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証人(
山崎英二君) 先生がたには先ず
現地に来られまして賢島荘
母貝地
協同組合四十数箇村、翌日当浜島にお越しを願いまして、この
法案と関連あるか、又はその他の
生産という面についての御視察か、その程度は知りませんけれども、関わるるがままに来られた先生に私どもお答えさせて頂きました事柄につきまして……遠方までお越し下さいましたことを厚くこの席で御礼申上げます。
特に遡
つて記憶を呼び起しますと、
木下委員長の司会の下にすでに公布されました漁業法の
委員会の公聴会を傍聴させて頂きましたことであります。そのときに
真珠業者の代表といたしまして
堀口初
三郎氏が指名されておりましたところが、御病気のために代りまして片山さんが御
出席されて陳述したことを私記憶しておりますむそのときに、この
法案が一応通過いたしましても
真珠養殖に限
つては別個に何かの
法律を設けておきたいという言葉があ
つたように記憶しております。それに端を発しましてこの
真珠事業法案というものの要綱というものが先ず
三重県に参りまして、当時新聞に拝見いたしまして、我が県の長官
青木さんもここに見られますが、
真珠養殖事業法という名前はその当時はございませんけれども、かような
法律によりまして
三重県に
真珠研究所ができるということを新聞で発表されまして、ははあ、如何にもこういうものが将来できて来るのだなということを私承知いたしました。以来これに関しまして衆議院の
かたがたにおきましても種々
現地母見地といたしまして、先ず中心地であるところの英虞湾の漁業
協同組合の
組合長、その他幹部を
三重県漁連に招致いたしまして、かような構想の下にということがありましたときに、その当時、これは浅野長光さんの案ですが、それには、
母貝地というものの
考え方は抹殺されておりまして、
真珠養殖業者が一貫的作業である
関係上、
母貝地も自分らの掌中に収めるがごとき要綱案を拝見いたしました。そこでここに列席しております英虞湾の各
協同組合長は一丸とな
つて、先ずこの
法案のようにやられた場合には、
母貝地として手も足ももぎられたようなものだ、何のために今日まで営々として祖先がこの
母貝地として立
つて来た事柄において、このようなことは子孫に対して……漁村の荒廃にかかわる、このときに我々は奮起して、そうしてこの要綱を改むべし、かように進言したのであります。先般この事柄につきましても、皆さん始め、
堀口さん、そうした
かたがたと衆議院の
委員室におきまして懇談的にお話を申したことも記憶しております。そのときに、この
法案に対して、
母貝地漁業
協同組合は、
反対をしておるのでなかろうか、かような御
質問を受けたのであります。それは皆さん甚だ御迷惑でございます。なぜならばと申しますと、その
反対の声はみずからの
業者の
かたがたが
反対しておる。わかりました、私の失言でございました、率直に取消をされました。
母貝地といたしまして、先ずかような
法案ができる、できんにかかわらず、
生産をして行くということは、これは漁業
協同組合の使命でございます。
先ほど大先輩の
大久保忠礼さんが申されましたが、このかたにいたしましても、明治、大正
時代から浜島の貝を十銭、十五銭という
時代から取引を願
つたかたであります。又
堀口さんにいたしましても、三輪さんも、ここに御列席の
業者の
かたがたは、浜島及び英虞湾、神明浦、立神等の
母貝を以て、御木本さんはともかくでございますが、今日までの大を成して来たということは、いわゆる
業者と
協同組合の
母貝生産地とは魚と水という、この
業者の立場が一体でなければならん、又
業者のかたにもお金を儲けて頂かなければ
真珠貝の値打もない。買
つて頂かん場合には、まあ食べられはいたしますが、毒素を持
つていて、腹にあたるというような
関係上、どうしても
真珠貝——阿古屋貝というものの使命は……
天然真珠、この大自然の、地球ができてから、先ず英虞湾にいたしましても、大村湾にいたしましても、その発生はたくさんあ
つたと思います。それを、
大久保さんなり、又先代の見瀬さん、又森本さんというような、そうした
かたがたからこの
真珠というものの研究が始められまして、真円
真珠の真価がここに出て来た。
時代がすでに移りまして、これを外国に売るという
時代にな
つて、
国家産業ということに相成
つて来たということは、私申上げるまでもないと思います。かようにいたしまして、今回の漁業法のあり方を静かに……私どもは苦い経験を持
つて来たのであります。でありますら、この
事業法というものができ上りましても、その運用、これによりまして、如何なる波乱を起すかというようなことも或いは想像できます。たか併し、物をこしらえるときには、相当研究をする、考慮を払うということは、これは結構でございますが、併し、こうした事柄におきまして、私どもはこの
宣誓にもありますように、
良心に従
つて意見を述べてみたいと思う。決して
協同組合は
協同組合の立場で、自己勝手な
意見であるというのじやなくて、先輩又は自己の体験から申上げさしてもらうのでございますが、いわゆる漁業法なるもののこの行き方におきまして、
三重県では相当てんやわんやをしておるということは諸先生方もよく御記憶を願いたいと思います。更にこの席上を借りまして、それは
三重県なら
三重県の行政上のことであるから、こうおつしやられればそうでございますが、先ず長官の腹の中にもよくく入れて頂きたい、かように思うのでございます。御通知を頂きました発言
内容の事柄につきまして、「
真珠養殖事業法案の
全般及び各条項並びにこれに関連する
事項について有せられる賛否の
意見並びにその
理由」ということであります。これを私どもは大別いたしまして、先ず二つに分けてみたいと思うのでございます。
全般及び各条項について、そのうち特に
全般については、かねがね陳情してある
通り、
賛成の意を表します。その
理由は、
法案の目的、第一条には、国民経済の発展に寄与するとありますが、この
事業は
日本が持つ
特殊産業であるために、漁村経済に及ぼすところ至大であるからであります。各条項について、若しこの
意見によりまして、いろいろと衆議院の
かたがたと取捨御決定を願うならば幸甚と思いますが、先ずこうした
内容において問われておる
関係上お答えさせて頂ぎます。これは内部規制の事務的に過ぎない、法は一つの目安であ
つて、法のみにこだわると、すぐ裏を
考えるということは、その事例はいずれにも多々ある例でございます。要は漁
業者と言わず、
業者と言わず、この場合の
業者は
真珠養殖業者を申上げます。
真珠の玉のごとく、純真にして純美であ
つてほしいのであります。次に、各条項を改めるといたしました場合の私の希望は、先ず第五条の、
只今大久保さんも申されました
計画によりまして、農林大臣にその所定の書類を
提出する、こういうふうに相成りまして、更に農林大臣がこれに勧告を与える場合、この勧告を与える場合のみに限
つて資金を斡旋する、これが非常に私ども理解に苦しむ点でございます。先ず第二条におきまして、この
法律において養殖
事業とはこれこれ、養殖事
業者とはこれこれ、かように明定してある
関係上、一に
母貝生産地漁業
協同組合はいわゆる事
業者であるというように解釈するのでございます。その場合、
昭和二十七年度の
母貝地の
生産計画は、先ず一万貫乃至二万貫は浜島町でできる、英虞湾においては一万五千貫でぎる、神明浦においては三千貫から五千貫というものができる、この
計画は必ず出さなければならない。こういうふうにな
つておりますが、その場合、
業者との貝の配分その他の
関係で助言なり勧告を大臣がする。かような場合に、それでは浜島町は
計画に二万何ぼ出たけれども、もう五千貫何とか増殖の方法はないか、それに邁進せよというようなことがあるならば、遮二無二にせねばならない。けれども、畑に大根や胡瓜を作るようなわけにも行きません。適当な
改良と適当な漁場がない限りはそれは無理でございます。だが併し、不可能を可能とするということには、先ず天然資源、大自然に変りのない限りは、或る程度は満たされると思いますが、これには自己の
意見も混りますが、先ず浜島といたしましても
国家に対して要求したい点が多々あるのでございます。その勧告を受けたものに限
つて資金を斡旋するという事柄は、これは
全般を指しての
資金の斡旋というような行き方にお
考えを改めてもらいたい。こういうふうに
考えておるものでございます。
次に第六条の「農林大臣は、左の各号の一に掲げる
事業を営む者を
組合員とする漁業
協同組合」、こういうふうにあります。御承知のように現在の漁業法では
真珠貝というものは共同漁業権に相成ります。而して稚貝採苗その他は、ここにも高橋第二課長もおられますが当時申上げましたように、
三重県においてはこの採苗施設、投石施設をひび建養殖ということにおいて一応漁業権の免許を、目下受付けさして頂きまして、申請中でございます。そのうちに先ず第一優先順位はかようにする、
組合員を持つ漁業
協同組合が管理権を持
つて行う場合は第一優先順位ということにな
つております。我が浜島は、これを漁業
協同組合の自営ということに一応いたしましたが、他に競願が、ございません
関係上、先ずこの浜島が長官から頂くと思います。こうな
つた場合に、そこにこれは法の、
先ほども申しましたように一つの目安であるから、扱いにおいてこうということに勿論将来なると思いますけれども、先ず条文の中に「
事業を営む者を
組合員とする漁業
協同組合又はその漁業
協同組合を会員とする漁業
協同組合連合会に対し、予算の範囲内において、必要な助成を行うことができる」と、かようなあいまいな文字を使わずして、助成するものである、こういうふうにはつきり申して頂きたいのでございます。
第七条の条文は標準
価格の公表でございます。これが先般大蔵専門員の
かたがたが、これは事務当局でございましたが、我が浜島に来られましたとき、又法制局の
かたがたが見えられたときも、ここに参列の英虞湾
関係業者が
協同組合の
かたがたと一問一答、よくこの
法案の
内容につきまして話も聞かさして頂きました。そのときの
母貝の
価格公表ということは、一応これは昔の
統制経済的な行き方でなかろうか、そうなると、これによ
つて何十%かの漁業
協同組合が
維持経営し、そうして漁村の繁栄をこれに求めておるこの
真珠貝に対しまして、公表
価格を作るということも一応どういうものであるかとい
つた時に、確定的には申上げられませんけれども、ここがいわゆる法の解釈による取扱と思います。それは或る一定の最低線をきめるのである、こういうふうに申されました。最低線となりますと、算盤高い
業者の
かたがたも最低線であるから、今後は浜島の
入札会があ
つても四千円か三千円と仮にいたしまして公表されたとぎには、それを上廻ることはない。どうしても大玉を使う、又は中玉を使うとい
つた場合に、英虞湾の貝でなければいけない、それを求めるところは浜島以外にないとい
つた時には、入札方法によりまして最近御承知のような効果を生んでおります。これは
業者も痛い話でございます。痛い話でございますが、自分の商売になる以上、これだけの
価格を犠牲に払
つても
真珠玉を作るということが言い得られると私は思うのであります。この場合、農林大臣が公表するとい
つた場合に、次の審
議会というものができるそうでございますから、その審
議会の
意見を聴くと同時に、
母貝地
協同組合の
意見を重要視して頂く、かように希望するものでございます。
それから罰則の点でございますが、これは岡さんも先だ
つて賢島に来られましたときに、いろいろ
協同組合として
考える点がございませんかと言われましたのですけれども、何が何やらさつぱり私どもはつきり申上げる材料もござい喜んので、いろいろ
考えましたところ、先ず検査制度に対する罰則というものは、これは一応このままで私はいいと思いますが、先ずその他の報告義務、そうしたものに対しまするこの罰則は、その事
業者に対して助成及び
資金の斡旋を停止するという程度に御緩和を願いたいと思うのでございます。
それから附則の施行期日でございますが、諸先生方の御審議によりましてこれが御通過を見るときには、二十七年四月一日からこれを施行するということにな
つておりますが、一これは即日施行というふうにお改めを願いたいと希望するものでございます。
時間がございませんから簡単に申上げますが、
大久保さんは
先ほど、
業者は二年や三年の玉を作る貝が手持ちである……如何にもそうでございます。現在ひび建養殖なり、又は籠活等によりまして稚貝をつけて手持ちにしておりますが、これが現在の漁業法におきましては、
真珠養殖ということは、いわゆる玉を作る
業者ということになりまするので、採苗施設から成員、
母貝に育つまでの
協同組合である、かようにな
つている
関係上この
仕事がだんだんと
業者自体が、若し籠活なり稚貝採苗なり、そうしたことをや
つたということになれば、直ちに何かの発動があると思います。又漁業
組合も、虎視眈眈として
業者の
かたがたがさようなことをやるのじやなかろうかと、目を八角にしてこれから見廻ろうと思うのであります。さような時期でございますから、現在持
つているものは一年、二年は使用できますが、そういうふうに漁業
組合の
母貝育成ということに待たなければ、どこから貝が出る。現在ここに
松野さんもおられますが、大村湾その他の方面からも相当英虞湾の貝が入
つて来ております。傍聴におられるところの中井宗五郎さんが先ず英虞湾によその五色貝なり、そうした貝を持
つて来たときに、これが学問的に
三重県水産試験場において相当御研究を願
つた場合に、荒廃等につきましては、英虞湾において貝が皆無の時期が来るのではなかろうか、従
つて玉の値打、出来上りというものに非常にひびが来る。こういうことを申上げ、水産試験場の御研究に待
つて見たいというようなお話もございました。御承知のように本年英虞湾におきましても、五ヶ所湾におきましても、小指の爪ぐらいの稚貝、これはどういう方法に使うかということは私もよく知
つておりますが、先ず大きな玉を作る、数珠玉を
作つて行くというときには、来春手術する場合に手持品がなければいけない。であるからこれだけの小さい貝は、大体目方にいたしましては僅かでございますけれども、一貫匁といたしますと何百個、何万個というものが、相当な数において取引されている。こうした場合にこの取引先が、誰が持
つて行くかというと、口汚なく言えば
業者が持
つて行くというよりほかに途がないのであります。こういう場合に漁村経済がこの
真珠事業法の第一条の目的に果して達するかどうかということは、私どもは静かに
考えるときに、これは港湾
全般として
大久保さんはこれは個人としての
意見もございましようけれども、そうした事態が来るというときには
母貝地にそれだけの助成をして頂く、併しこの助成を安易に受入れるものでございません。相当人件費なり、資財というものが数多くかかるのであります。そうしてこれらの稚貝採苗というものにつきましては、粟粒ぐらいの間から顕微鏡で見まして、粟粒ほどのものから爪ぐらいになり、爪ぐらいから二銭銅貨ぐらいの大きさになり、これを一々分析して、これは私どもは素人でございますけれども、
業者の
かたがたはよく見ております。そうした手数のかかることはなかなか容易なことでございません。これらに対して
国家は、又県は
協同組合に対して力を、若し
国家なり県がそれだけの補助助成がなか
つた場合には、
母貝地の言いなりの値にや
つて頂けますかということを御誓約願います。さようなことにおいて、若し
国家なり、県が助成なり、又
資金の斡旋ということをされる場合においては、いろいろ制約を受けますから、なかなかこれはむずかしいと思います。そこで高橋第二課長さんとも先だ
つて会
つたときに、先ず投石
事業ということは、ここでは言い憚かりますが、
国家がや
つてみる、よろしうございます。それは結構でございますが、又
国家とい
つた場合に浜島なら浜島に投石
事業をやるとい
つたときに、浜島の漁
業者を使わずにどこの人を使うのか、その
資金の斡旋なり、水産庁といたしましてそれだけの予算を以て施行するとい
つた場合におきましては、
三重県を信用してや
つて頂きたいと思うのでございます。又
質問のときにお答え申上げたいと思います。以上であります。