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1952-03-13 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十三日(木曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            伊藤 保平君            菊川 孝夫君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小宮山常吉君            小林 政夫君            森 八三一君            菊田 七平君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  西村 直己君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国民貯蓄組合法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○公庫の予算及び決算に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第二十二回の大蔵委員会を開催いたします。  国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案、右について質疑を行います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案提案理由を見ますと、要するに国民貯蓄組合の斡旋する貯蓄利子等に対して所得税非課税とする金額限度引上げるということが第一の目的なつているようでありますが、この点について伺いたいんですが、無記名定期との関係ですね、二月十一日から又無記名定期を許すことになつたようですが、あれは定期預金ですから貯蓄性性格を持つていると思うのです。あれは限度がないと思うのです、無記名定期のほうには。この国民貯蓄組合の斡旋する貯蓄、これも貯蓄でありますから相当長期性格を持つと思うのです。資本蓄積の上から言えば、こういう長期性預金が多くなるということは大切なことなんですが、これにやはり限度があるということです。三万円までは今まで非課税であつたのを十万円に引上げる、若し一般の無記名定期を認めるならばこれも金額を制限するのはおかしいと思う。若し無記名定期を認めるならば、これもやはり私は所得税は免除すべきじやないかと思うのです。その点はどういうのでしようか。
  4. 河野通一

    政府委員河野通一君) お答え申上げます。無記名定期お話のように二月十一日から復活いたしたのであります。この定期預金とこの度御提案申上げております国民貯蓄組合預金とは同じように長期性貯蓄を狙つておりますが、税の関係では性質を異にいたしております。無記名定期預金は御承知のようにこれは税はかかるわけであります。勿論源泉課税になりまして、税はかかつて来る、貯蓄組合預金はその点では零細な貯蓄という意味で特に税をかけないという制度なつております。おのずからそこには差違があるというふうに考えております。無記名預金について限度を設けないのならば、こちらについても限度を設けないでいいのじやないかということには相成らんと考えております。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税というのは、その源泉の税を無記名預金のほうではかけて、貯蓄組合のほうの預金には源泉の税をかけない、かけてないのですか。
  6. 河野通一

    政府委員河野通一君) ええそうです。源泉総合もこのほうの預金にはかかりません。それから無記名預金につきましては源泉だけかかつております。選択をいたすわけであります。選択をしたものとして取扱つております。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは十万円以下だけですね、十万円以上にはかかるのじやないですか。今度改正になれば十万円になるのですけれども、今までは三万円以上にはやはりかかるのでしよう。
  8. 河野通一

    政府委員河野通一君) さようでございます。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこでやはりその不権衡があると思うのですがね、三万円以上にはかかるのでしよう。
  10. 河野通一

    政府委員河野通一君) 三万円以上は勿論かかりますが、大体この国民貯蓄預金というものは、先ほど申上げました零細な預金ということを考えております。大体三万円が低過ぎるので、今度お願いを申上げて十万円に上げて頂きたいということにいたしておるわけであります。大体十万円程度になりますれば国民貯蓄組合としては零細な預金ということになりますので、大体カバーできるのじやないかというふうに考えております。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは権衡の点から行くと、むしろこういう零細なものほどそういう非課税にしたほうがいいと思うのですが、無記名預金はとにかく百万円でも二百万円でも一千万円でも元本所得税非課税になるのですね。その利子に対しては源泉選択で取るということであります。併し元本所得税のほうは非課税になるわけでしよう。ところが貯蓄組合のほうは限度以上はやはり所得税課税対象になるわけでしよう、そこに僕は不均衡があると思うのです。
  12. 河野通一

    政府委員河野通一君) 先ほど来申上げておりますように、無記名預金につきましては源泉選択所得税がかかるわけです。ただその場合には一般総合課税をいたします場合の預金に対する課税は二〇%、従つてそのあとでは総合課税される、こういうことになります。源泉選択いたしました場合には、総合課税の点も考慮いたしまして、五〇%という税率も高くなつております。一般の場合には、総合される場合には二〇%課税されます。そうしてそれはあと総合されるわけであります。総合しない場合には五〇%かかる。こういうことで大体その均衡はとつているつもりであります。  それから貯蓄組合預金につきましては、先ほど来申上げてありますように、非課税にいたします限度が十万円では低過ぎるという御意見であれば、この点は十分いろいろ考え方があると思うのです。私どもは取りあえず十万円程度でいい、これは物価関係その他の点から考えまして、十万円程度まで非課税にすればいいのじやないか、こういう考え方をいたしております。この限度が低過ぎるという御意見については、十分そういう御意見はあり得るというふうに考えております。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ、二月十一日から無記名預金を認めたわけですが、これは随分いろいろ議論があつたと思うのです。本来ならこれがそういうまあ特典を與えたんだから、私は大蔵省の指令一本でそういうことができるようにするのはおかしいと思うのです。私はほんとはこれは税收相当関係があるのですから、一種の合法的脱税になるのだから私はこれは法律案の中にほんとは織込んであれしなければならんと思うのです。で、これは主税局長もお見えになりましたからその点主税局長にも伺いたいのですが、例のこれも問題になつておつた記名預金、……シヤウプさんは勧告しておつたのですが、これについてはまあ成るほど資本蓄積の上から言えば悩みがあると思う、だから私は一概にいけないとは言いません。やはり無記名を認めたほうがそれはたくさん蓄積ができると思うのです。箪笥預金なんかも或る程度預けるようになると思うのですが、他方においてやはり何といつて合法的脱税でしよう。だからほかにどういう対策を講じたかということを私は聞きたいのです、主税局長に。これはまあ大蔵省でも恐らく随分議論があり、これまで認めるか認めないかと随分もんで来たと思うのですが、まあ銀行局長の側から言えばそれは資本蓄積の上からも早く認めたほうがいいかも知れませんが、だけれども主税局長意見としては私は割切れない。それを全然否定するのじやない否定するのじやないんですけれども、そのほかにどういう対策を、この脱税とかそれから又讓渡所得についても私意見があるのですけれども、逆にだんだん合法的脱税を容認するような方向行つておるのです。無記名預金もそうです。それから讓渡所得の問題もそうです。他方において主税局のほうではそういうものに対する対策として何か考えておるかどうか。全然考えないで一方的にそういうものを認めてやつたということは納税思想上よくないと思う。それから権衡見地から言つてもよくないと思う。
  14. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この問題は私のほうからお答えしなくちやならんような問題でございますので、私からお答え申上げたいと思いますが、無記名預金の問題につきましては、御質疑通りいろいろの見地から相当問題にする事項が多いということはお話通りでございまして、私のほうもそういう点はいろいろ考えましたあげく、結局今のいろいろな客観情勢から言つて止むを得ざるものといたしまして、認めることにいたした次第であります。税の建前からいたしましてこれで一向支障がない、一向いいのだということは言いにくいと思うのでございますが、ただ現在のいろいろの諸般の情勢、殊に貯蓄奨励等から考えますと、まあどちらかと申しますと、やはりああいう制度を認めることによつて貯蓄増加するという実益のほうが少し多いのじやないかということを考えまして、私どもといたしましては、これは進んでというわけじやありませんが、止むを得ざるものとして認めることにしたという次第であります。そういう際におきまして法制的措置でございますが、これは前回も菊川さんにお答えしたのですが、実は法制的措置としましては現在の税法で前提は全部備わつておりまして、昨年源泉選択を認めたときにすでに法制的なその措置が備わつておる。問題は預金といたしまして銀行が果して無記名預金を預かるか預らないか、それは銀行法建前並びに銀行局銀行に対する監督の建前上いいか悪いかという問題が解決さへすれば、法制的には実はもう別段の措置は要らないのでございます。従いまして、その点は銀行局のほうから局長通達を出しまして、一定のこういうことでやるならば無記名預金を受入れてもいいという通達が出まして、それに応じて銀行はやれる、そうしました場合においては源泉選択制度を先に設けられましたので、五〇%の税率選択して納めれば総合課税しなくてもいい、こういうことになるわけでございまして、その点改めて法律的措置をとる必要は私どもないと、そのことは別に疑問はないと思うのです。ただ御指摘のようにこういう制度によりまして、一般納税者に及ぼす影響はどうか。それから脱税等調査に当りまして悪影響があるかどうかという問題でございまして、その点は実は私どもも大分考えまして、愼重に考えた次第でございますが、最初に申上げました通り、今の情勢からいたしましたら、やはり認めたほうが実益が多いという見解をとりまして、止むを得ず認めたという次第でございますことを御了承願いたいと思います。私はもう少し先に行きますと、実は余り記名預金というような問題が表に出ないでもいいような税のシステム、並びに税務行政ができるように行きますということを私は願望いたしております。こういうことによりまして、非常に大きな問題になるという事自体が、やはりどうも全体の環境がよくなつていない証拠だと思いますし、だからこそ貯蓄見地から行きますと、相当効果が期しえるが、税の見地から行きますと、どうも困ると言う人もありますから、将来は税制を合理化し、税務行政もますます必要な調査は徹底させるところは徹底させるように措置をいたしまして、こういうようなことを特に表立つて問題にする必要がないような事態に行きまするように、我々といたしましても十分努力して参りたい。これは勿論一方におきましては経済界の或る程度の、何といいますか、発展といいますか、正常化といいますか、それに一層進展して行きますのと相応ずることかと思うのでございます。そういうことによつて、自然にこの問題は余り議論の余地がないようにしてしまうというようなことに行きますことを期待いたしておる次第でございます。私どもこういう制度を認めたからといつて査察なり、調査の必要な方面におきましてそれを緩める意思はございませんので、必要な方面に対しては個別的に、各納税者についてもよく調査いたしまして、十分目的を達成するようにいたしたいと、考えているような次第であります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実はその点をお聞きしたかつたのです。結局いろいろな税率とか何とかいうことより、所得捕捉ということが一番重要だと思うのですが、税率が高くても所得捕捉がルーズであれば効果はそう大したことはない。税率が軽くても所得をしつかり把握ができれば相当税收も上る。その点を讓渡所得とか、或いは又無記名定期預金とかいう形で一方で税を逃れるような形にしておくことは、資本蓄積を容易ならしめる一つの人心の機微を利用してやることは私は不賛成ではない。併し他方で今主税局長の言われたような、ここではつきり言つちやえば、それを潜るあれがあるかも知れないから、別に公表されなくともいいのですけれども、しつかり他方においてつかむ調査をやはりあれしておかなければ、私はこれは不公平であり、又この税收入による強制的資本蓄積のほうに重点をかければ、任意的資本蓄積はそうは行かなくともいいかも知れないが、政府の強制的な資本蓄積が困難になれば、プラス・マイナスで結局効果がないのですから、どうもこの税のほうからいうと、いわゆる匿名供出の問題とか、何かそういうものが非常にルーズに行くような気がしているのです、最近。そこは主税局長もう少し税制はつきりすつきりさせて頂かないと、余り一つの便宜のためにそういうものが崩れてしまうのはいけないと思う。はつきり僕は農村の税金の負担が重いというのなら、はつきり現実をつかんでやるべきで、ああいうようなのを裏口から許すような形は余り賛成できないのですが、どうですか。そういうことをお聞きしたいのです。
  16. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私どもは今木村さんのようなお考えに対しましては、実は賛成なんでありまして、成るべく将来におきましては税法でかつちり規定しまして、それをそのままかつちり適用して行く。これは非常に何と申しますか、税制並びに税務行政の今後行くべき途であるというふうに私ども考えているのでございますが、ただ遺憾ながら現在の実情が、まだ我が国の現状から申しますと、一挙にそこまで徹底し切れないというところにやはりこの経済がまだ安定していない、或いは税制、或いは税務行政の上におきましてもなかなか理想通りまだ行つてない。そこにすきがありますものですから、結局やはり何と申しますか、或る程度実際に即応したやり方をやつたほうがいいのじやないか、こういうことを場合によりますると、私どもといたしましても妥協せざるを得ないというような客観的な雰囲気にありますことは同時に御了承願いたいと思うのでございますが、私ども理想としましては、こういう行き方はやはり好ましくないのでございまして、でき得る限り将来におきましては税制も合理化され、それから又一般担税力増加する。それからそれに関連しまして各般の課税関係も明朗化しまして、きまつたものはきちんと行く。余り実際に応ずるために或る程度妥協策を講ずるというようなことはできるだけ少くやつて行く、こういうような方向に行くのが私は将来としましては好ましいと思いますが、今は遺憾ながら現状の下におきましては、そういう行き方を脱し切れない。こういう方向に行くということで私ども徐々に努力して行くべきではないかと、かように考えておる次第でございます。それで二十五年に行いました税制の改革におきましても、実はこの問題は、一つの狙いといたしましていろいろなことをやつておるわけでありますが、やつてみましてどうもやはり日本の実情からしますと、少し先を行き過ぎておる点がやはりあつたことは否定できない。将来はいずれそこまで行かなければならんと思いますが、一足飛びに行くというところに大分問題があるのではないか。従つて目標目標として考えつつ、或る程度実際に即応するという考えを入れまして、漸進的にそういうところに持つて行くという考えに持つて行きたいと実は現在のところ考えておりますことを御了承願いたいのであります。決して御指摘のような目標なり、理想を見失つておるのではないということを御了承願いたいと思います。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度の改正案についてはあと法律案提出のときにもつと質問したいのです。ですからこの程度でやめまして、あと簡單一つ国民貯蓄組合による預金はどの程度のものでしようか。それから最近の実績ですが、こういうことによつて相当成績が挙がるのかどうか。
  18. 福田久男

    政府委員福田久男君) 国民貯蓄組合の現況について申上げます。何分組合の数が多いのではつきりした計数については資料がございませんことをお許しを願いたいと思います。昨年の三月、年度末ごと調査いたしておりますので、二十六年の三月末におきまして、貯蓄組合組合数は十一万五千六百組合ございます。それから集めました貯金額は千百二億二千五百万円余でございます。組合に加入いたしております組合員数は千八百六十六万六千人余となつております。これを前年同期と比較いたしますと、組合数で一割四分の増加であります。貯金額で二割二分余の増加なつております。又組合員数は一割五分程度増加であります。絶対額で申しますと、千百億余になつておりますので相当預金額ではございますが、この増加の趨勢から見ますと、一般預金増加に比較いたしまして必ずしもこれは良好な成績だというところまでは言い切れない。まだまだ一般預金増加に比べて増加の額はそれほど優れておるということは言い得ないと思いますが、併しそれは一つはまあ三万円に限度が限定されておつたというような事情もあつたのでございます。又最近の貯蓄傾向を見ますと、零細預金と申しますか、そういつた個人の消費生活からひねり出した預金と申しますか、そういつた意味一般大衆預金が着実に増加しつつある傾向が見受けられるのでありまして、今後この限度が十万円に変りますれば、更にもつといい成績收めるのではなかろうかというふうに考えられるのでございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 やつぱりどうですか、十万円じや少し……。三万円はいつ頃から三万円になつたのですか。
  20. 福田久男

    政府委員福田久男君) 三万円にいたしましたのは昭和二十二年の六月でございます。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、二十二年六月で三万円でしよう。それから二十三年のあのインフレ期を経て見ますと十万円というのはどうですかね。少し低過ぎませんかね。その貨幣価値から言いますと、もう少し引上げていいのじやないでしようか。
  22. 福田久男

    政府委員福田久男君) 二十二年六月を基準にいたしまして、二、三の計数について御参考までに申上げますと、東京卸売物価指数基準といたしますと、その当時に比べまして七・四倍ぐらいになつております。それで仮に三万円で換算いたしますと二十二万ということになりますが、CPI基準といたしますと二・七倍程度でございます。そういたしますと、三万円は換算すれば八万円ということになります。なお当座預金を除いた全国銀行預金基準といたしますれば六・四倍ぐらいでございまして、十八、九万円になるかと思いますが、CPI基準とすれば八万円というような数字も出ますし、又預金量全体の昔に比較した計数増加状況等をいろいろな角度から勘案いたしますと、物価の倍率に応じて預金額が必ずしも殖えておるとは言い切れない事情もございまするので、高いほど望ましいのでありますが、この際としてはそれらの事情を勘案して一応十万円ということで、三万円から十万円ですから三倍以上になりますので、この辺で一応この際としては適当ではなかろうかというふうに考えた次第でございます。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡易生命保險でも限度引上げのことが問題になつておるのですが、あれなんかも僕は低いと思うのですが、よくこういう場合にはほかからいろいろな反対がまあ起るわけですね、これはやはり市中銀行あたりから余り限度を、或いは地方銀行からもですね、そういう余り高く引上げたらそつちのほうに預金が吸收されるので困るというようなあれはなかつたのですか。
  24. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点についてはいろいろ問題がございましたわけであります。地方銀行といたしましては、こういうふうな資金について、問題は主として郵便貯金の問題であろうと思いますが、郵便貯金につきましてもいろいろこちらの政府のほうに資金が集まるより民間のほうに集まるほうがいいという観点から、銀行としては郵便貯金限度は低いほうがいいという意見があつたことはたしかであります。併しこれは要するに程度問題でございます。現に十万円ときめましたのも、別途この国会に御提案申上げておりますような郵便貯金預入限度用上げがやはり三万円から十万円にいたしてございます。これらと権衡をとりまして、貯蓄組合預金利子非課税限度というものと郵便貯金預入限度は同じく両方権衡をとりまして両方とも十万円にしたい、こういうふうに考えております。   —————————————
  25. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは本案の質疑は後刻に讓りまして、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案砂糖消費税法の一部を改正する法律案予備審査)、右について質疑を行ないます。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと資料を頂きたいのですが、どうも僕たちは税率の比較のあれが簡單にできないものですから、この間公聴会で一橋の井藤さんから公述を聞きまして、それで所得税の名目的税法減税と、いわゆる実質的な減税のことについてお話がありまして、そのとき井藤さんは昭和二十五年に比べて実質的に減税なつておる、その基礎として基礎控除が二万五千円から五万円になつておる、倍になつておる。ところが日銀の卸売物価は五七%、それから、CPIが三一%、こういうようになつておる。併し私はこれだけでは実質的に減税なつておるということは証明にならないと思うのです。この基礎控除が倍になつたからということは、基礎控除が成るほど最低生活をカバーしていればいいのです。大体カバーしていればそういうことは言えると思うのです。ところがが今までの基礎控除最低生活のほんの一部しかカバーしていないのですから、物価騰貴によつて生活に與える圧迫ですね、それを基礎控除を倍にしたからといつて生活上に與える物価騰貴圧迫をそれで僕はカバーできないと思うのです。そこで実質的な減税になるかならんか調べるためには、実際の所得について負担率を調べるよりしようがないと思う。そこでどういう結果になりますか、昭和二十五年、二十六年、二十七年の三つをとりまして所得が仮に月一万円で五人家族……それより給與ベース基礎にして頂けばなおいいと思うのです。二十五年の給與ベースについて五人家族の場合ですね、これが負担率幾らになるか。それから二十六年のときのベースについては負担率幾らになるか。それから二十七年がどうなるか。こういうようなあれを簡單に作つて頂けませんですか。
  27. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今の問題につきましては、私どもの所におきましても若干研究した資料がございますので、その資料を整理いたしまして御説明するなり、或いは必要な部分を御提出するなりいたしたいと思います。ただその際に私ども基本的にはやはり物価騰貴率所得負担がどういうふうな関係になるかというような問題が基本的な問題でありまして、物価上つた率に応じて名目所得増加する、そういうような場合におきまして、負担率におきまして、上る前の状態と比べて同率であれば増減なし。放つておきますと木村さんも御承知通り間接的には増税になる。それを排除してなお且つどれくらい実質的な負担率の減少になつておるか。そういう角度から若干最近研究したのがございますので、それを一遍御披露申上げたいと思います。  それからもう一つは今御指摘の一定の時からの比較じやないといかんと思います。その時から負担が果して減つてるか減つてないかということが問題でありまして、減税かどうかの問題になる。その時の負担生活に食い入つておるから云々という問題は又別個の問題である。これは負担は実質的には減税なつておるが、現在の負担が果してどうかという問題として考えるべき問題でありまして、その辺が非常に世間の議論では私はこんがらがつておるというふうに感じております。それで勿論減税にはなつたが、現在の負担が多いか少いかという問題は、又そういう問題として検討すべきであつて減税なつたかどうかという問題は一定の時点をとらえまして、そのときから物価との関係におきまする実質的な負担がどうなつておるか、そういう角度から議論すべきじやないか。先般いろいろ局内において議論して見たのでありますが、そういう角度からの一つの研究を持つておりますので、これをこの次に御紹介申上げたいと思う次第でございます。それによりますと、大体相当実質的に所得税につきましては、市町村民税を加えましても減税なつておりますことは大体出て来るようでございます。勿論全部が実質的減税でなく、或る部分は單に調整的減税と、こう一応称することにしておりますが、そういう要素もあることも事実でございます。その辺を今までいろいろ国会で議論になりまして、はつきりしない点がありましたので、やや分析しましたのがございますので。今日ちよつと手許に持つて来ませんでしたが、この次申上げて御参考にいたしたいと思います。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 市町村民税も入れて……。
  29. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) ええ。
  30. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 今の資料至急お願いいたします。
  31. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) はあ。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ついでに、小林さんが勤労控除の三万円を、勤労控除の限度ですね、あれを六万円に引上げたらどのくらい減税になるという資料を頂いた、それに今度併せて控除率、パーセンテージですね、今の一割五分を二割に引上げたらどのくらいの減收になるか、二割五分に引上げたらどのくらい減收になるか、三割にしたらどうだ、どのくらい減收になるか、この三つですね、併せて率のほうを……。
  33. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) それはお出ししてもよろしうございますが、相当厖大な数字になりまして、ちよつと答弁のあれとしては問題にならんような相当なものが出て来ることは木村さんも御承知通りであります。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで結構です。
  35. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 計算いたしまして至急提出いたします。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはですね、そんなに厖大になるということは、それだけ不均衡に取つておるということです、勤労者のほうから。そうなりませんか。
  37. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この問題は、前の国会から木村さんと大分議論したところでありますが、今盛んに御承知通り国会等におきましても、或るところではお叱りを受けておるのですが、事業所得については調査を徹底させるという意味で個別調査相当沢山やりまして、それに基きまして、更正決定は避けなくちやいけないので、成るべくよく話合いまして、調べたところによりまして申告をしてもろう、こういう趣旨で今年の申告所得税調査に当りまして努力いたしております。それで私は今年は理想的に行くとは申上げにくいのでありますが、今までに比べますと、そういう点はよほど徹底して来つつあるように思いますので、この部分は基本的には失わない、先ほど木村さんがお話になりました通り所得税というものは所得金額税法従つて適切につかむ、この前提を外しますと、これはどうもやはり公平であるか、公平でないか、わからないものになりますので、私どもはできる限り一般的に税率なり、控除なり、所得は的確につかみまして、それによつて負担の公平を図つて行く、こういう基本的考え方で現在もなおおりますことを御了承願いたいと思う次第でございます。従いまして相当減るから直ぐ不公平だという結論は直ちには一つ下さないで頂きますようにお願いいたしたいと思うのであります。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最近ですね、私はマンチエスター・ガーデイアンにイギリスのコーリン・クラークが書いていたのを見たのですが、やはり税の負担、イギリスは四〇%くらい、ところが結局は税を重くすると、これをインフレ的にしちやつて、税を実質的に軽めようとする努力がある。イギリスですから日本と同じじやないと思いますけれども、大体地方税と国税と合せて二五%程度が適正なところである、それ以上取ると結局インフレ的努力によつて実質的には二五%くらいになるように皆努力してしもう、そういうことを言つてつた。日本のほうも地方税と国税と合せますと、やはり二五%くらいになると思う、そうなりませんか。
  39. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 二〇%ちよつと強です、地方税を入れまして。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二五%ぐらいに私はなると思いますが、そうですが。そうすると実質的にイギリスじや二五%がどうしても適正と言われておるときに、日本が二五%というのはこれは相当重いと思う。それで重くすれば、結局インフレ的努力が拂われてしまう。これは否定できないと思うのです。それが一つと、もう一つは、この間全財の委員長の斎藤さんから証言があつたのですが、最近申告成績が惡いと、惡いということは、結局税が絶対的に重いということが反映されていると思う。ところが給與所得のほうはきちんと取られちやう、捕捉されちやう。若し給與所得のほうを申告制みたいにしたらどうか、やはり今の申告みたいに成績が惡くなるのじやないか、それは絶対的に税が重いからなると思うのです。そこでどうしても私はその絶対的に税が重いということがいろいろな問題が派生して来る根本の原因だと思う。そこで大体減税はもうこの程度で終るのじやないかという印象を與えておる。今度の予算の組み方を見ましても、それから防衛分担金、或いはその他のもので防衛費なんかもございます。それを見なくちやならんときに、今後の……本当にこれは特に事務当局からお伺いするのですが、政治的な選挙対策とか何とかでなく、事務当局の御意見として、もう減税はこの程度で実質的に今後減税できないのかどうか。本当に減税を本腰にやることを考えて行くかどうか、この点事務当局の御意見を伺いたいと思います。これは政府としては選挙の関係その他がありますから、政治的考慮はいろいろすると思いますから、政府に聞いてもこれは政治的答弁をされると思うのです、その大臣あたりは。併し事務当局としては今後やはり真剣に減税ということを考えて行かれるとすれば、やはりそういう作業をやらなければならんと思うのです。本当にやはりそういうことを考えられておるかどうか、この点伺つておきたいのです。
  41. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今の木村さんのお尋ね乃至御意見はこれは税負担の限界と申しますか、に関する相当大きな問題でございまして、そういうことをめぐつていろいろな学者が、いろいろな人々が意見を述べておりますことは今も御指摘通りでございます。私もコーリン・クラークという学者が二五%ぐらいが課税としては限度じやないかということを言つておる論文も読んだのでございますが、ただやはりその点はいろいろな諸般の客観情勢と申しますか、周囲の情勢と関連するところが多いので、いつ如何なるときといえども、税の限度幾らというようなものが何か学問的に出るものではないと思う。というように私は見ております。やはりこの戰争なんかあつた場合におきましては、これは相当一般の国民の緊張と申しますか、そういうこともありますし、それから統制経済を合せて実行します場合にはどういうふうになるか、そういういろいろな税なり財政政策以外の政策なり、情勢、そういうことによりまして、この問題は実際問題としては相当左右される問題でありまして、そう一部の学者はこれが理想だと言つているところに必ずしも大きく捉われる必要は私はないんじやないか、やはりそのときのその国の実情、並びに過去との比較と申しますか、そういうようなものによりまして判断がおのずからきめらるべきではないかというふうに感じておりますが、併し昔から大体二五%前後くらいが高くするにしても限度じやないかということを言つておる学者が相当多いことは事実でございます。イギリスは今四〇%、ちよつと最近は四〇%切れておるようですが、三七、八%の負担です。日本は先日も予算委員会で申上げましたように、二十四年度が一番高くて、これは二五・五%、それでその後やはり税制を変えまして税額は若干殖えておりますが、国民所得増加がより一層ございましたために漸次下りまして、二十六年度が二〇%、で今年も今の予定見込から行きますと、二十七年度も大体二〇%強、二一・七%ぐらいの数字が出るようでございますが、その前後の数字のようでございます。併し戰前は大体一三・四%でございます。勿論これは地方税を含めてでありますが、そこにいろいろ問題があるかと思うのでありますが、絶対額から申しますと、我が国の今日の税の負担というものは、総体的な観察から眺めますと、決して重いとは言えない、フランスやドイツも大体三〇%前後の負担なつておるようでございます。それぞれアメリカも最近やはり朝鮮動乱が起りましてから以後増税を重ねました結果、最近は二八、九%ぐらいの負担なつておるようでございます。戰後一時軽くしまして、アメリカの負担は二二・三%になりましたが、それが増税の結果二七、八%程度に最近は増加いたした、こういう情勢のようでございます。併しイギリスにおきましてもやはり税が重いということは相当問題になつておりまして、インカム・タツクスを下げるという傾向にあるようでございますが、それによりましても新聞の報ずるところによりますと、今度の保守党内閣は食糧補給金を相当大幅に削りまして、基礎控除等の引上げによりまして所得税負担を軽くする、我が国の二、三年来とつて来ましたような類似のやり方をやつておるかのように新聞紙が報道しております。これはまだ正確なところはわかりませんが、なお私どもよく参考に研究してみたいと思つておりますが、税收全体としましてはやはり歳出の増加に対応せしめるために、一方におきましては超過利得税を新設するというようなやり方もやつております。絶対額並びに税の負担率は必ずしもそう減らし得るような状態には至つていないんじやないか、これは勿論再軍備の要請から来まする止むを得ざる行き方ではないかと考える次第でございますけれども、いろいろな事情がございますので、税負担につきまして絶対的にどうあるべきかというような見地からどうもすべてを結論付けるというわけには行かないのではないかと、このように考えておるのでございます。将来我が国としまして、減税ができるかできないか、この問題はなおもう少し今後の情勢を見ませんと、私どももなかなか簡單には、事務的とおつしやいましたが、事務的にも言いにくいのではないか、ただ最近までこの二、三年は客観情勢がよほど減税ということをやり易い情勢で推移して来た、今後におきましてはそのような情勢は今までと若干違つた新たな情勢が出て来る。この情勢が果して今後どういうふうに続いて行くか、或いは発展して行くか、或いは縮小の方向に行くか、まあそれ次第でございまして、單純などうも意見をここに申上げましても却つて誤解を招く虞れがありますので、そういう点につきましては、私今ここで意見を申上げることは差控えたいと思いますが、客観的な基本情勢は若干変化しつつあるということは、これはもう皆さん御承知通りでございまして、まあそういう情勢の動きによつてこれは考えざるを得ないと、かように考えておるのであります。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは主税局長の今の御説明は非常に重大な問題だと思うんです。それは今の現実から見ても、申告納税成績が悪いということは、これはもう税負担が過重であるということの実質的な証拠だと思うんですよ。それでこれは政府減税々々と言つておりましたけれども、成るほど資料を頂けばわかるかと思いますが、多少は実質的な減税なつたかも知れません。併しながらそれはもう名目的ないわゆる税法上の減税と比較して著しく少ないものであつて絶対的に税が重いという問題をちつとも解決してはいないと思うんですよ。先ほど租税負担率についてこれはいろいろな情勢から判断しなければならん、戰時には緊張しておるからたくさんとれる、こういうお話がありましたけれども、やはりいろいろな状況を考える場合、生活水準、国民所得、そういうものと比較して考えるべきであつて、アメリカなんか日本の十四倍の国民所得、イギリスでは五倍の国民所得、それで税の負担率を見るとアメリカは二十六年度二六・六%、これは連邦税とその他を入れてですね。日本が二〇・七%ですか、二〇コンマちよつと超えておる。こういう程度、だから比較だけから見ましても非常に絶対的に重いということは明らかだと思うんですよ。ところが今度のいろいろな情勢から言つて、どうも減税がもうできないというような今印象を受けたんです。そういうむしろこれは増税が逆に問題になつて来ておると思いますが、国民はまだやはり本当に実際の税負担の重さから言えば減税しなければならない、こういうふうに皆考えておると思います。輿論もそうだと思います。ところが今の事務的なお話ではありますけれども、大体もう減税はこれでおしまいだという印象を受ける、そこが私は重要だと思います。もうこれで今まで自由党政府減税々々と言つて来たのはこれでおしまいだ、これでおしまいになられたら、これは相当私はやはり問題だと思います。これでおしまいだということになるならばもう楽しみはないと、こう思う。むしろ増税の方向に向うんじやないか、ですから事務当局でやはり絶対的にこれを負担が重くないというような御答弁だと、これは重大問題ですよ。やはり絶対的に私は重いと思います。あらゆる資料から証明できると思いますが、ですから何かまだこれから何とかしてこれをもつと本当に生活に即した税度まで引下げる努力をしなければならないという方向行つておるならいいんですよ。そういうような研究をされておるならいいんですけれども、どうも外国と比べてそう租税負担率がそんなに重くないというようなことを、これは前から問題になつておるわけですけれども、そういうようなことを又蒸し返されまして、どうも最近の情勢とこれを総合して見て、事務当局ももう何といいますか、もう減税ということは大体おしまいになつたということを当然のごとく考えられるようになつておるんじやないかと思うんです。この点は非常に重大だと思います。まだまだ事務当局としても絶対的に重い、その前提に立つて減税に努力をもつとやるべきだと思います。今のお話では、どうも減税努力はこれで終止符を打つたような感じを與えるんです。よそと比べて絶対的に重くないと今言われたんですけれども、これは私は重大な問題だと思うのです。それだつたらそんなに減税しなくてもいいということになるんであつて、この点もつと私は具体的に証明してもらいたいと思うのです。
  43. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 木村さんは私が申上げましたことを少し極端にとつておられるように思いますが、従つて適当に自分の意見余り私の申しましたことをデイヴエロツプしないようにして頂きたいのですが、今後の減税問題につきましては、今言いましたように私ははつきり減税簡單にできるというものでもなさそうだし、逆に減税が絶対不可能であるとも申上げていない。それでこれはやはり今後のいろいろな歳出に対する要請、まあそういうようなことによりまして相当な制約を受けざるを得ないということを申上げた次第でございまして、その点一つ私は更に併せて申上げておきたいと思います。私どもも勿論これは希望といたしましては減税したい、減税できますことを望んでおりますことは申上げるまでもございません。まあそういうことは言わなくてもおわかりだろうと思いまして、実は申上げなかつたところを御了承願いたいと思います。  それから絶対的に重いか軽いかという問題でありますが、私は今絶対的という言葉を申しましたが、併しこれは或いは誤解を招いたかと思います。例えば国民所得等に対する負担の比較等から見まして、各国のパーセンテージを比較して見ますと、日本が重いという数字は出て来ない、こういう意味合いで実は私は絶対的という言葉を使つたに過ぎないのでありまして、負担の比較は勿論そういう見地からだけではなくして、結局いろいろな角度からする総体的な比較でございますね、そういう点がむしろ重視されるべきではないかと考えるのであります。そういう点から考えますと、私はむしろ木村さんのお話のように、所得水準が違つている場合において同じ額の負担をしなければ同じ負担ではない、こういう説は私はやはり一つの極端な説でありまして、少し賛成いたしかねる。やはりその社会における所得水準の下におきましてどの程度負担かということでやはりこれは考えざるを得ない。最低賃金の問題も同様でありまして、アメリカの最低賃金と日本における最低賃金と同じでなければならんという理窟は私はないと思う。やはりその社会におきまする負担なり賃金というものが、これは一種の歴史的な沿革を辿つてそこに辿り着いているわけでございますが、そういう元を考慮いたしましてやはり比較さるべきではないか。そういう点から行きますと、私はむしろ日本の場合におきましては、各国との比較というよりも、日本の過去からとの比較と申しますか、こういう点がどつちかと言いますと更により一層重要な要素ではないかと思います。そういう点から行きますと、先ほどもそのために数字を申上げたのでございます。戰前は国民所得に対しまして一三、四%程度負担であつた、それが最近はなお二〇%を超えております。それから私は二十四年度から比べますと、木村さんの印象と違いまして、やはり減税効果というものは相当現われておる、これは私は見解の差でございます。この点は若しもなお時間がありますれば、相当申上げてもいいと思います。この点は木村さんとちよつと意見を異にしまするようでございますが、ただ今の所得税その他の税負担全体が日本としまして軽いかと申しますと、私はそうじやないとやはり思います。これは主としてやはり過去からの比較等からいたしまして、なおやはり相当重いものであるということは、これは私考えておりますことを御了承願いたいと思います。殊に一番問題になりますのは、やはり生産が大分殖えて来ましたが、一人当りの実質国民所得というものが、戰前に比べますと、来年度あたりはほぼ同じ、或いは若干上廻ることになるかと思いますが、一方におきまして戰争その他による破壞が大きくて、減耗の補填ということに相当所得を使わなくちやならない、それは一方におきましてはやはり資本蓄積の要求というものが大分大きなフアクターだということがありまするし、又政府の予算におきましても、戰争、敗戰を経て来たために、戰前におきましては考えられなかつたような新たなる財政負担がいろいろございます。そういうものを思料しなければならない。従つて財政を或る程度そういう方面から負担をやるといたしますると、まあ結局最近は相当の税金になりまして、国民が自由に消費し得る所得というものは、実質所得の水準よりもより以上に低くならざるを得ない。そうなりますと、そういう前提の下におきましては、やはりこの負担相当重く感ぜられる。又それは実際問題としましても相当重いものになつて来る。このことは決してこれは否定するものではございません。従いまして、希望といたしましては、勿論私どもも税の負担がより以上減税し得る状態にすることが望ましい、できれば私どももできるだけそういうふうに努めたいと思ますが、ただ事情が最近は若干変りつつあるということもやはり私ども考えて行かなければならん。そういう意味におきまして申上げたことを御了承願いたいと思う次第でございます。なおこの問題は相当広汎な問題を含んでおりますので、その中の各項目別に議論しますれば、いろいろな問題もあると思います。大まかなところをさつき申上げましたわけで、やはり私の趣旨をよく御了解を願いますようにお願いしたいと思う次第でございます。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは御説明は一応わかりましたが、私が質問しましたのは、今後の再軍備の問題から関連して来るわけであります。それで本来ならば私は絶対的に税が重いと見ておる。例えばエンゲル係数から見ても五四%なんというエンゲル係数の下で、それで所得税が大衆課税的になつておる。それで戰前でも千二百円までは免税であつたのですから、勿論戦争の破壞によつて資本蓄積もやらなければなりませんから、戰前の千二百円が現在あの程度のものは全部免税すべきであるとは言えないと思いますけれども、過去の実績から見てもとにかく重いものである。全体的にまだ税金が重いというのが一般的な感情なわけなんです。そういうときに税金の今の負担率を合理化するような議論が出て来ると、又再軍備費というものを殖やしてもいい、或いは又本来なら千八百二十億の予算のうち五百六十億、あれは一時的なものですから、あれが終つたら本当はあれだけは減税すべきである。併しあれを警察予備隊の増強費に振り向けてしまつて千八百二十億はやはり変らない、そういうようなことも合法的に使われる危險があるので、私は質問したわけなんですよ。ですから大体お話はわかります。事務当局にこれ以上お伺いしてもはつきりした……デリケートな問題になりますから、この程度にいたしておきます。
  45. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) なおちよつと私附加えておきますが、私ども税の負担につきましては、各税を眺めて見まして、所得税、これはどうもやはり少し殊にこの過去二、三年の所得税は重かつた、これを何としましても軽減しなくちやならんということにつきましては一番実は熱意を持つていたのでございます。今後におきましても私はできる限りそういう方向に行くことが望ましい。できればそういうチヤンスをつかみたい、こう思つておることは申上げておきたいと思う次第でございます。併し間接税等を直ぐ増税したという御意見でございますが、これはにわかに賛成しがたい、やはりそういう点につきましては、今はつきりどうなるということを申上げる情勢も熟しませんし、計画といたしましてもまだそこまでしにくいし、その点はつきりしたことを申上げにくいことを御了承願いまして、その点特に一つ木村さん誤解のないようにお願いいたしたいと思うのでございます。   —————————————
  46. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 本案に対する質疑は後刻に讓りまして、前に戻りまして国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案について質疑を願います。……別に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。  別に御発言もないようでありますから討論は終局したものと認めまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決をいたします。国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いします。    〔賛成者挙手〕
  49. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により、本委員会の質疑応答の要旨を報告することにして、あらかじめ御承認を得たいと思いますが、異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  50. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それでは本院規則第七十二條により、委員長が議院に対して提出する報告書に対し、多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     菊田 七平  西川甚五郎     森 八三一  伊藤 保平     木村禧八郎  岡崎 真一     小林 政夫  黒田 英雄     小宮山常吉  菊川 孝夫   —————————————
  51. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に、公庫の予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案、これについて討論採決というふうに進んでよろしゆうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います……。別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 異議ないと認めます。それではこれより採決を行います。公庫の予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  54. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は委員長に御一任願います。それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     菊田 七平  西川甚五郎     森 八三一  伊藤 保平     木村禧八郎  岡崎 真一     小林 政夫  黒田 英雄     小宮山常吉  菊川 孝夫   —————————————
  55. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは前に戻りまして、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案砂糖消費税法の一部を改正する法律案予備審査について質疑を続行いたします。
  56. 小林政夫

    ○小林政夫君 先般の公聴会で原安三郎氏の公述で、法人税ですか、一般の法人税率は低目にしておいて、まあ例えば一例として原氏の言われましたのは二〇%であります。そうして五%刻みで累進課税をする。そうすればおのずからその企業も自己資本の充実をやつていいのだという意見があつたわけですが、これはまあ先般の法人税の税法の審議のときにも、我々も大体まあそういう考えを持つていろいろ審議をしたわけですが、更にそれにまあ少額所得法人の英国等において免税点を設けているというようなことも取入れて、今の法人税牧を下げない範囲においてそういう調整ができるかできないか。これを一つ政府委員意見を伺いたい。
  57. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この問題は大分前国会で法人税の法案を御審議願いました際に、いろいろお話申上げたと思いまするが、まあ結局その問題は超過所得税と申しますか、超過利得税みたいなものをこの際日本として設けるか設けないかという問題に帰着すると私は考える次第でございます。それでこれは私は先般も申上げましたように、まあそのような考え方に対しましては絶対それはいかんと、徹底的に駄目なんだということは先般も申上げたことだと思うのでございます。先ず第一に、今の法人の企業の状況、並びに税の執行の実情から申しまして、まあやはりまだ超過所得税を設けるのは、少し少くとも時期が早過ぎる。で、まあ殊に今の御指摘は資本金を基準にしましてやれば、法人のほうで自然にこの資本を膨らませるようになるからいいのじやないかという御議論でありますが、併しやはりなかなかそういうことで調整し切れない要素が多分に残る。でそういうことになりますると、果して超過所得として適正なものを見つけ出すかどうか、まあその辺になお相当な問題がございます。併しこの点につきましては再評価を一応いたしましたので、再評価をやる前と比べますと、よほどそういう点の障碍は少くなりつつあるように見ておりますが、まあ併し私ども公平に見まして、相当高い超過所得税をかけまして、その規準が適正な基準であるというような自信のある案が今のところ見つけにくい。で、今お話のように法人税の收入が減らんようにということになりますと、これは相当高率の超過所得税をやはり設けざるを得ない。その率を低くしまして、結局全部法人に課税するような超過利得税になりますと、これは法人税の一般引上げと殆んど差がないことになりまするし、まあそういうことになりますると、特に何に基準を求めるかということが非常な問題になりまして、これは簡單な案はなかなかできにくい。仮に私は今案を作りましてそのような案を出すとしますれば、これは財界あたりではそれは不公平だという議論相当に私は見通しとしては出るような情勢ではないかとまでそういう点は考えております。それから仮にその超過所得税を設けまして、高率な課税をいたしますると、一方において資本を膨らませるという傾向にはなりまするが、同時に濫費と申しますか、経費として無駄な費用、税負担を軽くするという方向にどうも相当やはり行く危險性が多い。でこれは経理統制等をやりまして、一方におきまして嚴重に締めつけることができますれば、まあその弊害は比較的少くなるかとも思いまするが、そのようなこともなかなか今としましてはやりにくいということになりますると、私はやはり相当会社が逆に、超過所得税を起した結果、経費を無駄使いするという傾向を助長する虞れがあるのじやないか。それが第二点でございます。  それからもう一点は、税の負担が一部の所得に対しまして高くなりますと、どうしてもやはり申告、或いは税の計算を会社で作為するという方向に向わせる。そうなりますと、折角今法人につきましては大分明朗になりまして、申告の成績等も非常に挙つております。相当徹底して調査してみましても、少くとも株式市場に上場されているような法人の場合は、これは私相当やはり差が、更正決定、或いは調査による差増減が少くなつておりまして、これは非常に申告の成績がよくなつておる。そういうことに対しまして又再び相当会社が作為をするという方向に少くとも追い込む。そうしますと、やはり適正な課税ということが困難になる。まあ二十五年度の改正の際に、私ども超過所得税はあの際やめるかやめないかについては、実は最初は私どもどうもどうであろうかというふうに感じていたのでございますが、まあやつてみました結果は非常にこの法人税の執行が明朗になりまして、よくなつているように受取れます。でまあ従いましてそういう点をもう少しやはり育ててみたい。そういう点から行きまして、少くとも今超過所得税的なものを設けるということは少し如何であろうか。極く軽度のものでございますと、法人の税率はそう下げられない。すると殆んど今の負担に対する何で相当目的を達成しようとしますと、今私が申上げましたような弊害が生じて来る。それがない程度にとどめて法人税を軽くしますと、歳入が減るのじやないか。そういう見解からいたしまして、今といたしましては私どもどうであろうか。併しこれは勿論だんだんそういう條件が整つて来ておりまするし、又法人の事業というものも動乱以後しばしば申上げましたように、よほど内容が改善されて来ておるようにも見受けられますし、勿論中には思惑等でやり損ないまして、非常な打撃を受けているところもございますが、一般的に見ますと、最近まで殆んど大部分の企業というものが、一応戰時中及び戰後の無理をよほど業種によりましてカバーしつつある。併しまだ十分には勿論カバーいたしておりません。まあそういう点もございますので、そういう状況をよく見合せまして、今のような問題につきましては成るべく研究してみたい。この問題は私ども決して頭からそういう案がいけないということを申上げているわけではないのであります。併し今の情勢の下におきましては、そのように考えておるということを特に附加えまして、御参考のために申上げます。
  58. 小林政夫

    ○小林政夫君 どうも我々のほうには資料がないので、まあ余りこうやればできるじやないかという具体的なことが言えないのですけれども、まあ二〇%なんかにするということは、それは一方の累進の課税率相当高くしなきやならない、税收を同じように押えるようなことになりますと、今まで三五%で一応全部やつて来た、それを四二%と七%引上げるのを、累進は三五%の率を据置きにしておいて、七%で増收になる分を今のような方法を使つた場合においても相当アブノーマルな高率でなきやならないと思います。それから少額所得法人の営業資本の免税点等につきましても、これはどのくらいを免税点にするかという問題がありますが、そこを組合わして、そうアブノーマルでない累進税率でなくて行けないものですかね。
  59. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その点はその超過所得としてよるべき規準を、一部では例えば拂込資本、積立金、自己資本を加えたものに対して何%に押えるか、これが相当問題でございますが、一部で言つているように、相当それを高い率で押えて、超過すればとるということになりますと、これはやはり相当高率な税率を設けないと、なかなか收入が入つて来ない。法人税のこの間の増税で、税率引上げで三百億、課税標準のいろいろな改訂の結果、ネツト百八十億の増税であります。課税標準のいろいろな計算のほうの方法については合理化をいずれにしろやらなければなりません。そうしますと、やはり超過所得税を起すとしますと、三百億に相当するような税率改正、システムの改正によつて收入を図るような方向に行くというようなことになりますと、三五%そのまま据置いてやるとしますと、どうしても私は最高税率というのは七〇%前後にしないと出て来ないのではないかと思います。つまり法人税と事業税とを加えまして、そうしてその上に乘つかりますものですから、七〇%前後にならなければなかなか出て来ないのではないか。アメリカは丁度七〇%くらい、超過しておりますのを全部合せましてなりますように超過所得税を起しておりますが、そうなると先ほど申上げたような問題がいろいろ出て来るのではないかというふうに考えておる次第でございます。この問題は併し一つの問題でございますので、私どももよく今後も研究をして参りますが、今直ぐそういう案が現状の下においていいということにつきましては、私どもは内部でも検討したこともありますが、どうも少しどうであろうか。先ほども申上げましたように、幾つかの点が現段階としましてはまだ実施さるべきものでない、このように考えておる次第でございます。具体的にどうということにつきまして申上げる段階に至つておりませんが、私の大体の今までの経験からいたしますると、今申上げましたことが大体狂いがないのではないかと考えておる次第でございます。
  60. 小林政夫

    ○小林政夫君 大体あなたのおつしやる通りかも知れませんが、試算ですね。甚だ手数をかけて恐縮ですが、やつて見て頂けないですか。相当法人税を納める絶対額の多い法人についてはちよつとの率で行けるような気もするのですがね。相当殷賑産業であるべき日本化薬の社長の原さんがそういうことを提案しているくらいで、まあ今の七〇%くらいに行くほどになると考えなければなりませんが、その点どうですか。
  61. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 勿論この問題は私ども将来研究して行きたいと思つておりますが、ただ私ども今の状況で私の見通しでは、そういう案を出しますと、今度は財界から相当な不公平とか何とかが、今申上げましたような議論がむしろ相当出て来そうで、所得税一般引上げを出しますると、そういうのはどうかという意見が出る、そういつた程度の、大体いろいろ今のその問題に関する現在の情勢ではないかと私は判断しておりますが、併しこの問題は、私が最初に申上げましたような事情も徐々に前提としまして、改善をし得るような方向に行き得る点もございますので、今後はその状況を一面研究してやつて行きたいと考えております。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最近の法人の再評価の状況はどうなんですか。
  63. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 再評価でございますが、大体第一次、一回には二十五年度にやることを認めまして、二十六年度に第二次の再評価をやることにして、昨年法律を変えてもらいましてやりましたが、一回目と二回目の実績を申上げますと、これは会社の減価償却資産、これが大部分でございますが、これは一回目におきましては、法人税八百七十八億六千万円程度の帳簿価額のものにつきまして、それを七千四十億六千万円程度の帳簿価額の再評価をいたしております。従いまして九倍くらいの再評価で、再評価差額が六千百六十二億出ております。それから第二回目につきましては、五百九十億程度のものに対しまして、千五百四十三億程度の再評価額にいたしております。差額が九百五十三億円ほど出ております。法人の減価償却資産の分でございますが、これが大部分の再評価でございまして、概要その通りなつております。なお詳細な点はのちほど申上げてよろしいかと思いますが、極く概略のところを申上げたのでございます。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何か資料みたいにしてお出し頂きたいのですが、それからこれは主税局長も御承知のように、法人の超過累進課税をやめたのは、再評価の問題があつて、それで再評価しない会社とした会社ですね、古い会社は資本金が小さい。それで直ぐ利益率が大きくなつて、それで超過累進になる。ところが新らしくできた会社は再評価資本金が大きいから超過累進にすぐならない。これは丁度片山内閣のときですか、税制懇談会がありまして、私もあのとき行きました。その関係で不均衡関係で、前の会社と新らしくできた会社との……。それでですね、これを廃止してもらいたい、こういうあれが大分要求が強かつたのですね。そういう経過から私はこれが法人の超過所得税をやめる一つの大きな理由になつたと思う。その後大体この再評価というものはこういうふうに一応済んで来て、それで増資なんかも一応できて、大体そういう形が整つて来れば、又超過累進の前の形をやつてもいい時期になつているのじやないのですか。そういう面から見てはどうなんですか。
  65. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 超過所得税をやめました一つの理由は、今木村さんのお話になりました点も一つの理由でありますることは申上げられるのでありますが、併しそれだけではなくてそのほかにもいろいろな理由のありましたことも御承知通りであります。それで再評価を認めました結果といたしまして、お話のような点がよほど是正されるということにつきましては、私は先ほど小林さんにも申上げました通りでございます。まあ併し何と申しましてもやはりまだ古い資産をたくさん持つているものにつきましては再評価をいたしましたが、新設法人に比べますと、資本金というものがどつちかというと低目でありましても、これも実際問題として……それから最近の会社の資本金というものは相当大きな事業をやつてつても、主として借入に依存しておりまして資本金が小さいのと、それから資本金を相当大きくして借入等は少なくしてやつているのと、新らしい会社につきましても非常にまちまちでございます。それを恐らく木村さんは超過所得税をやれば、それは会社が間接的に自分で調整するからいいじやないかと、こういうお話、これも確かに私は或る程度におきましては尤もな話だと思いますが、併しいざとなりますと、なかなかそれではやり切れない、不公平だという議論が同時に相当出て来る要素も含んでいるということを考えざるを得ない。そういうようなことでありまして、仮にやるといたしますれば、もう一遍再評価をやる機会を與えるか與えないか、これを一緒に考えないと、うかつに提案できないのではないか。そういう点がいろいろございますので、この問題は私将来の問題といたしましてよく一つ研究はいたして見たいと思いますが、今すぐやつたほうがいいというところまではどうも申上げにくいということを申上げておきます。
  66. 小林政夫

    ○小林政夫君 僕も今すぐ云々ということでもないのですが、一応今の再評価をやらなかつた産業、まあ会社というものは大体收益が少いからやらないので、これが累進課税に引つかかる会社ではないと思うのですね、再評価をやらなかつた会社は。再評価ができないということは結局収益が少いからできない。自信がないからできない。従つて今の超過所得税を課せられる、累進課税を受ける会社は相当高收益な会社であり、これは当然再評価を若しやつていなければ怠慢で、やるべき実力のある会社なんです。そういうことを実行する場合に、若しその後の事情によつて非常に営業成績がよくなつて再評価ができるという状態になれば、そういう制度考えるときは同時に再評価の機会を與えるということを並行的にやる。そうして今の銀行のオーバーローンの解消も結局銀行金融制度だけをいじつてもこれはなかなか解決しないので、やはり企業の面も、自己資本の集積ということも考えなければ解決しないと思うのです。そういう点から言つても成るべくそういつた累進課税を受ける会社は自己資本の調達もやろうとすればできる環境にあるのだから、どんどんやらせるということの意味から言つて、今の銀行のオーバーローンの解消も役立つものだと思う。そこでそういう意味からも考えて見るべきだと思うのですが……。
  67. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) そういう意味からもということでございますので、これは私は確かにそういう意味もよく考えなければならんと思いますが、併しこの問題はそれだけの見地でやるというわけにも行かないので、そういう要素も考慮してやらせて、よく検討すべきであるということでございますれば、その通りであると存ずる次第でございまして、私今後の経済情勢がどうなりますか、先ほど申しましたような経済的な事情がどうなつて行くか、そういう問題とも関連いたしましてよく研究して見たいと思います。
  68. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 本日の委員会はこの程度を以て散会いたします。    午後零時十五分散会