運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-03-20 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十日(木曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員の異動 三月十九日委員小松正雄君辞任につ き、その補欠として下條恭兵君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君    委員            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小宮山常吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            森 八三一君            野溝  勝君            波多野 鼎君            菊田 七平君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次朗君    常任委員会專門    員       小田 正義君   参考人    東京大学教授工    学博士     牧  鋭夫君    化成品工業協会    常務理事    八杉 二郎君    日本織物染色同    業会会長   大西太郎兵衛君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第二十六回の大蔵委員会を開会いたします。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、右三案について質疑を行います。
  3. 黒田英雄

    黒田英雄君 この改正所得税法の四十二條で、社会保險診療報酬支払をなす者は、百分の十の税率源泉課税をするということになつているのですが、これは支払をなす金額が「命令で定める金額に満たない場合を除く外、」となつておるのでありますが、この命令で定める金額というのは大体どのくらいな御予定になつているのですか。
  4. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 先般何とかお答えいたしましたように、大体月額でございます、月額三万円乃至四万円程度で成るべく実情に即するところできめたい。目下のところその間の三万五千円前後できめますれば一番その目的に達するのではないかと考えておりますが、その辺若干精査いたしまして最終的に確定いたしたいと考えておる次第でございます。
  5. 黒田英雄

    黒田英雄君 これは一時取つておいて又返すことができるのです。確定申告で……。併し成るべく取り過ぎることのないようにいたされていると思う一のですが、その辺を十分に御考慮願いたいと思います。
  6. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) できる限りそういう趣旨で適当な額をきめたいと考えている次第であります。ただ非常に普通の場合ならば一定額をきめて、やりますと取り過ぎることはないが、非常にレアクースの場合に取り過ぎるということが場合によりましては出て来る。これは止むを得ない。そういう場合には確定申告で取り過ぎになりました税額を還付するということになりますので、成るべくそういうことの少いように適当なる額をきめたいというふうに考えているのでございます。
  7. 黒田英雄

    黒田英雄君 もう一つつておきたいのですが、会社配当の場合における源泉課税、あれは源泉で取られたのを納税者納税をする税務署にやはり通報されることになつているのですか。
  8. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) このほうは別に配当につきましては会社から支払調書が出ることになつておりまするが、今まではその限度を非常に低くきめまして、原則としまして支払調書をとりまして、税務署資料にするということにいたしていたのでございます参が、今回は二割の源泉課税をいたしまするので、余り小さいところは一々税務署支払調書を出させる必要はないというので、実は最近その政令で限度がきまつておりますから、その限度引上げまして、小さいほうは会社から支払調書を出す必要はないことにいたしております。二割の源泉課税をいたしますれば、余り小さいものにつきまして無理に資料を集めなくても、大体課税の公平を得ることができるのではないかという考えでございます。但し勿論納税者といたしましては確定申告の必要あるものは、やはり額の如何にかかわらず申告をして頂く必要のありますことは御承知通りでございます。
  9. 田村文吉

    田村文吉君 関連して、今のはどのくらいの会社なつているのです。どのくらいの会社から調書をとることになつているのですか。
  10. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この会社から配当の一人別支払調書を出すわけでございますが、従来は配当金額が一回二百円以上の場合出さしていたのでございます。それをこの二十六年、昨年の暮改めまして、一回三千円以下は要らない。三千円以上の場合に会社から配当支払調書を出すということに変えましたので、もう相当多くの株主につきまして支払調書を一々会社が作成する必要がないということになつたかと存じます。
  11. 田村文吉

    田村文吉君 そうすると今のお話個人、一人が配当所得三千円以下のものは要らないのですか。
  12. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) さようでございます。
  13. 田村文吉

    田村文吉君 そうすると会社は少くも三千円以上の配当がもらえるという人に対しては、個人別配当支払調書は必らず出さなくてはならない。
  14. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その通りでございます。
  15. 波多野鼎

    波多野鼎君 勤労控除の問題ですが、もう御質問があつたようですけれども、もう少し僕は聞いておきたい点があるのですが、この二十五年度改正のときに最高三万円ということにきめたのですが、その後の生計費なんかずつと上つて来ておるし、国民所得全体もずつと上つて来ておると思うのだが、そこで勤労控除の額を多少引上げなければならんという僕は考え方なんですが、そこでその理由は、大体勤労控除というやつは性格の点から考えれば必要経費なんです。必要経費というわけじやなかろうが、必要経費に当るわけですか、勤労控除性格一つ説明して下さい。
  16. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その点につきましては、実はいろいろ考え方上意見がございまして、人によつていろんなことを言つているかたがありますが、私どもは今お話のように、給與所得の場合はその給與を得るための必要経費を全然控除しないことにしておりますので、やはりそういう点も考慮に入れまして、若干の控除をやるのがいいのじやないかという点が一つと、もう一つは、やはり給與所得と申しますか、勤労所得はほかの所得と比べまして若干所得税担税力の点において劣る点がありはしないか、と申しますのは、ほかの所得は、事業等の場合におきましたら、本人が死亡等をいたしましても継続して所得があり得るのに対して、勤労所得の場合は死亡すればもうなくなる。こういう点がやはりほかの所得所得税担税力の点において若干の差を設けるのが妥当ではないか。主としてその二つの点を考慮いたしまして妥当な控除をする、こういう考え方に従来からいたしておる次第でございます。
  17. 波多野鼎

    波多野鼎君 それはいろいろな点を考慮しなければならんと思いますが、いろいろな点を考慮すればするほど三万円というのは少な過ぎる。大体僕はこの勤労控除ということを考える場合の基本的な考えは、やはり必要経費ということが中心なつて、その他あなたが言われたような点も考慮しなければならんと思うが、中心になる点はやはりこの必要経費ということじやないかと思うが、どうなんですか。
  18. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 必要経費という点もたしかにありますが、やはり私ども勤労所得はほかの所得に比べまして所得税課税上若干担税力の点において劣るという点を従来も考えていたのでございます。併しこういう考え方は、アメリカ等におきましては最近そういう考え方をとつておりません。イギリスその他のヨーロツパの大国でもやはりそういう考え方をとりまして、相当控除をいたしておるようでございますが、私はやはり勤労所得に対する課税につきましては、或る程度そういう考慮を入れるほうがいいのじやないかと考えておるわけでありまして、どちらに重きを置くかという点になりますと、必ずしもどちらに重きを置いておるというわけには行かないのであります。  それからもう一点、我が国では最近、木村さんからお尋ねがあつたのですが、申告所得税申告が確かでつかめればよいが、つかめないから、勤労所得のほうを控除をしていいのじやないかという、そういう考え方は私どもは理論的には少くともとらないということにいたしております。それは、所得税法に従いまして適確につかむということを前提にしなければ、税法の公平な課税というものは成り立たない、そういう方向に現在なお不十分であるにいたしましても行くべきものであつて、それは或る程度行き得るということを前提にしなければ、所得税は非常に不公平になる、こういう考え方をとつておる次第でございまして、申告のほうが実際上所得がつかまつていないから、勤労所得者は何か特別に斟酌的に控除したらどうか、こういう考え方は私は理論的にはとり得ないと考えております。御指摘の必要経費的なものを考えるということ、それから勤労所得自体の、他の所得との担税力の差、そういう点を主として考えまして、勤労控除の問題を考えたいということでございます。
  19. 波多野鼎

    波多野鼎君 そこで今あなたの言われておるところでもわかるように、今ヨーロッツパその他の国の勤労控除に対する考え方がどんどん必要経費ということになりつつある。それに重点を置いて考えて行くという方向に進みつつあるということは、私もそうだと思うのですよ。そこで日本税法考える場合、やはり一方において例えば社会保障制度を確立するという面もあり、福祉国家というようなことを一つの国民的な理想としておるということもある。かたがた勤労所得の問題は、やはり必要経費という点に重点を置いて、これが妥当なものであるかどうかということを考慮しなければならんと僕は思う。そこで二十五年度改正の当時に比べて最近までの物価指数もどんどん上つて来ておる。それから消費者物価指数、いわゆるGPIも二割くらい上つておると僕は思うのですが、そういう点を考慮に入れ、かたがた必要経費ということを考えて行くと、最高限度三万円で押えるということにはどうも妥当性がないような気がするが。
  20. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私がヨーロッパにおきましてなお勤労控除制度相当あるということを申上げましたのは、やはり勤労所得はほかの所得よりも所得税負担力において劣るという点をやはり考慮に入れておる結果だと思いますが、アメリカにおきましては、実は所得計算につきましてはいろいろ細かい規定を設けておりまするが、特別に勤労控除をしていない、そういうことを申上げた次第でありまして、必要経費的なものとして勤労控除をするという方向に行つておるというふうに申上げたわけではございませんことを御了承願いたいと思います。併し私はやはり勤労控除の中にはそういう要素が含まつておるということは先ほど申上げた通りであります。そこでこの三万円の問題でございますが、これは実は先般小林さんでしたかにお答えいたしましたように、勤労控除の問題につきましては只今実はまだ先ほどから申上げましたようなことに関連しまして幾多の問題がある。シヤウプ勧告農民に対しまして一割の勤労控除を認めた。こういうのを第二次勧告でいたしておるのでございますが、これは私どもはやはり農民負担控除等引上げによりまして大分下つて来ておりまするので、今どうも実行するのは少くとも妥当でなかろう。それから一割五分の勤労控除控除率自体が果して今申上げましたような見地からして妥当なものであるかどうか。この点につきましても大分議論が出ましたことは波多野委員も御承知通りだと思います。そういう点がいろいろありまするので、三万円だけをこの際修正するということはどうも少し如何であろうかと、それによつて負担が軽くなりますのは中の上以上の所得者でございまして、中の下以下の所得者には影響がない。而も仮に五万円に引上げますと、それによつて約五十億円程度減収を来たす。今資料を提出いたしておりますが、そういうことになりまするので、先ず今回としましてはそのような措置をやるのは妥当ではなかろう。そのこと自体の理論的に不当であるということを私は結論付ける意味ではございませんが、今やりまするのは如何だろうか。一般的に相当控除なり税率調整等によりまして大分負担も下つておりますので、この程度で今年としましては辛抱してもらつていいのじやないか、こういう考え方でございます。併しこれは勿論その問題自体を解決したわけではございませんので、なお将来はよくそういうものにつきましても研究して行きたいと思います。今回といたしましては、今申上げましたような見地からその改正を行わないということに制度といたしましてはいたしたわけであります。
  21. 波多野鼎

    波多野鼎君 農業者勤労控除一〇%認めるというシヤウプの第二次勧告ですが、こういう問題とも関連があるということも私よくわかるのですけれども政府のほうではそういつたような問題と勤労控除最高限の問題を常に総合的に考えておられると思いますが、今政府の側でどんなふうな方針が立つておるか、今年どうこうというわけじやないのですけれども……。
  22. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 実は今年の所得税改正の基本的な考え方としましては、成るべく基礎控除、それから扶養控除、なかんずく基礎控除をできるだけ大巾に引上げ改正行なつたらどうか、これがやはり所得税負担実情等からいたしまして、零細所得者負担をできるだけ軽くすると、こういう趣旨からしまして、できる限りそのほうを大巾に上げたい。所得税改正で、改正を行わない場合に比べまして約一千億ほど減収になりますが、そのうち基礎控除引上げにより減収になるものが約五百億程度でございますが、所得税改正軽減の大筋を基礎控除引上げというところにおきたい、若しそれと一緒に併せまして各種の特別控除制度等も拡張するということが財源上許しますならば、なお一歩進めるということも一つ考え方だろうと思いまするが、今回の改正といたしましては重点をそこに置く改正のほうがいいのじやないかという考え方でいたした次第でございます。そこで農民控除の問題、それから勤労控除の問題、或いは先般も御議論になりました勤労所得計算社会保險料を引くか引かんかの問題、こういう問題は問題としてはあるのでございますが、今回としましては相当減收を覚悟しないとできませんので、そこまで至らないと思いますが一般的な基礎控除扶養控除引上げによりまして全体としての負担軽減を図るというのが先ず重点を置くべきものじやないか。そういう考え方控除の問題を考えることにいたしておりますことを御了承願いたいと思います。
  23. 波多野鼎

    波多野鼎君 それじや第二段の問題としてこの問題を考えている、差当つて基礎控除の点に重点を置いている、こう了解していいわけですね。それでは次にもう一つお伺いしたいのは法人税のこと、いいですか聞いて……、法人税の問題ですけれども、これは税法と間接の関係しかないが、法人税收入というのは去年よりも大体二五%見当増收に見ておりますね、そういう根拠はどこにあるか、一つ説明して欲しいのです。
  24. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 法人税見積りにつきましては、各般の見地から愼重に検討したつもりでございますが、何しろ昭和二十六年度当初予算におきましては六百数十億見込んでおりましたのが、その後朝鮮動乱影響によりまして、大法人中心とする業績の著しい好転によりまして、非常に状況がよくなりまして、補正予算で約千四百数十億の予算に修正いたしたのでございますが、最近の状況から見ますると、それにも増してどうもやはり決算見込相当増收になるような傾向のようでございます。昭和二十七年度見込におきましては、二十六年のようなまあ見込違いと申しまするか、予想違いを来さないようにと思いまして、愼重に検討いたしたのでございます。昭和二十六年度のときは、何しろ予算見積りましたのが二十五年の暮でございまして、動乱によりまして乱動影響があれほど強く現われて来るということは、実はひとり私どもではございません。世間一般においても予想されておらなかつた。物価が五割上り、生産が五割上るという段階まで昨年の四、五月頃まで行つてしまつたというような状況でありまして、非常に変動があつたのでありまするが、本年といたしましてはこの状況もとにいたしまして実は收入見積りしておるのでございます。で、計算基礎といたしましては、昨年の九月以前一カ年でございますね、つまり昨年、二十六年の九月決算、大きな会社は三月、九月の決算がありますが、九月現在まで実績がわかつております。九月以前一カ年に終了する事業年度の線で、これをもとにいたしまして、それに対しましてその後の生産物価状況を見まして一定利益を算定し、それから九月以前一カ年の利益の中には、物価値上りによります異常利益が入つておるという意味におきまして、それを排除するという意味で二〇%だけ落しまして、所得率を二〇%だけ下げる、つまり八〇%に押えまして、それで利益を算定いたしまして計算いたした次第でございまして、まあ私ども一時電力不足等大分心配がございましたが、その心配は最近はなくなりました。併し今後大体物価が余り急激な下落を示さず、横這いか或いは下半期頃には若干の微騰というような傾向になるものといたしますれば、大体この予想しておりまする税收入が期待できるのではないかと考える次第でございますが、生産のほうは大体戰前に対しまして二十七年度で一四三になつておる。戦後ではございません、戦前でございます。GHQ鉱工業生産指数でございますか、あれの指数が一四三くらになるものとしまして計算いたしております。このほうは今の状況から行きましても、大体まあ問題なく実現できるんじやないか、物価のほうが非常に下落傾向を示せばこれは若干違つた傾向になると思いまするが、現状は大体横這いか或いは下半期若干微騰という状態でございますれば、大体見込收入は期待できるのじやないかと考えております。なお昨年法人税増徴を行いましたが、あの増徴による増收額は二十六年度としましては極く僅かでございまして、本年度に初めて現われて来る、税率引上げによりまして約三百億の増收になりまするが、課税標準計算方法等につきまして償却その他でいろいろ特例を設けておりますので、そのほうで約百二十億減りまして、別途昨年度法人税改正によりまして百八十億円の税法改正による増收が、それを含めまして二十七年度におきましては千八百数十億の法人税收入を期待する。こういうことに相成つておる次第でございまして、先ず私が今申上げましたような生産物価見通しが狂わないといたしますれば、まあ大体所期の收入は期待し得るのじやないかというふうに考えておる次第でございます。
  25. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると二十六年、暦年でいつて二十六年に法人が挙げた收益の中で、まだ法人税として会計年度二十七年度において取れるものが相当あるということなんですか、それが二百億ほどあるという……。
  26. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今二百億 百八十億と申しましたのは、昨年、前国会におきます法人税改正によりまして、改正しない場合に比べまして收入増加する、つまり法人税に対する税法改正による増税措置による増收額でございます。
  27. 波多野鼎

    波多野鼎君 ああそうですか。
  28. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) もう一遍申しますが、基礎にいたしましたのは昨年九月以前一カ年の終了しました実績もとにいたしております。それは実績はわかつておりますので、それをもとにしまして、先ほど申上げましたような生産物価を予想して、それに対しまして、その期間は特にこの物価値上りが激しい時代でございましたので、値上益が入つているという意味利益率を落しまして、八〇%に落して計算しておる。従いまして私ども今の状況から見ますると、物価見通しが非常に問題でございますが、これが相当急激に下落するような傾向がなければ、大体見通しとしましては期待できるのじやないかと、まあかように考えております。
  29. 波多野鼎

    波多野鼎君 それでわかりましたが、それでは物価の問題は別にして、あとにしますが、生産の面ですね。これはGHQのあれとそれから安定本部生産指数と違うですな。取り方も違つておりますが、大蔵省ではGHQのほうをとつているのですか。
  30. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 安定本部のほうは最近GHQのものを引継ぎまして新らしくやるということになつておるようでございますが、前からの連続等がございますので、今申上げましたのは昭和七—十一年度を一〇〇としましたGHQ鉱工業生産指数、それをもとにして見積つております。その数字が、先ほど申上げましたように一四三と見ております。昭和二十六年度一カ年は一三六ぐらいのものが、二十七年度におきましては一四三ぐらい、まあ一割弱ぐらいの増加でございますが、まあこの程度でございますれば期待できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  31. 波多野鼎

    波多野鼎君 昨日も予算委員会でも少し問題になつたのだけれども生産の上昇の仕方が世界的にちよつと頭打の傾向が出て来ておると思うのですがね。このアメリカ軍備拡張計画がずれた、二年間延長になつたために相当大きく生産の方面にも影響が来ておるし、それから又それが日本生産の面にも影響が来るように思うのですが、それともう一つ貿易関係一般の商業上の貿易関係なんだけれども、これも割合環境は悪いですね。アメリカ側関税引上げ日本の商品に対してやつて来る。今度は又ブロック的な経済政策を強化しつつあるといつたようなことで、割合見通しとしては、貿易上の見通しは暗いような感じがするが、まあそう悲観ばかりしておつたつてしようがないのだけれども、併し政治をやる場合に、最悪の場合、悪い場合も予想しながらやつて行かなければならんと思うのですが、そこで私から言うと、今の生産見通しというものが、二十七年度の一四三というのは割合過大な見通しじやないかというような気がする。例えば綿業あたり四割操短というのはどんなふうに実現されるか、これはよくわかりませんけれども、とにかく四割操短と言つておる。ゴムのほうは三割とか二割操短化学繊維はどうと、至るところで操短をやりながら価格維持をする。これはまあ非常に資本主義の矛盾だと思うが、とにかくそういうところが、操短をやりながら価格維持をする、又それよりほかに手はないのだということで、そういう政策がとられて来つつあるのでありますから、物価の面はむしろそう下らんじやないかという気もするのですよ。無理に引上げて行く、併し物価の面は下らんけれども生産面は下つて来るということが、一方においては失業者増加というような形でも現われて参りまして、紡績のほうでは六月以降は一割五分の首切りをやるといつたようなことが内定しておるようですけれども、そういつたようないろいろなことを考えて行くと、どうもこの法人税見積りは甘過ぎるような気がするが、まあこんな大きい問題をここで論議したつてしようがないかも知れんけれども、あなたがたのほうはそういう生産見積りなり物価見通しなりについて、特にこの二月以降起きて来た世界的な経済の変調に対して、改めて考慮し直して見るというようなことをやつておられますか。
  32. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) なお御参考までに数字をもう少し申上げさして頂きたいと思いますが、先ほどのGHQの鉱工業の生産指数実績でございますが、昨年度六月、七月でございますか、最高に達しまして、六月には一四一・八、七月が一四一・九、八月が一四〇・三になりましたが、その後電力の事情で御承知通り少し下りまして、九月が一三六、十月が一三七、十一月が一三八、大分どうも少し低迷いたしましたが、十二月には再び一四二・八というところまでバツクいたしまして、五、六月頃の状況を更に上廻つたような状況もあるかと思います。その後本年に入りまして、一、二月の実績がどうなりますか、まだ正確な数字はわかりませんが、若干下廻つたり上廻つたりしておるかと思うのでございますが、電力事情さえ悪化しませんならば、先ずこの程度生産を二十七年度におきまして期待するのはそう無理ではないのではないか、ただ問題は、今波多野委員お話通り、今後における世界的な海外の需要が一体どうなるか、これが私はやはり今後の問題としては大きな問題ではないか、貿易がそのためにどういうふうになつて来るか、或いは海外に売れる商品の相場は一体どういうふうになつて来るか、これがむしろ私は問題が相当大きいのではないか、国内の方面におきましては、特需のほうは恐らく今後やはり今までよりも減らない、むしろ若干殖えて行くじやないか、それから若しも予算通りまして、安全保障費等を現実に支出するということになりますと、これはやはり相当建設費を通じまして資材、労務等に対する需要の増加なつて参りますし、このほうから来る有効需要の減退ということは考えられないと思いまするが、世界の軍備拡張の状況、或いは日本が今海外に売つたり買つたりする商品の相場は御承知通りいわゆるグレイ・マーケットの附合をしておるものが多いのでありますが、こういうものは世界における需給の変化によりまして相当大幅に変動する可能性が考えられる。それが一体どうなつて来るかという問題がやはり問題として相当残る問題ではないかというように考えますが、その点から行きましても、今のところまだその方面の需要が相当大幅に減るということには行かないので、イギリス等の最近の予算を見ましても、やはり軍事費等に対しましては削減を余り加えないで、その他の不急物資等の輸入等をできるだけ削減するといつたような方向経済政策のバランスをとろうといつたような努力をしておるようでありますし、今のところ急激な変化が来るというようなことを予想しますには、まだ十分な條件が具わつていない。そういうことを考えますと、先ず私どもはやはり今の段階におきまして、法人税見積り等に修正を加えなければならんような事情が大分あるというようには今のところ考えておりません。併し今申上げましたように、大分日本の相場は、殊に卸売物価は海外のそういう異常な需要と関連してきまつて来るような物資の相場が大分ございますので、その動き次第ではこれはやはりどういう変化を来しますか、今変化は絶対ないだろうということは申上げにくいと思いますが、今のところやはり先ほど申上げましたように、大きな見積りの過不足を生ずるという事態はまだ予想する必要はないのじやないか、このように考えておる次第でございます。
  33. 波多野鼎

    波多野鼎君 今言われたように、日本の輸出商品、特に鉄鋼などについて言うと、グレイ・マーケットを目当てにしての相場なんですね。ところが二月の中旬、アメリカ政府軍備拡張計画に対する方針が急転換して以来というものは、グレイ・マーケットは殆んど消滅の状態でしよう、全世界的に。そんなものを相手にしての鉄鋼業というのはこれは壊滅、壊滅と言うのはおかしいけれども、非常な打撃をこうむるということは当然予想される。それからもう一つ貿易商社、法人といつて貿易商社がたくさん含まれていると思いますが、貿易商社の倒産に瀕したようなものがたくさん出ているというようなこと、これは生産と直接結びついている貿易商社なんですが、これが困難な状況にぶちこまれておるということから来る法人税減收ということも当然考えなければならんと私は思つているのです。そういう点の見通し議論になりますからやめておきますが、とにかく收入予想の上で千八百八十億ですか、これだけの予想を立てておきますと、どうしてもこれは收入を挙げなければならん、而も法人收益というものは割合に苦しくなつて来るということが事実として現われて来る。これは苛斂誅求というやつが相当響いて来るのですね。私は実際は政治を円滑にやる上においては、そういう二月以降現われて来た世界情勢の変化というものに十分注意を配りながら、この法人税その他所得税收入でも同じことだと思いますけれども、こういうことについて常に検討を加えながらやつて頂きたいと思うのです。今苛斂誅求ということを言うたけれども、やつぱり今でも割当制度をとつておりましよう、国税庁は田舎に行つてみれば皆割当なんです。何ぼ議会でやかましくいつても割当をやつておる。だから見積りを過大にしておくと、無理なとろこから取ることになるのです。收入見積りはできるだけ内輪にしてもらいたいのです。そうすれば税務行政のほうからもうまく行くと思う。どうも法人税を過大に見積つておる。従つて所得税の問題も僕は同じことであると思いますけれども、而も事実割当制度を取上げて行くということになるのだから大変なことになると思うのです。割当の問題はそれに関連していると思うのですが、実際はどういうことになりますか、早くやめるように言うたらどうですか。
  34. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 先ず法人税でございますが、法人税は最近は、さつき申しましたように動乱以後大企業が大体非常な利益を挙げるようになりまして、これまでは御承知通り特定会社なり統制会社なりで大きな会社が見るべき利益を挙げていない。それが昨年の上期ですか、三月危機以来非常ないい成績を挙げるようになりました。今の状況でございますと、日本の大会社といたしましては相当利益を收めるようなところまで来ている。従つて法人税收入昭和二十五年度、二十四年度あたりは、むしろ中小の法人相当依存しておりましたのが、二十六年度あたりから急激に変りまして、大法人が大部分の法人税を納めるということに移つて来ております。それで先般も御説明申上げましたように、例の国税庁の調査課で所管しております、これは小法人も大分入つておりますが、数から行きますと、全法人数の四、五%くらいの法人数でございますが、とにかく今申しました法人でその法人税の約八割を納めている、その中で恐らく、そこまで正確な数字はございませんが、取引所に上場されている会社の納めているような法人税がこれが又大部分を占めているような状態でございまして、この点は大分戰前の状態に復帰して参つたように見受けられます。従いまして法人税見積りをどうしたから、中小法人に対して査定を嚴しくする云々という問題にはならないので、むしろ問題はやはり法人税としましては、大法人の業績がどうなるか、これによつて実は非常に左右される。そういう意味において、今までと違いまして、大法人の業績がいろんな状況で変つて来るとしますれば、これは歳入の上において影響が強く働いて来るということは否定し得ないのでありまして、そういう意味において私ども常に注意を怠るべきではないと思う次第でございますが、併し今申上げましたような数字前提にして見積つておりますので、今波多野委員お話になりましたような情勢が今後更にだんだん深化して行くということでありますれば、これは問題だと思いますけれども、今までのところからいたしますれば、そう大きな狂いは予想する必要はないのではないか、かように考えております。  もう一つは割当の問題でございますが、これは率直に申上げますが、実は全然やつておりません。二十三年度と二十四年度におきましては余りにも徴税が振わない、で経済は混乱しておる、税金を納めるなんて馬鹿だ、こういつた風潮が多くて、どうにもなりませんものですから、止むを得ず私ども異常な措置といたしまして税務署に目標額を示しまして、努力目標でございましたが、それで極力勉強するということにいたしましたのが、結果におきまして非常にそのことが納税者を直接拘束するという結果になりましたので、二十五年度以来そういうことは嚴にやめることにいたしまして、二十六年度、今課税しておりますのが二十五年度でございますが、これにつきましては全然そういうようなことはいたしておりません。ただこういう問題があるのでございます。と申しますのは、成るべく個人所得税につきましても、個別的に納税者の收支調査をする、收支調査ができないものに対しましては、少くとも売上金額であるとか仕入金額などを調べまして、その所得の標準率を乗じまして所得を見る、成るべく個別的に調査した上で所得を出す、こういうふうにいたしておりますが、なかなか帳面がない、納税者が多数おりまして、そういう場合におきまして或る程度推定資料を使わざるを得ない、そういう場合におきましては、個別調査によりまして調べました実績の結果を業態別に、大体前年度に比べまして売上がどれくらい殖えているか、どういう業態は非常に好況か、どういう業態は不況か、そういうものを業種目によりまして調査の結果に基き集計をいたしまして、それを資料といたしまして、帳面等が十分備わつていない納税者の推定資料にする、そういう際におきましてはつきりしない場合におきましては、出て来ました平均  的な前年に対する増加率、それくらいの所得があるのじやないかというような推定をして調べていることは、これはどうも今の状態から私どもいたし方ない、勿論そういう場合におきましても、納税者実情をよく聞きまして、必ずしも一律にやらないように、できる限り実態に即するようにということに努めておりますが、多少納税者によりまして事情がございますので、場合によりましては或る程度平均的なところで話合いをせざるを得ない、こういう点がありまして、その面が恐らく割当じやないかという誤解を受けておるかと思いますが、今少くともどこの税務署はどれくらいにすべきだとか、営業についてはどのくらい決定すべきだ、そういうことは嚴に避けることにいたしておりますので、その点御了承を願いたいと思います。なお今後におきましてもそういうことは嚴に避けまして、殊に申告納税につきましては、何とかして申告納税本来の税務行政に一刻も早く行き得るようにということで、目下懸命の努力をいたしておりますので、その点御了承願いたいと思う次第でございます。併しなおいろいろ誤解を招くようなものの言い方をしたり、或いはややもすると非常にお座なりにと申しますか、簡単に物事を処理する、至らんために勉強不十分なところもありまして、変な誤解を受けるような要素がなきにしもあらずと思いますが、そういう点につきましては今後更に一層是正に努めまして、本来の行政に一刻も早く持つて行こう、こういうことで努力しておりますから御了承願う次第であります。
  35. 波多野鼎

    波多野鼎君 この税法の問題は、税法それ自体ということが問題を起す場合よりも、税務行政のほうが問題を起す場合のほうが多いのです。法律の條文を幾らいじつてつても、実際をいうとそう大したことは出て来ないのです。それの実行面でいつも問題を起しておる、現にたくさん問題がある。今あなたの言われた割当平均課税ということが、割当といつたようなことに誤解されているのじやないかという面が相当あります。そういう点はよほど注意しなければなりませんが、同時にこういつたこともある、これは細かい問題になりますが、参考までに言つておきますが、農業所得の算定の場合、これは非常に問題をほうぼうで起しておる。一例を申しますと、島根県と鳥取県の県境、あそこの国税局は広島ですか、そこの村で起きている問題なんだけれども、米の実收高についての農林省の算定がありますね、ところが税務署のほうでは農林省の実收高調査というものを信用しない、税務署のほうで米の実收高の又一つの調査をやつておる。そうして一つの基準を出しておる、それによつて課税はしておる。供出は農林省の調査でやる、まあ二重になつておるわけです。そこで村の農業調整委員あたりや協同組合長あたりが寄合つていろいろ相談した結果が広島国税局に陳情したわけです。それは内容が非常に過大に見積られておる、つまり農林省の実收高の三割増ぐらいに見積つて税をかけて来たものだから国  税局へ訴えたわけなんだが、国税局では何もしない、で地方の税務署が頑張つてどうしても見せない、どうしてもそれを讓らない、それならどういう基礎によつて米の実收高を税務署のほうで彈き出したのか、その基礎を示せといつても示さいということで、到る所で問題を起しておる。これに類した問題は私どもはたくさん聞いているんで  すよ。成るほど平均課税といつたようなことも税務行政上必要なことでありましようが、やはり国の行政であるから、例えば国の機関の一部門が調査したものを信用しないで他の機関で勝手にやつて行く、そういつたようなやり方で税をかけて行くということは問題が紛糾してしようがない。而もその話を聞いてみると、結局広島の国税局から何とか税務署に大体今年はこれくらいの農業所得税というものは取つたほうがいいとか、取るのが目標だとかいつたようなことを言つて来ておるものだからそれに合せて行く。そうするとみんな米の実收高もこれだけあつたのだというふうに言わないと税が取れないと、逆にこう来ているんですよ。みんなそういつたような例を聞かされたのですが。
  36. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今の波多野さんのお話のうち、後段だけは私どもは徹底的にそういうことはいたしておりませんということを先ず申上げておきたいと思うのでございまするが、一定の農業所得についてどれだけ少くとも税務署は徴收すべきだということにつきましては、もう最近は非常に注意いたしておりまして、いやしくもそういう誤解のないようにいたしたいということで、むしろ警戒して注意してやつているくらいでありまして、その点御了解を願いたいと思いますが、ただ農業所得につきまして今年のいろいろの不平なり文句なりを私どもが耳に入れ聞きましたところによりますと、お話通り実收高の査定につきまして大分あちこちで問題を起しておるようでございますが、二、三年前までは御承知通り所得の標準率の作り方でございますね、農業所得が幾らあるか、この標準率の作り方で相当問題がありまして、このほうは極力現場の責任者の意見等をよく聞けと、農協等におきましても相当まじめな団体であれば意見を聞いて、実情に即するようにということで大分努めました結果、このほうの非難は最近よほどなくなりまして、大体適当なところに落着いているのではないかと見ておるのでございますが、今年の状況によりますと、どうも実收高の見方について大分あちこちで問題を起しておるようでございますが、そこで私どものほうといたしましては、建前が御指摘のように農林省で調べておるわけですが、全部それにおつかぶさつてしまうのもどうかという問題もあるのでありまして、そこまではやはりなかなか課税の建前上行き切れない要素がある。やはり正しく所得を見出すというのは税務官庁の本来の仕事でございますので、必ずしも今農林省のほうで調べましたものが果して個々の納税者の実收高として正しいものであるかどうか、これは恐らく地方におきましたらいろいろな批評がありまして、第三者にはおのずから甘いとかからいとかいう評判が恐らくあるんではないか、そういう点にやはり注意をいたしまして、実收高によることがどうも適当ではないと考えられる場合におきましては、農林省の調査による場合におきましても、やはり税務署におきましても必要な調査をして、正しい実收高を見出すということは、これはやるなというところまで言うのは少しどうかと思います。大体そう大差ない、殆んどそれを利用しても差支えないという場合には成るべくそれによれ、差支えないとは言つておりますが、常にそれによれということは如何かと思われます。その辺の実際上の指導調整にはなかなかむずかしいところがあるようでございますが、やはり私は必要な場合におきましては税務署におきまして或る程度の実收をよく調べまして、それによるということを今後ともやらざるを得ない。併し大差ない、殆んど見解の相違だけであつて、どれが正しいかどうかわからないという場合におきましては、成るべく他に資料がありますればそれを利用するように今後持つて行くように努めたらどうかと考えておるのでございます。大分今年はお話のような問題がございまして、現場にもそういう趣旨をよく実情に即するように調べろということを言つてやつたことがございます。これもやがて、やがてではございませんが、成るべく早く解決いたしまして、非難がないようにいたしたいと思つております。ただ最後に申上げますが、飽くまでも農林省の調査によるというだけでは行き切れないことを申上げておきます。
  37. 波多野鼎

    波多野鼎君 ついでにもう一つ最後に申上げておきたいのでありますが、今の例の詳しいことはあなたのほうにあとで示してもいいと思うのですが、こういうわけなんです。隣の島根県だつたかどこかの県境いになつておる、従つて気候、風土、收穫高の実際はそう違わないのです。ということは隣村なものだからお互いわかつておる。農林省の調査では大体隣の島根県のほうと違わない査定をしておる。ところが税務署のやつた実收高調査というものはべら棒に違つて来ておる。それらが目立つものだから問題になつたわけです。そういう点は行政上まずいと思う。これはそれだけで、ただ割に農林省の米の実收高だけに頼り過ぎることはできないということはよくわかるのです。それはそうだと思う。が併し大体その辺は歩調を合せて行くということでないと、国の行政機関がばらばらにやつておる。そのために行政機構の改革をやろうとしたつてどうにもできやしない、一方がやつておることを他のほうは信用しないということになると、それぞれ勝手にやらなければならん。国民のほうから言えば一体どうなるのか、どこの調査が正しいのかといつたような不信の念を起して来るいろいろ影響がありますね。そういうことを考慮してやつてもらいたいということなんです。
  38. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今のお話一般的なお話といたしまして非常に御尤もと考えますので、私どもできるだけそういうようなことがないように今後も努めて参りたいと思います。殊に税務署同士の境い目の場合におきましては、昔からやはりそういう例がたくさんございまして、殊にそういう点につきましては国税局はよく監督しまして、アンバランスにならないようにということをたびたび注意いたしておるのでございますが、なかなかそういうふうに参らないこともございます。そういう点につきましても成るべく努めたいと思つております。
  39. 小林政夫

    小林政夫君 波多野委員も触れたと思うのですが、法人税收、まあ法人税收に限らず、まあ收入ですね、この税收が非常に今年に入つてから内外の経済情勢の変動で相当見積られておるのが少なくなるのじやないかということが心配されるのですが、それと関連して特に最近の産業経済の三月十六日に、法人税において純利益金が三、四月決算期は前年の九月決算の四三%に減少するのではないかというようなトップ記事が一面に書いてあります。これについては全然あなたのほうと違うのか、どう思われますか。
  40. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 三月期の決算見込は今あちこちで予測を立てておるようでございますが、経済雑誌等の記事を見ますと、今お話のようなふうには見えないというふうに見ております。「東洋経済」とか「ダイヤモンド」も決算見込を立てておるようでございますが、勿論若干昨年の九月に比べますと落ちるのが相当多いようでございますが、半面において石炭とか海運とかその他よくなるものも相当あると予想しておるようでございまして、まあこの点は私は今のところまだ「産業経済」の記事を正確に読んでいませんが、半分まで落ちるというようなことは、少しどうも予想としまして如何かと思います。
  41. 小林政夫

    小林政夫君 非常に極端なあれかも知らんが。
  42. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) それほど落ちるとは今のところ私ども考えておりません。それから本年度法人税收入は、先ほど申上げましたように、補正予算で約千五百億近くに見積つたのでございますが、あれに対しましても更に相当上廻つた收入になりはしないかと見ておりますので、まあ法人税見積りは先ほど申しましたように、大法人收入がどうなるかということの関係上、なかなか経済の動向を敏感に受けまして、その点が情勢によりましてどうなりますか、問題はあると思いますが、今のところ私どもはこの見積りに対しまして変更を加える必要はないと考えておる次第でございます。
  43. 田村文吉

    田村文吉君 所得税の最低税率は二〇%というのが最低率になつておりますが、今のように基礎控除をもつと上げるということは、私も当然、常態になつて来たら、今の貨幣価値でいえば二十万円ぐらいまで上げてもらうというのが当然のように思うのですが、まあ現在の耐乏生活下において、或る程度のところまでできるだけ引上げてもらいたいが、できぬにしましても徴税費の関係上、二〇%以下ではどうも引合わないんだということを、よく前に承わりましたのですが、一体マージンは、大体でいいですが、出ておりますか。
  44. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 所得税の最低税率をどうするかということは、確かに一つの問題でありまして、二〇%がいいか或いは一五%ぐらいからしたほうがいいか、或いは更に一〇%ぐらいがいいか、これはいろいろ考え方があるかと思いますが、今御指摘のように余り税率を低くしますと、控除した残りの税率でございますので、税額が非常に少いものになりまして、手数がかかる、従いまして控除はできるだけ適正なところに上げまして、税率といたしましては相当税率負担し  てもらうというのが、やはりいいんじやないかというのが、私どもの最近までの基本的な考え方でございます。それを理論的にどういう根拠でどうだというところまでは出しにくいのでございまするが、その控除額に近いところ  の所得者負担が、二〇%にしたならばどれくらいの負担になるか、更に下げるとどういうふうになるか、その辺  の負担計算は、いろいろ睨み合せまして今申し上げました判断を実はいたしておるような次第でございます。併しこれは実体的に二〇%でなくちやい  かん、一五%ならば問題にならんというのでございませんですけれども、大体今申し上げましたような見地から、大体二〇%の税率は動かす必要はなかろうと、まあこういう考えでおります。御参考までに外国のを申し上げますと、アメリカは最低税率は二二・二%、二千ドル以下になつておりますので、二二・二%から順次累進いたしまして、最高は二十万ドル超過百分の九十二という税率なつております。イギリスは最低が一五%、所得税の標準税率と申しますか、スタンダード・レイトは四七・五%、超過所得税を加えまして最高は一万五千ポンドを超える部分に対しましては百分の九七・五  と、こういう税率なつております。イギリスは一五%からスタートし、アメリカは二二・二%からスタートしておる。いろいろな例を見ましても、先ず日本としましては二〇%ぐらいからスタートするのがいいのじやないかと思つておりますが、併しこういう問題につきましては、将来検討する機会がありますればよく研究してみたいと思います。    〔委員長退席、理事大矢半次郎委員長席に着く〕
  45. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 大蔵大臣が見えましたが、十二時過ぎにお約束があつて他に行かなければならんそうでありますから、この際大蔵大臣に対する質問をお願いいたします。
  46. 田村文吉

    田村文吉君 今の問題はこれは大蔵大臣から御答弁頂いたならなお結構なんですが、今各国の例をちよつと仰せになりましたが、免税点が上がれば上がるほど、それは二〇%とかいう大きな率でもいいんだが、日本のような経済の細かいところでは、むしろ一〇%でも、一割でも、税金は納めるんだというように、国民に納税の気持を持たせるということがむしろ必要なんじやないかという点から考えて、前までは無税、それ以上になると急に二割、まあ五万円引きましたそれの差額でありますけれども、それの考え方が、ただ徴税費がそれがために嵩んで厄介なんで、実はそういうマージンが或る程度、一五%とか二〇%とかいうパーセンテージのマージンではとても駄目なんだということなれば、それは別問題でありますけれども、そういう関係がないものであれば、日本経済はどうせ細かいですから、その意味で一〇%ぐらいから御出発なさつてもいいんじやないかというような考えを持つのでありますが、これは今度の所得税改正問題に直接触れる問題でなくとも、今度の税制改革の上からいつてそういう問題を考えられていいんじやないか、こういうことを考えるのでありますが、丁度大臣お見えになつておりますからこの点についてどうお考えなつていらつしやいますか。
  47. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この控除の問題と最低税率の問題とは、これは各人各様でございまして、いろんな議論があると思います。私は二〇%下げるということよりも、今の状態では基礎控除を上げる、同じ税收を確保する意味においてはこれが先だという私見を持つております。
  48. 小林政夫

    小林政夫君 この法人税について、今度日米経済協力からいつて相当日本経済界は跛行景気になる虞れがある。一方には相当收益を挙げておる。一方には非常に苦境に陥るという業態もできて来るわけです。そこで前回の法人税のときにも問題になつたのですが、一率に三五%を四二%に上げるということでなしに、その三五%を据え置いて、まあ併しアブノーマルな超過税率をやつてはいけませんが、超過税率を設けて行つて調整するということを考えるべきではないか、その点については大臣どうお考えですか。
  49. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 問題は跛行景気になる慮れがあるから超過所得税と申しますか、臨時所得税的のものをやつたらどうか、こういうお考えであるようでございまするが、私は先のことはいざ知らず、ここ一年、昭和二十七年度、二十八年度におきましては、超過所得税制度を設けることは、もう暫く待ちたい、こういう気持を持つております。今後法人税を増税する場合においては、超過所得ということは考えなければなりませんが、超過所得をやる場合におきましても、今の資本構成というものをよほど考えて、例えば再評価の問題をどういうふうにすべきか、いろいろの問題がありますが、私は増税をするという気持は全然今の  ところ持つておりません。従いまして超過所得税をやろうという気持はござ  いません。然らば收入が挙つたときには四二%を下げるか、これはまあ下げる必要も今のところないと、こう考えておるのであります。増税をするという段階になりますれば超過所得税というものは一つ考え方ですが、そのときにおきましては資本構成を一つ先ず訂正して行かなければならんと考えております。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 私はその四二%を下げて三五%或いは三〇%にして、そうして今法人税收の見積りの問題については先ほどもお話があつたのですが、まあ大体法人税收の変らない範囲において税率を小刻みにして行くということを考えておられるわけですが、今の資本構成の問題については、再評価をしておらない法人というものは、要するに收益が少いから再評価をしておらないのであつて、高收益が挙げられるならば当然再評価も進んでやつておると思います。そこで若しそういつた方法を採用するとすれば、その機会に、同時に勿論経済情勢が変つておりますから、今までの再評価の機会には再評価しなかつたが、併し今後そういつた税法を変えて超過税率を設ける時代においては收益が好転しておるというような産業も考えられるので、そういう税法を変えると同時にもう一回再評価の機会を與えるということにすれば、今の資本の問題は解決するのじやないか、そうして特にオーバー・ローンの解消の問題とも関連をして、どうしても金融機関だけの整備ではなかなか行かないので、やはり企業のほうでも自己資本を充実して行くという点からいつて、そういつた税法を変えることによつて企業が積極的に自己資本というものを殖やして行くということに税法上から追い込むことができるのじやないか、併せてこのオーバー・ローンの問題の解決の一助にもなるというふうに考えるのでありますが、そういうことはどうお考えですか、お伺いしたい。
  51. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 率直に申上げますと、税法上から資本の再構成に追い込むという考え方には私はまだなり切れんのであります。税というものはついて行くべきものであります。税で資本構成をどうしようということは私は行き過ぎであると思います。而してお話にもありました採算の見通しがつかないから、資本構成の何と申しますか、変化を来たなさい、つまり再評価の分を資本に繰入れない、こういうようになりますと、そればかりではない、成る紡績会社のごとき採算は非常にいいのでありますが、いろいろな関係で再評価益の資本への繰入れを待つておる、こういうのがございます。そうして又今後跛行景気になるとこう申しましても、一昨年の暮頃から糸へんと言つたらこれはとてもよかつたのですが、今はまあかなりひどい目に遭つておるのであります。この税法の根本的改正というものはやはりもつとならされて、大体の見通しもつき、安定の度を加えた頃にやるべきであつて、私は今の法人税法が非常に支障があるとも考えていないのであります。まあもう少し様子を見て適当な結論を出したい。これは資本の再評価の繰入れの問題なんかも讓渡所得税とか相続税とか、いろいろな問題がございまして、寄附金の問題とか厄介な問題がございまして、徐々にこういうものを変えて行つて、税制をすつきりしたものにしたいと、こういうのでございます。これにはいま一二年はかかるのじやないかという気持を持つております。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 前にも前回の法人税引上げのときに私はそういう考えを持つておつたのですが、ますます最近の日米経済協力が具体的に現われて来ればそういう必要があるのじやないかという気持でお尋ねしたわけであります。次に平田局長からは聞いておるのですが、これから税制の問題で考える問題として、勤労控除の現在の三万円を或る程度引上げて行く。これが二十五年から据置きになつておるということは、物価の趨勢から考えても不自然である。パーセンテージが十五%ということを二〇%にするとか三〇%にするとかいう問題もありますが、先ず差当つて勤労控除の額を引上げるという問題と、それから社会保險料控除の問題、それから農民所得勤労控除の問題及び事業所得に対する控除の問題、この四つの懸案事項というものを局長は言われておるのです。そこで我我としては勤労控除という名前は余り適当でない。私の私見で言えば、むしろ給與所得者の給與控除と言つたほうがいいのじやないかと思うのでありますが、その最高限度の三万円を五万円程度引上げるということ、これによる減收は六十一億ぐらいになるようですが、社会保險料控除することによ  つて七十一億ぐらい減收になる、それから農民勤労控除をやれば五、六十億の減收になるということなんですが、農民の勿論税負担は非常に重くて堪えられないという気持であることも了承できるのですが、併し農民の今納めている税というものは、全体の所得税からいうと一割ぐらいになつております。これを五、六十億減税するとすれば、半減する、今納める予定になつている額が……。こういうことで若し全体的に減税をやらなければならないならば、今後どれから手を着けるかというようなことから考えて、大臣としてはどうその点をお考えなつておりますか。
  53. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話給與控除、これは私もいい名前だと思います。給與控除三万円を五万円という案にいたしますと六十億、この問題も考えんことはございませんでしたが、先ずやはり一般大衆のほうから手を着けたい、こういうことであと廻しにいたしたわけであります。それから保險料の健康保險の分も考えないことはない、ここでも議論があつたのでありますが、まあもう暫く待とう、こういうことで待つてもらつておるわけであります。それから農民勤労控除もそうです。この問題もこれは税金だけの問題ではありません。給與控除とのかかり合いがある。それでどういう順序でするかという問題はよほどむずかしいのでございまして、まあ今申上げたような順序が常識的ではないか。給與控除の三万円を上げる。それからその次が健康保險料の控除、それから農民勤労所得控除、こういうことも考えられますが、私はそれにも増してやはり五万円の控除というものを先ず第一段に考えなければならないものだと思います。
  54. 小林政夫

    小林政夫君 今の大蔵大臣の御答弁で私も大いに満足をするわけでございまして、是非そういう順序で考えて頂きたいと思うのですが、そこで先般企業合理化促進法案が出ておるのですが、十八億六千万円ぐらいの減税になる措置をとつておる。これは考えて見ると、いわゆる殷賑産業だけが均霑できるのであつて、実際そういつた金融も恐らくそういうものであれば自力でつく産業が減税の恩典に浴しておる。ああいうことで十八億六千万円も減税を認められるならば、勿論六十一億と比べれば大分少いのですが、小出しにしても積り積れば六十一億ぐらいの税收になるので、ああいうことに賛成される先に、一つ今の給與控除引上げを大蔵大臣も、今後考えるとすれば一番に考えることが妥当であるという御意見でありますれば、一つ今後いろいろなああいつた形において減税を伴う措置が出ましても一応保留して、先ず勤労控除をやつてから後に考えるというふうにお考え願えんものか、この点どうですか。
  55. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) どれを先にするかという問題はそのときの情勢でございまして、設備の近代化法が適当であるかどうか、或いは又現行の償却制度改正で行つたつてできるでありましようが、議論のあるところであります。これはやはりそういうことを申上げると何でございまするが、政治論の問題でございまして、なかなかそこがむずかしいのであります。そこで若しこの近代化法をやるとすれば、それを極力圧縮するというのが我々の立場で、大分文句は言われましたが、まあ十八億程度で押えた状況であるのであります。この償却の問題はこれはいずれ償却するのでございます。早く償却しておけばあとから償却はしなくてもよくなつて、税收を確保できるという点がありますので、今の勤労控除とか健康保險の控除という問題はこれはもう負けつきりでありまして、それを負ければ貯蓄の増強になるという副作用が出て来ますので、そういう点がありますので、政治的に押えたと申しまするか、腹を割つて言えばそういう状態であります。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今給與控除に対して、これは前から問題で、小林君は非常に穏健で、五万円程度控除を上げる、将来考えるというときにはそれを先に大蔵大臣が考えるというので満足されたようですが、その前に大蔵大臣にお伺いいたしたいのは、今の勤労者の税金がほかと比較して不均衡になつている事実は大蔵大臣もお認めになるだろうと思うのです。私は非常に不均衡になつていると思うのですが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  57. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この問題は今木村さんのおつしやつた問題は大蔵委員会に出るたびに一つ問題になることでありまして、前の国会で申上げた通りで不均衡なからしめるように努力いたしたい。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは前から我々真剣にやはりこの問題を考えて、大蔵当局もやはり不均衡の事実を認められて努力されたようです、一応。それで社会保險料控除ということも考えられたようですが、それが今度の改正案に具体化されていない点を我々非常に不満に思つているのです。それでこれは地方税とも関連しまして、これはたびたび引用して気の毒なんですけれども、泉税制課長は、前に中央地方の税率を総合して考えると、この不均衡を是正仮にするとすれば、勤労控除を二五%乃至三〇%ぐらい上げなければこの不均衡は直らない。従つてそれだけ上げれば税收は非常に五百億も六百億も減收になるから、これはその税收のほうから見ると困難である。併しながらそれだけの大きな不均衡がある。今度の地方税改革でも附加価値税の延期になつてそうして浮いた税金を住民税の減税に当てるかというとそうじやない。法人のほうの一五%を十二%にとか、そういう勤労者のほうの減税にはそれは廻さない。で、そういうところが実に不均衡になつてしまつて、これは明白だと思うのですが、それを私は今後は程度は少くても、政府に誠意があるならば、今度の税制改革で社会保險料控除ぐらいは当然出すべきたと思つていたのです。この前はそういう答弁でしたから、成るほど政府も誠意を持つて考えているなとひそかに期待しておつたんです。で我々は不満足ではありまするけれども社会保險料控除くらい出て来れば、何も政府は嘘は言つてない。今度のこの予算の編成に当つても租税の合理的調整、負担の公平とか、そういうことを言つて、今までそういうことは言わなきやいいのに……。こんな不均衡はない、誰が見たつて、これは今度の税制改革の一つの大きな眼目だと思うんです。これをやつていないところに……、そうして無期名預金とか譲渡所得のほうを減税をして、余り不均衡過ぎると思うんです。誠意の一片だにない。口では言うんですが、実際じやない。丁度総理大臣が主観的に国会を尊重するといつて、ところが出ていない。客観的に国会を軽視している。私はどうもそういうのに似ていると思う。この税制改革においても、大蔵大臣、これを真剣に考えて下さいよ。この点は……。
  59. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 地方税の改正で、事業税の三万八千円基礎控除、或いは法人税率を十五を十二・五にした、これは御承知通りで、法人税におきまして、今までの十五では地方税のほうも上つて来るこれは私は地方税のほうを上げませんということを約束して、これを忠実に守つている。これは大分議論があつたわけです。それから健康保險料の控除につきましても考えますとは申上げたのです。考えたあげくまあ待つて頂きたい、こういうので、私の気持は今申上げたように、今度の税制改正で減税を考えるべきものは、この健康保險の分も問題だということを申上げている。それで農民勤労控除というのは、これはもう勤労階級の関係もありますので、一番しまいにしたというふうなところで一つ御了承を願いたいと思います。御意見は十分頭に入れているのでありますが、いろいろな点がございまして、今回は陽の目を見なかつたわけでございまするが、私の願うところではいつかのときにはそういう気持で検討を加えたいと思うんです。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連質問ですから、今の具体的に出て来ませんので、その主観的なあれは了承できるわけです。客観的に出て来ませんからこれは了承できません。それで関連質問ですから又あとで質問いたしまする
  61. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣にこの際お伺いしたいのですが、先般私が広島からあ  ちらのほうを廻つた際に、まあ各業界の代表の意見を聞きますというと、国税のほうは余り非難はないんですね。今回の改正についても相当国民の負担を軽くしようという大臣の御気持は現われているような気もするんです。併し地方税が非常に非難が多いんですね。地方税が高過ぎる。よつて税制改  正に当つても大臣は地方税との均衡をよくお考えなつて提案されているものかどうかということを先ず第一承わつておきたい。
  62. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 地方税の問題につきましても十分関心を持つてこ  の審議に参加いたしている状況であるのであります。何分にも国税のほうにおきましては、私はあらゆる経費を節約し、又財政の合理化を図つて当つたわけであるのでありまするが、地方財政のほうも、地方財政の特殊性から考えまして年々相当増加を来して、自然増收で賄えんというような状況に相成つて、今後日本のこの財政或いは国民負担の問題から、地方税のほうにもつと国民各自が熱意を持つて検討したければならん問題だと思うんです。
  63. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 まあ一例をこの際参考に申上げますと、固定資産税あたりの算定を地方税でする場合には相当高いい評価をする。ところが再評価問題になりますというと、これは国税徴收になりますが、そのほうは再評価額を固定資産税の評価額と大分低く算定しておる、こういつたような矛盾が現実にあるのです。こういうことの調整はは  つきりされたほうが、いわゆる地方税負担者にとつて明瞭になるのじやないかと思うのですが、まあこれは一つの例ですが、そういう点が非常に多いと思うのです。事業税対所得税とか法人税といつたような問題と関連して非常に多いと思うのです。これを何とか調整するお考えはないのですか。
  64. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御指摘の固定資産税の評価額と再評価の評価額と違う。これは目的が大分違つて来ておりますから、必ずしも一致いたしません。一致いたしませんが、余り違い過ぎるので、固定資産税のほうも税務署で調査したらどうかという議論があるのであります。一度は検討いたしてみましたが、まだ結論は出ていない。それから固定資産税につきましても、これはその税收入税率ということから押されまして、逆に評価額へ持つて行くのじやないかというような嫌な気持があります。そういうことはなくしなくちやいかんと思いますので、まだ施行いたしまして二年でございまして、今後やはり注意しなければならん問題だと思います。所得税と住民税の関係法人税関係等につきましては、これは先ほど申上げましたように或る程度是正されつつあるとは思います。事業税、住民税、固定資産税、法人の地方税という問題は、今は実は全国的に殆んど画一的になつている。そうしてその違いを補給金でやろう、こういうのが果して自治の本体であるかという問題もあるのであります。先ほど申上げましたように地方財政、地方税制というものは最も大きな問題で、もつと我々初め国民各位が重大な関心を持つていいものにしなければならぬと思つております。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕
  65. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今のお話ですが、  国税のほうは大体池田大蔵大臣の力によつてか何か知りませんが、比較的国民から見て重税というような感じがだんだん薄らいでおります。一面においてその身代りに地方税のほうへずつとかぶさつて来ているということが出ているのですが、これはやはり大臣の立場だけでなしに、国民全般の立場からいつて一つ再検討をこちらからお願いしたいということを申上げておきます。
  66. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 大臣に対する質問はまだおありと思いますが、二  十四日の日に又来て頂くことにいたします。まだ事務当局に対する御質問が残つておりますが、午後一時から関税定率法等の一部を改正する法律案について参考人からの意見を聴取いたしましてから事務当局に対する御質問をいたしたいと思います。  それでは休憩いたします。    午後零時十五分休憩    —————・—————    午後零時十五分休憩    午後一時四十七分開会
  67. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 午前に引続きまして委員会を開きます。   関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。建染染料に関する参考人として、東京大学教授の牧さん、化成品工業協会常務理事の八杉さん、日本織物染色業会会長の大西さんがお見えになつております。これよりこの御三方の御意見を聴取いたします。先ず最初に牧さんからお願いいたします。
  68. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) 建染染料の一般的の説明を申上げます。大体すでに御承知のことばかりかと思いますが、暫く御溝聽をお願いいたします。   先ず初めに、建染染料、殊にその中のスレン属の染料、それが非常に優秀であるというその優秀性について一言申上げます。染料には種類が甚だ多いのでありますが、最も主要な繊維である綿製品の染織、或いは捺染ということにづいて見ますというと、従来我が国でよく使いました塩基性染料という  のがございます。これは色が非常に鮮やかで美麗でありますが、洗濯に非常に弱い、日光にも極めて弱い。先ず夏の太陽ならば数時間で、或いは弱いものは二三時間ですでに色がさめて来る。又直接染料、ダイレクト・カラー、面接染料というのがございます。これも染め方が簡単で値段が安いために相当大量に使われますが、この直接染料というのも日光に余り強くない。殊に洗濯に弱いのであります。綿製品が洗濯に弱いということは大きな欠点であります。又硫化染料というの  がございます。硫化染料の中には、日光とか或いは洗濯にかなり強いものがあるのでありますが、遺憾ながらこれはいずれも漂白粉に非常に弱い。漂白粉につけると色がなくなつてしまうようなもの、又硫化染料というのは色合いが主として黒或いは青というようなものが主でありまして、余りきれいな華やかな色がないのであります。殊にグリーンとかブラウンというような色物にはかなり日光にも弱いものがあります。又今一つ綿製品の方面でナフトール染料というのがございます。このナフトール染料は日光に対しまして中等程度から非常に丈夫な堅牢なものまでありまして、値段も余り高くなく頗る便利な有望な染料ではありますが、遺憾ながら色の種類が片寄つておりまして、いろいろの色合せ或いは色を出すに不都合を感じます。殊に弱いグリーンとか黄色というような方面に非常に不都合を感じます。又ナフトール染料は大体摩擦に対して余り強くない、こういうようなわけでありまして、色の非常にきれいな、種類の豊富な、又日光とか洗濯に対して安心のできる、保証のできる最高の堅牢性を有するこれらのいろいろの性質を総合いたしましたものがこの建染染料でありまして、殊にこの建染染料には御承知通り従来からあります人造藍、インデイゴー系統、スレン系統がございますが、このスレン系統の建染染料が最も優秀な高級染料と言われるゆえんでございます。スレンの染色は夏の太陽に百時間、八月の真夏に百時間暴露しても殆んど色の変らんものがたくさんあるのであります。又ほかの染料では到底間に合わんような非常に薄い淡色染めと申しますと、〇・一%から〇・二%というような淡い染色で十分堅牢染めができる。〇・二%と申しますと、国警の、或いは予備隊と申しますか、予備隊の綿服でカーキ色があります。あのカーキ色がスレンの〇・二%染めに相当する。大体我々の常識といたしまして綿一ヤール、一ヤールの綿というのは、極く大ざつぱに百グラムでございます。〇・二%というと、綿一ヤールに対して染料〇・二グラム、綿一ヤールに対して〇・二グラムの染料が〇・二%染めというので、これは余談でございますが、更に仮にキロ七千円のスレンを〇・二%に使います場合には一ヤールについて一円四十銭ということになるわけであります、これは余談であります。ただスレンの欠点は製造が非常にむずかしい、最高の技術が要る。従つて世界的にこれはどこでも、世界中ドイツでもアメリカでも値段が一番高いわけであります。合成染料の中で一番値段が高いこれがスレンの大きな欠点であります。  その次の世界の情勢をちよつと申上げます。世界では文化の進みました先進の工業国におきましても、又製品を輸入しておりまする後進国におきましても、この今申しました美麗にして堅牢な、美しくて丈夫なスレンを主とする、建染染料を主とするところの堅牢染めを尊ぶ傾向が著しくなりました。従来日本から輸出しておりましたような、見た目には非常に華やかだが、非常に弱い繊維製品ではやつて行けなくなつて参つたのであります。最近の雑誌を見ますというと、米国におきましては、今や建染染料の黄金時代、ゴールド・エイジであるということが書かれております。アメリカは終戰後世界第一の染料生産国になりまして、元のドイツを凌駕して一九五〇年におきましては実に九万一千七百五十トンの合成染料を生産いたしております。その中で驚くべきことにはスレン系統の建染染料が二一%の一万九千二百九十トン、これがアメリカのスレンでございます。日本の全合成染料を合わしたものよりもこれは一倍半くらいもつと多い。そのほかになお建染染料の他の分野としてインデイゴー系統が一万四千二百十トン、即ち一五・五%でございますので、両方合せますというと三六・五%に建染染料がなる、これが米国の状況でございます。而もこれが全部使用されておる。これらの情勢に対しまして、我が国のスレン工業はどうであるか、これは今まで生産に現われました面においては微々として甚だ振わないのであります。昨二十六年度におきましても、いわゆる製造能力と称しておりますものは年間八十五トン、約八十五トンの生産能力があるにかかわらず、実際に生産をいたしましたのはその約三分の一に過ぎない。アメリカの一万九千トンに対しまして殆んどこれは太陽の前の星とでも言うほど甚だしいのであります。その理由を考えて見ますというと、そこにはいろいろのフアクターが考えられるのでございますが、その主なる原因の一つは、今まで我が国におきまして染色方面、即ちコンシユーマーにおいて、これは輸入のスレンでも日本のスレンでも、両方合せておよそこのスレンというものに対する、建染染料というものに対する使用量が非常に少なかつたのであります。どうしてこの高級の建染染料が我が国でさように少く使われておつたか、これは我が日本が繊維製品をできるだけ安く輸出しよう、つまり値段を非常に重視いたしまして、成るべく安い繊維製品を出そうという態度にありまして、従つて染色加工賃を安く値切るために、染色業者は限られた非常に低い加工賃の範囲で少くとも採算をよくしようといたしますというと、僅かなことなんでありますけれども、結局安い染料を使う。スレンがよいことはわかつてつても、それよりは少しでも安い直接染料或いは塩基性のものを使いまして、見たところは非常にきれいに見えます、ちよつとわかりません。そういうものを盛んに海外に出しておつたわけであります。併しこれは使つて見るというとすぐはげる、或いははげるばかりでなく、白地を汚してしまう。最近こういうような日本の製品の欠点が競合国であるところの英国、その他から手嚴しく指摘されまして、到底このままではやつて行けなくなつておる。それで本年から我が国におきましても、染色、堅牢度の検査制が実施されまして、弱いものは不合格になるというように聞いておりますが、これは甚だ遅れたりとはいえ誠に結構であります。我が国の染色加工の水準を高めるために是非やつて頂きたいと我々が双手を挙げて賛成するところであります。これは延いては高級スレン建染染料の奨励となりまして、我が国の染料メーカーもそれに呼応して必ず品質においても種類においても、又数量におきましても、今まで以上の進歩を見せるものと期待しているのであります。  次にスレン建染染料の工業の重要性ということについてちよつと申上げます。世界を見渡しますというと、戰争前には染料などは生産しておりませんが、割合に技術的に後進国と思われるような諸国が最近はぼつぼつと染料の製造を始めまして、技術的に比較的やさしい簡單ないわゆる中級、低級というような染料は漸次自分の国で作るようになつて参りました。我が国のごときは戰争前には量的には少くとも世界の第三番目くらいまで上つたこともあるのでありまして、戰争後も質において、そのクオリテイにおいてはできれば東洋のスイスたらんと目指しまして、世界一流の染料国の水準に達しようと、ひそかに自負しているこの日本としては、自国で必要なスレンは是非とも国産するように努力しなければならんと思いますし、又一般にこれを援助してやるべきものと考えます。スレンの殊に建染染料の工業はあらゆる合成染料の中の最高技術でございまして、これを作りますというと、この間にいろいろの中間品ができます。例えばかの醋酸人絹、アセテート、この頃大分問題になつております。又合成繊維のビニロンというようなこれらのアセナート、或いは合成繊維を染める優良なセリトン染料というのがございます。又羊毛を染める最高級の酸性染料、こういうふうなものがスレンの中間物を以て有利に製造できる。従つてスレンの技術が発達いたしますというと、それは一般の他の合成染料の発達の上に大きないい影響をもたらすのでございます。又原料的に申しましても、現在我が国においてはコークス・ガスの副産物であるところのタール工業がかなり発達しておりますが、そのタール工業でアンスラセンと称するものが殆んど遊休している。この大量に遊んでいるところのアンスラセンはスレンの原料として真に活用できるという点がございます。又各種の無機薬品工業、酸とか、アルカリというような無機工業におきましても、スレン工業が発達すればいい影響が及ぶのであります。  更に染料を使いますところの染色業者、即ちコンシユーマーといたしましても、スレンが国産されれば、国産である限り外国スレンの不当な値上を押えることができます。又発注したり、或いは支払いをいたしますときに、発注支払に便利なスレンの国産があるときと、全然ないときとは比較にならんほど有利であるということも明らかでございます。更に我が日本のスレン工業の能力について一瞥して見たいと思いますが、これは我田引水ではございませんが、由来日本人は染料とか医薬品とかいうような非常に手のこんだこまごまとした複雑な階程の製造工業に比較的優れた技能を持つているのでございます。一般の染料等も各国より著しく遅れてスタートいたしました割合には、日本のスレンは、日本の染料は割合に早く発達しております。殊に日本の建染染料の工業は、これは昭和なつてから初めてその研究なり工業が始まりましたのでございますが、その割合には基礎相当しつかりできつつあるのでございます。戦争の初期頃三十五品目くらい製造可能のものがございましたが、敗戦によつて非常に遅れたことは遺憾であります。従来我が国のスレン系建染染料が、染料自体の製品はいいが、製品の仕上げ、即ち製品を非常に細かいフアイン・パウダー、微粉にまで仕上げる製品の仕上が拙いということが定評になつております。併しながら最近PBレポートと申しまして、これは英米連合軍の調査によりますところの、ドイツ染料の今まで非常に秘密にしておつた詳細な製造技術報告であります。ドイツ染料の門外不出の秘密の染料製造方法が連合軍の調査によりまして明るみに出されまして、それが我が国にも入つて参りまして、それによつていろいろ教えられるところがあり、スレン建染染料の工業の上にも非常に役立ちつつあると思うのでありますが、同時にこれを見るというと、日本の従来のスレンに関する研究なり技術なりも世界に対して恥しくない、相当なものであつたという点で意を強うするところもあるのであります。で従来染色界に非常に要望されましたフアイン・パウダーというようなものも今後格段によくなることと思います。本年度には約四十二品種、二百二十トンの製造能力があるというふうに言われておりますが、仮に四十二品種、二百二十トンの能力ができれば、大体これでも現在染色方面で必要な建染染料の大部分が間に合うのではないかと思います。併しこのほかにコンシユーマー側のほうで一カ年百キロ、或いは二百キロちいうような極く少しずつ希望される品種がある。そうしてそれがまだ日本で全然工業化しておらないものが数種類あると思います。これらの少量で全然今までに日本で工業化しておらないというふうなものも研究的には殆んど全部解決されております。殊に先ほど申上げましたドイツのPBレポートによつて今までの秘密も全部明るみに出されまして、日本でもこれは製造可能でございます。併しながら工場の規模としては、百キロのものを一々作るというわけに参りません。それはもう少し少くとも月五百キロくらいの単位でまとめて製造してストックして置いて、小口の需要に応ずるということになるかと思います。これはメーカーとしては面白くないことかも知れませんが、併し小口の製造もメーカー側としては技術の進歩のため、又大切なコンシユーマーに対するところのサービスとして是非これはなすべきものであるというふうにお奨め申上げます。一体この染料などというものは、コンシユーマーに買つてもらえるようなものを作るということが何よりも大切でありまして、幾ら作つても買つてもらえなければ現在のような状態になるよりほか仕方がないと思います。併しながら何分にも敗戦後の再出発でありまして、原料、資材、動力に至るまで外国に比べて極めて不利な條件で、而もこの複雑で広範囲な建染染料を製造し、且つそれを適正な価格で売り出して行くことは、すでに大体基礎の固まりました他の一般染料以上の経済的困難があることは明らかであります。国としてこの高級建染染料に対して何らかの形式において経済的保護育成のゼスチユアをとられるということは、これは当然な立派な行為であります。世界に対しましても我が日本の染料工業技術の水準の高いことを誇ることにもなり、又為政者の見識の卓越せることを示す立派な国家的な方針であると考えるのであります。一応この辺で説明を打切りまして、若し何か御質問がございましたら……。
  69. 小林政夫

    小林政夫君 スレン染料は世界的に今何品種あるのですか。
  70. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) 戦争前は市場に動いておりましたものが約百五十種類あります。極く最近の報告によりますというと、ドイツで再出発して只今約六十種類ぐらいを作つておるようであります。一応の各方面の建染染色等に六十乃至七十ぐらいあれば十分間に合うのでございますが、組合せによつては必らずしもそれほども要らんという人もございます。大体四十種類ぐらいあればあとは配合して行けるというような説もあります。大体数十種類というところでございます。
  71. 小林政夫

    小林政夫君 現在日本ではこのうち何種類できますか。
  72. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) これはむしろ化学品工業のかたがよく知つておられるので、私は聞きかじりでございますが、大体二十種類ぐらい。
  73. 小林政夫

    小林政夫君 それは一品種ごとに生産設備は変えて行かなければならないのですか。
  74. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) そうではございません。大体中の色は違つても、同じ設備を廻しまして、一カ月運転すればあとは洗つて、大体似たようなものを仕込んで行くというのがたくさんございます。
  75. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、この世界的な百五十品種くらい作るのには、現在の日本のメーカーの設備ではかなりまだ不足するだろうと思うのですが……
  76. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) 百五十種くらいというのは、それだけ作る必要があるというのではなくて、戦争前にそれだけ市場に出ておつたというのであります。近い将来の目標として六、七十種類ということでございます。それは現在の設備ではとても行けませんから、もつと拡充しなければ、現在の設備ではさつき申しましたように、本年度、二十七年度末においては約四十種類ぐらいはできるということでございます。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕
  77. 小林政夫

    小林政夫君 それで拡充するというのは、一つのかまでそういうふうに入れ替えれば何品種かできるわけですか。
  78. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) そうです。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、一つのかま、それから一つの設備を作るのにどのくらいの経費がかかりますか。
  80. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) それは私どもにはわかりません。実際のメーカーでないと。
  81. 小林政夫

    小林政夫君 それではこの違う品種のスレンの染料を税関吏が見て、これは一体どういう品種のスレンだ、スレンが六、七十種あるとすれば簡単に識別ができますか。
  82. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) それは非常にむずかしいと思います。専門家が見てもなかなか簡単には行きません。染めて見てよく鑑定すればわかりますが。
  83. 小林政夫

    小林政夫君 そういう何か簡単な見分ける設備というか、ものを作ればすぐ見分けられますか。やはり一応メーカー、染色業者のほうへ持つてつて染めなければ、その見分けをつける方法はないのか、或いは税関内で簡単な手数で……
  84. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) 染料の鑑定というのは、専門の技術と鑑識眼が要りますから税関ではわからない。どうしても一遍どこかへ持つて帰らなければ。
  85. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今のお話でよくわかりましたが、何か学校のほうでこういうことは研究されておられて、相当政府の補助等も出ているのですか。
  86. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) それは絶えずやつておりますのですけれども政府の補助と申しましても、我々の所では、大学のほうでやつておりますのは割合に基礎的の研究でございます。大体文部省関係の科学研究費というようなのが奨励的に出ております。
  87. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それはどのくらい出ておりますか。
  88. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) それは私ども関係で年に五万円ぐらい。
  89. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 では、学校で研究なさつて日本の将来の経済界のために盡すなんというのには殆んどゼロに等しいと見ても差支えないですね。
  90. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) 併しそれでも小さくやればできないことはありません。学理の研究ですから、製造と違つて大きくやるのではありませんから。
  91. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に八杉二郎さんにお願いいたします。
  92. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) 御指名がありましたので、先刻御承知のことでありますが、関税の問題についてちよつと御説明申上げます。  スレン染料につきましては、只今牧先生からお話のありましたような非常な重要な染料であり、且つ非常に高度の技術を要する。なお設備としても相当の経費が要る、こういうふうなものでございますので、どんな困難を忍んでも我が国でこれを確立するということが目下の急務ではないかと実は考えております。而もこの原料は只今お話のありましたように全部国産であります。数十種の原料を全部国産で自給できるというのでありますので、綿花とか生ゴムとかいうようなものとは違つた関税に関しては御配慮を一つお願いしたいと、かように考えております。先ほど補足的に簡単にというお話もありましたので、極く要点だけ簡單に御説明いたします。  我々から希望いたしますれば、今後作つて参りたいといういろいろスレン染料その他の高級染料につきましては、現在の非常に困難な中にこの製造工業者が無理に消費者の要望に応えるためにいろいろな犠牲を払つて製造に努力いたしつつありますので、この関税問題につきましては、むしろすでに日本で確立しておる直接染料でありますとか、硫化染料でありますとかいうものより以上に、一つ奨励の意味で高率な関税一つ御配慮願いたい、かように考えております。このスレン染料は昨年関税の御審議になりました当時に丁度十七品種で三井化学一社で製造能力が約七十トンであります。現在では更に三品種を加えまして八十五トン製造するという能力を持つている。昨年度中に約一億の金をお借りして、これは三井、日新で始めておるというような状態であります。なお二十七年度には四十二品目になるまで、只今計画いたしておりますようなわけでありまして、どうか一つこの製造につきましても特に御配慮をお願いいたしたい、こう考えておるわけです。で、我々から申しますると、国内でできておらない染料の輸入品の価格と申しますと、これは戰前もありましたですが、第一次欧州大戦の当時から、染料が日本にできておらないというようなことで非常に暴騰いたしまして、消費者のほうが割高になりお困りになつておるというようなこともありましたし、近くはスレン染料が日本で初めて国内でできるまでは相当な高いものでありましたのが、これを下げて行こうといたしましても、この日本で染料ができておりませんので、やはり向うの独占価格を以て日本にそれが押しつけられるというような結果になりますので、国内で染料ができなかつた場合には、消費者のかたがたにおきましても、決して安い染料が、又時期的に適当に入るというようなことは過去の事例でも明らかにそういうふうになつておりません。同一染料の販売値段を調査いたしますと、上海に持つて行きます値段と、日本の神戸に上がる値段、又インドへ持つて行く値段とがおのおの違つておつた。日本は占領国であるために非常に安くなつておつたというような関係もありますから、我々製造業者がこれを製造いたしまするのは、これは時間的にも多少ずれもあることと思います。なお製造する場合に、すぐに作つていいものであるか、早速作るということもなかなか困難でありましようが、又値段のコストにつきましても、さような状況にありますから、これは値段につきましても、海外品が安ければ国内品もそこまで追つつかなければ売れないのですから、値段というものはコストの値段の如何にかかわらず、輸入価格と同じように質を考慮した値段を立てられるわけでして、これを国内で作るということになれば非常に値段も安くなる。昨年あたり特需の関係で、スレンの国防色の染料が非常に必要であつたのでありますが、これあたりは輸入を申請いたしましても、又向うへ注文いたしましても、イギリスでは輸出の禁止をやつておるとか、いろいろ結局昨年の暮から懇談した結果、これが日本で製造ができまして、今日漸くこの規格のはつきりしたスレン染料というようなものに  なりまして、現在その輸入をとめておるという状態……現に二十五年頃には第二回のスレン国防色の特需の注文があつたのでありますが、これなどはすでに現実に消費者のかたがたに、三井と日新等にみな連絡をとつてお話中なのでして、これあたりの注文にいたしましても、若しも現在国内でできておるものでありませんと、この注文は入札のしようがないというような状況にありますので、どうか一つこれは、この高級染料を日本で作るということについて一つ特段の御配慮を願いたいと思います。で、税率にいたしましても、昨年の初めには、我々は一般染料は二五でも結構でありますが、そういう事情がありますので、建染染料については三〇%にお願いしたい、いろいろお願いしたのですが、結局結論として染料は全部二五%にしたらどうか、向う一カ年間に限つてスレン染料も二〇%という決定を願つて、本年の満期期日を以て二五にあと返えりをするのではないかと、かように考えておりましたところ、只今お話がありましたように、高級輸出品の加工というようなことにからんでいろいろのお話があるように仄聞しておりますが、どうか一つ国内で高級染料のできますように、御援助方をお願いいたします。
  93. 小林政夫

    小林政夫君 国内産が十七品種、昨年ですね。そうして本年度は何品種ですか。
  94. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) 本年度は大体現在二十品種……。
  95. 小林政夫

    小林政夫君 二十品種作つておられるわけですね。
  96. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) ええ。
  97. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、大体世界的に、終戦後の現況においては六十品種要るという状態である。大体今の織物の染色の状態から言うと、国際的に使われておる品種なんかも償うようになれば、差当り日本にどれだけの需要があるかどうかは別として、そうすると、その線まで行くのにはメーカーとしてはどの程度の設備をしなければならないのか。二十品種を作るということですが、これは工業的にお作りになつておるわけですか、実験室で作つておいて需要に応じられる範囲内においてお作りになつておるのか、今僅かな量しか注文がないから、作れば作れるが、算盤が合わないから作れないというようなことなのか、どうですか。
  98. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) 二十品種は工業的に現在作ることのできる態勢が整つておるのですが、在庫の関係とか、その他の関係もあつて、現実に作つておるというのはこれは別として、これは御注文があればいつでも相当量作れるということです。それからこの二十品種と申しますと、やはり需要の大きなものから製造を始めるものですから、現在六十品種ぐらい当面要るのではないかと思うのですが、この二十品種で六〇%まで数量的には無論間に合う、本年の末までに四十二品種に持つて行けば数量的には九〇%まで間に合うのではないかと、こういう計画をして需要の立場からやつて行く。なお、この三井、日新の研究室で作つておるという品種は、これは恐らく七、八十品種ぐらいできておるのでありますが、これはいろいろな関係もありますので、まだ各社発表しておらないものですから、御了承を願います。
  99. 小林政夫

    小林政夫君 本年度末までに四十二品種工業的に生産ができるわけですか。
  100. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) そういう計画でやつております。
  101. 小林政夫

    小林政夫君 その計画ですが、それのいろいろな資金的な裏付ということの見通しがついておりますか。
  102. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) それはいろいろ各方面に、この計画の遂行ができるように只今話を進めつつあります。
  103. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今のお話のうちで、大体原料は国内産であるということであり、製造には相当努力されておるようにも伺つているのですが、なぜ外国品と競争ができないのか、その根本原因ですね、なぜ関税を高くしなければ競争できないかということを御説明願いたいと思います。
  104. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) 国際的に競争と申しましても、これはやはり需要が多くなつて、量産すればコストは大分下つて来るのではないかと思いますが、この染料工業につきましては、一般管理費その他はすべて割掛をやりまして、機械工業のような原価計算の持ち方は非常に困難なことでして、染料は原価にマージンを加算して販売価格とする方法でなく、輸入品の市価に追従する価格で販売するのが従来の商習慣であります。ですから、需要が安定すれば部門費の割掛も確定して行くのであります。そういうやり方を従来やつておりましたので、コストの持ち方は機械工業や紡績工業とはちよつと違いますので、必ずしも今日の染料原価が妥当だということは言えません。非常に総合的な経営ということはむずかしい問題であると思います。なお全体的には原料費が日本は高いのですから、製品が自然に高くなるのであります。石炭価格も未だ自然でなく安定しない。日本全体の経済が合理的に安定しておらんというような気がいたします。これを国際市場の原料価格に当てはめれば、輸入品より国内生産のほうが安くなるようにいたしたいと思います。
  105. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつとよくわかりかねたのですが、国際商品として競争上何かこう関税障壁で以てこつちが安くしなければ勝てないような状態にあるということはちよつと私は不思議なんですが、輸入品のほうが名がよく通つていて、国内品よりも同じ価格程度ならば海外品を使うという今の業者の心理なんですか。
  106. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) その点について技術的な点を御説明いたします。これは理由の全部ではないかも知れませんけれども、ある物を作るのに、染料でもやはり長年やつておると上手になるのです。歩留りにしても初めやつたときは五〇%しかできないが、何年も何回もやつておると、あちらからもこちらからもわけのわからんところからよくなつて、知らず識らずに六〇になり七〇になる。ドイツのように多年の製品を前からやつておるところでは一言にして言えば作り方が上手なんです。能率よく高い歩留りでやつておる。後から始めたところは実験室では相当つていても、それを大きくやりますとなかなか思うように行かない。これは一般の製品に共通したことで、ただに染料とばかり限らないのですが、そういうわけで始めたばかりの人はやり方が下手だ。だからコストは高くつく。だんだん馴れるに従つて一年、二年とやればよくなるというのが一般的の傾向だと思います。そういう点で始めたときはコストが高くなる。長年の経験を持つた外国の輸入染料とはちよつと初めの中は太刀打ちできないということが一つの原因だと思います。そのほかにあるかも知れませんが……。
  107. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつとお伺いしますが、この原料は大部分石炭のようでございますね。それで例えばドイツにおける石炭の価格を三百六十円レートで日本の円に直して、それから日本の石炭価格とを比べますと、ドイツがべらぼうに高いのじやないですか。そういう点が一つの国際競争上問題になる点じやないですか。
  108. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) 原料費のことは私よく知りませんが、一体日本のタール製品は高いと思いますね。だから日本の石炭は決して安くない、むしろ高いのじやないかというふうに聞いておりますが、不当に高いように聞いておりますが、日本の石炭が高いということは染料原料のタール製品が高いということ、結局煎じ詰めて行くと炭価の問題になるように聞いておりますが、そういう方面の情勢の変化ということも確かに大きな原因だと思います。
  109. 波多野鼎

    波多野鼎君 それからもう一つお伺いしたいのですが、勿論注文がなければ生産はできない。大量の注文が出て来れば生産できるし、それからコストも安くなるということは当然でありますが、昨年来輸入染料のストックがずいぶん溜つておるということを聞いておりますが、これはどんな事情なんですか。
  110. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) 輸入染料は昨年の状況から見まして、非常に多量に輸入はありましたが、実際の消費は非常に僅かであつたのです。それで現在輸入商社が非常に不況に立至つて、いわゆる丸永、丸紅、その他にしても救済資金なんかの問題も起きておるというような状態で、三分の一くらいが使われて三分の二がまだ商社の方に手持になつておるように聞いております。
  111. 波多野鼎

    波多野鼎君 それからこういう点を聞くのですがね。スレン染料を使つて染色をやれる工場というのは日本には数が少いのだ。相当スレン染料を使つて染色或いは捺染をやるのには設備が要るのに、設備を持つている工場が少いという話を聞きますが、これは技術的にはどうなんですか。
  112. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) 五つか六つしかないように聞いております。スレン染料を使いこなせる工場は六つとか七つとか極く非常に少い。
  113. 波多野鼎

    波多野鼎君 何万という染色工場があるのでしよう。
  114. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) 染料が高いから今までそれを使おうという気はなかつたのです。こういうことは私の專門外で余り言いたくないのですけれども、特にこういう委員会で御考慮を煩らわしたいことは、今まで日本の染屋さんの染賃が余り気の毒なほど安いのです。それでさつきも話のときに出て参りましたが、染賃が安いもんだからどうしてもいい染料を、僅かなんですけれどもいい染料を使わない。だから、そういう僅かばかりのいい染料を使つたためによる値上りは一ヤール一円か二円がせいぜいなんです。そういう点は何とかして染賃のほうで解決をつけるような方向に持つて行かれたら染屋さんのほうも楽に行くのじやないか。さつきの綿製品一ヤール約百グラムとして、それに大体キロ七千円ぐらいの染料を仮にうんと大負けに負けて平均して一%使う。一ヤール百グラムに対して一グラムの染料を使つたら七円です。一グラム七円です。仮にその七円の染料に三割の税がかかつたとしますと二円十銭です。その三割の税がかかつたと仮定して、七千円というような染料を全部そのヤールに使つたとしても、それによる値上りは染料スライドの値上りは二円十銭だけれども、全部使うということは殆んどない。極くぽつぽつやつたり、或いは混ぜたりしますから、殊に輸入染料になりますと、日本でできないような特殊の輸入染料というものはさつき申しましたように、数が少いから、何とかスペシヤル・デザインの染料に使うというわけで、今の一円、二円の値上りもどうかと思うのですが、極く大負けに負けてヤール当り二円になる。それくらいの程度なんですから何とか染賃のほうをもう少し処理すれば行くんでないかと思うのです。併しこれは私ども専門でないので、そういうことは余り言いたくないのです。
  115. 波多野鼎

    波多野鼎君 もう一つ技術的な点をお伺いしたいのですが、スレン染料を使うためには相当の技術なり、設備が要るものなんですか、非常にむずかしいものなんでございますか。これを使うということは……。
  116. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) それは染色業者のほうがよく知つておると思いますがね。
  117. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点八杉さんに伺いたいのですが、さつきお話の中で犠牲まで払つて製造に努力中だという話なんですが、よほど国内産は損して製造されておるのですか。
  118. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) これは損というわけじやない。三井さんあたりはずつと戦前からの設備をお持ちになつておるのですが、非常に製造に波が打ちますので、ですから恐らく三井さんのほうませいぜい現在のものでもすれすれぐらいのところになつておるのじやないかと思つております。染料製造業者の三井さんの三井化学の業態を御覧頂いても、これが他の産業から見て非常にいいというような状況には我々は見受けられません。なおスレン染料については特にそういうような他の事業あたりから見ると非常に悪くなつておるように聞いております。
  119. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど本年末までに四十二品種を作るということでしたが、一応市販し得る、コンシユーマーの要求に応じて販売し得る状態になるのはいつ頃かということですね。それから実際に四十二品種作るのには今の牧さんのお話だと相当生産施設費がかかるわけですが、一体この四十二品種作るのにどれだけの資金が要つて、その手当は自己資本で幾ら、或いは借入れで幾らというふうな具体的な計画がおありですか。
  120. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) お答えしますが、この計画は昨年度すでに作りまして、各方面へお願いした結果、昨年度一億をお借りすることができたという……、丁度その数字を只今手許に持つておりませんけれども、具体的な自己資本金、借入金の計画をつけて昨年からずつと参つておる実情なんです。
  121. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、昨年度開発銀行から一億円ですか出て、昨年度中に出た資金手当でこの四十二品種はできるということでもないのですか……。実際計画は計画として持つておられるだろうけれども、実現性がどの程度かということを知りたいので聞いておるのですが、確実にこれはできるものであるかどうか。大体今定率法だつて一年区切りで行つておるわけですからね。臨時的措置は一年で、実際に二十七年度間にあなたの言われる四十二品種が本当に市場に出廻るものであるかどうか。年度末に出るのならば二十八年度について考えたらいい。
  122. 波多野鼎

    波多野鼎君 それはストックがあるのです。三分の二もストックがあつちや使い切れないから作らないのだろう。そういうこともありますよ。
  123. 小林政夫

    小林政夫君 いつ頃出るのですか。
  124. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) これは年度末までには逐次品種が増加して、最後に四十二品種になるという……私らはこれは恐らくその期間にだんだんに殖えて行く、こういうふうに考えております。
  125. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) わざわざお忙しいところ御苦労様でございました。次に大西会長にお願いいたします。
  126. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 私は日本織物染色業会会長大西太郎兵衞でございます。  私ども染色業界は、今綿布の輸出が我が国の輸出の王座を占めておりますことは御承知通りでございまするが、その輸出綿布の二十五年度におきましては十億ヤール、そのうち加工いたしましたものが七億でございます。二十六年度の上半期のはすでに六億ヤール出ておりますが、加工いたしましたものが四億五千ヤールでありまして、全部で綿布の輸出量の約七〇%が加工をされて海外に輸出をいたしまして、ドル若しくはポンドを獲得いたしておるのでございます。勿論紡績会社から織れましたところのなま生地は海外に出ましても、これは民度の低い東南アジア、或いは又主としてイギリスに輸出いたされまして、イギリスのマンチエスターにおきまして、我が国の染色業者が加工いたしておりますと同じような加工をいたしまして、これがやはり東南アジア方面に再輸出をされる。そこで日本の加工いたした綿布とイギリスのマンチエスターのものとが一銭二銭を争つて鎬を削つて市場の争奪をいたしておる状況であるのでございます。政府の御指導により、又業者みずからの多大の努力によりまして、世界市場はますます我が国の綿布並びに人絹の繊維市場が拡大いたしまして、英国におきましては近く日英会談も開かなければならんというような状態になつておるのでございます。ところで今まで出しておりました染色はそのうちの約六〇%は普通の染めでございまして、日本でできます染料、いわゆる直接とか、塩基性とかと言いまするところの洗つてもまあ一口に申しますれば剥げる、完全なものではないものがその染色輸出のうちで六〇%を占めております。それと準堅牢度と言うて完全ではないがやや堅牢というものが二六%であります。それから堅牢度と言いまして洗濯いたしましても、或いは日光、摩擦等にも耐えますいわゆる堅牢度なるものが一三%半の数字を占めておるのでございます。最近日本の製品が海外で安かろう悪かろうというような悪評を受けまして、いろいろクレイムができてキヤンセルされる、或いは意匠の問題等におきましてもイギリス政府からも手嚴しい問題が出て参つたのでございますが、最近の海外からの帰朝者の報告によりまして、或いは商社の市場開拓の人が帰つて参りまして、日本の従来の直接染料とか、塩基性染料というもので染めて海外へ出すものでは、これは海外へ到底これから出なくなつてしまう。イギリスのものと対抗するのには少くとも堅牢度若しくは準堅牢度のものにこれを一大転換してやるにあらざれば、日本の市場というものは今にして失つてしまうというようなきつい御要求が政府に出されまして、政府御当局もこれを是と見られまして、本年の一月三十一日付に通産省繊維局長から私会長宛に輸出綿織物染色堅牢度向上についてという通達がございまして、そのうちから主な項が八項目ありまするが、第一に取上げまする分といたしまして、輸出品の取締法第四條の指定品目に綿織物を指定して、昭和二十七年六月一日以後はC級品の輸出を禁止する、こういうことを明示されたのであります。C級品というものは如何なるものであるかと言えば、これは只今申上げました普通染めの中でJISの規格検査に合わないものを指すのでありまして、これは六月一日から禁止する、又第五項には日光試験について学術上並びに技術上未解決の問題が残されておるときに、現行の等級標準には未だに規定されていないが、昭和二十七年度中にこれを追加規定するように努める、こういうことを通告されておりまするが、この日光の問題もこのJISの試験にこれが適用されるということに相成りまするならば、これは只今申しました準堅牢度、或いは堅牢度のものに持つて行かなければならんということに相成つて行くのでございます。  最後の八項目には国産恒久染料の増加、並びに品質向上に努めると共に、差当り輸入方式の改善、関税率等の調整等によつて必要量の確保及び内地価格の低下を図ると、こういう通牒が閣議でこれは通過いたしまして、繊維局長から私ども業会にこれは局長通牒とでも申しますか、こういうものが参つたのであります。これがために今後はますます堅牢度なものを以て染色をし、海外の市場を開拓し、そして我が国の輸出産業というものを高揚さして行かなければならんのでございまするが、これは国内産業の奨励のために日本でできますところの塩基性とか直接とか、酸性とかいうような染料に二五%の関税がかけられておりまするが、これらにつきましても非常に高率である。贅沢品の奢侈品が四〇%にもかかわらず日本生産資材であるところのこういう染料が二五%の関税は甚だ遺憾であるのでありまするが、一方国内産業の保護という政策見地から私どもはこれを黙認しておる。併しながら日本でできない、或いはできても少量であつて我々消費者の希望に応えないものに対してはこれを免税してもらいたい、そうしてイギリスのマンチエスター品と市場において競争がしたいというのが我々の懇望でありまして、政府御当局にも国会御当局にもお願い申上げておるのでございます。染料の内容等につきましては、ここにいらつしやいます八杉さんから縷々御説明がありましたのでありまするが、然らば私どもの見た目から見まして、染料が一体どれだけできておるのかというようなことは、勿論このデータは八杉さんのほうの協会からのデータを頂きまして、私どもはこの陳情書にすべてこれを載せて公正なる御判断を願うためにすべての資料を提供いたしておりまするが、アメリカの全染料が六万二千七百二十八トン、そのうちいわゆる問題になります高級染料の面は一万四千九トン、約一四%できておるようであります。然るに我が国におきましては誠に悲しむべき現象でありまして、全染料が一万五千六百十七トン、これはあらゆる染料、各種の染料でありますが、そのうちの問題になります染料が三十トン弱、これをパーセンテージにいたしまするならば〇・二%でありまして、私どもが要求いたしておりまする年間百八十トン以上に対しまして三十トンよりできていない。而もそれは或る特定のブルーのRSとかと、BOとか、私のほうでも需要量のそう必要でないものが非常によくできる、その他格付けしましたところの色の二種ほどが非常によくできておりまして、あとの要求しておるものは殆んどできていないというような状態はこれはデータにはつきりと現われておるわけであります。然うして然らばこの二〇%の関税が染色業界に與える状況ということになりますならば、これはこの陳情書にも添付いたしてありますところの表に従いまして御照覧を願いますれば、先ず生地のパーセンテージから染色の方法を講じまして無地染或いは捺染等におきまして、薄い色から濃い色にいたしまして、一セントから約三セントも価格が高くなつている。関税を撤廃さして頂けばそれだけ安くなりまして、海外へそれだけ安く国際市場にマッチしたものを提供することができる。従つて英国品との競争もできるのみならず、これが高くては売れないのであります。幾ら買わんか、買わんかと言つてつても、お客が付かなければ取引きができないのであります。綿布の商買というものは  一銭二銭、昔なら一厘二厘を争うものでありまして、今日の半セント、一セントの開きというものは、こういう綿布価格の取引のほうから申しまして、非常なこれは取引のできるかできんかの境目であるのでございます。  以上申上げましたごとくに、私どもは染料工業が一日も早く健全にできて、そうして私どもの要求するところの工業染料ができまして、メーカーのかたがたと私どもが相共に協力して、そうして我が国の産業に貢献をいたしたいのでありますが、まだメーカーさんはいろいろと御説明がありまするが、できるとおつしやるが、現実がそれに伴つていない。過般衆議院の公聴会でもいろいろとメーカーさんの御説  明を聞きましたが、できるとおつしやる、何々はできるとおつしやる、私どもは半年、一年先にできるものを要求しておるのでありません。私どもの要  求は、今海外からオフアーが来た。これからなんぼ染という注文で直ちにこれを染めなければならんというときに、どれだけの染料が要る。工場で手持の染料があればよいが、なければ染屋に  注文する、染屋になければメーカーに注文する。ただそれが工場の捺染機の機械にかかつて染色ができるということが目的でありまして、三年も四年も先に、或いは半期先に、向うにはできますというようなことを聞かされておつて、これは日本ではできませんということでは、私どもは何としても承服ができないのであります。取引は生き物でありまして、今要るというものは今もらわなければそれは取引でない。そうして支払う。それとできない染料  と、できても間に合わない少数の染料、私どもの必要に間に合わないというものだけを私どもは免税をして頂きたいということを御要求申上げておるのでありまして、経団連の連合会の関税対策委員会が政府に意見を申告されましたことを拔萃いたしましても、我が国にできないものについては、これは免税をすべきだというような御意見が政府当局に陳情されておるようであります。私どもの主張は飽くまでも日本にできないもの、そうしてできても少量で間に合わないものをこの場合国家的な大きな見地から、我が国の輸出産業の上から、これを一つどもが生きた商売ができるようにして頂きたいというのが、この関税の撤廃をお願い申上げているところの理由でございます。なおその上はお尋ねがございましたら、又お答え申上げます。陳情の趣意だけを述べました次第でございます。
  127. 波多野鼎

    波多野鼎君 大西さんにちよつとお伺いしますが、今の染色工場が全国で大体幾つくらいあつて、その中で設備も技術も持つている建染染料を使いこなす工場はどのくらいありますか。
  128. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 私どもの単独加入をしております会員が約百二十です。建染染料を使えて間に合すという工場は約半数でしよう。現在今使つている工場は先ず二十五社動いております。今ちよつと伺いますと、四社か五社のようにお話がございましたが、二十五社でも建染を使つております。但しそれは部分的で、無地染のものは全部無地染でありまして、柄物の工場はナフトールその他の染料を使うので、これは総合的にいろいろ技術的にやらなければならん。染色というものは一概になかなか豆腐を切つたように行きませんので、むずかしいのです。
  129. 波多野鼎

    波多野鼎君 一昨年から去年にかけて見越輸入が随分ありましたね。染料に限らずやはり一般に……、そして染料のほうも相当見越輸入があつて、外貨の枠を相当大きくこれは政府も認めたわけですけれども、まあ或る部分は輸入されたと思いますが、成る部分は輸入はしない、外貨の枠をもらつても輸入しないでおるという事情があるのですか。
  130. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) これは二十四年度に染料は相当入りましたですね。これはここにグラフができておりますが、入りましたが、建染につきましては二十五年度は約十分の一に減つてしまつております。これは公団の手持品が競争入札でメーカーさんに大部  分落ちましたので、それを今再生されましたのがこのブルーの、RSなどにできたようであります。私はその辺の技術のことはわかりません。わかりませんが、公団の手持が相当放出されましたのと、二十四年度相当輸入がされました。多量のものが政府輸入のような形で入つたように思つておるのであります。
  131. 波多野鼎

    波多野鼎君 その輸入された外国のスレンの染料ですね。これは輸入商がストックで困つているということを、輸入商のほうから陳情しておりますが、これはどうなんですか。あなたのほうにお聞きしても何ですが……。
  132. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) いや、それはこの間の衆議院の委員会で一億のストックがあるということで非常に迷惑だとおつしやいましたが、ここに日  清紡が来ておりますが、日清紡だけでも一億くらいのストックを持つているということも伺つておりましたが、染料商でスレンの在庫を持つて迷惑しているというようなことはそうないだろうと思いますが、必要があれば調査してお答えいたします。
  133. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大西さんにお伺いしたいのですが、輸入染料と国内染料を実際お使いになつて、その差ですね、品質上、価格上においてどの程度の差があるのですか。
  134. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) これはもう何と言いましてもドイツが第一番でありまして、これは日本が習うたわけであります。日本の科学者が相当御研究下さいまして相当のものができましたが、品質はどうだとお尋ねがあれば、第一はドイツ、第二はアメリカ、第三スイス、イギリス、日本、こういう品質上の順序は付くと思います。これは同じように見えましても、やはり技術の上におきまして、水に溶かすときでも溶けが悪い、或いは発色のときに十分間蒸せばよいところを十五分間も蒸さなければならんとか、いろいろのそういう欠点が出て来ております。それから価格の点はこの間衆議院でメーカーさんはこういうことをおつしやつたのです。実は我々が製造しているから外国から輸入のものが安く入るのだ、若し製造せんということがわかつたら非常にどんと高く上るだろうというようなお説がありました。そんなことは絶対ありません。勿論今関税が二五%が付いておりましても、ほかの直接とか、或いは塩基性とか、酸性染料、その他を輸入いたしましても安いものがあるのです。私どもは入れておりませんが、安いものが現にある、そうしてここ三日くらい前にドイツの馬獅子会社の極東支配人が来まして、お前のほうで、こういうような話があるが、そういう非紳士的なことをお前は考えておるか、ドイツの人間はそういうことは考えていない、売値はすべてコストにチヤージを付けたものだということを言うております。生産コストに一定のチヤージを付けたものを世界各国に売るのだ、I・Gというマークですが、その信用を重んじているということを極東支配人が私にはつきり申しております。だからあすこは日本が製造が始まつたから安くかぶせてやろうとか、もう非常に困つているから、これを足許を見て高く売つてやろうというような卑劣な根性は毛頭ない、又過去の歴史から見ましてもそういう経験は絶対ありません。
  135. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 なお次に値段の点は……。
  136. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 値段は安いのです。
  137. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 輸入のほうが安いのですか。
  138. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 輸入で入れましたものは安いのです。けれども関税がございますから高くなる。
  139. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつと関連して……どんなふうになりますか。一キロ当り同じ日本でできる染料と、ドイツの染料と比べたら……。
  140. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 外国染料のほうがマーケット・スタンダードの価格なつておつて日本はそれに追随して行きますので、日本価格はないと言つてもいいと思います。関税が二〇%にきまれば二〇%の価格を付けます。関税の率を下げれば価格は下ります。
  141. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると関税だけが違う……。
  142. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) ええ、日本価格はありません。
  143. 波多野鼎

    波多野鼎君 いや日本価格と比較して……。
  144. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 日本のメーカーさんは知りませんですが、まあここにいらつしやいますが、一ぱいまで値は得られると思います。例えば一万円のものが関税がなければ一万円そこそことおつやしるのでしようけれども、一万円に二〇%の関税が付けば一万二千円になるからそれで一万千八百円ぐらいに抑える、ちよつと低いぐらいでそこそこの辺で商売をなさると思います。それは商売は生き物ですから……。
  145. 波多野鼎

    波多野鼎君 それはわかりますが、ちよつと八杉さん言つてくれませんか、同じ染料でドイツ品と日本品の価格の比較ですが、関税を抜いた場合、関税だけは別ですね、それだけ多くなるということはわかり切つていますけれども、どんなふうなんですか、将来はどういうふうになるかわかりませんが、現在はどうなんですか。
  146. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) 現在の価格は物によつても違うでしようが、これはクローム・ブラックあたりは非常に向うのほうが安かつたことがあるのです。或いは昨年までに入つたのが日本のその当時のマーケット・プライスよりは関税をかけてもまだ安い。これは内地のほうの値段とやや似たものになつております。それからサルフアー・ブラックになりますと、近くICIが持つて行くぐらい、向うのイギリスの状況が非常に高いというようなことで、これでは到底追付かない、日本のものを買いに来ておるというようなものであつて、大体物によつては違うのですが、関税を二割五分やつて頂いたくらいで……硫化あたりはそれ以下になつても十分合う、物によつては合わないという物もあるわけなんです。
  147. 波多野鼎

    波多野鼎君 それではこういうふうにお尋ねしますが、日本でスレン染料、いろいろの種類のものを使われておりますが、そのうちで一番たくさん使われておるスレン染料はどんなものなんですか。
  148. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 需要量の一番多い染料ですね。これは捺染に使いますものは御承知の地色、花模様とかいろいろな模様がありますので、どの染料というのではなくして、黄も赤も青もグリーンもブラウンもいろいろ染料が使われます。無地染に主として使われますのはカーキ色、それからグリーン、こういう色が使われます。
  149. 波多野鼎

    波多野鼎君 私が聞いておるのは、今から一年ぐらい前をとつて、その間にカーキ色、グリーンいろいろ使われておつたと思いますが、どういう種類の色が一番総量として多く使われたかということです。
  150. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) それはブルーです、それから現在、これからもカーキー色が相当使われると思います。
  151. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) ブルーですね、イエロー……。
  152. 波多野鼎

    波多野鼎君 それでは一つ伺いますが、カーキーでもグリーンでもイエローでも何でもいいのです。それの国内価格と輸入価格はわかりませんか、今ここでは……。ちよつと今ここでおわかりにならなければあとで資料を出して頂いて結構です。私の聞きたいのは染料の原料、石炭の価格はドイツの石炭に比べて日本の石炭は約十倍ほど日本の石炭が高い。そういうこともありますから、そういう原料を使つてできた染料、大体同質の同色の染料、例えばカーキー、或いはブルー、グリーン、例えばこの三つについて国内でのメーカーが販売される価格と、それから例えばドイツから輸入する場合の価格アメリカから輸入することがあるかどうか知りませんけれども、その場合の価格、そういう輸入価格の比較、これを一つあとからで結構ですから、どなたか一つ資料として見せて頂ければ非常に参考になります。
  153. 小林政夫

    小林政夫君 今波多野さんから資料の要求があつたのですが、先ほど八杉さんにお尋ねした四十二品種の製造計画、これについて具体性を知るという意味におきまして、資料として御提出願えませんか。
  154. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) かしこまりました。
  155. 小林政夫

    小林政夫君 それから本年三月三十一日現在の工業的に生産されている、いわゆる注文があればいつもすぐ応じられる態勢にある、これを品種別に出してくれませんか。
  156. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) かしこまりました。
  157. 波多野鼎

    波多野鼎君 もう一つ染色のかたにお伺いしたいのですが、最近と言いますか、ここ一年の間、一年じや少し長くなりますが、最近例えばこういう染料が欲しいということを希望されて、手に入らなかつた染料はどういつたようなものがあるかということも一つ聞きたいのですがね。どういうものが手に入らなかつたかということですね。
  158. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 大体これはスレンの赤、黄ですね。それから、ヴアイオレツトもありますし、ブラウン、グリーン、オレンジ、まあ殆んどです。それとシリヤス染料、ラビット、インヂゴゾールと言いますもので、これは関税がかかつております。これは今の関税のやつは直接染料何々二十五と書いてありますので、シリヤスの染料は大体二五%かかつておりますが、これは大体あまりできていない、殆んど輸入に待たなければならないのですが、ただ属する部が直接染料でありまするから、これは二五%税を出しているのです、取られているのですが、元来から言えばこういうものもスレン属と同じように我々どもはお願い申上げなければならんのですけれども、これはもう属できちつときまつておりますので、止むを得ずこれは承服いたしておりますのですけれども、これは内地でもないのです。この間メーカーとの話合いで協議をしてお互いに、わしらのほうで要らないものはあなたのほうで作る必要はないし、両団体で話合つてお互いに作る。そうして関税も無税のものと有税のものと二つでいいじやあないか。それは双方の二団体で話合つて、君のほうで何も差支ないものは輸入するようにしたらどうだ。又染料もスレンでもできないちよびつとのものが私どもは欲しい。ちよつとこの色が欲しいと言つたつて、例えば仮に花びらのにおいが黄が入れられなかつたらにおいにならん、それが黄色がない、紫のにおいをつけてもこれは花に見えません。その黄のものがちよびつと欲しいと思うと、これはない。これは日本でできるものだから関税二〇%、二五%にされたらどうにもならん。ちよびつとが入つて来るのだ、そういうものは繊維工場さんどうぞ輸入して下さいと言つて、そういう工合にして間に合うものはしてもらつて、輸入と両方で相待つてつて、そうして何もかもが日本のメーカーさんができるようになれば、国産愛護で私どもはどこまでも協力して行きたい。だからちよびつとでも欲しいものは、それは輸入ができますれば、私どもは実際問題において需要量を満たせるということになる。
  159. 波多野鼎

    波多野鼎君 そこでちよつと欲しいといよううなものは輸入商の手許にはないのですか。
  160. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) ありません。ないとき、もう今というときがありますのでね、先生……だから今までおつしやつたような、輸入商がストックしてから困つておるというようなこともありまして、なかなか輸入しておりませんから、必要なときに注文してもなかなか手に入らない。その代り注文しましたときには飛行機でずつと来ますから早いのです。
  161. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど牧さんにお尋ねしたのですが、なかなかむずかしいということだつたのですが……まあ、大西さん、建染染料はいろいろ種類がありますね。これを簡単に見分ける方法を、例えば税関でこれを関税を二、三にする態度ですね、かけるという場合にこれは免税だ……建染をですが、建染の中で、今あなたの説で行くと、日本でできるものはかけてもらつてもいい、できないものは免税だと、そういうふうにも聞こえるのですね。まあそういうことをやる場合に、税関吏が、これはどういう種類の、建染染料の中でカーキだとか或いはブルーだとか、そういうものを簡單に見分ける方法があるのですか。
  162. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) それは前提としましてできないというものをはつきりメーカーさんのほうから表示して頂いて、そうして税関にこれを御提供になり、輸入商がこれを何々というように表記に明記しておくならば、そういうごまかしをするというようなことはめつたにないと思います。それはできんことはありませんが、これは頗る手数を煩わすことになると思います。できんことはインポシブルではないと思いますがね。だから建染染料の中で仕分けしようということは、これは非常に手数のかかることで、そういうことはできんことはありませんが、併しそれはなかなか実際問題として先生、むずかしいのではないでしようか。できることはできますね。併し非常に手数で、技術者がやはり完全にでもおらんとちよつとむずかしい。
  163. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつとその問題ですがね、去年例の関税別表をやつているときにその問題が出たのですよ。日本生産できるものですね、それから又生産が近い将来に製品になり得るもの、そういうものと、まだ日本生産見込みが立たないもの、こういうものとを区別して関税問題を考えたらどうだという議論がしばしばここで出まして、議論したところが、税関のほうでは、いやそういうことはとてもできませんということであつたのですがね。
  164. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 併しできんことはないと思いますよ。
  165. 小林政夫

    小林政夫君 それを大西さんのほうで簡単に、まあお二人で簡単にやれる方法を、税関のほうで納得するような方法を若し速急にお示し願えれば非常に幸いなんですが……。
  166. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) これは過去において十分詮議したわけですが、なかなかこの鑑別が困難なわけです。結局染めてみてそしてあとの堅牢度の試験をしたりかたがたしまして調べる方法と、それから元素分析をして本当に調べる方法とありまして、元素分析をするというようなことはこれはもうとても完全にはできないことで、例えば染めてみてそれからやるといつても、相当の専門家がいなければむずかしい。だからこれは簡単に成り立ちよりは染め方によつて分類して税率をかけるほうにおいてもかけるということになります。そうすると只今我々の一番問題は、成るほど大西さんのお話通りでありまして、このスレン染料の原料の需要量というものが、これを染める相手国に輸出する場合に、何品種が幾らぐらい要するかということが実際問題としてなかなかつかめないのです。ですから我々のほうでこういう能力が本当にあるから、それを本当に使つてもらえるものならという予定がつくと、それが又売れなかつたり、要らないものと見ても又売れたりするのですね。ですからこれはできないもの、売れないものということが判断できれば、所要量というものがはつきりきまればよいのですが、これはなかなかきまり得ないので、だから今までちぐはぐがあつたので、これはお互い業者で連絡して解釈するより仕方がないと思います。昨年スレン染料の製造が少いというのも只今大西さんのお話があつたように、一昨年多く入れて、昨年度は今の原料を出したところで、それを又メーカーが作つて出したところで売れないというわけで製造も少いので、それから又昨年と本年の状況は非常に違つて、昨年は当初において八十トンも使うという話であつた。併しそれも染賃も安かろう悪かろうということで、量から言えば二十トンぐらい出したというように我々は見ている。それが本年はいわゆる高級染をやろうじやないかということになつて、私どもは自分から需要量の大いに増すことを我々は期待しておるのです。それが所要量が大いに殖えれば我々のほうも作つて行くということで、それをお互いに連絡を密にして輸出振興に資して行かなければならん。ですから、どういう品種を作つて売るということも、所要量を先に出して頂かなければこれはできません。それでこういう設備をやりますと、これがどうなりますかというと、只今申しましたように、カーキとかブルーという大量に使われるものはもうできております。普通の大量に使はれるものは製造を始めておりますので、これから僅かしか要らんものについて追々作つて行くということになつておりまして、大量に使うものはもうできておるので、僅かのものが困るので、それをよく相談をして、所要重を多くして頂くということに話を持つて行くようにと、こう考えておるわけです。それを作る体系をその芽を摘まないようにして頂きたいということなんです。
  167. 田村文吉

    田村文吉君 大西さんに伺いますが、綿布の場合ですね、大量に使われる今のカーキ色であるとか、或いはブルーであるというようなものが仮に二割の関税がかかるかからないにおいて、全体の製品或いは原価に及ぼす影響は何パーセントですか。
  168. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 只今濃い色で三セント、薄い色で……
  169. 田村文吉

    田村文吉君 パーセントで……。
  170. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) いや、ドル、セントのセントです。一セントぐらいで……。
  171. 田村文吉

    田村文吉君 私の伺うのはパーセントですね。総体の仕上げに対して一体どのくらいの影響がありますか。
  172. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 綿布のそれは大体染価でそれぐらいにつきますので、綿布が仮に粗布、金巾、ギヤバジン、ポプリンその他いろいろの生地がございます。又テント、シートのようなものがございますから、この値はそういう生地のものでありますと、売値がどんどん高くなりますから、そういう売値の総体からどうだということになりますと、粗布、金巾のような二十セントぐらいで買える物ですと非常に率が高くなりますし、売値から言いますと、又非常に綿布でも原価の高い物ですと非常にパーセンテージが落ちて参りますが、概して平均のまあ一割……。
  173. 田村文吉

    田村文吉君 それは綿布全体の価格に対して二割の税金がかかるために及ぼす影響が、一割染料がかかるというのですか。
  174. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) はあ、そういうわけです。
  175. 田村文吉

    田村文吉君 それをちよつとお伺いして……。
  176. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 非常に今の高い物を高級向にすると……。
  177. 田村文吉

    田村文吉君 いや、染料全体が原価に及ぼす影響を伺うのでなくして、その染料が二割かかる。今度税金で取られる……。
  178. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) ええそうです。
  179. 田村文吉

    田村文吉君 その二割というものが全体の綿布に……、それはいろいろの種類がありましよう。ありましようが、大体標準物の綿布に対してどのくらいの原価割台になつておるものですか。それを私は伺つております。
  180. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 仮に高級な物で、色の濃い物で染料を三セントと出しますと、売値が仮に金巾の二千二十番ですと、金巾の生地が二十セントですから、まあ三十セントで売りましても、三セント高く付くからまあ一割高くつくという、こういう勘定になりますね。
  181. 田村文吉

    田村文吉君 今のあなたのほうから出ておる陳情書を見ますと、加工費の一割何分かと書いてございますね。ですから、私の言うのは、加工賃だけでない。綿布でそういうモデルの品物でやつた場合に全体の原価に及ぼす影響はどのくらい違うのですかというのです。加工費については出ているのですよ。一二%三というのが出ているのですがね。
  182. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 売値全体にそうなるのと違いますかね。
  183. 田村文吉

    田村文吉君 これは加工費に対する比率ですね。
  184. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) そうです。
  185. 田村文吉

    田村文吉君 それで日本の綿布が対外競争上困るというお話があつたのだが、それにしては、標準物のキヤラコとかそういつたようなものでやつた場合に、どのくらいな影響があるのですかな。
  186. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 一割高くつきますね、キヤラコで。
  187. 田村文吉

    田村文吉君 キヤラコで一割。
  188. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) はい。
  189. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつとその点よく理解できないのだが、それで染料代ですな、例えば一つの製品を標準物とみなして、製品にはいろいろありましようけれども、大体基準的なものを考えて、これの売却値段を例えば百円としますね、その百円の中に占める染料の価格というものはどんなものですか。いま建染染料を使つた場合に。
  190. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) これは色にもよりますが、どういうのですか。
  191. 波多野鼎

    波多野鼎君 平均的なものを一つ考えてです。
  192. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 生地よりも染めの高いような場合もあります。又生地値よりずつと下るものもございますが、大体インダンスレンばかりでやりますれば、八割くらいが染色の占めるポイントだと思います。加工料金といたしまして、インダンスレンばかりでやりますれば。
  193. 波多野鼎

    波多野鼎君 その中で染料代というものは。
  194. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 染料代はこれにちよつと出ていますが、色によつて一つずつ違うのです。
  195. 波多野鼎

    波多野鼎君 それは違いましようけれども、標準的なものを一つ考えて、染料代が一割くらいでありましよう。
  196. 田村文吉

    田村文吉君 加工代の一割二分三厘かかるということはわかつている。ところが全体の製品に対してどのくらいかかるかと言うと、キヤラコの場合一割かかるとおつしやるから、そうするとちよつとおかしいじやないかということになる。そうすると、染料代が五割もかかるということになつて来る。税金の二割の差だけでの問題ですよ。
  197. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 私のほうの概算では、キヤラコで仮に二十セントとしまして、売値を仮に二十七、八セントから三十セントと仮りに立てますね。そうすると、一ヤール濃い色で三セント高くつくという場合には、まあ一割くらい高くつくという、勘のことでありますが、なおこれは詳細な何の生地でどうなつてということは一遍提示いたします。私が申上げて間違うといけませんから。
  198. 波多野鼎

    波多野鼎君 その点ちよつと聞きたいのですが、標準物でいいですが、美術工芸品的なものをお考えにならないほうがいいと思いますね。そうじやなくて、一番大衆的に売れて行くものというものを標準にして一つ計算して頂いて、そうして加工賃というものの中で染料代というものがどうつくかということがはつきり知りたいのです。加工賃が又いろいろありましようからね。労務者の賃金も全部含みますし、管理費も含んでいますから。
  199. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) これはいろいろ一色物から十二色までありますし、それとワイシャツのような極く薄い色をつけますものと、又濃くつけますものと、いろいろありますが、三〇%から八〇%までです。
  200. 波多野鼎

    波多野鼎君 加工賃が……。
  201. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) そうです。染料の占める分が三十乃至八十。
  202. 波多野鼎

    波多野鼎君 それは加工賃でしようね。加工賃の中で染料代というものがどれくらい……。
  203. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 加工賃の中で占める染料代が三十から八十。そのくらい差がつきます。
  204. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 一点伺つておきたいのは、一年間関税が実施されて、我が国の染料界にどれだけの貢献をしたかということを何か表でもおありになりますか。
  205. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 私ですか。
  206. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 いや若し何だつたら、八杉さんのほうが御専門でしようから。つまり関税が昨年臨時の措置で以て染料に対しては二〇%ときまりましたね。そのためにその二〇%にきめられた染料がどれだけの発展をしたか。大体この前の関税をきめたときの  目標としては税收にあつたのじやなくて、国産品の奨励発達ということにあつた。それが一向に役に立つていないか、或いは相当貢献したかによつて又今後の対策が変つて来ると思いますが、その資料をお出し願いたいと思います。
  207. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) 先ほど申上げましたように、昨年は十七品種でありましたのが、本年は三品種殖えて二十品種になりました。殊にカーキ、オリーブが目下非常に要求されております、大量に使われるという品種が昨年の十月からでき始めておるというふうな状況であります。
  208. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 品種が殖えたと申しますが、ただ品種が殖えたということは、先ほど牧さんからもお話があつたが、研究さえすれば幾らでも品種が殖えるということであつて、実際に使用されて外国品を駆逐したたけの実績があるかどうか、それが一番問題になると思うのですが。
  209. 八杉二郎

    参考人(八杉二郎君) これは只今も申上げました三品種のカーキ、オリーブは、実は来る二十五日に特需の入札があるわけなんです。それだけでも三トンの所要量があるというような状況であつて、若しも国産ができておらなかつたらその入札に応ずるわけに行かないわけなんです。昨年十月に初めてできて、それから後は消費者の要望に応えているわけです。それまではこの染料ができておりませんために、硫化染料で染めて上掛をするとかして実は特需の方面に納めて、只今それでは品質がよくないからというので非常にクレイムが来ておるというような状況で、じや、その染料を輸入しようかということで引合つてみても、向う方からなかなか入つて来ないというような状況にあつて、初めて良心的な国防色のカーキ染が日本でできるようになつたというふうに我々考えているわけです。
  210. 牧鋭夫

    参考人(牧鋭夫君) その点私技術的の立場から申しますと、昨年来二〇%の関税があつて影響というのは、平たく申しますと、日本のスレン工業が現在生命を保つてつて、そうして今後八杉さんのお話のようにいろいろ品種も漸次殖え数量も漸次殖えるというような態勢を保つ、その生存を保証したいという点において大いに貢献があると思います。
  211. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これはどなたからでも結構なんですが、その染料が発達したために我が国に及ぼした公益、それから関税が高いために輸出産業に及ぼした阻害ですね、それがどの程度あつたかということを、若し大略でもおわかりなら御発表を願いたいと思うのです。
  212. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 具体的に海外の出入りが多く上つても商売ができなかつたということは、今データを持ち合せませんので、後刻必要であれば提出いたしますが、一口に申しましても……
  213. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは参考人に対する意見の聴取は、いずれ参考資料を頂いて、又研究してやつて頂くことにして、本日はこの程度にして……。
  214. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) ちよつと一言お願いしたいことがあるのですが、お許し願えますか。
  215. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) どうぞ。
  216. 大西太郎兵衛

    参考人大西太郎兵衛君) 実はこの内地染料メーカーさんとの関係が少しもない、この問題は少しも関係ない問題でありますが、我が染料、染色業界の革命児とも言われましようアメリカのアリーダイ、シャーダイという会社がピグメントレジンカラーというものを発明して世界的に特許を取つて我が国に輸入したのであります。これは堅牢度においてはインダンスレン、建染染料に及びませんが、大体そこそこのものであります。ところが昨年衆議院でこの問題について、特許が申請されておるのであるが、若しこの特許が許された場合には国内で製造が止つてしまう。そうすると国内産業の保護政策にはならんけれども、その場合にはどう考えるかというような御質問が委員会で行われたのでありますが、これは特許局のほうでこの生産特許が決定をいたしまして、従つて国内でこのピグメントレジンカラーは製造することができません。内地でしておりますところの製造会社も製造を中止いたしておるような情勢であるのであります。でありますから、これは国内産業の保護の目的は解消せられましたのでありますけれども、同品に対するところの輸入関税はこれを撤廃せらるべきが然るべきであると考えますので、この場合特にお願い申上げておきたいのであります。これはメーカーさんのほうの建染染料に一切関係がございません別な問題でございますけれども、よろしくお願い申上げます。
  217. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 参考人の皆さんには長時間に亘り貴重なる御意見をお述べ頂きまして、本委員会の審議に際して非常に参考になりました有難うございます。   —————————————
  218. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは午前に引続きまして所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、この質疑を行います。実は木村委員はもう質疑はないということになつておりましたので……。(「私もありません」と呼ぶ者あり)それでは事務当局に対する質疑はもう大体終了したということにいたして差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは本日を以て事務当局に対するところの質疑は終了したものと認めます。御苦労様でした。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十五分散会