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説明員(
福田久男君)
日本輸出銀行法の一部を
改正する
法律案につきまして、先ほど
大蔵政務次官から
提案の
理由について御
説明申上げた
通りでありますが、その
内容につきまして御
説明を申上げたいと思います。一応
條文の順序に従いまして申上げて見たいと思います。先ず第一條におきましては、
あとで詳しく申上げますが、
輸入銀行が
輸入金融業務を行うということに関連いたしまして、
所要の
字句の
整理をいたしたのであります。
次に第四條は、現在
資本金は百七十億円でございますが、来
年度以降
業務の
状況によりまして逐次
資本の
増加ということも考えられますので、この
機会に今後
予算の
範囲内で、
政府が出資し
資本金の
増加をいたしまする場合には、
大蔵大臣の認可によ
つてこれを行うことができるという
趣旨の
規定を新たに追加いたしたのであります。現在
日本開発銀行法におきましても、こういつた
趣旨の
規定がございますので、それと並行をしてそういつた
意味の
規定を新たに設けたということでございます。
それから第八條は
條文の
字句の
整理でございますが、第十條から第十五條までにおきましては、現在
日本輸出銀行法におきましては
総裁一人、
専務理事一人、
理事三人以内及び監事二人以内に
なつておりますが、
専務理事を副
総裁に改めるということでございます。これは
日本輸出銀行法ができます際のいろいろないきさつから
専務理事ということに
なつておりましたけれども、実質的に考えまして、
専務理事を副
総裁に改めることにいたしたいという
趣旨でございまして、それに関連する
條項の
整理でございます。
それから第十八條以下は
業務に関する
観点でございますが、その中で新たに重要な事項として加わりましたのは、
輸入金融業務と
債務の
保証に関する
業務でございます。先ず
輸入金融業務について申しますと、
條文の
字句は非常にわかりにくく
なつておりますので、実態的に申しますと御理解が早く頂けるのではないかと考えます。この
規定を入れました実態的の
趣旨は、主として
東南アジア地方における
鉱物性の
資源を、
我が国が特に
輸出の
振興のために必要な或る限られた
範囲の
鉱物性の
資源を今後
長期に亘
つて継続的に入手するために、
一定の場合、前
拂金が行われるような場合にその前
拂金を通じて、いわば紐付きで継続的に
長期の
契約をいたしまして
日本に
輸入したいということが主な狙いでございまして、これを分解して申しますと、先ず第一に、そこにあります
物資等と申しますのは、
本邦からの
輸出の
振興を図るために必要な原料、材料その他の
物資でありまして、
プラントというような
設備とか、或いは
船舶というようなものは予定いたしておらないのであります。現在予定されておりますものは
鉄鉱石、石炭、
工業塩、
マンガン鉱石、
ボーキサイト等でございまして、これらの
品目については、
日本輸出入銀行法の
業務保証においてその
範囲を限定いたすことに予定をいたしております。比較的に入手が困難であり、而も
我が国としてはどうしても成るべく近い地域から
長期に亘
つて確実に入手したいという
品目が
対象になるのでございます。それから第二に、その後に
外国からの
輸入が確実且つ適宜に行われることを
促進するために、この
輸入を
促進する、先ほど申しましたような
輸出の
振興に必要な
物資につきまして
外国からの
輸入を
促進するということが第二の
要件に
なつておるのでございます。第三の
要件といたしましては、前
拂金が行われる場合であること、これは第三項に
規定がございますが、その
物資の
輸入代金があらかじめ一部が前拂される場合でありまして、而もその前抑を受ける者は、その
資金を
資源の
開発その他事業の
拡充に当てる場合でなければならない。その
資金を以ちまして
開発を行い、その
開発によ
つて増産になる分を
日本へ
輸入するということと結付けられておるのでございます。それから第四といたしましては、
輸出金融の場合と同じように、
市中金融との
協調融資ということが取入れられております。これは但書に
規定されておるのでありまして、
資金の
貸付を行いまする場合には、
市中銀行が
輸出入銀行と
一緒に
資金を
協調融資で
貸付ける場合、或いは手形の割引という場合に限られておるのでございます。
融資の相手方につきましては、
本邦の
輸入業者或いは
本邦の
製造業者に限定されておりまして、
輸出金融の場合には
外国に対する
貸付も
対象に
なつておりますけれども、この場合には
本邦側だけを
対象にいたしておるのでございます。
融資の條件等につきましては、
法律的には
輸出金融の場合と同様に考えておるのでありまして、
融資の期間等につきましては一応法定の限度は
輸出金融の場合と同様でございます。
次に
債務の
保証の
業務につきましては、
輸出入銀行が本来の目的に従
つてなし得べき使命を果し得る場合、言い換えますと
融資を行い得るような場合について、その
融資を行うに代えて
債務の
保証ができるのでございまして、広く如何なる
債務についても
保証ができるという
意味ではなくて、
輸出銀行の目的から見て、その條件なり
範囲なりが限定されるのでありましてその
趣旨のことが十八條の第五項として新たに附け加えられておるのでございます。
それから十八條の二という
規定は、後で
借入の
規定がございますが、
借入金と、今申上げました
債務の
保証との
合計額が、自己
資本の額を超えてはならないという
趣旨の
規定でございまして、普通、会社等におきましては、そういつた強い
趣旨の
規定はございませんけれども、成るべく自己
資本とそういつた
借入金或いは
債務の
保証等を結び付けまして、
債務を
保証したり、或いは
借入れをしたりいたしました場合に、それに対して返済なり
保証履行なりが確実であるということをまあ制限によ
つて明らかにし、濫りに、濫に流れないということを確保したい
趣旨でございます。
それから第十九條は
債務保証が入りましたことによりまして、
條文の
整理をいたしたのでございます。第二十條は
融資期限の
規定でございますが、この中で先ほども
提案理由の御
説明を申上げた中にもありましたように、
融資の期限は原則として最
長期限は三年でありまして、最短期限は六カ月、六カ月以上三年ということに
なつておりますが、現行法では特別の場合には三年は五年までのものを
融資することができるというふうに
なつておるのでありますが、現在までのところ貿易手形の
取扱は二カ月乃至は三カ月、まあ三カ月を超えるものは事実上ないのでありまして、従いまして三カ月以上六カ月未満というものにつきましては、
金融の取引の
実情等から考えて見まして、四カ月とか五カ月とかいうようなものが非常にまあ困難な場合もありまするので、取引の
実情なり或いは
輸出契約の條件なりから考えまして、特に必要がある場合には三カ月以上、言い換えますと、四、五カ月のものでも
取扱い得るということに改めたいという
趣旨でございます。
それから二十一條、二十二條、二十三條、二十四條等は
條文の
整理でございまして、三十八條に
利益金の処分及び国庫納付金の
規定がございますが、現在の
日本輸出銀行の経理は、事業
年度におきまして損益計算上出ました
利益金は
一定の普通の法人と同じように、法人税、事業税等を課税いたしまして、残りの分は全部準備金として積立てることに
なつておるのでございますが、
日本輸出銀行は全額
政府出資の機関でもございまするし、その
意味におきましては全額
政府出資の機関でありまして、
資金の調達と申しますか、そういつた面では他の市中の
金融機関とは趣を異にする点もございまするし、又公庫その他との関連も考慮いたしまして、又他面
金融機関としての特殊性、内部留保の
充実というような面をも併せ考えまして、
利益金のうち二割に相当する
金額を準備金として積立てることにいたしまして、残りの分を全部国庫へ納付する。その代りに法人税とか、事業税とかいうものは課税をいたさないという
趣旨に改めることにいたしたのであります。その第二号の千分の七に相当する
金額と一号の百分の二十とを並べてございますが、千分の七という
金額は、きまりの貸出残高の千分の七に相当する
金額につきましては、少くともその
金額は準備金として留保いたしたいという
趣旨でございますが、これは現に市中の銀行におきまして、貸倒れ準備金として少くともその程度を留保することを一つの目安といたしておりますので、それとの関連をも考慮いたしまして、こういつた
趣旨の
規定をいたしたのでございます。
それから第三十九條におきましては、
借入の
規定を新たに
規定したのでございますが、今までは一切
資金の
借入をすることはできないことに
なつておるのでございますが、この
規定によりまして、
政府からの
資金の
借入と、
外国の銀行その他の
金融機関からの
資金の
借入ができることにいたしたいのでございます。
資金の
借入につきまして、特に
政府からの
資金の
借入に限定いたした
趣旨は、最近におきまする
金融情勢から見まして、市中の
資金を
政府機関において吸収することは、それほど蓄積
資本が豊かでない現状におきまして、著しく
市中金融に圧迫を加える虞れもございまするので、又過去におきまする復興
金融金庫の前例から見ましても、いろいろな弊害を生ずる虞れもありまするので、
政府からの
資金の
借入ということに限定をいたしたのでございます。ここで、
政府と申しまするのは、例えば対日援助見返
資金とか或いは
資金運用部資金等を予定いたしておるのでございまして、現に
昭和二十七
年度におきましては、見返
資金特別会計から三十億円の
借入を予定いたしておるのでございます。又
外国の銀行その他の
金融機関からの
外貨資金の
借入につきましては、今後の情勢の推移によりまして、そういうことも予想せられまするので、
規定をいたすことといたしたのでございます。
なお先ほども申上げましたが、この
資金の
借入と
債務保証とを
合計いたしました
金額は、自己
資本の額を超えてはならないという制限を置いてあることは、先ほども申上げました
通りでございます。
なお附則におきまして、附則の第二項の
規定は、今年の三月に終ります事業
年度につきましては、今まで
通りの経理の扱いをすることにし、今年の四月から始まる事業
年度について、この新らしい
改正規定を適用するということにいたしております。それからそのほかいろいろ附則に細かい
規定がございますが、主として
條文の
整理に属するものが大部分でございまして、ただ経理に関して先ほど申しましたように法人税或いは事業税、附加価値税等が課税されないというふうに、それぞれ
関係の税法を直したことが主たるものでございます。以上簡単でございますが、
説明を終ります。