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1952-02-26 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十六日(火曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            溝淵 春次君            小宮山常吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            森 八三一君            大野 幸一君            下條 恭兵君            菊田 七平君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  西村 直己君    大蔵主計局法規    課長      佐藤 一郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国民貯蓄組合法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○公庫予算及び決算に関する法律の  一部を改正する法律案内閣送付) ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○開拓者資金融通特別会計において貸  付金の財源に充てるための一般会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○中小企業に対する金融問題に関する  件   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第十七回の大蔵委員会を開催いたします。  先ず国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案予備審査及び公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案予備審査、右二案につき提案理由説明を聴取いたします。
  3. 西村直己

    政府委員西村直己君) 只今議題となりました国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案ほか一法律案につきまして、提案理由を御説明申上げます。  最近におきまする我が国の経済情勢の推移に応じまして、貯蓄増強緊要性はますます加わつて参つておりますが、貯蓄しやすい環境の造成を図りますと共に、特に少額貯蓄を奨励し、これを優遇いたしますため、この際国民貯蓄組合法改正いたすこととし、この法律案を御提案申上げた次第であります。  次にこの法律案改正内容を申上げますと、第一は、国民貯蓄組合の斡旋する貯蓄利子等に対し所得税非課税とする金額限度引上げたことであります。即ち、現行法におきましては、元本三万円までが非課税なつておりますが、この金額は、戰前に比較いたしまして実質的には著しく低いのでありまして、物価騰貴率、現在の物価水準或いは預金現状等諸般実情を勘案いたしまして、元本十万円までを非課税とすることに改めることといたしたのであります。  第二点は、二つ以上の国民貯蓄組合に加入することを制限したことであります。従来の国民貯蓄組合の運営におきましては、時宜に応じて、各種の貯蓄組合に加入するよう奨励されたこともありましたが、前に申しました非課税限度引上げ少額貯蓄を優遇する趣旨をも考慮いたしまして、この際一つ貯蓄組合のみに制限することが妥当と考えたのであります。  なお、この加入制限規定に関連いたしまして、現に二つ以上の組合に加入しております組合員貯蓄については、これを一つ組合に預け替を行わせる等の措置を講ずることとし、所要経過的規定を併せ設けている次第であります。  次に別の法律案でございますが、公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申上げます。  国民金融公庫及び住宅金融公庫予算の執行につきましては、公庫予算及び決算に関する法律の定めるところに従いまして作成執行いたしているのでありますが、従来の規定によりますと、公庫固定資産取得に要する経費はその収入支出予算に計上することになつております。併しながら公庫収入支出予算には、その業務上の損益に関する収支のみを計上し、固定資産取得費はその支出予算から除外するのが適当であると考えられますので、昭和二十七年度予算からは、これを収入支出予算に計上しませんで、固定資産取得のため支払い得る経費限度額予算総則規定してこれを国会の議決を受けることに改めようとするものであります。  なお、これに関連いたしまして他の規定につきましても所要の整備を図ることといたしております。  以上がこの二つ法律案提出いたした理由であります。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に両法案に対する内容説明の聴取を行います。  先ず国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案について内容説明を願います。
  5. 福田久男

    説明員福田久男君) 国民貯蓄組合法提案趣旨につきましては只今政務次官から御説明申上げた通りでございまして、只今の御説明に若干敷衍して内容について私から御説明申上げたいと存じます。  先ず改正の第一点は、先ほども申上げましたように、国民貯蓄組合の斡旋する貯蓄についての非課税限度現行三万円から十万円に引上げる点でございますが、この貯蓄組合貯蓄組合預金非課税限度につきましては貯蓄組合法昭和十六年の三月に制定されまして以来、数回に亙つて限度引上げを見たのでありますが、昭和十六年の三月当時にはその限度は三千円であつたのであります。それが十七年の三月には五千円、二十年の十二月には一万円、二十二年の六月には三万円となつて現在に至つているのであります。そこで二十二年六月の三万円というのは現状から見まして如何にも低いのでありますが、どういう標準でこの限度引上げを考えるべきかということについてはいろいろな観点から見られると思うのでありますが、仮に一例といたしまして昭和二十二年の六月を基準として東京卸売物価指数基礎にして考えて見ますと、当時に比較いたしまして七・四三倍に最近はなつておるのであります。そういたしますと三万円をこれに換算いたしますと約二十二万円になるのであります。又CPIを同じような立場で考えて見ますと、二・七三倍に相当いたしまして限度金額を換算いたしますと約八万円に相成るのでございます。更に又全国銀行預金のうち当座預金を除きました全国銀行預金基礎にいたしますと六・四五倍になりまして、金額にいたしますと約十九万円になるのであります。これらの事情をも勘案し、又諸般情勢をも睨み合せまして、一応十万円という金額引上げ限度をいたしたいということにいたしたわけでございます。それから改正の第二点である二つ以上の貯蓄組合に同じ人が加入することを制限する規定を新たに設けたのでございますが、これは過去におきましては幾つもの組合に加入し、できるだけ貯蓄組合制度を活用するという趣旨から、大いに二つ以上の組合に加入することも結構だというふうに指導して参つたこともあるのでありますが、限度が三万円から十万円に引上げられますと、利用の仕方によりましては、所得税補脱を図ることに濫用される虞れもいよいよ多くなつて参りますのと、又他面真に少額貯蓄組合を優遇するという趣旨を貫こうという意味合いから考えましても、この際二つ以上の組合に加入するということは制限するほうが適当ではないかという結論に到達いたしましたのでございます。なおこの二つ以上の組合に加入してはいけないというこの第三条の二の改正案規定違反した場合に、どういうふうな措置がとられるかという点でございますが、この点につきましては、二つの面から考えられるのであります。その一つ国民貯蓄組合法現行法の第十一条におきましては、一定の場合には三百円以下の、非常に金額は小さいのでございますが、これは昭和十六年制定当時から変更に、改正なつておりませんので、一応そのまま踏襲いたすのでありますが、一定の場合には三百円以下の過料に処するという規定がございまして、この一定の場合の中に、途中を省略いたしますと、本法に違反した国民貯蓄組合関係者命令で定める者を今申上げました一定の場合と言う。そこでその命令の中に今申上げました二つ以上の組合に加入した者という趣旨のことを規定する予定でございまして、これによつて国民貯蓄組合法第十一条の違反という問題が一つつて来ると思うのであります。なお特に悪質の者につきましては、所得税逋脱の意図を以て二つ以上の組合に加入いたしました場合には、所得税法の六十九条の二という罰則の規定がございますが、その規定に該当するような悪質な場合には所得税法違反という問題も起り得るといういうことが違反についての説明の第二点でございます。なお経過的な説明といたしまして附則の第二項にやや長いわかりにくい規定がございますが、それを一口に申しますと、原則としてこの法律施行の日から三ヵ月以内に現に二つ以上の組合に入つている者は一つ組合に名寄せをすると申しますか、集中するような措置をとつて頂く。で、この三ヵ月という期間については預金の種類によりまして期限の定めのない預金、言い換えれば普通預金というようなものだけが国民貯蓄組合預金でありました場合には、施行の日から三ヵ月はそのままでありますが、中には定期預金といつたような期限の定めあるものを含んでおります場合には、その中で最も長い期限のもの例えば三ヵ月定期と六ヵ月定期と両方ありました場合には、六ヵ月定期期限が切れてから三ヵ月というふうに整理期間を置くことにいたしておるのであります。なおその附則第二項の但書のところにあります趣旨は、利息の記入は差支えない、利息を元加するのは差支えないが、元本幾つもの組合に殖やすことはいけない。ただ中心にしようとする一つ貯蓄組合の斡旋する貯蓄についてのみ元本を殖やすのは差支えはないが、幾つもの貯蓄組合に三ヵ月の間に元本を殖やすことは元加の場合以外はいけないという非常にわかりにくい規定でございますが、そういつた趣旨経過規定を設けておるのであります。なお御参考までに貯蓄組合の現在の情勢について御説明を申上げたいと思います。ちよつと資料が数多いことでございますので、古いのでございますが、昭和二十六年の三月現在におきまして、貯蓄組合組合数が十一万五千余でございます。組合員の数が千八百六十六万六千人余になつております、又貯蓄組合の斡旋いたしました預金金額が千百二億二千五百余万円になつております。これを前年同期に比較いたしますと、組合の数におきまして一割四分七厘の増加でございます。又組合員の数におきましては、一割五分一厘の増加でありまして、貯金の額におきましては二割二分七厘の増加でございます。このように貯金額は殖えておりますけれども、預金全体の増加に比較いたしますれば、まだまだ貯蓄組合の活用の余地は十分残つておる。又今後一層資本の蓄積の重要性に鑑みていろいろな、例えば特別定期預金の実施とかその他いろいろの貯蓄増強措置を講ずる必要があると思いますが、それらの一環としてこの措置もその中の一つの手段ということで貯蓄組合による預金増強について一層努力を集めて参りたいと存じておる次第でございます。簡単でございますが、御説明を終ります。
  6. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案について内容説明を聴取いたします。
  7. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 提案理由で御説明申上げました通り殆んど申上げることのないような簡単な改正でございますが、只今手許比較表を配付いたしたと思うのでありますが、それを御覧になりますとはつきりとわかるわけでございます。公庫予算は御承知のように特別の法律公庫予算及び決算に関する法律というものによりまして、その編成と提出の手続を規定いたしておるわけでございますが、そこにやはり予算総則を従来から設けておるわけでございます。予算総則にどういうことを規定するかという規定が従来整備されておりませんでした。それで今回それを明らかにいたしましてそうして提案理由で御説明申上げましたように、例の国民金融公庫固定資産取得いたします場合の限度額というものもその予算総則に設ける、こういうことにいたしました。従来は予算歳入歳出の中に固定資産取得費が入つてつたのでございますが、元来がこの公庫予算損益勘定と言いますか、収入支出ということを計上するのが本体でございまして、固定資産取得費というようなものをここに載せるのは適当でないということで特に外して、予算総則のほうでそれを明らかにするという仕組に変えたのでございます。極く簡単な改正でございまして、あとは文句を、それに応じて手を加えただけでございます。
  8. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは只今説明を頂きました両案について御質疑をお願いいたします。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 先ず最初の国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案免税限度引上げは結構でございますが、この大体十万円で政府当局は満足しておられるわけですか。
  10. 福田久男

    説明員福田久男君) 先ほど、東京物価指数、或いはCPI、或いは、預金などを基準にして一応いろいろな見方があると思いますが、基準とした金額を申上げたのでございますが、例えばCPI基準といたしますれば八万円という金額も出て参りますし、又いろいろな観点から見て、特に十万円という数字も、はつきりした是非確定的な十万円でなければならないと、絶対的な金額では計数の上では出て参りませんのでありますが、貯蓄増強という観点のみから見ますれば、免税限度をもう少し引上げるということのほうが、むしろ効果的であるとは思いますけれども、先ほど申上げましたようないろいろな観点から総合勘案いたしまして、一応十万円ということでこの際としてはこの程度が適当ではなかろうかというふうに考えたわけでございます。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 この際としては十万円を適当とするということはいいのですが、将来はこれを殖やすべく努力するつもりであるかどうかということでございます。
  12. 福田久男

    説明員福田久男君) 今後の情勢によりましては、できますれば殖やすほうが、これは私ども事務的な立場からのお答えでございますが、できるだけ殖やすことは望ましいというふうに考えております。
  13. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつき数字説明ちよつとお伺いしたいのですが、十一万五千何がしかの組合が現在結成されておるのでしよう。それでその金額は一千百二億というような数字さつき挙げられたのですが、そうすると一組合平均取扱金額というものは非常に厖大になつて来るが、どういう組合でそういう大きな資金を集めておるか。これは参考のためにお聞きして置きますが、例えば学校とか、工場あたりでは大した預金が集まつてないというふうに我々は常識上考えられるのですけれども、この数字というものは、例えば十一万の組合で千百二億というと、一つ組合平均しましても一百万程度預金があるようにちよつと考えられるのですがね。
  14. 福田久男

    説明員福田久男君) 組合数十一万五千組合に対して預金額が千百二億二千五百万円でございますから、金額にいたしまして十一万円でございますが、組合員一人当りにいたしますと、組合員は千八百万人でございますから、一人当り一万円にならない。一万円に足らない。六千円くらいの金額になるのでございまして、組合員基準にしてお考え頂けば、平均一人当り預金額というものはまだまだ非常に少額であるということが言えるのではないかと思いますが、中には三万円の限度に近い組合員のかたもございまするし、この際限度を上げることが組合の斡旋する貯蓄増加するゆえんであろうというふうに考えるわけでございます。
  15. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今のあなたのはあれですか。一組合平均預金残高が何というふうに……。私のほうじや約一千万円見当と見るのですけれども、一千万円じやないのですか。ちよつと速記を……。
  16. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  17. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて……。
  18. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつきのは私桁が違いましたからこれは訂正しますけれども、戦時中專らこれは政府が奨励して国民貯蓄組合というのを作つたのですが、その後まだ活動を続けてこういうふうな大きな、千百二億というふうな預金があるというのは実は私は知らなかつたのですが、これに対してはちよつと奇異の感に打たれるのですが、これは政府で以て或る程度まだ補償金でも現在も出しておるのですか、その補助額はどのくらいになつておるのですか。
  19. 福田久男

    説明員福田久男君) 国民貯蓄組合につきましては、お話のように戦時中には組合に対して補助金を若干出しておりましたけれども、終戦後は補助金は出しておりません。組合に対しての補助金は出しておりません。ただ非常に個人的に優秀な貯蓄をなさつておられるかたがたには、表彰という制度はございまして、年一回くらい表彰はいたしておりますが、特に補助金というものは出しておりません。
  20. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 別に、今提案された二案については御質問がなけ  れば次に進みますが、よろしうございますか……。それでは今日提案されたばかりですから、又ゆつくり研究することにいたてまして、両案はこの程度にいたします。   —————————————
  21. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案、右につき質疑を行います。
  22. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 この前に資料の要求があつたと思つておりますが、それを頂きたいと思います。
  23. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 配付された資料について御説明願います。
  24. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 先日の会議波多野委員からお話のございました資料を調製いたしまして、お手許にお配りいたしたのですが、それは一つ普通貸付申込に対する貸出比率であります。これを業種別金額別用途別に分けて調製いたしました。この数字は実は公庫代理所払分を除いておりまして、直接扱分について昨年の四月から十二月まで九ヵ月について統計が出ておりましたので、御覧に供する次第でございます。代理所払の分につきましては、申込数字が非常に細かになりますので、実は私どものほうに四百五十の代理所からとつておりません。その関係で急に間に合いませんでしたので、直接扱分だけを掲げた次第でございます。主な点を申上げますと、九ヵ月の間に直接の申込件数八万八千六百六十一件、その金額百七十七億一千九百万円、これに対しまして貸出件数で三万八千八百八十五件、金額にいたしまして五十四億一百万円、その割合件数で四三・八六%、金額において三〇・四九%となつておりますが、その内訳、業種別に見ますと製造業につきましては件数において四三%、金額において二九%となつております。それから最も大口でありまする、件数並びに金額の多い御賣業及び小賣業について見ますと、件数において四五%、金額において三二%弱という割合なつております。それから金・額別に見ますと、申込並びに貸出共に二十万円以下が圧倒的に多いのでありますが、その申込貸出比率を見ますと、二十万円以下のものにつきましては件数では四五%、金額では三六%、二十万円を超え五十万円以下の分につきましては、件数においては四八%、金額においては四二%という割合を示しております。なお五十万円を超過する分になりまするというと、全体としての件数並びに金額も、比較的少いのでありまするが、その申込に対しまする貸付割合を見まするというと、大体五、六%ということになつております。なお用途別について申上げますと、運轉資金の面におきましては件数においては四〇%、金額において三一%、設備資金におきましては件数で五五%、金額で二六%という割合を示しております。なお次に更生資金貸付申込に対する貸付比率でありますが、これも又代理所分を除きまして九ヵ月分の直接扱だけを申上げますと、件数で四万六千、金額で十一億六千八百万円の申込がありましたのに対しまして、貸付件数で二万余件、金額で四億一千七百万円、その割合件数において四四%、金額において三五%七五ということを示しております。大体資料数字だけの御説明になりましたが……。
  25. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の國民金融公庫の件についてちよつと一点伺いたいのですが、更生資金で以て地方において四、五年前に、引揚者等大分困窮者か救済する意味において貸付した場合があつたのですが、それについて各地で以て百人、二百人或いは三百人というふうに連名で借受をして、今日返済期間が来たというようなものがあるのであります。ところが、その返済期間が参りますというと、実在の人名がなくて、架空のものであつたというようなことが発見されて、相当問題になつておるようなことを承わつておるのでありますが、その実情について総裁からちよつと説明を承わつておきたいと思います。
  26. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 更生資金貸付でございますが、御承知のように、貸付はたしか二十一年の秋から国民金融公庫の前身の一つであります庶民金庫において政府のお指図によりまして、自己資金に併せて政府から資金の御交付を受けまして貸付を始めましたのでありますが、期限五ヵ年でありまするので昨年の暮あたりから第一回の分が回収期限が到来しておるような状況になつたのであります。その当時におきましてはたしかに一人当り当初が千円、その後にすぐ三千円になつたかと思います。が、極めて零細な貸付でございましたので、でき得まするならばむしろ二十人、三十人或いは百人、二百人の引揚者かたがたがお集まりになりまして、これらの零細な資金を集めまして一つの資本化いたしまして共同事業を営まれるほうが経済的に見て有効ではあるまいかというふうな見解から、多数の引揚者かたがたがそれぞれ共同して事業を始めるというふうな関係事業資金として相当出したかと記憶いたしております。その当時は御承知のような社会状態でもございましたし、又この貸付につきましてはいろいろな社会政策的な意味も含まれておりました関係上、急速に事を処理する必要があつたように聞いております。その関係からいたしまして、最近ぼつぼつでありますが、二百人なり三百人なりの共同事業を営みます場合に、各個人々々がそれぞれ連帯してその資金を借りられるという形になつたのでありましたが、その中に架空の名義がございましたり、或いは何と申しますか、御本人が知らない間に連帯者の中になつておつたというふうなのがぼつぼつとあるようでありますが、只今まで聞きましたところでは、かくのごときことが非常に広汎に行われたというようなことはございませんようであります。ただ二、三の例外がありまするが、そういう例があるということを最近回収面において発見されて来ておるということは、おつしやいます通りございます。
  27. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その回収不能率は大体どの見当になる予定ですか。
  28. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 実は前々から更生資金の点について申上げておつたつもりでありますが、公庫貸付の中で普通貸付のほうは大変に回収状況がよろしくて、一〇〇%に近いのでありますが、前々からありまする更生資金貸付のうちで、大体昭和二十一年から始めまして、二十四年くらいまでの間の貸付でありますが、これは第一次から第四次までの貸付でございますが、このほうは残念ながら回収状況がかんばしくございません。全体といたしまして現在年賦又は半年賦或いは月賦で以てお返しを頂いておるのでありますが、その状況を見ますというと、大体四五%、こういうことになつております。それで一昨年以来これの合理的な回収につきましていろいろ工夫を凝らしております。各府県市町村当局の御協力も得まして、組織的に或いは償還組合を作り等いたしまして進めて参つたのでありますが、大体現在では五劉を超す程度にまで漕ぎつけて来たのではないかと存ずる次第でございます。できる限り無理のないところで回収率を高めて参りたい。何とかして二十七年度、来年度におきましては六剣から七割見当までこの回収率を高めて行きたいというふうに今計画いたしております。終局的にどういうふうな数字を示しますか、これは何とも今申し上げる段階には到達いたしておりません。
  29. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 ちよつと伺いたいのですが、この資料に代理店扱はないということですが、それはそれでいいのですか、詳しいことは要らないのですが、この資料に出ているのと代理所で扱つている割合でございますね、どれくらい代理所というものが利用されているか、ちよつと概数でいいのですが、割合だけおわかりでしたら。
  30. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) お答え申上げます。昨年の四月から十二月までの間に代理所におきまして貸出しました件数が三千五百六十一件、金額で二億七千六百万円……失礼いたしました。只今のは十二月分の数字を申上げましたので非常に少くなりました。実は代理所分の四月から十二月分の集計が手許にございませんが、概略だけで申上げますると、大体貸付残高の二割五分見当が……。資料が見つかりましたから……代理所で昨年四月から六月までに貸出しました件数が一万九千九百九十件、金額にいたしまして十三億九千七百万円、かようになつております。
  31. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 これは普通貸付でございますね。
  32. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 普通貸付でございます。
  33. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 大藏大臣にお尋ねしたいと思つてつたのですが、政務次官が見えておるようでありますから政・務次官にお尋ねいたします。今日出してもらいました資料を見ましても中小企業、或いは零細企業がこの銀行を如何に活用しておるかということがよくわかると思うのであります。又この申込件数に対する貸出が大体三割から四割程度であるということはまだこの資金の需要が非常に多くて十分希望を満しておらんということもこの表ではつきりしておると思うのであります。そこで私がお尋ねしたいのは、そういう状況、而も物価の上昇によつて資金の効率か減つて来る際に去年と同じく政府出資は三十億円、だから運用部資金を二十億というと実際には前年度に比べて二十七年度のほうがこの金庫の業務縮小になると思うのでありますが、この点に対して大藏省としてどういうふうにお考えになつておられるか、お伺いいたしたい。
  34. 西村直己

    政府委員西村直己君) お答え申上げます。御承知通り国民金融公庫はかなり利用されると同時に申込件数が非常に多うございます。たしか今年度は三十億と二十億、五十億の運用資金が新しくそこに加わるわけでありますが、同時に回収金を多少予定いたしております。従つて昨年よりは必ずしも資金運用について減るとは考えていない。併し私どもといたしましてもできるだけこれを更に資金を殖やして参りたいのでありますが、問題は財政のことも勘案して考えて行かなければならん。従つて将来に向つて更にこれを拡充して参りたい。こういう考えを持つております。
  35. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 この前、前回銀行局長の説明を聞きますと、回収金が若干今年度より増加なつても、物価の上昇を考えたりすると、殆んど金額の上において前年度と同じくらいだという御説明を聞いておるのであります。私はこれを政府の出資は別としても、この運用部資金は何も二十億でなくてももつと殖やす方法は今でも可能ではないかと思うのでありますが、その点に対して御説明願います。
  36. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この前御質問ございましてお答え申上げたのでありますが、今後における物価の水準等につきましても、どうもにわかにはつきりとしたことを申上げる段階に至つておりませんが仮に五%程度物価が上つたといたしますと、今年の運用部資金が大体五%あつたとしまして、九十七、八億になるだろう、それに対して来年度の資金回収金を含めて百十六億程度となるのは今申上げた通りであります。その程度増加では大したことではないじやないかということでございましようと思いますが、今後におきましても、国民金融公庫の性格、或いは使命から申しまして、財政の許す限り資金の拡充に充てたいと考えております。それからお將ねの資金運用部のことでありますが、現在のところでは運用計画に基きまして、一応お手許に差上げてありますように、全部運用に充てております。ただ来年度、具体的に申上げますと二十八年度への繰越が預金資金運用として相当多額に上つておるのであります。この点についてはいろいろ御議論もあるのでありますが、この資金運用部の計画を立てまして、二十八年度の計画を相当多額に見込みましたゆえんのものは、財政のほうでは政府資金全体を含めて、具体的には見返資金及び資金運用部資金を含めた総合的な均衡を持たして、そういうことを維持して行くという観点から、こういうふうな運用計画ができておるのであります。この点についてはいろいろ御批判があると思いますが、一応そういうような観点からいたしますると、再来年度に対しては相当多額の運用部資金としては繰越をいたさざるを得ないという結果になつたのであります。このことを前提にいたしまして、一応すでに資金運用部といたしましては二十億の国民金融公庫への貸付というものは、ほかにそれ以上増加する余地がないと、こういうことに相成るのであります。二十七年度への繰越が多過ぎるということはいろいろ御批判があるということは重ねて申上げるまでもないことであると思いますが、一応私どもはそういう総合的な均衡予算という立場から資金運用部計画を立てた次第であります。御了承得たいと思います。
  37. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 もう一つ、私はお尋ねしたいのは今この資料についての御説明の際にも代理所貸付が二割そこそこだと言つておられます。更に前回私のお尋ねしたのに対して申込から貸出までに至る期間が四十五日平均してかかつておると聞いておるのでありますが、そこで代理所は現在幾つあるか私は知りませんが、更に数を殖やして少くも貸出をもつと期間的にももつと詰めるというようなことに対してどういうお考えを持つておりますか。
  38. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) おつしやいます通りでありまして、代理所をできるだけ活用いたしますことは能率の点から、又地域的の分布の点から言つてもよろしいのでございますので、逐次これを増強して参つております。現在はは四百五十、若干の銀行と、それから相互銀行並びに信用金庫、それから信用組合、これが私どもの代理店と言われております。それが約四百五十ございます。それからそれを殖やして参りますことと、それから代理所のほうに対しまする資金の割当を殖やして参るつもりでおりまして、今までのところ、当初の大体全体の二割見当でありますが、昨年は資金の三割見当を代理店のほうに廻しております。二十七年度におきましては大体四割見当を廻し得るのではないか、こういう工合に立てております。先ほども申上げますようにかように殖やして参りましたので、昨年の四月から八月までは大体全体の貸付の二割五分見当代理所でお任せして頂いておるところまで漕ぎつけたと、こういうことになつております。
  39. 大野幸一

    ○大野幸一君 この件数にして八万八千六百六十一件、これは四月から十二月分までとありまするので、一ヵ年だとこれは十万件を超えるわけですか。
  40. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) これは昨年の四月から十二月までの申込で九万件弱でございます。今後一月から三月までの申込を入れますと恐らく十二万件くらいにはなるのではないかと……。
  41. 大野幸一

    ○大野幸一君 全職員は何人くらいですか。
  42. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 職員の現在の数は約千人でございます。
  43. 大野幸一

    ○大野幸一君 そうすると百二十件ぐらいを持つことになるのですね、一ヵ年。そこで百二十件とすると一ヵ月十件ということになる、一人の割当が。これでは事務が澁滞するのみですよ。これだけの金融関係を、新らしいお客様を調査をして……これでは今下條委員の言われたように、六十日も百日もかかるはずであると思うのだが、この点について政務次官、今度の人員、いろいろな関係があるだろうが、この人員を増員することを早急に必要だと思うのですが、どうですか。
  44. 西村直己

    政府委員西村直己君) 今回の予算で百七十八ばかりの増員をやつております。人間の増員であります。別にそれでは十分でございませんけれども、一応増員はいたしております。
  45. 大野幸一

    ○大野幸一君 それは百七十人増員してもこれは殆んど不十分だと思うのです。こういう事件の取扱に対しては三日に一件を一人が片附けて行かなければならない、百七十人としても。そんなことではこれはいい結果も得られないし、お客様に親切もできないと思うので、こういう件数の実際から言つてほかの役所の取扱件数から言うと非常にこれは苛酷な労働だと思うが、もう少し上げられないのですか。人員増加を百七十人ではそれはまだ不十分だと思う。
  46. 西村直己

    政府委員西村直己君) その点は他の金融機関より少し件数の背負い方が多いということは私ども十分了承いたします。それなるが故に又予算の許す範囲で百七十人という増員をいたしました。なお金剛公庫の職員の給與ベースの問題がいわゆる政府職員並みに縛られておるというようないきさつにつきましても、関係方面の了解を得られればできるだけこれを遂げたいということから来る待遇の増強いわゆる超過勤務とか、そういつたもので相当過労をしていると、それがお客様の取扱に跳ね返るようなことがあつてはいけないので、それらを十分努力いたしたいと、こう考えておる次第であります。
  47. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今の大野委員の質問に関連するが、国民金融公庫の職員が公務員になつているというのだが、どうも不合理である。これを改善しなければどうしてもその待遇の向上ということもできないというのが我々の多年の趣旨であつて前々国会等においても私どもから常に要望しているのです。未だにそれが実現されておらないのですが、もう情勢がこういうふうに変つて参りまして、国会自主性の立場から法案等の審議も或る程度可能になつているのです。この機会に国民金融公庫の職員の身分を公務員から外すということが考えられていいんじやないかと思うのですが、政府に熱意がないということかく向うのほうへ反映しないのです。政務次官としましてその熱意の程度はどの程度お持ちになつているのか、お聞かせ願いたいのです。
  48. 西村直己

    政府委員西村直己君) 誠に油井ささんのおつしやる通りで、実は私もこの政府委員になります前に、提案者の一人といたしまして、前回司令部にも大分折衝に参りました。不幸にして前回においてはアプルーバルが得られなかつたのですが、これは国会として協力し、政府としても十分に理論的にもなり得るものでありますので、その間の事情を十分勘案いたしまして、私ども政府のほうから努力いたして、同時に国会の御協力を得て一日も早くこの問題はすつきり解決をいたしたいと、こう考えております。
  49. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 四月あたりから実現の運びになるように我々国会議員側としても努力をしたいと思いますが、政府もその程度のお見込はありますか。
  50. 西村直己

    政府委員西村直己君) 勿論これは相手あつての段階におきましては、相手あつてのことになりますけれども、併しそれらの事情が漸次変化して参りますその間においては、必ず私どもは、少くとも政務次官としては、十分解決したいと、こういう考え方を持つております。
  51. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  53. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの改正案に賛成をいたしますが、国民金融公庫の使命というのは、一般中小企業の金融面の打開ということと相待つて非常に国民の期待を持つておられるところのものであります。従つて我々といたしましては今回の改正の三十億円程度の増額であつては、今後物価の上騰、賃金のペース・アツプというような点から見て相当に不十分であると考えられるのであります。政府におきましては次回の改正等においてはもつともつとこの点を考慮されまして増額方を特に御配慮願いたいということを希望しておきます。更に又先ほど政務次官がお述べになつた金融公庫の職員の問題でありますが、これも次回の改正等におきましては、政府といたしまして熱意を以て解決されるように御努力を願いたいということを希望いたしまして賛成であります。
  54. 大野幸一

    ○大野幸一君 私も日本社会党第二控室を代表いたしまして本法案に賛成の意見を表示するものであります。我が党は、今度予算に対して千八百十八億の削減の要求をいたしております。そのうち国民金融公庫に対しては、その削減された財源を以て百五十億を出すべしと、こういうことを公表しております通りに、一般庶民階級に関する唯一の金融機関としてこの今日当局から提出された資料によつても五〇%の要求を満たすところ殆んどないのであります、僅か三〇%がせいぜいであるような事実に鑑みまして、我が党の主張は最も適切を得たものと考えます。この方向に将来政府が向われるこどを希望して本法案に賛成の意思を表示するものであります。
  55. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決をいたします。  国民金融公庫法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  57. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することとして、あらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。   それから本院規則第七十二條により、委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  岡崎 真一     菊田 七平  伊藤 保平     田村 文吉  黒田 英雄     小林 政夫  大野 幸一     小宮山常吉  下條 恭兵     木内 四郎  油井賢太郎     大矢半次郎  溝淵 春次   —————————————
  59. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、右につき御質疑をお願いいたします。
  60. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 別に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決を行います。  開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  63. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容については委員長にお任せを願い、提出する報告書に御賛成のかたの御署名を御願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  岡崎 真一     菊田 七平  伊藤 保平     田村 文吉  黒田 英雄     小林 政夫  大野 幸一     小宮山常吉  下條 恭兵     木内 四郎  油井賢太郎     大矢半次郎  溝淵 春次   —————————————
  64. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 銀行局長がお見えになつているので、この際金融機関、殊に地方における中小企業対策等の関係の金融機関のあり方という点について御所見を承わつておきたいと思います。  それは最近各地において糸ヘン或いは金ヘンというようなものの暴騰、暴落によつて、時々刻々経済状態が変つて参りますが、そういう節に駒いてい  つも犠牲となり、破産者を来たすというようなものが中小企業に非常に多い。その原因はなせかと申しますというと、金融機関から大口に借りておる大資本或いは大事業というものは、これを破綻に瀕せしむるということ自体が、金融機関自体のこれ又大きな影響という見地からなかなか倒れない、倒さないといういうな形になつております。ところが中小企業にあつてはそれに反しまして、金融機関に多少でも欠陥ありとみなすというと遠慮なしにこれを潰して行く、極端な言葉で言うとそういうような形まで行つておるのであります。一例を挙げますというと、最近糸ヘン景気が多少悪い、そうすると支払手形と受取手形の時期的ズレが生じ、多少の銀行で以てゆとりを見せて何か方策を講ずれば円満に解決するものでも、銀行は遠慮なしに支払手形の期日到来ということを楯にとつて不渡手形を処分してしまう。そのためにまだまだ継続して立ち直るべきチヤンスを持つていそうな事業が破綻を来たすという危険が多いのです。こういう件に関して金融機関の行過ぎ是正ということを銀行局当局あたりではお考えになつておられるか。若しそういうお考えがあるならば具体的にお示し願いたいと思います。それは大事業あたりでは金融機関と直接交渉して話がまとまらなければ日銀当局に行くとか、或いは大蔵省当局と話合つて斡旋してもらうとかいう途があるんですが、小さな中小企業になりますとそういう途が殆んどないのです。それに対する救済策を考えておかれるのが至当じやないかと私は思うんですが、銀行局長の御意見を承わりたい。
  65. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 地方における中小金融、殊に最近における商社方面における整理の問題等に関連いたしまして、中小企業に相当影響がある点についてはお示しの通りでありまするが、全体的な私どものほうでとつております方針は、得てしてたびたびお示しのありまするように、すべての金融のしわが中小企業に寄るというようなことのないように極力それらに対して努力しております。これがためには只今お叱りを受けたわけでありますけれども、国民金融公庫等できるだけ財政の許す限り拡充して行く、又商工組合中央金庫等につきましては、これが資金源の充実と申しますか、確保につきましてそれぞれ具体的な必要な措置を講じて参つておるつもりであります。ただこの点につきましては見方によりまして十分でないというお叱りはこれは受けるかと思うのでありますけれども、今後商工中金につきましては年末から来年度にかけて政府資金の適当な処置によりまして資金源の確保については十分配慮して参りたい、かように考えておる次第であります。併しながら今お話もありましたように、個々の取引先に対する銀行等の取扱方が非常に不親切である、或いは自分勝手な、自分だけよければいいというような取扱をしておる向きがありはせんかというお話であります。先ず第一にお断り申上げておかなければならんことは、これは又当然のことでありますけれども、金融機関、殊に銀行等につきましてはやはり大事な預金者から預かつた預金を運用いたしておるわけでありますから、単なる救済的な金融ということは、これは預金者の立場を保護する大切な金を預かつて運用しておる立場からいたしまして、単なる救済的な金融ということは、これは金融機関として、殊に銀行等におきましては、これはできないことである。そういう単なる意味の救済ということであれば、これは別途何らかの措置を別に講じなければならんということに相成るわけだと思います。併しながらこの単なる救済であるか、或いは金融のベースに異るものであるかという点につきましては判断の問題になる場合もあるわけであります。殆んど紙一重の問題であるという場合もあるわけであります。これにつきましては銀行自体の良識と申しますか、経営全体に対する判断に対し、十分これを信頼して参らなければならんと思うのであります。具体的な問題として潰さなくてもいいものを銀行が勝手なことをしたために潰れたというような例は或いはあるかと思うのでありますけれども、これらの点につきましては具体的に私どもとしては個々の良識に待つて判断をされることが必要になつて来ることも、むやみに銀行さえよければ、債権の回収ができればあとの事業はどうなつてもいいということは、これは銀行というものの公共的立場から許されることではないのであります。そこあたりの、一方で預金を集めて、その預金を運用しておるというそういう意味の公共性と、産業を育成し、国の経済を円滑に発産せしめるという意味の公共性と、この両面の公共性を金融機関は持つておるわけであります。この両面を適当に調節して行かなければならんと思うのであります。私どもといたしましてはそういう意味で極く抽象的には銀行等に対してかねがね指導はいたして参つておりますけれども、個々の判断にまで具体的な事例は、これは万般の事例があるわけでありまして私どもといたしましてもこの事例はどうか、この事例はどうかということになりますると、これはなかなか私自身として判断がつかないので、今申上げましたような大きな筋で銀行を指導しておる。従いまして公共性が両面ある。この両面を両方生かして行く、併しこれは極端な場合には両方矛盾するわけでありますから、そごにこの調節の問題が起つて来る。それから先は銀行自体の公共的使命に徹した自主的な判断の問題に結局なる。こういうふうに私どもは了解しております。
  66. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 局長の御意見はよくわかりましたが、一つ私は最近の具体的な例を申上げて、こういうことが金融機関の一部の考え方であるということによつて中小企業家が非常な打撃をこうむるという例を挙げて見たいと思います。それは極く最近京都におきまして或る染織業者が先ほど申しましたように支払手形と受取手形の時期的ズレのために収拾がつかず、何とか債権者のほうで猶予をしてくれないかという話があつたのです。それは支払手形金額は僅かに一千万円です。受取手形がこれに対して約八百万円見当、而も銀行に対しましては預金は五百万円もある、不動産も約五百万円近い評価をされておる工場があつたのであります。そういつたような態勢において資本金は二百五十万円、借入金が約二百万円、大体そんなような形の会社でありましたが、それが支払手形と受取手形のバランスがとれないために収拾が’つかん、そこで私が頼まれましてその整理に当つて見たのでありますが、大体銀行の預金五百万円を外して支払手形に充当するというと半分は払えるのです。そういうふうな見地から銀行ともよく相談しまして、半分だけは持たないか、債権者のほうでは四割切捨てる、それで改めて不動産に対して百万円を金融機関で応援しないか、六割、つまり資金が出れば四割というものは棚上げしてもいい、そういうことでまあ一応解決つけたわけなのです。ところが京都には遺憾ながら本店銀行がない、従つて母店であるとか、本店であるとかいうところに相談しなければならない。支店長としては大体よろしいというようなことで一応解決がついた。ところが大阪にある母店が割引手形になつておる、受取手形約八百万円の期日がずれて二ヵ月に亘つていますからそれが全部解決がつかないうちは歩積であるとか定期預金であるとかいうものを外すわけにいかんということを苦情を申入れて来たわけです。金融機関の支店の考えとしては、割引手形を割引くときは信用を見ながら、この手形は確実かということを見ながら割引きしている関係上、そういう必要はないというのですが、母店としてはそれは割引手形が落ちないうちは両建になつておる、歩積であるとか定期預金を外すわけにいかん、こういつたようなことで、折角立て直るべきチヤンスである、而も債権者もこれに同調して四割というような莫大な負担までして解決するということを打ち壊してしまつたというような形が起きているのです。これは金融機関の一存で以て自由自在になる、これをこういう場合において一割二割だけを払えばあとはどうでもいいというような倒産者、破産者の場合と違つて、十分立ち直るというような場合に、やはり金融機関の監督権或いは日銀であるとか、或いは大蔵省当局あたりが中へ入つてもつとこの処理方について仲裁をする機関でもあつたら大変よかつたのじやないかと、かように思われるのですが、局長としてその点あたりは具体的に何かそういう調整機関等を各地に設けるというような御意思があるかどうか、具体的にお示し願いたい。
  67. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 個々の取引について仲裁とかいうようなことをやるために機関を設ける意思があるかというお話でありましたが、只今のところそういうことは考えておりません。今お示しの例でありますが、甚だどうも具体的な話になりまして、これに対して私がいいか悪いかということを言うのもなかなかむずかしい問題でありますし、お話だけ聞いただけでは事情もよくわからん、そういう意味の裁定をいたす立場に実は私どもございません。ただ問題は個々の事例について当事者間でいろいろうまく話がつかないという場合において、どういうふうな措置がとられるか、これは例えば京都等におきましても日本銀行の安居もございますし、ここらあたりで相手の銀行にもよりますけれども恐らく相手の銀行も日本銀行から或る程度のやつぱり借入れをしている銀行じやないかと思います。これは想像ですからわかりませんが……そういつた場合におきましてはその処置につきまして日本銀行との取引に繁がつておるわけでありますから、個々の場合について或いは日本銀行の支店について御相談を願うというようなことはあり得ることだと思います。併し何分にも私として今お示しのような例をどう思うかと、こう言われましてもなかなか今この際としてこれはどうも銀行が悪いとか、或いは業者のほうが少しひどいのじやないかということを申上げるだけの資料もございませんし、皆様方も何日もかかつてそういう問題を御処置されたわけでありまして、とつさに今私聞かれてもこの問題についての回答は時期的にはむずかしいかと考えております。重ねて申上げますが、そういつたふうな仲裁的な機関、政府が入つたような機関におきまして設ける意思は只今のところは持つておりません。
  68. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 結論に参りますというと、金融機関は確実な定期預金なり歩積、そういつたものを貸出の半面に両建で持つているのです。そういうものを押えて業者は潰れたつて銀行は一文も損しない、その代りに取引先のいわゆる中小企業者はお互いに相互扶助のような精神で以て協調し合つて、債権が半分近くまでなつても我慢するというような状態になつても、金融機関は、何らそれにタツチしないというのは、これはもう私はたつた一つの例を挙げたのですが、全国津々浦々しよつちゆうこの問題が起きていると思うのです、そうしますと余り金融機関が自分勝手過ぎやしないかという声が起るのです。従つて金融機関に対する中小企業者の怨嗟の声も起きて来るのは当然だと思うのです。これに対して行過ぎをしないようにやはり大蔵当局あたりで思いやりのある解決方法、金融機関も別に損をしろとは言わなくても時期的ズレなどについても十分な考慮を払つて、すぐ不渡手形で以てその業者を潰してしまうというような簡単な事務的でなしにやる方法があつても現在では然るべきではないかと思うのです。そういうふうな方策をとられる御意思があるかどうか、重ねてお伺いしておきたいのです。
  69. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 先ほど申上げましたように、金融機関というものは授信、つまり授けるほうの信のほううの公共的な使命を持つておるのはお話通りであります。自分だけが債権の確保があれば、産業界はどうなつてもいい、といつたような立場であるならば、これは銀行というものはその使命を達成しておらんことになります。現に私どもの承知いたしておりますところにつきましても、具体的に名前を申上げるわけには参りませんけれども、取引銀行は自分自体として十分な担保を取つておる。従つて自分だけ債権を確保すれば足りるということならば、放つたらかしていいという場合におきましても、これを放つたらかすことが日本経済全体に非常に悪い、或いは産業の全体的発展に対して悪影響があるという場合には、現に自分の債権は十分担保で確保されておらん場合も金融措置をとつております。これは例は幾らもあります。ただそれは具体的な例は幾らでも挙げられるのでありますけれども、ただしどこで線を引くかということになりますと、具体的には非常にむずかしい問題だと思います。で、比較的経済界全体に対する大きな悪影響がありますものについては割合目が届きやすいという点もありますので、お示しのように一方で大企業については割合そういうことができる代りに、小さい事業につきましは数も多いことでありますし、又事業の込み入つた態様が極めて複雑で多岐に亘つておるという点から、一々について私承知いたしておりません。指導の方針といたしましては先ほど来申上げておるような意味におきまして、ただ銀行が自分の債権さえ確保できればあとはどうなつてもよろしいというような態度で進むことは、金融機関の公共的使命の一半は果しておるかも知れないけれども、他の一半は果しておらんという建前において、従来から銀行についても指導いたしております。今後におきましてもそういう考え方で進みたい。ただ具体的の例としてただ私として判断を下すことは困難だと思いますが、行政方針につきましては只今申上げましたような方針で参りたいと思います。
  70. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 一般……まあ他の一面的には成るべく預金者保護というようなことで、銀行のとつ措置が或いは是かという場合も出ましようけれども、それは行過ぎであつた場合もいわゆる是正と申しますか、或いは極端に言つたら罰則の規定ぐらいはあづてもいいと思うのですね。これは国家の産業全体に及ぼす影響というものは非常に大きなものが来ると思うのです。ただ犠牲になつたものは泣寝入りしてしまつてそれでいいという問題ではないと思うのです。やはりこれは政府等において、或る程度そういう場合の措置までも将来考究しておく必要があると思うのです。そういうことは今まで政府部内、或いは銀行局当局においてお考えになられたことがあるかどうか、或いは将来お考えになる御意思があるかどうか、明確に一つして頂きたいと思うのです。
  71. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 先ほど来申上げましたように、そういつた意味の個々の取引について、まあ何と申しますか、裁定することを行政機関としてやる意思があるかないかという問題ですが、只今のところは重ねて申上げますが、そういう意思はございません。ここまでやりますと結局金融機関、銀行等に対する性格付けの問題になると思います。そこから先の問題は今までとつて参つておりまする、銀行等の公共性は認めながら飽くまでこれは民間の機関である、併しそれは公共性があるからいろいろ免許もし、監督もしているという段階を越えるのじやないかと思います。従つて個々のものについて裁定をいたして参るということになりますれば、結局それは更に一歩進んで銀行国営というふうな言葉は非常に語弊があるかも知れませんが、相当国家的、色彩の強い、つまり強権的な性格付けを銀行に與えなければならんということになるのです。現在私どもが銀行について考えておりまするあり方というものを一歩越えるのじやないかというふうに考えております。具体的な取引については今申上げましたように、それを一々政府で裁定して行くという立場は、現在のところでは私どもはとりたくない、かように考えております。
  72. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 まあこれは要望でありますが、いわゆる大事業、大企業というものは潰そうと思つても金融機関自体が潰さない。そういう変則的な現状であります、そのしわ寄せが全部中小企業にまとまつて当るというような点だけは、これはどうしても是正する必要があるということを、局長においてもよくお考えの上で、将来において何らかの対策を御検討願いたいということを重ねて要望しておきます。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと国民金融公庫、これはもう採決終りましたけれども、この際ちよつと伺つておきたいのですけれども、旧軍人遺家族に対する交付公債が八百八十億、で、あの担保力はどういうふうにお考えか、その点衆議院で問題になつていたのですが、この国民金融公庫資金三十億に資金運用部借入金が二十億、回収金を入れて百十六億の支出金、それでこの計画をお立てになつたときには、この旧軍人遺家族に対する貸付という問題は起つてなかつたと思うのです。そこで旧軍人遺家族のほうにどのくらい割当てる予定か、そうしますと当初の計画がすつかり入つて来るわけですね、それは又何か別途補う方法を考えているかどうか。これらの点についてちよつと伺つておきたいのです。
  74. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 遺家族のかたがたに対する公債を交付いたしました場合の公債の性格の問題でありまするが、これは原則としては担保に供しないということになります。ただ特別の場合、例えば今予想いたしておりますのは、御承知のように国民金融公庫で或る程度の金融を見る場合におきまして、担保力を認めるか認めないかという点が一つあります、この点今研究いたしておる最中でありますが、恐らくそういう場合におきましては、例外として担保に入れることを認めるごとに相成るかと思います。国民金融公庫がこのほうへ資金をできるだけその交付公債を担保にいたしまして金融をいたしますことにつきましては、衆議院において大蔵大臣から御説明申上げている通りであります。ただ現在のところでは今お話がありましたように、三十億の増資と二十億の資金運用部からの資金貸付等五十億、その他回収金は勿論ございますが、そのうちに一体それを予定しているのかというお話でございます。私どもといたしましては、この遺家族のかたがたに対する国民金融公庫の金融のための特別の枠、例えばこの十億見るとか、或いは五億見るとか、そういう枠として別に考えておりません、現在のところでは。今後この一般の金融の一部として、このほうにも十分重点を置いて考えて行くという態度の下に考えて参りたいのです。将来におきましてそれだけでは国民金融公庫資金は足りないというし先ほどからこの委員会でもいろいろお話が出ましたが、そういう問題がなくても国民金融公庫資金が出ないじやないかという御指摘を受けております。そういうふうな問題が将来起りますときには、遺家族のかたがたに対する金融の問題がなくても、いろいろ財政上許す限りできるだけ資金を確保して行きたいということを考えております。これらの問題を一括して財政需要と睨み合せながら、必要に応じて金融の途を講じて参りたいと思いますが、只今のところは別に枠を決定してこのほうに五億だけ割く、或いは十億だけ割くということは只今のところ考えておりません。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 交付公債の性格については原則として担保を認めないというのですけれども、事情によつてはその担保を認めることになつて来るのじやないのですか。交付公債についても普通の公債と同じだと思うのです。ただ銀行引受とか、そういうふうになつていない点が異なるだけで、流通性を認めなければ公債としての結局価値がないわけですから、で、これは十ヵ年償還、特別の場合は五ヵ年ですか、そういうときには又特別に考慮するか、それが我々の考えるところではまあ銀行財政というけれども、それによつてインフレ的な要因になると、こう思うのですが、その点念のためにもう一度伺いたいことと、もう一つ資金運用部からの借入が今度初めてできるようになつた前にはなかなか借りられなかつたのですね。これはどういうせいか、今後はずつと資金運用部から借入れというものはずつとできることになるか。前は司令部のほうで大分やかましかつたようですが、その点はどうなつたのですか。今度認められていますが、今後ずつとですね、これからこの国民金融公庫ばかりじやなく、ほかの金融についても資金運用部の資金の使い方について変化のあつたように思うのです。その点も併せて一つ……。
  76. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 公付公債につきまして、担保を認めるか認めないかというお話の点は、実は私の主管でございませんので、必要がございましたら、或いは理財局長なり他の政府委員をお呼出し頂いてお聞き願いたいと思います。今私の聞いておる点では、先ほど御答弁申上げた通りでありますが、それからこの関係の交付公債をどんどん資金化して行けばそれだけインフレーシヨンになるんじやないかというお話のようでありますが、それはその面だけは、そういうことに、或いはそれだけ資金化されるという意味において資金が出て来るということはあるでありましようが、その面だけではなく、総合的にやはりインフレーシヨンを、これは木村さんに申上げるまでもないのでありますが、考えて参らなければならんと思いますが、その面だけがインフレ的要素であるということは、必ずしも断定できないと私ども考えております。  それから資金運用部におきまして、今お話貸付というものは、国民金融公庫の問題だと思いますが、これは二十六年度から始めて……、ただこの点は国民金融公庫だけじやなくして、例の住宅金融公庫につきましても同じような貸付を見とめ、今後におきましても、二十七年度も、やはり住宅金融公庫及び国民金融公庫について貸付を見とめておるわけです。資金運用部の性格としてそういう独自の政府機関に対する資金の供給を今後においても認めて行きたい。ただこの点は資金運用部の資金の全体の力、まあ枠と申しますか、全体の量による制約もございますので、優先順位からいたしましても必ずしもそれを多額に無制限にそのほうに貸付ができるかどうかは、これは運用計画全体として考えて行かなければなりませんので、今後におきましても運用計画の一つの重点として、そういつた政府機関への貸付は続けて参りたい、かように考えております。
  77. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それではちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  78. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて。  それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時四十七分散会