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政府委員(西村直己君)
只今議題となりました
在外公館等借入金の返済の実施に関する
法律案ほか四
法律案の提案の
理由を御説明申上げます。
在外公館等借入金につきましては、
在外公館等借入金整理準備審査会法に基きまして、
政府は、鋭意
在外公館等借入金の確認事務を進めて参
つておりますが、これが返済につきましては、先に制定されました
在外公館等借入金の返済の準備に関する
法律に基きまして、借入金を表示いたしまする現地通貨の評価基準、返済の方法その他借入金の返済の実施に関する事項を定める必要がありますので、先般の第十一国会にこれに関しまする
法律案を提出いたしたのでありますが、会期中に審議を終るに至りませんでしたので、今回重ねてこの
法律案を御提案申上げた次第であります。
次に、この
法律案につきまして概要を申上げますと、第一は、外務大臣が国の債務として承認しました借入金の返済の請求権者に対しましては、本邦通貨を以ちましてこれを返済することといたしておるのであります。第二は、右の返済
金額につきましては、
在外公館等借入金評価審議会の答申に基きまして決定しました別表の
在外公館等借入金換算率によりまして現地通貨表示
金額を本邦通貨に換算いたしました
金額の三割増といたしたのであります。更に
在外公館等借入金の返済の準備に関する
法律第二條に規定されておりますところに従いまして、
国民負担の衡平の
見地から、返済
金額が同一人につきまして五万円を超えまするときは、これを五万円とすることにいたしたのであります。第三は、借入金の返済に必要な
金額は、毎会計年度、
予算の定めるところによりまして、
一般会計から国債整理基金特別会計に繰入れ、これを通じまして支払を行うことといたしました。その他返済に関する事務の一部の
日本銀行への委託、返済手続の細目などについて規定をいたしておるのが本
法案でございます。
第二の
法律案でございます、
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く
連合国財産及び
ドイツ財産関係諸命令の
措置に関する
法律案、これにつきまして、その提案の
理由を御説明申上げます。
この
法律案は、別に提出いたしました
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省
関係諸命令の
措置に関する件に基く大蔵省
関係諸命令の
措置に関する
法律案の一環を成すものでございまして、大蔵省
関係のいわゆるポツダム命令のうち、「
連合国財産の返還等に関する政令」、「
連合国財産上の家屋等の譲渡等に関する政令」、「
連合国財産である株式の回復に関する政令」及び「ドイツ財産管理令」これにつきまして所要の
改正を加えました上、これらを平和條約発効後も
法律として存続させようとする趣旨でございます。すでに御存じのように、終戦後、
政府は、連合国
最高司令官の覚書に基きまして、連合国人の財産を保全し、財産管理に付されました財産その他連合国人の財産で戦時中不当に権利を侵害されたものを返還すべきことを命ぜられておるのであります。又、ドイツ財産につきましても、
最高司令官の覚書によりまして、ドイツ人の在日財産は米英仏三国に帰属することが宣言いたされ、
政府がその処分のために必要な
措置をとることを命ぜられておるのでありまして、それぞれ前に申しましたポツダム政令を制定して覚書の趣旨を実施して参
つておるのであります。併し平和條約第十五條及び第二十條の規定によりますれば、
日本政府は、
連合国財産及びドイツ財産に関しまして従来連合国
最高司令官の命令に基いてと
つて来たとほぼ同様の
措置を、平和條約発効後は、條約上の義務として実施すべきこととされておるのであります。本
法律案は、この條約の規定に従いまして、
連合国財産及びドイツ財産に関する先に申述べました四つのポツダム政令に
法律としての効力を与えまして、これを存続せしめようとするものでございます。ただ、これらの財産に関しまする
措置が、従来は、連合国
最高司令官から要求されておりましたのに対しまして、今後は、
日本政府が平和條約の規定により義務付けられることになるのに相応じまして、必要の事項について、この際若干の
改正を加えることといたしたのであります。
以下その
改正点の概要を簡単に申上げます。第一は「
連合国財産の返還等に関する政令」についてでございます。この政令の
改正点の第一は連合国の範囲であります。従来
日本政府は、連合国
最高司令官の覚書により指定されました六十カ国及びその
国民の財産について保全と返還の義務を負
つて参
つたのでありますが、平和條約発効後は、條約を批准しました国及びその
国民に対してのみその義務を負うこととしました。但し、財産の保全につきましては、條約の調印国及び條約第二十大條に規定する国及びその
国民が有しておりました財産については将来條約批准国に対すると同様の返還義務を負うこととなることが予想されますので、当分の間引続き保全することにいたしたのであります。
改正点の第二でありますが、これは返還すべき財産の範囲でございます。従来の規定によりますれば、その範囲は戦時中敵産管理人の管理に付せられたもの及び
政府又は
日本人により不当にその権利を侵害されたものでありましたが、旧
日本占領地域で略奪されて
日本に持ち帰られた財産及び
日本が戦時中にした捕獲審検の再審査の結果返還すべきことに
なつた財産につきましてもこの政令によ
つて返還すべき財産に含めるように必要な
改正を加えておるのであります。この略奪財産の返還は、従来は、
昭和二十一年のポツダム省令「略奪品の没収及び報告に関する件」、この省令の規定によ
つてなされておりましたのを、平和條約発効後は、同省令は廃止をいたしました、そして今回のこの政令の規定によ
つて返還しようとするものでございます。又捕獲審検の再審査の手続につきましては、別に「捕獲審検所の検定の再審査に関する
法律案」が提出をされておるのであります。
改正点の第三でありますが、返還請求権の消滅についてでございます。
連合国財産の返還請求につきましては、條約第十五條は、平和條約の効力発生のときから九カ月内に財産の返還請求がなされなか
つたときには、
日本政府はその定めるところに
従つてその財産を処分することができると定めておりますので、これに応じまして返還請求権は平和條約発効後九カ月で消滅する旨の規定を加えたのでございます。第二は「
連合国財産土の家屋等の譲渡等に関する政令」についてでございます。この政令は、
連合国財産である土地の上の家屋その他の工作物は、その土地の返還に際しまして、連合国人に譲渡され又は除去されるべきことを定めたものでありまして、第一に述べました「
連合国財産の返還等に関する政令」の附属法規でありますので、右政令の
改正に伴いまして所要の
改正を加えたのでございます。第三は「
連合国財産である株式の回復に関する政令」についてであります。この政令は、株式の財産としての特殊性に鑑みまして、「
連合国財産の返還等に関する政令」の特別規定といたしまして
連合国財産であります株式の返還の方法を規定しているのでありまして、連合国人が元の所有いたしておりました株式そのものを追及して返還することを避けまして、その株式の発行会社に新株を発行せしめる等の方法により同一銘柄の株式を返還しようとするものであります。「
連合国財産の返還等に関する政令」の
改正と同様の趣旨から連合国人の範囲、返還請求権者の範囲、返還請求権の消滅等に関しまして所要の
改正を加えることといたしております。第四は「ドイツ財産管理令」についてでございますが、従来在日ドイツ財産の管理処分については、連合国
最高司令官が米英仏三国の受託者として
日本政府に指示を与えておりましたが、條約発効後は平和條約第二十條の規定に基き、右の三国が
日本政府に直接ドイツ財産の管理処分を委託することになりますので、ドイツ財産管理令をその線に沿
つて改正するごとといたしたのでございます。
次に、
特定道路整備事業特別会計法案につきまして提案の趣旨を御説明申上げます。
〔
理事大矢半次郎君退席、
委員長着席〕
今回
政府は、道路の整備を促進し、交通の利便を増進するという趣旨から、現行の道路法に対しまする特別
措置として、その通行又は利用について料金を
徴収することができる道路の新設、改築等を行いますために、別途今国会に「道路整備特別
措置法」を提出いたし御審議を願うことといたしておるのでありますが、この「道路整備特別
措置法」に基きまして
政府の行います道路の整備事業並びに同法に基きまして
地方公共団体が行う道路の新設及び改築に対しまする所要資金の貸付に関しましては、その
政府におきまする
経理は、
一般会計と区分してその状況を明確にいたすことが適当であると考えられますので、これがために特別会計を設置することといたしまして、この
法案を出したのでございます。
この
法案の内容の概略の第一点は、この特別会計の歳入及び歳出として
経理する事項に関してでありますが、即ち歳入といたしますものは、資金運用部からの借入金、道路の通行又は利用について
徴収いたしまする料金、
地方公共団体に対する貸付金の償還金及び利子その他といたし、歳出といたしますものは、道路の新設、改築に必要な費用、
地方公共団体に対する貸付金及び補助金並びに資金運用部からの借入金の償還金及び利子その他といたしたのであります。
第二は、この特別会計の利益及び損失の処理に関する事項でありまして、毎会計年度におきまするこの会計の損益計算上の利益は、積立金に組入れ、損失が生じましたときは、積立金を以
つて補填することとし、なお補填し得ない損失の額は翌年度に繰越して整理することといたしているのであります。
第三点は、資金の借入に関する事項でございまして、この特別会計におきまして、
政府が行う道路の新設、改築に必要な経費及び
地方公共団体に対する貸付金等の
財源は資金運用部から借入れることといたしているのであります。
第四は、資産の計理に関する事項でありまして、この会計における建設費用、貸付金、未収金等につきましては、この会計の資産として整理することといたし、そのうち建設費用の価額につきましては、毎会計年度一定の基準に
従つて減額整理をすることといたしておるのであります。
以上申上げました外、この特別会計の
予算及び決算の作成提出等に関しまして、他の特別会計法とおおむね同様の例文的規定を設けておるのが、この特定道路整備事業特別会計の
法案の内容でございます。
次に
食糧管理特別会計法の一部を
改正する
法律案でございますが、今回の
改正の第一点は、農産物検査法に基いて行う農産物の検査に要しまする経費に関する規定を整備しようとするものであります。即ち農産物検査に要しまする経費は、すべて食管特別会計において
負担することが適当であると認められますので、これをこの特別会計の歳出を以
つて支出することができるごとにいたしておると共に、検査手数料を
徴収することとな
つております農産物の検査に要しまする経費の
財源は、
一般会計からこの特別会計に繰入れることができることとしようとするものであります。
改正の第二点は、食糧配給公団の残余財産のうちの一部を食管特別会計に納付させようとすることでありまして、即ち食糧配給公団の残余財産のうち、
政府が食管特別会計から同公団に対して交付した交付金の
金額から、当該交付金の
財源として
一般会計から食管特別会計に繰入れた
金額と、食糧配給公団が食管特別会計にすでに納付した
金額との合計額、相当額を差引いた残額に達するまでの
金額を食管特別会計に納付させることといたしておるのであります。なお、右に申上げましたほか、若干の規定の整備を図ることにいたしております。
最後に、
農業共済再
保險特別会計法の一部を
改正する
法律案であります。
農業共済再保險特別会計の再保險金支払基金勘定におきましては、
一般会計からの繰入金を以てその基金とし、これをこの会計の農業勘定におきまする再保險金の支払
財源の不足に充てまして、以て再保險金の支払の円滑化を図
つて来たのでありますが、
昭和二十七年度以降は、家畜勘定における再保險に関する支払
財源の不足につきましても、この基金を以て補填することができるようにいたしたのであります。そのほかに若干の規定の整備を図ることにいたすために、この
法律案を提出いたしました次第であります。なお、
昭和二十七年度
予算におきましては、家畜勘定の支払
財源の不足に充てますための
財源として、
一般会計から三億円を再保險金支払基金勘定に繰入れることを予定いたしておるのでございます。
以上この五つの
法律案の提案の
理由でございますが、御審議の上、御賛成頂きますようお願い申上げる次第であります。