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1952-05-16 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十六日(金曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小宮山常吉君            田村 文吉君            下條 恭兵君            波多野 鼎君            菊田 七平君            油井賢太郎君   衆議院議員            佐久間 徹君   政府委員    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    大蔵省管財局長 内田 常雄君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局特    殊金融課長   有吉  正君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○貸付信託法案内閣提出) ○信用金庫法施行法の一部を改正する  法律案衆議院提出) ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第五十二回大蔵委員会開会いたします。  先ず第一に連合委員会の件についてお諮りいたします。昨日国有財産特別措置法案について、通商産業委員会より連合委員会の開催の申入れがありました。通商産業委員会国有財産特別措置法案について連合委員会を開くことに決定して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないようでありますから、そのように決定いたしました。なお連合委員会日時等につきましては委員長に御一任願います。   —————————————
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に貸付信託法案について質疑を行います。別に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います……。別に御発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決を行います。貸付信託法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  7. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致でございます。よつて原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、先例によりまして委員長に御一任願います。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     溝淵 春次  大矢半次郎     黒田 英雄  木内 四郎     伊藤 保平  菊川 孝夫     岡崎 真一  小宮山常吉     下條 恭兵  田村 文吉     波多野 鼎  菊田 七平     油井賢太郎  西川甚五郎   —————————————
  8. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に信用金庫法施行法の一部を改正する法律案について質疑を行います。
  9. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今度衆議院で以て信用金庫法の一部改正を提案されているのですが、これを見ると、組合員外預金並びに定期積金の受入れと、これに対する担保としたときの貸付というものも当然一年間延期されることになると思うのですが、これは大体その趣旨として信用金庫組合から移るということはいいでしようけれども、そういう組合員外預金まで一年間延期するというようなことはちよつとおかしいように思いますが、政府のほうの意見としてどういう考えを持つているのですか。
  10. 河野通一

    政府委員河野通一君) 転換期限を一年延ばされることになりまして、それに従つてやはり転換後におきましては員外預金も扱えることになるわけでありますから、それまでの間に転換をいたすものと、いたすかいたさんかわからない状態にあるものにつきましては、やはりその期限までは員外預金を扱えるというふうにいたすのが適当であろうと考えます。
  11. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは仄聞するところによると、組合として員外預金というようなものをずつと将来永久的に許可してもらいたいというような気分も相当あるようなんですが、併しそれでは組合金庫というものの間が何も差がないということになると思うのです。そういう点については局長としてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  12. 河野通一

    政府委員河野通一君) 信用金庫制度信用組合制度はつきり画然と最終的な区画がついた場合におきましては、当然に信用金庫信用組合とのおのおの本質の違つたところに従つてその機能、業務の範囲も変つて行くべきかと考えております。従いまして将来永久的に信用組合というものが員外預金を扱えるというふうにすることは、私どもとしては適当でないと考えております。ただ先ほど説明申しましたように、転換期限が一年延びますれば、やはりその間に転換をいたすものもあるわけであります。一時ここで員外預金を扱えないようにして、更に転換したら扱えるようにするというのも非常に適当でない処置でもあろうかと思います。転換期限と合せて、その期限まではやはり員外預金を扱えるというふうにするのが適当であろう。従いまして三條、四條はやはり並行してお考え願うのが適当であると考えます。
  13. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に、信用金庫転換でき得る見込のある組合、それは現在組合数がどれだけあつて、どの程度見込があるかということを当局でも調べてあると思うのですが、そこの状況ちよつと報告願いたいのです。
  14. 河野通一

    政府委員河野通一君) 説明員から説明いたします。
  15. 有吉正

    説明員有吉正君) 信用組合から信用金庫転換いたしました状況を最初に申上げます。昨年の六月十五日現在におきまして、信用組合の数が六百四十二でございます。尤もその後におきまして合併なり解散なりによりまして、姿を消したものもございますので、現在のところ、当時六百四十二ございましたもののうち、信用金庫転換いたしましたものは四百十一ということになつております。従いまして残つておりますのは二百三十一という数でございます。この中に信用金庫としての性格適格性を欠いているもの、つまり職域組合、業種的な組合と申しますものが約四十近くございます。従つて性格的に申しますと、二百弱の組合信用金庫として将来なるのではなかろうかということが一応性格的には考えられるわけでございます。併し他方におきまして、信用組合の中におきましても、信用金庫になることを現在におきまして希望しておらない組合相当数ございます。私ども手許まで申請書を出しておらん、希望しておらないということのために出しておらない組合相当数ございます。又私どもから考えますと、現行法の建前におきまして、六月十四日に一応期限が切れるわけでございますが、それまでの間に信用金庫法自体に規定しておりますところの出資最低限度、この法律的な要件を充たし得ないと考えられる組合相当数又あるわけでございます。かようなわけでございまして、今後の推移如何によりまして、或いは信用金庫法出資最低限度に到達し得るという可能性の出て来る組合、或いは将来の情勢によりまして信用金庫への転換希望するというような組合、或いは職域組合業種的組合にいたしましても、定款を変更いたしまして、信用金庫になお転換いたしたい希望を表明して来る組合も今後或いは出て来るかと思いますが、かれこれ勘案いたしますと、今後どの程度信用組合信用金庫転換し得るかということには、数字的にはなかなか申しがたい状況にございますので、その点は御了承を願いたいと思います。
  16. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 なお参考にお伺いしたいことは、新たに組合組織した数はどのくらいですか。
  17. 有吉正

    説明員有吉正君) 新たに昔の、昨年の六月十五日以降におきまして、府県知事の認可によりまして信用組合を結成した数でございますが、この点につきましては、私ども逐次報告を徴しておりますが、なかなか報告集まりが悪いものでございますので、現在のところ的確なる数字を申上げるまでに行きませんが、大体五十程度考えております。
  18. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 結局一年間延期すれば、大体今転換したいという組合は片付くということになれば、更に又次々と、一年々々というふうに延長して行くということは今までの御説明で酌め取れるが、大体そんなことに了承してよろしいか。これは提案者の御意見も一応伺つて置きたいと思います。
  19. 佐久間徹

    衆灘院議員佐久間徹君) 只今のお話の、次々に延長するというような考えは毛頭持つておりませんのでございますが、今回一年を延長することによりまして、金庫になることを希望する組合の大部分をすくい上げることができると、こういう考えを持つておる次第でございます。
  20. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 なおさつきの有吉説明員お話の中にあつたので、ちよつと伺つて置きたいのですが、転換申請をした組合と、転換申請をしない組合の数がわかつていたならば、ちよつとお知らせを願いたいと思います。
  21. 有吉正

    説明員有吉正君) 転換申請しまして現在財務部なり財務局なり、或いは本省の手許にある組合数字が、現在二百三十一残つております組合のうち、約四十組合がなお申請書を提出しておりません。
  22. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと御説明願いたいのですが、信用金庫と、それから信用組合ですが、この一ヵ年間延長して、そしてその転換希望するものの転換をさせると、而も一ヵ年の間に転換希望も余り……、二百くらいはまだ残つておるということになるが、一体信用金庫、それに転換した場合に、どういうふうに性格的に変つて来るのか、主だつた点だけを、これは研究して置くのが本当であるが、ちよつとお知らせを願いたいと思います。
  23. 有吉正

    説明員有吉正君) 信用金庫信用組合相違でありますが、いわゆる大きな相違と申しますのは、業務内容におきまして、信用金庫におきましては員外預金を受入れることができるという点でございます。信用組合におきましては、組合員或いはその親族ということになるが、原則として組合員預金だけ受入れるということが性格的に大きな相違であると思います。なおそのほかに信用金庫におきましては、大蔵大臣監督の下にある。信用組合ということになりますが、これは府県知事監督の下にある。尤も改組期間におきましては大蔵大臣監督はございますが、信用組合本来のものになりますと、府県知事監督の下に入るという点が違いであります。その他あとは技術的な問題がございますが、例えば役員の選任にいたしましても、信用組合の場合でございますと、一般組合員の選挙による。信用金庫の場合でございますと役員の互選によるというようなことになるわけでございます。そういつた点、最も大きな違いと申しますのは、員外預金が受け入れられるかどうかという点にあろうと思うのであります。
  24. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから資金と言いますか、まあ株式会社の場合の資本金相当するもの、この出資金金庫の場合と組合の場合とでは、何らかの差別があるわけでございますか。それによつて転換困難になつておるのではないのですか。実際二百残つておるのはそういう意味じやないのですか。
  25. 有吉正

    説明員有吉正君) 信用金庫信用組合におきまして、出資金の差におきましては、信用金庫法におきましては信用金庫が一千万と五百万、六大都市におきましては一千万以上、その他におきましては五百万以上ということになつております。信用金庫の場合におきましては。中小企業等協同組合法自身におきましてこの出資金制限というものはございません。出資基準令に基きまして、信用組合出資最低限度というものはきめられておるのでございます。併しこれは信用金庫出資最低限度と申しますものよりも以下になつておるのでございます。六大都市におきまして五百万円以上、市制施行地におきまして三百万円以上、その他におきまして二百万円以上ということに相成つておるのでございます。その点もお話通り相違がございます。
  26. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、提案者のかたにお尋ねするのですが、一年間を延ばしたいという理由は、一つ出資金で二百くらいの組合が未だに転換ができない。転換しないという一つ理由は、出資金が法定の限度になかなか達しにくい。こういうことがまあ一つの原因のように考えられる。それからもう一つここに潜んでいるのは、員外預金取扱信用組合のほうはできないのですね。それから金庫のほうはできる。ところが出資金を殖やして、そうして早く員外預金取扱えるようにしたいのだが、なかなか金が集まらん、そこで一年間余裕を持たして、その間にその出資金が集まるようにしたい、こういうのが一番の狙いでございますか。
  27. 佐久間徹

    衆議院議員佐久間徹君) 仰せの通りでございまして出資金もこの間に努力をいたしまして、大体指示の金額に到達させたいと考えておるわけでございます。又員外預金も、おつしやる通り、できるだけ員外預金を吸吹いたしまして、出資金を延ばして行く。その期間を一年と、こういう工合に考えておるわけでございます。
  28. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この辺よく言われることでありますが、信用組合の場合に員外預金が扱えない制限について、この間も本委員会ちよつと質問が出て、政府側からも答弁がありましたが、組合員になるのは極めてまあ簡単になれる、而も組合員としての出資金も極く僅かで、五十円程度出資すれば組合員となれる。預金をしたいというような人だつたら、五十円で組合員になつて、つまり五十円の出資で加入して、そこへ預金をするということは、常識的に考えて極めて平易に行くように考えられるのでございますが、それを員外預金取扱が、えらいまあ相当論議の中心になるようなのは、一体どこに連関があるのか。我々ちよつと素人目考えますと、何も今まあ預金の集めについては、大銀行から、それから信託会社、証券会社挙つて集めておる。又信用組合におきましても、集めようとした場合に、幸いにして信用組合預金をするような人だつたら、組合員に加入することは極めて容易なことであろうと思うし、その組合としても、預金をしてくれるような人を組合員に加入せしめることは簡單にできると思うのですが、にもかかわらず、員外預金員外預金と盛んに言うのですが、これはちよつと素人目に了解できん点があるのですが、どこに争わなければならん点があるのか、本当の実情を御説明を願いたいと思うのです。
  29. 河野通一

    政府委員河野通一君) 信用金庫信用協同組合というものの性格は、先ほど有吉君から御説明申上げた通りであります。出資者の大体最低出資額組合員になる出資額最低につきましては、定款でいろいろ定めておるわけです。で、ものによりましては一口五十円というのもありますし、ものによりましては、最低一口五百円というのもあります。いろいろな仕組がございます。必らずしも五十円出せば当然組合員になれるという仕組にもなつておうん。この金額が多いか少いかの問題がございます。これはまあ組合というものの性格から言いまして、もう少しその最低限度を上げたほうがいいという意見も出て来るかと思いますが、趣旨信用金庫信用協同組合というものが、やはり組合員組織組合員だけが集まつて、組合員だけが相互に金も集め、又相互融通をして行くという仕組と、信用金庫協同組織ではありますけれども必らずし組合員というものに限らない。いくらか一般金融機関に近い性格を持つてつておる。そういうことは、つまり今申上げましたように、員外からも預金を集められる、一般の人からも預金を集められるということになつて来る。性格としては、私はやはり二つ両立して行くべきだと思いますが、今菊川先生から言われたように、境を越えるところは非常にわかりにくいところがある。組合員といつたつて、ただの五十円を出せば組合員になれる、組合員になろうと思えばわけはないじやないかと言われますが、本来の性格から言いますと、本来はつきり区別をされて、組合員お互いの金を集め、お互の集まつた金でお互いにその金を使つて行くという趣旨と、それを一歩進めて、協同組織ではあるけれども組合員からだけ集めるのでなく、一般からも資金を集めて、それを組合員がその金を融資を受けて経済活動をして行くという性格的な相違はつきりあると考えております。その点がはつきりしておらないのであれば、何も信用金庫信用協同組合二つ分ける必要はない。従つて境のところはお示しのようなところもありましようけれども性格自体としては、この二つのものが性格を異にしたものとして、両立して存在するということは適当だというふうに考えております。
  30. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつと関連して……。信用協同組合信用金庫性格的に違つたもので、又法律も違いますし、両方とも将来認めて行くんでしよう。それならなぜこの信用組合金庫転換するまでこの法律を待たなければならんか。そういう理由はどこにあるのですか。ちやんと信用組合として残つて行けるんじやないですか。その理由を御説明願いたい。
  31. 河野通一

    政府委員河野通一君) これは結局信用金庫信用協同組合というものとの過渡期における転換の問題だと思うのです。二つの姿がはつきり分れれば、先ほど申上げましたように、はつきり分野ができると思うわけでございますが、信用協同組合法律信用金庫法という法律二つになりました結果、従来信用協同組合として員外預金扱つておたものが、だんだん信用金庫に変つて行く。そういうものはそういうものとして、やはり本来の姿で員外預金を扱えるような信用金庫になりたい。而もならして差支えないようなものは転換さして行つたらいい。先ほどお話がありましたように、出資金の点から言いましても、或いは資金量の点から言いましても、まだどうも信用金庫転換させるには十分でないというようなものがございます。これらはもう暫く日をかせば、だんだん出資金も殖えて参りますし、資金量相当のところまで来て、いわゆる一般金融機関らしい信用金庫になり得るような、まあ何と申しますか、内容ができて来るものもあると思います。そういうものは、従来も信用協同組合というものが員外預金を扱えるようになつてつたのですから、この新らしい法律によつて員外預金を扱える信用金庫転換をして差支えないのではないか。併し現在旧法によつてできておりまする信用協同組合の中にも、これは本来の信用協同組合、つまり員外預金を集めないで、自分たちだけの間で資金を集め又融通もして行くというような仕組のものに適合するような信用協同組合というものもあるわけです。先ほどちよつと有吉課長から申上げましたように、例えば職域組合職域かたがたがお集まりになつてつておられるような組合等につきましては、これは正に組合員かたがただけの相互金融に限つたらいいわけで、そういうものにつきましては、過去の信用協同組合法によつてできたものでありましても、必ずしも員外預金を扱えるような信用金庫転換する必要のないもの、これらはやはり個々事情等をよく勘案いたしまして、信用金庫転換したらいいものにつきましては転換して行く、その必要のないものにつきましては将来は単純なる信用協同組合になると、こういうことで、まあ具体的な問題としてはなかなか線の引けない点もございますけれども制度としてはやはりそういうふうに割切つて考えて差支えないのではないかというふうに思つております。
  32. 波多野鼎

    波多野鼎君 よくわからないのですがね、信用金庫法によつて信用金庫は幾らでも作れるのでしよう、協同組合協同組合として残れるのでしよう、潰すわけではないのですからね。だからはつきり両建で行けばいいのではないのですか。
  33. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は先ほども申上げましたように、信用金庫への転換期限が切れますと、昔からあつた信用協同組合員外預金は扱えないことになるのです。併し従来から員外預金扱つてつた組合、それらの組合は今申上げました出資金の点、資金量点等でまだ一人前になれないというところがあるものですから、なりたいという希望を持つてつても、もう暫く充実の模様を見て判断しなければならないというものがあるわけです。その期限が今年の六月十四日でありますか切れると、若干もう少し様子を見たら信用金庫転換さしてもいいのではないかというようなものが出て来るかも知れません。それらについてその見通しをつけてはつきりそこで線を引いてしまうのには、今年の六月十四日で切るということには、ちよつとまだ早過ぎるのではないかという意味でこの提案がされたのであろうと思います。この点につきましては、私どもといたしましても、適当なる御処置というふうに考えておる次第であります。
  34. 波多野鼎

    波多野鼎君 それではこういうことはどうなるのですか。今の政府側の意向だと、信用金庫というものを育成したいという考え方基本になつているのですね、基本になつていると理解するのですが、たくさん信用金庫ができればよいという考え方ですね。で協同組合のほうで信用金庫転換できるやつはできるだけ引上げて信用金庫にしてやろうと、こういうことなんですね。協同組合転換したものでなくて信用金庫というものができたことがありますか、転換でなくてですよ。
  35. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今までのところでは、まだ新らしく生から出発した信用金庫というものの新設はございません。私どもこれは抑えておるわけではございません。一、二申請されておるものもございますので、これはよく個々について判断して参りたいと思いますが、取りあえずのところといたしましては、やはり過失において員外預金扱つてつた信用協同組合があつて、而もそれが信用金庫になりたいという希望を持つておるものにつきましては、先ずこれを先に転換ができるならばして行くのがいいのではないか、勿論当事者がそれを希望されなければその必要はないわけでありますけれども希望されておるものにつきましては、先ずその転換を認めて行くのがいいのではないか、目下のところではそれを重点にして進めておるわけでありますが、新らしく生から新設をすることを拒否いたしておるわけではございませんが、現在までのところではまだ設立を申出たものはございません。
  36. 波多野鼎

    波多野鼎君 それでは新らしく作ることを申出た場合に、大蔵省は先ず協同組合のほうが転換を終るまで待つてくれと、まあそうは言わなくても、手続をそういうふうに延ばすということなんですか。
  37. 河野通一

    政府委員河野通一君) 必ずしもそうはつきり割切つて考えておりませんが、できるだけ過去において信用協同組合をやつてつて、而も員外預金扱つてつたものが信用金庫になりたいというものを先ず優先的にやつて行く、併し非常に初めからの信用金庫としての設立について、その経営者なり、或いは経済的な事情なりというものが非常にはつきりいたしておりまして、信用の基礎が十分充実して参るというような見通しのつくものにつきましては、これを必ずしも全部信用協同組合転換した後でなければ、認めませんというふうなことは言うつもりはございません。
  38. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大体よくわかりました。要は信用組合として員外預金を今まで扱つてつたけれども、この延長がないと員外預金を扱えんようになる、それを扱いつつ徐々に転換の経過を見守りたい、それだけ待つてやりたいと、こういうのがこの法律提案理由ですな。
  39. 佐久間徹

    衆議院議員佐久間徹君) さようでございます。
  40. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 銀行局にお尋ねしたいのですが、成るべく信用金庫なり信用組合は保護して育成して行きたいと、それもやはり箪笥預金の引揚げということをやかましく言つておるそれの一助になると思うので、どうせ信用組合でも金庫でも、集めたやつをみずから運用するやつもあるだろうけれども、又その他の金融機関へ預けるという場合もあるだろうと思いますが、併し一応これが根がしつかりして来るまでには或る程度保護育成の方法を講じてやらなければならん場合もあると思うのですが、従つて信用金庫等に対しましては、例えば政府の預託金ですか、そういうようなものも或る程度やられておるのでございますか。それからいろいろ政府資金を預託するというような計画なんかはやつておられるのですか、今後おやりになるのですか、この点を一つお尋ねしたいと思います。
  41. 河野通一

    政府委員河野通一君) 政府資金の預託は、現在の信用金庫に対しまして約十二億預託をいたしております。期限が当初予定いたしましたのは、七月頃までに大体引揚げる予定であつたのでありますが、これを近く三カ月くらい延してこの秋頃までその預託を続けて行くことにいたしたいと、なお今後過去の収支の状況等を見まして相当見通しがつきましたならば、一般金融機関と同じように、信用金庫に対しましても更に指定預金等をして参りたい、かように考えております。  ちよつとお断り申上げておきますが、信用金庫の育成だけを私ども実は考えておるわけではございませんで、信用協同組合につきましても、これがやはり金融機関として、勿論組合組織ではありますけれども金融機関として十分預金者の保護もできますし、金融に十分応じて行けるようになることを私ども期待をいたしておるのでありまして、信用金庫さえ育成されれば信用組合はどうでもいいとは考えておりません。両者共おのおのの使命なり目的に従つて育成し信用を強化して行くことが望ましいと、こういうふうに考えております。
  42. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後に、本当の概括的で結構でございますが、信用組合信用金庫の伸び工合ですな、一年間における伸び工合を概略で結構でありますから、詳しい数字までお聞きしたつて仕方がないのですが、概略的に相当伸びる傾向を辿つておるか、これは主として預金ですが、預金が伸びつつあるか、それとも減少しつつあるのか、その傾向を一つお伺いしたい。特に田舎のほうへ参りますると、最近は、一時は農村が農村インフレだと言われて、何を売つても農産物であるならば都会からリユツクサックで皆買いに来たという時代には相当組合が伸びたような話を聞いておりますが、最近の状態を聞いてみますると、どうも組合員のほうの貸付のほうが相当伸びているんだが、預金のほうは余り伸びないどころか、むしろだんだん減少して行く、こういうことを言つておるんですが、村に一つずつぐらいあるのは、これは信用組合法によると組合じやない……、  あれは又別ですか。
  43. 河野通一

    政府委員河野通一君) 信用金庫及び信用協同組合を含めて、これは大体経過期間にあるものですから両方一緒にお答え申上げたほうがいいと思います。これらの預金の伸び、資金量の伸びは非常によろしいのでございます。二十六年で大体年初に約五百億の資金量であつたものが、年末には約九百億になつております。その資金量の増加率は大体八七%ぐらいになります。一般金融機関銀行等におきましてはそういうふうには伸びておりませんし、相互銀行及び信用金庫等は資金量の伸び方は非常に一般金融機関よりはいい、割合については。
  44. 田村文吉

    田村文吉君 丸一年間でですか。
  45. 河野通一

    政府委員河野通一君) 一年間です。非常に伸び方がいい。ただ基本が小さいからして、これを一般銀行に比べまして、銀行が一兆数千億という預金を持つておるのに対して五百億とか何とか、基本が小さいものですから絶対額においてはなかなか一般銀行のようには伸びませんけれども、伸びる割合は今申上げましたように一般銀行よりも更に大きな割合で伸びておる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  46. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはやつぱり手軽に行けて親しめるというところがいいんだろうと思う。まあ大いにこれは結構だと思いますが、そこで一つ最後にお尋ねしたいのですが、定期預金にしましても一般の普通預金にしましても、大体銀行と同じような、半年とか一年とかいうふうにやるんだろうと思いますが、この利率というものは一体一般の市中銀行の公定利率と、信用金庫の利率とはどういうふうになつておりますか。
  47. 河野通一

    政府委員河野通一君) 預金の利率でありますが、これは一般銀行よりも一厘高ということでやつております。日歩についての一厘高。年利についても一厘高ということでやつております。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の場合貸出の利率というのは、信用金庫なり、信用協同組合というのは別に制限は置かないのですか。例えば地方へ行くと四銭五厘とか、もつと高いのもあるようですが、銀行とは大分違つておりますがね。
  49. 河野通一

    政府委員河野通一君) 信用金庫信用協同組合は、御承知のように非常に小額の資金扱つております。従つて、コストも相当かかりますので一般銀行の金利よりも若干高いところにある、具体的に業務方法書にはこれは書いておりますが、これは銀行等は小額のものでも三銭前後だと思いますが、信用金庫では四銭五厘見当が最高ということで大体やつておるようであります。そういうふうにやつております。
  50. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつきの説明で九百億に伸びたというのですが、それは信用協同組合も入つてですか。信用協同組合だけではどのくらいですか。
  51. 河野通一

    政府委員河野通一君) 先ほど申上げましたように、信用金庫信用協同組合は、丁度去年は転換の時期だつたものですから、残高で年末における信用協同組合の年初との比較というものは実はまだ出来上つておりませんが、大体今のところでは経過的には信用協同組合信用金庫転換が終るまでの間は一緒にお考えつたらいいのではないかと思います。その意味におきまして、金庫組合両方合せて御質問願いたいと思います。なお必要がございましたら資料を差上げます。
  52. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つ、さつきの説明組合として設立されたものは五十ぐらいだというのですが、これは大体都道府県知事の許可事項になつておるので、大蔵省へは届けを出さなくてもいいわけなんですね、併しこういうことは金融全体の態勢から見てやはりきちんと把握したほうがいいのじやないかと思うんですが、それはあれですか、届出を出さなくてもかまわないということで、あなたのほうでは強制力はないということになるんですか。
  53. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今お話の点は信用協同組合につきましても大蔵大臣が直接監督したらどうかというお話に通ずる点じやないかと思いますが、これは金融機関にもいろいろございまして、一々中央の政府監督をいたさなければならんものと、その監督府県知事に任せておいて、ただこちらでは事後の報告を受ける、而もその監督の全体のおおまかな基準を府県知事に與える、そこで大体目的を達し得るものと、いろいろ段階があると思います。現在のところ今後新らしくできる信用協同組合につきましては、これを一々中央の政府において監督を直接して参るというという必要はないのではないかと考えております。何分にもまだ設立のものが先ほど申しましたように五十ぐらいである、資金量もまだ取るに足らん程度にしか伸びておらんと思います。今後の状況を見ましてそれが非常に弊害があるということでありますれば又考えなければなりませんが、只今のところではこれを府県知事監督に讓つたことによつて弊害が起つたという事例も聞いておりませんので、もう暫く現在の事態の推移を見ましてその結果によつて又非常に不祥なことでも起るようなことがありますれば又考えなければならない、かように考えております。
  54. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この信用金庫を作るときは協同組合のほうは幾らでもできるようなまあ見通しつたんですね、ところが一年経つてつた五十しかできていないというのはこれは私達にとつてちよつと意外なんです。それはやはり知事の許可なりなんなりというものは相当大蔵省あたりの指示によつて嚴重になつておるんですか、その点はどうなんですか。
  55. 有吉正

    説明員有吉正君) 信用金庫信用協同組合が府県の認可の分にかかりますものが現在のところは五十ばかりと申上げました分でございます。そのほかにも幾つかその程度のものはまだ若干あろうかと思います。正確な数字先ほど申上げました通りはつきり掴んでおりません。我々といたしまして大蔵省から特に府県知事の認可の方針等を指示しておるということはございませんので、各財務局なり財務都を通じまして、財務局、財務部府県知事相互に連絡を行いまして、認可の際にいろいろ相談打合せをしておるということはございます。これはなんと申しましても金融機関でございまして、相互信用金庫との競合、或いは既存の信用協同組合との競合等の問題もございますので、相互に連絡を密にいたしまして打合をしておるということはございますが、積極的に認可を指示するというようなことはいたしておりません。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つ組合から今度は大体一年間金庫に直すのに延長されておるのですが、今までもそういう準備は相当つておると思うんですが、たとえ一年でなくても半年ぐらいでも大体片付くのではないかと思うんですが、殊更一年というふうに期限をきめたのはどういうわけですか。六カ月でも大体はきまるのじやないのですか。これは提案者はつきり聞きたいのです。
  57. 佐久間徹

    衆議院議員佐久間徹君) 六カ月という意見もございましたので、一時そういうような方向に進んで参つたのでございますが、何分万全を期しよう、こういう考えから一年ということにいたしたのでございます。そんなようないきさつがございますが、期限といたしましては、どうして一年かと申されても、又公式的に割出す何ものもないわけでございますが、一年ぐらいを以て完成されるのじやないか、希望通り行くのじやないかと、こういうような希望的観測を以て決定いたした次第であります。
  58. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 まあとにかく前から相当準備はやつていて、大蔵省でもそれを検討しているというのですから、あと半年もあつたら大体きまる。殊更一年まで引き延ばしているというと、更に又一年たつたとき、もう一年というふうな工合になる虞れがありはしないかということを私は懸念するのですが、どこまで行つてもそれじやきりがない。そういう点で却つて半年というふうな工合にしたほうがきりがいいんじやないですか、そういうお考えは持たれないんですか。
  59. 佐久間徹

    衆議院議員佐久間徹君) 二百三十六組合中の改組を希望するものの数を考えて見ますというと、いろいろの事情もございましようけれども、大体一年ぐらいの期間を置けば準備が完成する、その前、相当の準備期間があつたから六カ月ぐらいでどうかという話もございましたんですが、まあ我々といたしましては、いろいろの事情を勘案いたしまして、一年を適当と認め、まあこの程度で一年とやつて見ました。その結果又延長というようなことは少しも考えておらないのでございまして、一年を限つてということを固く考えてこういたした次第でございます。御了承願います。
  60. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようですが……。
  61. 波多野鼎

    波多野鼎君 注文ですが、大蔵省に、今度の高金利の取締に関する法律案ですか、あの参考資料を、やはりこれに関連するんだけれども出してもらいたい。というのは非常に複雑な形での法律によらない金融機関ができておるようですが、新聞なんかでちよちよい出て来るのだが、ああいうのを一つ分類して資料に出して下さい。
  62. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。信用金庫法施行法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  65. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     溝淵 春次  大矢半次郎     黒田 英雄  木内 四郎     伊藤 保平  菊川 孝夫     岡崎 真一  小宮山常吉     下條 恭兵  田村 文吉     波多野 鼎  菊田 七平     油井賢太郎  西川甚五郎   —————————————
  66. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に関税法の一部を改正する法律案について質疑を行います。
  67. 波多野鼎

    波多野鼎君 今度のこの一部改正法律案を見ていると、大体通関手続の簡素化ということを中心として、いわゆる保税地域というものを一応拡大しようという考え方だと思うのですが、その考え方には別に異論はないのでありますけれども、こういうふうに通関手続を簡素化するという問題に関連して、こういう指定保税地域ですか、これを拡大するということだけじやなしに、もつと考えなければならん点がたくさんあるんじやないかと思われるので、この一、二の点について政府側の意向を質しておきたいと思うのです。一つの点は密輸出入ですが、これらの取締についての機構は最近拡大されたかどうか、又そういう問題についての実績と申しますかがどんなふうになつているか、そういう点を一つ最初にお伺いいたしたい。
  68. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 密輸取締につきましては、現在税関と海上保安庁、警察、この三者が緊密な連絡をとつて実施することになつておりまして、ただ海上保安庁、警察等で密輸を検挙いたしました場合、必ず税関のほうにお引渡しを願いまして、税関におきまして、関税法違反の事実をよく調査いたしまして、通告処分をするなり、或いは告発などの手続をとつておるわけであります。最近におきまする密輸の検挙の実績をちよつと具体的に数字で申上げますと、昨昭和二十六年度、昨年の四月から今年の三月までの密輸の検挙件数については、密輸出、密輸入合せまして千四百二十八件ございます。同様の数字は一昨年度即ち昭和二十五年度におきましては、千六百九十五件でございましたので、件数におきましては若干の減少ということになつております。ただ密輸物件の価格のほうは、昨昭和二十六年度におきましては四億八千百万円でございまして、一昨年度における三億三千八百万円という数字に対しまして若干の増加になつておるわけであります。と申しますことは、最近におきましては比較的大物が挙つたということでございます。なお先ほど密輸につきまして、税関、警察、海上保安庁等が協同してやつておると申しましたが、その検挙件数を機関別に分けて御報告いたしますと、昨年度におきまして、税関で検挙いたしました件数が九百六十六件、全体の約七〇%でございます。それから警察のほうが二百四十四件で一八%、海上保安庁は八十二件で六%、その他税関、警察協同というのはあと残る数字でございます。このように税関において大体七〇%程度の検挙件数を挙げております。それから検挙いたしました密輸物件のうち、密輸出の主なものを申しますと、昨年度におきまして一番大きいのは機械類でございまして、これが六千百四十八万円、その次が第二位に位するのは電気器具約二千万円、あと以下纖維製品、自動車部品、理化学機械、食料品、木材等の順になつております。それから密輸入のほうは、昨年度におきましては砂糖が一番多うございまして、六千二百八十六万円、それからスクラップが大体これに近い六千二百五十万円、以下食料品、医薬品等の順序になつています。密輸につきまして昨年中において特殊な現象でございましたのは、いわゆるSPSの横流しでありまして、これは取締にも甚だ手こずつたわけでございますが、占領下におきまして特殊なああいう制度が認められまして、これらは平常の店舗を保税倉庫として特許せられ、そこまでは税金を納めないで店舗へ持つて来られる。それから店舗から軍人軍属に売るときは、これは免税してやるけれども、その他の一般外国人に対しては課税するということになつてつたのでありますが、実際的には伝票を或いは偽造いたしまして、軍人—軍属に売つたような恰好で、他の外国人或いは日本人に売るというような事例が相当つたようであります。これにつきましては昨年の六、七月から非常に弊害が目立つて参りましたので、横浜税関、特に東京税関支所を督励いたしまして、相当数洗いまして、或るものは免許を取消し、或るものは通告処分をし、或るものは東京地方検察庁に引継ぐというような状況になつております。なお密輸につきまして御質問がございましたらお答えいたします。
  69. 波多野鼎

    波多野鼎君 今度の独立後、例の駐留軍、その家族、契約者などに対して輸入税を免除する措置が講ぜられておるのですが、これが今あなたの言われたSPSの密輸の問題と非常に似たようなケースが出て来るのじやないか。ああいうような大幅な輸入税免税の措置を講じた関係上、税関のほうでも人手の点において、或いは事務の配置において何か新らしい構想ができておるのですか、これを防ぐために……。
  70. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) とにかく現在におきましては、行政制度の関係で、どうも定員が殖やせません。但し税関につきましては相当同情的な定員を認められまして、行政整理で約三百人落しました半面、特派官吏の増員が認められまして、全体として昭和二十六年度に対しまして、二十七年度の定員は五人しか減つておりません。我々といたしましては、なお昨年相当税関官吏の定員が殖えましたが、欠員が相当ございましたので、この際極力定員を充実いたしまして、部内職員の訓練も更に嚴重に行なつて、適当な職員を配置転換いたしまして、現在の人員で今後予想される事態にも対処しようと思つております。
  71. 波多野鼎

    波多野鼎君 兼行場なんか、外人の発着が非常に多くなつて来ると思うのだけれども、こういうところは税関の支所か出張所か知りませんけれども、そういつたものを設けて、港の場合と同じようにやつておりますか。
  72. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 現在飛行場におきまして、税関官吏、税関の役所がございますが、御承知の通り羽田の税関支所と、それから岩国の税関支所でございまして、他の飛行場は、これは国際民間航空の飛行場では一応ございませんので、現在は税関の職員を置いておりません。但し今後行政協定の発効に伴いまして、いわゆる駐留軍の公用機で以て、パブリックエアクラフトで、仮にシビルの人、全然免除特権のない人を仮に乗せた場合は、向うから税関に通知がありまして、更に羽田の人に随時立川等に出張してもらうとか、場合によりましては、向うから羽田まで出向かせて手続をとらせるということになつております。但し事態の進展においては、立川その他にも若干分室を設けまして、職員を配置しなければならんかと思つております。
  73. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の行政協定の問題に関連して、非常にいろいろ問題が起きると思うのですが、通関手続を簡素化するという、国際協定に入るに応じての改正法案だと思うのですけれども、その面はいいとして、日本が行政協定を結んでおるという特殊な地位にあるというところから、日本の関税行政について考え直さなければならん点が大分あると思うので、その点はあとで機会を見て質問いたしますが、もう一つの点は、この密輸出入を嚴重に取締るという面と、それと裏腹になるのだけれども、税関官吏の訓練という問題、これは大事な問題だと私は思うのですが、外国から日本に来る人の第一印象は税関で與えられてしまうのです。あとで内地でいろいろな人に接触していろいろな印象を受けても、最初に税関で受けた印象というものは、これは消えない。これは一番強いのです。そういう点から、税関官吏の訓練ということは、一面において非常に嚴重にやると共に、他面においては、何かすべての人を罪人扱いにするというような考えで見ないで、いわゆるジエントツマンライクに扱つて行くという点の訓練、これは非常にむずかしいのですけれども、一面嚴重に、一面ジェントルマンライクに扱わなければならんというので、非常に訓練の点に力を入れてもらわなければならんと思うのですが、訓練その他の点について何か構想があるのですか。
  74. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 内国税のほうには御承知のように、税務講習所という機関が中央にございまして、更に各国税局にその支所がございまして、数年来いたしておりますが、税関のほうにつきましては、一楚の講習所という施設はまだ認められておりません。但し私どもといたしましては、昔からいわゆる税関講習というものおやつておりましたが、その制度をこの二、三年来拡充いたしまして、毎年一回高等税関講習会と称しまして、相当程度すでに税関の経歴のある者を再訓練いたしますほか、更に次から次へと昨年あたり採用いたしました新規の未熟練者の訓練、或いは又技術官の再訓練等を次から次に中央において実施いたしますと共に、各税関におきまして一定の研修の計画を立てさせまして、随時本省のほうに報告させまして、本省において更に不備な点を指摘督励いたしまして、研修いたしておる、こういう恰好であります。まだ税関の官吏の全体の定員は五千四百人程度でございまして、一定の講習所という施設を持つことはまだ予算的に認められておりませんが、現在におきましてはそのような恰好で訓練いたしております。  なお第一線の税関官吏の態度につきましては、私ども只今御指摘になりましたように非常に重大に考えております。私ども並びに各税関長も常に、税関官吏というものはその国を代表する外交官のようなつもりでやつてもらいたいというように希望を申しまして、常にその思想を吹き込んでおるのでございます。ただ何と申しましても、まだ二十五歳未満の職員が全体の七〇%を占めておりますような状況でございますので、なかなか皆さんの御期待に副うようには行きかねておるわけでございます。但し羽田とか横浜、神戸等につきましては、特に外人の出入が多いわけでございますので、この点については特に嚴重に訓戒いたしております。  それから又税関の旅客に対する手荷物の検査などについても、今後相当考える必要があるというように考えておるのであります。今まででも羽田におきましては、他の税関に比べまして非常に紳士的にやらしておつたつもりでございますが、一方に又入つて来るときにおいては、これは手荷物の検査をするのもよかろうが、日本から出るときには手荷物の検査をする必要がないじやないかという御議論も大分ございます。ただ我々といたしましては、現在の日本の法制におきまして、輸出貿易管理も相当嚴重に行わなければならんというようなことにもなつておりまして、その間若干ジレンマがあるわけであります。昨日から税関長会議を開催いたしまして、何とか旅客の手荷物の検査についてはもう少し構想を変えようじやないか、殊に日本から出る場合にはできるだけ簡單にして、怪しいものだけを一応開けさせるという方法を講じようじやないかと考えて指示して参つておるわけであります。
  75. 波多野鼎

    波多野鼎君 もう一つ、今の点は、日本から出る場合は抜き取り検査ぐらいでいいのじやないかと思います。  一々開けさせるということは、そんなことはよその国にはないのであります。やはり悪人と見ないで善人と見て扱うという面を強調しなければなるまいと私は思う。  もう一つの点は、これは今度の法律案には出ていないようですが、保税倉庫並びに保税工場ですね、保税工場の制度についてはどんなふうに考えておりますか。特に私質問したいのは、いろいろな意味で日本が加工賃を稼ぐぐ、そういう経済形態というものはよかれあしかれ展開しつつある。例えば原料を輸入して、そうしてこれを製品として出すというような場合が非常に多くなつて来る、そうすると原料輸入の場合に一々税金をかけるというようなことをやつてつたのじや加工賃が稼げなくなつてしまう、できるだけこの保税工場の制度というものは拡大すべきではないか、今のような事情の下ではそう思うのだが、その点について大蔵省はどう考えておりますか。
  76. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 日本の加工貿易の促進のために、保税工場制度を大いに利用したらどうかという波多野先生の御意見については、私どもも全く御同感でございます。現在の保税工場法におきましては相当やはり嚴格な規定がございまして、どうも現在の規定を相当程度見直して考えないと、十分な利用ができないのではないか、こういうような考えもいたしております。これは保税工場の点だけでなく、なお保税倉庫の面もそういう点があるわけでございます。一般関税法そのもの自体につきましては、明治三十二年に制定され、その後十数回に亘つていろいろな改正がございますが、まだ全面的な改正をいたしておらないわけでございます。條文も読みにくい片仮名になつておる、これにつきましては私ども目下できるならば来年度に関税法規全般に亘りまして全面改正をいたしたいと思いまして、最近職員を充実して著々研究いたしております。大体御趣旨に副うように、保税工場ができるだけ日本の加工貿易のために役立つように、私どもは改正に当つてはやつて参りたいと考えております。
  77. 田村文吉

    田村文吉君 先般の詐欺にかかつた紙の問題は始末がつきましたか。
  78. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) まだ始末がついたという報告はございません。そのまま保税倉庫に入つたままでございます。
  79. 田村文吉

    田村文吉君 ちよつとそのまま進展しないでいるわけですね。
  80. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私も先般新聞で承知した程度でありまして、向うのエキスポーターが詐欺事件で挙げられたという程度で、その後の進展状況を聞いておりませんが、保税倉庫に入つた紙はそのままでございます。
  81. 田村文吉

    田村文吉君 それから保税地域とか特許上屋とか、これに類似したものは今まであつたのですか。
  82. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ございました。現行法関税法二十九條の二でありますが、「保税地域ト称スルハ税関構内、保税倉庫、税関仮置場、税関長ヵ外国貨物ヲ蔵置シ得ヘキ場所トシテ指定又ハ特許シタル場所ヲ謂フ」、この條文によりまして特許上屋というものが相当あるわけなんです。その件数もほぼ保税倉庫に匹敵し、面積に至つては保税倉庫を遥かに超えておるような状況でございます。
  83. 田村文吉

    田村文吉君 今度大分條文が殖えておりますが、これは主にどういうことを規定なさろうとしていうつしやるんですか。
  84. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 現在の條文は、只今読み上げましたように非常に簡單な規定でございまして、その具体的な内容は全然書いてない。例えば税関構内というものはどういうものであるか、或いは税関長が指定又は特許したる場所というのはどういうものであるか、そういう場所ではどういう拘束を受けて、その半面どういうふうな行為ができるかというふうなことは、全然規定が、ございませんので、專ら行政慣例によつてつてつたのであります。その行政慣例の行われておつたことを、大体におきまして成文化してはつきりさせようというのが今回の改正の大体の趣旨です。
  85. 田村文吉

    田村文吉君 距離的には何ですか、税関構内というのはどのくらいかということの大体内規があるんですか。
  86. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは税関構内という言葉は非常に一般のかたにはおわかりにくいんでございますが、一般的にはカスタム・オプ・コンパウンドという言葉で出ております。我が国における税関構内と申しますと、昔税関が税関自体で所有いたしまして持つてつた土地と、それから倉庫、上屋など、これは昭和十八年までは税関が所有者に基く管理権と、それから関税行政権とを持つておりまして、港地帯におきまして貨物の迅速な通過に非常に便利なものであつたのです。それが昭和十八年に税関が海運局に統合いた去れまして、そのまま海運局に参りまして、終戰後昭和二十一年六月に税関が独立いたしました際に、運輸省からはそれを返してよこさなかつたというわけです。で現在税関構内というのは、殆んど実際的にはございません。ただ僅かに神戸、門司、函館において、まあ貨物の検査場として若干残つておる程度でございます。
  87. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今度の改正の中で原産地詐称に対する取締りについての御説明でございますが、これは抹消するとか或いは抹消も言うことを肯かない場合には又送り返す、没収するという規定になつておるわけですが、それで原産地詐称の問題につきましては、今後いよいよ激しくなる傾向にあるということは、特に日本でできた品物を一旦輸出して、それがマークを変えて、盛んに南方諸地域へ入つてつたというようなことをよく言われたのでありますが、この原産地詐称というものは、多少ともアメリカ……メード・インUSAというやつは、日本でできた物でもアメリカへ行つてちよつと加工すれば認めるという方針でやるか、嚴重に、本当に原産地主義をとるか、このことをちよつとお聞きしたいと思います。
  88. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 飽くまでも原産地主義でございまして、例えば香港に持つてつてメードインイングランドとして売るものが相当あるわけでございます。これは勿論原産地詐称の規定に引つかかるわけでございます。
  89. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 特にこの輸入の場合にこの被害を被ることが多いと思いますが、これはその判定をするに当りまして、相当高度な技術が私は要るんじやないかと思う。日本の毛織物のごとき、も、一旦香港あたりへ持つてつて、これを又メード・イン・イングランドとしてしまつて、それが又来た場合に、これはそういう毛織物のような極めて判別のしやすい物でもかなり技術が要る。ましてや薬品、この間委員会で問題となりました染料のごとき、ドイツ製であるか日本製であるかということは、非常にむずかしいと思うのでありますが、そういうのを一々技術庁で以て相当な技術者を置いて検定をするようにせられるのですか。本当法律論では原産地主義を強調しておられますが、具体的に又個々の品物にこれをやるということになりますと、この運用は非常に私はむずかしいと思うし、又日本の品物も曽つてはそういう法律の拔け道を潜つて盛んに外地へ運んで行つたということを言われておるのでありますが、この点取締を厳重にしようとした場合には、相当な機構が私は必要だと思う。今のような、波多野さんのさつきの質問に対する説明のような二合でま、ちよつと覚束ないと思うのですが、こういう点更に税関等を更に拡充されるのですか。
  90. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは只今菊川さんのお説のように、非常にむずかしい問題でございます。実は輸入につきまして、すべての物品に原産地証明書というものを添附させれば、これは又一面いいわけでございます。現在日本で原産地証明書を附けさしておるのは、南西諸島からの産物だけでありまして、その他の国から来る物に対しましては原産地証明書を添附さしておりません。一番いい方法としましては、すべての輸入物品について原産地輸入証明書を添附させることであります。又そういたしますことは、税関手続の簡易化に関する條約には、原産地証明書を要求する場合をできるだけ少くしようという規定もございまして、できにくく、実際問題といたしますと、結局税関官吏の長年の経験によりまして、商品が入つて参りました場合に、その仕出国、どこから来たか、現品等を調査いたしまして、明らかに原産地の虚偽表示と思われるものしか実際は遺憾ながら現在の方式ではできないかと、こういう考えております。本当にこれを真劍にやるといたしますと、相当な機構も要るわけでありますが、現在のところちよつとそこまでは届きかねる現状かと思います。甚だ遺憾に思います。
  91. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この輸入の場合に、原産地をやかましく言うと同時に、これは又輸出をする場合に、日本の商品が戰争前にやつたような過ちを再び犯して、いわゆるメイド・イン・USAをやつちやつて、日本でこしらえたやつを、時計なんかは代表的なメーカーがやるんですから、まさかスイスのマークを附けるようなことはないと思いますが、これについては取締りはどうなさるんですか。向うから来るやつよりも今後日本が輸出によつて立たなければならんので、出る面をやかましく言わなければならんと思うのですが。
  92. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 誠に御尤もでございまして、原産地虚偽表示の防止に関する協定にも、契約国内においては原産地について公衆を欺くような表示は禁止するように契約国はしなければならんということになつております。従いまして目下通産省、外務省等が打合せまして、その方法を考えておりますが、その方法といたしましては、これは通産省関係の輸出貿易管理令という政令がございますが、これを改正いたしまして、原産地について虚偽の表示をした貨物については、輸出の場合に許可が要るようにするということになるわけです。ちよつと許可というと変ですが、税関におきましてこれは明らかに日本製品であるのを、メード・イン・USAと書いてあるとすると、これは許可が要るんだということで通産省へ出します、そうすると、通産省では許可をやりません。それで事実上輸出が停止される、こういう措置をとるようになろうかと考えております。
  93. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 許可制度で許可をした場合には、許可を受けるのはメード・イン・USAのマークを附けることを通産省に対して申請すると、特にこれから私ここでもう一遍確認しておきたいのは、外資の導入ということを盛んに言つておられますし、又当然それもだんだん出来るだろう思いますが、アメリカ資本が多く入つて来まして、日本の労働力を使つたりして品物をこしらえ、これを輸出する場合に、向うの会社の本社の所在地はアメリカだと、そういうような場合に、ただ單に日本でこしらえたというのは、日本人に造らしただけだというような場合には、これはどういうふうになるんですか。そういうのは今度の通産省の話では、やはり許可を要するようにするんですか、アメリカ製品とちつとも違わんというような……。
  94. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) やはりそれはどこで造られたかということで、造られた土地は日本でございますから、それに対してメード・イン・USAというマークをいたしますれば、虚偽表示ということになるわけでございます。それから只今ちよつと技術的な問題で、輸出貿易管理令に讓るということになつておりますが、ちよつとそれに許可を要するのはおかしいじやないかということですが、例えば公安良俗を害するものとかいうものは、輸出貿易管理令には許可事項になつて、許可を受ける。それで、実際には許可を與えないということで輸出停止をいたしておる、そういうテクニカルな問題でございます。
  95. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはまあ今の輸出貿易管理令に当然入るのであつて、税関とは関係はむしろないかも知れませんけれども、戰後の日本の輸出品がほうぼうでキャンセルされた、而もそれは見本と納品と違うとか、大部又そろそろ日本人が戰前の悪い癖が出だしたと言つて、新聞で事実を暴露しておるわけでありますが、そういうのは向うから若し突つ返されて来たというような場合に、税関の取扱のほうはどうなるのですか。
  96. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 突つ返されて参りました場合には、やはり輸入ということになりますので、輸出のライセンスがありますれば税関としては通過させるわけであります。  それから只今お話ございました日本の商品が非常に国際的に公正な慣行に反するようなやり方で出て来る問題でございますが、これにつきましては、実は昨年以来二、三そういう問題が税関でもわかりまして、それから税関におきましても輸出検査を相当嚴重にやろうじやないかと、実は今まで税関の検査は、これは人員の関係もございますが、輸入する貨物につきましては、それはまあ全部検査いたします。そうして輸入製品につきましては税率を適用してとつております。輸出品につきましてはなかなか全部検査するまで手が廻りかねておる現状でございまして、まあ昨年あたりまでは、恐らく正直のところ全体の輸出品の五%くらいまでしか検査できなかつたのじやなかろうか、昨年の秋頃まで……、ところが秋頃からいろいろ二、三日本の商品が税関の目を潜りまして輸出されて、そこで大きな問題を起した事件もございますので、それからそれじやならんということで、輸出検査のほうも相当人を増しまして今やらしております。その結果現在では大体輸出品のうちの二〇%乃至二五%程度が平均的に申しますとまあ輸出検査を受ける。現実にこれを開披して実物を税官吏が検査をしている、こういう状況でございます。
  97. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういう処置をするのについて、今回の法律改正の際に必要はないかどうかということと、関税協定によつて、輸出する場合の輸出検査を嚴重にせよというような検査協定、これはないのでございますか。昨日もらつた資料でちよつと見てみたのだけれども、わかりにくい文章でちよつと……。
  98. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 法律的には現在の法制で輸出検査を嚴重にやるこ  とができるわけでございます。それから各国の間に輸出検査をもつと嚴重にやるという協定は、まだ実際にできておりません。ただ最近、これは極く内々の話でございますが、アメリカのほうからどうも日本における税関の輸出検査が少しルーズなようだ、そのためにアメリカで相当損害を及ぼした例もあるから、嚴重にやつてくれないかというような申入れもございまして、先般アメリカの商務省の関係の係官並びに関税局の人が日本の実際の税関の輸出検査のやり方を視察に参つたことがございます。
  99. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それからもう一つ最後に保税地域、それから保税倉庫等で、戰後荒廃したままの姿で相当長いことそのままに置かれる。そのために輸入した品物が、保税地域にあるうちにままいろいろ品傷みをするということをちよちよい話を聞くんでありますが、従つて相当ごの保税設備、保税地域の施設というものに対して私はもう金を注ぎ込んでで、まあ修理をしなきやならんという時期に来ているのじやないか、税関に持つてつて、輸出検査にしても輸入検査にしても、そう直ちにはなかなか行かんもので、ここ税関—部長の言つているような工合には簡單には済まんわけですよ。実際には長いことおいて置かれ、而も祭日、日曜とこういう休日になつたりして、長いことなかなか検査の済まんことがある。ところが港湾の施設が老朽化しておる。それから又戦災によつて傷み、それから駐留軍に一部いいところは提供してしまつておる。特に過般の大阪と神戸等の水害によつて相当傷められておるので、これらに対するこの保税地域の指定を厳重にすると同時に、保税地域内の施設、建物等の近代化、それから修理というような面に対して相当これは大蔵省としても力を入れなければならん問題だと思うのですが、この陳情は相当来ているのですが、これにつきまして今年度大体どのくらいな見込でこれに対する資金貸付等の処置がとられましたか、税関部長一つ御存じになつてつたら進み工合を……。この地域を指定しましても、その設備たるやわれわれ素人から見て無理なようなくらいの保税地域があるのです、相当あるのです。
  100. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 現在保税地域は、先ほど申しましたように、税関自身で持つておるものは殆んどございません。民間業者或いは県市等の公共団体、まあ税関を通しましても、保税中の貨物が保税倉庫等の不備によりまして損傷されておるということは、重大な関心を持つわけでございます。常々勧告はいたしておるわけでございますが、資金の面で何分思うに任せない。但し県市等の地方団体等に対しまする港湾施設の補助といたしましては、本年度三十八億円計上しておるようでございます。その分で、そのうち幾ばくが現実に保税施設に使われるかということは、私どもでつまびらかにいたしません。
  101. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後にそういつた保税地域内のいわゆる品傷み等の事故が二十六年度に、当然統計としてやはりあなたのほうもお取りになつておると思うのですが、そういうものはございませんですか。
  102. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 損傷貨物に関する統計は、現在では税関にないようでございます。
  103. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますから討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。関税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  106. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、先例通り委員長において取計らうことに御一任を願います。これより多数意見者の御署名を求めます。   多数意見者署名     西川甚五郎  伊藤 保平     菊田 七平  岡崎 真一     田村 文吉  下條 恭兵     小宮山常吉  油井賢太郎     菊川 孝夫  大矢半次郎     黒田 英雄  溝淵 春次   —————————————
  107. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  108. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて。  それでは本日の委員会はこれを以て閉じます。    午後零時十八分散会