きたいというふうに考えております。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今過剰ポンドを、それから又たくさん持つている外資を効果的に使うことが重要なんであつて従つて差当り国際収支バランスについてはそう心配する必要がない、一応御尤もの説明でありますが、併しそれを効果的に使うと言つたところで、一体何に使うか、近代設備輸入する、原材料を輸入する、それにしても作つたものが売れなければしようがないんです。輸出できなければしようがない、日本拡大生産にならないんです。ところが、輸出が先ほども私が質問しているように八方塞がりです。ドル地域に対する輸出もそう伸びるとは思えないし、関税もああなつているようで、又ポンド地域に対する輸出はむしろ減つてオープンアカウント地域についてもそう殖えることは期待できない、それを輸出努力をすると言われるが、一体どこに努力しておりますか。私は一番、今はもうとにかくイデオロギーとか何とかより、日本の今後の景気政策としても、この日本輸出貿易の八方塞がり、或いは特需の減退による国際収支の減退傾向を防ぐ途は中共貿易をやつて行くよりほかにないと私は思うのです。よく中共貿易はいろいろな関係でできないと言うけれども、中共貿易をやらないで日本の今後の自立経済がどう立つか、特需で立つて行くか、特需減つて来る。結局残るはアメリカ軍の国内で消費する金、そういうようなことに多く頼らざるを得ない。その中にはいわゆる貞操切符の販売収入が含まれている。こういうものに頼ることは日本民族の堕落ですよ。そこで私は中共貿易のことを伺うんです。最近牛場局長新聞記者との談話で、二十三日でありますが、近く米国政府に対して公式に対中共禁輸品目の適用緩和の折衝を行うことになるかも知れない、こういうふうに語つておられる。これは事実であるかどうかですね、そういう意向を持たれておるかどうか、この点を伺いたい。
  23. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) その新聞の記事はどうも少し私の申したところと違つておるところもあるのでございますが、私が申しましたのは、要するに今の中共貿易の緩和、特に日本からの輸出品目の或る程度の調整ということにつきましては、関係各国、殊にアメリカ等に協議する必要があるのではないか、そういう意味合いの協議は従来とも非公式にやつて来ておるんだという意味のことを申上げたのでありまして、外務省のほうからもこの点については御説明申上げます。
  24. 光藤俊雄

    説明員(光藤俊雄君) 中共貿易につきましては、品目表の調整につきまして、非公式に話したことはございますが、まだ正式には話しておりません。非公式にいろいろ相談はいたしております。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどういう相談なんですか。バトル法の適用品目を緩和してもらいたいという折衝なのか、それとも今のバトル法の範囲内でもつと輸出できるように折衝するのか、その折衝というのは私はおかしいと思うんです。大体何を一体折衝するのか、日本はもう独立したはずなのであります。一体折衝というのは何を言うのか、私はわからないのです。大体最近の中共貿易に対する非常なその障害はバトル法以上にきつい輸出管理令をやつておるからなんです。ですから、それは日本政府の決意如何にあるのじやないのですか。バトル法の範囲内でも相当輸出できるのじやないのですか。それをバトル法の範囲内よりも更にきつい輸出管理令を敷いておるからできないのじやないのですか。そうだとすると、何をアメリカのほうへ折衝するのですか。日本政府の範囲でできることをアメリカに折衝するということはそれは私は事情はわからないのです。私は内部のことはよくわかりませんから、一つどうして独立後の日本においてアメリカと折衝しなければ日本輸出管理令を緩和できないのですか。その理由を一つお伺いしたい。
  26. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは外務省から申上げるほうが或いはいいかも知れませんが、私から申上げます。この問題につきましては、いろいろ従来説明の足りない点もありまして、誤解が各方面にあつたと思うのでございますが、二つここに問題があるのでございまして、一つは去年の五月に国連におきまして、中共向けの即ち禁輸勧告をいたしたことがございます。それを日本側にも通告がございまして、日本にも協力して呉れ、そのときに日本政府といたしまして協力をいたす、こういうことを申しました。日本が現在どういう程度輸出統制をやつているかということを通告いたしました。その際にこの国連の勧告するところの禁輸の目的を達成するためには、若し他の各国がそう欲するならば、日本政府はその協力の仕方について協議して行こう、こういうことを申入れたわけなんであります。それで従いまして、そのときに日本政府が申入れまして、その統制のやり方を変えるというような場合には、精神から申しますと、やはり関係各国と相手方が欲するならば協議をしようということになつておりますので、アメリカ側はそういうことを欲しておることは今朝の新聞にも出ておりましたが、明らかなことでありまして、従いましてこの点におきまして日本側ではやはり協議しようということをコミツトしておるということは言えると思います。  それからもう一つはバトル法自体の問題でございますが、バトル法には公表になつております品目以外に、いわゆるタイトル・ツーという部分がございまして、これは秘密になつておりまして、私どもも全貌はよく了承しておらないのでありますが、これは一定の品目は掲げてはおりますが、それは制限的なものではなくして、それ以外に如何なる品目でも含み得るのだということがアメリカ側の考え方でございまして、従いまして或る品目を中共に輸出しようという場合におきましても、若し黙つてつてアメリカ側がそれは困るというようなことになりますと非常に困難な問題を生ずる虞れがある。従いましてこれはバトル法の精神から言いましても、日本側アメリカから或る程度の援助を期待するという以上は、やはり話をしたほうが適当であるというふうに考えられます。現にヨーロッパ各国はすべてアメリカ政府と協議をした上で対ソ連圏、中共を含む対ソ連圏の貿易を行なつております。そういうような状況から見ましても、日本が独立を回復した曉におきましても、やはり関係各国、殊にアメリカとは協議をした上で中共貿易方針を決定して行くというほうが適当ではないかと考えております。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体独立後においても、中共貿易を緩和するには、国連の前の朝鮮動乱を契機とする禁輸の関係上、それから今後日本アメリカから援助を期待する関係上、バトル法についてもあらかじめアメリカに協議する必要がある、こういう意味であるということは一応わかつたわけです。それはそれとして一応わかつたのでありますが、それでは通産省としては今後中共貿易を緩和して行こうという意思があるのかどうか、若しその意思があるならば、国連の中共貿易禁輸の問題について、国連側とこれを相談して緩和を要請する意思があるのか、それからバトル法の適用、パート・ワンですか、タイトル・ワンですか、それの適用だけでも相当の貿易はできるのでありますから、そうすると日本の今の輸出管理令というものは相当緩和できるはずです。そこでアメリカと相談して今の輸出管理令を緩和する意思があるのかどうか、この点伺いたいと思います。
  28. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 対中共の輸出管理につきましては、これは品目以外にいろいろほかにもあるのでございまして、それを全面的に緩和するということは、通産省といたしましても望ましくはないと考えております。ただ品目につきまして、明らかに他の諸国の行なつておりますよりも非常に行き過ぎておるというものが実際にありますので、そういうものにつきましてはアメリカ側と協議をした上で調整して行きたいというふうに考えております。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、中共貿易に対してそれを緩和しようとする意思はある。そうですね。それでそれに向つて努力する。それから国連関係のほうについてはどうなんですか。やはりそういう努力をしなくてよろしいのですか。單に部分的に一、二品目の緩和でなく、中共貿易に対して根本的に一体どう考えておるのかをもう少し伺いたいのです。今中共貿易を阻害しておる一番大きな原因輸出管理令であつて、バトル法の適用を、若し日本アメリカの援助を今後期待するとすれば、これを除外しろということは、直ぐは無理かも知れません。併しながらバトル法の範囲内においても、ミシンとか、亜鉛鉄板とか、農機具とか、船舶とか、それから綿製品、紡績機械等は輸出し得ると思うのです。若し今後中共貿易によつて、最近もう八方塞がりになつて行き詰りになつ貿易国際収支特需の減退、収支バランスを打開する一つの、私は全部とは言いませんが、一つの血路として行くなら、中共貿易についてもつと私は政府が認識を深むべきであり、国際経済会議或いはアジア経済会議、あれはソ連側の宣伝謀略である、そんなような、岡崎国務大臣が二十三日に国連の東京の支部の総会で言つたような、あんなことをやつていたら、実際日本の経済はもう行き詰つてしまうと思うのですよ。そういう意味で、今の実情として中共貿易考えないで一体どうして日本の経済を今後自立さして行くか、重大な問題ですよ。ですから真剣にこの中共貿易については私は牛場局長もこれととつ組まれたいと思うのです。とつ組んで、そうしてその障害を極力如何にして除去したらいいかということを考えてもらいたい。ですからその根本の態度について、一体今後それを拡大して行こうとしておるのか、その根本の考え方と、もう一つ、差当りバトル法の適用の範囲内まで貿易管理令を緩和する折衝をアメリカとされるのかどうか、この点明確に伺いたいのです。
  30. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 中共貿易につきましては、政府として中共貿易ができるような途をつけてやるということと、実際にどの程度できるかということと二つ違つた問題だと思うのでありまして、通産省といたしましては国連協力、対米協力の線に沿う範囲内におきまして中共輸出品目の調整を図りたいということ、これは非常に考えておる次第であります。先ずそういうふうな意味で外務省にお願いしてアメリカ側と非公式に折衝をして頂いておるという状況でございます。  それからバトル法のことは、先ほども申しました通り、現在バトル法において公表されております第一部、あの分だけとめたらいいのじやないかという御趣旨は、ちよつと私は通らないと思うのでありまして、アメリカ側の解釈によりますと、第二部、つまり不公表の不特定多数の品目を含んでおるところのものがあるので、それについてはアメリカ政府とあらかじめ協議をしてくれということをバトル法自体にもちやんと書いてありますし、又アメリカ側からも数回そういうことの申出もございまして、従つてあの線まで一挙に緩和するというようなことは、ちよつと望めないのじやないかと思います。ただ今後問題になる品目がありますたびごとに、できるだけアメリカ側と調整を図つて行きたい。これは外務省を通じてやるわけでございますがそういうふうに考えております。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 バトル法パート・ワン、タイトル・ワンというのですか、その一部のほうでどういう品目がやはりパート・ツーのほうの適用を受ける不特定でアメリカの承認を受けなきやならんことになるのか、こういうものはどういうものであるかを、これは今すぐでなくてもいいです、資料がありましなら伺いたいのです。  それから我々非常に不勉強で、バトル法というものをよく知らないのです、実は。そこで資料として御提出願えるかどうか、バトル法のパート・ワン、パート・ツー等について品目別に詳しく調査されたものがあつたら出してもらえないかどうか。最近非常にバトル法が重要になつて来まして、私たちは今までバトル法というのはよその国に適用されるくらいに思つてつて、一応そういうものがあることは知つてつた。最近非常に重要になつて来ましたので、実はこれをもつと具体的に知りたいのであります。そこでそういうバトル法について詳細なものを、品目別のパート・ワンの適用を受けるものはどういうものであるか。パート・ツーの適用を受けるものはどういうものであるか。これを資料として国会に提出して頂けないものですか。
  32. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これはバトル法の公表されている範囲のものは今期国会の初めに参議院の通産委員会に提出したことがございますので、これはお手許に差上げられると思いますが、ただタイトル・ツーのほうは全然秘密になつておりまして、これは私たちも全貌をよく知らないものでありまして、これは先ほど来申しましたように、限定的なものではなくて、あらゆるものを含み得るものだというふうに御了解を願いたいと思います。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に一つ、今までの御答弁によつて通産省としてはやはり中共貿易の緩和に努力する意思のあることはわかつたのです。併し問題は努力、熱意の程度、又必要性の認識如何にかかるのでありますが、これは先ほど私も申上げましたから、もう繰返しませんが、本当にこの問題と真剣に通産省は取組まないと、    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕 今後の日本貿易は大変なことにたる。私はそう思います。貿易だけでなくして、その結果として日本国内産業は私はもう行詰つて来ていると思う。失業者がもう非常に多く出ておりますし、雇用政策の上から言つても、延いては日本景気政策全体の上に大きく影響いたしますので、こういうことは牛場局長も大臣なりその他の経済閣僚に訴えて、そうして努力されることを私は希望いたします。  それから次に対ソ貿易について伺います。対ソ貿易について、これまで対ソ貿易に従事しいろいろな商社の人たちの会合が最近あり、私もそういう所に出て、私は素人でありますからわかりませんが、実情を聞くことに我々は努力いたしたのであります。そうしますと、船の修理なんかについてはやはり取引ができるやに聞いております。ところがそれには非常な障害がある。特に日本国内において障害があつて、一番難関は牛場通産局長にある。それでイデオロギー的に言つても、過去の経緯から言つても、必要な立場におかれても、どうも通産局長はなかなかこれに対して許さない。対ソ貿易をやると、共産党の宣伝がそこで行われ、対ソ貿易によつて得た利益は日本共産党に寄附するからこれは許されない、或いはソ連の船の修理を引受けて、その船員が上陸した場合には共産主義の宣伝をするのじやないかということでうつかり許せない、こういう立場からなかなか許さないのじやないかというような噂を我々には聞いているのであります。そこでこのあとで運輸省のかたに伺いたいのでありますが、仮に運輸省のほうで船の修理をする場合に、ソ連の船が入つて来てもいいということを言つても、又船の修理を認めても、通産省のほうで認めない。そこで折角まあ船については今の造船所の設備はまだ遊休設備があるのであります、能力はあるのです。そこで少くとも少しでも日本外貨を獲得しなければならん、そういう際にそういうものまでも拒否する、これは一体どういうところにあるのか。私は対ソ貿易について、これは中共貿易と又切り離して対ソ貿易については許さない方針をとるのか、或いは許されるものは、何とかして今の日本の国際的立場において許される範囲においてはやはり対ソ貿易もこれを緩和し、拡大するように努力される意思があるのかどうか。この点について牛場通産局長の御意見を伺いたい。
  34. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 勿論現在の日本貿易管理令、輸出入の管理令の範囲内におきましては、これは対ソ貿易というものも行い得ることでございます。現在まだ取引がうまく行きませんのは、主として値段の問題、もう一つ向う側の要求しまするところの見返輸出の品目その他につきまして、具体的な案がなかなか出て来ないというところにあるように承知しております。船の修理と申しましても、これは非常にむずかしい点があるのでございまして、軍艦の修理などは勿論引受けられないと思いますし、又船の修理に名を借りていろいろなことが行われることになると、これは困る問題であります。併し我々は具体的に案が出て来ればいつでもそれを検討する用意はいたしておりまして、そういうふうに業者のかたにも申しておる次第でございます。  それから誤解を避けますためにちよつと申上げますが、中共貿易につきましては、実際上現在の状況で例えば道をつけたところで、どの程度貿易ができるかということにつきましては、我々は客観的に見まして非常に悲観的な観測をしているのであります。例えば船の問題、決済、通貨の問題、危険負担の問題、その他いろいろ考えて見ますと、とてもこれはむずかしいのじやないかというような考えを持つていることをちよつと申添えておきます。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはまあ今中共貿易についてそう楽観しておらない、むしろ悲観的だ、船の問題、決済方式の問題、通貨の問題、一応確かにそういうネックがあることは我々承知しております。併しそういうことをどうして政府が打開することに努力するかということが問題なんであります。そういうように考える、そういうことは悲観的であります。そういう態度は、私は曲解すれば、如何にして中共貿易を阻害するかという態度を通産省がとつているのじやないかということを曲解せざるを得ない。そういうネックがあるけれども、船の問題は困難だ、通貨の問題も……、併し実際家に聞けばいろいろ方法はあるのです。最近実際家の意見を聞けば、政府の中共貿易に対する認識は偏頗である、全く実際問題を知らないと言つております。牛場局長はそんなことはないと思いますけれども、私はそういう点について政府はもつと実情をよくそういう実際家から聞き、又調べ、そうしてネックを打開することに努力することに熱意を持つて頂きたい。何も局長を非難したり攻撃したりする意味ではございません。私は本当に今後の日本貿易、或いは国際収支国内自立経済、或いは景気政策雇用政策、こういうことを全体総合的に考えて、私はどうしても中共貿易を何とかして、困難があつて努力をして行かなければ駄目だ、日本の将来の経済のためにやるべきだと思います。私はそういう立場から質問しているのでありますから、決して攻撃するのじやないのでありますから、その点は誤解ないように一つつて解釈されて、努力して頂きたいと思うのであります。  それから対ソ貿易について運輸省のほうに御説明を煩わしたいのですが、運輸省のほうでは船の修理等についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  36. 吉行市太郎

    説明員吉行市太郎君) 実は私船舶の修理関係の部門を担当いたしておりませんので、ちよつとここで申上げかねるのでございます。海運局の日本船のオペレーシヨンの問題に関係いたしておりまするので、どうぞ若し何でございましたら、あとで別の機会に担当部門から説明させるようにいたしたいと思います。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこの前もそうだつたのですが、いつも私は、こういう問題を聞きたいのであるからこういう政府委員を呼んで呉れということを要求しているのです。実は私は大臣じやなければいけないとか、次官じやなければいけないとか、局長でなければいけないかと言つているのじやないのです。課長でも事務官でもいいのです。その問題がわかる人を呼んで呉れと言つても、やはり来ていない。ですから先ほど私は岡田さんを要求しておつたのですが、そうじやないけれども、問題はわかると思つて質問した。こういうことは非常に時間の空費になるのですから、この点はよく連絡をとつて今後して頂かないと、この間もそういうことがあつたのです。ですからこの問題を私ははつきり言つているんですから、そういうことはないように願います。私の質問はそれではその点についてあとで他の機会に文書か何かでもいいのです、わかりましたら御報告願いたいと思います。それからさつきの資料の点ですが、それは公表されて差支えないもので結構なんですから、我々の今後の研究資料として是非出して頂きたいと思います。
  38. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) かしこまりました。
  39. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと吉行説明員に伺いますが、岡田さんは今日止むを得ない用があつておいでにならないのですか。
  40. 吉行市太郎

    説明員吉行市太郎君) はあそうです。
  41. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 今木村さんからのお話ですが、成るべく岡田さんがおいでにならないとしても、度々お招きするのは大変ですから、吉行さんから御説明願いたいというように希望してあるわけなんですが……。
  42. 吉行市太郎

    説明員吉行市太郎君) 実は今日のポイントはどういう点であるか、出て来るときにはつきり連絡を受けてないものでございますから……。
  43. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) じや木村さんお含み願います。そういうわけで交渉してあつたのです。
  44. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 木村委員の問質の中で関連した事項で簡單にお伺いしたいと思いますが、中共貿易の促進方についての具体策です。これはやはり今日本の国民が特に注視している点でありまして、どうしてうまくできないか、できるかということが明瞭でないというのが一番問題だと思うのです。そこで三、四日前でしたか、日本経済新聞にも具体的の取引方法についての大豆とブリキとトタン板のバーター制について申出があつたということが出ていたのです。その点について具体的に一つ説明を願いたいと思うのですが、御承知のように中共の地区からは優秀な大豆を日本に出してよこしたい。併しそれに対してはブリキ板、トタン板をバーター制としてよこしてもらえないかというような話が来ているわけです。その点はもう通商局長は御検討になつておられると思うのですが、何でも通商局へ行つてそういう話をするというと、結局先ほどの話のようにバトル法にかかるとか何とか言つて外務省あたりの分野になるというふうなことになる。そこで外務省のほうへ行くというと、やはり何だか訳がわからなくてもやもやしてしまうということで、具体的の進行というものは一向捗らない、こういうふうな話を聞いているのです。そこで先ほど一体アメリカ側と協議して輸出品目の許可をするといつたようなことですが、協議するというのは毎月一回するとか、或いは四半期ごとにするとか、或いはケースごとにするというふうになつているのですか、具体的に一つ説明願いたいと思います。
  45. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 前半だけお答えいたします。現在私どもの聞いております中共からの引合いでありますが、これは大豆は私どもの耳にはまだ入つて来ておりません。向うでも大豆は相当重要な物資になつておるのじやないかと思うのでございますが、ただこちらからそうした亜鉛鉄板でありますとか、紡織機なんかが出てもよいということになると、これは或いは有望になつて来ると思います。現在のところ大豆は聞いておりません。聞いておりますのは、石炭が適道炭でございますが、これが約十万トンばかり、それから塩が十万トンばかり、それから綿実が三万トンというようなことがございまして、これは見返物資として亜鉛鉄板、紡織機などを要求しておりますが、場合によつてポンド拂いでもいいということを申しておるやに聞いておりまして、ポンド拂いでいいということになりますれば、これは恐らく値段さえ引合えば買うほうのことはできるのじやないか。但し値段を見てみますと、塩などはこれは現在の国際価格よりもよほど高くなつております。それから石炭もパリテイ計算いたしますと、大体米炭と余り違わない、現在製鉄業者は御承知通り非常にたくさん原料を持つておりまするので、余り買手がないんじやないかというふうに考えられます。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 七月一日からバーターでなく、ポンド決済或いはスイスフラン決済でいいというふうになつたやに聞いているのですが、そういうふうに変更になつた事実は通産省のほうでお聞きになつておるのですか。今まではバーター制だつたが、資本主義国に対する貿易決済は七月一日からポンド決済或いはスイスフラン決済でいい、こういうふうに変更になつたやに聞いておりますが、それは通産省のほうで御存じのことですか。
  47. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 従来は中共は厳重な、向うでも輸入先行主義をとつてつたということでございますが、最近それを緩和する意思があるというような情報は聞いております。ただ具体的にどういうように考えておるか、その期日がいつになるかということははつきりしたことまだ存じておりません。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 じや先ほどの後段の、ほうを外務省側から一つ
  49. 光藤俊雄

    説明員(光藤俊雄君) 先ほどのお尋ねのアメリカとの話合い、相談のあれでございますが、契約ごとに、通産省が許可を下す度ごとにアメリカと話をするということではございませんで、品目表について、ほかの西欧諸国と大体同じ歩調がとれるようにするように話合つているわけです。
  50. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 では、先ほどの通商局長お話の大豆の件は全然耳にしてないようですが、私は確実な業者が通産省交渉して一向どうも埒があかないということで今の話を出しているのです。その裏書が今の日本経済に出ているのですが、若しあなたのほうで御存じないというのなら、あなたの耳に入らなくても恐らく局のどこかに書類はあると思うのです。そうすると、局長の耳に入らないということは、局でどこか押えてしまつて、進行させないというふうにも聞える。そういうことでは先ほど木村さんお話のように、これは国民に変な誤解を與えると思うのです。これはやはり明朗な態度で一つつて頂くほうがいいのではないかと思うのですが、そこで今のトタン板とかブリキ板などというものは、戦力の増強に余りこれは大したことはないと思うのです。そういうものは一体バトル法や何かで、或いはアメリカとの協定輸出品目に許可はされてないのですか。その点を一つ
  51. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 現在中共向けの輸出は許可しないことにいたしております。
  52. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 許可しないというのは、やはりアメリカとの折衝の結果なんですか。それとも現在まで許可されてないけれども、折衝のしようによつては許可される見込があるのか、これが第一点。それから恐らく若しアメリカあたりでこういうものを許可しないということは、中共地区に入ればそれがアメリカと対立する側の戦力増強になるということを恐れて許可しないのだろうと思うのですが、その戰力増強になるかならないかという点ですが、若し多少の戦力の増強になつたとしても、日本へ優秀な大豆が輸入されて、而もアメリカ側でもそれを日本の国民の生活のために認めたということによつてアメリカに対する国民の認識が好感を持たれるということになれば、その点のプラスと、恐らくプラスマイナスいずれが重いか軽いかということになつて来ると思う。そういう際においてやはり外務省あたりからアメリカへ十分な折衝をされる余地はあると思うのですが、そういうことは全然される意思がないのですか。それともそういうふうにしたいというふうな気持があるのですか。大体通産省の行き方というと、中共貿易は成るべく促進したい促進したいと、品を開けばそういうようなことを各方面で言われておるようですが、実際面に当るというと、そういうふうに宣伝と大分食違いができたような結果になつてしまうのです。その点一つ……。
  53. 光藤俊雄

    説明員(光藤俊雄君) 只今の御質問でございますが、外務省といたしましては、ほかの西欧諸国より特に日本だけが厳しい輸出制限をやるということのないように、尤も品目表の点から申しますと、アメリカ、それからカナダなど非常に厳重でございまして、日本と大体殆んど同じなのです。西欧諸国のほうが多少品目の点で少いものがあるようであります。日本だけが特に不利な取扱を受けないようにしたいというふうに考えて、内々話をいたしているわけです。
  54. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう日本は独立したのですから、そう遠慮する必要はないと思うのですが、今言つた大した戦力の増強の資にならない程度のものであつたら、堂々とアメリカ側とも日本の立場をよく説明して、折衝されるのが然るべきだと思うのですが、大体内々でというふうな工合におつかなびつくり折衝しているというふうなこと自体が、国民に対する印象がおかしくなると思うのです。それは外務省側としてはそういう点はどういうふうな手続で以て内々の折衝をされるのですか。ただ單に大使館なら大使館に行つて一係員とどうだろうというような話合いくらいで済んでしまうのですか。それとも正式に日本政府の文書とか何とかで以て折衝されるのですか。
  55. 光藤俊雄

    説明員(光藤俊雄君)  これは大使館と日本政府の担当官とが話合つております。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは事務官同志でお話合いになつたのでは、お互いに思う存分の折衝をされることはちよつと困難じやないかと思われるのですね。やはりこれはその点については、外務大臣なり何なりこの席においでになつて頂いて、よくその点を了解のつくまで説明願いたいと思うのです。明日でも明後日でも都合のいい日に委員長にさようお取計らい願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  57. 野溝勝

    野溝勝君 私二、三簡単にお聞きしたいと思います。牛場さんにお伺いいたしますが、一体牛場さんのほうから、通産省のほうから出される産業政策などの御意見を見るというと、全くやり切れん、これではどうにもならん、重要物資は買えないし、輸出すればポンドが溜まるばかりだし、につちもさつちも行かん、弱つたものだというようなことが集約して放送されておるのですが、一体今後貿易政策に明るい見通しがありますか、御所見をお伺いいたします。私野溝でございます。
  58. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) どうも私の見通しと言いましても、なかなかこれは一概には言い切れないと思うのでござまして、こういうふうに世界的に通貨の交換性が失われたり、そのほかにも関税の問題でありますとか、いわば逆行的な現象がたくさん出て参りますと、これは貿易の上におきましても個別的に、個々の国とも非常に辛抱強く困難な交渉をして打開して行くというほかはないと思うのでありましてこれにつきましては十分の努力をするつもりでおります。
  59. 野溝勝

    野溝勝君 それだけではわからんので、まああなたなどは一つのいわば責任の地位にあられるのですから、日本の通商貿易の責任者でありますから、私の言うことを一つ率直に理解してもらつて、偽らざるところを話してもらわんことには、下々の国民は非常に見当がつかないのですよ。例えば今のままではこれはどうにもならんと、本年の二月にはもう八千五百万ポンドも溜つてしまつたと、どうしてこのポンドを処分したらよいかということで相当頭を悩ましているでしよう。更に大蔵省のほうでは、そういう当てのないポンド区域のほうは加減して、ドル区域のほうに、ドル獲得のほうに努力しようと、ドル区域のほうでは日本の品物を大事にしてくれません。そうすれば二倍以上の原料を買つて、高い船賃を使つてこんなことをやつておれば、これから先々が暗くなるばかりじやありませんか。これは三歳の童兒といえどもわかると思うのです。さてここでどうするかということになりますれば、私はどうしても新しい市場と申しましようか、どこかへ友好的に貿易の発展を図らなければならんと思うのですよ。そうなつて来れば、勢い私はこのアジア諸地域に亘る門戸を開放してもらわなければならんと思うのです。その場合、バトル法であるとか、或いはいろいろな何と言いますか貿易制限があるようですが、併し独立したという日本が、依然として独立前のようなものに制限をされて行くのか、そういう制限はなくて自主的にやり得るのか、そういう点の見解を一つお開きしたいと思うのです。
  60. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは勿論今後は日本として自主的にやつて行くことには議論はないことだと思うのでございますが、ただ先ほど来御説明申します通り、対ソ連圏の貿易につきましては、世界各国とも協調してやつて行く、つまり自由主義の陣営に属する国とはアメリカを含めてお互いに相談をしてやつて行くということになつておりますので、そのラインで日本もやつて行くのが最も適当であるということだろうと思うのであります。それから勿論友好的に貿易市場を拡大して行くということは願つてもない一番よいことなのでありまして、その意味におきまして、フィリピンでありますとか、インドネシア、パキスタン、インド、タイ国、ビルマ、それらの方面につきましては、今後とも大いに重点を置いて行きたいと考えます。更に中南米のベネズエラでありますとか、キューバでありますとか、アメリカに対して非常に輸出超過になつてドルをたくさん持つておる国は、これに対しては市場調査はまだ十分できないのでありまして、この方面にも大いに努力をして行きたいと思つております。ただ政治的にまだ国交も回復していないような所に向つていきなり貿易をやつて行くというようなことは、非常にリスクの多いことでありまして現在の日本の業者では到底そのリスクを負い切れないのではないかということが現在我々の考えておるところでございます。
  61. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると、今のお話のように、今日まで、又今後といえども自由主義の諸国との経済提携を大いにやるつもりであるという御意見のようでありますが、自由主義の諸国というのはどこどこを指すか一体よくわからんが、そうするというと、自由主義の諸国は、英国などはどういうふうに見ておられるのですか。
  62. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 自由主義の諸国と申しますと、言葉はちよつと悪かつたと思いますが、要するに只今国際連合などにおきまして、つまり侵略に対して団結しておるというような意味であります。
  63. 野溝勝

    野溝勝君 決して牛場さんの言葉の尻をとらえて言うわけではありませんが、これはまああなたが言う気持もよく私はわかるのですが、英国などは御承知のごとくソヴィエトとも貿易の契約をしておりますし、中共ともやつておりますし、そうして勿論アメリカとは緊密な関係にあるのですが、そういう国々は、戦争に負けた国でなくても、国の経済の窮迫を救うためには、貿易政策によつて打開しようという努力をしている。戦争に負けて、資源もなければ領土もないこの貧弱な国が、自由諸国だけにしかやらんということの考えを持つておる政府自身が私はちよつと見当違いではないかと思うのです。そこでこういうことがあるのですが、私はよくわからんのですが、日米経済協力会議というのがあるのですが、あれはこういう貿易上の制限、或いは規制までも、干渉と言いましようか……をするようなことになつておりますか、その点一つお聞きしておきたいと思います。
  64. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 私の存じております範囲では、日米経済協力会議というのは、日本側だけで日米協力の案をいろいろ立てるということじやないかと思いまして、アメリカ側との合同会議ということはどうも私存じませんですが……。
  65. 野溝勝

    野溝勝君 いろいろまあ聞きたいこともたくさんありますが、どうも時間が余り制約されておつたのでは、いろいろお伺いすることもできないのでございますが、委員長、如何でございましようかな。これは御相談でございますが、委員長の御所見をお聞きしたいのですが、今日、明日ということはないのですが、もう一回この問題については私質疑をお願いしたいと思いますし、十分一つ時間を取つて頂きたいと思うのです。十分時間を、日にちをきめて……。この回の質疑は留保しておきたいと思います。
  66. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  67. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) じや速記を始めて……。
  68. 大野幸一

    ○大野幸一君 私も一つ。対ソ中共貿易について、この間日ソ貿易懇談会で木村委員と一緒に出席したときの感想から要約すると、今の通産省は非常にできる範囲内の貿易ですら遠慮して、そうして消極的である、こういうことです。で、このバトル法その他の範囲内においてできる貿易についても非常に消極的である。まあ成るべく変なものには近付かないというのが役人の護身術のように考えられる。一度このときにたしか希望が誰からかあつたのですが、国会で一つ通産省のお役人を教育してもらわなきやならんという意味で……、と言うと、諸君、通産省のお役人に非常に気の毒な言葉を率直にいうようですが、とにかく国民の声としてこういう声があつた、いろいろ独立ができたのだから、非常に期待を持つのだが、その期待を非常に裏切られているという感じからであります。そういう意味において、現在通産省は、親切丁寧に、できる範囲内のことをやつているのかどうか。こういうことについては特に私ここで言質を得ておきたいと思うのですが、如何でしようか。
  69. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 現在の法制並びに方針のもとにおきまして、できることでありましたら、勿論これは私たち決して反対するようなことはいたしておりません。
  70. 大野幸一

    ○大野幸一君 外務省関係でありまするが、一体何でも一辺倒というのはよくないことじやないかと思うのです。そこで日米の協力と言つたつて貿易が始まつてからの他国からの協力というものは、お互いの国の利益が保護されることにおいて初めて協力するのでありまして、決してアメリカでも、日本を一方的に温情主義にやつているのじやないことは、独立後の新聞の社説を見ておりましても、相当アメリカ政策に対する、特に貿易政策、国税政策などに対しては批判的の論説が行われている。これはまあ一つの独立後の喜ばしい点であるかも知らんけれどもアメリカ自身に対して反省を求める。その意味においてはまあ自由諸国の分野に入つた講和をして、自由諸国の間において、その内部から何も勇敢率直に日本の立場を言う……。而も何と言つたつてこの世界の後進国の中では、日本は非常にその後進国のうちでも又後進国のようになつている。そこに難きを求めるということについては、一つ外務省としてもアメリカに対する日本の立場を理解してもらう。日本が成立つて行くことにおきまして初めてアメリカは世界にこれを誇示できるのじやないかと思うのであります。先ほど欧米の諸国と比較して、日本がそうきつくない條件だと、こう言うけれども、欧米の立場と、それから日本と中共との立場は相当これは違うのである。昔からアジア圏内で密接な関係があつて、それでこれは日本の中共に対する、中国に対する関係は、欧米よりももつと密接にやらなければ、日本という国が成り立つて行かないというくらいのことは、ここで強調する必要があると思うのです。そうお考えになるかどうかということを一つお伺いしておきたいと思います。
  71. 光藤俊雄

    説明員(光藤俊雄君) 只今の仰せ誠に御尤もだと思います。外務省といたしましても、できるだけ努力いたしたいと考えております。
  72. 大野幸一

    ○大野幸一君 もう一つ、私は懇談会で看取したことは、貿易業者は、政府が何と言おうと、岡崎さんが何と言おうと、日本の今までの貿易業者は、これは中共と貿易をやらなければ、日本という国は成り立つて行かないということは、如何に政府が抗弁しても国民が承知しないことであつて、国民がよく知つているんで、その貿易を今どこに頼るかというと、日ソ懇談会、これは大抵は共産党の人が指導してやつているんだということを知りつつも、それに頼らざるを得ない。そういう空気を私は察したが、実際内心においては、これはでき得るならば自由党及び改進党……私が社会党の右派だと言つたら非常に喜んで、そういう人も入つてもらわなければいけないのだ、共産党だけにこの会合が指導されるということは、何か片寄つているような、我々は真に貿易を求めているに過ぎないのだ、而も今頼らなければならないのは共産党だけだ、こういうように思えるのは、共産党対策としても決して策を得たるものではないと思う。だがこの点について徒らに共産党の魅力を感じさされるところの貿易業者、いや日本国民をよく指導しなければならないと思います。その意味において、中共の貿易に対してもう少し政府の熱意が欲しいと思う。この点についてはどう考えますか。
  73. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは政府全体の方針でございまして、私から申上げるのはちよつとあれと思いますが、私ども承知しております範囲では、要するに現在の国連協力のラインに沿つて、それがまあ日本の対外政策の軸になつているわけでございますから、それに反しない程度におきまして、すべてのことをやつて行かなければいけないと思つております。
  74. 大野幸一

    ○大野幸一君 あなたは先ほどから国連協力だと言われますが、国連に協力する。国連内において日本の立場をもう少し強調してもいいが、そこが今の政府が一辺倒になつているというか、若しくは衝に当るものが腰抜けというか、これでは国民がやはり納得しないと思う。国連に協力するという答弁なんでありますが、国連協力の程度は各国の富の割合に、国力の割合に応じてやればいいんだ、日本の立場がこうだということを説明する用意があるかということをあなたがたに聞きたいし、あなたがたにそれを国民の代表者として私は要望する。ただ国連協力と言つても、協力の度合、協力するつもりでも、日本が成り立つて行かなければ何も協力にならんじやないか、国が弱体化してしまつたら何にもならないじやないか、こういうのです。我々はただ米ソの間に捲込まれ、そうしてそのどちらかに尻押しして、そしてそれが正義だなんて考えていると大きな間違いで、過去何十年間の歴史が、世界の歴史がそれを証明している。そういう点について、ただ国連協力と言わないで、国連協力の方法如何、態度如何ということをもう少し検討する必要がないか、こういうわけです。
  75. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) その点は誠におつしやる通りと思いますので、今後とも努力をして行きたいと思います。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど外務省のほうのかたから、油井委員の質問せられた点について、成るべくこのバトル法の適用については、西ヨーロッパあたりでですね、諸国が適用されている範囲に、まあそれより不利でない線に日本も適用を受けるように、内々ですが、内々向う交渉しているというお話があつた。我々は素人でよくわからないのですが、何かパリー・リストというのがあるそうですね。パリー・リスト、それなんかは大体ヨーロッパあたりで適用されている線じやないかと思うのですが、大体そういう線までバトル法の適用を緩和するといいますか、現在より緩和する、こういうお考えなんですか、その努力目標は。
  77. 光藤俊雄

    説明員(光藤俊雄君) 実はパリー・リストにつきましては、私どもとしては入手するようにできるだけ努力したのですが、今のところまだ入手していないのでございます。それと比較することはできないのですが、情報によりまして、少し楽だという、アメリカとかカナダとかのリストよりは少し緩和されているという情報があるのです。今後確めたいと思つております。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、通産省のほうでは、この輸出貿易管理令ですね、輸出貿易管理令の緩和の目標はやはりそういう線ですか。まあ大体それはコンフアームされて、パリー・リストの具体的内容がわかつてですね。こういう品目について緩和していいということになるとすれば、そういうところがやはり努力目標になるのですか、今の輸出管理令は。
  79. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 大体目標はそういうところになると思いますが、ただ国情によりまして、勿論ヨーロツパの国が出したいというものと、日本の国が出したいというものは違う場合がありますから、そういう場合は日本の特殊事情も考慮してもらうように、一つ努力いたしたいと思つております。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは前に実はお伺いしなきやならなかつたのですが、輸出管理令というのは、これはどういう基本理念に立つてそういうものが作られているのか。これは占領下にあつた、占領時代にあつたのです。それはそのまま独立後においてもあるのですが、これはアメリカの占領方式の一つとしてそういうことを実施させられたのであるが、それがそのまま残つておるのであるのか、その点日本の自主性においてやつているのかどうか。それで若しそうでないとすれば、今後その輸出管理令については、これは再検討しなければならないと思うのですが、そういうことは考えておられるのかどうか、この点伺いたいと思います。
  81. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) この輸出貿易管理令と申しますのは、外国為替及び外国貿易管理法という法律がございますので、それに基いて出ているわけでありまして、これはまあ勿論占領当時占領軍の承認を得てできたものではございますが、日本政府がきめたものでございます。  それからこれを変える必要がないかということでございますが、今問題になつておりますこの別表の第一というのに、輸出承認にひつかかる品目がずつと並んでおりまして、これも問題になるわけでございますが、この承認制限に引つかかることは、必ずしもこれを承認しないということじやないのでありまして、そこのところは現在運用でやつておるわけであります。この管理令自体の改正ということは必ずしも必要はないと思います。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つだけでいいのですが、実はここに関税部長が見えているので、この際、先ほど通産省のかたに伺つたのですが、アメリカの最近の関税引上げの問題ですね。その関税部長の立場から、最近入手し得た範囲の材料で、これはどうなつて行くのか、この点一つ関税部長からも一つつて置きたいのです。丁度お見えになつておりますから。
  83. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 只今の木村さんの御質問に対しましてお答え申上げます。アメリカにおきまして関税引上げ傾向が現れましたのは昨年からでございます。今まですでに引上げが実施されたものを申しますと、先ず第一に油漬けのまぐろの罐詰でございます。これはまあアメリカの関税法をちよつと申しませんとわからないのですが、アメリカの関税法にはいわゆるホーレー・スムート法、これは一九三〇年の関税法でありますが、これに相当高い税率がついておりまして、これが基本税率になつております。これに対しましてその後一九三四年でございましたと思いますが、ルーズベルト大統領のときに、互恵通商協定法というものができまして、その基本税率に対しまして、アメリカに対して差別待遇しない国に対しては、その五〇%までの範囲内において別個の修正税率というものがございまして、この修正税率がGATT税率を含めまして、現在大体アメリカに対して差別待遇をしない国に対して與えられている、こういうことであります。油漬けのまぐろの罐詰は、この基本税率が四五%ということになつておりまして、これに対しまして従来メキシコとの関税協定によりまして二二・五%というふうになつております。ところがメキシコとの関税協定の期間が一昨年一ぱいで切れまして、昨年一月からこの修正税率というものがなくなりまして、従価四五%という税率が出ているわけです。これが引上げの一番初めの段階でございます。  それから次には、すでに引上げましたものは毛糸の手袋の並級品のものでありまして、高級品でないもの、具体的に申しますと、一ダース四ドル未満のものでございます。これに対しては刺繍のあるものと、それから刺繍のないものとに分けまして、刺繍のあるものは従来従価七〇%、それから刺繍のないものはポンド当り三十セントにプラス従価一七・五彩という税率がございまして、これが今年の一月から刺繍のあるものに対しては従価九〇%、それから刺繍のないものに対しては毎ポンド四十セントプラス従価三五%という税率になつたわけであります。この毛糸手袋の並級品のほうは、中国に対してアメリカがGATTで譲歩した税率でありましたが、中国が脱退いたしましたために、これは今年の一月から修正税率をやめて基本税率に復したという恰好になつております。現在引上げの実施がアメリカの各方面で以て多少問題になつておりますものを先ず申しますと、これは御承知のように先ずなまと冷凍のまぐろでございます。これは現在無税ということになつておりますが、昨年九月にこれを毎ポンド三セント当り課税するという案がアメリカの下院に提出されまして、十月に下院の歳入委員会を通過し、更に十月十五日に下院をすべて通過いたしまして上院にかかり、上院におきましては今年の五月九日に財政委員会を通過いたしまして、近く本会議で審議される予定ということになつております。なおこのほか塩水漬けのまぐろの罐詰に対しまして、現在従価一二・五%の税率になつておりますのを、これを四五%に引上げようという案が今年の一月八日に下院に提出されまして、目下下院の歳入委員会で審議中であります。なおこのほか御承知のように陶磁器につきましては、並級のディナー・セットに対しましては現在毎ダース十セント、プラス……、これはものによりますが、従価三五%乃至七〇%、こういう率でありますのを、毎ダース十セントプラス従価七〇%乃至一〇五%、こういう案にしよう、こういう傾向がございまして、今年の一月下旬に行われました上院の財政委員会の決議に基きまして、近く関税委員会、これは大統領に直属の委員会でありますが、関税委員会で以て審査を開始するという予定というふうに伝えられております。それから高級ディナー・セットにつきましては、これはまだ具体的には問題になつておりませんが、目下業界で運動中というふうに伝えられております。それから捺染の絹スカーフ、これは現在従価三五%の率でありますのを、これに対しまして業者のほうから来年四月十四日に例の関税委員会に申請が行われておりまして、これを従価六五%にしてもらいたいということで、目下関税委員会でこれに基いて調査中であるやに伝えられております。  なおこのほかミシンにつきましては、現在普通品、高級品とも従価一〇%でありますのを、これを普通品に対しては従価一五%、高級品については三五%にしたいという業界の意向で、目下運動中と伝えられております。それから又このミシンに対しましては、不正取引防止の任務を持つております連邦取引委員会、FTCでありますが、不正取引防止の委員会が、日本品輸入について不正な競争手段が行われていないかどうかを目不審査中であるように伝えられております。それから毛糸の手袋の並級品はすでに本年の一月から上げられておりますが、高級品につきましても、目下業界で運動中だというふうな情勢であります。  アメリカ関税政策は、昔から共和党とそれから民主党におきまして、考えが相当違つておりまして、共和党は御承知のように保護関税主義であります。一九三〇年のホーレー・スムート法というのが共和党のフーバー大統領のときにできました非常にきつい関税であります。これに対しまして民主党のほうは、昔から比較的自由貿易を称えております。勿論国内産業のほうの面をないがしろにするわけじやありませんが、共和党に対しましてはどちらかというと自由貿易主義、この二つの傾向がございまして、現在それぞれのいろいろ引上げ運動が行われておりますが、これは私どもといたしましても、先ほど牛場局長が申上げたように、大統領選挙を目前に控えまして、相当共和党方面の運動があるように聞いております。それから民主党の方面におきましても、目下大統領選挙を控えまして、そう一概にむげにこれをしりぞけるというような恰好ができないことになつておるのじやなかろうかと、私どもでは推測しておるのであります。但し新聞にも伝えられておりますように、行政府の大統領なり国務長官等におきましては、これらの風潮は日本との外交方面において非常に面白くないというような考えで見られておりまして、本日の新聞にも出ておりましたように、マーフイーアメリカ大使が、場合によつては大統領がこれに対して拒否権を発動することも考えられる、こういうようなことを述べております。目下私どもとしましては、この動向に対して非常な注意を拂つておるのでありますが、今のところではまだ何とも、どういうことになるのか、実は必ずしも楽観を許さんのじやないかと、こういうふうに考えております。併しもともと民主党の政策というものは、比較的自由貿易主義でありますので、これが、業界のこの運動がそのまま実現するだろうとは私ども考えておりません。それから又そうあつてはならんと思つております。
  84. 森八三一

    ○森八三一君 私は、最近具体的に進行を見つつありまする一点についてお伺いをいたしたいと思います。それは先刻来いろいろ御質問がありまして、諸般の協定なんかで当然認められておるごとすら管理会等によつて制限をしておるということはおかしいじやないかというようなお話、非常に御尤もと思いますが、同時にそういうような協約なりその他で当然認められておる範囲のことでありましても、そのことによつて国内産業が圧迫されるとか、国民の生活水準が非常に危殆に瀕する、低下して行くというような問題については十分考慮されなければならんことであり、先刻局長お話にもそういう点について触れた御答弁があつたようにも思うのであります。そこで具体的な問題についてお伺いいたしたいのは、バターの輸入問題であります。安いバターが入つて来て栄養の改善、補給になるとか、それが更に非常に安いものであつて、国民経済に裨益するとかいうことについて私異論があるわけではございませんが、決定をされておる政府の計画を見ますると、取りあえず百五十万ポンド入れて、後半期に更に同額の百五十万ポンドを入れるということだそうでありますが、そうなりますると、現在の国産バターは大体六百五十万ポンド程度といわれておりますので、国産の四五%にも相当するバターが入つて来る。これが国内の酪農事業を相当に圧迫するであろうことは常識的にもわかると思うのでございます。特に本年度の予算を見ましても、政府は有畜農家の創設と申しまするか、無畜農家の解消ということを相当大きな農林政策として取上げてやつておる。そのこととこのことがどういう関連を持つて行くか。端的に申しますれば、政府政策に非常に矛盾が現われて来るのではないかというように思うわけであります。今日国内における酪農製品が非常に高価についておつて、国民の生活の上に非常に遺憾な結果が出ておるということは、むしろ飼料が非常に高いという結果と、更に戦争中から戦後に通じまして、優良な品種の輸入と申しまするか、更新が行われておらんために、単位当りの生産乳量にいたしましても、非常に低いということに私は起因をしていると思うのでございます。そこで同じ外貨を使うといたしますならば、優良な品種を輸入して、單位当りの生産量を殖やすようなことに努力すべきである。又飼料の中共方面からの輸入を促進いたしまして、国内の生産コストを下げて行くという点にこそ重点が指向せらるべきじやないか。製品のバターを持つて来るなんということは、これは政府政策に矛盾をする結果が出て来るように思うのでございます。こういう点をあえて押切つて、バターの輸入を実際やるという趣旨が一体どこにあるか、先ずその点を最初にお伺いしたいと思います。
  85. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) このバターの輸入問題は、実は長い間私どものほうと農林当局その他の懸案になつてつた問題でございまして、最近閣僚審議会におきまして、各大臣の御意見でああいうふうにきまつたのでございます。従いましてこの程度ならば日本の酪農に対する影響と、そのほかの、安いバターが入つて来ることによる国民の消費生活の向上といいますか、そういうことのバランスがとれるというようなお考えからそういうようになつたと承知しております。但しその輸入方式につきましては、これは只今農林省  において主として研究しておられるようでありますが、酪農方面に対しまして非常な打撃を與えることのないよう、十分注意をしてやるということにいたしたと了解をしております。
  86. 森八三一

    ○森八三一君 私の申上げましたのは、国産のバターが大体六百五十万ポンド程度、そしてその当時新聞に報道されましたのは、一千万ポンドで、前半期に五百万ポンドということで、新聞も相当この問題を大きく取上げたように思いますが、最近決定になつたのは、年間三百万ポンドということで相当数量は減つておりまするが、申上げまするように、国産に対する四五%にも相当するものを入れて、それで国内における酪農事業を圧迫しないという結論が出るほどに、国内消費を増加させるように拡大して行くという途があるかどうかと申しますると、私は恐らくそこまでは急激に国内消費を増加せしむることは困難ではないかと、こう思うのでありますが、閣僚懇談会において決定したということで、事務当局はその点について具体的に今申上げますような検討があつたのかないのか、そういう検討があつて、閣僚懇談会における結論というのは当然正しい行き方であるというように認識されておるのかどうか、その辺をもう一ぺん重ねてお伺いしておきます。
  87. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) おつしやいましたように、十分検討いたしました上で、閣僚審議会で決定になつたということであります。
  88. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、今申上げまするように、六百五十万ポンド国内生産があり、更に四割五分のものが入つて来るということで、国内消化との関連において、国内産業、酪農事業というものを圧迫しないという結論がどういう根拠で出て来たのか、私どもは疑わざるを得ないのでございます。四割五分にも相当するものが入つて来て、それで一面には無畜農家の解消とか、有畜農家の創設とかいうことを推進しようということと矛盾が起きないという結論が出て来ることについて非常に疑問を持つのであります。先ほど申上げましたように、安くなるという点について異論を言うのではございません。安くするためにむしろ優良品種を輸入するとか、今日麦よりもふすまのほうが高いといつたような現象で、飼料が非常に足りないという現象を解消することのほうが急務ではないか。そのことを、基本問題をあえてほうつておいて、末端の、むしろ国内産業を圧迫するような方向に行かれたということに非常な疑問を持つのでありまするが、むしろこれは急速にこの方針を変えられるべきではないかというようにも考えるのですが、そういうお考えをどうして今申しましたような具体的な数字から検討いたしまして持たれるのかどうか、重ねて一つお伺いしておきたいと思います。
  89. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) この酪農に対する影響に対しましては、只今輸入方式をどうするかということによつて緩和できるということで、そういう大体の見通しの下に農林省において検討しておられると思います。これは私よりも農林関係からお答え申上げたほうがいい問題ではないかと思います。それから基本的に、安い飼料を入れる、或いは優良な品種を入れるということは、これは全く私どもも同感でございまして、たしか最近デンマークあたりからいい牛を入れるという話ができたと思います。飼料の確保につきましても、たしか昨年でございますが、一時飼料がだぶつきまして、台湾あたりから輸出してくれという話が大分ありました時にも、農林当局の御意見を尊重してとめたということでございまして、十分これは私どもといたしましても協力して行きたいと思つております。
  90. 大野幸一

    ○大野幸一君 閣僚懇談会できめたというのですが、そういうときにやはり通産省、農林省の事務当局を呼んでその輸入方式をきめるのだろうと思う。するとそういう場合にあなたの意見を具申されたか、されたことがあるのか。
  91. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) この問題は非常に長い間懸案になつてつたものですから、各大臣十分御承知であつたと思います。
  92. 大野幸一

    ○大野幸一君 各大臣が承知するまでも、あなたがたが事務的にも説明をされたのだから、あなたがたもそれだけの範囲においては承知しておると思う。国内の酪農が圧迫されないかという先ほどの森委員の質問に対して、これは大臣がきめたという、その大臣がきめる前にそういう資料を提供しておるのだろうから、それを聞きたいということです。
  93. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは私どものほうは、国内の酪農に対する影響等が十分緩和される見込があれば成るべく変えたいということは申しました。むしろ影響の方面につきましては、これは農林省の主管でございまして、これは農林省のほうへ一つお尋ね願いたいと思います。
  94. 野溝勝

    野溝勝君 今のは酪農製品の話だと思うのですが、それは酪農製品だけじやなくて、自転車であるとか皮革であるとか、そういうものを外国から入れるということを、先般大蔵大臣の池田君談を発表したわけだ。そこでこれは私大蔵委員会で質問したんですよ。生産者に影響がないかということに対する農林省その他各省関係省と懇談した結果であるから間違いない、こういう答弁でした。併し私はこの問題は実際生産者に非常に影響し、且つ又日本の民族資本にも影響するところが非常に大きいのです。ですから今の諸君の質問はそこに出たと思うのですが、私は今後さようなものが輸入されて、日本の不足物資を補うという点においては一応正攻的であるかも知らない。併し今日のいわゆる失業者が労働、農村合せて六百万人もある現在の日本におきまして、かの失業問題をどういうように調整して行くか、いわゆる雇傭との関係です。雇傭とそれから食糧の自給度、それから生活物資との関係、この三位とどういうように調整して、日本産業構造を一体活かして行くかというようなことに対して、私は事務当局はもつと真剣にこれを立案しなければならぬと思う。そうして政治に誤まりなきを期して行かなければならんと思う。こういうことに対して牛場さんなどは深く考えられて案を出したことがおありですか、又はそういう点について考えておる点がありますか、若しありましたら今日でなくてもよろしいですから、この次の秘密会のときに、日本産業構造をどういうふうにしたらいいかということを、一つこの次にでもいいですから御発表願いたい、こう思つております。
  95. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  96. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記をつけて。じや本日の委員会はこれを以て閉会いたします。    午後零時五十七分散会