○
参考人(一
萬田尚登君) それでは極く簡単に今後の
金融政策というようなことについて述べてみたいと思います。
私の
考えでは、無論
講和が発効した後におきましても、
金融政策に特に大きな
変化があるというようには
考えておりません。特にこの
講和発効後におきまして、この
国際金融機構或いは
国際通貨基金にも入り、今後ますます
円貨の
為替レート、
円貨の
対外価値の維持というものは極めて必要なので、これは飽くまでむしろ強化して行く、こういう方向に進めなくてはならない今日、この
世界の
経済の
情勢、例えば
日本におきましても、よく言われておりますところの
不況、この見通しというものも、当面の
金融政策には無論関連が深いのでありますが、私はやはりこの
世界的な
不況というものにつきましては、大体においてこの
軍備拡張と国際的な
情勢の
現実との間の、この喰い違いから起
つておる。
基調としては
世界の
軍拡が急速に必要がなくなるというようなことは、私は絶対にないと思
つております。今日
世界平和を維持する上におきまして、どうしても力というものが必要である。或る一定の限界までは必ず
軍拡は進んで行く。
世界の
経済を動かして行く
基調としては
軍拡じやないか、ただこういう場合に、
アメリカの
経済力というものは非常に強いものですから、
国際情勢、例えば
朝鮮事変直後における
国際情勢から非常な
軍拡ということをや
つておる、これを
裏付ける
生産力の
拡充というものを非常に強化しておることは御
承知の
通りであります。
アメリカというような国では、こういうふうな
生産力拡充をやると、
日本なんかとは
違つて、殆んど
機械的に実現できる。ところが
世界の
現実の
情勢というものは非常に紆余曲折を経て、非常に緊迫しておる。どうしても近く
戦争があるかのような
情勢が出るかと思うと、そうじやない、平和が続く、こういうような
情勢。そうしてみると、
生産力の
拡充はあるが、やはり
アメリカにしても、実際の政治という面からは、そうすぐ
軍備の
拡充に物を買入れるということを差控えるということになるわけであります。そうして来ると、物は殖えるが買入れが減る。いわゆる買入れの繰延べが行われております。
軍事費でも思うようには使われない。これで行けば、
アメリカはそれに対応して
統制を外して、物の面におきましても、
金融の面におきましても
統制を外して行く。が併し、
軍備拡張はそれではやらないどころではない。
予算面を見ましても御
承知の
通りであります。私は
軍備拡張というものはやはり進められておるというふうに
考える。そうしてみると、今日の
情勢というものは
本質的に、いわゆる
不況、これは
自由経済における
景気現象から来る
不況であるということは非常に間
違つておるというふうに
考えております。そういう
意味からもそう
基本的に
金融政策を
変更する
理由は今日発現をしておりません。なお今後
日本の
経済の行き方としては、一方において
東南アジヤの
開発というものはどうしても取上げる。これは
ひとり経済の問題ばかりでなくして、
日本が
東亜に孤立しない、
東亜の民族とこそ手を握らなくてはならない、そうして
日本がやはり
経済的には
先進国であり、大きな
工業力を持
つておる、
東南アジヤ諸国と手を握るという
意味において、又バツクとして
経済的な提携をする。同時にこれが
日本の市場でなくてはならん。こういうふうに今後
東南アジヤによ
つて日本経済が培われて行くというふうに持
つて行かなくてはならん。そういうことをやる場合において、他方においてどうしても
日本の力だけではいけない。これには
日米経済力の
裏付がなければならん。私はそういうふうな
意味において
金融政策をと
つて、同時に
金融政策において今後一番私が重点をおいていることは、こういうふうな
国際情勢でいろいろありますが、やはり
経済の
本質といたしまして、
日本の場合におきましては正常な
貿易が伸びるということであります。ここにどうしても
基本を置かなければならん。これにはいい物を比較的安い
生産費で
作つて、私は海外に安く売るということは望んでいない。
日本みたいな貧乏な国は高く売るがよろしい。ただ
生産費は安くする。そこにはじめて
利益があり、利潤というものがある。それが
資本の
蓄積にな
つて日本の
経済を養う、或いは人口を養う、こういうことに相成る。できるだけ
生産費を安くする。それには今日の
日本の
経済の
設備の状況でどうしても
貿易を進めて行かなければならんとすれば、いい
機械を入れ、いい
技術を入れ、同時に又全般的に
合理化、
合理化と言えば如何にも或る
特定の
事業についてその
経営或いは
技術、
設備について
近代化をする、
国際水準に持
つて行くというふうにばかり取るのでありますが、
合理化という場合は、更に広い範囲を
考えなくてはならん。それは例えて言えば、電源の
開発、電気を安くしてすべての
事業に提供ができるということは、これは
生産費を安くする大きなモメントです。船は、船賃が安くなりまして、新造船については
経営に幾多の困難を
伴なつて、まして今後の
国際情勢の
変化を
考えると、船というものもなかなか困難はあるのでありますが、併しそれにもかかわらず
日本のこういう国柄であり、或る
程度の
船舶を持つ、
従つてこの
船舶も又
優秀船でなくちやならんということも申すまでもない。それから今後
日本が特に
機械工業というものが相当の重要さを占める。
輸出にしても、
機械工業というようなものに、或る
程度重点的な
方法を、徐々ではありますが、講じて行く。又いい
機械が
日本にできるということは、すべての
産業をうるおす。そういう
意味によ
つては、又その素材になる鉄というもの、
製鉄業というものについては、
日本におきましてはいろいろな悪い状態があります。
製鉄業について多くの検討を必要とするのでありまするが、併し私はやはり
独立国である以上、
産業の基礎を成す
製鉄業というものが成立つようにしなくてはならん。こういう
方法を私は
考えておるのであります。
製鉄についての
合理化、これも進めて行かなければならん。こういうふうに全般的に合理的な
処置をとる。
事業自体にしても
合理化をして行く。
従つてそういう方面へ対する
金融は当面の問題としては一番緊切な問題で、これは結局
長期の
資金を如何に調達して、如何に潤沢に調達するかということに問題がある。更に又今は
食糧の
増産であります。私は
食糧の
増産ということについて如何にも国が今まで怠
つておる、なんて言うと叱られるですが、もう少しやはり具体的なものをも
つて食糧の
増産をすべきだ、こう思
つておる。今日では一層私は急を感ずるのであります。
アメリカの国にお頼みをして
日本の国を守
つてもらわなければならんだけ仮りに
国際情勢が緊迫しておるといたしまして、
四面海に囲まれておる
日本が、
食糧を外国に非常に大きな
部分を仰ぐということは、
政策として一貫していない。それほど
国際情勢が緊迫しているなら、先ず
国内の治安の上からはできるだけ
食糧の
自給度を高める。これは当然私は取らなくてはならん
処置であろうと思う。これはやればいくらでもできる。今日
専門家の
意見を聞いても、
食糧の二割
程度の
増産が不可能であると言う人は殆んどないように私は聞いておる。それはやりさえすればできる。いわゆる
農業政策といいますか、又
長期資金の供給、こういうことが大きな問題に相成る。私
自身としては
農業に対する
金融については、今後格段の努力を払うということが必要である。こういう面にも問題があると思う。こういうふうに筋を大体……。今後
金融の下にも特に
考えて行かなければならないと思う。
従つてこういうふうな
長期の
資金でありますが、これは所要する
長期の
資金について、いろいろと施策を速やかにして、その一つの現われが
皆様方のところに、
大蔵省のほうから御
審議を願
つておる
長期金融、どういう名前にな
つておるか存じませんが、
長期信用に関する
法律案が出ておると思いますが、これな
ども無論必要である。大体
日本の
金融機関は終戦直後におきまして、すべてを
アメリカの指令で取り壊しまして、これは強く
反対をしたのでありますが、受入れられなか
つたのでありまして、すべてを
商業銀行に直してしま
つた。そうしてその
商業銀行が
デパート式、よろずの
金融をするということに
なつた、こういう行き方は適当でない。私はやはり特にこの
戦争によ
つて荒廃に帰している、この
荒廃に帰している国を再興するためには、どうしても再興に関する
プランというものがこの
貧乏国にはなくちやならん。その
プランに基いて、やはり
経済プランに基いて
金融をする場合にそれぞれ専門的な
分野を持つことは特に必要である。戦前においても
日本はやはり
商業銀行と
長期金融機関というものは截然と区別した。
為替銀行も持
つた。そうしてそれぞれの
分野においてそれぞれの
違つた性質を持つ
資金を持
つて働いてお
つた。こういう構想はどうしても必要である。それで今度そういうふうに
長期金融、
長期の
資金を必要としますときに、
長期の
金融機関ができるということは非常にこれはいいことである。これによ
つていわゆる或る
程度技術的に
オーバー・
ローンというような
意味合のことも解消する。無論
オーバー・
ローンの解決というものは、
基本におきまして
資金の
蓄積ということが大事であることは、これは言うまでもありません。いろいろな
法案があ
つても
オーバー・
ローンというものは
技術的のみによ
つて解決することは絶対にできない。これは一に国民が働いて
貯蓄をする。その
貯蓄が増加しない限りにおいては
オーバー・
ローンの解消は言うべくしてできないと思います。まあそういう
基本があります。が併し
技術的に、
長期は
長期の
金融機関を持つ、
従つてその
長期金融機関は
長期の性格を持つ
資金を扱う。そうしてこれを
長期で
貸付けて行く。そうして
商業銀行は短期の、或いは中期の主として
運転資金、
商業銀行は
長期の
金融をしないというので、その基準は極めて軽いいわゆる
運転資金の形においてや
つて行く。或いはこれは
内外に
亘つての
運転資金、
為替も営んでよろしい、こういうふうなことで、そうすると
預金の増加と共に
オーバー・
ローンも自然に解消して来る、こういうようなことになる。
金融機関は
長期の
資金を調達するのは主としてやはり
債券発行による。無論この
債券発行については
政府の
資金の援助を必要といたしましよう。同時に民間の
金融機関に引受けてもらう。そうして
銀行が
預金が殖えて、而もその殖えた
預金で
自分自身で
長期の
資金を持つ、
長期金融機関の発行する
債券というものを持つ、そうすると
銀行の
資本の
構成がどうなるかというと、これは一面においては
預金が増大する、それに
見合つて貸出と
有価証券が均衡をと
つて行く。従来は貸出し一本であ
つたから、如何にも貸出しが
預金に対して厖大のように見えたというような形があ
つたと思う。今度
長期金融機関が発行するその
債券を持つ、
右価証券を持つ、
自分は
長期貸出しをしない、貸出しは多く
運転資金である、こういうふうな形に
銀行の
構成がなる。そうしてそれらの
銀行の有力なものが
為替銀行を営み、主として
対外的信用の的になる。そうして来れば海外に対する
日本の
金融界に対する信用が高ま
つて来るというふうになるのでありまして、私は
長期金融機関に関する法律が早く通過することを希望するのでありまして、又この法律に基いて
長期金融機関自体を早く整備をして行く、整えて行くという段階に入
つて行かなければならないということになる、こういうふうに思
つております。そうするとやはり
長期金融機関というものが必要である。
それからこの
長期金融機関について皆様に御考慮願いたいことは、今日
日本の
経済はいわゆる底が浅いというような言葉で表現がされております。無論これにはいろいろな
理由がありまして、又いろいろな方面からこれを
説明することができるのであります。一つは特に
資金的
関係において重大なことは、今日
日本の企業、それぞれ
事業を営んでいる会社が自己
資本を持たんということ、自己
資本がないのであります。すべてを借入金に依存している。これが一番
日本の
経済のウイークなところである。何をするにも借入金、
自分の金でない。何かそこで損失があり、
経済の変動があ
つてがたがたすると、これに抵抗する力がない。
従つて金融々々ということになる。これは同時に金利の問題がある、金利の負担が重いという問題が生ずる、これは前は自己
資金があ
つた、これは
自分の金で利子が附かない、借入金があ
つても平均すれば、
資金全体のほうから見れば金利の負担が軽いのでそれほどでもないが、自己
資金がないと今日金利というものが重く感じられる、これはやはり解消しなければならない、これは一体何故かというと、これは結局私の
考えではやはり税制の問題に相成る、利潤を上げてもそれは税に取られてしまう、そういう行き方では自己
資金は甚だできない、で何とかこういうものは解消しなければ、例えば私が具体的に痛切に
考えることは、例えば船を造る、こういう場合に船というものは、今度の
戦争に国の御用に徴発された、これは全部沈められた、そういう
関係も頭に置いて頂きたい。で、新造船を、例えばタンカーを一艘作るにしても相当かかる、本来ならば船を沈めないで持
つてお
つたならば償却対象になるけれ
ども、そういう
関係で船を沈められて、而も
国家的な原因で沈められて持たないので償却するものがない、税金に皆取られてしま
つた。そういうのは私の
考えでは、そういうような
理由で償却対象もなく
なつたような場合は、新船を造るための積立金というような、新造船
資金というものは、
利益金から積立てるような場合には何か税法上の措置をする、その金で新造船にかけて行く、そうすると
日本の船は安くできる、のみならずそうすれは借入金に頼ることもない、それで結局今後の海運を国際的競争にまで持
つて行けるということになる。こういういろいろ税の問題は私は
専門家でもありませんし、又税の問題については私はいろいろと申分があるのでありますが、併しこれはやはり
考えなければならない。要するに
資本の
蓄積ということと税というものは、余ほど相関的である、私の
考えでは、これほど破壊を受けた国が再興を図る場合に、今生きておる人間の働きばかりでこれをや
つて行こうということに大きな矛盾があると思う。言い換えればこれは現金に替える、みんなの所得から税金という形で現金を取上げて、その現金ですべての費用を償
つて行こうという行き方になる。インフレが進行しておる場合にこれをとめる手段としてそういう
方法をとるのは、これは正しい。これは私は非常によろしい。
従つて例えば
昭和二十四年度の予算の編成において極めて税が高くて、且つ超均衡の予算を組んだということは極めて適切であると思う。これは進行するインフレをとめなくてはならん。とめないと
経済が崩壊する。何としてもとめるというその際におきましてこういう施策を取ることは正しい。ドツジさんの方針は極めて適切だ、そういうことは誰も
考えてお
つたのでありますが、当時力の
関係でああいうところから言わん限りは実行ができなか
つたというに過ぎない、これは正しい。併しそれだからと言
つて、これは金科玉条であ
つても、私はドツジ・ラインというものはいろいろ時々の新聞に出ておるが、私はドツジ・ラインというものは何も財政だけのことを言
つておるのではないと思う。ドツジ・ラインの企図しておるところは、要するに貧乏の国がこういう
事情から立上るためには、国民全体がねじ鉢巻で一つ働いて下さい、汗水たらして働いて、そうしてできるだけ節約をして下さい、そこに利潤というものが
構成される。これによ
つて一つ復興を図る、ねじ鉢巻で働き節約をする、これがドツジ・ラインです。これに関する限りにおいて、私は恐らく
日本としては時間的に言うても殆んど永久に拳拳服膺して行ける、行かなくてはならんプリンシプルであると思
つておりますが、併し単に財政だけが超均衡、ドツジ・ラインでなく、これは
貿易、国民生活までやはり一つ有機的に
管理をする。ですからあとにローガンという人が来て、
日本の
貿易政策についても示唆した。ローガンさんも来ましたし、シヤウプさんも来た。みんなこれは当時の処方箋を書いたお医者さんです。これは一貫している。
貿易、国民生活の安定、みんなこれは含めているのである。
従つてドツジ・ラインについてかれこれ議論する場合に、超均衡予算だけを取上げてこれをドツジ・ラインだ、ドツジ・ラインの
変更だというのは私は見識が狭いと思う。ただ税ばかり取
つて、そうして超均衡、それだけで問題が解決すると思
つておると間違うので、この税の問題は、私は国民
貯蓄といいますか、
資本の
蓄積状況とよく睨み合せて適切な操作をしてよろしい。例えば若しも国民が、税が重いから困る、又そういうことでは
経済活動も困るとなれば、財界にも個人においても
貯蓄ができるように、
資金の
蓄積ができるようにし、又国民が進んでそれをするというようにする。そこで
貯蓄がぐつと出て来れば、さあ税は取る、現金で取る、今の人ばかりにすべて負担をかけてや
つて行くというような方向をとらなくても、私は行く途が発見できるのではないか、こういうふうな
考え方もある。これはやはり今後は
金融政策に影響がある。私
どもとしてはそれで成るべく
資本の
蓄積が民間に多くできるような、そういう
政策を
金融界は希望するのであります。余ほどそこに私は裕りのある、相当よい
政策がとられる……。インフレを防ぐことはその強さによ
つていろいろとやはりそれに対する対策が
違つてよろしい。非常に進行する場合はタツクスという形の、一番強い線で行くのがよろしい。併しインフレがそれほどでなくて、懸念をされん場合において、インフレが起らない
方法であれば、必ずしもタツクスでなくても途がある。そのほうがむしろ合理的でもある。こういうふうな
考えをしておるのであります。これは併し、私
自身は
金融的にそういうふうに見るわけです。それでこういうふうな
長期資金といろいろの
関係がある。それで
合理化のための措置はいろいろ
考えを持
つております。これは当面の
金融措置になるのでありますが、外貨もどういうふうに
使つてもらうかを
考えている。それでドル、ポンド、ポンドについては特に金利を利用する人で四分というふうなこと、ドルについては六分というような金利であ
つて、
合理化のために必要とする
技術、
機械、この輸入については三年、長ければ三年、一応一年にしておりまするが、必要があり妥当と思えば三年まで延ばすというような
関係、こういう方面にも
合理化のためにできるだけの措置をと
つておるわけです。それから
資金の
蓄積状況も、今日ではいわゆる無記名
預金という、名が悪いが、税金を払わないように思われるが、そうじやないので、これは五割というような、これは高過ぎると私は思うのですが、五割の税金を払
つておる。一円の利子がつけば五十銭は税金である。ただ源泉課税で、総合されないというだけです。こういうことで税務署との
関係のトラブルがないということが
預金者の好むところです。もう恐らく私の
考えでは八百億くらい、これを始めてから幾らも経たないのでありますが、八百億くらいにな
つておると思う、こういうことになる。実際箪笥
預金で入
つたのはこの三割から四割というところと思
つております。それにしても従来箪笥の中に眠
つてお
つた資金が、仮に八百億で四割とすると三言億、三割にしても二百五十億というような
関係、今後恐らくこれはむろん千億を突破しましよう。私は本当に箪笥
預金が千億出るようにしたいというような意気込みでおるのだが、そうもならんかも知れない。そうするとこういう
資金が出てくれば大体
長期に運用し得る
資金です、箪笥に入れて使わずにおいてもよか
つたというような
資金ですから……。そうするとここに五百億出て来るとすれば、造船
資金も勿論賄えるし、電源
開発資金もこれだけはプラスになる。従いまいて今後においても
資金の
蓄積ができるというふうな方向に向けて行く。これにやはり通貨の価値が安定しないといけない。物価が上るというような
政策をと
つてお
つて、
貯蓄の増大を図るということは到底望むべくもないのであります。従いましてやはり
金融政策として、物価が上がらないように、
合理化によ
つて下げて行く、同時に
増産をやらして行く。そこにやはり
日本のむずかしさがある。
増産はしなくちやならない。そうでないと人口が養えない。如何に不利な条件の下で
貿易をしなくちやならんにしても、
日本としては生産を小さくしていわゆる
経済規模を小さくするというような方向ではいかないと私は思
つておる。これでは人口が養えないということで行き当
つてしまう。どうしても生産の規模の拡大を図
つて行かなければならん。而もむずかしい国際競争を乗り切
つてどうしても
合理化せんことには、どうしても駄目だと思う。それで何でも余り操短、例えば綿糸、繊維にしても余り操短々々というのは、私は
考え過ぎると思う。売れない物を無茶に
作つておるが、売れるような物をたくさん
作つて付こうという方向に行くことが私は必要だと思う。単にそのときの状況で、例えば綿糸が下るからこれの生産をぐつと下げるというような、すぐそれだけでもいかん。無論売れない物は仕方がないから、数量的な生産の調整は一時必要でありまするが、できるだけ
国際情勢の許す限りにおいて、販路の見出し得る限りにおいて生産規模を維持して行くということを
基本に
考え、
金融政策をとる場合においてもそういう
考え方でや
つておるのであります。そういうところで……。御質問がありますればどうぞ……。