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参考人(
山田又市君)
只今防波堤の方角についていろいろ
お話があ
つたようであります。それで先ほど私が申上げましたのは、港の入り口が
南東を向いておるように思われる、こういうことを申上げましたので、
鮫島先生の
お話では東若くは北のほうから、北のほうに向いておるように
お話がありましたようでございますが、私はさように
考えておりませんのでございます。大体港口が
南東に向いておる、こういうふうに私は
考えておりますので。それから
只今お話中の
北側の堤防とおつしやられましたが、これはつまり本当の方位的に言う北という
意味合ではなくて、北のほうから出ておる突堤というふうに私は
言つて結構だと思うのであります。そういたしますと、
台風時におきまして、或いは港へ入るには、それは成ほど東南の場内ですから、
南東のほうに口があいておるほうが送り波になりますから入りやすいことはそれは入りやすいと思います。いわゆるこの東南の吹いております時分にこの
附近におります小さい船は到底その辺には一そうもいないのであります。それでありますから大きな
時化の場合にこの港に入るということについての
心配は私はしなくてもよろしいのだと思うのであります。それで一番
心配なのは、これは
キテイ台風のときにおきましても私のほうでは波が
小田原は少し東
向きにな
つておりますが、それでも波が真直ぐに打
つておりません。もうひどいときは皆んな波が東南のほうに来てぐつとこういうふうな力で打
つて来ておるのです。ですから家がこわれましても真直ぐに陸地のほうに行くのではなくして、こわれた家が皆んな西北のほうへ流れてしまう。そういうふうでありますから若し港の口が
南東に向いておりますと、真直ぐにその波がずつと一直線に入
つて参ります。それで港の中が非常に掻き廻わされてしまう。要するに、私
どもの
心配しておりますのは、
皆さんの御
心配の
通り、又
鮫島先生の
お話の
通り港の中にいる船が非常に
心配なんです。大体そういう東南時になります前に大体
漁師は見当を付けますから、その前に入るものは
附近の船は大抵港中に入
つてしまう。又網船は揚げてしまうでございましようが、要するに
南東の風で真直ぐに送り波で来れば、面積の小さい港でありますから、真直ぐに来た波がもう殆んどたらいの中を掻き廻わされるようになるのじやないか。若しこれがそうではなくて
南東のほうの
防波堤があるという場合は、一旦ここへ来る波が
防波堤にはこたえるのです。その代り港の中は靜かなのじやないか。それですから西南のほうは短かくても
南東のほうは成るへく
防波堤を長くしたい、こういうふうに私
どもは
考える。それですから
鮫島先生の
お話の
通り南東のほうを延ばすということは
費用は勿論余計かかるのではないかと思うのでございますけれ
ども、とにかくその一番激しい波を受けるほうを防いで頂いたほうがいいのじやなかろうか。南のほうは
真鶴半島がずつと出ておりますからよほど波を受けるのに楽なんです。ですから
小田原で港が
しけのときなどは船を上げて
早川の隅に持
つて来て皆昔から上げておりますようなわけであります。波なんかも三分の一くらいに小さくな
つております。そういう実情だと思います。