○国務大臣(佐藤榮作君) 当
委員会には参りましたばかりでございますので、今までいろいろお尋ねがありました点について或いはその
通りにお尋ねに対する答えにならないかもわかりませんが、汚職の問題が議論にな
つているようでありますからその点について私大臣としての所見を申上げてみたいと思います。
只今汚職として起訴され或いは又取調中の者が数名あるわけであります。その事件の
内容等は
只今取調中であり又裁判にかか
つている際でありますので、いずれこの裁判の結果を待たなければ判然しないものもあるのであります。併し今までの
事務の
処理その他から見まして、
相当部内的にも欠陥があるやに見受けられますので、この点につきましては私就任いたしまして以来種々対策を講じて参
つているのであります。御
承知のように
只今訴追されております事件等は
相当以前の事件でありまして、そのために当時の社会的環境等から見まして特に強く責められなか
つたような面もあるやに見受けるのでありまするし、或いは又法規上の不備と申しますか、解釈上の問題に係るような点も実はあるのであります。そこでまあ例えて申しますならば、電通省でいろいろ工事をしておりますが、工事をいたします際にはとかく最初の起工式の費用であるとか、或いは竣工式というようなものをいたすわけであります、それらの費用が最近は
予算も明確にいたしておりますので、諸雑費等を計上いたしておりますから、今日はかような問題は起らないのでありますが、二、三年前におきましてはこれらの雑費の計上がないために工事にかかります際に業者から特別の援助を受けた、こういうものも実はあるわけであります。こういうものは直ちに刑事上の問題にまでは発展いたしてはおりませんが、法規上の
取扱いから見ますれば明らかに決算上は非違
事項として責任を追求されるもののように思うのであります。この種の事柄がやはり総体の扱い方といたしましてのルーズさも実は引起している向もあるやに見受けられますので、特にこれらの点について係を督励をいたしまして法規の
整備を図るとか、或るいは又工事自身をいたしますにつきましても、前の電気通信省ができます際に、特にライン・システムといろシステムをとりましてそして同一の人が工事をする、又現金の
支拂いもするし、又間違いの金の返納をも受けると、こういうようなことも実はあ
つたわけであります。普通の役所におきましては工事を
処理する所と現金を
支拂う所と更に又過誤の清算をする所、これらのものははつきり区別されておりましてまあ適当なチエツク・アンド・バランスの原則が採用せられているわけでありますが、戰後電気通信省におきましてはその荒廃に帰した設備を
整備いたしますために特に迅速という点に重点を置いた、そういうような関係もありましようがこのライン・システムを採用いたしました。これらもやはり間違いが起り易いことにもな
つておるやに見受けるのであります。これらの点につきましても
只今は
改正を加えまして、十分関係者が互いに注意し合うというようなシステムに実は切換えて参
つているのであります。いろいろの
只今申上げるような細かな点もやはり扱い方がルーズになる原因になると思いますが、総体的に申しますれば、やはり
終戰直後の
一つの混乱状態、これらのものから見まして
業務遂行上におきまして、公正或いは法規を軽視する、これらの
意味合においての非常なゆるみがあ
つたのではないか、実はかようにも考えているのであります。これらの点について種種工夫をこらし、又人事の適正を期し、信賞必罰の原則をも立てまして、特に
従業員の奮起を促して
只今事業の遂行をいたしているような次第でございます。ただ私どもは汚職の問題を通じて考えますことは、十五万の
従業員を擁し、そうして全国に亘る立派な公益事業を提供いたしておる事業官庁でありまするが、この事業官庁の二郷におきまして社会の指彈を受けるような犯罪者を出した。そのために全体の
従業員も非常な不名誉を感じておりまするし、殊に善良な職員の意気も沮喪いたしておるやに見受けるのでありまして、これらの点はこの事業の運営をいたします者から見ますると誠に遺憾に堪えない次第であります。特にこの点社会
一般の理解と御同情を賜わり又
従業員全体が奮起いたしまして重ねて過誤なきようにし、そうして真に明朗な公益事業体にふさわしいような事業ができるようにと、かように思いまして
只今折角再建中であるのであります。この点につきましては特に衆参両院の
かたがたにも御理解を賜わりまして一層の御指導をお願いいたしているような次第でございます。
特に今回の汚職の問題といたしまして、今までの問題と非常に行き方を異にしていると思いますのは、一、二の会社からの贈賄だとか贈收だとかこういうような問題でなしに、総体といたしましての非常なゆるんだ気持ちで事業をいたしている、そういう点に
只今追及されている主たるものがあるのではないか。かように考えまして非常に残念に思
つているような次第でございます。事件の概要は冒頭に申上げましたように、
只今検察当局なり或いは裁判にかかるのでありますので、今日からその
内容につきましての旨確な点を申上げるわけには参りません。而もなおこの事件等はいろいろのうわさが飛んでおりまするが、私どもといたしましてはできるだけ早くこの一応の結末がつくことを心から実は念願をいたしておるような次第でございます。併し何と申しましても私どもは行政官庁の者でありまするし、検察当局と画然と仕事の
範囲も違うのでありまするので、ただ焦慮いたしておるというのが率直な私の気持ちでございます。
次に第二の問題の、郵政省並に電気通信省関係で駐留軍費等についてどういうようにな
つているかというお話でありまするが、総体として申しますれば
只今設備の提供等についていろいろ折衝いたしている
段階でありますので、この協定と申しますか折衝の結果を持たなければどれだけの事業になりますかはつきりわからないのでございます。
只今御
審議を頂き、本会議にかか
つております
予算自体といたしましての郵政省並びに電通省の
予算といたしましては、駐留軍費に関係するものは
只今のところはないのでございます。で、概略から申しますると、郵政関係におきましては、御
承知のようにアメリカの軍自身の郵便につきましては私ども逓送の関係において
支拂を頂くという
程度でありますので、このほうは大した問題はないように考えます。問題は電話のほうにおきまして新たなる施設を必要とするのではないか、又今まで使
つておりました施設のどの部分を私どものほうへ返してくれるのかという問題になるのでありまして、この点はその駐留地等かはつきりまだきまらないのであります、これからの折衝に待つほかはないのであります。ただ私どもいずれ電話料金法の
改正をいたしまして、専用電話料については特別な料金を設定いたしたいと、かように考えておりまするが、これも現在の
日本の
政府が
支拂つていると同様の料金制度を立てて参るつもりでおります。その行き方によりますれば、現在占領軍が専用しております専用通話料よりも高いものになるのではないかと、かように考えておるような次第でございます。