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1952-04-25 第13回国会 参議院 水産委員会 第30号 公式Web版

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  1. 水産物増産対策に関する調査の件 (会議録情報)

    昭和二十七年四月二十五日(金曜日)    午後二時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            千田  正君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            藤野 繁雄君   政府委員    水産庁長官   塩見友之助君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部漁   業調整第一課長  尾中  悟君    水産庁漁政部協    同組合課長   濱田  正君    水産庁生産部海    洋第一課長   増田 正一君   —————————————   本日の会議に付した事件水産物増産対策に関する調査の件  (漁船だ捕事件に関する件)  (小型機船底びき網漁業減船整理  に関する件)   —————————————
  2. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  本日は拿捕問題を先ず議題に供します。この前の委員会において報告されました以後の漁船拿捕状況海区別にお知らせ願いたいと思います。なお今回警備船日本のほうにアメリカから無償貸與されることになつておりますが、それによりますと、大体千五百トン級が十隻、二百五十トン級が三十隻、いずれも武装をして、主として船舶安全等を担当するということを聞いておりまするが、そういう点についても水産庁の御意見をお伺いしたいと思います。
  3. 説明員(増田正一君)(増田正一)

    説明員増田正一君) 最近の拿捕状況についてお答えいたします。昨日現在の状況を申しますと、中共関係におきましては、船航において拿捕数は八十二隻でございますが、一隻帰還いたしておりまして、未帰還が八十一隻になつております。人員におきましては、総拿捕船員数は六百九十二名でありまして、現在未帰還になつておりますのが、二百七十名であります。中国関係におきましては、総拿捕船舶数は十四隻であります。これは全部帰還いたしております。人員におきましては百七十七名でありますが、これは全員帰還いたしております。韓国におきましては拿捕船舶数は五十六隻でありますが、帰還船舶が五十四隻、未帰還船が二隻であります。なお人員におきましては六百四十八名でありまして、全員帰還いたしております。なお最近の状態は昨年の秋、平和條約の調印後におきまして、特に中共関係が非常に拿捕の件数が殖えたのでありますが、最近ここ二、三カ月の趨勢は、中共関係においても拿捕数が非常に減つております。大体一カ月平均にいたしますと、一組乃至二組程度になつております。で、中国におきましては、これは大分以前から三浬の領海を侵犯しない漁船については、日本漁船拿捕物品没収等はしないという態度をとつているようでありまして、特に先月、日本水産漁船公海拿捕されたのでありますが、この向う拿捕船舶が本国と連絡した結果、やはり日本船舶拿捕並びに物品没收はしてはならないというような通知を受けまして、現地でそのまま釈放されております。従いまして、中国、即ち台湾につきましては拿捕問題が最近においては全然起きておらない。それから韓国でありますが、これも中共と同じ程度でありまして、一カ月平均一組乃至二組程度拿捕が依然としてあります。で、中共性格漁船自体拿捕でありまして、船員には適当の機会に一定人員を返還しておりますが、韓国拿捕のやり方を見ますと、むしろ船舶自体よりも、漁具或いは漁獲物、それから漁船に設備しておりまする器具、機材、こういつた物品拿捕没收というような性格を帯びております。総体的に申しますと、最近の拿捕現状は一時よりも相当下火になつて参つております。かように私ども考えております。
  4. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 警備状況について。
  5. 説明員(増田正一君)(増田正一)

    説明員増田正一君) なお水産庁監視船警備状況について申し上げますと、現在水産庁所属の初鷹丸の一隻、それから水産庁民間からチヤーターして動かしておる船、これは全部トロール漁船でありますが、六隻、計七隻を以ちまして保護警備に当つておるわけでありますが、そのチヤーターしております一隻のうち、業者側の都合によりまして最近契約を解除しております。この一隻の解除については、私ども考え方としてはむしろ更に一隻を補強するよりも、この際レーダーを設置したほうがより能力の増強の面において妥当であろうという考え方をとつておりますので、むしろ隻数では一隻は減りますけれどもレーダーの設置によつて拿捕対策能力を増加して参りたい、それからなお従来の水産庁監視船にはスチーム・トローラーが三隻含まれておつたのもありますが、特に講和後におきまする拿捕に対処するためには質的に向上を図る必要があると思われますので、三隻のステーム・トローラーに代えまして、南氷洋に出ておりましたキヤツチヤー・ボートを二隻と、それからデイゼル・トローラーを一隻、速力の面におきましても、又全体から見ました能力の増加という点につきましても、こうした船に変更したほうがいいだろうというような考え方から、今後行われます水産庁監視船というものは全部デイゼル・トローラー、それからデイゼルキヤツチヤー・ボートという形で進めて行きたいと思つております。従いまして役所自体の船が一隻と、チヤーターのデイゼル船が五隻、こういう態勢であります。今までは監視船保護ラインというものがありますので、その監視ラインの上を大体警備しておつたのでありますが、これからはそういつたラインがなくなりますので、一定監視区域を設定いたしまして、拿捕防止保護指導、こういつた面について水産庁としてのできる限りの措置を講じて参りたいと考えております。
  6. 千田正君(千田正)

    千田正君 今度の講和発効についてマ・ラインが撤廃された場合に、今のお答えの五隻乃至六隻の監視船で広範囲に亘るところの面を十分警戒し得るかどうかということについて私は疑問に思つておりますが、より一層強化するお考えがあるかどうかという点と、もう一つは、未帰還人たちに対しての生活保護の面はずつと業者がやつておるかどうか、この二点についてお尋ねをいたします。
  7. 説明員(増田正一君)(増田正一)

    説明員増田正一君) 私ども考え方といたしましては、現在只今私の申しました六隻の監視船保護指導に当るということでは、現在の対中共、対韓国との関係におきましては不十分であろうと思います。従いまして、この面につきましては海上保安庁が従来持つております沿岸警備船もそれに協力して頂き、特に本年の八月末乃至九月におきまして、新たに増強されます警備隊の勢力の相当部分を割愛するようにいたしまして、武装した警備船を相当配置することによつて、こういつた拿捕防止に資して参りたいという考えの下に、今事務的には海上保安庁、特に関連もありますので外務省連絡会議を開きまして、目下会議を進めておる最中でございます。
  8. 説明員(濱田正君)(濱田正)

    説明員濱田正君) なお千田委員の御質問の第二点でありますが、拿捕によりまして経営者自身も中には倒産を来たすものも出て参りまして、現状におきましては極く有力な会社、この有力な会社というのは、百五十一社ありまして、千社以内というところでありますが、極く有力な会社が一部一万円から一万四、五千円という程度を出しておるに過ぎません。大体その他のものはおよそ会社からの保護の手は延べていないというのが現状であります。
  9. 千田正君(千田正)

    千田正君 重ねてお尋ねしますが、そうしますというと、極めて内容のいいところの会社であればどうにかあとを見ている、さもない所は止むを得ない状況にあるというふうでありますが、将来頻発するかどうかということはわかりませんけれども水産庁としましては、一応やはり拿捕された後に帰つて来ない人たち家族に対する何らかの生活保護の体制を考えて上げなければならないと思うのでありますが、その面におきまして十分見られるだけの所では、それは危險な場所へ行つてもいいでしようが、今のように長い期間帰つて来ないというと、もう倒産してしまう、或いは妻子その他が路頭に迷うというようなことであつてはいかんので、一応出漁する前において十分にそういう面を考慮する方法考えて上げたらどうかと、私はこう考えますが、そういう点につきまして、水産庁としましては何か考えておられるかどうか、この点を承わりたいと思います。例えば一つ組合を作らしてやるとか、或いは保險の面であるとか、或いは船の装備その他に対して制限するとか、いろいろな点があると思いますが、そういう意味においては、若しも不幸な問題が起きた場合にはどういうような方法によつて、十分に家族を見られない不幸な人たちのために何らかの事前に打つ手を考えておられるかどうか、この点を承わりたいと思います。
  10. 説明員(濱田正君)(濱田正)

    説明員濱田正君) その点につきましては、誠に遅蒔きでありますが、漁船特殊保險がありますが、ああいう構想を採用いたしまして、経営主も当然拂うべき給料が拂えないというのが現実でありますので、これを保險制度の中に採用しまして、経営主が一部を積立てておいて、事故が起つた場合、抑留されたものに対して、現実にはその家族でありますが、家族に対してそれを支拂つて行くという形で、現在漁船乗組員給與保障、まあ仮に保障法というふうな法律で以て保險制度を確立して参りたい、かように考えております。
  11. 千田正君(千田正)

    千田正君 まあ日米加の問題はあの通りによつて條約が効力を発して来るだろうと思いますが、その後引続いて中国との漁業協定の問題或いは日韓の間におけるところの漁業協定の問題、或いは将来印度洋その他若しくは中共との間にも或いは漁業協定が行われることがあると思いますが、その際に、やはりラインを越えての問題が相当重大な影響を我が水産界に及ぼすものと思われますので、そうした問題は刻々にあらゆる角度から研究して行かなければならんと思いますので、今のおつしやつたような問題を速かに善処するような方法考えて欲しいと思うのであります。勿論これは外交関係もあるし、その他の問題も附随して参ると思いますけれども水産庁といたしましては、十分にその点を考慮いたしまして、一日も速かに妥当なところの方法考えて頂きたい。この点を要望しておきます。
  12. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) 非常に大事な問題でございますので、私のほうもできるだけ外務省その他の民間情報等を集めまして、それで具体的な問題に対して具体的に処理するというふうな形に進みたいと思つて努力はしておりまするが、又平和克復して独立した状態のときと違いまして、そういう情報入手その他について相当な制約がありまするので、平和回復後にはそういう点も相当十分な資料も集め得られるような手段も生ずると思いまするので、それによりまして、できるだけ具体的な問題を具体的に処理するというふうな形で、相手国状態或いは海区の状態等を見まして、御趣旨に副つたような形で今後とも日本水産に支障が起らないような発展策を講じたいと、こう思つております。
  13. 千田正君(千田正)

    千田正君 特に重大な問題として最近起きているのは、日本韓国との間におけるところの竹島の問題でありまするが、この点につきまして、水産庁長官はどう考えておられるか。御承知の通り曾つて日本にとりましては、日本海と朝鮮との間の水域の真中にあるところの竹島という題問が今クローズ・アツプされて、日本韓国の重大なる境界線の問題になつておりまするが、これに対しまするところの水産庁の見解と、並びにこの周辺に或いは起るであろうといういろいろな不幸な事態の将来というものを考えられて、どういうふうな御所信を持つておられますか、この点を長官に一応伺つておきたいと思います。
  14. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) 竹島の問題は、本年初めに韓国側のほうから李承晩ラインというふうなものが宣言されましたときに、あのラインの中にあれが含まれているというような関係からして、外務省のほうとも十分協議した上で、それに対しては日本政府としては賛意を表しかねるというふうなことをはつきりと向うのほうに伝えております。
  15. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  16. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。
  17. 秋山俊一郎君(秋山俊一郎)

    秋山俊一郎君 只今千田委員から御質問になりました警備の問題でありますが、先ほどから話の出ましたように、近くアメリカから無償配付を受けます四十艘ほどの船が、海上保安隊と言いますか、今後警備隊と申しますか、そこらに所属しまして警備に当るということでありますが、これはどういうふうな警備に当ることになりますか。従来日本で海軍があつたといつたような場合に、事が起つてから出動する場合が多かつたのでありますが、この東支那海における操業は一日も休みなく絶えず、操業を続けておりますので、事態がいつ起るかわからない場合に、問題が起つてから飛び出したのでは間に合わない、従つて絶えずその水産庁警備船と同じような行動をとつていなければ実際の効果が挙げられないのじやないかと思いますが、それらの点につきまして、今水産庁で動かしております七艘ほどの警備船というものと同じような行動によつて警備ができるのであるかどうか、それらの点は話合ができておりますか、若しできておらないとすれば、やはり同じような行き方でやつてもらうということでないと意味がないと思いますが、それらの点について水産庁としてはどういうふうな過程にありますか、又どういうふうなお考えを持つておりまりすか、伺いたいと思います。
  18. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) これは最近も引続きまして、海上保安庁のほうと具体的な折衝を続けております関係がありますので、増田課長から答えて頂きます。
  19. 説明員(増田正一君)(増田正一)

    説明員増田正一君) 先ほど御説明いたしましたように、水産庁といたしましては、漁船について操業区域制限をするということは、今後の関係国との間の国際協定その他から見まして、これは望ましいことではない、併し現実には拿捕というような問題も起きますので、水産庁監視船による監視区域というものを設定いたしまして、その線の中を、その線上を監視することによつて漁船操業の安全を図ると、まあこういう行き方で現在進んでおるのであります。これに関連いたしまして、海上保安庁警備船と申しますか、その運航関係をどう関連付けるかという話で、目下海上保安庁外務省を交えまして合同の会議を進めておるのであります。その経過の概略について申しますと、海上保安庁警備船というのは二つの性格に分れておりまして、従来保有しております警備船、これは主として密漁船の取締り、それから海難救助、こういつた性格を持つた一群の船であります。この救助を主といたしました船の行動範囲は、従来は距岸百浬水域に限定されておるわけであります。併し今度講和独立と共にその制限ラインがなくなりますので、一応公海上は行動できるという建前になるわけであります。で、海上保安庁のほうといたしましては、この警備救難艇水産庁監視船と同じような行動範囲を持つて、同じような建前で巡邏をしたい、併し何分にも依然と密輸の関係或いは海難救助という任務も持つておりますので、水産庁の現在考慮しております水域、具体的に申しますと、台湾北部方面、それから黄海の中央部のほう、そのような遠い水面までには行き得ないかも知れません。具体的に申しますと、現在の韓国の……。速記をとめて頂きたいと思いますが。
  20. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  21. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。ほかに御質問がなければ、私からちよつと質問いたします。この日本に最も密接な関係のある韓国に対する問題ですが、新聞の伝うるところによると、日韓協定は破局の危險があるということを伝えております。若し日韓協定が締結できなかつた場合においては、講和発効後における日本漁船は、公海の自由の原則によつて相当突き進ん行でくと、私もかように思つております。只今増田君のお話では、済州島と朝鮮との中間区域を大体監視船監視するというようなお話でありますが、日本漁船は恐らく公海である限りは朝鮮沿岸まで接近して行きはせんかと思う。その場合に対する対策水産庁はどういう対策を持つておられるかということが第一点であります。それから警備船はまだ水産庁との話合いが立派に付いていないというお話でありますが、いやしくも漁業監視するという立場にいる限り水産庁主張がやつぱり十分行われなければ、本当のああいう監視はできないと思います。むしろ水産庁指導的立場から保安庁の警備船を動かすというような態度で今後臨みたいと思いますが、それに対するお考え、この二点をお伺いいたしたい。
  22. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) 日韓漁業協定の問題は、引続き向う検討中でございます。新聞発表等につきましては、これはその両国代表協議の上で内容もきめるというふうなことになつておりますので、最近の記事がどういう形で出ておりますか、私存じませんので、正誤のことは全体としてはここにはつきりお答えできませんが、若し協定が結ばれないままで平和が回復したというような場合には、日本側主張いたしましたところの公海自由の原則によつて、マツカーサー・ラインというものが勿論撤廃されるわけですから、公海である限りにおいては漁業はできるという建前で処理して行くという考えでおります。それから漁場紛争等については、これは具体的に紛争をできるだけ少からしめると同時に、個々紛争が起りましたときの処理の方法というようなものも、これも両国間で打合せながら進めて参る必要があると思つて、そういう腹組み外務省のほうとも一諸になつて対策というふうなものを進めております。警備の問題につきましては、これは今委員長からお話のありました通り漁業に対する警備或いはそれに伴つた保護というような観点からしまして、水産庁のほうとして十分漁業の実態に即応しながら考えておるわけでありまして、できるならば、海上保安庁等においてもその方針に大体協力してやつてもらいたい。水産業全体の立場から申しますれば、我々としましては、我々の具体的な検討に間違いのない限りにおいて、それに協力してもらうことが最もいい方法だというふうに考えておりますので、委員長の今お述べになつた御意見通りでございます。ちよつと速記を止めて頂きます。
  23. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  24. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を初めて……。もう一点お伺いしますが、只今お話通り講和発効後まで日米加以外の国とは漁業場協定はできないことははつきりしております。併し講和発効後においては、日本は航海自由の原則によつて相当突進んだ漁業をやるだろうと思う。支那東海漁業は勿論のことですが、或いは南洋の「かつを」、「まぐろ漁業、或いはアラフラ海の白蝶貝漁業というものにも出漁することになるだろうと思うのであります。そういう場合において、その国との漁業協定ができない前は、水産庁はそういう漁業に対して抑制せられるのであるかどうか、或いは漁業協定ができなくても、航海自由の原則によつて出漁を認められるかどうか、又認められるという場合においては、北の「かに」工船や何か、ああいう非常にへまをやらずに、今から十分お考えになつておるだろうと思いますが、そういうお考えをお伺いしたいと思います。又朝鮮においては日韓漁業協定ができない場合において、国連軍との何らかの協定をするということになれば、それができるまでは韓国沿岸には行けないかどうか、若し行けないとしたら、国連軍との協定をやるには相当暇が要ると思う。その間はやはり日本漁船韓国航海出漁できないようになるかどうか、そういう点をお伺いしたい。
  25. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) 日米加協定を結んだ以外に、漁業協定ができないままで平和回復に入るわけでございますが、その漁業協定のない国に近い海区において、どういうふうに日本漁業が規律されるかというふうな問題でございますが、これは今のところ水産庁といたしましては、航海自由の原則によつて出漁して差支えないと、こう考えております。その他一般的な国際法上規制を受けない限りにおいては、航海自由の原則によつて出漁して差支えないと思つておりまするし、又対国連軍関係のほうの問題でございまするが、これも又協定なり、或いははつきりとした取りきめができない間は、勿論航海自由の原則によつて出漁して差支えないと、こう考えておるわけでございます。ちよつと速記を止めて…。
  26. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  27. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。
  28. 秋山俊一郎君(秋山俊一郎)

    秋山俊一郎君 拿捕問題以外に関連したアラフラ海の問題ですが、今アラフラ海の何が出ましたが一カ月か、一カ月半ほど前の新聞に、たしかアラフラ海の真珠採取は許されたような記事があつたと思いますが、その辺の経緯はどうなつておるのでありましようか。誤報でありましたか、或いはそういつたようなことが実際あつたものか、これについては非常に業者関心を持つておりますから…。
  29. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) そういう記事はございましたし、その他にもその前頃からぼつぼつといろいろな記事がございましたけれども外務省から正式には何らの通牒に接しておりませんし、連絡もございませんし、各国のほうからも、そういうふうな申入れなり、何なりという事実はあつたとまだ我々のほうは確認しておりません。
  30. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  31. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて下さい。
  32. 秋山俊一郎君(秋山俊一郎)

    秋山俊一郎君 先ほどからお話もありましたように、これは実績もあることでありますし、将来行けるような方法を講じなければなりませんが、勿論これはどうして所属国の承認を得なければ、その仕事はできないだろうと思います。併し只今お話のありました「かつお」、「まぐろ」の漁業になりますというと、必ずしも真珠採取とは違いまして、船舶状況によりましては相当南方まで行ける。現に日本の船団がぼつぼつ出動しつつあるような状態でありますが、ただ今お話濠洲政府ソロモン海域その他いわゆる大陸棚の範囲制限するといつたようなことは、これはかの吉田ダレス交換書簡があつたために、そういうようなことが起つて来たのじやないかといつたような感じも受けるわけでありますが、これは日米加漁業協定が締結されましても、これは日米加関係でありまして、濠洲とは関係のない問題であります。そうすると、今後濠洲がそういうことをし、各国がそういうふうに、いわゆる公海というものを抱き込んだ一つ制限を加えるということになると、いわゆる国際公法に基いた領海公海のけじめがなくなつて来るのじやないか、こういうふうに考えます。将来の問題として深い関心を持つわけでありますが、日本政府、特に水産庁としてはそういう点をどういうふうに考えておられるか。これは協定しなけば向うの一方的な処置に従わざるを得ないというようなことでは、即ち過去において実績を持たないところの海面は一方的に勝手にきめても止むを得ないということでは、これは非常に将来行動範囲が狭められるのじやないか、こういうふうに考えますが、その点どういうふうな解釈をとつておられますか、一応この際承わつておきたいと思います。
  33. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) 公海自由の原則は、飽くまで日本政府として主張の中心としまして、こういう問題は処理して参るつもりでおります。それから吉田ダレス書簡につきましては、先ほど申上げましたような範囲において、とにかく具体的な個々の問題であれに当嵌るような漁場がない限りにおいては、その協定前といえども公海自由の原則において出漁することは差支えない、国際信義上も差支えない。勿論自発的な措置として、そういうものが具体的にあつた場合は日本政府としては出漁を差控える、「日本政府に於て」ということを書いておりまするので、勿論そういうはつきりとした事実がない限りにおいては、公海自由の原則国際法上は規律されるものと、こう考えております。なお日米加協定の草案におきまして、御承知の通り、決議三で以て草案を起草したこの委員会のほうからの勧告としまして、はつきりと、締約国はこの條約が取扱う問題と類似の問題について他の政府と協議するに当つては、この條約の精神及び意図に十分な考慮を拂うべきことを勧告するというふうな文面がはつきりと出ておりまして、そういうふうな意味から言えば、日米加漁業協定においては毫も公海自由の原則というものは否定されておらないわけでございまして、日本政府も、それから米加両国政府も、これを採択いたしますれば、大体この勧告に従つて、それで日米加協定を締結した趣旨によつて、今後その他の国との漁業上における国際関係を規律するというふうな立場をとつて行くことを勧告されておりまするが、日本政府としてはそういうふうな勧告に従つて、これは米加といえども同様な気持を持つておると思いまするが、日本政府も勿論そういう勧告に従つて日米加協定の線において、それで今後の国際関係を規律して行くというふうなことが正しいし、それ以外に方法はない、大体こう考えておるわけでございます。速記ちよつととめておいて……。
  34. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  35. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて下さい。
  36. 秋山俊一郎君(秋山俊一郎)

    秋山俊一郎君 日米加漁業協定の問題は今仮調印の状態でありますが、いつ頃批准ができる見込でありますか。先般来の話によりますと、大分延びるような話もありましたが、講和條約の発効もここ二、三日のうちに迫つて、二十八日には発効するわけでありますが、その後日米加漁業協定の批准が大体どのくらいの期間においてなされるものか見通しを伺いたいと思います。
  37. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) 日米加漁業條約の批准の時期については、これは相手国の国会開催その他の関係がありまするので、外務省のほうにも前からいろいろと推定のあれを頼んではありまするが、現在はつきりした見通しは付かないわけでございまして、それでニカ月とか、三カ月とかいうふうな期間に調印が行われ、東京で批准が行われて発効するというふうな段取には行きにくいのではないか、もう少しかかるのではないか、大体こう考えられております。ちよつと速記をとめて……。
  38. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  39. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて…。
  40. 秋山俊一郎君(秋山俊一郎)

    秋山俊一郎君 私どもはそれを非常におかしく思うのです。というのは、この日米加漁業協定というものは、まだ講和の発効も見ないうちに非常に急がれておる、当時において何故にそんなに急がなければならんのかということが非常に問題になつたのでありますが、我々が想像しておるところは、米加の方面から強い希望があつたのではないか、従つてまあそういう希望があるとすれば、平等の立場であるならば今やつてもあえて不都合もないだろうが、何もそう急ぐ必要はないじやないかという声が非常に日本国内には強かつた。然るにもかかわらずこれが早急に取りきめをされまして、両国代表が調印をして帰つて、そうしてその批准というものが一向いつになるかわからないということでは、何のためにこれを急いだのか我々は非常に了解に苦しむのです。殊にこの批准が済まなければ出漁する用意をしておつたものも行けなくなつた。而もその見通しがどうなるかわからないということは、何かそこに調印した條約のうちに、三国間、特に相手の両国間において何か支障になる点があつての問題であるか、ただ荏苒と延ばしておるのであるか、それらの点は我々としても相当関心を以てこれは注視すべきであると思いますが、その批准が遅れなければならんという何らかの理由があるのか、恐らくその遅れるには理由があるのじやないかと思いますが、初めこれを急ぎました事情から見ますと、今日これが遅れるということは非常に我々は奇怪に思うのです。その点を水産庁は、何もそういう事情もなしにただ相手が批准をせんからというように考えておられますか、どうか、この点もう一遍伺いたい。
  41. 政府委員(塩見友之助君)(塩見友之助)

    政府委員塩見友之助君) この日米加條約の草案はまだ草案のままで、恐らく仮調印という形になつたままで、それで正式調印はまだ勿論ないわけでございまして、これは日本が独立国となつてから改めて正式調印が行われるというふうな形になるわけでございまするので、これは調印自体も独立後のことになるわけでございます。で、その調印がされてから、これはそれぞれ所定の手続を経て、それで批准というふうな段取りになるわけでございまするから、独立後調印を待つて各国が国会にかけるとか、その他必要な手続を経るということになるわけでございます。それはすべてが将来の問題になつておるわけでございまして、向うの国会開催の期間その他の関係等を見まして、それでどのくらいの期間がかかつたら批准になるかというふうなことは想定しなければならないわけでございまするけれども、或る程度は調印に比べれば時間がかかるのではないか、こういうふうに考えておるわけで、この協定自体はこの会議に列席をした人たちの仮調印を見た上で、各国政府に対して勧告という形で以て、それで出ているというふうな法律的な関係にあるわけですから、調印を正式にするのは独立後、その後に批准の手続を踏むと、こういうような形になると思います。現在の状態を以て、なぜ遅れているかというふうなことを言うような今とにかく段階にはない、こう考えております。その後の批准の手続等は、我々も独立後勿論できるだけ関係国政府に対しても、日本の逸早く批准をして頂いて、それでこれを関係国のほうに通達すると共に、関係国における批准をできるだけ促進してもらうように取計らつて参りたいと考えておるわけでございまして、ただその期間の予測等については、相手国の内部の事情等によつてはつきりしたことを申上げられない、こういうことを言つておるわけです。速記をとめて下さい。
  42. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  43. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。本会も始まりましたので、漁船拿捕に関する件は本日はこの程度で打切ります。   —————————————
  44. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 次に、小型機船底網漁業減船整理に関する件、これは実はこの前減船計画を発表されましたが、大体昭和二十九年まで一万五千隻の小型底曳漁船の整理をするという案でありましたが、その案に従つて各県に減船の船を予告されておつたはずであります。ところがその予告した漁船以外に更に又減船するというような、機船底曳として許可を與えないというような指令を出されたというようなことを聞いておりますが、その点についてあなたのほうから何かお話がありますか。例えば例を言いますと、大阪府の管轄に約六百隻ばかりの小型機船がある。そのうちで約二百五十隻を減船するというような予告を表によつて出された。あと残りの約三百何十隻のうちを、更に二百何十隻は機船底曳としての鑑札を與える。あとの百何十隻は與えないというような措置をとられたかどうかということについてお答え願いたい。
  45. 説明員(尾中悟君)(尾中悟)

    説明員(尾中悟君) 小型底曳の減船につきましては、現存いたします小型底曳約三万五千隻につきまして、各府県別の枠を決定いたしまして、これは去る三月十日でございますか、農林省の告示を以て発表したわけでございます。その後各県に通知を出しまして、今後昭和三十一年の三月末までに、年次計画で以て各県どの程度減船するかということで一応案を示しまして、その案に基いて各県は漁民の意向なり、或いは海区調整委員会意見等も十分参酌して検討してもらいたいということで照会中でございまして、年次別にはつきりと、どういうふうな計画で減船して行くかということは、そういつた各県からの資料の到着次第、至急取りまとめて参りたいと存じております。今委員長からの御指摘の点は、別に我々のほうで現存するものに対して枠を出して、その後の計画について照会しておる以外には指令を出した覚えはございません。
  46. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) わかりました。本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後三時四十二分散会