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1951-12-15 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十二月十五日(土曜日)    午前十一時五十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            小林 政夫君            田村 文吉君            菊川 孝夫君            松永 義雄君            森 八三一君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵省銀行局長 河野 通一君    中小企業庁長官 小笠 公韶君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○年末金融に関する件   ―――――――――――――
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) これより第五回の大蔵委員会を開催いたします。年末金融に関する件を議題といたします。御質疑を願います。なお政府委員としておいで頂いておるかたは、大蔵大臣銀行局長中小企業庁長官かたがたがお見えになつております。
  3. 松永義雄

    松永義雄君 簡單に三項ばかりについて大臣に御質問いたしたいと存じます。  その第一点は産業合理化法という法律が今国会議題に上つておるのであります。ところがその産業合理化法という法律を見ますと減価償却の問題を扱つておるのであります。すでに減価償却法につきましては、大蔵省からの提出で本委員会審議を経ました租税特別措置法で論議せられて可決して参つたのであります。ところがそこに規定してある減価償却によつて、そうして一般減価償却の点のみならず、特に機械設備について特別の取扱をしておるという規定を我々は審議して参つたのであります。ところがこのたび産業合理化法という法律が出て参りまして、ここでも緊急必要な産業合理化のために、機械設備その他重要産業施設に対しては特別の償却制を認めているのであります。で、どこの委員会で又いつこれを審議しても差支えないと言えばそれまででありますが、一応税金のことは大蔵委員会でこれを取扱うということになつておる。然るによそでこういう議員提出にしましても出て参りましてそうして審議する。この委員会では御承知通り合同審査をいたしたわけであります。一体そういつたような大蔵省で扱うというか、大蔵委員会で扱うべきことが、よその法案の中に取扱われており、そうして大蔵省としましては議員提出だから止むを得ない、こういうことで済むようなことがあつたら、将来どこの委員会でどういう法律が出て来て、そうして他の委員会審議すべきことの点について審議されるということになつたら、審議というものは秩序が乱れて来るのではないかと存じます。若しああいう法案が必要だと、産業合理化法案みたいな法が必要であつて特別償却を認めなければならんとするならば、過ぐる国会においてなぜ大蔵省租税特別措置法にそうした規定を設けておかれなかつたのかどうか、ああいう商業合理化法という中で取扱われている特別の償却について、大蔵大臣としてはどういうふうに考えられているか、賛成するのか、反対するのか。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 産業合理化法案のうちに償却に関する問題があることはお話通りであります。而してこの問題につきましては我々も関与いたしておるのであります。ただ問題が産業合理化法でございまして償却のみを出しておるのではないので、ほかの目的もございますので、ああいうふうな審議の恰好になつておるのであります。
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと申上げますが、大蔵大臣に年末金融対策についてお話をお願いして、それに対して又いろいろ御質問願うことにしては如何でしようか。
  6. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつとこれだけ。産業合理化法の中にそういう規定があつて、而もそのほかにも産業合理化に関する規定があるからかまわない、こういうふうな御意見なんでありますが、過ぐる国会においてそういう法律が若し必要だ、特別償却の点が必要だということになるなら、なぜ特別措置法にそれをきめておかれなかつたかという点であります。同時に大蔵省としまして、そういう法律が出て来るということに対して、一体大蔵大臣の権限というものはどういうことになつて行くのか、まあ大蔵省としまして、或いは大蔵委員会として食い込まれているような形になつて来ているのではないか、そういうことに対して将来どういうふうにお考えになるか。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その法案の中には、どういう産業についてどういう償却を認めるかということにつきましては、大蔵大臣関係することにいたしておりまするから食い込まれたとは考えておりません。
  8. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは大蔵大臣に年末金融対策についての一応のお話をお願いしたいと思います。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 年末金融対策につきましては、只今会議で議決になりましたし、又先般緊急質問もありましたし、私といたしましても一連の年末金融対策、又中小企業の年末金融対策につきましては、あらゆる手を考えておるのであります。御承知通りこの金融問題というものは政府が先に進んでああやれ、こうやれというのでなしに、そのときどきの状態によつて適当な措置をとるべきものだと考えておるのであります。先般の臨時国会でも御審議願いました商工中金に対しまする改革或いは又予算上国民金融公庫、農林金庫等の問題、いろいろな点で金融財政面から考えると同時に、本年は年の初に相当の輸入の増加があり、それの値下り等特殊事情がございますので、そのときどき七、八月頃からこれが対策をとつておるのであります。従いまして今年末金融としてどういうようにやるかということにつきましては、私たちあらゆる事象に対処してその都度適当の措置をとるように事務当局を督励し、又日銀当局とも常に連絡をとつて万全を期しておる次第であります。具体的な問題につきましては銀行局長よりお答えをいたさせます。
  10. 河野通一

    政府委員河野通一君) 年末の金融につきましては、大臣からお話のありましたように、この年末にかけて特別に今何か別枠的な措置をとるとかいうようなことは現在のところでは考えておりません。前国会中から予算上、或いは財政資金運用上の問題としていろいろ手を打つて参つております。又国庫金指定預金引上げの問題につきましても、相互銀行とか或いは信用金庫等につきましては、これらの中小金融に対する活動の促進のために、十一月の中頃に全額引上げるべきものを半額だけ残して年を越すように措置した。又災害地に対しましてはこれらの措置を更に進めまして残りの半額についても引上げを延す。又一般の小銀行に対しましては預託を更に殖やすというような措置を講じて参つております。又年末にかけまして資金運用部資金のうちから、応急の措置といたしまして、約三十三億ばかりの資金をこれらの災害地域に対して放出を年内にいたすことになつております。手続が済み次第どんどんこれを放出いたしたい。これらによりましてこれらがうまく回転いたしますならば、年末にかけての資金円滑化に相当期するところがあるというふうに考えております。又最近におきましては一般中小金融等につきましていろいろむずかしい問題もあるのでありますが、商工中金資金につきましても、今後の年末へかけての特殊の事情を十分考慮いたしまして、各般資金力の拡充について措置をいたして参つておりますが、必要があれば日本銀行といたしましてもこれがための所要資金について面倒を見て行くことになつているわけであります。具体的な金額その他につきましては、目下商工中金当局日本銀行といろいろ打合せが行われているわけであります。何分にも特に中小金融につきましては資金需要が非常に旺盛であります。先ず無限と申してもいいほどに実は旺盛なのでありますが、一方で通貨金融対策として堅実なる金融政策をとりながら、これらの方面への資金を供給いたして参りますために、おのずからそこには限度というものもございますけれども、そういつた観点から具体的に個々の問題について必要なる措置は講じて参つたつもりでありますし、今後におきましてもこの方針で以て進んで参りたいと考えております。  なお先月から今月にかけまして、弱小の企業につきまして若干整理を要するものが出ておりますことは、新聞等でも御承知通りでありますが、これらの問題に対しましても、年末にかけて個々事情を十分に参酌しながら、経済界に対して非常に大きな波動或いは変動を起さないように、個々の具体的な措置を緊密に各関係当局に連絡しながらとつて参つておりますので、これらの点から今後非常に大きな経済界に対して惡影響を及ぼすようなことは先ずないと私どもは見込んでいる次第であります。  今申上げましたようなことで特別に例えば日銀別枠措置をとるとかいうようなことはいたしませんが、個々の必要に応じながら各般の手を打つて参りたいと、かよこ考えておる次第であります。
  11. 松永義雄

    松永義雄君 年末に際してばかりでなく、この夏以来産業界において非常な金詰りで非常に困つておるということは、しばしば新聞で又池田さんからもお聞きしておるのであります。然るに実際問題として金融が適切に行われているかどうかという点になりますと、必ずしもそうではないと思うのであります。曾つて大蔵大臣はこの委員会で御説明にあつたように、市中銀行金融融資について一通の通達をなされてそうしてその方針を指示されたということでありまして、その結果かはどうかは別にしまして、市中銀行融資規制委員会と申しますか自治的統制団体と申しますか、その委員会において耐久建物に対しては金融を慎むし、或いは料理屋その他賛沢なものに対する融資を慎む、こういう申合せをしておるということも又聞いているのであります。どころがまあ一体大蔵大臣であろうが誰であろうが、どこへどういう花を贈られた、葬式に花を贈られようが、或いはよその開店に花を贈られようが、それはまあ自由なわけでありますけれども、それは私はとかく申すのではない。けれども承知通り耐久建物に対する融資を慎むということでありますが、このことはひとり日本においてのみならず、殊に財政の苦しい国においてもこれを実施しておるところであります。而もその耐久建物建築ということばかりでなく、その耐久建物も、或いは賛沢建物に対するその所有権移転の場合における融資についても、これは慎まなければならんということを言うておるのであります。然るに銀座街頭繁華街にあるアスターハウスのこの新たなる開店に当つて数千万円の資金が使用されているということを聞いている。少くとも棚卸勘定をしてみまして、権利金幾ら、模様替えが幾ら、恐らく一千万円に近い金かと思うのでありますが、そういう金がこう動いているということ自体が、私は余り望ましくないことであると信ずるのであります。市中銀行融資規制委員会耐久建物賛沢仕事に対しては金を出すことを慎む、こういうことを言つておる。併しながらこのアスターハウスと称するものに対して、こうした大きな金というものは、或いは自己資金でやつておるとも言うでありましよう。高利貸に借りておるとも言うでありましよう。或いはいろいろなそれは弁解の余地もあろうかと思います。けれども事実それだけの金が動いているということたけは、これは認めなきやならん。そうした施設に対して大蔵大臣がどこヘお祝いの花を贈られようが、それは私は勝手でそれをとやかく言うのではありませんが、併しあなたが通達まで出して、そうして融資規制委員会が金の出入れを慎まなければならんと言つておるのに、それに反するようなものにあなたの名前が出るということは、あなたが通達をした一体考え方というものに対して、どれくらい真剣であるかどうかということを私は疑うのであります。一体ああした看板を出されたということについては、私はあすこの中身のことはあなたは御存じないわけではないと思うのでありますが、一体ああしたことはいいことであるかどうか、金融上いいことであるかどうかということを一ぺんお伺いしておきたい。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先般或る一、二の新聞に、銀座辺キヤバレー新築祝として私が花輪を贈つたということが出ておりました。これは国民の代表のあなたがたにはつきり申上げまするが、新聞を読んで知つたという状態でございます。で私はその載つてつた新聞関係の者に、全然知らない、なぜあんなことを書くのだとこう申しましたところ、出ておるのが事実だからとこう言われる。これは私は心外でございまして私の名を不当に使つております。これははつきり申上げます。私はどこから出たのだろうかというので新聞を見ますとすぐ秘書官に、別の方面の人に聞きました。するとところが、あなたがああいうところへ出そうとは自分は思つていない、抗議を申込もうかというつもりでおつたという話であります。全然関知いたしておりません。どういうところから出たのかということをその後詮索してみますと、或るかたが池田に話しておくからいいだろうということを言つたというので出したとこういうのでありますが、私は全然関知しておりません。でお話通りに今は法的に建築制限をいたしておりませんが、行政的に大きい建物につきましてはできるだけ遠慮してもらうようにと指導をいたしております。又官庁の建物につきましても一応予算を出しておりまするが、できるだけさしとめるようにしておるのであります。今後におきましても不要不急方面仕事は極力慎んでもらうように指導して行きたいと思います。ここではつきり申上げておきますが、ああいうことは私は全然周知しないのです。新聞に載つたということは非常に遺憾なことだと私は考えております。
  13. 松永義雄

    松永義雄君 まああんたはここで黙秘権を利用されるのはいいですが、こういう写真までとられて、あんたは選挙には早いと思うのですが、こんな大きな看板が出ておる。あんたにやつぱり金融上の考え方に隙があるから私はこういうことになつたと、私はこのことをどうこう言うのではない。けちなことは言わない。あんたもいろいろ附合い上があるから看板も出さなければならん。そんなことを言うのではない。ただ対象が今言つたような贅沢な建物に対して、そうした想像してもとにかく千万に近い金が動いておるということが、一体この苦しい年末金融考えておるときに不当ではないか、そういうことを私は申上げているのであります。  最後に一点お伺いの中に漏れたのでありますが、耐久建物建築ということばかりではなく、耐久建物、いわゆる贅沢というものの移転です。所有権移転、或いは賃借権移転、そういう場合の融資に対しても建築の禁止に似たような融資を慎むという意味の中に入つておるかということをお伺いしたいと思います。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは私の直接監督しておりますところの金融機関その他につきましては、一定限の多分五百万円だつたと思いますが、これ以上の不動産取得の場合は認可を受けるということに指導いたしております。ただ一般かたがた不動産取得に対しまして、大蔵省、その他の関係方面認可を受けるというところまでも行つておりませんが、それを移転不要不急のものの拡大強化ということであれば、これはやはり融資としては慎まなければならん問題だと考えております。なお先ほどの問題を申上げますと、私に隙があつたということでございますが、私の名前をかたる人を追い廻すわけに行かないので、従いまして私は事実無根であるということを新聞に出そうと思つておるのでありますが、まだその時にはなつておりません。全然私は知らんということを申上げておきます。
  15. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 中小企業庁長官から概略のことをお述べ願いたいと思います。
  16. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 中小企業の年末の金融の問題でありますが、先ほど大蔵大臣銀行局長からお話になりましたような線で動いておるわけであります。金融の問題につきましては、そういう線のほかに私ども一つできるだけやつておりますのは、各地方の公共団体、即ち大きな県、市の余裕金を年末に際しまして昨年来行なつておりますが、できるだけ短期に預託してもらう。商工中金であるとか、或いは信用金庫ですか、相互銀行、主として商工中金中心にお願いをいたしておりますが、大都市その他において本年度は昨年度よりも割合よくその方向に動いて頂いておるわけであります。そういうような面ではできるだけ金額も県によりましては、一県三十万円というふうに頭を切りましてできるだけやつております。こういう点が違つておると思います。基本的な政府の動きとしましては、先ほど大臣お話なつたような線で動いておるわけでございます。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの本会議で問題になつた点について大臣にお尋ねをいたします。この年末の通貨発行量を五千百億ときめられておる。まあ一応今そういう目途というか付けられておるのでありますが、どういう根拠でそういう数字が言われておるのか。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 年末の通貨発行量幾ら幾らと私は指示したり釘付けにしたりしたことはございません。私どもよく聞かれるのですが、どのくらいになるだろうかと聞かれた場合は、おおむね従来は九月の通貨発行高の三割増しというのが普通でございます。従いまして九月の末の分が四千百億或いは四千億程度でありまして、五千二、三百億になるのではないか、今年は特殊の事情があるからそれよりもちよつと殖えるのではないかぐらいに思つております。併しこれも御承知通りピークは二十九日から三十日でございまして、三十一日には通例一、二百億、或いは二、三百億回収ができるというので、五千百億というようなことをみんな想像するのかもわかりませんが、御承知通り年末の通貨というのは、ピーク通貨、或いは三十一日までだ、こういうことになるのであります。三十一日の分は各銀行日本銀行とのやりくりによりまして相当動き得るのであります。これを私は五千百億とか五千三百億に抑えるなんという考えかたはよくないのであります。やはり要る場合におきましてはどんどん出すし、要らないときには出さない、これで行くべきだと思つております。従いまして繰返して申上げますが、年末の通貨幾ら幾らというふうに抑えようという気持は私は持つておりません。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 只今の御言明で満足というか安心をいたしますが、実際において必ずしもそういうことでない点もあるので、是非御言明通り考えを願いたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。
  20. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  21. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
  22. 小林政夫

    小林政夫君 今のような弾力性を持つて必ず実態に合わせて、通貨発行量というものは当然実態の伴うようになつて来るのだということであると、一応問題は解消しなければならんわけでありますが、併し現実の事態としてはいわゆる金融引締めということが強く出て、そのしわは結局企業力の弱い中小企業又は国民経済的には重要であるけれども採算がうまく行かない会社についてはかなり困難があるというような問題は、いわゆる金融引締めの声がかかると実にその弊害というか、引締めのしわをそこに持つて行かれて、逆に料理屋であるとかそういうような不急不要のほうは引締めによつて却つて好況というかうまいことができるというような面もあり、非常に問題なのでありますが、そういう銀行自主融資規制を主体として考えられるわけですが、そういう点について特に年末に当つて別に今までの方針通り金融機関を信頼し、適当なる調整を加えて行こうということだけでやつておられるのでありますか。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 非常に年末を御心配になるようでありまするが、私は先ほど申上げました今年の特殊の事情或いは貿易商社中心とした、又繊維関係中心としたこの分につきましては、特殊問題として個々に処理をいたしております。  それからこれから年末にかけましては発電関係の九十数億円が相当出て参ります。それから又第七次後期造船の金も今年内に出て参ります。こういうのはおのずから、中小企業に或いは造船関係にしても水力関係にしても成るべく早く廻そうというので、造船関係を取急いでやつております。水力のほうの関係も折衝して始めておるのであります。本年特殊の問題につきましては特殊の問題といたしまして個々に処理して行つておりますので、私は手をこまねくというわけではないが、大体年末金融はそう心配の要らない、この程度でいいのじやないかと思います。併し何と申しましても一年中で一番大切な時期でございますので、にちにち日銀その他と連絡いたしまして万全の措置を講ずるようにいたしておるのであります。
  24. 小林政夫

    小林政夫君 それは金融機関産業資本とが最近非常に密接に結び付かれて来た、そうして又金融機関融資についてかなり習熟をして来た、そこで個々のケースに応じて適切なる手が打てるという信頼の上に立つてそういう大臣のような見解が言えるわけですが、現在は問題は商社の段階にとどまつておるようでありますが、併し不渡手形とかいうような形に現われた点は、むしろ問題は軽微であつて不渡手形という形に持つて行かない前に手形買取等においてメーカー側でも相当抱込むというような点もあるので、これは余り手放しに楽観を許さないのじやないか。むしろ火メーカー側に移る可能性もある。そうなつた場合には実際相当恐慌状況が起つて来るということが心配されるわけですが、絶対心配ございませんか。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 心配があるないはこれはもうその人の考えで、私は年末金融をうまくやつて行こうと努力いたし、見通しとしてはやつて行けると思つております。
  26. 小林政夫

    小林政夫君 それから先ほど本会議でも言つたのですが、大企業金融しわ中小企業に寄る。特に労賃にひとしい加工賃が六カ月ぐらい引延される、それも手形も出さないというような例が相当メーカーを通じて常習となつているような現状であります。それは先ほども言つたよう予想収益が非常に景気の中だるみによつて減つたのでそのしわが寄る。又電力不足による操業度の低下による収益減というような問題が寄つて来る。それが今までもそういうことのために六カ月、それ以上の工賃の支払遅延があつたわけであります。最近に至つては又物価がいわゆる金融相場で上つている。そうなるとますます物が売れなくなる。そこで売上の面からいつて企業換金量が減りますから健つて資金が窮屈になつて来る。そこでますます従来年末でない以前においてすらそういう六カ月以上の遅延があつたので、年末においてはなお更この遅延がひどくなるのではないかということが心配される。その点について大蔵省側中小企業庁両方から御答弁願いたい。
  27. 河野通一

    政府委員河野通一君) 只今の問題につきましてはかねてから非常にむずかしい問題になつております。一つは大企業下請に対する金融促進のためにそれがしわの寄らないようないろいろな方途をとつて参りました。例えば従来では大企業のうちに或る程度下請企業に対して手形も出さないでそのままになつているようなものも相当ある。これはできるだけ手形を書いてその金融のつくように個々促進をいたして参つております。  それから年末にかけての特殊な問題といたしましては、お話のように貿易商社その他が整理を要するものが出て来る。信用が一般に或る程度不安になつて来た。こういう関係もありまして荷動きがとまつている、現金取引という面も相当多くなつているという点も御承知通りであります。この点についても具体的に打開をいたしますために、例えば銀行につきましては支払保証をつけるというような制度を促進いたしまして、従来こういうことでなく、メーカーから企業者から荷が動いて来ないというようなものに対してできるだけ金融上の円滑なる措置をとるようにいたして参りたい。又倉庫証券担保の金融につきましても従来あまり活発に行われておらなかつたのでありますが、これをできるだけ日銀の倉庫証券担保の金融促進いたしますためにできるだけこれらの金融円滑化に資するようにというので、日本銀行における特別の措置を講ずることになつたのであります。今後こういうようなことによりまして現金取引でなければ動かんというようなことのないようにできるだけ信用取引を促進させるような方向に進めて参りたい。商社全体の整理の問題で不安になつておる点もございますが、これらの点がだんだん安定いたして参りますれば、それに応じてその他の問題もだんだん解決して来るというふうに考えられます。それはそれとして今申上げましたような手は今後着実に促進して参りたいとかように考えております。
  28. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) お話の、私どもの見たところでは資金というよりも代金の支払が遅れて来ておるということも相当言えると思うのであります。賃金面にそれほど強く出ているように……。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 加工賃です。
  30. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) ええ加工賃だと思うのですが、この傾向は実際問題として先ほどお話ちよつとありましたように、まだメーカーの面までそう強くは出ていないというようなことでありますが、今後の事態の動きに応じましてできるだけ一つ円滑に動いて行くようにしたい、その方法として一つの問題としては弱小なメーカーへの影響を阻止するためには、やはり商工中金の制度をできるだけ利用して、組合制度を利用してこれを持つて行く、これを中核にしていろいろな、先ほど銀行局長からお話のありましたような倉庫証券の問題であるとか、その他の方法によつて金融をつけて行くというふうにいたしたい、こういうふうに考えております。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 今小笠さんはちよつと取違えていると思うのです。中小企業自体がその工賃だとか賃金が払えんと言つているのじやないのですよ。中小企業が大企業からもちう加工賃が六カ月も七カ月も、而も手形まで出さずにほつて置かれる。併し中小企業は弱いから何とかして仕事をもらわなければ操業が保てない、それで頭をかがめて仕事をもらつて来るという現状なのです。これがむしろ中小企業への金融措置を講ずることは、大企業金融を或る程度緩和するというようなことになつている、これに逆なのです。それをよくあなたの立場としては大企業からむしろ金を引張つて来るという算段をやつてもらわなければならない。その点については厳重にむしろ銀行局長の言われた線で少くとも手形を出す、そういう下請仕事を出すような工場の手形ならば或る程度割れるのです、中小企業の信用力を以てしても割れる。そういう手形も出さない、五十方とか、三十万とか、八十万というような半端なものは中には大きな会社になると一千万以上の手形は切るけれども、小さい手形は切らないというような理由でなかなか手形さえ出さない。そういうようなことではますます中小企業を逼迫せしめるので、この点の認識が今の御答弁では足りないと思うのです。
  32. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 私の先ほど申上げたのはそういう意味で申上げたのではなしに、伺うときに賃金支払が遅れるように伺つたからそういう意味でなくて受けたほうからの支払が遅れる、遅滞するからその遅退をどう円滑に緩和するか、こういうふうな趣旨でお答え申上げたつもりなのでございますが、お尋ねの点と同じような線でお話申上げたつもりで……、その点については下請の組合を作つて、そうして親会社に裏書をさせるとか、商工中金が割引くとか、そういうような方法を制度的に拡充することによつてできるだけやる。又共同倉庫に入れてそれにいわゆる倉庫証券等を発行するとか何とかして金融をつけて行こうというような方法で解決して参りたい、こういうふうに申上げたのであります。
  33. 小林政夫

    小林政夫君 もう一点、現在の年末の繊維を初めとしてずつと金融相場で値段が下つておりますが、これがどうしても直ちに輸出市場へ反映する。それでその結果としてまあ漠然として春高相場ということが期待されておつて、年末と年初は相場が安くなつてもいずれ春には回復するというような気持で、見逃すわけに行かないのじやないか。でアメリカの軍拡予算も四百億見積られておるが、最近の状態では月二十億ぐらいしか出ていないというような状態で、かなりアメリカを初めとして西欧諸国の軍拡のテンポも落ちておるようでありますし、又朝鮮事変の見通し等が大体円満に行くというような状態が非常に強いような状態になつて来て、それが心理的にも又実際の面においてもかなり弱気を起させるということになると、この不自然な金融引締めによつて年末うんと諸物価が、まあ輸出値段が下る、海外の市場において。而も又それが海外の事情をよく知つておるからその弱点につけ込んでどんどん値段をはたいて今やつて来ておるということで、止むを得ず金融、換金措置のために安く投売する、投売すると、した値段がいつまでも尾を引いてその回復にはなかなか骨が折れ、相当長期に亘つてそういう問題が出て来る。日本の商品が安く海外に買取られるというような心配をするのであります。この点如何ですか。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 輸出貿易その他につきましては、これは長い目で見て行かなければいかんので、個々の契約が少し安過ぎたから今後ずつと安くなるのだろうとか、こういうような私は見方はとらないのであります。輸出の点につきましては私は今心配しておるのはポンド地域の輸出がかなり殖えてドルのほうが伸びない。ただ外貨の収入はドルのほうでも特需とか或いは連合国軍人の国内消費とかで相当外貨が殖えて参つておりまするが、輸出の点につきましては小林委員の言われるような点も頭には入れて置かなきやなりませんが、そう心配して特別の措置をとらなきやならんというふうなことは只今のところ考えておりません。
  35. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 金融問題につきまして、特に年末には、これはもうお互いに神経過敏になつて来るのは当然だと思うのでありますが、そういう矢先に最近商社の倒産又それに伴つて非常に不渡手形が起つている。それで最近の新聞を見ましても交換所において十二月に入つてから一日六百件以上を突破するようになつて来ている。そうなつて参りますと自然手形の信用というものは一般的に皆危惧を持つことになつて参ります。そうすると金融がどうしても私は混乱を来すのじやないかと思うのでありますが、従つてこの際銀行局長一つお尋ねしたいのだが、一体この不渡手形は、主として調査をされているだろうと思うのでありますが、一体どういう原因からこのようになつて来ているのか、それからそれが対策につきましてどういうふうに考えておるか。これはもう重大な私は問題だと思うのでありますがお伺いしたいと思います。
  36. 河野通一

    政府委員河野通一君) 不渡手形の件数或いは金額が十一月から若干殖えて参りました。殊に十二月に入りましてから相当程度件数も金額も殖えて参つておりますことはお示しの通りであります。その原因はこれは個々にいろいろな場合がありまして、何と言いますか具体的にこういう理由で起つているのが主たる問題だというふうには私申上げかねると思います。手形制度自体の何と申しますか戦争前、普通の状態にありましたような手形制度の運用が、若子いろんな点で言葉は非常に惡いのですけれどもルーズになつたというような点もあると思います。商社の間の実際の手形取引の実情等を見てみましても如何にもやり方が杜撰であると言うのですか、ルーズであるというような点もあります。これは一つには金融機関自体にも十分反省しなきやならん点があると思う。ここで具体的な問題をあまり申上げるのもどうかと思いますけれども相当なやはり取扱がルーズであるという点はあると思います。従いましてこれらをその出て参りました手形の実体をどう把握して行くかという問題につきましてはなかなか様相が多岐に亘つておりますので、これをいちいち申上げることもなかなかむずかしいと思いますけれども、その原因の究明についてはいろいろやりました結果、手形制度自体の運用を相当ここで考えなきやならん点が出て来る。これはまだ具体的に私ども結論は持つておりませんが、金融全体の問題の一環としてこの点は考えて参らなきやならんと思います。一部御承知だと思いますけれども、やはり掛合いの手形等も相当あつたりしておりますので、相当これについては考えて行かなければならんと思いますが、現在のところでは金融機関自体に対して非常に大きな影響を及ぼすとか、金融に混乱を起すというところまでの心配は私ども今いたしておりません。むしろ先ほど小林委員からお話がありましたようにそういうことが結果して今後の新しい金融、つまりメーカーから荷を引取るための金融とか、そういつたものにいろいろまあ従来の取扱方に少し反省をして、そのほうがうまく動かないというような影響がございますので、この点については倉荷証券の制度等を十分活用してこの問題を善処して行きたいと、かように考えております。
  37. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に本年夏大蔵大臣の依命通牒で銀行局長通達として、あの例の自主金融融資の統制ですか、自主的統制と申しますかあの通達を出されて、まあオーバー・ローンがむずかしくなりましたが、依然として帳尻はオーバー・ローンになつている。でそうなつて来ますとそのオーバー・ローンはどこから出ているかというとやはり日銀の貸出から出ておるということになりますと、殆んど今の銀行は昭和の初頭当時のように、日銀の世話にならなくてもむしろ白眼と対抗して毅然とした態度をとつた銀行というものはなくなつてしまつて、殆んど日銀に抑えられて生殺与奪の権を握られている、というと言い過ぎかも知れませんがそこで法王というようなことになつてしまつたわけでありますが、そこでこの日銀が成るべくまあ設備資金を極力引揚げるようにして、短期の運転資金のほうのこの質的な統制というほうに向つているのじやないか。それがややもう年末に当りまして禍いをいたしましてむしろ刺激して金融梗塞を大企業のほうにも与えている。従つて又それが今度は請負或いは下請代金の支払遅延となつて中小企業のほうへ影響して来ている。一体将来におきまして、一時銀行法の改正等も用意をされておるというようなことも伝えられておるのでありますが、結局自主的統制になつて来ておる。その結果日銀から市中銀行に対していろいろと指示をする、市中銀行のほうでもこれに応えまして金融の引締めをやる、その結果が今度は年末には何とか帳尻をよくしたいという焦りから、特にこれを刺戟して年末金融の梗塞を来しているのじやないかというふうに見られる節が多いと思いますが、そういう点につきまして、特にこの際大蔵大臣から将来質的な統制をして行くのかそれとも量の面でやつて行く方針であるか、どちらを主として堅持される方針であるかこの点を一つお伺いしたいと思います。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 年末に銀行の面をよくするということは、これは決算期でございませんのでそう三月、九月ほどにはないと思います。それから金融は質的統制をやるか量の統制をやるかという問題でございますが、私は量り統制ということは全然考えておりません。これはもう先ほど答えておりますように、通貨は必要ならばどしどし出す、それから又資金はできるだけ蓄積さしてそうしてお金が多いほうがいいのであります。量の統制ということはいたしません。ただ質の統制は考えなければならん。質の統制の場合におきまして、いろんなその事業自体の質もありまするが、今度は銀行の貸出、一つの会社に対しまする、相手に対しまする貸出の量ということは、これは質的の点から来ても量の規制ということは或る程度考えております。そういう意味におきまして、私は先ず質的の統制というような言葉は惡うございますが、銀行家自体が何か金融面につきましてできるだけ経済の実態に副うように又行過ぎないように、効果の拳がるように金融をやつて行くという方面で指導して行さたいと考えておるのであります。
  39. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでわかりましたが、そうすると質的統制ということになりますると、どうしても今度は業態別の質というところまでこれは来ると思いますから、そうすると中小企業と然らざる大企業との面においての或る程度の統制を図りたい、これをお考えになつておるのかどうか。特に年末においてこれが必要だと思いまして、ただ単なる資金の用途ばかりの質的統制ばかりじやなしに、振り向けられるところの大企業中小企業との分野の、この面の質的統制といいますか、この点について中小企業のほうでは銀行へ参りましてもなかなか手続は先ず面倒である。それから次にいろいろとやかましく言われるからして勢いまあ闇金融にでも頼ろうかとあせる結果を来しておると思うのでありますが、従いまして大企業のほうに振り向ける分と中小企業のほうに振り向ける分とについての或る程度の統制というものをお考えになつておるかどうか。それから特に年末の処置としてこういう点をお考えになるかどうか。この点を一つ伺いたい。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 一つ市中銀行が大産業に出すか中小企業に出すかという問題はずつと前から議論のあるところでございまして、我々といたしましてはできるだけ中小企業に出すように、大銀行につきましても中小企業専門店を設けさせまして、指導は十分中小企業のほうにできるだけの力を向けるように言つておるのであります。私が夏頃一つ商社に対しまする貸出が一体多過ぎるということを銀行家に言うのも、間接には中小企業のほうに持つて行くべきではないか、こういう気持から言つておるのであります。併しこれも一つの経営体でございますので、大蔵大臣としてはそういうように指導しておりまするがまだ十分ではございません。そういうので主なのが商工中金とか国民金融公庫とか或いは農林中金その他でございますので、財政資金のほうにおきましてもこういう特殊の中小企業専門のほうの分を育成して行く、或いは政府のほうでも銀行局長から言つたように、相互銀行とか信用金庫の引揚はできるだけ少くしてそうして先に延ばす、こういうふうな財政的な措置はとつておりまするが、併しこれは商工中金、国民金融公庫或いは特殊な金融機関というものは、全体の資金量としては少うございます。やはり一般市中銀行に、中小企業方面にできるだけ活躍するように指導はいたしておると思います。
  41. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 最後に一つまあ本会議におけるお話、当委員会におけるお話を承りましても、抽象的にはできるだけの面倒を見て行くようにしたい、善処したいということだけはわかりましたのですが、これはそれのみでは、どうも現われて来る現象はどこでも金融逼迫だ、金融逼迫だということでなかなか越年についても未だ安心する具体的な点というのは私はつかみ得ないと思うのでありますが、そこで本会議の決議の趣旨も一つ十分考慮されまして、この際この年末に当りましての金融面については、大蔵大臣としてこういう具体的な処置もあるし又こういう処置をとるのであるからといつたような大臣談話或いは大蔵省の声明、従つて金融界の混乱を何と申しますか金融界が金融について一般に安心して越年できるような処置を考える、そうしたことがぴんと影響するものでありまして、片岡さんの発言事件というのは一番端的に現われておると思うのでありますが、従つてこういう際に大蔵省はもつと具体的にこういうふうに処置をしてやろうというようなことを公表し、又中小企業家に対しましてもそれを利用することを勧奨するというような処置を講ぜられることが、むしろ却つてそのことによりまして安心感が生じて来る、そうして越年もうまく行くのじやないか、私はこういうように考えるのであります。そういうお考えはあるかないか、この点を最後にお伺いしたいと思います。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これはもう年の暮は徳川時代からいろんな話題にもあるようになかなか大晦日の夜遅くまで飛廻るというのが古来の風習であるのであります。従いまして皆さんに安心を与えて越年することがこれは理想でありまするが、中小企業、まあ全般の金融問題から申しまして、いろいろな事情があるのであります。従いまして先般私は個々商社個々企業について、日銀、市中鈍行を通じて万全の措置をとる、こういうことを一週間くらい前に言つておるのであります。こういうことをやる、ああいうことをやると言つても、そんなことだけで問題は解決するんじやございません。だからはつきり申上げまするが、大蔵省日銀、各金融機関を通じて越年につきましては万全の措置をとる、これははつきり申上げていいと思います。心配なさるかたにはどんなことを言つて心配をなさるので、大蔵大臣としては年末金融につきましては個々状態に応じて個々の手を打ち円滑に行くように努力する、これで御了承願うよりほかにはございません。
  43. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案が当委員会において審議されておる際に、国民金融公庫の総裁に出席を求めまして、公庫がとかくの批判がある、で警戒すべきであるということを私特に強調いたしておきました。その際に総裁も御心配をかけるようなことは過去にはあつたが今後は絶対にないということを発言しておつた。そうして暫くたちまするとどうも国民金融公庫の重要な位置にある人たちが、相当広範囲に、汚職事件と申しますか収賄事件にひつかかりまして今捜査されておるということを新聞で承つたのでありますが、この実情は一体どうであるかということを大蔵大臣から一つお伺いして、それと同時にこの国民金融公庫は今更申上げるまでもなく本当の零細な業者に対して誘い水と申しますか、迎え水である重要な意味を持つておるのだ、それがとかくここへ融資の申込をしても長くかがつたり、殆んど利用するのも困難であるという声がほうぼうで聞かれたのでありますが、果せるかな裏から廻つて行かなければ利用できなかつたというこのことを実証ずけたということになると私は思うのでありまして、その辺の処置について、こういう事態を起した、今後どうしでこういうことのないように、而も金融公庫というのはこれはもう一番零細なる業者を対象とした私は金融機関であると思うのでありますが、それが零細なるものの上前をはねる結果になつているということは誠になげかわしいことだと思うのでありますが、大蔵省としてどういう処置をこの際考えておられるか、この点についでお伺いしたいと思います。
  44. 河野通一

    政府委員河野通一君) 大蔵大臣に代つて私からお答え申上げます。国民金融公庫の職員、而もお話のように相当重要な位置にあつた元職員が汚職関係で今司直の取調を受けておりますことは事実でありまして、監督の立場にあります私どもといたしましても誠に申訳ないと考えております。今後におきましては、従来から十分金融公庫自体といたしましても注意はしておつたのでありますが、私どもも注意は常に促して参つておりましたけれども、今後におきましてはこういう遺憾なことが起らないように一層注意をいたして参りたいと考えております。なお只今いろいろこの問題に関連して調査をいたしましたところ、ほかにそういう問題が更に波及するということは絶対にないようであります。又今度の問題に関連しまして、貸付自体に何かそういうふうな不祥行為に関連していささかでも曲つた貸付の方法がとられておるがどうかにつきましても、具体的に調査をいたしました結果、貸付自体の取扱につきましては絶対にそういう曲つた取扱はないようであります。私ここで詳しいことを申上げることはどうかと思いますが、まあざつくばらんに申上げれば中に入つてつたいわゆるブローカー的なものにひつかかつたということが原因であつたようであります。貸付がそれによつて曲げられた取扱がされておるということは調査の結果全然ないということが判明いたしました。併しいずれにいたしましても遺憾至極のことでありますので、今後におきましては十分注意いたしたいと思いますし、又国民金融公庫総裁もこういう機会にお呼出しを願つていろいろお詫びを申上げたいということもかねがね申しておつたのであります。適当な機会に罷り出ることと思いますが、その際総裁からよくお聞き取り願いたいと思います。
  45. 田村文吉

    ○田村文吉君 本日決議案になりました問題は、昨日委員会で話合をしましたときに、單に中小企業というだけでなしに、実はもう関連するところが大企業にいろいろ関係する問題であるから、特に余りにこういうデリケートの問題について大きくやらないほうがいいのじやないかというような意見もありまして、或る程度の決議案となり又趣旨の説明になつたわけであります。又仰せの通り毎年年末になると金が詰る、これはさまつたことなんでありますが、今年は特に物価の値下りの関係上ひどい状況になつておるのでありまするが、併し中小企業のそういうような問題は必ず大企業に及ぼし、大企業の金詰りは中小企業に及ぼす、こういうことになるのでありまするが、これに対しまして大蔵大臣は対症的に処理をして行く、大丈夫この年は越すというお話でございまするので、私共は大蔵大臣の御言明を信頼申上げて参りたいと考えるのでありまするが、対症的という意味は、適当の措置をそれぞれにとるという意味は、必ずしもどうしてもいけないものを無理に起してやろうというようなことは、これは一般観念からして無理な話でございますが併し一〇〇%のうちそういうものが一〇%も出て来てそれが経済界の混乱を起すようなことがあつては困るというのが委員全部の心配する点であるのであります。なお年末はどうにかこうにか対症療法によりまして越しましても、一月、二月、実はまあ毎年、毎年といいますか過去の歴史から見ますると二月、三月くらいが却つて実は危險なときが多いのでありまして、そういうような例を聞いておるのであります。そこで私は近頃の金融状態を見ておりますると、金の動き方が非常にスピードがのろい、こういうことを痛切に感じておるのであります。と申しますのは、金は一日も早く有益に使われて、又右から左、左から右と運転されてこそ金というものの値打は同じ百円の金でも三百円、五百円になるし、金の廻りがおそいということになりますと、五百円の金が百円にも使えない、こういうようなことになるのでありまするが、終戰後におとりになりました方策から行くというと、農林中央公庫にしましても又商工金融にいたしましても、これが十分練達のかたではありますが併し過去の御経験と大きな経営能力が失礼ですが上から下まで浸み渡つているというわけにはいかない。そういうようなために折角金を借りようと思つてつても何とかかんとかいつて三月もかかり四月もかかり五月もかかる。たまに貸せばどうも変な所に貸す、それじや困るという間に変なことがあつて浮貸するようなことが起るというようなことになりますので、私はやはりこれはもう在来から大体その地方なら地方において十分な信用調査をやつている地方の銀行が金を貸すのが一番安全だ。でありますが、今のような問題は先ほど菊川委員からもお話がありましたように、皆オーバーローンのような形でそういうことがなかなかようできん。この間も私は地方に参りましたときに地方で訴えられたのでありますが、郵便局の窓口のほうがよほど親切で普通銀行の窓口のほうがよほど不親切だという話を聞いたので、私は甚だおかしな話だと思いましたが、実は市中銀行は金を持つておれば直ぐ支出してやれますが、金がないのだから何とか断わろうというために非常に不機嫌な話が出、態度がなるんだ、こういうことは単なる道徳的の問題でなしに、どうもそういうような実際的の問題が起つているということでありますから、これはひとり年末金融だけでなく年を越してからの金融にいたしましても、要するにもう少し一般市中銀行というものに相当に又金が持てて融通ができるようにしてやる。これが一番応急対策としてよろしいのじやないか。こういうように考えますので私は現在ある制度、商工金融の制度も決して惡くはない、大いに一つ活用してもらいたいと思いますが、もう少し市中銀行金融を十分にやり得るような方法を考えてやらなければならん。それには現在のように預金が不足しているような状況では困るから、そこでまあ無記名預金というような問題が起つて来るのであります。まあこれは今無記名預金の問題等についてお考えもあるようでございますが、私はしいてどうこう申すのではございませんが、そこに一つ大きな眼目をお置きにならんというと、折角百億、二百億のものが出ましても、スピードののろい金では無論役に立たない、ややもすればそれが浮貸になるというような虞れが多分にありますから、大蔵御当局としてそういうような点についての、もう少し民間に資金を廻して、民間の銀行資金運用させるというようなお考えがあるかという点を大蔵大臣にお尋ねいたしておきたいのであります。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 要点は財政資金を民間の銀行に預けて使わす考えはないかというお話でございまするが、只今のところ私はそういうことは考えておりません。やはり金融金融でやるべきでありまして、政府一般市中銀行に預託するということは本筋ではないのであります。而して只今政府資金繰りは、一般会計におきましてはそう窮屈とは申しませんが、今年の四、五月頃二、三月頃とは事情が異なつており、来年の一、二月には私は食糧証券を今度は日本銀行がやらなければならないのじやないかというところまで来ているのであります。特殊の場合につきましてはこれは臨時応急措置として政府の令を預託するということもあります。これは日本銀行が貸出すると同じことであります。金融にはどこの金を使おうと同じであります。従いまして本筋としては市中銀行の金詰りは中央銀行でやるというのが今の筋だと思います。何分にも市中金融機関のオーバー・ローンと申しますか、預金に対しまするところの貸出が相当出ている、今度もやはり一方では資金の蓄積、一方では蓄積された資金を有効適切に使うというように考えて行かねばならないと思つております。
  47. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の問題は、単なる政府資金の民間放出というだけの単純な問題なんということでなく、民間でももう少し無記名預金の制度を設けるとかいうふうなことによつて、民間の資金を集める手も私はあると思うのですが、現在のままにしておきますということは、ただ金融を或る程度統制なさることも結構ですが、非常にスピードの遅い金融になりますので、これは非常に金融効果を削減するということになりますから、もう少し仮に今度又各種の中央金庫とか、商工中金とかに金もお廻しになるだろうが、そういう財政資金から一部分民間に廻すことをお考えになつてもよろしい、民間の銀行をして運用せしめるということをお考えになつてもいいのじやないかということを考えますと共に、民間の銀行に対しましてももう少し預金の集まる方法を考えられるべきじやないかという意味で申上げるのでありますが、そういうことについては大蔵大臣は、民間で資金を集める方法は無記名預金の方法を取るとか何かお考えはありませんかどうかということを私はお伺いしているのであります。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 無記名預金につきまして非常に御期待を持つておられるようであります。資金銀行に集める、いわゆるたんす預金を銀行に吸収するという、まあ無記名預金と言われているのでありますが、これはやはり又片一方では或る程度弊害も伴うのであります。従いまして我々といたしましては慎重に只今検討を加えている状態であります。
  49. 田村文吉

    ○田村文吉君 最後にただ大蔵大臣としてはこの年末金融に対しては十分に自信を持つて、それはすべて何もかもごみも屑も拾うという意味じやないが、経済界の混乱が起らないように善処する自信がおありになることと了承いたしまして私は質問を終りたいと思います。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 予算委員会大蔵大臣の指摘されたように、現在の金融機構といいますか、金融制度のうちで改正を考えなければならんという点として、為替金融機構の問題があります。これについて最近新聞紙上等に載つておりますが、甲種のものが十二行あります。この中には実際に、ただ外国為替を扱う銀行だということが指定されればいわゆる一流銀行であるというような考え方から取扱銀行になるが、実際の事務は殆どやつていないというような銀行もあるやに承知いたしておりますが、その整理をしなければならない。数行にしなければならないという意向でありますが、その数行はどの程度にそれをされるつもりであるか、又その整理の基準はどういうふうに考えられるか、大臣の時間がないようでありますから、私の問題点だけ申上げます。  それから外国為替管理委員会の外貨のフアンドが、今外国為替管理委員会の名において外銀に預けてある。これをその限りにおいては外国銀行だけが日本の外貨を預つて、恐らくそれを適当に運用してかなり得をしているのじやないか。これをむしろ日本の外国為替銀行に利用させる方法を考えるべきである。それには先ほど法律の改正によつて、外国為替管理委員会の事務を今までは日銀だけであつたのを、外国為替銀行にも代行せしめ得るということになつたわけでありますから、フアンドを適当に整理されたのちに外国為替銀行に分割をする、併しまあいろいろ問題があるようで、直ちに外国為替銀行名前において外銀へ預金をするとかいうようなこともむずかしい事情もあるやに承知いたしておりますから、取りあえず外国為替管理委員会名前でいいがサブアカウントを設けて、外国為替を扱う銀行に実際上分割をするということにすれば、その銀行と当該外銀との間にいろいろ商行為によるギヴ・アンド・、テイクの関係でかなりフアシリテイが日本側に得られるのじやないかという問題があるのであります、一括して御答弁願いたい。
  51. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今外国為替銀行として指定いたしておりますのは十二ございます。その業態を見ますと或る一行は大体二割をやり、全体の一割をやつておるのが三行ばかりございます。四行で全体の半分をやつておる、こういう状況になつております。これはやはりその銀行の外国為替業務に習熟しておるかどうかということが第一のあれでございます。資金関係には必ずしもよつておりません。これをどういうようにして行くかということにつきましては只今事務当局のほうで考えておるようでありますが、又私としても一つ考えは持つておるんであります。ただ結論には到達しておりません。いずれ銀行法の改正その他の場合に一つはつきりさしたいと思いまするが、ただ昔のように正金銀行を第一にしてそしてまあ住友とか或いは三井というふうなことでなしに、たとい一般市中銀行でもやらしたいという考えでおるのであります。  次に外貨資金を預託する問題でございまするが、お話通り外国銀行に預けております。で日本の為替銀行が外国に支店を置くということになりまするとお話のようにこちらの銀行に預けても効果があるのでありますが、外国に支店を持つておりません関係上今直ちに日本の為替銀行に預けましてもお話のような効果が上つて来ない。我々としましてはできるだけ早い機会に日本の鈍行が外国に支店を置けるような処置を講じたい。若しどうしてもできないというような場合に特に法律その他の関係を強化いたしまして我々の持つている外貨資金の活用ということを考えておるのでございます。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 私は今の外為のフアンドを一応外為の名前は使つても今国際関係のいろいろな問題もあるけれども、サブアカウントでこれは外為の名前であるけれども東京銀行分である、或いはどこそこ銀行分であるというふうなことで代理行為ができるわけですから、これはほんの一例として名前を出すわけであつて、東京銀行云々というのではないんですが、その東京銀行がその自分の好むところによつて特定の外銀へそれを預けるということにすれば、その外銀としては外為の名前ではあるけれどもやはり東銀の意思が加わつてその銀行に預けるということになると、その東銀とその当該外銀との間にフアシリテイ関係においても、完全に外為の名前を省いたその銀行独自でやる場合とは多少違つても、或る程度そこにギヴ・アンド・テークの関係が成立つのではないか。だから早急にあの法律関係でやられることができるならやられたほうがいいんではないか、こう思う。
  53. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろな点から研究しておりまするが、今お話のようなことは実は私は今まで考えていなかつた、折魚の御意見でございますので一つ研究いたしたいと思います。
  54. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつとお諮りしますが、大蔵大臣は衆議院のほうの本会議に一時から臨まれなければならないのですが、大蔵大臣に対する質問はこの程度で打切つてよろしうございますか……。なおまだ艇行局長並びに中小企業庁長官には御質問ございませから少しお残りを願いたいと思います。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 通商省のお方にお伺いしてみたいことは、大分不渡手形が出てるとか言われで企業状態も深刻化しておりますので、その不況の企業中顕著なものを考えて見て参りますと、戦争中に財閥がいろいろな事業に手を出しておつたが、それがポツダム政令による集中排除法等によつて……解体され独立の小さい会社となつてしまつた。この独立小企業会社は戰争中の統制時代に紡績屋さんが鉄工場の経営に手を出してみたり、セメント屋さんが鉄工場やその他化学産業のような経験のない新らしい仕事をやつて来たのです。ところがこの独立した子会社はいよいよ戦争が済んで終戦の時期に入つて非常な経済上の混乱と競争が激しくなつて来ておる、この際独立したのであります。然るにこの独立会社の経営者は元来が紡績屋さんの経験者であつて、鉄工業のことは何も知らぬ商売違いの人たちである。もともと鉄工業や化学産業の業務に慣れてない人たちであります。一方では古い歴史を持つメーカーとして非常な優秀な技術陣を持ち優秀な経営者がおつて業績をどしどし挙げておるのに新独立会社ではこういう事業を少しも考慮していない、考慮しようとしてもおらないのみならず元の紡績会社の用に足りない古い重役をこの新会社に重役として廻してくるから分離独立した新会社は親会社の姥捨山のような工合でだんだんと業績が惡く苦しくなつて来る。だが戦争中には親会社はうんと儲けておるが、政令によつて独立した子会社は動きがとれなくなつて来ておる。そうすると親会社は整理ということを考えるが少しも子会社の面倒を見ようとしないで非常な冷淡な考え方をしておる。こういう状態はまあ最近私の眼に当つただけでも実際に労働争議などで関与しておるものでも数社に及んでおる、これらは結局年末を控えて深刻な様相を呈しておるのであります。この親会社の関係が不況産業の根本になつておる一つの形を出しておるのじやないかと、こう思つておるのです。これを法律によつてどうするという法律もないし、徳義的に責め立てることが関の山で、たまたま賃金遅払やべース・アツプ、年末手当を中心整理案が出たり争議になつたときに、たまたま徳義的理論追求として労働組合が交渉をやるくらいが関の山ですが、誠に妙なものが出て来ているのです。これを政府でかれこれ言うてみたところが今何ともする方法がないと思うが、こういう親会社と子会社の点を十分通産省のほうでは御認識になつておられるかどうですか。私はあつたらあつたでそれでよいのです。そこであるとなれば何か打つ手がないのか、こういうことを考えまするのでお考えだけを聞いておきたいと思う。最近の労働争議の深刻なものの大部分がそれだというても間違いない。紡績産業の親会社などはうんと儲かつているのに実にけしからんと思う。殊に社長というものは今やめて現役を抜けたと、こういつていましてもその社長なるものが数億の資産を作つてひよつこり抜けてぬくぬく肥つている。そうして小会社はそのままで、而も親会社の商売違いの古重役どもの姥捨山にして持つて来ておる。だから無能にして何もやれない、業績ますます不振を来す。そうすると労働者だけはひどい目に会つて整理縮小、閉鎖となつて来る、こういう事実をお認めになつておるのか。    〔委員長退席、理事大矢半次郎委員長席に着く〕 こういうものに何とかするというお考えがあるのか。この二つだけ聞いておけばいい。
  56. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 非常にむずかしいお話でして、そういうふうな会社の経営陣の弱体から出ておる、而うして業態の惡い会社がある、こういうお話ですが、そういうのが間々あるようですが、私ども存じております。これをどういうふうに更生させて行くかという問題になりますが、結局一つの問題としては会社の経営自体の建直しというふうな面から指導して行くということでなければうまく行かんのじやないかと、こういうふうに思われます。その経営の建直しはどういう方法でやつて行くかという問題につきましては、これは個々の独立した私企業でありますので簡單には参りませんが、一般的な指導の方針を強化して、そうして合理化の線へ進ませて行くということが先ず第一だというふうに考えております。で、非常にむずかしい問題で、個々の事業経営によりまして実情も違うことでありますのではつきり申上げにくいのでございまするけれどども、私はまあそういう線から行つたらどうかというふうに考えております。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは一つ通産省なりぐらいかどつかで斡旋機関くらいお作りになつて、そして労働組合等が仮に再建案等を作つて参りましたら、それを中心にして特別にやつぱり斡旋をする機関ぐらいお作りして頂くことはできんものでございましようか。私は考えてみますと戰争中儲けたものはみんな持つて逃げてしまつて、個人の社長も逃げてしまつて、ぼろのあとだけ残して、姥捨山の重役を残して、これじや労働組合だけが頑張つてどんなに一生懸命やつてもたまらない。こういう形になつてしまいにこれは業績が惡いのだからこれは閉鎖するのだ、これじやまるつきりとんでもない馬鹿な話で、場合によりましたら持ち逃げの社長にそれぐらいのものはいま一度財産を処分してでも出せぐらいの勧告をしてもらうぐらいのことはいいと思う。そういうぐらいの機関を一つお設けになるお考えはないものであるかどうか一つ
  58. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) まあ商工業一般についてそういうふうな制度を作るかどうか、なおよく検討いたしてみたいと思いますが、私どもが扱つております中小企業の面につきましては、いわゆる経営指導、技術指導というものを実はやつておるのであります。それは申出によりまして専門家を出してそして経営の診断をやる。診断の結果に基いてここはこう直すというふうな勧告というような制度を実は広くやつております。そういうふうな制度をやつておりますので、それを御利用になつてというような意欲がありましてお申出がありましたときには、できるだけ御斡旋なり御指導を申上げる、こういうことにいたしておりますからどうぞ。
  59. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう大分になりましたが、銀行局長にお尋ねしたいのですが、年末の中小企業に対する金融の処置といたしまして、まあ従来から中小企業に対する処置として日銀の別枠融資とそれから政府資金の預託、指定機関に対する預託と、それから見返資金の協調融資というのがございましたですが、まあこれと国民金融公庫、商工中金、信用組合等のいわゆる独自の機関の活動、こうまあ四つぐらいは私は考えられる、こういうところだろうと思うのでありますがよくわかりませんが。そこで今大体金額は、これは正確なところじやなくてもいいですが、銀行局長で握つておられる、今お知りの程度でこの状態はどうなつているのか。それからこれをこのままに置いて越年するのかどうか、この点を一つお伺いしたいと思いますが。
  60. 河野通一

    政府委員河野通一君) この問題はなかなか説明が非常にむずかしいと思いますが、中小企業と申しましても中小企業本来の金融機関は例えば相互銀行でありますとか、或いは信用金庫或いは中央銀行におきましても……、或いは地方銀行等値御承知のようにこの一件の貸出金額の平均は百万円を遥かに割つております。そういうふうなことで百万円以下の貸出が地方銀行に胴きましては五〇%近くになつているはずです。そういう点から見まして中小企業金融に対して普通銀行は努力しておらんということではないわけです。今後におきましてもこういう機関の本来中小企業金融機関として活動すべき金融機関の活動を促進して行くべきことは……。
  61. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 特別処置ですかね。
  62. 河野通一

    政府委員河野通一君) ええ。それから今お話のように普通の金融機関でなかなかいかない点について、商工中金でありますとか或いは農林中金でありますとか、国民金融公庫でありますとかこういう機関で補つて行く、こういうことになります。更にそれでもなお金が足りない場合に今お話のように日銀の別枠の問題を考えるとか、或いは政府の指定金融を一時考えるとかという問題がその上にのつかつて来るということになるのじやないか。中小企業に対して一体どのくらいの資金が今貸出されておるかという問題はなかなかむずかしい問題でありますが極くこれは概観的に申上げます。今恐らく金融機関の貸出総額が一兆九千……八千億になりますか、これは銀行だけじやありません。そのうちで中小企業という観念をとるのが非常にむずかしいのでありますが、六千億近くがいわゆる中小企業の貸出として出ておる。尤もこれは貸出金額の残額でありますからその金が廻り廻つてどこへどうしておるかということになりますと、いろいろ問題があります。大企業が金を借りてその傘が中小企業に廻れば中小企業資金をうるおすわけでありますから、今申上げましたのは金融機関の貸出の残高が現われておる数字で大体そのくらいの数字になると思います。従いまして中小企業金融と一概に申しましても、結局そのしわが今お話のような日銀の別枠であるとか政府の指定金融であるとかいうことに寄つて参りまして、三十億、四十億ということになつて参りますが、或いは裏には本来の中小金融機関なり銀行等が扱う金融のヴオリウムが非常に大きいということは申すまでもない、私共はできるだけ中小企業の本来に対してその自己資金の充実を図ると共に、その金融円滑化促進するために重点を置いて参りたい。先ほど申上げたようにそれでもなお足りない点については商工中金なり独自の組合金融中心にやつておられる機関であるとか、或いは国民金融公庫であるとか、農林中金というような機関の活動で更にこれを補完して行くような考え方で、今後年末の中小金融の貸出がどれくらい殖えるかというお話でありましたが、これは今申上げました普通銀行等のやつておる中小金融の貸出がどの程度殖えるか、私共まだ実は詳しい統計的な見通しは持つておりません。極力そういう事態に即してこういう方面への金融の疎通に努めさせることを念願としていたしておるわけでありますが、なお国民金融公庫、商工中金なりの閥係につきましては、先ほど来ちよつと申上げましたように国民金融公庫におきましては大体年内に十五億程度の新規の貸出をやるというふうに資金の充実を図つておりますが、又商工中金につきましては商工中金といたしまして十二月中に大体三十五億程度の増加資金が必要であるというような計画になつておる。勿論これは十分ではないきりきりに切りつめた金額ということでありますが、この金額につきましては或いは再建資金でありますとか、或いは農林中金が御承知のように年末から来年初めにかけて一時資金が余裕がある、これらの資金を活用するとか、或いは日銀との取引によつてできるだけ日銀金融的援助を以て、この年末資金対策を講ずるというような措置を現在進めておるわけであります。金額の具体的の点につきましては、現在両当事者で打合を進めておるわけで、今後の推移によつてこの金額はぎり程度に落ちつきますか金融情勢全体と睨み合せながらきまるわけで、私共常時この点については注視をして参りたいと考えておるわけであります。
  63. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 特に日銀の別枠融資というものは今の現在額を殖やすかどうか、これは大体でいいので、詳しい数字でなくともいいのですが。それから政府資金の預託は一体どうなつておるか。それも引上げるつもりであるかどうか。この年末における処置です。
  64. 河野通一

    政府委員河野通一君) ちよつと先ほどお尋ねにお答えを落しましたから……。日銀の中小別枠資金という制度は現在四十億余になつておるかと思います。この制度は数年前に中小金融について詰つて参りましたために特にこういう制度を設けたのですが、本筋から言うと別に中小企業のために別枠を作つたからというてそれだけが中小企業に廻つておるわけじやありませんで、事実を申しますといわば一種の金利上の関題なんです、それ以外に大した問題はない。ただ恰好として別枠だと言えばそれだけは少くとも中小企業に行くということは言えますけれども、それだけで中小企業金融を賄えるという筋のものではない。別枠の措置はできるだけ堅持して行く。個々金融機関の中にも日銀として十分見て行かなければならん場合においては個々の十分面倒は見て行く。現に数カ月前から台風関係の特別の中小金融関係でいろいろ詰つた部面もありましたが、これらについては銀行資金について十分個々日本銀行としては面倒を見て参つております。従いまして別枠の融資の枠を今のところ年内に拡張するということは考えておりません。先ほど申しましたようにこれは単に金利上の関題でありまして、そういうふうな資金の必要があれば日本銀行として十分見るという方針をきめておりますから、特に金利上特別な措置をとらなければならんというほどの様子もないというふうに考えております。  それから指定預金のほうは先ほどちよつと御説明申上げましたのでありますが、八月の中頃に百四十九億の指定預金をいたしましてこれは三カ月で全額引上げるという方針になつてつたわけであります。そういたしますと十一月の中頃になるわけでありますが、当時の状況から見まして中小金融機関につきましては全額引上げることは甚だ困難である。銀行日本銀行との取引がありますのでこの取引を通じて然るべく金繰りの調整はつくわけでありますが、信用金庫等については直接日本銀行と取引がございませんのでこれを全額引上げることは見合わせることにいたしたわけであります。半額だけ引上げ半額を残しましてその数字を申上げますと、農林中金につきましては先ほど申しましたように年末から来年の初めにかけて資金は相当豊かでありますから、これは特に残す必要はないということで引上げになる。商工中金は一金庫だけで十三億の特別の多額の指定預金をいたしておつたのであります。これも年内の資金が窮屈でありますのでこれだけは全額そのまま残して、十三億そのまま指定預金として残して年を越すことにいたしました。信用組合及び無尽、現在では相互銀行に大部分なつております、信用金庫相互銀行等につきましては総額で十六億近くのものが指定預金として残つております。これは来年の二月の中頃まで一応とにかく指定預金として延ばしてあるわけであります。  なおこれに加えまして先ほどもちよつと申上げたのでありますが、ルース台風の関係の被害地域における殊に中小金融、或いは漁業金融等の円滑化に資しますためにこれらの地方にありする地方銀行に対して一度引上げました指定預金を更に預け直しました。これが九億一千万円であります。それから農林中金につきましてはいろいろ漁船その他の関係で緊急の必要もあろうかというのでこれに三億五千万円、商工中金には商工中金の本来の仕事についていろいろ資金の需要がありますので二億四千万円、それから信用金庫相互銀行等についてはこれらの被害地域にありまする機関につきましては半額引上げる、残りの半額については引上げることを延ばしました。つまり全額を据え置くというような措置をとつたわけであります。従いまして今申上げましたところを合せて合計いたしますると、指定預金として現在残つております金額は四十六億ぐらいになるのじやないかと思います。今ちよつとはつきりした数はわかりませんが四十六億ぐらい指定預金として残つておる。そのほか年末にかけて政府資金といたしましては先ほどもちよつと申上げましたように、資金運用部資金を相当多額に放出をいたしております。これらによつて災害地に対する措置を通じて相当これが中小金融のほうに動くということを期待いたしておるわけであります。
  65. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 最後に一つだけ中小企業庁長官にお尋ねいたしますが、今日も本会議で山本米治君が見返資金の協調融資という枠内で三十億今眠つておる、もつたいない話だというような発言があつたのですが、これは当然設備資金に廻されるのが、それを借りる資格条件等においてむずかしい問題があるためにこれが眠つておるというようなお話でございましたが、この点について中小企業庁としては一体この三十億というのは実際眠つておる、残つておるわけですが、これはなぜ一体どういうところにこれを活用できない癌と言いますかがあるか。その点を一つお尋ねしたい。
  66. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 本年度の見返資金は大体四十億あるわけです、前年度からの繰越が二億、計四十二億、現在貸出済を差引きますと三十億見当の残があるのはお話通りであります。これが消化できにくい理由は、一つは協調融資となつておりまして、設備資金などはどうしても長期になります。そうすると七、三と五、五と選択できることになつており、五、五の場合は銀行のほうが優先支払を受ける、こういうことになつております。いずれにしましても三割乃至五割というものを銀行が持になければならんが、事実は設備資金が長期資金というので、その長期資金の調達は銀行の現状の金繰りがむずかしいという点から喜ばないという傾向があるわけです。これが動かない一つの理由だと思います。  それからもう一つの問題は、現在中小企業者の立場から申しますと設備資金よりも運転資金の需要が非常に強い。経済界の動きは御承知のような状況でありますので、設備の拡大というよりもとにかく合理化のために成るべく安定した長期運転資金がほしいという要望が非常に強いことと、それともう一つは手続の問題が非常にうるさい、こういうことが比較的言われております。これはいわゆる見返資金でありますのと、政府資産、財政法等の関係もありまして手続は従来よりもいろいろお話ありましたようにできるだけ可能な範囲において簡略にして参つておりますが、中小企業者の側から言つたらなおまだ厄介であるというような問題が実はあるのでございます。そういうふうな事情からこの見返資金が消化しにくいとこういうふうな状況に相成つておるのであります。そこでこれはいろいろお考えがあるかと考えまするが、中小企業資金を援助する、こういう立場から申しますと、今言つたような弊害の全体を除く、こういうような趣旨で、例えば大企業に見返資金を出しておつたのを開発銀行の出資に振替えて開発銀行から出して行く、いわゆる国の財産という性格を一応変えて出して行くというふうな考え方で、もう少し手続を簡易にし、而も機宜に応じ得るような性格にするということが一つ考え方としてあるのじやないか。それからもう一つはどうしても運転資金という方向に途を開いて行く。これを若し長期運転資金、或いは短期でも結構でありますが、運転資金のほうに途を開いてやるとこれぐらいの金は直ぐなくなるというふうに私は見ているわけであります。まあ大体制度自体について、今の制度では現在の経済情勢下においてはなかなか中小企業者としては消化しにくい。そこでそこになんらかの検討を加える必要があると実は私どもは見ている、正直に申上げますとそういうふうに見ておるのであります。
  67. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その点でありますが、まああらゆる産業がこの際どうしても近代化しなければならんということは、これは国家的な要請だと思うのであります。従つて中小企業におきましても旧態依然たる設備、或いは戦災によつて痛め付けられたそのまま、それからインフレ期にざつとどさくさにごしらえちまつたような設備では太刀打ちができないので、この際どうしても近代化しなければいかん、従つてその近代化のために設備資金として必要だと思うのであります。又設備資金が注ぎ込まれまして設備されるということになりますると、これが又融資の対象になつて、近代化してよくなればそれだけ又金融もついて来る道が開けて来るだろうと思うのでありまして、原因が結果を生むということになると思いますが、その指導がむしろ一番大事な点は、銀行の協調とそれからもう一つは手続の問題だと私は思うのですが、中小企業庁としてその問題は先ず解決してやつたならば、却つて長期運転資金のほうの金繰りもついて来るのではないかと思うのですが、その点について指導しておるのかどうか。又事実はうるさいというので見離す、中小企業者は実際的には見離されたといいますか、それで一部の先ほども国民金融公庫のようなところでもブローカーが入つたというようなことを言つておられたが、そうなつて来ますと、これもブローカー的なものが入らんとなかなか手が出んと思うのでありますが、その点を最後にお伺いして終りたいと思います。
  68. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 私は先ず中小企業の今後の対策の基本的な方向として、お示しのような近代化、能率化というようなものは基本的だと思います。そのために長期の資金を必要とする、見返資金をその方向に向けて行くという観点から見ますると、先ず協調の関係をつけるということが一つ考え方だろうと思います。  それからもう一つの問題は先ほど申上げましたような、性格を変えて簡易化するというふうな方法へ進めて行かないと、実際問題としてなかなか動かない、こういうふうに実は思つております。そういうよう線でいろいろに検討を加えておるわけであります。この夏頃考えました、この資金を元にして合理化資金供給の一つの操作を考えたいというふうな案を考えたことがあるのでありますが、まだ意見の一致を見ておりませんが、何かそういう線で考えて行かなければならんというふうに私は思つております。
  69. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 本日はこれを以つて散会いたします。    午後一時五十二分散会