○
政府委員(
村上一君) お
手許に
資料がいろいろ差上げてあるはずでございますけれども、先ず
法律案、それから
新旧対照表という印刷物がお
手許に差上げてございます。それから
法律案要綱という
ガリ版刷りのものが配付してあります。なお別に
参考資料として、
閉鎖機関につきまして二種類の
資料が届いていると思います。いろいろ
内容は多岐に亘る
法律でございますので、非常に細部まで今一気に御
説明いたしますことも如何かと存じますが、
法律案の
条文につきまして、逐条、順序を逐いまして概要をずつと御
説明いたしたいと思います。
資料としましては、従いまして
法文と
新旧対照表を御覧頂きたいと思います。
ポツダム政令のことはすでに皆さんよく御
承知でございますから省略いたしますが、すでに出されましたものが二百八、九十に上るのでありまして、現に生きているものが百四十四件ということでございます。そのうち五十件近くが
大蔵省関係の
ポツダム政令、省令でございます。これの
措置につきましては、各省一括いたしまして一本の
法律にまとめようかという話もございましたのでありますが、却
つて時間がかかりますのと、余り広汎な
法律になりますので、建前としては、各省別にそれぞれ一本の
法律にまとめるということにいたしました。なお
大蔵省関係はその中でも非常に件数が多いものでございますから、要綱のほうに書いてございますが、連合国財産の返還等に関する政令、ドイツ財産管理令その他二件、合計四件は、
只今御
審議をお願いしております
法律案と別にもう一本
法律が出る予定でございます。従いまして
大蔵省関係の五十件に近いポ政につきましては、
法律が二本
国会の御
審議を仰ぐということになる予定でございます。この
内容はお
手許に
新旧対照表がありますが、その目次のところを御覧頂くのが一番わかりやすいと存じますが、
改正存続
命令関係、これが第一条から七条までの
規定でございます。目次のところにずつと挙
つております。それからその次は
内容を
改正いたしませんでそのまま存続いたします
命令、これが
法文の第八条に列記してございます。それから
廃止してしまうもの、これが九条から十三条に
規定がございます。それに別に一条加わりまして、合計十四条の
法文でございます。
第一条から逐次御
説明いたしますが、第一条は、
閉鎖機関令の関係でございます。これは一部
修正いたしまして存続するということを予定しております。で、
閉鎖機関は、これは十分御
承知だと思いますが、
新旧対照表の第一頁、現行法の第一条にその定義がございまして、「
閉鎖機関とは、連合国最高司令官の要求に基き、その本邦内における業務を停止し、その本邦内に在る財産の清算をなすべきものとして大蔵大臣……所管大臣の指定する法人その他の団体」ということにな
つております。例えて申上げるほうがおわかりやすいかと思いますが、各種の統制機関、例えば食糧営団、これは中央、地方にございます。中央水産業会とい
つたような各種の統制機関が、殆んど全部
閉鎖機関であります。それから在外関係のものがございます、例えば満鉄でありますとか、台湾銀行、朝鮮銀行とい
つたような、そういう在外関係の会社、こうい
つたようなものが
閉鎖機関の
一つの
部分とな
つております。で、これらにつきましては、別途
資料を差上げてございますが、指定いたしました総数は千以上に上
つておりますが、約半分につきましては、すでに清算を終了いたしております。それから残りの約五百くらいのものにつきまして、その又半分二百五、六十件のものは間もなく終了するはずであります。あと多少、例えば、朝鮮銀行、台湾銀行、そうい
つたものは完全に終了するまでには時間がかかるかと思いますが、大
部分のものにつきましては大体所期の
通り清算が終了する段階に来ております。
で、今回の
閉鎖機関令の
改正の要旨は、
資料の要綱というところに簡単に書いてございますが、先ず
法文につきまして逐次申上げます。
「第一条第一項中「連合国最高司令官の要求に基き、」を削る。」、これはかようなものがなくなるということでございますので、当然の
字句整理かと思います。それから「第二条を削り、第一条の二を第二条とする。」、これは
条文の番号整理でございます。それから「第五条第六項を削る。」、これは参照
資料の
新旧対照表を御覧頂きますと、その二頁にございますが、第五条第六項と申しますものは、解任、任務を解かれた
閉鎖機関の役員の元の店舗への出入りを禁止しておる
規定でございます、かような
規定の必要も現在としてはすでになくな
つておりますので、この
機会にその
条文は削除いたしたいと思います。それか前に申し落しましたが、「第二条を削り、」とある第二条の項は、番号整理ではございませんので、このほうはこれも参照書類にございますが、
閉鎖機関の戸扉を閉鎖する、或いは
閉鎖機関であるとの明示をする。その場合、警察
官吏の援助を求め得るというような
規定でございます。これもすでに実体の
規定の必要がございませんので、削除いたします。それから「第十八条の二を削る。」これも参照書類の二頁の終り頃にございますが、十八条の二の
内容は、
閉鎖機関に指定された前の原因による債権の弁済を受け得る。
閉鎖機関はそうい
つた債権の優先弁済を受け得るという
趣旨の
規定でございまして、これは非常に強い
規定でございます。例えば国の課税権、徴税権にすら優先するという強い権利を与えられておりますが、実際には適用した例はございません。非常に強権過ぎるような感じもいたしますし、又実際の適用例もございませんので、この際これも削
つてしまいたいと思います。
「第十九条第一項中「連合国最高司令官の要求に基き」を削る。」これは先ほど申上げましたと同様当然の整理かと存じます。それから「第十九条の八から第十九条の二十四までを削る。」これがやや実体的な
修正でございまして、これは参照
資料の三頁のところに現行の
法文が掲げてございまして、そのほうを御覧頂きたいと思います。簡単に
内容を申上げますと、
閉鎖機関が、
閉鎖機関に指定されます前にした行為のうち、債権者を不当に害する虞れのある行為については、
閉鎖機関整理
委員会という監督機関が取消を命ずる。つまり債権者保護のためにそうい
つた行為の取消を命じ得る
規定があります。その取消の手続、効力、それからそれに対しまする
異議の申立、それから聴聞会、更に大蔵大臣への不服の申立、それから更に進んで裁判所への出訴とい
つたような、各段階における手続、効力というようなものを十九条の八以下で
規定してございますが、これはすでにそれらの実際の必要がなくなりましたことと、それから
資料の八頁を御覧頂きたいと思いますが、第十九条の二十二という
規定でございます。これは時効の
規定でございますが、これらの「取消権は、指定日から一年間これを行わないときは、時効により消滅する。行為の日から三年を経過したときも、又同様とする。」という
規定がございまして、実はこの
規定が働きまして、皆時効期間を経過しておりますので、たとえ
規定がありましても実際には死文化しておるという状態にな
つておりますから、この際それに関する
規定を一括いたしまして削除いたしたいと考えております。
それから
法文のほうの二頁になります。「第二十条第三項を削る。」、これも
資料の九頁にございますが、これは指定の解除をいたしましたときに、
閉鎖機関であるという封印も又解除すそという
規定でございます。これも実際の必要がなく
つておりますので削除いたしたいと思います。それから「第二十四条を削り、第二十三条の二を第二十四条とする。」、これは
条文の整理でございます。それから二十四条は封印を解除します場合の当該役員の身分証明書の携行の
規定でございます。これも実際の必要かなくな
つておりますので削除いたしたいと思います。それから次が
法文の二頁「第二十九条の二中……」云々というところから「第三十二条中……に改める。」というところまでは、これは
只今、前に申述べました
改正に伴いまして罰則の
規定を整理いたしましたので、
条文の番号を整理いたします
規定でございます。以上が第一条でございます。それから第二条について申上げますが、
法文のほうで第三頁、
閉鎖機関整理
委員会令の一部
改正でございます。
閉鎖機関整理
委員会と申しますものは、前に御
説明いたしました
閉鎖機関のいろいろな整理の実行機関として設けられましたものでございますが、先ほど申上げましたように、大
部分の清算が終了いたしますので、聞もなく
委員会そのものを解散していいのではなかろうかと、かように考えております。
条文の第二条、
閉鎖機関整理
委員会令……第十四条中、括弧書きをして、「削る。」とございますが、これはあとで出て参りますが、括弧の中にあります「会社の証券保有制限等に関する勅令」というものを
廃止いたします関係上、
字句の当然の整理でございます。それから「第十六条第二項を削る。」これは先ほど申上げました指定日前に行いました行為の取消の場合聴聞会という
規定が現行法にあるわけでございます。それを前の
閉鎖機関令のはうで実際の必要がないということで削除いたしております。そこでこの第十六条第二項と申しますものは聴聞会の
予算に関する
規定でございますので当然要らなくなるというふうに考えております。それから第二十条を整理
委員会は、大蔵大臣の
命令によ
つて解散するというふうに直しております。これは
資料のほうは十一頁にございますが、現行法では「
目的の達成により解散する。」こうな
つております。ところで
目的の達成ということはいつであるかという認定が甚だ困難な問題でございまして、非常に厳密に解しますれば、一会社のうちの極く一
部分でも整理が残れば、
目的は完全に達成しないということも
解釈できるわけでございますが、先ほど申上げましたように、大
部分の清算が終了いたしましたならば整理
委員会を適当な
機会に解散いたしたい、で残りましたものは大蔵大臣の定めます清算人というものによ
つて清算を続行いたしたいと考えておりますので、「
目的の達成によ
つて」とありますのを「大蔵大臣の
命令によ
つて」解散する、かように
改正いたしたいと考えております。なおその次の「第二十二条を削る」、これは罰則の関係でございます。それからあと、二十三条、二十四条、これは
条文の番号整理でございます。第三条に参ります。第三条は「
閉鎖機関に関する債権の時効等の特例に関する政令の一部
改正」でございます。これは
資料のほうは十二頁の下のほうに挙
つております。この政令はもともとの
趣旨を申上げますと、
閉鎖機関の債権、或いは
閉鎖機関に対する債権につきましては、すでに時効期間が経過しております分の債権を生かす、又時効の今後の進行を停止するという
趣旨が
規定されておるわけでございますが、その第三条という
条文はその
趣旨の
規定を印度支那銀行、日仏銀行、それから中華民国の法人でありますところの中国銀行の債権につきまして準用してお
つたわけでございます。ところがそれらの銀行のほうにおきましてすでにその実体の必要がなくなりましたので、この際削除いたしたいと考えております。それから第四条に参ります。
法案の四頁でございます。「旧
日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部
改正」、これはいわゆる在外会社と言われておるものでございまして、例えば朝鮮郵船、或いは開らん炭鉱というような会社がこれに該当するかと思います。その
改正の
内容は主としてこれは
字句整理でございまして、第一条及び第二条第一項第一号中「連合国最高司令官……」これは前に申上げましたと同様の
趣旨でございます。それから第二十五条第四項及び第五項を削りますのは、これはあとで出て参りますが、会社の証券保有制限の政令というものを
廃止いたしますので、それに伴う
修正でございます。同条第六項を第四項とする。これは
条文の番号整理でございます。三十四条の三第四項中云々とありますめも
字句の整理でございます。それから第五条に参ります。「国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令の一部
改正」、この政令の要旨を簡単に申上げますと、
資料のほうでは新旧対照の十四頁に載
つておると思います。これは簡単に申しますと、債権者が国外にあります場合に、その債務の弁済のために供託をいたしますが、その場所、或いは手続或いは時効期間というようなものにつきまして特例を
規定してお
つたわけでございます。併し条約発効後はかかる特例は
原則として
廃止したい、一般の取扱に直したいというのが今回の
改正の骨子でございます。第一条中云々とそこに四行に亘りまして非常にがたがたとした
条文が書いてございますが、これは要するに平和条約の効力発生の日以後はこの特例によらないという
規定をしているわけでございます。括弧の中にありますのはただ例外といたしまして、いわゆる在外会社、それからドイツ財産管理令によ
つて管理せられております……この二つにつきましては従来この
措置をや
つて来ておりますので、例外的に今後もその
措置によろうという
趣旨を第一条中云々とここに
規定しているわけでございます。第七条中云々、これは
字句の整理でございます。第九条は実質的には今回削除するわけでございます。これは参照
資料の十五頁に
規定がございますが、要するに第九条の要旨は、供託をいたしましたその供託物を債権者が還付請求をするわけでございますが、その場合占領下の特殊な形態といたしまして、当該外国の使節団が中に入
つて請求をするというような
規定を設けてお
つたわけでございます。今後かような特例はやめるという
趣旨でこれを
廃止したいと考えております。その次の第十条第一項中云々、これは九条を削除いたしました結果当然の整理でございます。なお承諦書以下二行に亘りましてありますが、これは実質の変更はございませんで、ただ表現をわかりやすい表現に改めただけでございます。それから第十二条中
附則第四項云々とございます、これはあとで出て参りますが、
附則の番号整理でございます。それから第十三条中云々、これも
字句整理でございます。第十四条、これは九条を
廃止いたしました結果当然として罰則
規定を削
つているわけでございます。それからその次に
附則第二項から
附則第五項までを次のように改めるとしまして、多少技術的な
規定がございますが、これは特にこの際実体を重大な改変を加えようという
趣旨では、ございません。この
規定の
内容は政令が出ます前にこの種の債権につきまして一般的な供託の
措置をや
つておりました場合、主務大臣の
命令によりまして、この政令のやりました
措置と同様な取扱をしてお
つたわけでございますが、それを今回の
改正によりまして主務大臣の
命令というのをやめまして、供託者のほうの請求によ
つてすることにいたしました点が
改正でございます。それから第六条に参りたいと思いますが、
法案の六頁、六条は全部今申上げました第五条の
改正に伴う経過
規定でございまして、つまり旧令によ
つて行いました行為の効力を一挙に無効にすることは非常な支障を来たしますので、その旧令によ
つて行われました行為の効力はそのまま是認しようというのがこの
趣旨でございます。それから第七条に参ります。
法案で七頁の終りのほうでございます。「
日本証券取引所の有価証券売買取引
事業特別会計に属する財産の管理に関する件の一部
改正」、これは参照
資料のほうでは十八頁に載
つております。これは戦時中に証券取引所を使いまして株価の操作をいたしたことがあるのでございますが、その関係の経理を特別会計にて
区分整理してございますので、その会計につきましても
閉鎖機関と同様の
趣旨を以ちまして目下清算をや
つておるわけでございますが、それにつきまして先ほど
閉鎖機関或いは
閉鎖機関整理
委員会のところで申上げましたが、
委員会は適当な
機会に解散いたしまして残りました分は大蔵大臣の選任する清算人に清算
事務を担当させようというふうな考えを持
つておりますので、従いまして第八頁の第一条第二項中と或いは第二集中、第三条第二項中の
字句を整理いたしましたわけでございます。以上が
内容を一部
修正して存続する政令でございますが、第八条はそのまま存続する政令を列記してございます。これは参照
資料のほうに全部全文を掲げてございますので参照して頂きたいと思いますが、
内容を極く概括的に申上げますと、実体が多少残
つておるもの、それから政令に従いましてやりました行為の効果を存置する必要があるもの、或いは行われました行為についての罰則の
規定を従来
通り置く必要があるのではないか、こうい
つた内容につきましてそれぞれこれらの政令は存置したいと考えております。個々の政令につきましての
内容の
説明は御質問等の
機会に譲りまして省略さして頂きたいと思います。それから第九条でございますが、
法案のほうの十頁、これは今回
廃止します政令を二十二件列記してございます。これらはすでに事柄が終了いたしまして、今後存続の必要がなく
なつたものばかりでございます。これらにつきましても
内容の詳細な御
説明は更に御質問等の
機会に譲らして頂きたいと存じます。それから
法文の十四頁でございますが、第十条、ここからあとはいずれも
廃止しました
命令に関する経過的な
規定でございます。第十条は旧臨時軍事費特別会計の決算でございますが、これは元の例えば朝鮮総督府特別会計或いは台湾総督府特別会計、そういう旧外地特別会計と関連がございますのと、又外地銀行との関係等との出入がある等の
理由によりましてなかなか決算を終了するということが困難な状態にあります。そこで十条に
規定いたしました
趣旨は、旧来臨時軍事費に帰属すべき収支、それから今後年々又収支が起
つて来る場合がございますが、そうい
つたものを一般会計の決算に添えて
国会に提出するというような
趣旨を
規定してございます。それから第十一条、これが又非常にごたごたした
規定でございますが、要旨を申上げますと、旧会社の証券保有制限等に関する勅令という勅令は九条の第四号で
廃止を予定しておりますが、その勅令の中に独禁法の例外といたしまして会社が大蔵大臣の許可を受けまして株を所有し得る
規定が入
つておるわけでございますが、その効力だけは今後も存続さしたいという経過的な
規定でございます。それから第十二条は、いずれも九条で
廃止いたします、九条の五号、十一頁にありますが、ジエー・アンド・ピー・コウツ・リミテツドに対する財産の返還に関する政令を
廃止いたしますが、その政令の中に税に関します同様の
趣旨の
規定がありますので、その分だけは効力を存置さしたい、こういうことであります。十三条、これは政令を
廃止いたしますが、
施行前にした行為に対する罰則については従前の例による。それから十四条は別に
説明する必要はないと思います。それから
附則のうち第二号、大蔵省設置法の一部を
修正しておりますが、これは印刷庁の関係でございまして、今回
廃止を予定しております政令のうち第九条の十一号でございます、
法案の十二頁、初めから五行目の所にございますが、通貨等製造工場管理規則というものを
廃止いたします。その関係で印刷庁の業務のうちそれに該当します条項を削除いたすわけでございます。以上非常に簡単で恐縮でございますが、ざつと逐条の
説明をいたしましたわけでございますが、何分
内容が五十件近い政令が中に入
つておりますので、いろいろ御質問、或いは
資料の御要求等もありましようが、そうい
つたもので御
説明の参考にいたしますと共に、なお御質問に応じまして個々の点に更にお答えいたしたいと思います。