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1952-03-10 第13回国会 参議院 水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十日(月曜日)    午後二時六分開会   —————————————   委員の異動 三月五日委員小笠原二三男辞任につ き、その補欠として和田博雄君を議長 において指名した。 三月六日委員和田博雄辞任につき、 その補欠として門田定藏君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            松浦 清一君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            藤野 繁雄君   衆議院議員            川村善八郎君   政府委員    水産庁長官   塩見友之助君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部協    同組合課長   浜田  正君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年十月の台風による漁業  災害復旧資金融通に関する特別  措置法案衆議院提出) ○水産物増産対策に関する調査の件  (北洋漁業問題に関する件)  (漁業協定に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  先ず昭和二十六年十月の台風による漁業災害復旧資金融通に関する特別措置法案議題に供します。先ず提案理由を御説明願います。川村衆議院議員
  3. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 只今議題となりました、昭和二十六年十月の台風による漁業災害復旧資金融通に関する特別措置法案提出理由を御説明申上げます。  この法案は、ルース台風による漁船漁具及び養殖施設等漁業施設災害復旧資金融資を円滑にすることを目的としたものでありまして、農林中央金庫等融資機関漁業者に対し復旧資金融資をするときは、その融資につき政府損失補償及び利子補給契約を結ぶことができるようにいたしたものであります。即ち、復旧資金総額限度を十五億円とし、これについて政府融資機関のした融資ごとに年四分の利子補給を行い、且つ、三割以内の損失補償を行おうとするものでありまして二十七年度予算中にはこれに要する予算措置も講ぜられている次第であります。御承知のとおり、政府がこのような補償契約を結ぶことは戦後初めての措置でありまして、かくのごと特別措置によりまして、ルース台風による甚大な被害の復旧の促進を図りたき所存であります。なお漁業部門には未だ確固たる補償制度が欠如しておりますので、今後は、この特別措置の成果を見まして、漸進、恒久的制度の確立を期する必要があると思う次第であります。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。  この際お願いしておきますことは、逐条の説明、その他重要な御質問がある場合におきましては、衆議院水産委員会専門員並び担当課長からそれぞれ説明をお願いすることにしたいと存じております。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今提案理由の御説明がありましたが、この法案につきまして、只今提案者も申されたように、関係者から一応御説明願います。
  5. 浜田正

    説明員浜田正君) この法案につきまして逐条的に御説明申上げます。  第一条にありますことは、この法律目的を記載してあるのでありまして、二十六年十月の台風災害復旧につい漁船漁具水産動植物養殖施設、この三つにつきまして、その受けた損害を速かに復旧するために融資をして、その融資について損失補償及び利子補給を行うというのがこの法律目的であります。  次は、さてその損失補償利子補給をどういうふうに考えるかというのが第二条でありまして、この融資金融機関は、農林中央金庫その他政令で定める金融機関、例えば市中銀行とか或いは信用組合とか或いは信漁連とか、こういう金融機関復旧のために融資を受けようとするものに対して融資をする場合は、その融資によつて受けた損失補償し、且つ利子補給をするというような契約政府金融機関と結ぶことができると、こういう建前にしたわけであります。そこでその融資をする契約を結ぶことの期間は、昭和二十七年の四月一日から二十八年の三月三十一日までになされた融資でありまして、そうしてその償還期間が五年以内、二十八年三月三十一日から考えて五年以内つまり昭和三十三年三月三十一日以前までに償還するというふうな融資の仕方に対して損失補償並びに利子補給を行う、そうしてその融資金額は二条の三項に書いてありますように、十五億円を限度として金額総額を押えておるわけであります。  次は第三条の問題でありますが、そういう場合損失補償をするというふうな建前になつておりまして、然らば損失とは何ぞやというのが次の問題になりまして、その損失基準をここへ出しているわけであります。極端に言えば最後まで考えないと損失はわからんのでありますが、或る一定期間で一応切らないと事務の収拾が付かない、こういうことがありますので、損失基準としましては、償還期間をきめた融資であつて、その償還期間で返らなかつたら直ちに損失とするというのではなくて、その償還期間後或る一定期間つまり一年の範囲内できめた期間までにまだ元本及び利子が返つて来なかつた場合はその金額損失基準考えて行くと、こういう考え方であります。例えば漁船復旧に必要な資金を五年の償還期間で貸した。併し五年目に返つて来なかつたら損失とするのではなくして、更に一年経つてもなお返らなかつたらこれを損失考えて行くというふうな考え方で、そこで事務的な処理をやつて行かなければならん、かように考えておるわけであります。そこで損失基準はそういうふうにきめまして、損失補償をする限度の問題が次に起つて来るわけであります。それにつきましては、一つ一つ融資機関ごとにまず考える、これはまあ当り前のことであります。融資機関ごと考えて、融資の一件ごと考えるのではなくして、融資の総トータルで考えて、例えば中金が百件金を貸した場合、百件の一つ一つ融資についての損失というのではなくして、百件の総トータルしての当初の融資額というふうに考えて、それの三割を最高限度にして損失補償を行う、こういう考であります。  次は利子補給の問題であります。これは融資機関つが融資をした場合に、逐次返つても参りますから、その融資残高の年四分の割合で利子補給をいたすわけであります。その場合、金融機関が四分の利子補給を受けるわけでありますから、現実に金を貸す場合の利率か第五条で問題になつて参ります。その場合の利率は、通常金融機関が貸す利率から四分を引下げた利率金融機関は貸せる。例えば中金は長期一割一分で金を貸せるとすると、四分を引下げた七分の利率現実には金を貸す。こういう貸し方をやるわけであります。  それから第六条は、これは協同組合を通じて金が流れて行くという形になりますので、その場合協同組合が又そこでうんと利率を掛けるということになりますれば、折角政府が四分の利子補給をしろというのが台無しになるというようなこともなきにしもあらずという点もありますので、その場合協同組合融資機関から受けたその利率を超えてはならないというふうなことで、直接の生産者が下げた利率が直ちに適用される、つまりそういう利益を直接生産者が受けるという形に持つてつておるわけであります。  以上が大体の筋でありますが、その次の問題は、先ほど申しましたように損失基準で、償還期限後なお一定期間過ぎても返らなかつた場合を損失と、こう考えたわけでありますが、現実の問題としては、そのあとでも入つて来ることがあり得るわけでありまして、そこで打切つてしまうという考え方ではなくして、金融機関損失補償を受けても、その債権を切捨てるのではなくして、善良な管理者の注意をもつて保有し、且つ回収に努めなくてはならない。そうしてそれで長く待つてつてつて来た場合はどうするかと言いますと、この回収に要した費用を差引き、又損失を受けて政府から全面的に補償を受けなかつた、つまり金融機関の損になつたという分を補填し、それでも余つたら政府にこの金を納入しなくちやならんという立て方をしておるわけであります。  それから第八条は、金融機関がこの法律及びこの法律に基く命令、或いはこの法律に基く契約に違反した場合は、利子の全部又は一部について補給をしなかつたり、或いは損失の全部又は一部について補償をしなかつたり、又はすでにした利子補給、或いはすでにした損失補償の全部又は一部の返還をさせることができる。こういうことで金融機関もここで抑えておかなくちやならん。  それから最後は、この法律に定めるもののほか施行の必要な事項は政令で定める。それで附則は、この法律は二十七年四月一日から二十八年三月三十一日までになされた契約と、こういうふうな本文では書き方をしているのでありますが、そこで考えて来ましたことは、このルース台風金融はすでに現実に行われつつあるのでありまして、その台風が起つた時まで遡つてこれを適用して行くと、こういうことを附則で規定しておるわけであります。そうしてその遡つて金融した額と、それからこれから金融する額とを合せて、やはり十五億という枠内で行なつて行くと、こういうことを附則で規定しておるわけであります。以上がこの災害復旧法律の内容であります。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつとこの先の提案者の御説明法文と少しく違つておるようですが、川村委員長提案理由の御説明では、この法案ルース台風による漁船漁具及び養殖施設等と、こういうふうにおつしやいましたが、この法律の第一条には「漁船漁具又は水産動植物養殖施設」と切つてある。三つに切つてある。どちらが……今のその御説明は間違つておりますかどうか、ちよつとお尋ねします。提案理由の御説明のほうが間違つておるかどうか。
  7. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) この第一条と、それから更に私の提案理由についての「等」という字句が使われておるので食い違いがあるのじやなかろうかというお話でありますが、私たちの考えましたことは、勿論根本的には「漁船漁具又は水産動植物養殖施設」と、こうなつておりますが、場合によりましては、やはり漁具といえども相当なこの種類がありますので、漁具とみなすべきか、或いはみなさないかといつたようなことで疑義がありますし、又一々漁具等については、それをはつきりこれこれを当てはめるというようなことは法文に書かれませんので、できるだけ範囲を拡げておいて、そうしてその勘案においてやはり金融の途を講じてやらなければならんのじやないかと、勿論全然漁具ではない、或いは養殖設備でないといつたような、何人が判断してもできない、それに相当しないものは遺憾ながらこの法律の適用を受けませんけれども、やはり所によつて漁具とみなすべき場合もあり、又漁具とみなさないような場合もあるといつたようなこともありますので、「等」という字句使つた次第であります。
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) いずれこの問題は将来の討論の際問題になると思いますが、今はまあ質問のときでありますからして、この程度にとどめます。  なお只今浜田課長から説明されました各条項について御質問がありましたら、お願いいたします。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今提案者の御説明のこの「等」という問題ですが、これはこの条文が「等」という字がないのでありますが、「等」という字が落ちておりますのは、どういうわけでありましようか。
  10. 浜田正

    説明員浜田正君) 条文には「等」という字は落ちております。考えは今委員長がおつしやいましたように広くしたいと思うので、解釈論として入れるかどうかという問題だけが残るわけであります。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この点はこの法案のかなり重要な面だと思います。従つて提案者の御説明のような御意思であるならば、この法文の中に「等」という字を入れる必要があると私は考えますが、如何でしようか。
  12. 浜田正

    説明員浜田正君) これはこの予算折衝の場合に、漁船漁具水産動植物養殖施設という三つのことで予算が成り立つておりますので、それの振合いとしてこの三つに限定して書いたわけであります。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうであれば、今御説明の「等」という字を入れて考えることはできないのであります。もう一つは詳しく申上げますならば、私はこの法案漁具という問題、このここに漁具と限定してありますが、今御説明によりまして、漁具であるかどうか、或いは漁具の一部である、漁業施設の一部であるというふうに考える場合を想定して「等」という字をお使いになつて今御説明なつたと解釈いたしましたが、そうするならば、私どもはかねてからこの法案を研究する場合に、漁具という問題につきまして、必ずしも漁具ではありませんで、魚を取る直接の道具ではありませんが、魚を取る網、即ちあぐり網であるとか、巾著網であるとか、或いはその他の網を現在の漁業種類によりましてはどうしても乾かさなければ網が腐つて使えなくなる。一例を申上げますと、長崎県のあぐり網、巾著網のごときは、晩に操業しまして朝帰つて来ると必ず網を干すのであります。その干場が港に一面に……どこの港でも根拠地にあるわけでありますが、これがルース台風によつて殆んど壊わされた。この施設がなければ巾著網の操業ができないということになるのであつて、なくてもあつてもいいという性質のものではない、従つてこれが災害による復旧資金相当の額に上りますので、これらのものを特に含めて考えるかどうかということについてはいろいろ質疑を行なつたこともあるのでありますが、そういう意味においてこの「等」という字があるかないかによつて非常に違つて来るのでありますが、仮に十五億円というものがここに出ております。が、この十五億円を全部使い切つてしまうか、或いは幾らか余裕が出るか、そういうことはやはり実際にやつて見なければわからないのでありますが、従つてそこでそういつたものをひとしくルース台風によつて受けた損害であると言うならば、この際にこれを救済して行くということをここに掲げて、予算面においてどうしても足らなければ止むを得ないが、順位を付けるならば最後順位においてでもこれに附加えておいてもらいたいというように我々は希望いたします。ここにこの「等」という字をこの条文に入れるかどうかということは大きな問題であります。解釈によつてこういうことができるというような解釈ならば、ここに「等」という字を入れておいて頂きたい。
  14. 浜田正

    説明員浜田正君) 只今の御質問の今の網干場ですが、これは解釈論だとしたところで、「等」という解釈には入らないだろうと考えます。  それからもう一つの十五億の問題につきましては、辷り出しておるところで見て、余るということは今のところは想定できんのじやないかと考えます。更に直接この考え方は金がたくさんあればあるに越したことはないのでありますが、金の関係もあつて直接の生産手段に限定するという考え方であり、更に今先に出た十五億が余るであろうということは、今のところちよつと想定はできかねます。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 直接の漁業生産と申しますけれども、今私が申上げましたように網干場がなければ巾着網はできない、巾着網漁業はできないのです、実際において……。だからしてこれは直接の生産のための手段考えて差支えない、あつてもなくてもやれるというものではない、ですから、巾着網漁業をやるには必ずこれをやらなければならん、これは勿論地方によつては違います。網を干さないでもやれるような、例えば最近できております化学繊維によるような網を使つておる所とか、或いは網を干さなくてもいいコールタールなどの染料を使つているというようなものは必ずしも毎日干さなくてもいいのですが、長崎ごとカツチ染め漁具を使つている所は必ず干さなければならない、これは水産庁でよくおわかりだと思います。私がそういうことを説明しなくてもわかるだろうと思いますが、そういうものは生産に直接に関係あるものであります。これは否めない問題だろうと思います。そういう直接生産という面から考えればこれはどうしても考えなければならんことでありますので、若し予算の都合でこれが入らないとすれば、順位最後順位でもいいのでありまして、これを入れておかなければ非常に不公平なものになるのではないか、かように考えるわけです。そこで私は御説明もありましたので、私はいずれ審議が進むに従つてそういうことが出て来ると思いますけれども、「等」という字は是非ここに挿入することが必要じやないか。これをやるとすれば修正ということになるのでありますが、「等」という字をそういう意味において入れてはどうしても工合が悪いかどうかということをお聞きしたいと思います。
  16. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 只今秋山委員のおつしやることは至極御尤もであります。私らも当初考えたときも網干場とか、或いはその他の漁業施設相当損害を受けているのじやないかということで、やはりもう少し範囲拡めてはどうかという意見が衆議院でも強かつたのであります。ただ貸付資金関係が十五億に限定されましたので、今秋山委員の言われるように網干場等の問題の融資をするという場合には多分十五億では不足になるのではないかということで、「等」という字を法案から除いたのでありますが、これらはいずれも秋山委員考えておることと我々のほうで考えておることと同一であります。ただこれは緊急の対策でありますので、恒久対策としては是非漁業施設等という字句も入れなければならないのであります。本日の衆議院水産委員会におきましても大臣出席を求めまして、いわゆるこういう緊急対策を常にやつておると非常に手数でもありますので、北海道地震津浪等の問題でも今回は非常に大きな損害を被つておるので、これに対する恒久対策としての法律を制定する必要があるのではないかという質問がありまして、これに対しては農林大臣は少くともやはり漁業災害に対しては農業同様損害補償をいたすということでなければならんということの答弁があり、特に目下これを研究中であるというお話であつたのであります。今秋山委員の言われるように実際に網干場がなければこれは到底漁業ができないのであります。併しながらこの場合緊急の措置でありますので、我々のほうといたしましても、今秋山委員の言われることは御尤もでもあるし、取りあえずこの法律を通して、そして逐次今秋山委員の言われたようなことを十分織込んで、そして漁民を救済して行かなければならんというところに考えを及ぼして、衆議院委員会でも研究しておる次第であります。それから漁具等という「等」という字を説明に入れたということは、たとえて言えば、こういう問題があります。これは内地のほうでは何と言つておるかわかりませんが、私のほうでは網干桁、竿のことでありますが、これらはやはり如何なる場合でも我々のほうではなくてはならない一種の漁具であります。農業におきましても農機具がどうかといつた問題が非常に疑問視されるでありましようが、漁業のほうでは如何に干場がありましても、これは網を干すことができないというような点もありますので、これらは漁具と見なすべきであるというような意味を含んでおりますので、説明には「等」という字を入れて、つまり資金の余つた場合に或る範囲において融通をして救済して行くという考えがなければならんという意味を十分含んで立法措置を講じたということになつております。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 川村委員長は本来水産のエキスパートであり、現実に実際やつておられるのであつて川村さんにこういうことを申上げることは非常におかしなことでありますが、私は桁というものは実は知らない、同じように川村さんは長崎網干場というものを御存じないのではないか、網干場というと何か砂原の地面のように考えられますが、あの巾着網の大きなものを地べたにべたべた干すわけにはいかんし、又そういう場所もない、従つて海面に柱を立ててそれに竹をずつと並べて一つ掛棚を作りまして、その上に網を拡げて干す、今網干竿が必要だということでありますが、それはどういうものか知りませんが、それと同じ性質のちつとも変らないものである、従つて北海道のそれだけには考えるが、ほかのものは考えないということは甚だしい差別のあるものだというふうに私どもには響くのであります。そこでそういう御趣旨で「等」という字を入れるならば、長崎県あたりでやつております網干場というものについてそれを入れて頂く。こういうふうにして頂きませんと、これは北海道にはやるが長崎のほうにはやらんのかという問題が必らず起る、そういう意味で私は申上げておるわけであります。
  18. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) 今秋山委員の言われることも私どものほうで言うことも、名前は違つておりますけれども、やはり俗語と言いましようか、俗称と言いますか、違つてはおりますけれども同一のものであります。勿論長崎干場も見て参りましたし、それから富山方面でもやはり同様のものを使つております。各地で使つております。ですから私のほうではそういう施設は当然これは漁具とみなして差支えないのではないか、私はそういう解釈をしております。これはなければならないやはり立派な漁具であります。仮に船に竿を渡して、これを網干場に使うということでもこれは漁具でなければならん。恐らく政府考えておるところはそういうのでなくて、網干場というものは土地だと考えておるのではないか。我々のほうはつまり土地でなくて、そういうつまり道具を以て干すのであるから、これは漁具だと我々は解釈をしております。政府漁具に対する考え方と、やはり我々漁業者考え方がそこが違うのであつて網干場ということを秋山委員が言われるから即ち土地である、こういうふうに解釈しておるんじやないかと思いますので、そこはあとでよく速記をとらずに政府とも話し合えば、説明はよく私はわかると思います。従つて私の提案説明については、そういうのは漁具と見て「等」という字を使つて説明しておるのであります。こういうわけであります。
  19. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今の御説明でよくわかりました。事実これをお扱いになるところの当局者がその考えでなかつたら何もならない。私は網干場と申しましたけれども網干場というものは、網干施設であつて土地や何かじやない、木と竹を使つてできたもので、土地じやなくて水面に造つております。陸じやない、皆水面に造つております。そういうものもこれに含んで考えるということであれば私は納得いたしますが、北海道のほうは考えるけれども長崎のほうは考えないというのでは納得が行きません。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて。    〔速記中止
  21. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。ほかに御質問ありませんか。
  22. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 いずれこの問題はもう少し逐条的に伺いたいんですが、この貸付をするのに何か一件と申しますか、一人に対する限度があるんですか。あるとすればどれくらいを考えておられるか。二百万円でも五百万円でもいいのか、或いは五十万円以上はいけないとか、何か限度があるのですか。
  23. 浜田正

    説明員浜田正君) 限度考えておりません。総額考えて、その総額の中に入つてさえおればよろしいのです。
  24. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると、この金融機関というのは大体農林中央金庫が主体となると思いますが、その他にも何か金融機関はございますか。
  25. 浜田正

    説明員浜田正君) その他は政令で定めることになつておりまして、その政令は商工組合中央金庫、それから普通の銀行相互銀行無尽会社信用会社信用協同組合というふうに、まあ殆んどいわばどれでも広く貸してやれるというふうにしたいと思います。
  26. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると、十五億円というのはどういうふうに配分いたしますか。勝手に貸しておつたら超過してしまうことになりますが、各個に割当てることになりますか。
  27. 浜田正

    説明員浜田正君) この問題は我々の考え方はできるだけ早く貸してやりたいというのが基本でありまして、今の秋山先生のおつしやつた最後になつてどうなるかという問題がありますので、県のほうに大体災害の状況がわかつておりますから、これで十五億を一応割振りまして、そうして県庁でコントロールしながら副申書をつけて中央に持つて来て、中央で契約するという形でやつて行きたいと思つております。細かく割振るというむずかしいことはむしろやらんほうが、借りるほうから見てもよいし、貸すほうから見ても円滑に行くのではないか。むしろそれは県のほうで全体のコントロールをやりながらやつたほうが便宜じやないかと考えております。
  28. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それなら県に割当をするわけですね。
  29. 浜田正

    説明員浜田正君) そうです。
  30. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それじや先ほどの御説明によりまして協同組合が中継ぎといいますか、一遍借り受けて、そうして必要な組合に貸し付けるという場合に鞘を取つてはいけないというようなお話でありますが、これは実際鞘を取らずにやるでしようか。
  31. 浜田正

    説明員浜田正君) その点は協同組合が必要な事務費を別に手数料とかなんとかという形で取つてやるのは差支えないが、この関係で更に利率を殖やして行くというのは困る、取扱手数料としては事務費ぐらいは取るのは差支えない、こういう考えでございます。
  32. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そんなら同じことになるわけでございませんでしようか。銀行から直接借ればそれは要らない、協同組合から借れば手数料を取られれば、少くとも七分以上のものになるということになると思うのですがね、実際的には……。
  33. 浜田正

    説明員浜田正君) それは形式的に考えればそうでありますが、協同組合はだてや酔興でやつているのではなくして、協同組合を通過することはそれだけの任を持つているのですから、協同組合が責任を負つているということは、直接借りるのと通じて借りるのと確かに違いますが、それは協同組合事務でも銀行からやつてもらうだけの恩典はそれは各個人ありますからして……まあ全然同じとは言い切れないわけです。
  34. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それならば、今お話のような利率利子をとつてはいけないということは、言葉の上ではそうなりますが、実質上には負担もかかるということは考えていいわけですね。
  35. 浜田正

    説明員浜田正君) その事務をしているだけの実質上の負担はかかります。(「おかしいね」と呼ぶ者あり)
  36. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにありませんければ、この法案に対しての質疑は次の委員会で逐条審議することにいたしたいと思います。  水産長官がお見えになりましたから、何かはかに質問ありませんか。
  37. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 長官がお見えになつたので伺いたいのですが、最近新聞で読みますと、北洋漁業が行き倒れのような状態にあります。私は先般来当委員会においてもこの問題に触れた議論がありました際に、かようなことを非常に心配しておつたわけであります。余りにもアメリカの神経に触れるような騒ぎをしては困るだろうということを非常に憂慮しておつたものでありますが、不幸にして私の憂慮しておつたような状態にぶつかつたことを誠に遺憾に存じますが、これについてはどういう処置に出られますか。又これに至つたいきさつ等についてお話を伺いたいと思います。
  38. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) はじめにちよつと速記をとめて詳しく……。
  39. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて。    午後三時六分速記中止    —————・—————    午後三時二十一分速記開始
  40. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。
  41. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 今年の北洋のかに工船の出漁の問題につきましては、我が国としましては、計画はかに工船一隻と、それから独航船三隻と、それから製造箱数は六万箱、これは半ポンド、四ダース半です。そういうことで業界のほうとしては出漁したいという方針をとつており、政府もそれを認めておつたわけであります。で、これは過去のブリストル湾等における資源の点から見てもこの程度の出漁であれば、これは資源保存上何ら支障がない、こういうように認められると信じております。又日米加の漁業協定が効力を発生する前には、平和条約の発効後、吉田、ダレス氏書簡というふうなものによつて日本のあの地方への出漁が規制されるわけでございますけれども、これによつてもかに漁業は保存漁業とはなつておらないわけですから、法律的には行けると、こういうような見解をとつておつたわけであります。これは現在でも正しい見解と信じております。で、そういうような見地から、三社の間で共同に出漁するというふうな形で話を進めておつてもらつたわけですけれども、それが、結着を見ないときに、最近総司令部の外交局の漁業官として赴任されたネヴイル氏が情報をもたらしてくれまして、それでそれによれば、三社の共願というふうなことが三船団出漁、三船団というふうな誤報になつてアメリカに伝わつたという点も原因の一つになりまして、それでアメリカの太平洋岸の漁業者をかなり刺戟したようでありまして、まあそういうような関係からしましても、今後の日米加間の漁業を円滑に進めて行く上に、かに工船につきましては、これは正式に日米加の漁業条約が発効しました上に、その後にとにかく出漁するというふうなことが大局的に考えて得策であると判断をいたしまして、政府としては今年度は出漁を見合わせるのがいいという結論に至つたわけであります。来年度は勿論日米加の漁業協定は発効いたしまするでしようし、資源保存という見地から見ても、一船団であれば何ら障害はないと考えられますので、これは是非出てもらいたいし、又政府のほうでも出たいという意思がある限りは出したいと、こういうように考えておるわけでございます。
  42. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一点伺いたいのですが、最近韓国との間に友好的に話合いが進められたかのように伝えられておりますが、その点、水産関係はどういうことになつておりますか、お差支えない限り伺つておきたいと思います。
  43. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 韓国との漁業の協定の問題は、これは韓国との申合せによりまして、それは両者協議した事項でないと発表ができないことになつておりますから、それで私も発表の自由を持つておらないので、担当者もこれははつきりと協定してきめたいという関係もあるので、それでここで発表する自由を持つておらないことを御了承願いたいと思います。
  44. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それでは現在そういう話合いが進みつつあるのでありますか、もう話い合は大体済んでおるのでありましようか、その辺のことを差支えのない限り……。
  45. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 速記をとめて下さい。
  46. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて。    〔速記中止
  47. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。只今長官の御説明によりまして、本年度のかに工船の出漁は中止ということになつたのですが、来年の出漁までには相当期間がありますので、三社の紛糾を余り長引かせるということはみつともないので、私のかねて主張する通り、オール水産の体制をとつた新会社を作つて、そうしてやることに今から御指導になることを私は希望いたします。これは希望であります。ほかにありませんね。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会