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説明員(
佐藤一郎君) ええ、
財務局が実はや
つてお
つたわけでありますが、これについてはおつしやいますように、私も全然
効果がなか
つたとは申上げられない。
終戰処理費等については御
承知のように非常に混乱が多か
つたわけでありまして、
小切手認証というものは或る
程度その役割を果したと思います。まあその後だんだん安定して参
つたのでありますが、御
承知のように
小切手認証については、
一つは
書面審査でありまして、殆んど
現場には参りません。ですから御
指摘に
なつたような本当の
弊害を防止するということは実は極めて困難であります。ただ机上でいろいろな
資料を山と積みまして、そうして
小切手を睨み合せて、そのときに
説明を聞くという
程度で、その
程度では本当に一番肝腎なところは
却つて拔かされやすい、而も当時から言われてお
つたのでありますが、
小切手認証につきましては非常に
厖大な
資料が、どうしても
書面審査でございますから要るのでございます。極端な例を取りますと、トラツクに
資料を積んで来たというように誇張されて伝えられたように、実際に
厖大な
資料を要求した。而もそういう
資料を要求される割合には
効果が、
只今言いましたように
書面審査でございますので十分現われて来ない。それから
書面におきまして、
小切手認証の
制度を布きまして、実際上チエツクした例は殆んどない。それはどうしてチエツクできないかと申しますと、
各省がすでに契約を結んでお
つて、
あと小切手を振出す
段階にな
つておる。そこで仮に悪いということがわかりましても、直ちにそれを否認することができない。そうすれば結局
債務不履行になりますので、結局
注意はいたしますけれ
ども、止むを得ず
小切手そのものは認めざるを得ないというのが実際の現状でございます。当時から否認して、今でも問題の残
つておるのは山形県に一件ございますけれ
ども、そういうのは特殊な例でございまして、大体
小切手の
段階で以て
認証するというのは遅きに失しておるわけであります。そういうふうなところから廃止することにしたわけであります。
財務局の連中はこれについて相当
効果ありと認定しております。一面におきましては、
各省においては
只今申上げましたように、害があ
つて益は少い、こう断定しておるわけであります。
国会におきましても、私
どもしばしば各方面の
委員会に、例えば
公共事業関係の
委員会等にも呼ばれまして、当時から
質問を受けておりました。特に
地方行政委員会のごときは、いわゆる
地方出先機関の一元化という
見地から、
財務局で
認証するというのはけしからんと言
つて叱られたこともございます。いろいろな
立場がございまして、
財務局の
立場からすれば、これは非常によいと言
つておるのでありますが、又その
反対の説も相当強いのであります。彼此勘案いたしまして、結局
小切手の
段階で
認証することは
余り意味がないというので、これはやめたようなわけであります。今
菊川さんのおつしやいましたように、その代りがあるかというこういう
お話でありましたが、私この前
根本は
モラルだということを申上げたのでありますが、勿論
只今の
制度におきましてもいろいろな各種の
制度があるわけでございます。まあ会計検査院の検査が一番
根本でございますが、
大蔵省でも
監査をもう少し組織的に少しずつや
つて行きたい、ただこれにはスタツフの
関係等もありますので、必ずしも理想的には行きませんが、それでも徐々に
監査をや
つております。
会計法四十六條に
大蔵大臣が
監査をすることができる
権限が與えられておるのでありますが、実際はこれを
地方部局、即ち
財務局に直ぐにやらせると
弊害があるというので、
法律の
規定が存したにもかかわらず、実際問題として
財政法ができましてから二、三カ年というものは
財務局に
一つも
監査はやらせませんでした。それで、だんだんと模様を見ながら最近やらせておるわけでありますが、これについては又非常に非難されておる点もございますので、その
運営については
十分愼重に考えながら、具体的に例えば個々の災害の
経費であるとか、こういう特定の
事件をやれとかいうふうに大体できるだけ限定して目下や
つております。その
監査を十分にやるということが
一つの防止の
方法になると思います。それから御
承知のように今
小切手認証制度が
一つ最も非難されましたのは、
大蔵省が
各省をチエツクするという点にあ
つたわけであります。今の
財政法、
会計法の
建前が
各省の
大臣が
責任を持
つてやる、
予算の
編成は
大蔵大臣がやるけれ
ども、
執行は
各省の
大臣の
責任であるというような、これは明治以来の一貫した
建前でございまして、これは
大蔵省と他の
各省との
権限の
関係等も考慮してそういうふうにな
つておるわけであります。又実際
上仕事を円滑にやるというようなことも一面考慮する必要があるわけであります。結局
各省においてどういうことをや
つておるかということになるわけでありますが、そうなりますと、第一には
各省の
部内監督が行届いておるかどうかということと、それから
当該官吏にはその適正な人物が配置されておるかどうかということに帰着すると思うのです。
各省におきましては、これは遅きに失すると言えば失するのでありますが、だんだん
事故が出ました結果として、非常に
各省においても
内部に
監査官等を設けて、そうしてできるだけ、一種の
行政監査の
一つの面になるわけでありますが、不正の
発生を防止しておるという
実情でございます。これは省によ
つて非常に違うのであります。
事業費の多い
建設省や農林省から、殆んど
事務費だけの外務省というふうに
各省において
仕事の性質が全然違う、
予算執行の仕方が違います。それでこういうものについては
大蔵省で一律にきめるよりも、
各省大臣の
責任でやらせるほうが時宜に適した場合が多いのでありまして、大体そういう
方針で以てや
つております。
まあ私
たちは一番
重点を置くものは人間をよくするという以外には最後にはない。結局公団の
事件等でもそうでございますが、外部から、例えば
形式上
監督権が安本の長官や
通産大臣にございましても、大きな
世帶をただ名義上の
監督者というものがなんぼがん張りましても、結局
書面審査の域を脱していないという
実情でありますので、結局
現場の人を教育するということになろうかと思うのでありまして、これについては従来から見ると随分力を入れております。それから
事故の
発生でございますが、これは
終戰直後から見ると少しずつは改ま
つておるというふうに私
たちは考えております。それから
事故の
一つの原因は
法律の
制度が非常に複雑であるという点にあ
つたように思われるのであります。今度の
法律の
制度の
簡素化ということは、実は
一つその面を考えておるわけでありまして、
法規が非常に複雑でありまして、而もしばしば
変つた、これは従来
司令部等の
関係もございまして、いろいろそういう面からも複雑化して来た傾向があるかと思いますが、まあこれにつきまして結局そのために不用意な間違いが随所にできるというような点がございました。そういう点も
一つできるだけすつきりした
法律にして行く、それからもう
一つは、この
制度としても勿論考えなければならんという点がございます。例えば
小切手の
紛失事件があ
つたのでありますが、これなんかも従来
小切手の
保管についての
注意が
各省において足りなか
つたのであります。そういうような具体的なものにつきましては、その都度それに即して
大蔵省で
小切手の
保管等につきましても
各省に
大蔵省令によりまして嚴重に今通告をいたしておりますが、徐々にできるだけ改められるものは改めて行く、こういう方式をと
つております。問題は割合技術的な問題でございますので、そういうような改正は徐々に行な
つております。