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政府委員(
平田敬一郎君) この問題は大分前国会で法人税の法案を御審議願いました際に、いろいろ
お話申上げたと思いまするが、まあ結局その問題は超過
所得税と申しますか、超過利得税みたいなものをこの際日本として設けるか設けないかという問題に帰着すると私は
考える次第でございます。それでこれは私は先般も申上げましたように、まあそのような
考え方に対しましては絶対それはいかんと、徹底的に駄目なんだということは先般も申上げたことだと思うのでございます。先ず第一に、今の法人の企業の状況、並びに税の執行の
実情から申しまして、まあやはりまだ超過
所得税を設けるのは、少し少くとも時期が早過ぎる。で、まあ殊に今の御
指摘は資本金を
基準にしましてやれば、法人のほうで自然にこの資本を膨らませるようになるからいいのじやないかという御
議論でありますが、併しやはりなかなかそういうことで調整し切れない要素が多分に残る。でそういうことになりますると、果して超過
所得として適正なものを見つけ出すかどうか、まあその辺になお
相当な問題がございます。併しこの点につきましては再評価を一応いたしましたので、再評価をやる前と比べますと、よほどそういう点の障碍は少くなりつつあるように見ておりますが、まあ併し私
ども公平に見まして、
相当高い超過
所得税をかけまして、その規準が適正な
基準であるというような自信のある案が今のところ見つけにくい。で、今
お話のように法人税の收入が減らんようにということになりますと、これは
相当高率の超過
所得税をやはり設けざるを得ない。その率を低くしまして、結局全部法人に
課税するような超過利得税になりますと、これは法人税の
一般の
引上げと殆んど差がないことになりまするし、まあそういうことになりますると、特に何に
基準を求めるかということが非常な問題になりまして、これは
簡單な案はなかなかできにくい。仮に私は今案を作りましてそのような案を出すとしますれば、これは財界あたりではそれは不公平だという
議論が
相当に私は見通しとしては出るような
情勢ではないかとまでそういう点は
考えております。それから仮にその超過
所得税を設けまして、高率な
課税をいたしますると、一方において資本を膨らませるという
傾向にはなりまするが、同時に濫費と申しますか、経費として無駄な費用、税
負担を軽くするという
方向にどうも
相当やはり行く危險性が多い。でこれは経理統制等をやりまして、一方におきまして嚴重に締めつけることができますれば、まあその弊害は比較的少くなるかとも思いまするが、そのようなこともなかなか今としましてはやりにくいということになりますると、私はやはり
相当会社が逆に、超過
所得税を起した結果、経費を無駄使いするという
傾向を助長する虞れがあるのじやないか。それが第二点でございます。
それからもう一点は、税の
負担が一部の
所得に対しまして高くなりますと、どうしてもやはり申告、或いは税の計算を会社で作為するという
方向に向わせる。そうなりますと、折角今法人につきましては大分明朗になりまして、申告の
成績等も非常に挙
つております。
相当徹底して
調査してみましても、少くとも株式市場に上場されているような法人の場合は、これは私
相当やはり差が、更正決定、或いは
調査による差増減が少く
なつておりまして、これは非常に申告の
成績がよく
なつておる。そういうことに対しまして又再び
相当会社が作為をするという
方向に少くとも追い込む。そうしますと、やはり適正な
課税ということが困難になる。まあ二十五年度の
改正の際に、私
ども超過
所得税はあの際やめるかやめないかについては、実は最初は私
どもどうもどうであろうかというふうに感じていたのでございますが、まあや
つてみました結果は非常にこの法人税の執行が明朗になりまして、よく
なつているように受取れます。でまあ従いましてそういう点をもう少しやはり育ててみたい。そういう点から行きまして、少くとも今超過
所得税的なものを設けるということは少し如何であろうか。極く軽度のものでございますと、法人の
税率はそう下げられない。すると殆んど今の
負担に対する何で
相当目的を達成しようとしますと、今私が申上げましたような弊害が生じて来る。それがない
程度にとどめて法人税を軽くしますと、歳入が減るのじやないか。そういう見解からいたしまして、今といたしましては私
どもどうであろうか。併しこれは勿論だんだんそういう條件が整
つて来ておりまするし、又法人の事業というものも動乱以後しばしば申上げましたように、よほど内容が改善されて来ておるようにも見受けられますし、勿論中には思惑等でやり損ないまして、非常な打撃を受けているところもございますが、
一般的に見ますと、最近まで殆んど大部分の企業というものが、一応戰時中及び戰後の無理をよほど業種によりましてカバーしつつある。併しまだ十分には勿論カバーいたしておりません。まあそういう点もございますので、そういう状況をよく見合せまして、今のような問題につきましては成るべく研究してみたい。この問題は私
ども決して頭からそういう案がいけないということを申上げているわけではないのであります。併し今の
情勢の下におきましては、そのように
考えておるということを特に附加えまして、御参考のために申上げます。