○
政府委員(
平田敬一郎君) 先ほどの
菊川さんの御懸念と併せまして、もう一遍私からお答え申上げますが、この米比
協定、米英
協定等よりはどつちかと申しますと、非常に極く一般的な
規定の仕方で実は
免税或いは
特例を設けておる、それを私
どもはできるだけ具体的にやろうじやないか、この点は率直に申上げまして、最初の
向うの提案は或る程度包括的なものでありまして、抽象的な字句が多かつたのでございます。これではどうもはつきりしないし、又
相互にあとではつきりさせる場合において困るからというので、でき得る限り具体的に
一つ必要かどうかを
考えてきめよう、こういう方針でこの打合せをしたのでございまして、従いましてこの
関税は内国税その他に
関係する
協定のほかの分よりも更に一層
協定自体も細かくな
つております。先方でもこれに関する
説明とか附則とか
了解事項がほかのよりも非常にボリユームが多くて閉口しているということを漏らす人がありましたが、私
どもはその事柄の対象をはつきりいたしまして、そういたしまして、それを果して必要であるかどうかよく
考えた上でその限度において
考える。まあ勿論私
どもはやはり
日本に
軍隊が駐留して一定の目的を達成するわけでございますので、そういうことに対しまして必要な限度というものは、これはやはり態度といたしましては
日本としては
考えよう、併し必要を超えてやるということにつきましては、これはどうも
考え直してもらいたいという
趣旨で実は各般に亘
つて話したわけでありまして、従いまして、
協定或いは
法律案もその他の例に比べますと、私は
相当日本のほうが詳細にな
つておる。それで今の御
指摘の
軍事郵便の場合におきましても、「
日本国に郵送される
通常且つ
相当量」という
言葉を使
つておりますが、これはもつと細かく書けば或いはもつと細かくなり得るかと思いますが、一般のこの米比
協定その他にはこういうことにつきましても非常に包括的に、もつと包括的にな
つております。それでこういうふうにしておきますと、私
どもはやはり「
通常且つ
相当量の衣類」であるかどうか、これは今後実行の際におきまして十分資料等を集めて来まして、範囲を逸脱しました場合におきましては、
話合いできめる余地が非常に多いと思う。又私
どもは是非そういたしたいと思う。やはりこれば実績等につきましても適当なときにまとめて報告してもらうことにな
つております。それを見まして、その上でどうも範囲を逸脱しているというようなふうに見られる場合におきましては、遠慮なく先方に対しましても申入れまして、必要な措置を講ずることにいたしたい。
それからもう
一つは
関税法の第十一條でございますが、十一條の
規定はこれは又非常にはつきりした
規定を設けておるのでございまして、
軍隊の
構成員、それから
軍属又はその
家族等、又はこれらの者であつた者、過去にそうであつたがそういう資格がなくな
つて日本に住んでいるような人、こういうような
人々が第六條の
適用を受けて違反した物品を
日本国内において
免税を受ける資格のない者に讓渡しようとするときは
税関に申告して当該物品の
検査を経て譲渡の免許を受けなければならないという
規定を設けたのであります。これはもうまさに
軍人等にぴつたりとこれが
適用になるのでありまして、これにつきましては、やはりこれを
免税しまして入れた物を横流しした場合におきましては、この
規定違反としまして、あとで制裁が設けられてあります。まあそういうような点もはつきりいたしました。こういう点は従来はどうも御承知のように如何ともし難かつた。
占領軍自体を、
軍人自体を
日本の
国内法で処罰する
云々という問題は今まではあり得なかつたのでありますが、それが今度ははつきりこの
規定によりまして、
日本の
国内法で処理できる。それでその犯則の違反
事件に対しましては、
国内法の処分の
特例で
規定しておりますが、区域内
施設内の場合はこれはどうもやはり
向うの承認を得てやつたほうが妥当だというので承認を得るか、或いは軍の機密に属するような
事件を臨検捜査をする場合がむずかしいときは嘱託してやる、区域外で臨検捜査したものをやる場合は
日本の裁判所の令状を持
つて行けば、随時必要に応じて違反処分の摘発ができる。こういうことにいたした次第でございまして、その点は前もたびたび申上げました
通り、今までとよほど
法律関係も違
つて参ると思います。それで各
條項ごとにでき得る限りそのようにいたしておりますので、まあ今後におきましては、本当に必要を超えましてこういう措置が濫用される、こういう場合におきましては、私
ども資料をできるだけ集めまして、遠慮なく
向うに申入れたい。私
どもいろいろ接触した態度から申しますと、少くとも中央部の首脳の
人々、或いは私
どもが接触する範囲の
人々、こういう
人々に関する限りは気持は全く同じであります。併しなかなかそうは行かん場合があると私は思います。これは
日本の場合におきましてもよくあり得ることでございますが、そういう事柄につきましては、よく事実を調べて
向うに提議しますれば、私はこれはこちらの中央部から然るべき処置が講ぜられ得るということにつきましては、私はそう疑わなくてもいいのじやないか。又私
どもでき得る限りそういう
方向に努力いたしまして、少くとも今までのような弊害は猛烈に減少するようなふうに行かなくちやならんし、又私はそれは或る程度行くことは可能ではないかと
考えておる次第でございます。それで実は御懸念の点は私もいろいろ先方に話しましたときには、專らそういう見地からいろいろ話したわけでございまして、
従つて行政協定の中にも一般的にいろいろ
日本の
法律を尊重しなければならんといつたようなことのために、この違反
事件につきましては資料を出さなければならんとか、協力をしなければならんとか、或いは
特権の濫用に対しましては
相互にこれを防止する責任を負う、こういうような
條項を至るところに入れて置きまして、今度問題が起りました場合におきましては、そういう
條項を援用いたしまして、更に適切なる処置を講じ得るようにしておる。そういう点は米比
協定、米英
協定と比べまして、私
どもは今日このきまりましたものはよほど具体的であり、はつきりしておるということはこの際はつきり申上げておきたいと思う次第でございます。又私
ども單にここで言うだけではなくて、実際に当りましてもそのような方針で運用の適正化を図るべく大いに努力いたして行きたいと思う次第でございます。実際問題といたしましても、戰後の一種の特別の空気からしまして、どうもやはりそういう点についてはおおまかにしたらどうかというようなのが、ひとり
政府だけではなく、一般の空気にな
つておるように私
どもどうも察知せられるのでありますが、だんだんそういう点はやはり平和條約調印後におきましては、世間の空気もよほど変
つて来ると思います。そういうふうに変
つて来ますれば、私
どももそういう点については措置が非常にしやすくな
つて来るのではないか、まあそういう点も私期待いたしまして、運用上遺憾なきを期したい。極く大まかな一般的なことだけで恐縮でございますが、基本的には実はこのような
考え方の下に
協定をきめる際にも
相当しつこく先方とも話しましたし、又
法律案もそういう点でできておりますし、或いはそういつた
趣旨からいたしまして、もつと細かくできないかという議論があるかも知れませんが、そこはまあ程度の問題として御了承願いたいと思うのであります。