○
政府委員(北島武雄君) 密輸取締につきましては、現在税関と海上保安庁、警察、この三者が緊密な連絡をと
つて実施することにな
つておりまして、ただ海上保安庁、警察等で密輸を検挙いたしました場合、必ず税関のほうにお引渡しを願いまして、税関におきまして、
関税法違反の事実をよく調査いたしまして、通告処分をするなり、或いは告発などの
手続をと
つておるわけであります。最近におきまする密輸の検挙の実績を
ちよつと具体的に
数字で申上げますと、昨昭和二十六年度、昨年の四月から今年の三月までの密輸の検挙件数については、密輸出、密輸入合せまして千四百二十八件ございます。同様の
数字は一昨年度即ち昭和二十五年度におきましては、千六百九十五件でございましたので、件数におきましては若干の減少ということにな
つております。ただ密輸物件の価格のほうは、昨昭和二十六年度におきましては四億八千百万円でございまして、一昨年度における三億三千八百万円という
数字に対しまして若干の増加にな
つておるわけであります。と申しますことは、最近におきましては比較的大物が挙
つたということでございます。なお
先ほど密輸につきまして、税関、警察、海上保安庁等が協同してや
つておると申しましたが、その検挙件数を機関別に分けて御
報告いたしますと、昨年度におきまして、税関で検挙いたしました件数が九百六十六件、全体の約七〇%でございます。それから警察のほうが二百四十四件で一八%、海上保安庁は八十二件で六%、その他税関、警察協同というのはあと残る
数字でございます。このように税関において大体七〇%
程度の検挙件数を挙げております。それから検挙いたしました密輸物件のうち、密輸出の主なものを申しますと、昨年度におきまして一番大きいのは機械類でございまして、これが六千百四十八万円、その次が第二位に位するのは電気器具約二千万円、あと以下纖維製品、自動車部品、理化学機械、食料品、木材等の順にな
つております。それから密輸入のほうは、昨年度におきましては砂糖が一番多うございまして、六千二百八十六万円、それからスクラップが大体これに近い六千二百五十万円、以下食料品、医薬品等の順序にな
つています。密輸につきまして昨年中において特殊な現象でございましたのは、いわゆるSPSの横流しでありまして、これは取締にも甚だ手こず
つたわけでございますが、占領下におきまして特殊なああいう
制度が認められまして、これらは平常の店舗を保税倉庫として特許せられ、そこまでは税金を納めないで店舗へ持
つて来られる。それから店舗から軍人軍属に売るときは、これは免税してやるけれ
ども、その他の
一般外国人に対しては課税するということにな
つてお
つたのでありますが、実際的には伝票を或いは偽造いたしまして、軍人—軍属に売
つたような恰好で、他の外国人或いは日本人に売るというような事例が
相当あ
つたようであります。これにつきましては昨年の六、七月から非常に弊害が目立
つて参りましたので、横浜税関、特に東京税関支所を督励いたしまして、
相当数洗いまして、或るものは免許を取消し、或るものは通告処分をし、或るものは東京地方検察庁に引継ぐというような
状況にな
つております。なお密輸につきまして御質問がございましたらお答えいたします。