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1952-03-27 第13回国会 参議院 水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十七日(木曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            松浦 清一君            千田  正君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            玉柳  實君   政府委員    水産庁長官   塩見友之助君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部長 伊東 正義君    水産庁漁業調整    第一課長    尾中  悟君    水産庁協同組合    課長      浜田  正君    労働省失業保険    課長      百田 正弘君   参考人    岩手県東京事務    所長      穗積 軍一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告小型機船底びき網漁業整理特別措置  法案内閣提出衆議院送付) ○参考人の出頭を求めるの件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (北洋漁業に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  小型機船底びき網漁業整理特別措置法案を議題に供します。この法案につきましては、すでに数回に亘つて審議をいたしまして、委員要求によつて資料も相当出ております。殊に松浦委員要望によりまして、船員失業者に対する失業保険措置も講ぜられたようであります。なおその他の資料要求がありますが、まだ出そうなものもあるようでありますが……、それからもう一つ松浦委員質問によりまして、この補償の金額に課税をするということは不当であるというような御意見に対しまして、政府のほうで租税特別措置法の一部を改正する法律案ができまして、六%の再評価税のみを課するというような措置も講じておるようであります。なお御質問がありましたらお願いいたします。  なおこの法案審議のために松浦青山の両委員大阪和歌山方面に御出張になりましたので、その御報告をお願いいたしたいと思います。
  3. 松浦清一

    松浦清一君 只今審議されておりまする小型底曳網漁船減船整理に伴いまして、現地における具体的な実情調査する要があるということで、青山委員、私と林専門員三名が、兵庫県、和歌山県に出張いたしまして、現地調査をやつたわけであります。三月の二十一日に東京を出まして、二十五日に帰つて参りましたが、調査の目的は小型底曳網漁船減船整理に伴う現地実情調査、こういうことを主題目標にして出掛けて行つたわけでございます。即ち減船することによつて起る乗組船員失業問題や、補償金に対する現地見解等中心として調査を進めて参りました。  先ず最初に二十二日には兵庫県において県庁、瀬戸内海漁業調整事務局県漁連漁信連漁業協同組合等代表者集合を願いまして、本年度において整理した漁船実情につき聴取をいたしました。その主なる意見として聞きましたのは、由良において高馬力船六隻を整理、築磯として沈船と決定いたしましたが、その乗組員三十名の殆んどが雇用船員であります。この船員平均年令は四十才、昔の小学校を出ただけの者が多くて、漁業をやる以外の何らの技能も持たないためにまだ失業の状態にあります。兵庫県における他の一隻と合計七隻の補償金三百四十九万五千円では、船主の借金の整理等になお不足を来たすような実情でありまして、船員失業手当等は思いもよらないことで、非常に困つておるという陳述がございました。二十七年度の計画で主として日本海を中心として整理すべき船は八十隻という資料をもらつて行つたのでありますが、現地に行きますと、百三十隻ばかりあるということでありますが、この乗組員処置については今から非常に悩んでおるということであります。従つて政府において失業保険考慮されるとしても、何らかの方法で転職せしめることを現地においては苦慮いたしまして、由良からは県に対して十馬力程度エビフキ網漁船二十六隻の建造許可申請しておるが、中央においても一つよろしく頼むということであります。又失業保険のほうは二十六年度整理分にも遡及して適用してもらいたいという強い要望がございました。又漁業権証券資金化の促進についても強い要望がございましたが、特に兵庫県ではこの証券資金活用について特異な考慮が払われておりまして、交付額四億八千万円の二割に相当する八千九百万円を業界から醵出せしめまして、県費からも三百五十万円を支出して、県下における水産振興のための基金を設定して、漁業資源の開発、戦争中の障害物の除去、漁船損害保険に全船加入への推進の費用等に充てておる。特にそのうちの五十万円を割いて漁業者子弟育英資金として初年度に三十六名程度上級学校に進学をせしめる準備を進めているということであります。又漁信連からの希望といたしまして、最近所得税徴収のための預金調査が非常に厳格になつて来て漁信連等に預けておる預金が他の市中銀行にどんどんと流れて行く、そのために緊急の融資等に甚だ困難を来しておるので、中央からの助成の強化等と相待つてこの点特に考慮されたい。又冷凍、冷蔵等に関する電力の割当等に対しても特段の考慮を払つてもらいたい。淡水魚の漁獲が近時漸減傾向にあるので、これが対策についても特別の考慮を払つてもらいたい等の要望がございました。  和歌山県では、二十四日に兵庫県と同様の関係者集合を願いまして、意見を聴取いたしましたが、本県でも兵甲県と同様整理船乗組員失業対策につき強い要望が述べられておりました。一例を申しますと、箕島における整理船十七隻、これは二十六年度分でありますが、乗組員七十二名のうち経営者は十七名で、五十四名が雇用船員である。この失業船員を他種産業に転職せしめるために非常なる努力を払いましたが、今日まで就職し得た者は僅かに二名しかない。而も、そのうちの一名は土工になり、ほかの一名は山口県の親戚経営しておる貨物自動車の助手に就職した、あとの者は全然就職ができない、当てもないというこういう状況であります。県側では浅海海藻類等の増殖に腐心をしておりますが、これは将来の問題であつて、現在直ちに措置すべき方法としては国家補償による失業に対する補償を考えてもらうよりほか途がないと、こういうことであります。又県下沿岸におきまする資源がもはや限度に達しているので、京都石川福井方面に対する入漁の、向うから言えば出漁の交渉をしておりますけれども、石川県が若干の好意を示しておるのみで、京都福井等はなかなか困難であるので、中央で斡旋してもらいたいとの要望がありました。  以上二県の調査の結果を総合いたしますと、第一には整理に伴う船員失業問題が我々が予想していたよりも更に深刻であるということであります。第二には、日本水産の全体的な悩みではありましようけれども、沿岸における漁業資源が漸次枯渇しつつあるということで、これが対策を急速且つ積極的に講ずべきであるという意見が述べられておりました。漁業資源温存についてはすべての業者が自己の生活と天秤にかけて苦慮しておるという事実は、今次の減船整理そのものに対しては業者も反対はしていない、適当な整理はすべきである、こういう見解を一応持つておる。ただそれによつて起る失業問題については、これが対策を強く要望しておるということで、問題の中心点がどの辺にあるかということはよく了承ができると思います。第三には、全国漁業協同組合の一貫した悩みである金融の問題であります。前に申しましたように、漁信連預金が一般漁業界不振の結果も原因の重要な点ではありましようけれども、所得税等に関連して漸減傾向を辿つておるので、末端の金融は全く円滑を欠いておる。このために漁業生産の速度を弛緩せしめ、背に腹は代えられないので濫獲等が行なわれておると、こういう実情であります。  以上簡単ではございますが、兵庫県、和歌山県の実情調査の結果を御報告申上げます。なお足らないところは青山委員林専門員のほうから補足説明を願いたいと思います。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か補足がありますか。
  5. 青山正一

    青山正一君 結構です。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今松浦委員の特に主張されました失業者が非常に思つたよりも過大であるというお話でありますが、政府が今回改正しました失業対策、これについて一応御説明願います。
  7. 浜田正

    説明員浜田正君) 資料としてお配りしております三月十四日附の水産庁長官から各県の水産部長宛に出した通牒、それから労働省職業安定局長から三月十八日に都道府県知事に出された通牒、これがありますから、先ず水産庁長官通牒について御説明を申上げます。  従来失業保険の問題につきましては、水産におきましてはその雇用関係が明瞭でなく、且つ内容的に非常に複雑であるということで、失業保険への対象として取上げるということがどちらかといえば消極的であつたのでありますが、この小型整理機会としまして、そういうことでは困るので、種種労働省ともいろいろと打合せしました結果、労働省でも非常に同情してもらいまして、すでに昨年の十一月に各府県に対して長官から積極的に失業保険加入するように指導すると、こういうふうにせよというふうな通牒がありまして、昨年からやつておるのでありますが、ただ併し細かい点につきましてはいろいろ疑義の点がありましたので、労働省ともいろいろと交渉いたしまして、細かい点まで一応割切りまして、こういう通牒を出して指導しておるわけであります。この内容を申上げますと、これはまあ御承知のことですが、失業保険をもらう者は失業の日以前一年間を通算して五カ月以上毎月の報酬の千分の十を積立てた者であることが必要である。この千分の十は、聞きますと今度の国会で改正になるということになつておりまして、千分の八になるそうであります。そうしてその対象になると、標準報酬の六割を六カ月間失業保険を出してもらえると、こういうのが大体の失業保険法の筋書であります。そこでこれを適用するにつきまして、先ず水産につきましては、あえて小型底曳だけの問題でなくして、失業保険には広く加入さして行きたい、こういうことについては労働省とも意見が一致しましたが、先ず最初としましては小型底曳の問題からかかつて行く、こういう考え方であります。そこで一番問題になりますのは、単独加入と、それから一つ団体としての加入がありますが、先ず単独加入の細かい点になりますが、言いますと、水産におきましては、一つ経営で、まあ同族経営と言いますか、一つの世帯に属していないが親子兄弟でやつておると、こういうものが相当ありまして、こういうものは共同経営だということで雇用関係はないように一見見えておるのでありますが、内容をよく調べてみますと、そういう親子兄弟或いは親戚縁者関係でも経済的に見ますれば、賃金というふうな形で見えるものがありますものですから、従来のごとくこれは共同経営ということだけで雇用関係なしということでやつてしまわないで、その関係を実体的に眺めて雇用契約があると、こういうふうに思われる者は、積極的に失業保険対象にするようにして頂きたい、こういうことが第一点であります。それからこの雇用契約関係が欠けておるか、或いは又その関係が不明瞭になつておるような場合は、生産組合などに集結して、その経営体従業者との関係、こういうことにして失業保険対象に積極的に入つて行くと、こういう考え方を持つておるわけであります。この点につきましては、この生産組合経営主労働者とが一致したような形でありますので、そういう雇用関係法律的に考えられるのかどうかということを法制意見局に聞いてみましたところが、確かにこれは雇用関係であるということになりましたので、これも労働省に持込みましたところが、これも失業保険対象として考えておると、こういうことになつたわけであります。  以上が大体の筋でありますが、次に技術的の点におきまして、今の賃金形態として歩合制をとつておるのが圧倒的に多いのでありますが、これは保険料徴収にはそういう関係は非常に困難を来たすもので、できるだけ固定給を定めると、こういう必要が出て来るのであります。併し実質的に、固定給に切替えるということはそう簡単にはできないので、こういう困難のある場合は従来のままでいいのですが、保険料の算定といたしましては、労使のほうの相互の協約によりまして一定額を協定するようにして、そしてそれを以て保険料徴収基礎賃金にするようにしたい、こういうように考えておるわけであります。この点も労働省からの通牒も出ております。  それからもう一つの点は、漁期が終了した場合、沿岸の小さい漁業におきましては、他の漁業に従事する場合がありますので、その場合の収入は、実体的に見ますと相当内職と見られる点がありますので、漁期終了後他の、例えば一本釣りなどに従事した場合、直ちに就職したものとして失業保険金が打切られるということにならないように、具体的に調査の上で、こういうものは内職ということにしてもらつて失業保険はまだもらえるという形にするように申入れたのでありますが、この点については一概にそう言い切れないものもありますので、労働省とこの点は目下相談中であります。  以上大まかでありますが、第一は、ぎりぎりのわかりにくいところ、つまり同族経営みたいなところでも、経済的に賃金と見える点が多分にあるところもありますから、これは積極的に失業保険対象にするようにするということが第一点。第二点は、そういう関係が不明瞭なるものは、生産組合、こういうものに経営を集団化することによつて雇用関係もおのずからはつきりして来る、この形で失業保険対象に入つて行くと、こういうことが長官通牒の骨組みであります。
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 百田失業保険課長から労働省の御見解を願います。
  9. 百田正弘

    説明員百田正弘君) 労働省失業保険課長であります。只今浜田課長から水産庁長官通牒の御説明がございました。大体その内容につきましては同様でございますが、私のほうからも簡単に御説明申上げたいと思います。  失業保険法におきましては、漁業関係労働者につきましては強制加入ということにはしておらないのであります。ただこれらの人たちの中に半数以上のかたが希望される場合には、その全員を被保険者にするという途を開いておるのでございます。従いまして、漁業関係労働者につきましても、半数以上のかたが希望される場合には、任意包括加入という形で失業保険の被保険者になることができるわけでございます。この前提といたしましては、飽くまでも失業保険と申しますのは、雇用関係の終了したものを対象といたします関係上、その事業主労働者の間にいわゆる労働関係雇用関係が存在することを前提とするのでございまするので、雇用関係があります限りはこれの対象になるということになつて参ります。三月十八日に安定局長から府県知事に出しました通牒の第一点はそのことについて定めておりますが、この雇用関係の存否につきまして、或いはまだ不明確・明確性について疑義がある点も多かろうと存じますので、これらのことについては労働基準法関係もございますので、これらの官庁、労働基準監督局関係監督機関、並びに一切のその実態を尊重して決定して参りたいと、かように考えております。これが先ほど浜田課長からお話になりました単独加入の問題に関連する問題でございますが、組合員として漁業協同組合でやられるという場合におきましては、その事実上組合員でありましても、組合とその組合員との間に使用、従属の関係があり、雇用関係の存在が認められるという場合には、これをやはり被保険者として行くということにいたしまして、この方法によりますと、比較的に明確な形で雇用関係が把握できるのじやないかと考えますので、でき得べくんばこの方法によられるのが手続上もよいではないかと考えられるのであります。  それから賃金の点についてでございますが、これは先ほど説明がございましたように、非常に賃金形態歩合給採用等によりまして、複雑なものになつて参ると思います。これは労働基準局でも指導しておりまして、協定という形でやつて行かれれば割合にはつきりした認定がし得ると、こういうことになります。大体失業保険におきましては、失業保険金計算に当りましては、先ほどお話もありましたように、過去一カ年のうちに六カ月以上被保険者でありました場合には、その離職の日から前六カ月間に得たところの賃金総額を一八二で割るということになつて、従いまして、その間に非常に多額の賃金を得た月があるという場合には全部これが入つて参りますので、ほかの場合よりも失業保険の場合は有利になる計算になつて参ります。なお失業保険には税金もかかりませんので、実際の手取りといたしましては六〇%を相当上廻ることになろうかと思います。なおこの任意包括加入方法によります場合には、その適用の年月日は認可があつた日からということになつて参ります。ここに手引〇〇八五二と書いてありますのは、これは認可があつた日は申請があつた日までは遡つてよろしいということでございます。つまりこちらの事務的の手続のために認可の日が事実上遅れたということを転嫁するのは不適当でございますので、申請の日までは遡る。先ほど報告にございましたが、これの遡及適用という点につきましては、現行法の建前といたしまして認可の日前に遡る、少くとも申請の日前に遡るということは、これは現行法上できないので、特に本年度、二十六年度において整理対象となられたかたがたにつきましては、非常にこの点はお気の毒な関係になるわけでございます。これらのかたがたにつきましては、只今お話がございましたけれども、我々のほうといたしましても、極力就職斡旋に先ず第一に努力いたしたい。これは公共職業安定所に申込んで頂きまして、極力就職斡旋に努力いたしますが、いろいろな年齢の関係或いは技能関係、かようなことで非常に就職困難だというようなかたがたにつきましては、現在労働省補助で各地方公共団体でやつておりますところの緊急失業対策法に基く失業対策事業、これにできるだけ吸収して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  以上簡単でございますが、御説明申上げました。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か御質問がありませんか。
  11. 松浦清一

    松浦清一君 大体失業する個人船員保険に入り得る資格、それから手当等の問題については、只今の御説明でわかつたのですが、加入し得る資格の最低の条件としては、過去一年の間に六カ月の被保険者であつたという資格が絶対条件になつている、そういうことですが、二十六年度にすでに整理された者の失業補償についてはどういうことなんでしよう、これは保険とは関係ないかも知れませんが、長官の御意見を伺つておきたいと思うのです。それで私どもが最初法案予備審査の際に御当局の説明を求めた際に、こういう船に乗つている船員家族船員が多いのだから、雇用関係余りない、雇用船員余りないのだ、こういう説明であつたわけです。それに対して、私は当時、推測ではありましたけれども、家族船員の場合も相当数あるであろうが、雇用関係の結ばれておる船員も相当乗船しておるはずである、それに対する補償を一体どうするのだという質問を申上げたわけであります。三億四千万円の二十七年度予算の中には船員に対する失業補償金は入つていない、こういう説明でありましたから、これに対する補償の手だてをしておかないと、いよいよ整理をするというときに船主船員との間に紛争が起る、それを一体どこで解決するかということになると、非常にむずかしいので、折角日本沿岸における漁業資源温存のために過剰しておる小型底曳網漁業整理しようというのだから、できるだけスムースに問題なくやはり整理するということが必要なので、そういう問題が起るということは避けなければならんということを申上げたので、失業保険加入するようにしてくれという意味で最初要請をしたわけではないのであります。併しながら方法としてはやはり失業保険加入せしめるということが一番やり易い方法だから、お選びになつたのだろうと思いますが、若しこのことのために二十六年度分で整理されるものに対する補償がでないということであると、大変困ると思うのですが、その点に対しての御処置をどういうふうになさるお考えでありますか、御説明願いたいと思います。
  12. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今のお尋ねの点ですけれども、労働省のほうからの説明にありましたところの緊急失業対策で以てその救済をしたいということは、これは日雇労務者に準じて、六カ月かかつていなくても救済する方法はあるというふうなことでございまして、そういうふうな措置をとつて頂くことによつて六カ月に満たないそういう人々の救済をやつて行きたい。こういう方法が残されておるわけでございます。それについては労働省のほうの十分なる了解の下にそういう措置で差当り救済して行くほか方法はないかと、こう考えておる次第であります。
  13. 松浦清一

    松浦清一君 それじや簡単に言つて、二十六年度分に整理される者に対しても失業保険加入せしめる便宜措置が講ぜられると、こういうふうになつておるわけですか。
  14. 浜田正

    説明員浜田正君) これは法律に書いてありますように六カ月以上積立がないと法律対象にならんということになつておりますので、これを遡つて行くということが実はできないので、六カ月経たないから対象にならない者につきましては、先ほど百田課長から言われましたように、緊急失業対策法というあの法律就労機会を得させる。こういう形で労働省でも考えておられて、それが大体月に五千円ぐらいの見当にはなりそうだということであります。
  15. 松浦清一

    松浦清一君 それは完全就労はできるのですか。選択じやないのですか。
  16. 百田正弘

    説明員百田正弘君) これは私直接所管ではございませんが、御参考のために申上げたいと思いますが、緊急失業対策法に基く失業対策事業と申しますのは、各府県或いは市町村が事業主体になりまして、政府からの補助を得まして今の緊急失業対策法に基いてやつておるものでございますが、これは本年度におきまして、大体七十六億の予算を計上して現在予算案として提出してございます。これによりまして全国でやつておるわけでございますが、大体全国平均の現在のこれを含めましての日雇労働者稼働日数は二十日ちよつと上廻るというような状況でございます。それでこの失業対策事業にしろ、或いは一般の民間日雇労働事業もございますけれども、それに雇用されました場合には、日雇労働者として日雇失業保険適用も出て参りますので、これは毎日々々が日雇労働者につきましては失業ということになります。その場合には一定待機期間を経た後には日雇失業保険をあぶれた人には適用する、こういうようなことに現在はなつております。
  17. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、実際に職業安定所求職申込をして仕事が確実にあるということは現実に約束されていないわけですね。全国平均に二十日就労しておると、こういうことなんですが、それはやはり都会地の非常に自由労働者が密集しておる所と、それから日雇労務者が殆んどいない所と、そういう所を総合平均すれば二十日になるかも知れませんけれども、大阪だとか東京だとか、兵庫だとか、少くとも六大都市を控えておる府県においてはとても二十日の就労はできないと思うのですが、そういう関係はどういうことになつておりますか。
  18. 百田正弘

    説明員百田正弘君) 全国平均二十日と申しましても、無論地方によりまして多少のあれもございますけれども、大体その全国平均二十日程度に行くように労働省のほうで救済人員の枠を操作いたしております関係上、最近はその程度になつております。特に今お話ございましたが、東京あたりは殆んど完全就労に近いような状態になつております。
  19. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにありませんか。
  20. 松浦清一

    松浦清一君 長官に伺いますけれども、それよりほかに救済方法はありませんか。
  21. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) いろいろと関係省のほうとも打合せをやりましたけれども、差当りの方法はそれしかないわけでございます。
  22. 松浦清一

    松浦清一君 それから先ほど頂いた表に、これは全部でたらめとは言いませんけれども、全部僕は知りませんからわかりませんが、兵庫県にこの間参りまして調べて来たところによりますと、由良の六隻を整理をした。そこで三十人の雇用船員失業者が出ておるということを由良の協同組合長から聞いたのですが、これは一体どういう数字なのですか。
  23. 尾中悟

    説明員(尾中悟君) ちよつとお断り申上げます。今日お配りいたしました資料は、この前二十六年度小型底曳の減船計画のうち十五トン以上のものにつきまして、兵庫県は実は当初一ぱいだけの整理になつておつたわけでございます。その後金額が四百二十七万円ほど余りましたので、その関係をたしか今年の二月でございましたか、この四百二十七万円を十五トン以下であつても、特に高馬力の船舶の整理に充当したわけでございまして、その際兵庫県の由良の六隻が新たに追加されたわけでございます。従いまして、ここに出ております失業見込数の合計五名というのは、当初十五トン船以上だけということでございましたので、その一隻分に相当するものでございまして、今御指摘のございました由良の六隻は整理隻数の中には加つておりますけれども、失業者の見込数の中には入つておらないような関係に相成つておりまして、この点資料が不十分でございましたので、お断り申上げます。そのほか高馬力のものは広島に三隻ございまして、広島についても今の問題はございますので、その点御了承願いたいと思います。ほかの点は、これは各県から正確な資料をとりまして、その上で集計したものでございまして、その点御了承願いたいと思います。
  24. 松浦清一

    松浦清一君 大体私はそんなにあなたがた一生懸命やつておるのに、皮肉を言つたりこき下したりするのは嫌いですけれども、この表に出しておる整理隻数七隻と書いて、失業者一名で、雇用船員が四名で、合計五名なんという数字を出してあるところから見ると、私ども統計全体がどうも信用がおけないことになる。まあ我々は人がいいからいい加減なところは了承して行きますけれども、むずかしい委員会なつたらこんな資料を出したら法律は通りはしませんわ。大体失業する船員が幾らあつて、それを失業保険にすれば政府予算はなんぼかかる、別の手当をやればどのくらい予算をとらなければ手当が出ないというようなことから算定をして来なければ駄目だな。
  25. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) そうすると、尾中課長にお尋ねいたしますが、この数字の誤まりは兵庫県だけですか。
  26. 尾中悟

    説明員(尾中悟君) 広島がございます。広島が三隻追加しております。その二県だけです。
  27. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それじや兵庫県も七隻にしたら失業者はどうなりますか、又広島は六隻になりましたらどうなりますか、この中の内容は……。
  28. 尾中悟

    説明員(尾中悟君) 広島は当初三隻だつたのでございますが、この三隻が追加になりまして、六隻になりましたから、失業者の見込数も若干殖えておるのでございます。
  29. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか。
  30. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると兵庫は何人ですか、実際失業するのは……、わかりませんか、今そこで……。
  31. 尾中悟

    説明員(尾中悟君) 六隻追加しました由良の分でございますが、私今のところこの正確な数字を持つておりません。
  32. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 先ほどちよつと委員長からもお話がありました税の問題ですね、これに課される再評価税の六%というのは、まだ租税特別措置法は改正になつていないのでございましようか。提案されておりますかね。まだきまつておらないですね。
  33. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これは目下大蔵委員会審議中と思います。
  34. 松浦清一

    松浦清一君 失業する船員の一番手つ取り早い救済の仕方としては、失業保険加入せしめるということが誰が考えても適当な措置だと考えるのですが、問題になるのは、二十六年度分としてもうすでに失業をしておるという状態にある人、失業しかかつておる人、保険加入する資格がまだ雇用関係が現在ありましても、過去六カ月継続してという条件がある以上はむずかしい人、そういう人を今言つた緊急失業対策というふうなことでなしに、もう一つ別口でお考えを願うということはできないものですか、長官に伺いたいのですがね。
  35. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは水産庁だけでお答えできない問題ですが、今までの労働省との交渉においてはむずかしいので、結局緊急失業対策法適用によつてつて行こう、こういうことになつたわけですけれども、労働省のほうでなお意見があればお聞き願いたいと思います。
  36. 松浦清一

    松浦清一君 労働省のほうに伺うのですが、緊急失業対策法というのはどういう場合にこれは適用されるのですか。
  37. 百田正弘

    説明員百田正弘君) 失業者に対しまする措置といたしましては、第一は飽くまでも就職の斡旋でございます。従つてその就職の斡旋によりましても就職できないという人たちのために、その失業者の発生状況に応じて失業対策事業を行う、こういうことになつております。一番最後の手段ということになつております。
  38. 松浦清一

    松浦清一君 ちよつと継続してお願いしますが、そうすると政府の方針で船を整理する、或いは特定の産業を縮小する、或いは閉鎖せしめる、こういうようなことが起つて、そうして失業して行つた者だけに適用される法律じやないのですね。
  39. 百田正弘

    説明員百田正弘君) さようでございます。
  40. 松浦清一

    松浦清一君 一般の失業者も同じことですね。
  41. 百田正弘

    説明員百田正弘君) そうでございます。
  42. 松浦清一

    松浦清一君 それでは政府の方針によつて整理の船から失業して行つた者に特別の救済ということは一つもやらない、これが一番初めの当局の説明の中で、減船による補償金の中には失業する船員の手当を含んでいない、こういうことを言明されたから、こういう問題が起つて来るのです。内部的に解決がつかないということになつている。現場では船員のいわゆる失業手当はこの中に入つていないのだと業者は全部考えて、金をもらえば借金の支払とか、転業の資金とかいうものに当て込んでしまつて船員失業保険をするその余裕は計算の中に残されていないわけなんです。どうなさいますか、しようがないじやないかということなんですか。
  43. 青山正一

    青山正一君 それに関連して私からもちよつと……先般公務出張で兵庫県、和歌山県のほうへ参つたのですが、その際に会合の席上において兵庫県の当局者からいろいろ、話を承わつたわけなんですが、兵庫県自体は今度の小型機船底曳の減船整理に関しまして、県自身がいわゆる一割の失業対策費を出すというふうな建前に進んでおられます。大阪も大体その見当で進んでおられるのだろうと思いますが、各府県が共通して、各府県ごとにそういつたものを出して頂ければ結構なんですけれども、恐らく和歌山はそれが不可能に近いし、或いはその他の府県大阪とか、或いは兵庫県並みにこの失業者に対するいろいろな費用というものは恐らく出さないだろうと思うのです。ところが兵庫県或いは大阪におるがため、そういつた減船の対象なつ失業者に対して総額のうちの約一割近いものを各県のほうで責任を以て失業対策費として充当するわけなのですけれども、こういつた行き方が各府県とも共通に行われれば、これは問題はないと思うのです。その点を或いは水産庁のほうで、或いは労働省のほうで、こういうことをお話するのは非常に不可能に近いかも知れませんが、兵庫県なり大阪がそういうふうにしてやつておることを和歌山県なり或いはその他の県がやれないはずはなかろうと思います。これは今年度整理を受ける失業の分に対してそういつた措置を講じておるわけなのです。そういうふうな折衝をする気持はないわけですか。その折衝がはつきりきまれば、松浦さんから先ほど問題にされております失業関係もいくらか是正されるのじやなかろうか、こういうふうに考えておりますが、水産庁にはそのお気持があるかないか、そういう途を講じて行けば、案外その解決の途も早くなるのではないか、こういうふうに考えておりますが、如何でしよう。
  44. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私からお答えいたします。松浦委員がおつしやつたように、当時私はおりませんでしたが、この予算を大蔵省へ要求しますときには、いわゆる以西底曳をやりますときには許可船でありまして、船員補償も御承知のように皆入つておりました。この船をやりますときには、大蔵省の折衝の過程におきましては、勿論こちらは要求はしたのでありますが、無許可船だ、無許可船の整理というようなことで、あれは以西の場合には認められたのでありますが、この場合にはなかなか困難になつた、大体それで結局認められませんで、今御指摘のように、これは去年の金が入つていないということをはつきり言つているわけなのであります。この問題は二十七年度予算にも実は入つていないのでありますが、水産庁として今後とももう少し大蔵省に話してみたい、これで諦らめてしまつて全然その交渉はせんというつもりはございません。将来にも亘るのですから、水産庁としてはもう一回大蔵省に将来の問題は当つてみたいと思つております。それから今青山委員のおつしやいました点は御尤もでありまして、これは水産庁からも、国の予算はこれしか取れなかつたが、残りについて県のほうでも成るべく考えて欲しいというようなことを言つたことはあります。で我々としましても、今御指摘のように出しておる県もあるのだから、ほかの県にも慫慂したらどうかというお話でありますが、これはまだこれからもやつてみようと思います。  それからほかにも何か対策はないかというお話でありますが、我々としましても、多種漁業でもう少し沖合に出て行くような漁業、そういうような希望のものがあれば、そういうものも或る程度考えたい。今まで整理していたものも、こういう整理の結果新らしく沖合に、遠洋とまではなかなかむずかしいのでありますが、沖合へ出て行くのだというような希望がありましたならば、優先的にそういうものは考えてやりたいという気持は持つております。これは現在でもはつきりしております。ただ私はそうすることによつて何人くらい救われるかという見込はついておりません。こういう沖合漁業でも或る程度抑えて来たものを、そうすることによつて転換して行きたいという場合には、優先的にこういう減船整理をした者については考えて行きたいという方針でおります。
  45. 青山正一

    青山正一君 只今伊東部長から今後の問題はこういうことで進んでおるということでありますけれども、失業者を現在どうするか、現在の失業状態をどうするかということを先ほどから松浦委員が非常に心配しておられるわけであつて、この問題が解決されない限りは、今後如何に整理の問題が出ましても、やはり悪弊を残すのではないかと考えております。差当り問題になつておりますのは、兵庫県の由良と、それから和歌山県の箕島、これが中心になつておりまして、由良は大体三十人の失業者、箕島は大体百人というふうに先般の出張の際地元から承わつておるわけなのですが、この由良の三十名と箕島の百名、これをどうすればいいかという問題が一番主要な問題だろうと思うのですが、先ほどからいろいろ承わつておりますと、これは労働省のおかたにお聞きしたいと思いますが、この緊急失業対策法、この法律適用される事業というものは、この当面の問題になつておるところの整理を受ける、例えば由良とか箕島あたりにそういつた国家的な仕事というものはたくさんあるのですか、どうなんですか、この点を承わりたい。
  46. 百田正弘

    説明員百田正弘君) 私直接所管じやないものですから、はつきりお答えはできませんが、大体やつておる事業と申しますものは非常に多種多様に亘つておりますが、一番大きいものは建設関係、土木関係、或いは路面の補修、そういつた関係のやつが多いのでございます。これはその失業者の発生した地域におきまして、そこの地元の公共団体、或いは県、これにおきましてその失業者の発生した範囲に応じた事業を起す。起した場合に国から補助が出る、こういうふうな形になつております。
  47. 青山正一

    青山正一君 長官にお伺いしたいと思いますが、先ほど伊東部長からいろいろお話がありましたが、この由良とか、それから箕島辺り海洋漁業面に進出するような大型の機船に乗つて、例えば相当遠方へ出て出漁するような漁業を営みたい、こういうような建前に由良とか或いは箕島辺り進んで行つた場合におきまして、その漁業に対して許可を与えるお気持がおありでしようかどうでしようか。こういうところは何か転出の途を与えなければならんと思うし、これは傭員にしても然り、或いは船主にしても然りだろうと思うのですが、そんなことをお考えなすつておられますかどうですか、その点について承わりたいと思います。
  48. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 由良や箕島のほうには、そういう遠洋漁業にいきなり出して行くというようなことになりますと、相当危険性を伴う。やはり相当な経験を持つてから遠洋漁業に行つたほうがいい、その中間の沖合で適当なものがあればいいというふうな大体感じは持ちますし、大体水産庁のほうとしましても、この問題を取上げてそういう転換についていろいろ検討いたしましたけれども、成るべく危険性のない形で沖合から遠洋という形のほうが適切だろう、こう考えておりますが、具体的な問題によつてそれらは検討の上で決定しなければなるまいと思います。なお瀬戸内におきましては、戦後約十万くらいの漁民が殖えましたし、日露戦争頃と比べますと、すでに戦前でも倍になつておるというくらいな状態でありまして、資源的には非常に困難な地方でありますので、これは私も前からもその対策については苦慮いたしておるのでございまするが、これはやはり水産庁内部において検討はずつと続けておりまするが、やはり「のり」「かき」「あさり」「はまぐり」の沿岸増殖等で救える部分があれば、そういう点で救つて参るということについて、やはり水産庁としても検討する必要があるだろう、適地はあちらこちらの場所々々によりまするけれども、ある、こう認められます。  それから又あそこの漁村を歩きますと、半農半漁の所も多いわけでありまして、まあ農業のほうの部面を幾らか充実することによつて凌いで行けるという部面もありまするので、その点の検討もいたす必要があるかと、こう考えております。それらの点については官房のほう、農政局のほうとも連絡いたしておりまして、何らかの形で漁村を対象にしまして、漁業も農業も水面も土地も両方を使いながら、何とか生活ができるようにして行くような方途を考えなければなるまいと思つて、私就任後その調査研究のほうの予算は割合に自由な予算が八千万ほど官房のほうへとつてありますので、そのうちに考え、必要があれば或る程度の見通しもつけば府県のほうとも連絡しまして、府県のほうでもそれを実施に移して行くのに必要な経費等を組んでもらつて、それで進めて参るのがいいのじやないか、こう考えておるわけでありまするが、まあ瀬戸内海等の問題におきましては、遠洋漁業にいきなりというよりも、そういうのを具体化して行くほうに極力努力して参るほうがいいのじやないかと大観してみれば考えております。その方向で検討は進めておりまするし、今後もできるだけそれを実現するように持つて行きたい、こう考えております。この地帯が一番むずかしい地帯じやないか、又裏日本のほうにも相当むずかしい地帯が起るんじやないか、こう考えておりまするが、差当りそういうふうな考え方で努力は続けて参りたい、こう思つております。
  49. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 伊東漁政部長にちよつと私からお伺いしますが、この法案並びに予算をとる場合には、前の漁政部長であつたために責任はないと思いますが、あなたの意見をちよつと聞きたいと思います。先に今度の整理対象となる船は許可のない無許可船である。無許可船の船員に対しては大蔵省が承知しなかつたということのお答えですが、成るほど漁船船主は違反者かも知れない、併し船員は雇い人であつて、許可船或いは無許可船の区別なく善意の船員であろうと思う。違反者たる経営者に対しては補償金を与えて、善意の失業者に対しては何らの金を与えないということはちよつと矛盾しておらんかと思うが、漁政部長の御意見は如何ですか。
  50. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私の聞いておるのは、さつきお答えしたように聞いておるのですが、おつしやる通り経営主だけに出して、何も知らんで働いていた者に出さんのはおかしいじやないかとおつしやいますのは私も同意見でございます。今後の問題として私たち大蔵省へ話すときにはもう一回役所もみんな変りましたので、前の船員にも何とか出ないかというようなことで話してみたいと思います。
  51. 千田正

    ○千田正君 今の漁政部長のさつきからのお答えを聞いてみると、この法案があたかも通過したかのごとき感を以て御答弁をなすつておりますが、当委員会ではまだこの法案に対しては採決をしておりません。だからはつきりした対策がない限り我々は承知できないのであつて、その点をしつかり考えてお答え願いたいと思います。
  52. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私の聞き間違いかわかりませんが、この失業問題については曾つて松浦委員から御質問のあつた際に、大体乗組員は自家労働者であつて雇用者が余りないからというお答えがあつたかに私は記憶しておるのです。記憶違いかも知れません。ところが今伺いますというと、予算は出したが大蔵省で通さなかつたというお話でありますが、大体どのくらいのこの失業に対する予算要求をなさつたのであるか、承わりたい。
  53. 尾中悟

    説明員(尾中悟君) 昨年二十六年度の補正予算といたしまして要求いたしました際には、乗組員が離職いたしましてから一カ月分の離職手当と申しますか、これを予算に計上いたしまして大蔵省と折衝いたしたのでありますけれども、結局今部長から発言しましたように、その要求は容れられなかつたという経過になつております。
  54. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その額はどれくらいになつているのですか。なおこの失業に対する人員の調査というものは当時なかつたと私は思う。松浦委員から要求されて大分時間が経つて出て来たのですが、その要求は何によつて幾らのものを要求されたということにどうも多少不審があると私は思う。要求されるについては失業者が何人であるから、一カ月なら一カ月幾ら要るかという数字が出て来なければならん。
  55. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) その資料ありませんか。お答えできませんか。
  56. 尾中悟

    説明員(尾中悟君) 当時大蔵省に要求いたしました際には、大体一隻当りの平均の乗組員が何名ということを算定いたしまして、それに基いて要求したわけでございます。今考えております平均の乗組員数でございますが、この小型底曳には十五トン以上になつているものもございますし、それから小さいのはニトン、三トンというような極く小型のものもあるわけでございます。大体全部平均いたしますと、一隻当り三人程度であろう、ただ二十六年度整理になりますのは十五トン以上の船が殆んど大部分でございますので、一隻当りの乗組員の数も殖えておりますけれども、全部通観いたしますと、大体三人程度であろうというふうに想定しております。そういつた想定に基きまして予算のほうも要求したわけでございます。
  57. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、ここへ今資料が出ておりますところは雇用者の数が一千名となつております。これに多少先ほどからのお話で数字が違うかも知れんというお話でありましたが、違いましてもそう大した違いはないのじやないかと思う。この一千名に対して一カ月分の補償をする、退職、失業手当をやるといたしますと大体どのくらいの額になりますか。
  58. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) お答えいたします。千人と仮定いたしまして、以西の場合や何かは大体平均が八千、失業保険の中へ入つている標準賃金だろうというのが八千円ぐらいと見ております。それより若干下廻るとして、例えば七千円出しますれば八百万ということに相成るからして……。
  59. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 水産庁にお伺いいたしますが、一千万程度の金は何とか方法はつかないのでありましようか。先ほど八千万ほどの調査研究費と申しますか、そういうものもあるというお話があるのだが、その一割ぐらいの程度のものは何とか措置をする途はございませんか。この法案がここでそういう目度がつくまで審議は進まないということになりますと、この法案の実施も間近に控えまして、相当困難をするのじやないかと思いますが、何らかそういう措置が講ぜられるのじやないか、長官のお考えを伺いたい。
  60. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 八千万円というのはこれは農林省全体のそういうふうな意味で必要な調査研究費として、調査研究の補助金としてもらつているわけでありまして、こういう方面へ流用することはできません。ほかの財源のほうは検討して見ないとわかりませんけれども、今のところそういう適当な項目はないと大体考えております。
  61. 松浦清一

    松浦清一君 大体この法律案を作られて、その裏付になる資料の具体的な実際の調査というものは誠に不十分だと私は思うのです。なぜかというと、最初に出されたときに説明を受けたときには一万六千艘を五年間に整理をする、四万八千人の船員失業する、そういう表を一番最初にもらつたのです。その説明を聞いたところが貨物船が多い、こういう説明であつたから、四万八千人の失業船員の中の実際雇用関係を結んでいるというものが明瞭ではなかつた。その際の説明の中に漁船を転用する、多種漁業に転用するということ、築磯にするということ、輸送船、運搬船に使う、そういう方面に転用する考えである、こういう御説明を承わつた。そのとき私が指摘をして、どうせ十五トンやそこらの漁船を転用すると言つたところで、そこらの沿岸廻りの機帆船に使うつもりであろうが、恐らく機帆船は運ぶ荷物がなくなつて来て、繋船々々をやつているというような状況であるから、漁船を転用することはできないだろう、こう私は申上げておいた。そういう漠然たる転用の方法を、できないことを考えている。今伊東部長の御説明の中に遠洋漁船にやはり就職ができるように斡旋をするというお話でありますけれども、日本の遠洋漁船は一体どこですか。南氷洋の鯨捕り、或いは以西底曳、それから「まぐろ」穫りに行くか、今度北洋の「さけ」、「ます」を獲りに行くという以外にはないでしよう。そういうところはみんな乘組員は飽和点に達している、余つてつているのです。そういうところに若干でも期待をして、失業する人たち救済ができるというふうな雑駁な考えであるならば全然だめなんだ。
  62. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) お答えします。私は遠洋ということは一言も言わなかつたのであります。すぐにこういう漁業者が集まつて遠洋に出て行くのは危険なので、遠洋でなくて、まあ沖合程度を考えたらどうか、現実に希望があるのであります。こういう人たちが集まつて沖合に出て行く漁業をやりたいという希望もあります。私はそういう場合に何とか優先的に考えたらどうだろう、まだ私としましては、沖合等におきまして、もう少しやつてもいいのじやないかと思われるような理由もあると思うのでありまして、そういう場合には優先的に何とか考えたいという気持を以て御説明したのでありますが。ただそういう措置によりまして、それじや何人という者が救えるのだということを言われましても、それじやそれを沖合の「かつを」とか何とかに何人というお答えはできかねるのでありますが、先ほど申上げましたように、沖合に出たいというような場合には考えられるものがあれば、優先的にこういう人たちのものは考えない。こういうことを御説明したのであります。
  63. 松浦清一

    松浦清一君 それはわかりました。私の聞き違いです。遠洋漁船船員として斡旋するというふうに聞いておつたのは私の誤まりで、沖合漁業というものに出たいという希望のある者はできるだけそれをやらせるようにする、こういうふうにお答えになつたということばは了解します。そうすると、具体的に言つてどういう漁業が現在の日本の沖合漁業として適当とお考えになるのですか。
  64. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) お答えします。現実に希望が出て来ているのは「かつを」やなんかであります。それも実は百トン以上というような希望が出ているのでありますが、そういうものは無理じやないか。考えられるとすれば、二十トンくらいの船がどうであろうかということを中で今議論しております。まだどの漁業にどうという決定はいたしておりませんが、何か考えられる漁業があれば考えたいというふうなことで、今検討いたしております。
  65. 青山正一

    青山正一君 今伊東部長から沖合、つまり失業者を沖合の転換漁業、そういうふうなものに転用して行く、こういうふうなお話つたのですがね、この問題について今度小型底曳整理対象なつた各県とも県漁連なり県庁なりが、中金なり、或いは日銀あたりにこういうふうに転換させたいというふうなことで、大分運動をなさつておられるらしいのですが、どうも日銀でも中金でも相手にしていないらしいのです。こういう事実であります。例えばそういうものは設備資金なんか自分たちでは考えられないというふうなことで、殆んど相手にしていないらしいのです。そういう点を特に水産庁あたりは十分に御研究願つて、ただこの席上において沖合の転換漁業をやるのだというふうに言つておられましても、各銀行とも各県の申入などを全然相手にしていないというような事実も十分につかんで頂いてやはりやつて頂かなければいかんじやないかと思つておりますが、政府自体中金とか日銀に対してこういつた問題について当つたことがありますでしようか、どうですか。この点について承つておきたいと思います。
  66. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) お答えいたします。具体的な問題として徳島県でありましたか、この転換したものがさばのはね釣でありましたか何かに出たいということで、県当局が中金か何かに話されたことを我々は知つております。それでその場合に県の損失補償等の問題がありまして話が行き悩みになつている事実もあります。我々としましてもできるだけの応援をしたいというふうに考えております。ただ日銀等に水産庁が直接この問題で当つたことはございません。中金や何かには話したことはございます。
  67. 青山正一

    青山正一君 いろいろ問題がありますけれども、この小型機船底網漁業整理特別措置法案、この法律が出ない先に二十六年度においてこういつた事実があるのだ、その事実というのは一千六百人なり或いは一千七百人の失業等となつて現われて来たのだ。だからこの失業者は二十七年度からはいろいろな適用を受ける恩典に浴するのだ。ところが二十六年度は一体どうなるのだ。この問題はやはりはつきり早急に解決しない限りは、この法律も何だか法律の出ない先にこれがこうなつたのだというふうなことになつておるのですからして、どうですか、水産庁のほうで一千六百人の失業者を各県ともよく相談をし合つて十分な措置を講じ万遺憾のないように成し遂げるというふうな一つの確約を得て頂いて、その上でなければこの法律というものはなかなか、恐らくこの席上において討論終結というふうなところまで行くのだろうと思いますが、そういつた問題がはつきり解決しないというと、なかなかここにおられる議員諸公も腑に落ちないというふうな意味合から、この問題は又引延ばすというふうな恰好になろうと思いますが、水産庁長官としてこれどうですか、はつきり確約できますかどうですか。その点を一つ承わりたいと思います。
  68. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 私だけからはちよつと確約はいたしかねます。これは今までの我々の知識からいたしますると、大阪とか或いは誤つているかもわかりませんが兵庫とかその他数府県は財源的に相当余裕のある所がございますけれども、農業であるとか水産業であるとかが中心になつているような県については財政が非常に逼迫しておりまするので、常に官庁間の問題としてそれは閣議にも出ますし、次官会議にも出ますし、又今の地方財政の問題は大きく取上げられておつて、あらゆる機会地方の知事さん連中からは財源の裏打なしにはなかなか府県のほうの義務負担的なものを承認されないという問題が多いわけなので、そういう話を進めることはこれは私のほうで努力することはやれないことはありませんけれども、併しそれも地財委なりその他と十分了解の下にやらないとそう円滑には行くとは思えないわけでございまして、ここではつきりと御返事するのは控えなければならんような状態ではないかと、まあ即座の問題ですから即座の判断でございますけれどもそう考えます。
  69. 松浦清一

    松浦清一君 兵庫県では二十六年度七隻分に対して三百四十万円の国家補償があつて、それに対して県は三十四万円、一割相当額の金を出す、その金はまだ誰にも渡していないわけなんです。結局失業保険に加盟するというようなことになれば保険料にしようか、若し二十六年度の手当が出なければそれに一つ何とかしなければならんかというように、使途について明確になつていないわけです。そういう所があるし、それから和歌山県は一トンについて三千円ずつ県費で補償しているわけです。これもまだ誰にも渡していない、今予算を取ろうとしているわけです。その使途を聞いてみると、例えばこの船は整理される船だと決定をして、政府が取上げをするということは決定をしてからそれを築磯にするまでの船の管理の費用の出所がない。船は政府が取上げてそれを築磯にするといつて押えたところで沈めて行くということはできないから、やはり効果的にそれを築磯にしようとすれば一定の箇所に引つばつて来て沈めなければならん。そういうまでの間船の中に船主の持ち分もあるし、船がとんでもない所に沈んだら困るからその間それを保管して或る一定の場所に持つて来てそれを築磯にする、こういう間の費用というものはどこにも見られていないので、その費用にするためにトン当り三千円予算を取ろうとしている、こういう工合なんです。そういう工合に起つて来た問題については、それが円滑に運用ができるようにやはり各地方の県あたりでは努力しているわけです。ですから水産庁が予算がなかなか取れにくいということは事情はよくわかります。わかりますけれども、二十七年度以後の分に対しては失業保険に加盟する措置を講ずる、二十六年度の分に対しては今のところ金がないからしようがないということは困ると思うのです。だから私はこの問題に関する限りは、やはり二十六年度分に対しては何らかの方法を講ずるということを御確約を願わないことには、この委員会でこの法律を通す場合に、これから先のやつはいいけれども今までは犠牲になりつぱなしだというような不公平な取扱になるということはちよつと承服できないのです、実際問題として。而も船員失業補償の問題については、船員がやかましく言つているということにより、協同組合組合長が全部出揃つて来て品を揃えてそれをやかましく言つているということ。船員も困るであろうけれどもそれを整理する立場に立つ雇い主も非常に困るわけです。
  70. 青山正一

    青山正一君 懇談にして一つ
  71. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私はちよつと懇談会に入る前に第一回の整理、即ち四百五十八隻の十五トン以上の第一回の整理に会う船員に対しては、その後は別にその考えはせんでもいいが、それに対しては私は二億四百万円のうちから或る程度出すのが至当じやないか。これは公平な見地からいつて船主はまあいいが、整理される船員一つももらわないということは根本的に矛盾しているということから、第一回の整理だけは即ち二十六年度に清算しただけは、このうちから何ぼか失業救済資金を出すべきであるということを私は思うのです。ちよつと速記をとめて下さい。    午後三時八分速記中止    —————・—————    午後三時二十五分速記開始
  72. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて下さい。この法案審議は打切りまして明日にいたします。   —————————————
  73. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に昨日の委員会で決定いたしておりました小田原漁港に関する参考人をよんで明日の委員会において審議をするということの承認を得ておりましたが、参考人である鮫島博士が旅行中でありまして明日の審議に間に合いません。これは一応延期することにいたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  75. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは今日幸い塩見長官その他もお見えになつていますから、時間も早いですから何か御質問がありましたらお願いいたします。
  76. 千田正

    ○千田正君 幸い長官以下水産庁の首脳部のかたがたが見えておられますので、特に最近いろいろ問題になつておりますところの北洋の漁業進出に対する問題につきまして、実は私の出身県であるところの岩手県を代表しまして東京の事務所長から参議院の水産委員会に口頭を以て陳情いたしたいとお願いに上つておりまするので、一応陳情をお聞き取りの上、各委員から水産庁長官にいろいろ本件につき御質問を願いたいと思いますが、お諮りを願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  77. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今千田委員から御提案になりました岩手県の東京事務所長を臨時参考人として陳情を聞くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。  それでは陳情を許可いたします。
  79. 千田正

    ○千田正君 只今私からお願いしました岩手県の事務所長から陳情する前に、長官に簡単にお伺いしたい点があります。最近の新聞によつて見ますると、北洋の漁業についての各県割当等に対する問題がすでに解決をしたかのごとくに新聞紙に発表されておりまするが、果してそういう事実になつておるのかどうかという点についてお尋ねいたしたいと思います。
  80. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 新聞のその数字全部を調べたわけではございませんけれども、割当は決定いたしております。
  81. 青山正一

    青山正一君 五社協定の数字というものが私のところに廻つて来たのですがその後、水産庁からはつきりと許可になつたところの独航船が大体内地側が二十五隻、北海道側が二十五隻、こういうふうになつているのですが、内訳について非常に不純なものが出ていると思うのですが、例えば北海道のほうの関係は道連が七隻扱つてあと各区域ごとに一隻ずつ与える。それから函館のほうは四隻与えるというようなふうなことになつておる。又内地側のほうを見ましても初めのお話では青森県は一隻だつた。ところが夏堀さんが委員長であるがためにその功労の意味合いで二隻にした。今度の水産庁の決定によりますと例えば石川県は一隻半のやつを半隻取上げる。又山形県へ一隻半のやつを半隻取上げちやつてこの取上げたものを全部青森県に加算しちやつて青森県は四隻、初めの予定は一隻であつたのが夏堀さんの功労の意味で一隻追加して二隻、そのあとに又半隻ずつ各県に割当られたのを全部取上げちやつて青森県を四隻にする。こういうふうな行き方で決定されているわけであつて、今度の独航船の決定につきましては各県ともいろいろな不満の情もあろうし、それからそういつた情実的な建前が非常に含まれておろうと、私はそういうふうに考えているわけですが、水産庁はいろいろな許可を今後与えるというようなことになつておりますが、青森県の四隻とか或いは例えば北海道の割当の問題についてタッチしておられますかどうですか。その点について一つお聞きしたいと思います。
  82. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 県別割当につきましては関係者間で協議を進めてもらつてそれで納得の行く線でできるだけやりたい。こういう方法をとつてつたのでございまするが、私直接その席上に出られませんでしたけれども、やり方としましては昭和十年から十八年までの出漁実績というものを五〇%取りまして、それから五十トンから七十トンの適格船、適格船と申しますとジーゼル船であつて方向探知機を備えるものということでございますけれども、大体底曳網漁業が一番内地沿岸としては資源的に見ても逼迫しているし、過去における出漁の実績等を見ましても多いものですから、そこへ大体重点をおいて適格船を選んだ。この比率を大体五〇%というふうにとりまして、それで大体府県別に割当てて行つた。こういう形になつておりまして、なお北海道につきましては、東北の方面からの底曳の入会がある、今後ともそういう点で北海道のほうの協力を得なければならんという関係からして、北海道のほうに二十三となりましたところを二隻だけ内地のほうから譲つて頂いた、こういうふうな形でまとまつて来ておつたわけです。それから内地の関係府県のほうは最初の出漁でありまするし、各府県とも計算をしますると一隻に満たない、勿論零点何隻というような所もありまするし、それから相当な隻数が割当られる所もあるというふうな関係で〇・五隻以下になるような府県も相当にございまして、その関係からして、そういう府県に一隻も割当てられないというふうなことでは余りに気の毒である。県としても北洋出漁労務者を相当持つておつたり、或いは県として先々の問題もございますので、できるだけ挙県一致でそれで北洋のほうのとにかく「さけ」を見させたい、又そういうふうな経験を漁業者に十年後の今日でございますけれども持たせたいという希望が非常に強いものでございまするから、相当隻数の多くなつている宮城であるとか、或いは福島或いは新潟であるとかいう所が何隻かずつ先ほど計算方法によつて出て来たものよりも控え目に隻数を供出しまして、それでそれを東北北陸の各府県のほうに一隻ずつ割当てて行つた、こういうふうな形になつております。それで大体山形につきまして考えると〇・二隻ぐらいになりますか、それから石川につきましては〇・三五ぐらいになりますか〇・五に満たない。富山その他も似たような所でございますけれどもそれでまあとにかく数の多い県から少し出してもらつてそれで一隻ずつ割当てられるようにしたい。こういうふうな形になつておるわけでありまして、この点については内地における隻数が割合余計割当てられ得ることになつ府県の協力によつて、これは是非ほかの府県のほうにも均霑させたい、こういう希望もありましたので、そういうふうになつた次第であります。  それから北海道庁においての内部の割当の問題でございまするが、これは次長から、その割当の方法としましては空権になつてはならんというふうなことと、飽くまで過去における経験というふうなものを尊重し適格船というものを具体的に押えてそれで船名をきめるようにという通牒は、たびたび話してあるというふうな話でございまするが、先ほどお尋ねにありましたような風評も私耳にいたしましたので、これは私から知事宛にも厳重にそういう方針でやつてもらうようにというふうなことを念を押しました。即日に電報を打つております。それが空権になつて最初の北洋出漁に汚点を残すようなことがないように、北海道庁に強く希望はしておるわけでございます。青森県については四隻ということになつております。これは一隻割当てられた県としましては一番多い県が大体岩手県になつております。岩手県も数字から見ますると一隻には計算上は満たないわけでございますけれども、宮城福島、新潟というふうなところの諸県からの協力によつて一隻で以て来ておるわけです。その最高の岩手に比べまして青森は丁度四倍に当つておるというふうな関係で、当初三隻になつておりまして二隻だけが残つたわけでございますけれども、その割当をどうするかというふうな点についていろいろ問題がございましたが、これは青森県において特に底曳網の隻数も多いというふうな点、その他北洋漁業との関連が比較的濃いというふうないろいろな諸点を考えまして、青森とそれから秋田という所に一隻ずつ割当てることにしましてそれで五十隻全体の割当を了しました、こういうふうな形になつております。
  83. 青山正一

    青山正一君 この長官の御説明は非常に尤もらしい説明なのですが、これは又或る点は非常に肯けられますけれども、とにかく今日との北洋の問題につきましては、結局は斡旋者がものを言うことになりはせんかというふうな事実がはつきり現われたということだけ私はここで再確認して申上げても結構だろうと思います。例えば青森県の四隻、新潟県と青森県との割合はどうだつたかということもよく御研究願えれば僕はわかろうと思いますし、それから又岩手が一隻でこれが多かつたと、こういうふうに言いますけれども、そうなれば岩手の一隻と青森の四隻というようなことになるとすれば又これは相当問題がありますし、例えば新潟と青森とのいろいろな差の点、いろいろな実績の点、先ほどから実績は五〇%みた、それから五十トンから七十トンのいわゆる適格船でジーゼルとかを備えたものを五〇%みた、こういうふうにおつしやつておりますが、どうしても肯けないのは青森の四隻であつて、而も私はたびたび参議院のこの委員会の席上におきまして一体斡旋者はどうなるかというふうなことまで、飽くまで斡旋者というような建前でおつしやつてつたのですが、結局その斡旋者である衆議院の水産委員長の川村氏、それから大蔵委員長であり水産委員をやつておりました夏堀氏が一方は北海道のほうにおいて一つ組合を、これは廣川さんのお声がかりかどうか知りませんが、そういうものをちやんとつけてやるとか、或いは夏堀氏が内地のものはそれを結局斡旋者の建前で、こういうような建前のままですつかりでき上つた。そして而もその利益は非常に受けておる、こういうふうな問題については僕は非常に初めから終りまで暗いと思う。而もそういうふうな大事なときに長官は決して長官の名前を使わずに、次長名とかいう名前で私は会議に入らなかつたとか、こうやつたとかおつしやつておりますけれども、これは僕は非常に不可解だと思うのです。だからこの点もやはり長官自体として相当責任を持つて頂かんことにはたとえその次長の名前でそういうことをやつても数字的に或いは実績とか或いはいろいろな建前から考えてこれはこうなるんだ、ああなるんだというふうにおつしやつておりまして、それをちやんと表にして現わした場合において非常な不可解なものができると思う。僕はそう思います。千田さん今後どういうふうにおつしやるかわかりませんが私はそういうふうにこの問題について考えております。今年度はただ試験だというような建前で進んで、そういうものは実績になつて今後は現われないのだとおつしやつております。併し結局今年出ますとそれが来年、再来年の実績になつて行こうと思うんです。恐らくこの斡旋者がそういう漁夫の利を占めてるということは、これは衆議院の水産委員会においても、恐らく参議院の水産委員会においても皆そういうふうな気持でおられるだろうと、私はそういうように考えます。
  84. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私は最近岩手県の人から陳情を受けましたが、この表によりますと、この百分比は出漁実績数とそれから隻数と、それから今度の配分数は百分比にして計算してありますが、北海道が四五・三、内地五四・七、にもかかわらず内地、北海道と同じ二十五隻になつている、どこに算定の基準があるか非常に不可解であります。それを一つお尋ねしたい。  それから只今青山君の御意見もありましたが、新潟は出漁実績は百五十七隻である、青森は二十五隻で百分比にしますと新潟は六・〇、青森は六・七、少し青森が多い。然るに新潟は二隻であり青森は四隻である。それが秋田は実績もない、適格船もない、百分比はゼロである、それが一緒に割当ててある。岩手が只今一隻もないといいましたが百分比は一・八になつている、約二隻の一・八になつている。これは半分になるかも知れませんが、百分率にすると一・八になつている。然るに秋田はゼロであり富山は〇・三である。こういう場合において同じ一隻をやつてあるということに非常に不可解な点がありますが、こういう点についてその席におられた生産部長は来ておらん。水産庁長官はいなかつたとおつしやいますので、これは立会つて算定した部長にその辺のお答えを願いたいと私は思つている。
  85. 千田正

    ○千田正君 当時参加して実際この取りきめに重要な役割を演じられた生産部長ですか、出席を求めます。
  86. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 青山さんから私が責任を回避しているかのごとき御発言がありましたけれども、そういう意味で言つたんではございません。私は、これはかなり時間がかかりました会議でございますけれども、外の用務、或いは議会の出席とそういうふうな関係がありまして、この割当には加われなかつたの関係者間の交渉の詳細は直接聞いておらないので間接に聞いておるというふうなことでございまして、その間通牒も出されたこともありますかもわかりませんけれども、席上のあの話合で或いは道府県を呼び集めてこの割当の会議をやりました席上で、次長から話した趣旨はこうだと、北海道についてはその通りに行つていないような風評も聞きましたので、次長からの話だけではこちらの方針が確保されにくいという危険も感ぜられたので、私から知事宛になお確かめる意味で出したということを申上げたわけで、これは勿論部下のしたことは私としてはそれを確認してそれで大臣にも説明をして決定をしているわけですから、私が知らんわけでもないし私の責任でありますけれども、まあ関係者間とその斡旋者がどういうふうに活動したか等につきましての、そういう点については私は直接触れておりませんしいたしますので、そういう点について直接出ておらなかつたからこういうことを申上げたわけであつて、決して責任をそれによつて回避するという意味ではないのでございます。
  87. 青山正一

    青山正一君 私もこの長官に申上げたことは決してそういうふうな意味合で申上げたのじやないし、少くともこういつた問題に次長自身が今いろいろ、タッチしておられますけれども。非常な問題が不純なことになりはしないか、だからあなたに直接タッチして頂きたいということを言外の意味としてこの前から盛んにそれを申上げておつたわけなんですから、その点十分に御留意を願つて欲しかつた。こういうわけなんです。
  88. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) よくわかりました。
  89. 千田正

    ○千田正君 只今先ほどお願いいたしました岩手県の東京事務所長の穗積君が参つておりまして、先ほどお願い申しました通り口頭で陳情さして頂きたいと思います。お願いいたします。
  90. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 穗積君に陳情をお聞きいたします。
  91. 穗積軍一

    参考人穗積軍一君) 先ず第一に水産庁がおきめになりましたところの割当の基準でございますが、これは昭和十年から十八年までの北洋における実績ということになつておりまするが、尚当時の状況を見ますると船の形は二十五トンから三十五トンのものが多いのであります。今回のは五十トン乃至七十トンでありますから、この点は実績ということを重く見ますると必ずしもウエイトを多くとるということは工合が悪いではないか、こういう考え方をもつておるのであります。  そから母船式の形でありますから、そういう船の丈夫な而もそれぞれ装備のした船でなければ適格船とは言えない。こういうふうに私どもは考えておるのであります。ところでこの適格船の問題でありますが、これは水産庁におかれましては以東底曳網の船を適格船と見ておられるのでありまして、これは極めて妥当なる見方であると思われるのであります。然るに今回の割当を見ますると、例えば青森のごとき十六隻の適格船がありましたものに対しまして四隻、それから新潟の適格船二隻に対して二隻、その他岩手県は四隻の適格船に対して一隻、全然実績のない秋田その他のところもやはり割当になつておるのでありまして、この点は機船底曳網の船の救済という事実上の結果にはなつていないと考えるのであります。  それからもう一つの点は表の中に見ますると、北海道二十五隻、内地側が二十五隻、こういう割合になつておりますが、内地側のほうのパーセンテージをとつ内容の中に百分比が書いてある。こううい点は北海道に二十五隻割当てて、そうして内地側に二十五隻割当てたような感じを受けるのでありますが、これは水産庁長官が衆議院においてお話になられたところのその方針と本当に違わないのかどうか、こういう点が考えられるわけでございます。  そこで私どもは第一に先ず今回のお試みは極めて大切であるから、立派な船を而も適格船を以て北洋に進出することがいいわけでありますので、船のその選定の仕方及び乗組員の選定の仕方等につきましては、極めて実績のある、而もそういう経験のある、先ず実際にどういう船が適格であるかということを御調査になつて、そういう形においてそれぞれお選びになり、又以東底曳網の船を御救済なさるということであれば、そういう形のやはり行きかたをいたして行くのが少くとも理論上は至当なることではないかというふうに考えているのであります。それから県のそれぞれの事情によりますと、この北洋漁業に対する希望というものは極めて熾烈なものがあるのでありまして、殊に乗組員のたくさん出ているようなそういう地方においては一つの大きな動きとなつているのでありますので、そういう点、つまり県のいろいろな特殊事情というものもやはりお考え頂いて、極めて公平なる船の割当を頂くということが必要ではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。  以上簡単でございますが申上げた次第でございます。
  92. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 千田委員に申上げます。生産部長は外務省に行つて五時過ぎでなければ出席がないということであります。如何いたしましよう、明日に一応しますか。
  93. 千田正

    ○千田正君 水産庁長官がおられますから長官に一応お伺いしまして又納得が行かなかつたら改めて要望します。  只今岩手県の東京事務所長の穗積君から縷々遺憾の事情を申上げて要請されたと思いますが さつき青山委員のおつしやる通り、どうも割当が腕に落ちないということは、北海道が五十隻のうち半分、内地が半分というような割当そのものの一体基礎算出がどこにあるか、先ほど言うところの曾ての北洋に出漁をした当時の実績を標準にしたと言いましたけれども、御承知の通り当時はカムチャツカ方面であつて、今の今度行こうとするアリューシャン群島とはおのおのその方面が違つている。当時に行つた数が必ずしもこれから行こうとするところのスタートに対する実績の過半を占めるということは我々はどうかと考えるのであります。  もう一つは曾ては実績があつたが適格船のないところにもまあ今度は割当が来る、秋田県のようなところは曾て出漁をしない、今度も適格船はないというところにもなお一隻の割当をやらなくなちやらないという理由はちつとも私はないと思います。先般も長官に我我がこの問題に対して質問をしたときは、飽くまでも今度の場合は試験的であつて、そうしてできるだけ優秀な船を揃えて相手国に刺激を与えないような方式を以て行きたい、こういう水産庁の要望はまあ結構なことであります。ややともすれば今までの問題があつたのは、過去の出漁船はとかく侵略的な行為が多かつたというので、非常に問題になつたのでありまして、これからスタートする場合においては、やはり船員もそれから船も十分に吟味して、相当の今後の効果を上げさせるような方向に行くとするならば、やはり各県の実績実態に当つてみて、そのうちから特に優秀なものを選んでやるというような方式でなかつたならば、我々が曾ての日米加漁業条約の蔭に働いた我々の功も空しくなるのでりまして、この点はたびたび我々が長官要望しておるのであります。でありまするから私からお願いする点は、縷々先ほどからこの数字の点においては事務的な辻棲の合うような御答弁を頂きましたけれども、実際出漁の可能な点と本当に熱意の燃えているところを重点的に考えてやつて頂きたい。手取り早く言えば、岩手県一隻というようなことは、我々は常識から考えても三陸の沿岸中心地の岩手県が一隻なんということはどうかと思つておる、ここを更に勘案して一隻なりニ隻なり殖やすという意向を持たないか。それくらいの手腕を長官が持つてもよろしいと思うのでありますが、この点について考慮する余地がないかという点について長官にお尋ねしたいと思います。
  94. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 最後の点についてだけでよろしいですか。
  95. 千田正

    ○千田正君 結構です。
  96. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 隻数全体五十隻というふうなことにつきましては、これは変更の余地は現在のところ持つておらないのでございまして、大体関係者間でも五十隻というふうなことを了承して、それでその隻数割当に関係者間で協議をしてもらい、それを参考にして各府県のほうに農林大臣から示す、こういうふうな形をとつたわけでございますので、その過程において現在なお占領下にあるし、日米加条約の調印というふうな点についても急いでもらう必要があるというふうな関係からして、司令部関係のほうにも五十隻以内とするという方針をはつきりと私のほうとしまして文書で出しております。というふうな関係もありますので、今のところ殖やすという考え方はとつておりません。
  97. 千田正

    ○千田正君 五十隻ということは前から長官が発表しておられますからその点のことは私はそれ以上殖やせということは今要求しておるのじやありません。例えばこの中にあるところの秋田県のような曾つての実績もなければ適格船もないところに一隻を割当てている。出漁するときはどこからか船を借りて秋田県の名目でやるというような、そういういわゆる火事場どろぼう式のことをやらずにやれるというところに、そういう場合はこの際試験的に行くのだから熱意のあるところに一隻を譲つて、そうしてスタートをよくして、来年更にその成績如何によつては組替えをして行くというような方針をとられたらどうか。いわゆる五十隻の中でそこを譲り合い、或いはやれるような方法とつたらどうか。その点の行政的手腕をあなたにお願いしたいという点でありまして、五十隻以上ということは望み得ないとするならば、この割当の中においてそういうやりくりができないかということを重ねてお尋ねする次第であります。
  98. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 秋田のを削つてというふうなお話でございますが、その点について一隻当つた県としましては、岩手は一番比率が高いわけなので、その点も随分と検討をいたしたわけなのでございますが、又秋田県の説明もそれから過去の資料等におきましてもかなりな漁業者が北洋のさけ、ますにも参つておりまして、それで或る場合にはこの実績というふうな中に、北海道乃至はほかの県の中に隠れておる、或いは共同でやつておるというふうな関係もありまして、そこで実績が零にはなつておりまするが、実態の関係は相当数が北洋に出漁しておつたのがあります。これは直接母船式漁業じやありませんが、鮭鱒漁業従業者数を過去における数字で調べますると約二〇%というふうな数字が秋田の中から出ておるというふうな関係もありまして、県としては非常に熱意を持つておりましたのと、それから私が聞いておりますのでは、関係者間の会合の際にほかのほうの道府県から、特に日本海の同じような状態にある県からかなり強く秋田も一ぱいくらいは配当をして、それで今後北洋が大きく開かれた場合にやはり各府県とも相当これによつて底曳網漁業にもいい影響を与えるような形をとり得るわけなんで、その意味では秋田に同情をして一ぱいくらいやつてくれというのが、ほかの府県からの関係者の場合も又府県の担当官を呼びましたときにも主張がなされたというふうな関係で秋田に割当てたわけでございまして今のところちよつとこれを変更して岩手のほうにというふうなことは困難と思います。
  99. 千田正

    ○千田正君 大変どうも長官お話は矛盾があるようでありまして、出漁実績数とそれから適格船を標準にきめたとおつしやられる。更に秋田のような場合は同情によつて船をやるということになると、どこに一体根抵があるかということを我々はいささか惑うのであります。そういうことになりますと北海道の割当にしろ、青森の割当にしろ宮城の割当にしろ、これはもうお互いの納得で話合できめたのだ、この隻数なんというものは一つの方便に過ぎないということにしかならないのでありまして、こういう点から言いますと私は今度の割当に対しては甚だ明瞭じやない、こう言わざるを得ないのであります。ほかの同僚諸君の御意見も伺つてこの点は水産庁のかたがたにもう少し考えて頂きたい、かように思いますので、ほかの委員かたがたからの御意見も伺いたいと思います。
  100. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これはちよつと先に申上げましたが、北海道が百分率にすると四五・三、内地五四・七、これは五十分率にすると二二・六五、片一方は二七・三五、非常に比率が高い。それを同じく二十五隻ずつにした根拠はお聞きになつておりますか。
  101. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 初めちよつと申上げましたように北海道は四五・三で四捨五入すると二三になつたわけですけれども、二はいはこれは東北の各県のほうから北海道への底曳の入漁の問題がありまして、そういう点でできるだけ北海道の協力も得たい、北海道のほうもそういうふうな意味でまあとにかく幾らか自分らのほうは近いのだから殖やしてほしいというような希望があつてそれで関係者の間で話合つたときに大体そこに妥結したいというふうなことに聞いております。計算の基準としましては出漁実績とそれから適格船というふうなものを五〇%ずつとつてつておるわけでございますけれども、その点についてまあ中ではそういうふうなやりくりは先ほど申上げましたように、宮城とか福島、新潟等は遠慮してもらつておるというふうな点とも関連いたしまして、幾らか内部できちつと計算通りには行かないし、いろいろ県々の沿岸漁業と或いは相互の関係というふうな点もありまするので、どうしてもこういうふうな割当についてはきちつとどこにも満足が行くという形にはなかなか持つて行きにくかつたわけで、こういうふうになつたとこう聞いておりまするが、その点について、なおやり方等については先刻来御注意がありましたけれども、もつと文句の少いやり方というふうなもののやり方ではあつたかとも存じまするが、初めての場合でもあるしそれから隻数は非常に少くて出漁の希望が非常に多い。それから時間的な関係において一方早く具体的に船をきめ、又できるだけ早くその母船と独航船の話合のほうも付けないと、出漁に非常に支障があるといふうな点でせかれたためにそういうふうな点で粗漏もあつた点はあつたと存じまするが、現在のところとしてはいろいろな点を考慮して本年度としてはまあこういうふうな形にきめたということでございますので、来年度においてどうするかというふうな点についてはこれは勿論そういう経過できめておりまするから、十分練つた上で来年度はきめるべきだとは存じまするが、本年度は非常にその日も迫つておりまするし、まあ先ほどから申上げたとうな事情で関係者のほうの意見を聞いた上できめて行つた。そこにはいろいろと話合い上二はい出たり一ぱい入つたりというふうな話合はいろいろあると思いますが、私の聞いておる部分もありまするが、それらの経緯については私から御説明はしにくいわけで、直接出ていない関係から必ずしもよくわかつていないという状態にありますが、そういうふうな各般の関係を考えてきめられたのでございます。
  102. 青山正一

    青山正一君 私どもが一番不満とするところはこれはもう前々からこの委員会において御忠告申上げておつたわけなんですが、長官がごの独航船の割当とか、そういつた問題についてはつきりタツチしていなかつたということが私どもは非常に不満なわけなんです。あなた自身がこうしてタツチして行けばこういつた問題は起らなかつただろうと思います。再三再四に亘つていろいろな言外の意味合いのことをあなたに盛んに申上げたわけなんです。その点が私どもが非常に不満なわけなんです。恐らく来年もこういつたことになつて来ますれば相当問題があろうと思うのですが、それで長官にその二つの点について一つお伺いしたいと思いますが、独航船の割当の最終的決定は、つまり各県の割当については水産庁長官がしたわけかどうか、それともこの業者間の取きめをそのまま認めたものかどうか。例で以て申上げますれば業者間の取りきめは青森県は大体二隻であつた。ところが今度の最終的決定は四隻になつている。これらはあとに業者間で又練り直し合つて青森県の二隻を四隻にしたのかどうか。その点と、それから例えば只今こういつた岩手県のような非常な不満な県もあるわけなんですが、まあこの母船には調査船というものが十二隻ですか何隻ですか知りませんが、まあ三隻の母船に連れ立つて来るわけなんですが、そういつた調査船のほうへ長官のいわゆる政治的な考え方から例えば大洋とか或いは日水、日魯あたりに渡り合いを付けて、その調査船を岩手県のほうへ一隻何とかして使わしてやるとかいうふうな便法を講じられないかどうか。その点と、それから先ほど木下委員長からいろいろ北海道の割当とか或いは内地の割当について表を以てお示し願つたわけなんですが、私の聞く範囲内、或いはいろいろ調査した範囲内におきましては北海道が四十五で内地が五十五ということは恐らくなかつただろうと思います。その数字も僕は恐らくでたらめじやないかと思うのです。例えばずつと前の委員会におきまして木下委員長があの例の流し網の問題をお聞きなすつたそういつたものが、或いは以東底曳網の関係のものが恐らくその統計の中に入つてその上で計算して四五%と、内地側が五五%とこういうふうになつておろうと思います。本当の意味合の建前から言えば、その実績船の建前から言えば北海道は三〇%で内地側は七〇%だと、私はそういうふうに聞いておりますのですが、その点はどうもその表についても私はつきりこれはどういうふうにしてこじつけて書かれてもそういうふうないわゆる底曳の関係、或いは流し網の関係を含めての計算じやないかと私はそういうふうに考えておりますが、その点についてこの三点ですね。母船の調査船をそういうふうに利用できないかどうか。それから各県の割当を長官自身がやつたか、或いは最終的に業者自身が取りきめたものかどうか。それからこの統計の表はどういうことを基本にして出したものか。その三点について一つお聞きしたいと思います。
  103. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この隻数の割当は計算のあらましの基準というふうなもを関係者が寄つて相談して納得の行くようにきめてもらつたわけでありまして出漁実績数と適格船というものを五十、五十にとるというふうな点、それから適格船についての条件等はそこできめてもらつたわけです。これにはその政府意見も或る程度は加わつておつたとは思います。それでもつて割当てましたものを大体先ほど申しましたような意味で、まあいろいろな調整を関係者間でやりまして、それを原案といたしまして各関係県を呼び集めまして、それで話合いをやつたわけです。大体のところ留保等も今持つて来ておりませんがあつたようでございまするけれども、岩手県の保留を三隻ほど残しまして四十七隻だけが大体割当られることを大半の県は了承しておる。その三隻を、保留をしておりました岩手と、それと同じような比率で見ると青森に一隻と、それから先ほど申上げましたような理由で秋田に一隻とこれを割当てましたわけで、その決定につきましては事情を説明をいたしまして大臣の決裁を経て決定をいたしたわけでございます。
  104. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 岩手県には行つておりませんよ、これは青森に二隻ですよ。秋田、岩手と青森と言われましたが岩手には初めの一隻しか行つておりません。
  105. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それを保留されていたわけです。府県の折衝では。ですから岩手のほうに一隻を当てるとすれば割当未済はニ隻だつたのであります。府県のほうとの話合いのときには青森は三隻に大体なつておつたように聞いております。
  106. 青山正一

    青山正一君 二隻です。それはお調べ願えばわかります。二隻です。
  107. 穗積軍一

    参考人穗積軍一君) 当初の割当は青森は三隻、それから岩手県は二回会議いたしましたが、割当が保留されておりまして数字も内容が明示されませんわけでございます。
  108. 青山正一

    青山正一君 それならばわかりました。
  109. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 調査船のほうはそういう関係で、その真に調査指導に必要な船に限りませんと、それを利用していろいろと問題が起つても困りまするし、折角関係者府県もかなりの期間苦労してその数字を審議してもらつて、最後には農林省で決定したわけでございまするけれども、それを乱すようなことがあつても困りますので、これにつきましては母船を出します三社に厳重にそういうことのないようにこちらのほうからは申しておりますので、今のところそういうふうな便法を特に一、二の県についてとるというふうなことは考えておらない状態でございまして、現在のところは、第三天洋丸、これは三千七百トンぐらいのものでございますけれども調査船三隻と、それから第一振興丸及び天龍丸はおのおの二隻ずつ、こういうふうなことで、当初希望としては調査船の隻数は相当多くのものを希望しておつたわけですけれども、純粋の調査目的で調査指導というふうな目的でしぼりまして、現在のところはそういう隻数で関係者のほうでは考えておるようでございます。
  110. 青山正一

    青山正一君 その調査船は本当の調査船に私はならんと思うのです。例えば大洋の場合は三隻と或いは日魯、日水の場合は何隻ずつか割当を受けるわけなんだが、母船直属というふうな恰好であろうと思う。恐らくこの調査船というのはそうだろうと思うのですが、恐らく漁場へ行くまでの間に「めぬけ」の漁とか或いはいろいろ何と申しますか、「たら」の漁とかいうふうなことで進んで行くのだろうと思う。恐らく各会社ともこの調査船は調査として行くよりも、各母船のいわゆる形体を立ててそういつた仕事をやつて行くだろうと、私はそういうふうに考えております。それならば調査船も独航船も殆んど変りはないじやないか、こういうふうに私どもは考えております。その点について一つお聞きしたいということと、それから先ほどの北海道の四五%と五五%の表ですね、私の考え方は三〇%から七〇%というようなふうに考えておるわけですが、これは今長官にお聞きしても長官ではおわかりにくいだろうと思いますが、又どういう根拠でこの四五%、五五%になつたか、その点を後ほどで結構ですが、委員長にもお願いしておくわけなんですが、各県の割当と、それから割当が、先ほど〇・八%とか或いは富山の場合は、三%とかいろいろ申されましたのですが、あの表と、これを一つ……やつぱり問題はもう済んだあとかも知れませんが、今後に相当これは問題が残されておりますから、一つ水産庁のほうでは各委員に配付願うように委員長から一つ申入れて頂きたいと思います。
  111. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 調査船につきましては、なお十分どういう仕事をやるかというふうな点について母船側と独航側とおのおのの希望も出して、十分検討してもらうことにしてはおりまするが、これはやはり或る程度探鯨船式な、ここに網を流せばかかりがいいとが悪いとか、やはりあれだけの広い海面でございますので、そういう意味での調査をやり、それを指導してやつて行くというふうな関係で、恐らく漁獲高も半分ぐらいになるのじやないかというふうに、先般母船側と独航船側の話合いに私立ち会いましたが、そういうふうな考え方をしておるわけでございまして、独航船と同じようにこれはできるだけ機動的に動かすというふうなことは考えておらないようですし、独航船側もそういうふうな考えで、その経費というのは、それは自分側のほうで半分は持つてもいい、こういうふうなことで話合いをやつておるというような状態でございまするから、独航船とは同じような形で運航するということにはならないと、こう考えております。  それからこの表の点につきましては、これは当初恐らく必要実績のほうの比率だけで見ますると、北海道は三〇で大体内地が七〇になります。それから適格船で見ますと、北海道は六〇余で内地は四〇ということになるので、恐らく三〇という言葉はこれを五〇%ずつにとつたときの数字じやなくて、恐らく実績だけをとつて内地側がそれを主張をされていた時期の数字じやないかと、こう存じまするけれども、その点についての数字の間違いは恐らくないだろうと私は想像いたしております。
  112. 千田正

    ○千田正君 もう一点質問して私は又更にお願いしますが、北洋進出の資材の点につきましては、水産庁の恐らく用意はしておつただろうけれども手落だろうと思うのですが、十分に手配ができないうちにもうすでにこういうことが発表されたものだから、資材が非常に値上りしておる、非常な値上りであります。ブローカーも暗躍するしいろいろな問題で値上りしておりますがこの値上りした分は一体誰が責任を負うかということになるんですが、これはどういうふうに解決するつもりでありますか。その点を聞いておきたいと思います。
  113. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この割当が遅れましたり又母船と独航船の関係で資材等の手当も手遅れになつて、切迫したために値上りしたんだと思いますが、まあこれはそういう点でできるだけそういうふうなことのないように、円滑に而も迅速にやるというふうなことがまあ望ましいわけでありまして、そういうふうにならなかつたことは遺憾ではございまするが、それはどういうふうな責任になるかということを質問されましたが、よく考えてみてお答えすべきじやないかと存じますので、その点については実情等も早速調べた上で御返事いたしたいと思います。
  114. 千田正

    ○千田正君 恐らく資材の点はすでに倍以上の値上りがしておるだろうし、この値上つた分については、この北洋の進出するところの組合が負担するのか或いは船主が負担するのかどうか知らんが、結論において赤字というものが出て来た場合において、その赤字の面に加算されて出て来るものだろうと思います。併し根本に遡れば水産庁のほうにおいて十分な手配ができなかつた、初めから五十隻で行くという予定を立てておるならば、それだけの手配をすべきじやなかつたろうかということについて私は質問しておるのであります。十分御研究の上お答えを願いたいと思います。  更に本日我々がこの問題についていろいろ長官からお伺いしましたが、なかなかすでに決定したものをどうにもできないというような御答弁でありまするけれども、この立案の過程において我々がもつと明瞭にすべきであるということを再三繰返してお願いしておつたにもかかわらず、そこにややいろいろな問題が入つておるようであります。そこで私がお願いしたいのは、参議院の委員長から皆さんが御納得が行くならば、この割当の範囲の中においてなお且つ再考して十分に善処するようなことを考えるように、委員長から申入れを願いたいということを、私は委員会に提案をいたします。
  115. 青山正一

    青山正一君 只今の千田委員の御意見御尤もであります。私としてもその問題ばかりじやなしに、少くとも来年度あたりに又こういつた問題を繰返えされるわけですからして、一つ……。千田さんの意見のほかに一つ申入れて頂きたいことがあるわけなんです。  それは第一点は、今後は長官自身が本当に責任をもつてこういつた問題に当つて頂きたいということ、勿論、今までは次長に任せたのだけれども、次長の責任はおれがとるのだというふうな単純な問題ではなかろうと思うのです。今後は長官自身が十分責任をもつてその問題に立ち会つて頂きたいということと、それから今後は少くとも代議士とか、つまり衆議院とか、或いは参議院議員にはそういう者は一人もおりませんが、そういつた斡旋者を絶対に入れないということ、これが第二の問題です。  第三の問題は、本年度の実績を以て来年度の割当にしないということ、こういう問題。  それからこの問題に関する限り水産庁は余り金融の途を講じていないらしいのですが、こういつた国家的な問題につきましては、十分に一つ水産庁自身としていろいろな方面に一つ金融の途を講じて頂きたい。  こういう四点を一つ委員長から文書なり、口頭で以て、水産庁へ千田さんの意見を主体として、そのほかにこういつた問題を一つ申入れて頂きたい、こういうふうに考えております。以上。
  116. 千田正

    ○千田正君 それは農林大臣及び長官にお願いしたいと思います。
  117. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今千田君の御発言に対して青山君が更に附言されましたが、ほかの委員の御意見は如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではこの問題に対する慎重な態度をとつてもらいたいという意味において、御両君の御発言を水産庁長官及び農林大臣に私から直接会つて申上げます。又文句その他は委員長に御一任願えましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではさよういたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会