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政府委員(徳永久次君)
只今お尋ねの点につきまして、この問題を取上げました私どもの
考え方を一
通り申上げて、御了解を得たいと思います。新聞用紙は、現在は御案内の
通り六頁でございますが、過去の新聞の頁数はどの
程度かと比較いたしますと、一番多い時で二十四頁ぐらいにな
つております。それと現状を比較いたしますると約四分の一というのが現在の水準にな
つておるわけであります。これをほかの国民生活の回復の水準と申しますか、例えば繊維なら繊維、それからゴムならゴムとかそういう消費財
関係の全般の回復の度合、或いは国民生活全体のレベルの戰前の基準との回復の度合、そういうものとの均衡の
関係を考えて見ますと、ほかの回復に比べて著しく遅れておるというふうにな
つておると思われるわけであります。かたがた新聞紙の果しておりまする公共的な使命と申しますか、いわば日本のあらゆる
意味の民主化の推進の一つの有力なものでありますので、そういうものが少しでも伸びるということ、それが過去の四分の一のものから過去に少しずつ近ずくということ、それは私どもとしまして是認するといいますか、認めてや
つて然るべきじやないか、確かにお話のようにそれを輸入しますというと、ドル
資金が必要になるという問題もあろうかと思います。あろうかと思いますが、繊維資源にしましても相当部分ドルも拂
つておるわけでありますし、繊維の回復度が過去の四分の一より遙かに超えたところに回復しておる際に、新聞紙だけがドルがないからそこまで回復するのは工合が悪いというような立場はとりにくい、ることは穏当を欠くんじやらかろうかということを私ども考えたのが一つのこの問題のポイントになるわけでございます。その
金額といたしましても輸入の量というものは二方二千トンでございまするが、それが單位当り幾らのもので買えるかということは今後の取引にな
つておりまするので
はつきりいたしませんが、仮にトン当り二百ドルというふうに仮定いたしたといたしましても、一年間として五百万ドル以下というようなことに数字的にも相成るわけでございます。そういたしますると石油も大部分輸入しております。繊維製品も大部分輸入いたしておるわけでございます。石油についても繊維についてもドルを相当巨額に拂
つておるわけであります。そういう際に
金額的にも著るしく過大になるという結論も出て参りませんので、その面から新聞紙だけにドルが足らんからそれは許さないというふうに因縁ずけるわけにも参らないというような事情になるんじやなかろうかと思います。
それからもう一つの問題は、この問題の決定的な問題は輸入されますものの価格の予想がどう相成るかということが問題でございます。関税は
国内産業の保護を目的といたしまして設定される
趣旨のものでございまするので、若し輸入されますものが国産品よりも安く輸入されるということになりますれば、それが
国内産業に対する脅威とな
つて参りまするし、それに或る
程度の保護関税をかけるということが当然必要とな
つて参るということになるわけでございまするが、新聞紙の輸入につきまして、新聞紙が現在国際的にも相当逼迫しておりまする物資でございまするので、これを日本が買います場合に幾らで買い得るであろうかということ、これが非常に不安な材料にな
つておるわけであります。昨年の電力制限の際に大急ぎで買いましたために、これは二百六十五ドル見当のものでございまして、
国内紙の分が約二百ドル、それに対しまして三割以上高いものを現に買
つたわけであります。それで今後はそれよりは少しは安くなるんじやなかろうかという気持を持
つておりますのは、政府といたしましては
国内の需給
関係から見まして不足分をI・M・Cの割当をもらうことに努力をしておるのであります。I・M・Cの割当になりますれば、この前買
つた闇の国際的な一種のブテツク・マーケツトのもの、それよりは安いであろうという希望なり、期待なりは強く持
つておるのでございますが、何せ国際的に依然として窮屈な物資でございまするので、売手の側としましてもできるだけ高く売りたいという事情にあろうと想像するのが常識だと考えますので、そうなりますると
国内の紙よりも高い値段で買う可能性が強いのではないかということが考えられるわけであります。かたがた新聞紙の公共性といいますか、そういうことを考えて見まして、
国内紙よりも高いものが入りますのに、関税定率法の一割の関税を更にかけるということは如何なものであろうかということを考えまして、これがこの際差し当りの
措置としてはこの関税を免除するという
措置をとるべきではないかということを考えましたゆえんでございます。
以上申しましたような事情でございますが、ただ最後に御了解を頂きたいのは、これは飽くまでも過渡的な
措置でございまして、現実の問題といたしまして新聞の建てページの
増加というものは認められて然るべきだという前提に立ち、而してそれの輸入の価格というものは
国内紙よりも高いであろうという前提に立ちます限り、関税をかけることが不穏当だというような結論が出て参るわけでありますけれども、併しながらそれは今の
状況がそうであるということでございまして、基本的に
国内の製紙業、業聞紙の
需要というものを国産によ
つて賄うということのほうがより大事な目標だということも考えますので、過渡的には免税する必要が今申上げましたような事情でございますけれども、基本的には
国内産業に対して保護するためにやはり適当な関税は置いておくんだという、この目標なり
考え方というものを我々はやめたわけではございません。それは一歩も崩したわけではございません。差し当り当面いたしておりまする現実の問題については
国内産業に惡影響なし、むしろ消費者のほうが必要以上に苦しむという事態が予測されますので、その面を緩和してやるという
措置として考えたというのが私どもこの
修正案をお出しいたしました
趣旨でございます。