○
公述人(原安三郎君) 私は
租税研究協会の副
会長をや
つておりまするが、実際運営面を司
つておりまするので、詳しいことは
井藤さんなどの御研究を願
つておるわけなんですが、ただ今度参議院のほうに廻
つておりまする今年度の
税制改正の要綱を拝見いたしまして、それについて私たち実際面を司
つておる側からの考え方を述べさして頂きたいと思
つております。本年度の
税制改革の今議題に
なつておりまする御討議中のものは、大体が昨年の補正予算のときに特例法として持たれたものが平年度化したということで、そのときに相当研究をされましたもの……、たしか
衆議院の
公聽会に
公述人として出ましてお話を申上げたことを繰返すこともございますし、又
租税研究協会あたりでいろいろ提案しておりましたものが幸いに具体化したものもございます。併し或る場合は我々の希望の一
部分さえも取上げて頂けなか
つたというようなものもございますわけであります。つきましては、これを順次プリントにございます順序で申上げたいと思います。
所得税については、いろいろその後、昨年の大体の補正予算できま
つた臨時特例法の範囲で順次これをそのまま運用されることに
なつておりますので、やはり従来から見て二百万円以上五五%となりました点だけが、
最高の限度として使
つておりますが、これは大変いいことで、
従つてやはり資本蓄積をせしめる、
個人的にもやはり資本の蓄積が必要でありまして……前途を楽しまないで、その日暮しに
国民をさすという、
税金を稼ぐために働くという感じを持たしめないで、余裕を持たしめる考えから行きまして、少しでも
税率を下げて頂くことが
シヤウプ勧告の基礎でございましたが、この点は非常に結構だと思います。
あとで申上げたいと思います。それでこの際申上げたいのは例の富裕税の問題ですが、これはやはり連関性を持
つておりますから、私は富裕税を廃止するという点からこの
最高限度をもう少し上げてもいいという考え方があるのです。このほかに低
收入者に対しての
税率は今申上げましたように、資本を蓄積せしめ、貯蓄を殖やす
意味において結構ですが、
金額の多いほうは二百万円以上五五%の線をもう少し上げたら富裕税を廃止するということがいいのではないか、この考えております。富裕税は、シヤウプさんは一種の社会政策的の観点からああいう税をお置きに
なつたように考えております、又一方、それあることによ
つて何となく高額
所得者が余計税を拂うという感じを持たしめることは結構ですが、あれが一種の
財産税の性格を持
つておりますし、非常に徴税に費用もかかりますし、又税務官吏とそれから
納税者との間の摩擦もなかなか多いのです。いわんや又税務署関係で決定した不動産などの評価に非常に観念的の評価がありまして、而もそれが近頃全国的に行われております
地方税の固定資産税の課税客体の評価と食い違いがあ
つて、
一つのものに評価が二様に
なつておるというがごとき考えを
国民に持たして、甚だよろしからんと私は思うのであります。而も固定資産税のほうはあの評価が若し不十分であるならば、一定の期間内に異議を申立てることを許されておるわけであります。税務署関係で……
国税庁でおきめに
なつて各所に知らすわけでありますあの富裕税の基礎に
なつております評価と、その間何ら固定資産税との連関性がありません。固定資産税の基礎になる評価も世間にはいろいろ非難はありますけれども、先ず一応各市町村でこれを細かく扱
つておりますから、おいおい完全なものになると考えますが、今の富裕税の基礎のものはその考え方が観念的に決定される虞れがあるように思うのです。でありますから、そういう点から考えましても、又美術品その他のものの評価の点においても、なかなか折衝とか応待とか甚だ好ましからざることが行われておる。而も税額は二十億前後を予定しておられたのに、二十七年度では十一億ぐらいに減りました。
一つの社会政策的の
意味でお置きに
なつておれば別問題ですが、そうでないとすれば、あれはむしろ廃止して
所得税一本にして、高額
收入者のほうの
税率を上げるほうが趣旨が一定するではないか、又いろいろ摩擦及び徴税費の点から言
つても富裕税を廃止するように私はいたしたいと思います。これはただ提示された
法案に
なつております
所得税に関係がございまするから申上げます。それから青色申告に関することについて、十八歳未満並びに配偶者を除きましたものに対して、その経費の中にその人たちの給與を認めるという
制度は、かねてからたびたび青色申告者優待として当然のことでありますけれども、優待に対する提案を中小企業者のためにあらゆる機会に我々が唱えておりましたことが一応実行されましたが、まだそのほかに希望することは青色申告をいたしますのが当り前で、正直なという
言葉は間違いで、
納税者の課税基礎になる
收入並びにその他の申告、
所得の申告は正直であるべきはずなのです。大体が不正直者が多いために、正直者が却
つて珍しがられておる、そうして不正直者が得をしておるという感じが非常に強か
つたのが、青色申告にもこういう
制度を
一つでも殖やしてもらうということによ
つて、青色申告者が殖えるということになるのじやないか、当初青色申告は、当事者である税務署がこれを阻止しないが、消極的な扱いをしておりました。私は、これは
シヤウプ勧告がなくても、かくのごとき
制度が
日本全体に行われることを心から希望しておるものの一人であります。即ち私の持論は
日本の
国民全体が家庭を單位として、そうして貸借対照表を
個人が全部
国家に提出する習慣をつけることが非常にいいのであります。全部の人が、
個人々々が貸借対照表を出すことができますれば、勿論記帳をしておらなければできませんが、そうなると徴税費も課税費も非常に助かる貸借対照表を以て
納税期に三度でも四度でもこれを分割拂にして銀行の窓口で
税金を小切手で放り込む。窓口はそれをチエツクする、同時にこれが最後の整理をする税務の役所で処理される。そうして間違いなく受理ができるというぐらいにすることができますれば、会社から
個人がもら
つておる
收入もそれではつきりいたしますし、いわんやそういう場合には法人は当然立派な申告ができるはずでございますから、かくのごとき方法をとれば、今七万ぐらいの人を使
つておる税務官吏も、或いは七千人で済むということもありますし、又
国民が喜んで
納税をするということもございまするから、非常にいい
制度だと思いますが、その前に
税制が十分確立されて、
国民が全部納得が行くという
税制はございませんが、まあ一番摩擦の少い
税制制を確立する必要があると思いますが、そうなれば、そういうふうな
制度をとりたいと私は思
つているぐらいでありますから、その
一つの現われである青色申告は
シヤウプ勧告……これあるかなと私は感じましたわけなんです。ところでそうなれば、今度ぐらいの程度で青色申告者はもう安心して申告するかどうか、これはまだ不足じやないかと私は思います。それが青色申告をした人はその利益の少くとも一〇%か二〇%は一応棚上げしてもら
つてその
残りに
税金をかける。それを
所得税の対象にするような程度にしてもらうと青色申告者が非常に殖えるのじやないか、こう思います。現在では青色申告をしたものがどうもそれ以上税務署に掘下げられることがあ
つて、税務官吏の心理
状態も青色申告をしておる者がまだ何かあるのでないか。こういうふうな従来の不正直な人たちが多か
つた関係から、相変らず掘下げ主義、何か惡い点を発見しなければ納得が行かないというような行動が多いことを遺憾とするわけなんでありますが、ここに
所得の一部が一応
控除され、その
残りのものに税がかかる……、丁度ドイツの会社に関する
法人税、
所得税の一部が、一部と言
つても五〇%が昨年度まで一応課税の目的にならなか
つたという、この五〇%は行過ぎでございまするが、こういう何%かの
控除をするなんということを青色申告者に許すとすれば、青色申告というものがますますその数において又申告において非常に正直なものが出る、こういうことになるのじやないか、そういたしましたら私の今考えておりまするような
制度も将来において確立するということに考えられます。で、私考えますのは、
日本の
税制などはいつも英、米、独、仏などという先進国の税のあり方がどうであるかということにいつも考えられておりますが、これは
日本は
日本のあり方があるのではないか、そんなふうに考えます。でありますから、これは
日本の
国民が大体納得の行くという習慣、従来の歴史などから考えて納得の行くというものがそこに現われて来るのじやないか、
税制がときどき変ることで甚だ
国民も安定いたしませんし、税務官吏の取扱も困るというような御説が
井藤先生から先ほどありましたが、これはまだ
シヤウプ勧告というものの大きな線が
日本にそのまま即するか、或いは
日本に合うか合わないかということを考えないで、一応規定されましたが、これが
日本のあり方、あるべき姿においおい修正される期間はここ一、二年……、早いほど結構ですが一、二年は止むを得ないのじやないか、その一番いい姿を決定いたしましたら、かくの如きことも比較的皆様が納得して
納税をし、又課税を楽にするということも行われて、税務方面における摩擦が非常に減るのでないか、こういうふうに考えます。その
意味から
税制のたびたびの変更もこの際止むを得ない。併しながら
国民全体がこの線で遠慮のない
意見を国会その他に反映いたしまして、そうしてそこで立派な結論を出して頂くことを希望するわけであります。私、ここで青色申告者に連関いたしまして少し詳しいことも申上げましたが、さような形に持
つて行きたいということから青色申告者に一応の天引の
基礎控除をもう少し許して頂いて、経費の上において給與の実際使
つておる人たちの給與の増加を見ている以外に、より多くの奨励方針なり、或いは正直者をほめてやる、正直者を奨励するということの
意味から、さようなことを決定して頂くと非常に仕合せじやないか、こう考えております。たまたまこの青色申告の裏付に
なつておりまする公開経営という
一つの団体の世話をしております実際から、切にそのことを考えましたわけであります。
それからその次、変動
所得に対する問題は細かいことを申上げますといろいろありますが、先ずこの退職手当の問題は、相当退職手当そのものが長期勤務した人たちの最後の老後を養う退職手当が一緒に総合されるなどということが是正されましたので、この点について先ず段階的にはここらでおきめを願
つても、従来から見れば
一つの進歩であり、企業体に従事しておる人たちが老後を比較的安心しながら働けるということに
なつて参
つたと思
つて、これは喜んでおるわけなんでありますが、ただここにこの第五のところに医師の社会保險に基く
收入に課税し、又公認会計士及び弁護士、この公認会計士と弁護士のほうは会社から頂くものを除くと
なつておりますが、これは当分仕方がないと思いますが、ここに原稿料その他、これは原稿料は原稿料以外にいろいろ著作権、著作という
一つのまとま
つたものとか、或いは映画の賃借料というものが入ると思いますが、これは会社でなくして、そうして一般
個人からその支給でも取るということに
なつておるのは何となく公平を欠いておるような気がいたしておりまするが、ただこの
税制を是正する上において、單に公平ということから理論的にのみ論ずることもどうかと思いますが、この点でお考えを詳しくいたされて御研究の結果、公認会計士と弁護士のほうは会社からもらうもの、それからその他のものは
個人からもらうものでも差支えないということにしてあるのは、その点についての御研究をお願いしたい。なぜこういうふうに
区別をつけたかということは、これは私の研究ではまだはつきりいたしません。そこでこの中間に現われております
納税義務者に対する一種の鉱業権その他の特許権、こういう使用料に対するものの
税金が、これは確か二〇%になると思いますが、これが我々非常に問題にしておる点でございます。それは終戰後アメリカから
日本の技術を見に来ております技術者のすべての
意見が、大体
日本は十年乃至十五年遅れておる、それを新らしい発明を今
日本が取りあえず研究して、十年、十五年の遅れを取戻すよりも、現在すでにある世界の技術を取入れるほうが便利だ、そのほうが
日本の復興にはいいという
意見が一致しております。我々も同感です。そういう
意味から残念ながら研究所とか、或いはその他の研究機関が非常に不活発であります。なかなか実績が挙らない、こういう場合、
日本としては合理化並びに近代化の線から海外の技術を取入れなければならんわけです。これが非常に広く取入れられております。殊に鉱業関係、マイニングの関係は大きなものは相当約束もされ、実行されておりますが、これに対して二割の課税が新らしく起るんですが、この問題は
大蔵省筋に相談して見ましたら、
日本の課税がなくとも海外でその国々にいずれも二〇%程度の税が取られておるから、その特許料を海外で差引いてくれるから特許権者は損がない、こういうことが言われておるわけであります。一応この説明は国際的にそういうように
なつておるようでありますけれども、特許というものは非常に秘密を要するものでありまして、大体秘密契約に
なつております。
個々の特許を我々が国内で使用する場合に非常に細かい規定がございます。それは他の社がこれを窺い知ることに相成
つておりません。それは向うの特許を持
つていらつしやるかたにも、他のそれに類似した特許を持
つていらつしやるかたも知り合
つていないと思いますが、そういう関係でありますから、この
税金のごときもはつきり
幾らのロヤリテイをもら
つておるという点がなかなか計算がしにくいという結論が出て来るんじやないかと思います。即ち特許使用料一ヵ月百万円或いは十万ダラーということがきま
つておれば結構ですが、或るものは生産高により、或いはその技術者の給與によりなどといういろいろな面からこの特許料を決定しております。計算が非常に細かく相成
つて、而もそれが両者の秘密に相成
つております。そういうことからここにロヤリテイ課税という問題が起りますが、これだけが
日本の特許使用者が余分に使用料を拂わなければならん、こういうことが行われる虞れがあるのです。で、これは一々の
内容を私見ておりませんけれども、その中に
日本が持つロヤリテイ、特許料その他の使用料の料金を上げた場合に、その分だけはその
金額に応ずるだけ高くする、或いはその他の方法においてコンピートする、こういうことがあるのではないかと、こう思われます。これは各社の間でや
つておることでありますから、殊にこの種のものは秘密がよく守られるか知りませんが、大分どうも皆この規定を聞いて、青く
なつておるという
状態から見て、ここに事実が
存在しておるんじやないかと思います。でありますから、
大蔵省が考えておりますように、
日本が二〇%課税しても、アメリカ政府が二〇%課税しておられるとすれば、その分はアメリカ政府が取らないで
日本政府がそれを取るのであります。勿論二五%課税してアメリカが二〇%しか課税しておらなければ、その五%はやはり特許権者の
負担になるわけでありますが、そういうことでなく大体同額のものが取られておるものとしても、その場合にその
通りに行けばアメリカの取るところを政府が遠慮して、
日本政府が取るということになりますが、特許権者並びに使用権者にも影響がないわけでありますが、今申上げましたような契約の中にそういう細田かい事情があ
つて、これを掘下げて一々基準にすることはできないわけであります。そこに非常にデリケートな線がございますから、この点はよくお考えを願
つて、これは特許権に対する使用料、又これは使用料と書いてありますが、これはあらゆる面を含むことに恐らく
法律はきめると思いますが、この点を絶対に取るということを御遠慮になることがいけないまでも、せめて五%、一〇%でも相当大きな
数字で辛いんじやないかと思いますが、この点どうか
日本の今の幼稚な事業を育成するということで、現在まで海外の指導育成を技術的に大いに得ておるという点をお考えに
なつて、これから又一年、二年、数年は講和発効後ますます多くなる、技術上の合理化、近代化ということが天下に唱えられておりますが、その
一つはこういう種類の取入れでありますが、ここ十年もたちますと或いは
日本の特許が海外で逆の
立場に立つということが考えられますが、今までの
日本においては戰争一辺倒に行
つておりましたから、技術が非常に退歩しております。その点から是非ともこの点に御注意をお願いしたい、こう考えるわけです。これは私実はたまたま書類を持
つておりますものを
皆さんにお分けしようと思
つておりましたが、部数が足りませんから、一応
皆さんのお手許に最近に今私の申上げましたことを、もう少し詳しく書いたものをお廻しして御
賛成を得たいと思います。
法人税の問題を申上げます。
法人税は私はやはり英国式の形の課税を希望いたしておりますわけなんでありまして、この点で私は、
日本の法人に関する扱い方は、さつき
井藤先生のお話の中には
税金を少くするがために非常にたくさんの
株式会社が
存在するということを言われておりましたが、これは全く五万円、十万円の会社ではできませんが、
日本の
立場、この国の産業の一翼というか、或いは考え方によれば、そのフアウンデーシヨンにも
なつておる企業は全国の取引所に現われておる株の銘柄約七百種類、これをもう少し切り詰めまして、そうして世間一般、国氏全体が大会社なりと見ておるのが三百社前後にしかなりません。こういう種類のものがいわゆる
株式会社として、この
法人税の影響が非常にその仕事を生かすか殺すかということに相成るわけなんです。ここに御注意願いたいのは
所得税との関係で、一般
個人所得税というものそのものが最近の、殊に終戰後の傾向は
減税の目標と
なつておりますので、増收を見ながらあまり殖えない
状態に参
つております。ここに私今朝参りますときに
数字を
ちよつと見て来たんでございますが、二十四年度から今度の二十七年度の予算を見ましても、これはもう
皆さんのほうがよく御存じでありますが、二十四年度の
所得税を一〇〇と見ますと、本年度は
金額の上において八〇%に
なつております。ところが
法人税のほうは二十四年度の予算を一〇〇と見まして本年度は三七五である、三倍七分五厘に
なつております。即ち二十四年度は
法人税收入というのは五百億しか見ておりませんですが、今度は千八百七十九億に
なつておりますが、一体この法人は私今申上げましたように、いわゆる大きな資本を集積して、そうして大きな事業を営むことに
なつておる会社を
意味するわけなんですが、
日本の国のこの大きな戰争をするということのここまで八十年の間に育成されておるのは、
日本の
株式会社組織であ
つたと思います。この
株式会社組織は集積された資本を経営者がよく運営したということも
株式会社に対する信用が殖えたものであろうと思うのであります。今後の
日本もやはりそうでなければ
日本の立ち上りはむずかしいんじやないかと思います。そういうことから
株式会社、即ち
株式組織による資本集積をしておるものを尊重するということ、單に
税金が取りやすいということでこれに重きを置くということよりも、今申上げましたようにこれを育成し進めて行くという形をとりませんと、現状では非常に各会社とも
税金の
負担が多くて蓄積資本がございません関係もたびたび言い古されておりますが、而も自己資本の獲得、
株式増資にしても又社債の獲得にしても、社債の振出しにしても意のごとく参りませんというこの頃の特別事情は別として、自己資本でこれを進めて行くという、蓄積資本で進めて行くということが、終戰後、特に最近の
状態ではひどくできなくな
つたのであります。昨年の三五%が本年四二%に
なつておりまして、補正予算後二割殖えておりますが、これをただ英米などに比べて
法人税が少いんだという考え方は間違いなんであります。
日本の現状から考えて頂く必要があるので、
日本もここにおいてこういう強い、額の多い、率の高い
法人税でない時代を少くとも数年過さしてもらいますと、これが立派に合理化、近代化の目的が達せられまして、英、米先進国と比べて
日本の品物がコンピイーテイブ・プライスされ、国際的の競争価格でも、コンマーシヤル・プライスでも出せます。又日米協力と申しましても、何とい
つても設備その他が遅れておりますために、同種品で東南アジア方面で同じ品物が受入れる機会の非常に少いことを虞れておりますわけなんですが、そういう点では生産設備及び合理化設備が遅れておる、これが自己資本でやれないという点に非常に苦労がある。自己資本でや
つて行く、自己資本を入れるをいうことはこれに対する利廻りを必要といたしますが、株主の資本利潤から使わしてもらうということによ
つてその目的或いは内部の仕事を進めるという利益がありますけれども、これはもう
皆さん御存じの
通り現在の四二%に対して、事業税のほうは損益勘定に入れて経費として見てもらいますけれども、これもはね返りがございまして、少くとも公称利益に対して六%二、三分影響いたします。又住民税にもこれが早速影響いたします。少くとも六〇%程度のものはこの種の
負担がはつきりいたしております。それ以外に配当とかそういうものを計算いたしますると、社内に残るものは、相当いい利益に対して、利益処分が比較的少か
つた会社でも三〇%前後のものしか残
つておりません。昨年まではドイツは五〇%一応純益を
控除して、その
残りの五〇%を法人に対して
税金をかけてお
つた。これがどれだけ西ドイツの復興に役立
つたかということを我々思いますときに、
日本は法人だけが狙いをつけられて、いつも、惡い
言葉ではありますが、搾られているということに
なつておるのではないか。昨年度は
貨幣価値も下
つてお
つたけれども、相当利益が出たのは、これは朝鮮動乱から来たアブノーマルなことで、これを以て推すことはできない。いわんや昨年度六百三十億の予算が八百五十五億法人だけは殖えた、そうして千四百億に御研究に
なつて補正予算ができておりますが、今度これが千八百七十九億と
なつておりますが、これは大変な
負担で、この点は一体我々自身が終戰後法人だけがこんな
負担をしなければならん
状態に
なつておるということに鑑みまして、我々自身のこの一番大切な
日本経済の基礎になるべき法人が、かくも
税金でいじめられるという形をとられることを非常に遺憾に考えておりますわけなんでございます。ところが海外の実例を見ますと、
日本は余りそれぞれ法人の率が少くないという点ははつきりしております。ただドイツが差引きません代りに本年度五〇%程度になりましたから、これが
日本に追いついて参りましたことになりますが、
日本は又そたをどんどん上廻
つて来ておるということが考えられておりますので、
法人税については私は二〇%なんぞはここで極く楽な形でありますが、二〇%程度の超過利得税を取られましても、一般の
税率を下げて頂くことを考えて頂かなければならん、三五%は多いと私は思
つております。これも
日本の国力の基礎になる法人を育成して頂けば、法人自身がこれに耐え得られる時代は数年ならずして来ると考えられますので、その時代には当然海外と同じような、率の課税があ
つても差支えない。現在の弱り切
つたところでこの大
負担をせしめられることは困るということに御承知を願いたいと思うのであります。
ただこれに連関しておりますのは、さつき
井藤氏も触れておられましたが、この前三五%の
法人税の時代に、
個人の
配当金を申告いたしますときに二五%
控除されましたものが、そのまま今度は
法人税の七%の上昇にかかわらず放置されておるのであります。あれはたしか
所得税法の十五條にありましたと思いますが、あれは今お話にあ
つたように法人を英国式の見方で、
個人の集合体だというこの見方、この問題の取入れ方によ
つて決定しておりますが、この一応決定しておる、シヤウプ氏のきめられたことの中で、今度の四二%に睨み合して、私は少くとも三〇%以上は
個人の
所得申告のときの配当関係とか、二五%を二〇%以上
控除して頂くことにしなければ不公平でなかろうかと、ここに法の修正が手遅れに
なつたことがあるのではないかと、こういうふうに考えております。
次に
相続税の問題です。この
相続税のことは、これはやはり
所得税をシヤウプ氏が一般
税率より下げたということと連関しておりまして、
国民の貯蓄心を殖やし、そうして子孫に資産を残すという考え方のいい惡いは別問題として、少くとも自分の生きておる間に目分の儲けたものは全部浪費してしまうんだというような考え方を持たしめないようなことから言
つて、この
所得税率の高いことは甚だ好ましいからん。いわんや一般
所得税を下げておいて、
相続税の率を上げたという形は甚だ面白からんと思
つておりましたが、これは一応下げられました。一応下げられましたことは大変喜ばしいことだと、こう考えますが、もう一段これを下げて頂くことが望ましい。高い
税率を課せられるということは非常に蓄積心を少くし、又は
相続税脱税のための手段を講ぜしめるということが考えられるわけなんです。私はただここに考えますのは、アメリカの
相続税よりも
日本の
相続税は少し高くてもいいという私自身の
個人論はございますけれども、これは
日本人は、蓄積ということは結構でありますが、アメリカのほうは子孫に美田を遺すとか遺さんとかいう観念よりも、社会事業に自分の蓄積したものを死ぬまでに使
つてしまう。一応は儲けておいて、そうして死ぬまでにこれを又使う。そうして社会のために使うという形が非常に多いわけであります。その点から言
つて、
日本は一応蓄積することばかりに
なつておりますが、この考え方はここで
税金の問題とは別に
一つ我々が考慮しなければならん問題ですが、
日本のこの蓄積を希望するということは、
相続税問題についても、この蓄積されたものを有効に使える、子孫に廻さなければならんという点にむずかしい点があります。これは法制上の問題ではございませんけれども、人間教育上の問題ですけれども、考えなくちやならんわけでありますが、その点でアメリカの
相続税の
税率が少いというのには、その蓄積者というか、或いはその資産を成した人たちが、一応自分の一生に儲けて使うという、こういう考え方が入
つておる。その使い方が、社会事業に使う、或いは亡く
なつても遺言状にこれを社会事業に使わしめるようにしてあるということが、少し
日本の習慣とアメリカの習慣と
相続税に対する見方が違うと思います。
ここに問題となりますのは承継制式に
なつておることは、これは修正して頂かなければならんと思います。
相続税と
相続関係から……それは遺産
相続のときの率は低か
つたのですが、これは当然なことだと思います。資産の増加はないのでありますから……。この点は承継問題と一緒になり
つておりますのは、シヤウプの特例でございますが、この点はむしろ分けて頂くほうがいいのじやないかと思います。併しこの
税率をどうするかという問題については詳しく検討して頂かんといけないと思う。私はそういうことまで考えておりませんわけでありますが……。
次に
消費税の問題でありますが、私は今のところ
所得税一本、直接税一本のシヤウプの考え方でなく、どうしても
消費税或いは
流通税によるという形をとるほうがいいのではないかと、こう思いますわけであります。それは
流通税によりますと、物を余計消費し、又はその機関を余計使う人たちが、サービスを使用するだけ余分に
税金を
負担するという公平性を保ち得られるわけであります。これのみによるわけには行きませんが、そういう形の線に出ることを考える点から言
つて、
消費税の増徴も止むを得ないのじやないか。ただこの砂糖に対する
消費税はどうかということについては、
税率について私は
意見は申上げかねますが、ただこの
消費税は現在
日本の生活に対して僅か三%、これは計算は非常にむずむいのでありますが、いろいろの実例を取上げましても三%乃至五%くらいしかかか
つていない、生活費のうちで……。でありますからして、
間接税、
消費税というものはもつと殖えてもよいではないかとこう思
つております。
所得税の
日本全体の平均が二〇%以上ということを考えます上から言
つて、これを補完税という名前にいたしますか、
消費税という名前にいたしますかは別として、自然に
所得税を減じて、この方面にも広く
国民の
負担力を殖やして、そうして
日本の国情に合う
税制確立の線に持
つて行
つて頂くようにしたほうがいい、その点から言
つて消費税を殖やし、その他の
流通税を殖やすことは、現状から言
つてもつと殖やしてもいいのではないか、こう考えます。これもやはり
大衆の
意見でありますから、私は八千三百万分の一の
意見でございますけれども、一応さように考えております。
極く自分の親しく関係しておる点については詳しく申上げましたが、その他はほんの常識としての
意見を申上げた次第であります。