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1952-03-25 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十五日(火曜日)    午後二時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小林 政夫君            小宮山常吉君            田村 文吉君            森 八三一君            大野 幸一君            波多野 鼎君            菊田 七平君            木村禧八郎君   衆議院議員            佐藤 重遠君   政府委員    大蔵政務次官  西村 直己君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    通商産業省臨時    通商業務局長  佐枝 新一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    国税庁徴収部管    理課長     桃井 直造君    郵政省経理局会    計課長     牧  光雄君    電気通信省経理    局会計課長   淺野 賢澄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○在外公館等借入金の返済の実施に関  する法律案内閣送付)(第十三回  国会継続在外) ○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命  令に関する件に基く連合国財産及び  ドイツ財産関係諸命令の措置に関す  る法律案内閣送付) ○特定道路整備事業特別会計法案(内  閣送付) ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○農業共済保險特別会計法の一部を  改正する法律案内閣送付) ○財産税等収入金特別会計法を廃止す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○一般会計の歳出の財源に充てるため  の米国対日援助物資等処理特別会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○郵政事業特別会計法及び電気通信事  業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○資金運用部預託金利率特例に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) これより第二十八回の大蔵委員会を開会いたします。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、以上三案を議題といたします。この三案につきまして昨日の委員会におきましてすでに質疑を終了しておりますので、これより討論に入ります。先ず三案を一括して議題といたします。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、只今付議されております所得税法、それから法人税法及び相続税法の一部を改正する法律案反対するものであります。今回のこの三税法改正案の提案の目的は、第一に先の臨時国会を通過いたしました所得税法臨時特例に関する法律を平年度化するということ、第二には更に進んで所得税法及び相続税法について一層負担軽減を図ること、第三に課税簡素化資本蓄積等に資することとなつております。併しながらこの三つ税法改正案全体を通じて、一貫して流れている租税政策方向は、資本蓄積というところに非常に重点が置かれていると思うのであります。この結果といたしまして、高額所得者にますます有利、低額所得者、特に源泉徴収される給与所得者に著しく不利になつているということが指摘されなければならないと思うのであります。例えば法人税につきましては、先に税率引上げは一応行われましたが、法人につきましては、特別償却が認められておりますし、又高額所得者に対しましては五五%の最高所得税率の適用される所得金額が百万円から二百万に引上げられているのであります。又これと並行しまして、本年二月十一日からは、無記名預金が復活いたしまして、又譲渡所得につきましても、その控除が認められ、将来はこの譲渡所得分は廃止されろやに聞いているのであります。そういう方向に向いているようであります。又相続税につきましても軽減措置が講ぜられておる。これに反して給与所得者、或いは低額所得者に対しては一応減税措置が講ぜられておりますけれども、それは辛うじて物価騰貴を調整する程度である。或いは又今後の電気料金引上げ等を考えますれば、実質的には減税にならないと見なければなりません。即ち名目的減税である、税法上の減税にまあ過ぎないと思うのであります。で、この結果としましてですね、富、所得分配が著しく不均衡、不公平になつて来つつあるのであります。例えば主税局から出された給与所得者階級別表を見ましても、昭和二十七年度における所得についてこれを見ますと、所得十五万円以下の人は人員においては非常に多いのでありますけれども、その所得について見ますと、この人員百分比に対しまして、所得百分比は低いのであります。そうして二十万以上になりますと、人員比率が減つて行くにかかわらず、所得比率のほうは著しく漸増して行つています。この関係申告納税所得者階級別表につきましても同様でありましてこの傾向給与所得の場合は十五万を境としておりますのに対して、申告納税所得者の場合は二十万円を境といたしまして、そういう人員所得額比率の不均衡、これが顕著に現われているわけであります。更に又税負担均衡化の問題を考えろ場合には、単にこの税の徴収面からばかり見るわけには行かないことは周知の通りでありまして、この近代国家において、特に民主主義の発達した国家においては、税徴収の場合は社会政策的見地から累進的に課税をすると同時に、今度は税の実質については、これは逆進的に低額所得に対しては多くこれを支出する、こういう支出面においては逆進的に、徴収面においては累進的、この二つの制度を併せ用いることによつて初めてこの税制民主化、それで又社会保障的な制度が確立されているわけです。又こういうことによつてのみ資本主義経済は安定化して来るわけだと思うのであります。今度の税制に現われた面は、これと全く逆コースをとつているのでありまして、例えば社会保障費につきまして見ましても、昭和二十七年度におきましては国民所得に対して、社会保障費はこの遺家族援護費を入れましても七百五十四億で、国民所得に対して一・四%、予算に対して八・七%に過ぎない。イギリスなどは国民所得に対して一一%、予算に対しまして三八%。西ドイツにおいてさえ国民所得に対して九・九%、予算に対して五〇・四%も社会保障費支出されておる。政府は諸外国と比べて日本の税は決して高いものじやないということをよく言われますが、例えばイギリスの場合、中央地方の税を合せて、これは国民所得に対しまして大体三六・九%くらいになつておりますが、併しながらイギリスにおいては今指摘しましたように、社会保障費国民所得に対して一一%、予算に対して三八%も支出しているんであります。即ちこの税の支出において逆進的な政策がとられている。日本の場合は九牛の一毛、所得に対して一・四%しか社会保障費支出されておらないのです。従つてこういう税の徴収面とその支出面と両方から見なければ、この税負担が重いか軽いかということ、或いは税負担均衡化されているか均衡化されていないか、不公平か否かということは判断できない、この社会保障関係を考えましても、二十七年度のこの税制改革に現われたところでは、一向こういう面についての改革が現われておりません。著しく勤労者低額所得者に不利であつて、そうして高額所得者、大法人について有利である。この結果としてどういうことが現われて来るかと言いますと、第一にオーバー・インベストメントが現われて来ます。いわゆる投資過剰、最近の紡績の操短、これは対外需要だけの私は影響じやないと思うのです。それは余りに資本蓄積資本蓄積と言いまして、資本を余りに優遇して、そうして低額所得者のほうに余りに不利な税を課しているために、所得と富の分配が非常に不均衡になりました。そうして資本投資が非常に大きく行われた、そして過剰投資になつて来た。それは日本経済の全体のバランスから見て過剰投資なつた。ところが大衆のほうは余りに税がたくさん取られますから、大衆購買力は伴つて来ない、そこで他方においては、資本支出においてはオーバー・インベストメント、それから大衆のほうにおいては過小購買力、こういうことからも私は最近の景気の反動、不景気というものは来ていると思うのです。ポンド過剰対策からポンド圏への輸出を制限する、そのために国内商品のストツクができ、そこで商品の値が下るという場合もありますが、併し大衆購買力があれば、国内においてこういう商品を消費できますから、価格がそんなに下らないで安定するわけです。ところが資本蓄積に余りに税制面から優遇し過ぎておる。そうしてオーバー・インベストメント過剰投資を惹き起して、半面に大衆購買力の過小ということが作用いたしまして不景気をもたらす。これは私は将来こういう根が日本景気に対して大きい影響を与えて行くと思うのです。税制面からこの余りに資本蓄積に囚われた政策をとると、景気政策上も私はうまく行かない。その結果いわゆる資本主義経済の諸矛盾をますます私はここに拡大することになる、こういうふうにまあ思うのであります。これが私のこの三税法改正案反対する第一の理由であります。  それから第二の反対理由は、すでに幾度もこの委員会で論議したところでありますが、給与所得者が他の所得者に比して今まで不利な、又著しく過重な税が取られておるということであります。この根拠としましては、最近申告納税の成績が非常に悪いのです。そうして自然減収をもたらしておる。これに反して源泉徴収自然増をもたらしておる。この現象は何を意味するかと言えば、明らかに税が全体としては高いのでありますが、申告納税者のほうにおいては、所得捕捉について弾力性があるにもかかわらず、源泉徴収者勤労者については所得捕捉について弾力性がない、そこでどうしても自然増収にならざるを得ない。ところが申告納税者のほうにおいては、税法上に弾力性がありますから、税が過重であれば少い所得を申告することによつて自然減収が起つて来る。最近のこの厳然たる事典から考えましても、給与所得者と他の所得者との税の不均衡というものは著しく拡大されておると見ざるを得ない。更に又しばしば引用いたして恐縮ですが、泉税制課長も前に言われたところなんで、率直に認めたところでありまして、中央及び地方の税を合算しまして、勤労者と他の所得者との不均衡を直そうとすれば、勤労控除は少くとも三〇%ぐらいに引上げなければ均衡がとれないのじやないかと、こういうことを率直に言われたわけであります。ところが三〇%に勤労控除引上げた場合、どのくらいの減収になるかと言えば、主税局調査では五百一億の減収になるという調査である。このことを裏から言えば約五百億が不当に給与所得者について他の所得者より以上に課税されておるということを私は意味するのだと思うのです。    〔委員長退席理事大矢半次郎委員長席に着く〕 こんなに不均衡課税というものは私はないと思うのです。これはもう明白な、明々白々たる事案であつて、これを調整しないで、この不均衡を是正しないで、どうして税負担が公平であるということを言えるでありましよう。本来ならば、今度の税制改革につきましては、この前の臨時国会を通過しました臨時特例を審議する場合において、政府に強くこれは要望しておいたところなんであります、政府においては勤労控除引上げることは困難かも知らんが、社会保險料控除というものを、これを何か研究する、そういう誠意を一応示された、我々はそれでは不満足でありますけれども、一応その誠意に期待しておつたのでありますけれども、全然この給与所得者の非常に不利な課税に対する調整措置というものはとられていないのです。この意味でも私はこの法案反対せざるを得ない。  第三の反対理由は、政府はたびたび減税々々と言つておりますけれども、更に又余裕があれば今後減税すると言いますけれども、二十七年度の予算を見ましても、財政規模に比しまして、税収と言いますか、税収のウエイト、比重というものは非常に大きくなつて来ているのであります、そして税収自体余り収入がなくなつて来ているのです、だんだんこの歳費を賄う場合の財源としては税収に非常に多く期待しなければならないような段階になつて来ている。大蔵大臣に今後のこの見通しについて質問したところ、この傾向は今後も続くであろう、こういうふうに言われた。これを見ましても、減税ということは困難になつて来ている、もう限界に達して来ている、こういうふうに見ざるを得ない。ところが政府は余力があつた減税したいということを言つているのですけれども、私はこれはごまかしであると思う。最近の財政規模税収傾向を見れば、明らかにそんなに軽卒に減税ということは言えないはずであります。で、このような、国民にただ一時的な安易な気持を与えるような考えの下にこういう税法改正を考えて行くというようなことでは私は承認できないのであります。  以上私は反対理由を述べたのでございますが、最後に結論として主張いたしたいことは、これまで申述べました理由から見て、この税制改革は、税制案改正は全く民主的税制に逆行している、逆コースです。で、日本の政治、経済、最近あらゆる面においで逆コースを辿つている。この税制もその逆コースの一つであつて、決して例外ではないと思う、即ち、非常に非社会性を深めつつある、まるで民主主義に逆行していると思うのです。この税制改正はこれこそ私は自由党の性格をこの税制に現わした、即ち大資本本意税制であると思う。他面においては、勤労者は、低額所得者は非常に犠牲になつている。最近の身売りとか、或いは臨時工とか、そのほか職安に押しかけているあの失業者のいろいろなトラブルを考えて見ましても、社会保障と関連してこの税制改革というものはもつと勤労者に、私は特別に有利にとは申しません、均衡のとれた、又合理的な公平な税制にむしろ変えるべきだと思うのです。全くそれと逆な税制改正をやつている。こういう意味で私はこの法案に、三つ法案に、改正案反対するわけであります。
  4. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は社会党の第四控室を代表いたしまして、只今議題になつております三法案反対いたすものであります。  過ぐる十二臨時国会におきまして、我々は臨時処置として出されました政府改正案に、臨時処置の取扱としまして一応希望條件を付して賛成をしておきました。従いまして今回の改正に当りましては相当その希望が入れられて根本的な改正がされるかと期待しておつたにかかわらず、臨時処置を殆んどそのまま本法の改正に引き直されたということを言つても過言ではないのであります。先ずその理由反対しなければならないのでありますが、それよりも、私は繰返してこの委員会においても政府当局に対して御質問の形で意見を申述べておりまするように、とにかく日本の今の税制が余りにも複雑過ぎるのじやないか。特に国税と地方税との関係におきまして、その徴収を受ける側からするならば、国、府県並びに市町村、この三者から攻め立てられたその応接に本当に煩瑣これに過ぐるものはないと言つて悲鳴を上げているような状態であります。従つて政府のほうでは盛んに講和條約の発効だと言つて宣伝いたしておりまする以上は、もうシヤウプ勧告に基くところの、そのままどちらかと申しますと、シヤウプ勧告によつて政府の意に反し、又国の実情に成る程度合わない点も取入れられたと思うのでありますが、その点については再改正を、今日の本当の実情に合うように再改正をしなければならん、かように考えるのでありますが、この点について大蔵大臣に昨日お尋ねいたしましても、余りそれに対して早急にその準備をやろうとする意図もない、従つて相当このままの体制で引きずつて行こうというふうに我々は看取できるのであります。この点からも先ず反対しなければならんと思うのであります。次に私は捕捉率につきまして昨日申上げたのでありますが、何と言つて給与所得者はその他の所得者に比べまして、捕捉率は全く一〇〇%以上の、一〇〇%の捕捉率によつて課税対象となつているにもかかわらず、その他の所得者は必ずしも私は一〇〇%の捕捉率にはなつておらない。この点は政府当局も認められるところであります。従つて給与所得に対しましては特に控除の面において考慮をされなければならんと思うのであります。その第一は社会保險必要経費とみなして課税対象外とすること、これは何としてもとられなければならん処置と思います。次に勤労控除の限度の引上げについても考慮されなければならない。今の三万円というものは私はどうしても実情に……、もうあれを制定した当時の実情からして、ベース改訂その他もなされているのでありますからして、これは改正されなければならん。次に第十三條の税率につきましても、最高二百万円、五五%になつておりますけれども、これは二百万円で五五%の税金を納める者と、二十万円を超える金額で百分の三十五を納める者とではその深刻さという場合には、これは二十万円を超える者の三五%の深刻さのほうがより以上深刻であるということは今更これは申上げるまでもなく、お互いに身を以て経験しているところであります。この点からいたしましても、この税率刻みをもつと細かくすると同時に、更に二百万円以上から……、二百万円を超える百分の五十五になつておりますが、それよりももつと六五%くらいまで引上げても担税力はあり得ると我々は考えるわけであります。従つてもつとこの刻みの幅を拡げてもいい、拡げるべきである。特に先ほど申上げました捕捉率の点から申しましても、何と言つてもこの二百万円を超える人の所得というものは給与所得ではないのでありまして、その他の所得でありまするからして、捕捉率においても低い、又この税率においても完全に捕捉されている階層から比べまして、深刻度においてもまだまだ堪え得る力はある。従つて税は成るほど軽いほうがいいことは申すまでもございませんけれども、必要止むを得んとするならば、担税力のあるほうで暫らくの間負担してもらうという行き方は止むを得ないことであろう、かように考えて、この点についても極めて不満であるわけであります。  次に法人税につきましては、かねがね私どもは五〇%を主張したのでありますが不幸にしてこの修正案を出すに至らなかつたのでありまするけれども、安本から発表されました法人所得を見てみますると、二十六年度五千十億、それから二十七年度では五千九十億と一・五%の増加になつております。これは一般国民所得、特に勤労所得におきましては一〇%の増加になり、それから個人業種所得におきましては五%の増加になつておるにもかかわらず法人だけは一・五%の増加になつているというのは、どう考えても税法改正によつて従来所得として計上されたものをやはり損金に相当廻わされて、そうして離別償却の許可などの結果この伸びが落ちたんだろうというふうに我々には推定されるわけであります。その結果やつぱり依然としてこういう大きなところは税の面においても相当その経理上、からくりと申しては語弊でありまするけれども、成る程度加減のできるような面におけるところには法人税法改正によつて表面的には税率は高くなつておりますけれども、所得のほうで減らしますということは、すでにもう加減をされておるというふうに見て差支えないと思うわけであります。この意味におきましても我々のかねて主張いたしました五〇%は未だに正しい、こういうふうに考えておるわけでありまして、政府の原案には反対せざるを得ないのであります。  次に相続税につきましてはこれは特に今度は多少緩和されましたけれども、田舎に参りまして、そうして日本家族制度状態から考えまして、相続税をとられたためにその一家が殆んど分散と申しますか、非常に転落をしなきやならんというふうな状態になつて、これは苛酷に過ぎる面がありまして、成るほど相続税については或る程度高率課税も一応は考えられるのでありますけれども、実は実情に副わないような、特に田舎のほうにおいて相続税でうんと、取られてしまいまするとあとのその一家が本当に没落してしまうというような、相続税の取り方はまだまだ日本の現在の社会状態におきましては無理な面がある。従つてこの点について相当な緩和をされるのを我我は主張し、又我々のところに国民のほうからも相当要望もあつたのでありますが、今回緩和されたと言いながらまだ苛酷に過ぎる面がある。従つてこの点について再考慮が払われなければならんと思うのであります。  次に先ほど木村委員も言われましたけれども、この税の使い方につきまして特に今年吊上げられました税金は何と言つて大蔵大臣減税をするんだ、減税だと言つておりますが、実際には七百七十三億六千八百万円というのが、これだけは増徴されるわけであります。而も税法の上においては減税になつておりながらこれだけ増徴されるということはそれだけ国民所得増加したことであるというためにこれだけ増徴されるというのでありまするけれども、現実に必ずしもそう言い得ない面があると思うのであります。成るほど安本の推定によりますると二十六年度四兆六千億、二十七年度で五兆三百億になつておりますけれども、これは必ずしもそのまま我々といたしましては、この安本の推計をそのまま受入れることはできない面が多々ある。特に今年の下半期になりますると、相当これは伸びるだろうという予想を立てておつたにもかかわらず、今の新聞の経済欄を見ましても、経済雑誌の論調を見ましても、学者の見解からいたしましても必ずしもそう楽観は許さないという状態になつておるわけでありますが、それにもかかわらず七百七十三億六千八百万円増徴されるということになると苛斂誅求になる。而もその取られた税金がどこに使われるかというと、我々の最も反対しているところの再軍備のほうへ使われましてその反対社会保障並びに失業対策義務教育国庫負担といつたような面が相当圧迫を受ける、この面からいたしまして、我々はこれは予算性格でありましようけれども、このようにして苦しい思いをして納めた税金国民生活に還元されない、そういう性格税法であるというような見地からいたしましても、本法案に対しましては、特にこの前の臨時措置につきまして、我々は希望を述べて止むを得ず賛成しておいたのが、その希望が何ら容れられておらないという点から不満を表明いたしまして本法案反対するものであります。
  5. 大野幸一

    大野幸一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今上程されております所得税等の三税法改正法案に対し反対いたすものであります。政府はこの税法改正を通じて負担軽減合理化を図ると申しているのでありますが、我が国経済の現状並びに我が国民生活実情に照して徹底を欠き、且つ妥当ならずと考えられる点が多々あるのであります。  先ず所得税についてでありますが基礎控除扶養控除等引上げに関し、本案は先に臨時措置法において認められた金額をそのまま踏襲し、それ以上の負担軽減を断念しているのであります。政府は一方において我が国の生産水準がここ一両年来順調に上昇して、戦前に比し四・五%も高まつたことを報じているのでありますが、国民の生活水準のほうは未だに七〇%内外に停滞しているという事案を示しているのであります。従つて戦後産業の回復が十分でなく、止むなく国民の消費の生活に大きく食い込まざるを得なかつたような税制の仕組は当然改めらるべきであるにかかわらず、政府はこれに対し、将来に亘つて何らの配慮を加える傾向がないのは極めて遺憾とするところであります。我々は平和回復後における諸負担増加の止むを得ないことはこれは率直に認めます。併しそれはそれとして国民負担の内容についても根本的な検討が加えられるべきであつて、従来の課税方式のまま若干の軽減措置を年々繰返すことを以て満足すべきではないのであります。例えば戦前の国民負担の状況に比較して、所得税控除程度は極めて少い今日、平均給与ベース以下の収入しかない人々の所得からも所得税徴収することは妥当でないとの意味において基礎控除は七万円、扶養控除は三人まで一人二万円くらいが適当であり、その半面政府が今までやつて来た低額所得者税率を低くすると同時に、高額所得者のそれをも大幅に引下げるごとき累進率の緩和をやめ、今日は却つてこれを殖やす方針を以て臨むべきであると考えるのであります。  法人税についても、最近における大事業会社の法人所得増加実情に鑑み、臨時措置法によつてすでに徴収している程度引上げにとどめることなく、累進制を採用するか、イギリス保守党が再び問題としているごとき超過利得税をその際取上げることが必要であると信じます。政府は何かと言えば直ちに資本蓄積を云々するのでありますが、税制に関する限り、従来の実績に徴するにそれが直ちに資本蓄積に役立つというより、むしろ脱税の口実となつている観あることを留意すべきであつて資本の蓄積は蓄積として、税制はともかく、その他の施策と共に総合的に考究せられねばならないと思うのであります。  なお相続税についても政府軽減措置は極めて大ざつぱな観があり控除の最低限度を引上げることは勿論賛成でありますけれども、最高額の累進率の引下げは時代の通念よりして不必要な処置と言わざるを得ないのであります。又農家資産のごとき特殊な資産について、この際特別な考慮の加えられなかつたことも我々の最も不満とするところであります。  以上の理由からして、我が党といたしましてはこの税制改正案に対し反対せざるを得ないことを申上げて私の討論を終る次第であります。
  6. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 今の討論にちよつと附加えたいと思います。一、二簡単に申上げますが、所得税法改正法律案についてでありますが、従来シヤウプ勧告以来農業所得について勤労控除を認めなければならんという勧告が出ておりまして、これはしばしば大蔵委員会でも問題となつておりましたが、今回の改正においてもやはりこの点が無視されてしまつておるという点。それからもう一つは、戦争遺家族に対する援護の経費を非常に少くしか見積らなかつたということから一つの問題が起きていますが、それと関連しまして、戦争遺家族の所得税について何らか特別の措置を講じてやつて遺家族援護費の少なかつたのはそちらのほうで埋められるような、特別な考慮がなさるべきではなかつたかと思うのでありますが、この点についても何らの配慮がなかつた。この二点を附加えて反対理由にいたしておきたいと思います。
  7. 木内四郎

    ○木内四郎君 私は民主クラブを代表いたしまして只今議題になつておりまする三法案に賛成いたします。主税当局は過去数年に亘りまして負担合理化税制簡素化及び資本の蓄積に向つて努力をして来られたことは私どももこれを認めるのであります。勿論その程度においては我々の希望しておるところまでは行つておりませんけれども、少くとも着々その面に向つて努力して来られたということだけは私どもはこれを認めて差支えないと思うのであります。先ほど来他の討論者のほうから、資本の蓄積に重きを置き過ぎでおるというお話もありましたけれども、今日の我が国の経済の段階において、私は決してこれは重きを置き過ぎておるものではないというふうに確信いたすものでありまして、今日どうしても資本蓄積に一層力を注ぐような方策をあらゆる方面において講じなければならん、税制においても又然りであると思うのです。勿論貨幣の価値の変動、それから国民所得の実際の購買力の変動、これが、貨幣の価値、物価の変動と購買力とが十分に調整がとれておらん。殊に官吏その他の給与の所得などは物価の変動とマツチしておりません。そのために幾多の問題は私どもはあると思うのでありますが、そういう点から見まして、先ほど来他の討論者からお話がありました給与所得申告納税者所得に対する関係、この点については、今後におきましても税務当局において十分考慮を加えられて、一方のほうに余り重きに過ぎないように配慮されることが特に必要ではないかと思うのであります。その他の点につきましては特に申上げませんで、十分とは言えませんけれども、合理化簡素化資本蓄積に漸次努力されておるという点を認めまして、三案に賛成いたしたいと思うのであります。ただ一言申上げておきたいのは、狙いとして税制簡素化ということを掲げてありまするけれども、どうも実際は簡素化でなくて、むしろ複雑化して来ておるのではないかと思うのでありまして、こういう点につきまして今後一層の努力をされることを希望いたしまして、三案に賛成をいたす次第であります。
  8. 小林政夫

    ○小林政夫君 私も三案に賛成をいたします。併し強い條件を付したいのであります。実は甚だ内部的なことを申上げて恐縮でありますが、この三案に対する態度を緑風会としては只今決定をいたしておるわけであります。そのときに、緑風会が指導的になつてもいいから修正をしろという強い鞭撻を受けたのでありますが、すでにもう討論が始まつておるので、止むを得ずここに條件と言うか、強い希望を付するわけであります。恐らく政府当局も国会、参議院の構成から考えても、我々がそういう案を持つて他党に働きかければこの委員会が通るということは御承知のはずと思いますから、その意味においてお聞きとりを願いたいと思います。(笑声)  先ず第一は社会保險料控除であります。これは是非速かな機会にやつてもらいたい。それから勤労控除額の最高限度の引上げについても、物価のその後の騰貴と考え併せて、最低五万円くらいにすべきものであると考えますので、まあ農民に対する勤労控除の問題もございますが、その二点は成るべく速かな機会において政府においても考慮されるよう、若し政府において考慮されなければ、我々が真に国会独自の立場がとれるときに至るならば、我我として考えたいというふうにも考えます。この二つの点について今の條件どころではない、すでに修正案ができたつもりで私は言つておりますから、その意味において御配慮を願うように意見を付して賛成いたします。
  9. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますから討論は終局したものと認めて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 異議なきものと認めます。これより採決に入ります。  先ず所得税法の一部を改正する法律案議題といたします。本案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  11. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に法人税法の一部を改正する法律案議題といたします。本案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  12. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に相続税法の一部を改正する法律案議題といたします。本案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  13. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願います。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     溝淵 春次  木内 四郎     田村 文吉  小林 政夫     岡崎 真一  小宮山常吉     黒田 英雄  森 八三一     西川甚五郎  菊田 七平     伊藤 保平  大矢半次郎   —————————————
  14. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く連合国財産及びドイツ財産関係諸命令の措置に関する法律案特定道路整備事業特別会計法案、食糧管理職別会計法の一部を改正する法律案及び農業共済保險特別会計法の一部を改正する法律案の五案について提案の理由の説明を聴取いたします。
  15. 西村直己

    政府委員(西村直己君) 只今議題となりました在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案ほか四法律案の提案の理由を御説明申上げます。  在外公館等借入金につきましては、在外公館等借入金整理準備審査会法に基きまして、政府は、鋭意在外公館等借入金の確認事務を進めて参つておりますが、これが返済につきましては、先に制定されました在外公館等借入金の返済の準備に関する法律に基きまして、借入金を表示いたしまする現地通貨の評価基準、返済の方法その他借入金の返済の実施に関する事項を定める必要がありますので、先般の第十一国会にこれに関しまする法律案を提出いたしたのでありますが、会期中に審議を終るに至りませんでしたので、今回重ねてこの法律案を御提案申上げた次第であります。  次に、この法律案につきまして概要を申上げますと、第一は、外務大臣が国の債務として承認しました借入金の返済の請求権者に対しましては、本邦通貨を以ちましてこれを返済することといたしておるのであります。第二は、右の返済金額につきましては、在外公館等借入金評価審議会の答申に基きまして決定しました別表の在外公館等借入金換算率によりまして現地通貨表示金額を本邦通貨に換算いたしました金額の三割増といたしたのであります。更に在外公館等借入金の返済の準備に関する法律第二條に規定されておりますところに従いまして、国民負担の衡平の見地から、返済金額が同一人につきまして五万円を超えまするときは、これを五万円とすることにいたしたのであります。第三は、借入金の返済に必要な金額は、毎会計年度、予算の定めるところによりまして、一般会計から国債整理基金特別会計に繰入れ、これを通じまして支払を行うことといたしました。その他返済に関する事務の一部の日本銀行への委託、返済手続の細目などについて規定をいたしておるのが本法案でございます。  第二の法律案でございます、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く連合国財産及びドイツ財産関係諸命令の措置に関する法律案、これにつきまして、その提案の理由を御説明申上げます。  この法律案は、別に提出いたしましたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律案の一環を成すものでございまして、大蔵省関係のいわゆるポツダム命令のうち、「連合国財産の返還等に関する政令」、「連合国財産上の家屋等の譲渡等に関する政令」、「連合国財産である株式の回復に関する政令」及び「ドイツ財産管理令」これにつきまして所要の改正を加えました上、これらを平和條約発効後も法律として存続させようとする趣旨でございます。すでに御存じのように、終戦後、政府は、連合国最高司令官の覚書に基きまして、連合国人の財産を保全し、財産管理に付されました財産その他連合国人の財産で戦時中不当に権利を侵害されたものを返還すべきことを命ぜられておるのであります。又、ドイツ財産につきましても、最高司令官の覚書によりまして、ドイツ人の在日財産は米英仏三国に帰属することが宣言いたされ、政府がその処分のために必要な措置をとることを命ぜられておるのでありまして、それぞれ前に申しましたポツダム政令を制定して覚書の趣旨を実施して参つておるのであります。併し平和條約第十五條及び第二十條の規定によりますれば、日本政府は、連合国財産及びドイツ財産に関しまして従来連合国最高司令官の命令に基いてとつて来たとほぼ同様の措置を、平和條約発効後は、條約上の義務として実施すべきこととされておるのであります。本法律案は、この條約の規定に従いまして、連合国財産及びドイツ財産に関する先に申述べました四つのポツダム政令に法律としての効力を与えまして、これを存続せしめようとするものでございます。ただ、これらの財産に関しまする措置が、従来は、連合国最高司令官から要求されておりましたのに対しまして、今後は、日本政府が平和條約の規定により義務付けられることになるのに相応じまして、必要の事項について、この際若干の改正を加えることといたしたのであります。  以下その改正点の概要を簡単に申上げます。第一は「連合国財産の返還等に関する政令」についてでございます。この政令の改正点の第一は連合国の範囲であります。従来日本政府は、連合国最高司令官の覚書により指定されました六十カ国及びその国民の財産について保全と返還の義務を負つてつたのでありますが、平和條約発効後は、條約を批准しました国及びその国民に対してのみその義務を負うこととしました。但し、財産の保全につきましては、條約の調印国及び條約第二十大條に規定する国及びその国民が有しておりました財産については将来條約批准国に対すると同様の返還義務を負うこととなることが予想されますので、当分の間引続き保全することにいたしたのであります。  改正点の第二でありますが、これは返還すべき財産の範囲でございます。従来の規定によりますれば、その範囲は戦時中敵産管理人の管理に付せられたもの及び政府又は日本人により不当にその権利を侵害されたものでありましたが、旧日本占領地域で略奪されて日本に持ち帰られた財産及び日本が戦時中にした捕獲審検の再審査の結果返還すべきことになつた財産につきましてもこの政令によつて返還すべき財産に含めるように必要な改正を加えておるのであります。この略奪財産の返還は、従来は、昭和二十一年のポツダム省令「略奪品の没収及び報告に関する件」、この省令の規定によつてなされておりましたのを、平和條約発効後は、同省令は廃止をいたしました、そして今回のこの政令の規定によつて返還しようとするものでございます。又捕獲審検の再審査の手続につきましては、別に「捕獲審検所の検定の再審査に関する法律案」が提出をされておるのであります。  改正点の第三でありますが、返還請求権の消滅についてでございます。連合国財産の返還請求につきましては、條約第十五條は、平和條約の効力発生のときから九カ月内に財産の返還請求がなされなかつたときには、日本政府はその定めるところに従つてその財産を処分することができると定めておりますので、これに応じまして返還請求権は平和條約発効後九カ月で消滅する旨の規定を加えたのでございます。第二は「連合国財産土の家屋等の譲渡等に関する政令」についてでございます。この政令は、連合国財産である土地の上の家屋その他の工作物は、その土地の返還に際しまして、連合国人に譲渡され又は除去されるべきことを定めたものでありまして、第一に述べました「連合国財産の返還等に関する政令」の附属法規でありますので、右政令の改正に伴いまして所要の改正を加えたのでございます。第三は「連合国財産である株式の回復に関する政令」についてであります。この政令は、株式の財産としての特殊性に鑑みまして、「連合国財産の返還等に関する政令」の特別規定といたしまして連合国財産であります株式の返還の方法を規定しているのでありまして、連合国人が元の所有いたしておりました株式そのものを追及して返還することを避けまして、その株式の発行会社に新株を発行せしめる等の方法により同一銘柄の株式を返還しようとするものであります。「連合国財産の返還等に関する政令」の改正と同様の趣旨から連合国人の範囲、返還請求権者の範囲、返還請求権の消滅等に関しまして所要の改正を加えることといたしております。第四は「ドイツ財産管理令」についてでございますが、従来在日ドイツ財産の管理処分については、連合国最高司令官が米英仏三国の受託者として日本政府に指示を与えておりましたが、條約発効後は平和條約第二十條の規定に基き、右の三国が日本政府に直接ドイツ財産の管理処分を委託することになりますので、ドイツ財産管理令をその線に沿つて改正するごとといたしたのでございます。  次に、特定道路整備事業特別会計法案につきまして提案の趣旨を御説明申上げます。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕  今回政府は、道路の整備を促進し、交通の利便を増進するという趣旨から、現行の道路法に対しまする特別措置として、その通行又は利用について料金を徴収することができる道路の新設、改築等を行いますために、別途今国会に「道路整備特別措置法」を提出いたし御審議を願うことといたしておるのでありますが、この「道路整備特別措置法」に基きまして政府の行います道路の整備事業並びに同法に基きまして地方公共団体が行う道路の新設及び改築に対しまする所要資金の貸付に関しましては、その政府におきまする経理は、一般会計と区分してその状況を明確にいたすことが適当であると考えられますので、これがために特別会計を設置することといたしまして、この法案を出したのでございます。  この法案の内容の概略の第一点は、この特別会計の歳入及び歳出として経理する事項に関してでありますが、即ち歳入といたしますものは、資金運用部からの借入金、道路の通行又は利用について徴収いたしまする料金、地方公共団体に対する貸付金の償還金及び利子その他といたし、歳出といたしますものは、道路の新設、改築に必要な費用、地方公共団体に対する貸付金及び補助金並びに資金運用部からの借入金の償還金及び利子その他といたしたのであります。  第二は、この特別会計の利益及び損失の処理に関する事項でありまして、毎会計年度におきまするこの会計の損益計算上の利益は、積立金に組入れ、損失が生じましたときは、積立金を以つて補填することとし、なお補填し得ない損失の額は翌年度に繰越して整理することといたしているのであります。  第三点は、資金の借入に関する事項でございまして、この特別会計におきまして、政府が行う道路の新設、改築に必要な経費及び地方公共団体に対する貸付金等の財源は資金運用部から借入れることといたしているのであります。  第四は、資産の計理に関する事項でありまして、この会計における建設費用、貸付金、未収金等につきましては、この会計の資産として整理することといたし、そのうち建設費用の価額につきましては、毎会計年度一定の基準に従つて減額整理をすることといたしておるのであります。  以上申上げました外、この特別会計の予算及び決算の作成提出等に関しまして、他の特別会計法とおおむね同様の例文的規定を設けておるのが、この特定道路整備事業特別会計の法案の内容でございます。  次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案でございますが、今回の改正の第一点は、農産物検査法に基いて行う農産物の検査に要しまする経費に関する規定を整備しようとするものであります。即ち農産物検査に要しまする経費は、すべて食管特別会計において負担することが適当であると認められますので、これをこの特別会計の歳出を以つて支出することができるごとにいたしておると共に、検査手数料を徴収することとなつております農産物の検査に要しまする経費の財源は、一般会計からこの特別会計に繰入れることができることとしようとするものであります。  改正の第二点は、食糧配給公団の残余財産のうちの一部を食管特別会計に納付させようとすることでありまして、即ち食糧配給公団の残余財産のうち、政府が食管特別会計から同公団に対して交付した交付金の金額から、当該交付金の財源として一般会計から食管特別会計に繰入れた金額と、食糧配給公団が食管特別会計にすでに納付した金額との合計額、相当額を差引いた残額に達するまでの金額を食管特別会計に納付させることといたしておるのであります。なお、右に申上げましたほか、若干の規定の整備を図ることにいたしております。  最後に、農業共済保險特別会計法の一部を改正する法律案であります。  農業共済再保險特別会計の再保險金支払基金勘定におきましては、一般会計からの繰入金を以てその基金とし、これをこの会計の農業勘定におきまする再保險金の支払財源の不足に充てまして、以て再保險金の支払の円滑化を図つて来たのでありますが、昭和二十七年度以降は、家畜勘定における再保險に関する支払財源の不足につきましても、この基金を以て補填することができるようにいたしたのであります。そのほかに若干の規定の整備を図ることにいたすために、この法律案を提出いたしました次第であります。なお、昭和二十七年度予算におきましては、家畜勘定の支払財源の不足に充てますための財源として、一般会計から三億円を再保險金支払基金勘定に繰入れることを予定いたしておるのでございます。  以上この五つの法律案の提案の理由でございますが、御審議の上、御賛成頂きますようお願い申上げる次第であります。
  16. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案、予備審査、右について内容の説明を聴取いたします。
  17. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) それでは只今御審議を願つております在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案につきましてその内容を極く簡単に御説明申上げたいと思います。  在外公館等借入金につきましては、すでに御承知の通り第五国会におきまして在外公館等借入金整理準備審査会法が成立をいたしまして、この法律に基きまして在外公館等の借入金の確認を行なつて来たわけでありますが、その後、第十国会におきまして在外公館等借入金の返済の準備に関する法律が成立をいたしまして、前の法律で確認されました借入金の返済等につきましては必要な借入金の評価その他の準備をすることに相成つたのであります。そうしてこの準備に関する法律に基きまして大蔵省に在外公館等借入金評価審議会を設けまして、この審議会が昨年の四月以来数回に亘りまして詳しく審議いたしまして、借入金の評価基準等につきまして昨年の八月七日に答申を得たわけであります。そうしてこの答申に基きまして実際の支払を開始するために必要な事項を定めようとするのがこの法律案でございます。  この法律の内容を逐條的に簡単に御説明申上げますと、第一條は目的でありまして、別段御説明を要しないと思います。第二條もこの法律において使われておる「在外公館等借入金」という言葉についての定義であります。  それから第三條でございますが、これは在外公館等借入金は現地通貨、例えば北支における聯銀券、中支における儲備券というような現地通貨を以て表示されておりますが、今回これを国の債務として返済いたします場合には、本邦通貨円に直しまして、円で借入金を払うということの原則を掲げたわけであります。  第四條はこの法律の実質的な主要部分をなす條文でありまして、確認されました在外公館等借入金の現地通貨建の額を、別表の換算率によりまして日本円に換算をいたしまして支払をする。この別表の換算率でございますが、これは先ほど申上げました評価基準委員会が現地の物価並びに日本のその当時における物価を比較いたしまして、調べ得る最良の資料を以ちまして決定いたしたものでございます。終戦当時には現地通貨と日本円との間には公定レートがございましたけれども、その後現地及び日本それぞれに特殊の事情によつて通貨価値が変動をいたし、而もその間に経済交流がございませんでしたので、公定価格と甚だしく開いた通貨価値が現われて参つております。そこで現地におきまして在外公館借上金の最も多く借上げられた時期をとらえまして、その時期を基準にして原則として現地と日本との米の相場を中心にいたしまして決定いたしたのが、この換算率表でございます。この換算率表に基きまして現地通貨を評価し直しましたものを更に百分の百三十にいたしましてその額を返済する、この百分の百三十と申しますのは、この在外公館借入金も借入後速かに返すべきであつたのでありますが、その後いろいろな事情によりまして若干時期が遅れましたので、その間の事情を考慮いたしまして利子ではございませんが、それに似たような観念をとつて百分の百三十、三割加算をいたしたわけであります。それからその括弧の中に同一人について計算したその借入金の金額の合計額が五万円を超えるときは五万円とございますが、実は別表の換真率で計算いたしますと五万円を超えるものが約一、二千件ばかり出て参ります。併しながら前の準備に関する法律に謳われておりますように、これは国民負担の衡平という見地から債務額を確定することが適当であるということに相成つておりますので、常識的に五万円ぐらいを最高にするということが妥当ではないかということで五万円にいたしたわけであります。なおこの点若干衆議院の修正がございまして、最高は五万円、但し最低は一人についての最低額が五百円未満のときは五百円に切上げるという修正が行われております。それから先ほど御説明いたしました別表のうち、満洲と関東州でありますが、これは評価審議会の答申におきましては、満洲と関東州の経済の動きは終戦後はその間に一体経済という関係がなかつた、それぞれの通貨がそれぞれの動きを示しておつたということで、分けて換算率を出したのでありますが、この点も戦前からの関満一体といつたような関係考慮いたしまして、満洲関東州を一本にして満洲の率を関東州にも適用するという修正が衆議院でなされております。  第五條はこれはこの借入金の返済が一つの国債といたしまして、国債整理基金で処理をするということであります。第六條はその事務の一部を日本銀行に委任して行わせるというための規定でございます。  なお本法におきましての改正附則の第一項でございますが、「この法律は、公布の日から起算して三月をこえない期間内において政令で定める日から施行する。」とございますのは、御承知の通りこの法律は前国会に提出をいたしまして、継続審議に相成つておりますので、その提出いたしました当時は所要の予算措置を完了した後に速かに支払を開始するという意味におきまして、公布の日から三カ月以内に施行することと相成つてつたのでありますが、すでに二十六年度予算におきまして所要の予算措置も講ずることができましたので、この法律が国会の御審議が終りまして成立し次第、直ちに実施いたすことにいたしたいということで、これも衆議院の修正で公布の日から施行するというふうに修正をいたされました。なお、衆議院におきましてそのほか審査会法の一部を修正いたしまして、実は審査会法におきましては在外公館等借入金の債権を持つておるという確認は、同法の施行後二年以内或いはその後に本邦に帰還いたしました者は上陸後一年以内というような期間内に申請しなければその権利を失うということに相成つてつたのでありますが、その後権利を失つた者も若干ございまして、実情甚だ気の毒であるというような意味で、更に本年の六月三十日までは確認請求ができるという修正を衆議院で加えられております。  簡単でございますが、以上衆議院の修正案も併せまして御説明を終りたいと思います。
  18. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 質疑がありましたらお願いします。
  19. 大野幸一

    大野幸一君 ちよつとお尋ねいたします。外国人の所有していた株式を今度新株で返す、こういうことになるのですか。
  20. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 只今の御質問の件は担当者が別に参りまして御説明申上げたいと思います。
  21. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 本日の質疑はこの程度にいたしておきます。速記をちよつととめて下さい。    〔速記中止〕
  22. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて。財産税等収入金特別会計法を廃止する法律案、右について質疑を行います。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今特別会計でやつてつたのを特別会計にしないという一番大きな理由は何でこの特別会計を廃止するのか、この点を一つお聞きしたい。今まで特別会計でやつてつたのを財産税は一応結末がついたので、すべてこれを整理して一般会計に繰入れると、こういう御意思だろうと思うのですが……。
  24. 桃井直造

    説明員(桃井直造君) 財産税特別会計は徴収決定済額、評価額が七百八十四億ありまして、すでに七百六十二億を収納済で結論を得ております。あと未済が十九億ございますが、この際その会計を独自に残して置く必要がないのではないか、こういうような考えであります。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その点につきましては実は財産税等で物納された財産が今この間の会計検査報告が実は決算委員会のほうに出ておるのを、我々も見ましたのですが、相当折角むしり取るように取られた財産税として物納されたものが不正に流用、流用と申しますか、その管理がうまく行かない、不正と言つては語弊がありますが、管理がうまく行かないといつて摘発されている事実があるのではないのですか。これはあなたも御存じないですか。
  26. 桃井直造

    説明員(桃井直造君) 私案はまだ財産管理処分のほうの担当でございませんので、聞いておらないのであります、具体的に……。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 例えば借家なんかを財産税で取上げてしまう、借家を国有財産として管理して行くというのはなかなか財協同のほう、財務部等では困難だ、例えば家賃の取立にいたしましても更にこれを委託しまして民間の信託会社、その他に委託してある場合にその信託会社は戦後のいわゆる新興信託会社というようなもののために、その行方がどうなつたかわからん、家賃も上つておらない、従つて折角納めた人がそういうふうにされるものならば、結局国のほうに納めるといつて我々涙をのんでとられたのだ、それが業者の食い物になつておるというようなことについては極めて不満である、実際に事実を挙げて申上げるというのだつたら私のほうでもそういう申告も参つており、投書も参つておりますので、これを分けにしてもいいのですが、一方的に取上げたのではいかんし、事案会計検査院でも問題になつてあなたも御存じになつているだろうと思います。そして特別会計を廃しました場合により以上そういうことが起きる、まだ十九億があるというわけでありますが、それとの関連が大丈夫か、この点を一つお聞きしたいのであります。
  28. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 御承知のように財産の処分につきましては大蔵省の管財局のほうでやつておりまして、今ちよつと直接の担当者がおりませんので細かいことはわかりませんが、具体的に御指摘がございましたら一つ十分連絡したいと思います。  それから今御心配の点は現在の財産についてはいずれにしましても、今までの通り管財局が結局管理処分をやつて参るわけでございますからして、この特別会計の廃止によつてそれが直ちに影響されるという問題ではございません。全体として会計検査院で大分批難を受けておることも私も聞いておりますけれども、具体的にわかりませんので、よく一つ御趣旨の点は連絡したいと、こう思つております。
  29. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この財産税のことは会計検査院からも指摘されておりますし、大蔵省内でも問題になつておるような点がありましたら、折角もう財産税特別会計は一応一片付いて外すのでありますから、その決算的のものを、やはり決算でなくてもいいから、こういうようなふうになつておるというところだけは明らかにしておかんと、又どういうふうに処置したかということを明らかにしておかんと、これはこれと大きな関連があるだろうと私は思うのであります。その点一つあとで、印刷にするのは工合が悪ければ、あなたから一つ口頭で以て、こういう事案になつておる、これはこういうふうに処分するということをここで一片付くのだから、その方面の鳧をつけなければならん。こういうふうに思いますので、この次の委員会に一つ調べましてここでこれを説明しその方針を明らかにしておいて頂きたいと思います。
  30. 大野幸一

    大野幸一君 今の問題に関連してちよつとお尋ねいたしますが、物納財産処理の引受会社というようなものは幾つくらい認可したのですか。
  31. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 引受会社というのはちよつと私もよくわかりませんが、恐らく信託をお指しになつておるのだろうと思いますが、これは信託銀行の主なものには大抵委任しておると思います。ちよつと直接の担当者がおりませんので、どういうところにやつておるか御返答申上げかねますが、資料等で一つお出ししたいと思います。
  32. 大野幸一

    大野幸一君 それはついでに一つお願いしておきます。その信託会社ばかりでなく、何か元代議士というような追放になつてつた人が社長になつて、そうして事務を取扱つて、そういうところに大分不平があつたということを聞いておりますから、ちよつと調べてもらわなければならん。一体あれは借家人とか借地人に多く払戻しをしたのだろうと思いますが、それはそういう方針で進んで来たのかどうかということも聞かなければたらん。
  33. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  34. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて。他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。(「なし」「異議なし」と呼ぶ者あり)別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 異議ないものと認めます。それではこれより採決いたします。  財産税等収入金特別会計法を廃止する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  37. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、諸般の手続は前例により委員長に一任願います。  それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  黒田 英雄     小宮山常吉  岡崎 真一     大矢半次郎  木内 四郎     伊藤 保平  菊川 孝夫     西川甚五郎  大野 幸一   —————————————
  38. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に一般会計の歳出の財源に充てるための米国対日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案について質疑を行います。……別に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありません  か。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。  一般会計の歳出の財源に充てるための米国対日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。   「賛成者挙手〕
  41. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたします。なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。  それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  大野 幸一     小宮山常吉  黒田 英雄     大矢半次郎  岡崎 真一     伊藤 保平  木内 四郎     西川甚五郎  菊川 孝夫   —————————————
  42. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に郵政事業特別会計法及び電気通信事業特別会計法の一部を改正する法律案、右について質疑を行います。
  43. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 佐藤さん、誠に何でございますが、この郵政事業特別会計と電気通信事業特別会計の改正の一番骨子というものを、えらい遅れて来まして申訳ありませんが、改正の要点だけを簡単に一つお願いいたします。
  44. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは委員長如何でしよう、郵政省の会計課長が見えておりますから、代つてつて頂いてよろしいですか。
  45. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 牧光雄

    説明員(牧光雄君) 郵政事業特別会計の改正の要点でございますが、第一点といたしましては、予備費の使用に関しまして、財政法、会計法の改正に伴いまして改正を要する点を改正するというのが第一点であります。それから第二点といたしましては、繰越明許費の使用につきまして、同じく財政法、会計法の改正に伴いまして改正するという点でございます。それから第三点といたしまして、固定資産の再評価につきまして、この再評価ができるということと、そうして評価いたしました場合の処理方といたしまして、固定資産評価積立金勘定を設けて整理するというのが第五点でございます。それから第四点といたしまして、無償で取得いたしました固定資産、例えば寄附を受けた固定資産でございますが、これの整理につきましても、先ほど申上げました固定資産評価積立金勘定でやはり整理をすることにしたいと思うわけであります。それから第五点といたしまして、作業資産というものがございますが、これを事業のために使いました場合に、そのときに損益勘定その他の勘定を以て決算いたしますが、そのものが不用となりまして又作業資産へ戻して来まする場合、そういう場合に従来の処理方といたしましては、利益といたしまして雑益で処理いたしておりますが、合計的処理といたしましては適当ではないと存じますので、物品価格調整引当金勘定というものを設けてその処理を明確にいたしたいと思うのであります。それから第六点といたしましては、歳入歳出予算の区分でございますが、これも財政法の改正に準じまして同じような区分の仕方に改正いたしたいと思うわけであります。それから第七点といたしましては、従来事業計画書に掲げておりました費目の中で特に必要なものにつきましては、大蔵大臣の承認を経なければ他の費目に流用してはいけないという規定があつたのでございますが、来年度の予算の科目を大体一般会計の科目と同じような形に持つて行きましたので、そういう制限規定が必要がなくなりまして、一般の財政法の規定によりまして、流用する場合は大蔵大臣の承認を得て流用いたしたい、こういうのであります。それから第八点といたしまして、前渡資金につきまして、これは会計法の十七條の規定によりまして、主任の官吏に前渡資金を交付いたしましたときに、会計法の規定によりますると支出として経理するということになつておるのでございまするが、この実体はやはり前渡官吏も一つの会計上の機関でございまして、その前渡官吏が受けた現金を更に正当な債権者に支払いまするとき、そのときが本当の債務の支払でありまして、損益計算の上からいたしまするならば、損費に計上すべき時期でございますので、現在はこの会計法の規定と企業会計的な処理方と形式的に二重の経理をやつておるような手数がございますので、これを資金前渡官吏が現実に支払をいたしましたときに支出として経理するということに改正をお願いして事務の簡素化を図りたいというのであります。大体以上の八点が改正の要点であります。
  47. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そのうちで特にお尋ねしたいのは、電気通信事業特別会計の改正でありますが、今度財政法、会計法改正の際にも一応議論になつたのでありますが、認証制度の廃止のことであります。この点について、実は電通大臣が必要と認めて大蔵大臣に申出た場合には認証制度をそのまま残すというような規定がありまして、佐藤さんの説明でも、電通省はその申出があると言つてつたので、案は電通省は今非常に批判の対象になつておる、会計面におきましてですね。これはあなたもお認めになるところだと存じますが、従つて今の御説明では、この認証制度だけは郵政事業特別会計法でも、或いは電気通信事業特別会計法でも廃止にならないのでありますか、小切手認証その他の認証制度は……、その点を一つ承わりたい。
  48. 淺野賢澄

    説明員(淺野賢澄君) 私電通でありますが、電通のほうにおきましては、従来通りやられるというふうに聞いております。
  49. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それではあなた電通ならば、一体電通省に盛んに涜職事件が起きまして、而もそれが電通省の施設関係に多いと思うのであります。施設というのは、電話を引いたり、工事のあの関係に多いと思うのですが、一体あれが発生している一番根本原因というのは、施設を請負う特別の会社ができて、その会社とそれから施設を今度請負わす側の官僚との間の談合と言いますか、不正な取引が今回摘発をされている問題だと思うのでありますが、これに対する対策というものを今回の改正に何かお考えになつておりますか、あんな大きな事件を起して……。
  50. 淺野賢澄

    説明員(淺野賢澄君) この問題はちよつと大きな問題でございまして、私から御回答申上げるということは困難でありますが、運用の問題ではないかと考えております。
  51. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それじや、やはり大臣に出てもらいましよう、あなたが答えられなければ……。これは今度の改正の場合に一番あそこに癌があるんだと思うのであります。というのは、施設会社とそれから電通省の官吏との間に、いわゆるあんたのほうのこの特別会計法によつてはその余地があるんじやないか、どこかにその欠陥があるのではないか、あれだけ大きく問題が起つておるのだが……、どうも我々の見るところでは電通省にはそういう伏在の余地が多いというふうに思うのでありますが、その対策として、今回の改正に当つては何らかの対策が特別に講じられなければならんと思うが、そういうものがあるかないか、今聞いて見ますとちつとむないようでありますが……。
  52. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 菊川さんちよつと私から補足して申上げますが、今度の改正は、財政法の改正に伴う形式的な改正もございますが、只今の御趣旨に副つた点も一部ございます。例えば先ほど会計課長から説明がございました前渡賢金官吏に金を渡しますときに、一応そこで支出したということにします、そうした上で、今度前渡資金官吏が二重の経理をしておる、こういう点は前渡資金官吏の現実に外部に支払つたときに正式に支出があつたものであると、こういうような経理にして、二重経理の弊害を防げると思います。それから簿外の作業資産につきまして特別の基金を設けて経理をするというような点も従来でございますと、各種の資材等を現場に渡してしまいますと、それで以て経費に落してしまう、そうして又再び元へ戻すというときには雑益に計上するというような点も、今度は飽くまで資産として経理をして、そうして資材、物品等の経理を最後まで十分にするというような改正も含んでおります。併しながら今回の改正は極めて部分的な小改正でございまして、只今おつしやいましたような趣旨におきましては、根本的な制度改正をやつておるわけではありません。ただ先ほどもちよつと説明がありましたように、私たちも制度としては勿論批判の余地は十分あることと思いますので、御指摘をこうむりましたならば十分検討いたしたいと思うのでございまするが、差当つて制度的には一応形はできておるというふうに考えて、問題はこの制度をどういうふうに運用して行くかということにあろうかと思うのであります。認証制度を例えば残しましても、現実にチエツク・アンド・バランスということが人と人との関係においてうまく行われるかどうかというようなことは、やはり運用の問題になるかと思うのでございます。これにつきましては、最近電通省では特に事件が今相当多数に上つておる点に鑑みまして、首脳部も相当苦心をして部内の粛正を図つておられろようであります。それで会計制度改正というよりも、運営の上で、例えば会計官吏をもう一回再教育をするとか、そういうような点も私のほうへもしばしば連絡が来ております。こういうことを機会にして、従来の運用上の欠陥を改めて行くことに努力せられている点は、我々も認められているわけであります。制度につきまして完璧とは申しませんが、若し何か御意見がございましたら承わつておいたほうがよいと思いますが、できるだけ運用によつてこれを改善して行きたいと、こういうふうに考えております。
  53. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に資産再評価をすることを今度の特別会計法の改正によつて認める人だが、電通省や或いは郵政省の資産を再評価した場合において、一体その再評価の益金というものをどういうふうに処理される意向でございますか、その点を伺いたい。
  54. 牧光雄

    説明員(牧光雄君) お答え申上げます。再評価いたしますると、御承知のように、借方側の資産の価額は当然殖えて参ります。その見合勘定といたしまして、資本側に固定資産再評価積立金というものを置きまして、自己資本の一部が大きくなつた形で整理いたして行きたいと、かように考えております。
  55. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今日までこの資産の再評価をされてないといたしますと、相当電通省、郵政省の資産には再評価によるところの、民間に言うところの再評価益金と言いますか、それができると思うのでありますが、一体どのくらいになるお見込ですか。
  56. 牧光雄

    説明員(牧光雄君) 郵政会計におきましては、現在一定の大蔵省から示されました基準に基きましてその作業をやつておるのでございますが、何分建物の取得年次が非常に古いもの、又最近のものというふうに分れておりますので、なかなか見当がつきかねるのでございますが、併し一面二十七年度予算の御審議を願いまするときに、減価償却引当金を推定計算で評価換えしましたものを基礎として償却上計上いたしたのでございます。そのときの建物の価格が百八十四億七千二百七十五万七千円という数字を基礎にいたしております。それから工作物につきましては八十億五百八十五万九千円、それから船舶につきましては五千九百六十万四千円という数字を基礎にいたしております。二十五年度末の固定資産の総価額は三十九億余でございまして、今申しました建物、工作物、船舶、このほかに土地が相当ございます。それらを大体総合いたして見ますると、三百億程度になるのじやないかと、そうしますと二十五年度末三十九億でございますから約十倍程度の額になるのではなかろうかと、こういうふうに一応想像いたしておりますが、今具体的に作業中でありますので、このようになりますか、ちよつと見当が明確にはつきかねるのでございます。
  57. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後にもう一点、電通省の説明員のかたにお伺いいたしますが、あなたのほうの契約制度、これは原則としては公開入札制度でおやりになつている、会計法というような関係があると思うのですが、制度は公開入札になつているか、指名競争入札になつているのか、これはどちらになつておりますか。そうして今回の改正にはこれは織込まれておるのかどうか。
  58. 淺野賢澄

    説明員(淺野賢澄君) 建前といたしまして財政法、会計法の線に沿いまして、一般競争契約によつて、それでやることになつております。ただ線路とか機械等に伴いまして非常に機密なものを要しまするし、それから例えば機械でございますと電話機、交換機、これは製作メーカーがきまつておりまして、大体、日電、沖、富士、こういつた大きなもの数社となつております。殆んど電通関係の貯蔵品、購買費を以てその生産額はきまるという状況でありますものにつきましては、性質により指名、随契の線が大分出て参つておりますが、一般に、私どもの乙種物品と申しておりますが、被服とか、机とか、こういつたものにつきましては一般競争又は指名競争で大体調弁いたしております。
  59. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 電信、電話の施設について日電、沖、富士等の一流メーカーを相手にして、これは指名競争入札をやられるということは結構だと思いますが、問題はあなたのほうで一番今度の汚職事件の対象になつておるのは施設会社というのがありますが、特別にあなたのほうと、例えば国有鉄道と日通とか、或いは国有鉄道と交通公社とか、これらと同じような関係にあるものに電信、電話の施設をやる場合に、それに作業を請負わす組織があるのですが、それとの関係は……。
  60. 淺野賢澄

    説明員(淺野賢澄君) 只今御質問の点は工事のほうだと思います。工事のほうでは、昔は日本電信電話工事株式会社、こういうのがございまして一手に引受けてやつてつたのでありますが、終戦後司令部の命によりまして独占的な工事会社が解体いたしまして省内に吸収したのであります。吸収しまして直営として工事をやつております。ただ能力に限界がありまして、現在請負と直営と二本建でやつておりますが、片一方の請負のほうにつきましては、電路工業、永福、日本土木、こういつた工事会社が小さいものを入れますと約二百、大きいもので約十ぐらい、こういつたものがございます。これらに伴いまして非常に一部遺憾な点が出まして誠に申訳がないとは思つておりますが、先ほど大蔵省委員から申上げましたように、最近は非常にその点自粛をいたしまして契約、積算、検査、こういつた点も非常に見違えるように努力をいたしておる状況であります。
  61. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その工事会社の昔の日本電信電話工事株式会社に相当するようなのを又今一つ復活をして、それと殆んど取引をされておるというようなことを聞いておるのでありますが、その点又新らしくできたのではないのですか。満洲の電電会社、あすこに入つてつた幹部連中が戻つて来て、それが主になつて今の電通省の幹部連中と話合いの上でそういう会社ができて、それとの関係が非常に密接になつて、殆んどそこに一本に集中されようとしておる。こういうことでありますが、会計法上からは、そういう工事もすべて公開入札でやつておられるのか、それとも指名入札か、これをお伺いしたい。
  62. 淺野賢澄

    説明員(淺野賢澄君) その点につきましては丁度いろいろ事件も出て参つておりますので、私どもも御承知のようにいろいろ事件が出ましたので非常に注意をいたしまして公正なる競争をやるようにいたしております。ただ御指摘の会社は日本通信建設という会社でありますが、まだ発足いたしましたばかりで、工事はいたしておりません。工事を請負に出しました場合には競争でやつてもらう、こういう予定であります。
  63. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで申上げたいのは、会計法上の建前からするならば、その工事はすべて公開入札制度になつておるのか、それとも指名になつておるのか、どちらかということをお伺いしておるのであります。
  64. 淺野賢澄

    説明員(淺野賢澄君) 只今工事の方法におきましては、三十万円以下が一般競争契約になります。三十万円以上が指名競争又は随意契約、こういう形になつております。それで三十万以下ですと電通省におきましては現場的な仕事でございまして、一応骨のある仕事になりますと三十万以上でございますが、従いましておおむね指名競争又は随意契約ということになると考えます。
  65. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 きよう日三十万円の工事なんていうものは本当の工事の中に入らんと思いますが、そういうのは公開入札になつてつて、三十万以上のちよつと工事らしいものはすべて指名、随意契約になつておるというところに一つ大きな今回の汚職事件が起るような欠陥があなたのほうの会計法上あるのではないですか。よそとの関連等を考えてどこでそういうふうになつておるのですか。やはりその辺はどうなつていますか。
  66. 淺野賢澄

    説明員(淺野賢澄君) よその点はよく存じません。
  67. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  68. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて。
  69. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは一つ問題点だろうと思います。今回の電通省の汚職事件はすべてこれとからんでおるので、私がさつき申上げましたように、三十万以下のものは公開でやつて行くが、その他のものは特殊の技能だと、こうおつしやいますが、勿論その競争に加わつて工事を行なつた場合には、監督もあり、それから納入の場合は納入検査があるはずです。でき上つてしまつたら検査があるはずです。ところがそういう特殊なものだけと特別な関係を長い間つけておるという場合は、そこの官庁の官僚と、そこの会社の幹部との間にいろいろの関係が生じて、これが集積して今回のあなたのほうのああいう社会に大きな衝動を与えた汚職事件が起きたわけであります。わしはそう思うのです。従つてこれの改正をされる場合には、先ずその点を直して行く、かような方法を講じなければならんと思うのでありますが、特に又問題は今回の被疑者になつている会社と、それから今後電通省は依然として又同じような関係において工事を請負わして行く、指名で工事を請負わして行くということになりますと、又暫らくしてほとぼりが醒めまするとそういう関係が起きて来ると思う。それでこの点について例えば会計法そのものを改正して行かんことには、特別会計法を改正して行かなけりや、癌がそこにあると我々は思うのですが、その点あなたはどうお考えになりますか。
  70. 淺野賢澄

    説明員(淺野賢澄君) これは特別会計法というよりも、やはり先ほど御回答いたしましたように運用と見られる点がございまして、契約は一般競争、指名競争、又は随意契約、どれでもとれるのでありますが、これをどういつたものを一般競争にし、どういつたものを指名競争にするか、こういつた実際のきめ方になるのじやないかと考えます。それで全部一般競争ということにもきめがたい点もあろうとも考えられるのでありますが、その点私も会計屋としまして、法規的な面につきましてはそういう御回答しかできませんですが、運用の点につきましてよく研究いたすようにそれぞれにさせたいと思います。
  71. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはやはり原則としては公開にするとか、或いは複数制にして競争をさせるとかいうことにせんと、常にその工事が、予算が通つてしまつて、配付された予算が、すべて指名になつておりますると、もうそこはもらうということがわかつてしまつて、あとは介入の余地がないというところから、一つの独占的な工事請負人になつてしまいますから、どうしてもこれは先ほど私がくどく申上げましたような汚職事件の発生の種がそこに私はあるのじやないか。特に現にもう起きているのだから……。ないとすれば私はうまく、運用の面だというのだが、現に起きている限りは、それに対する対策を講じなければならん。特に認証制度はどこの官庁も廃止したいという希望があるにもかかわらず、あなたのところはせめて認証制度を残して申訳を立つようにしなければならんというような良心的な考え方については、我々も諒とするのですが、こういう根本的な問題について十分その対策は講じられておらないとするならば、これは大問題だと私は思うのであります。而も現に起つているのだから、起つてなきや将来起るかも知れんというようなことでこれは警戒するのだが、現に批判の対象になつておる問題なんでありますからして、この問題は私は相当……、やはり電通大臣の出席を求めて、そして十分検討すべきであると、これはやはり国会として、参議院としてあるべきだと思う。ただ単に今日殆んどちよつと説明を聞いただけで通すということは私はどうかと思いますので、暫らくこの法案だけは保留しまして、特に今問題が起きているのでありますからして、私は電通大臣並びに関係局長の、施設局長等の出席を求めて御質問を申上げたい、かように思います。
  72. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 畏まりました。それでは本案の質疑は本日はこの程度にしておきます。   —————————————
  73. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に資金運用部預託金利率特例に関する法律案の御質疑をお願いいたします。(「進行」と呼ぶ者あり)別に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、賛否を明らかにしてお述べ願います。(「意見なし」と呼ぶ者あり)別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  資金運用部預託金利率特例に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙、手を願います。    〔賛成者挙手〕
  76. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお諸般の手続は先例により委員長に御一任願います。  これより多数意見者の署名を願います。   多数意見者署名     木内 四郎  西川甚五郎     森 八三一  大野 幸一     小宮山常吉  黒田 英雄     菊川 孝夫  岡崎 真一     大矢半次郎  伊藤 保平   —————————————
  77. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に物品税法の一部を改正する法律案について提案理由の説明を伺います。
  78. 佐藤重遠

    衆議院議員佐藤重遠君) 只会議題になりました物品税法の一部を改正する法律案について提案の趣旨を御説明申上げます。  本法律案は水あめ、ぶどう糖等に対する物品税を廃止することによつて我が国農家の主要作物たるいも類に対する需要を確保し、その価格の低落を防止し、農家経済の安定に資しようというのであります。我が国において甘藷及び馬鈴薯はその栽培面積六十万町歩におよび、米麦に次いで極めて主要な農作物であつて畑作地帯においては農業経営の根幹をなしているのであります。而してその生産量の過半が販売され、販売量の半ばが澱粉に加工され、更にその澱粉の八〇%が水あめ等の原料に使用されているため、水あめ、澱粉の価格が生いもの価格を支配しているのであります。然るにこの水あめ等の価格は由来これと競合関係にあつた砂糖価格によつて左右され、従来その五五%乃至六〇%の比率を保つてつたのでありますが、昨年来海外の糖価が低落の一遂にあり、昨年における百七十ドルから最近百二十乃至百三十ドルに下落しており、水あめ等の価格も又昨秋三千円から二千二三百円に下落しております。又近く砂糖の統制が廃止され、輸入が増加するごとにより澱粉価格、延いては生いも価格に対する影響はますます加わることが予想せられ、二十七年度いも価格は激落の危険する予想されるのであります。水あめ等の物品税の廃止はその税負担を除くことにより、澱粉延いては生いもの需要を確保していも類価格の下落を防止し、以て農家経済への影響を幾らかでも緩和しようというのであります。なお物品税廃止によつていも類の下落を防ぎ得る額は、いも一貫匁につき五円乃至六円見当と予想しているのであります。  本法律案は以上の理由により第二種物品税中の水あめ、ぶどう糖及麦芽糖に対する物品税を四月一日より廃止することを規定し、併せてこれが経過規定を定めようというのでありますが、本改正による物品税減収約十五億円は別途砂糖消費税の一部を引上げることによつて補填しようというのであります。  以上が本法律案を提出した理由であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。
  79. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 本日の委員会はこれを以て終了いたします。    午後四時三十一分散会