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1952-02-13 第13回国会 参議院 水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十三日(水曜日)    午後一時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            松浦 清一君            千田  正君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            藤野 繁雄君   国務大臣    農 林 大 臣 廣川 弘禪君   政府委員    水産庁長官   塩見友之助君   事務局側    常任委員会專門    員       岡  尊信君    常任委員会專門    員       林  達磨君   参考人    岩手県漁業協同   組合連合会会長  伊藤佐十郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (当面の水産関係の諸問題に関する  件)  (水産業協同組合法中一部改正の陳  情に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします。  農林大臣がお見えになりましたので、法案審議に先立つて水産一般に対する質問をお願いいたします。
  3. 千田正

    千田正君 農林大臣はめつたにお見えになりませんので、丁度いい機会ですから、お尋ね申上げますが、二十七年度におけるところの漁業に対する振興或いは発展のために金融その他に対する問題について農林大臣として考、えておられるところの御所信を承わりたい点が一点と、もう一つは、先だつて会議大臣は言葉を濁しておられましたが、李承晩韓国大統領が声明されました李承晩ラインなるものと、今後のいわゆるマツカーサー・ラインが消滅した場合において起るであろうところの摩擦に対する対処方針について承わりたいと思うのであります。もう一点は、いずれ同僚委員からいろいろお尋ねあると思いますが、この日米加漁業條約が発効されまして、北太平、洋に対して日本漁業が進出して行くという場合並びに支那海或いは日本海において拿捕問題が起きた場合において、如何なる処置を講ずるか、言換えれば、独立国日本としまして、いわゆる自衛の立場において、拿捕さるるような場合において抵抗するだけの防衛設備を持つて漁業にも一応の、いわゆる保護をするだけの考えを持つておられるかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  4. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 金融の問題ですが、金融のことは農林漁業特別会計の中からこれを出すことが一つと、それから協同組合再建整備等によつてこれをやりたいと思いますし、それからなお又今までやつておりました証券の資金化等についても十分努力いたしたいと思つております。それから日韓の問題でありますが、この李承晩大統領の声明にかかわる線とマツカーサー・ラインとの線の問題でありますが、これは日韓漁業協定等において円満に解決するように努力をいたしたいと思います。それからなお講和後におきまする北洋漁業或いは又支那沿岸方面における漁業についての自衛力を持つか持たないかという問題でありますが、これはまだ仮定の問題でありますので、立派に独立いたしましてから十分これは考えなければならん問題であると思つております。
  5. 千田正

    千田正君 もう一つ附加えて伺いたいのでありまするが、この日米加漁業條約によりまして北太平洋に進出する場合において、いろいろ資源の調査或いは潮流の調査、或いは日本漁船に対する保護等に当るべきところの、水産庁としまして出された二十七年度のいわゆる予算の点は三千万円程度で頗る貧弱なように考えられまするので、先般も長官見えられた際に特に要望しておきましたが、このたびのいわゆる北太平洋に進出するような場合においては、もう少し完全な調査をしなければならないと同時に、苟くも国際條約を守るためには厳重な監督もしなければならない、三千万円程度予算では到底それを実行することは不可能であると思いますので、この際これを増加するだけの金額の要請をして頂きたい。この点につきまして大臣所信を承わりたいと思います。
  6. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 三千万円の予算で少いことはよくわかつておりますが、機会のあるごとにこの金額の増額を要望いたしたいと思います。それからなお又この少い金額ではありまするが、業界その他に御協力を願つて、できるだけ充実さすように努力いたしたいと思います。
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今千田委員からお尋ねになりました不法拿捕船の問題でありますが、この問題はしばしば繰返されておりますけれども、遺憾ながらますます襲撃拿捕状態は熾烈に相成りまして、すでに百二十余隻のものが支那黄海において拿捕撃沈或いは襲撃を受けて、而も抑留された船員が八百名を超えているのであります。現在未帰還の船が六十九艘、未帰還船員が三百五十一名ということに相成つておりますが、更に一昨昨日二月十日に支那黄海において長崎県根拠の船が十四隻というものが襲撃を受けている。そのうち五隻は多分拿捕されたであろう。そうして又四隻が不明である。或いは又その他逃げた形跡もあるが、まだ帰つて来ないといつたようなふうで、二月十日においてもうすでに十四隻が襲撃を受けているというような状態でございます。かような状態は昨年の九月八日、平和條調印後、特に熾烈になつたかの感を見るのでありますが、今後におきましても、このような状態は絶えないではないか、こういうことのために漁業に従事する船主はもとより、船員といえども非常に生産意欲を低下しておる、従つて漁獲の上にも影響が大きいのでありまして、我が国といたしまして、これを如何に処置して行くかということは、非常に大きな問題であるのであります。本日の新聞リツジウエイ大将ソ連に対して強い抗議と申しますか、要求を出されたということでありますか、これは北洋のいわゆるソ連圏内における海域に対しての問題でありまして、中共或いは韓鮮関係支那黄海境界には何ら言及されておらないのは誠に私どもは遺憾に存じます。近く講和の條約も発効するごとに相成るのでありますが、現在すでにかような状態であります上に、今度ラインがとれました場合には、日本漁船ラインがないのでありますから、相当自由に、いわゆる公海自由の原則に則りまして自由な行動をとるに至るのではないかと思いますが、そうなつた場合にこの不法拿捕襲撃という問題は一体どうなるかということが非常に業界の心痛しておる点であります。只今大臣お答えによりまするというと、まだ仮定の上であつて、この取締り或いは保護についてはどうするという明確なお答えがございませんのでありますが、現在日本といたしましては占領下にありまして、これに武装した船が保護に当るということも困難……困難というよりは、恐らく不可能だろうと思いますけれども、主権を回復した後において、一体どういうふうな処置をとるべきか、私どもは現在の日本の国力と言いますか、講和が発効いたしましても、アメリカ駐留軍によつて日本の安全を保持して行こうという状態におきまして日本の艦船がこの保護に当るということはなかなか容易でないと思いますし、又その力が非常に弱いのではないかと思いますので、丁度只今いわゆる行政協定がとり行われておりまして、近く調印の運びに相成るということでございますが、この行政協定のうちに、海上における侵略と申しますか、不法の行為に対してアメリカにこれを保護してもらう、或いは日本の陸上を侵すと同じような「建前を以て、中共その他の第三国の侵略に対して護つてもらうということはでき」ないものであるか、そういう二とを私どもは強く日本政府から協定して頂いて、今非常なる不安を持つた上に更に不安の重なろうとしている今日、この点を一つ明確にして頂くことは、業界の一同に対して安心を與える問題じやないかと、かように考えますが、この点は大臣如何ようにお考えになつておられますか、お尋ねいたします。  それから次に日本食糧問題は申すに及ばず、常に話題となり問題となろのでありまして、大臣は先頃の演説のうちにも、水産物を以て不足しておる食糧を補う方策を立てたいということをしばしば、おつしやつておられます。私どもも全く同じ感じを持ちまして、穀類にのみ依存しないで、この豊富た水産物を以て何らか主食に代るような、食生活習慣を変えるということが必要じやないかと、かように考えておるわけでありますが、現在日本でやつておりますところの水産加工の面は旧態依然たる形でありまして、このままでは到底大臣の今までおつしやつておられるような効果はむずかしいのであります。御飯とお茶といつたような感じでなしに、主食副食という区別なしにやつて行くならば、今日の青少年は恐らくその習慣に慣れるのじやないか、我我みたいに年とつたものはなかなかそれだけに行きませんが、今日の青少年パン食を非常に喜びます。又このパン食と一緒に食べるところの食事に、水産物を当てるということは非常に必要なことであるが、併し現在ではそれがまだぴつたり行かない。この水産加工の面を大いに研究する必要があるのじやないか、この面に対して御当局はどういうふうな考えをお持ちになつているか、なおこの日本全国水産加工業者がたくさんございますが、これが協同組合を組織し、そうして曾つて統制時代相当食糧供給の面に努力をいたしたのでありますけれども、その後自由時代になりまして、これらの組合が非常にいろんな面から、原因はいろいろありますが、いわば不振の状態を来たしております。そうしてこれは丁度漁業協同組合が当面しているような状態になつておりまして、加工業者はその痛手によつて一向伸びないという恰好にあります。勿論数は少ないかと思いますが、この水産加工協同組合を更に生かして、そういう面に活躍させるためには、どうしてもこれを救済しなければならんのではないかと思います。その方法といたしまして、現在漁業協同組合再建整備法というものがありまして、協同組合はそれによつていろいろ便益を與えられて再建を図りつつありますが、これには同じ水産の両輪の一輪を持つております加工業者は何らこの恩典に浴することができない。そこでこの加工協同組合というものも、漁業協同組合と同じように再建整備法の中に加えてこの再建をして行くことが私は最も今日必要ではないか、大臣がかねがね仰せられているところの食糧問題を解決する上にも非常に必要な問題だと考えますが、この点を大臣は如何に考えておられますか、何とか加工協同組合漁業協同組合と同じように再建整備法によつて救済する御意思はないか、その二点をお伺いいたします。
  8. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 支那海等における拿捕の問題でありますが、これは全く我々頭を悩ましておるのでありますが、近頃は中共政府拿捕された船員を再教育してよこしておるような状況でもありますので、非常に心配をいたしておるのであります。今後平和が回復した後における対策はどうかというお話ですが、先ほど申上げました通り、まだその段階にはなつておりませんので、我々は愼重にやりたいと思いますが、私たちとしては日本海上保安庁の力を増して行つてこれを守ることが一点であり、なお又今行政協定をやつておる最中でありますが、私は岡崎君によくこれは申入れをいたしておるようなわけであります。それから今まで総理を通じ、或いは外務省を通じていろいろ申入れをいたしておりますが、なかなか思うよう参りません。非常に迷惑をかけていることは残念でございます。  それからあとの水産物食生活に及ぼす影響度ということでありますが、これはまだ戦前の水産物を攝取した率に達していないのでありまして、我々はますますこの水産物総合食糧の一環としてこれを食糧に供しまして食生活の改善を図る考えでおるのであります。それに関連いたしまして、加工業者の問題でありますが、これも戰前ほどの域に達していないことはお説の通りでありますが、この協同組合外における人の加工業者に対しても再建整備方途と同じ方途を講じてくれないかということでありますが、これは十分愼重に検討いたしたいと思います。
  9. 青山正一

    青山正一君 北洋の問題についてお尋ねいたしたいと思います。或いは大臣お答えできない分は、一つ水産庁長官から補足願いたいと思います。大体先般の委員会において水産庁長官から懇切丁寧な御説明がありました。私も農林省の行き方について賛意を表していた次第でありますが、その後の御当局の動きを見ますと、必ずしも従来の農林省の御方針と何かしら変つているように思われるのであります。というのは、一応その話は私としては打切つたわけでありますが、やはりざつくばらんに私の疑問とするところを御質問いたしたいと思います。  第一点の質問農林省はもと満業総裁高崎達之輔氏日魯日水大洋、この三社の行き方から、いつまでも平行線であるという理由調停を依頼したとかいうような風評が飛んでいるのでありますが、それが事実であるかどうか。或いは高崎氏のほかにもと日水の専務の植木謙吉氏とか、或いは大洋の副社長の中部謙吉氏、この三者で調停してもらうというような噂もあるわけでありますが、その点について御心中をお尋ねいたしたいと思います。第二点の質問は、先般の委員会においては水産庁長官に非常な御決意のほどを承わり、私も大体その方針賛意を表していたのでありますが、どうしてもこういつた調停者を出さなければ納まらんという問題があるのかどうか、その理由を承わりたいと思います。それから第三点の質問は、こういつた各社と関係の深い調停者を出すよりも、むしろその関係の比較的薄い、而もその面に非常に常識のある木下辰雄あたりを、或いはその他のおかたを、この日魯日水大洋、そういうふうないわゆる関係者以外の調停者を出したらいいじやないかというようなことも考えられるわけでありますが、その点についても承わりたいと思います。第四点の質問は、若しその調停者が、仮に伝えられるところによりますと、「かに工船あたりは四億かかる、船を作るにいたしましても三カ月かかる、対外的にも講和條約がまだ済んでいない、「かつお」、「まぐろ」の関税の問題もあり、非常な微妙なデリケートな問題があるから、今年度は「かに工船などをやめたほうがよいというような調停を仮に下した場合、農林省はその調停案を鵜呑みにするかどうか、その点について農林大臣なり或いは農林大臣お答えできないところは一つ水産庁長官から承わりたいと思います。そのお答えによつて更に再質問いたしたいと思います。
  10. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 北洋漁業出漁に対しまする方針は何ら変つておりません。それから調停者を依頼したという事実はございません。自発的に皆さんで御相談をなさつておるようであります。それから又調停を依頼する段階までには私はなつていないと思います。自発的に皆さんで必ずまとめて頂けると信じております。  それから対外的の問題でありますが、「まぐろ」に対する関税その他或いはアメリカ漁民或いは製罐業者等を刺戟しないために、今回は出漁を見合せたらどうかというお話でありますが、これに対しては農林省最初方針通り、條約発効後直ちに出漁ができるような準備を進めて行くことに変つておりません。
  11. 青山正一

    青山正一君 水産庁長官、何かそれについて補足を……。
  12. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今大臣の御答弁の通りでございます。それで関係者お話合いをするときに、やはりその話しにくいというふうな点を申したことがありますし、これはどうやつたら君たちまとまるのかという意見に対しては、やはり先輩にも間に入つてもらつてそれでまとめて行くほうがまとまりやすいかもわからん、こういうことを言つておりました。で、適当な先輩を入れてそれで話を業界として早くまとめるということは、私らのほうもそれは結構だ、こう言つておりますから、私のほうもそれは結構だと思いますと言つておりますし、その程度のことをまあ誤まつて伝えられておると存じます。
  13. 青山正一

    青山正一君 これは衆議院の今朝の質問にもあつただろうと思いますが、一部の「かに工船などは先ほど申上げた通り今年度は中止して今後むしろ外国、つまり米国資金を仰いで日米合弁会社を作るというような話で、話をその調停者が進めておるというようなふうでありますが、この合弁会社が果して適当であるかどうか、これについて政府の見解をお示し願いたい。それから第二点は「かに」の問題といい、鮭鱒の問題といい、目魯とか、或いは日水大洋或いは北太平洋協同組合、いろいろ新聞紙上を繁し問題になつておるようでありますが、国内問題でなく、いわゆる国外的な問題ですね、対外的なこれは何と申しますか、水産外交、この水産外交というものがどこまで推し進められているか、その点について一つお聞きいたしたいと思うのであります。そうして例えば先ほど申上げたように、調停者が言われるように、この現在の段階において米国当局が国内的にこの目魯日水大洋或いは北太平洋協同組合が「かに工船或いは鮭鱒の保存をめぐつていろいろ争つておる、こういう事実が米国に伝わつて米国のほうで中止命令が来るとか、或いは日米加漁業協定は仮調印したけれども、新たにやり直すというような変な噂も立つておるわけなんですが、これについてそういつた場合、日本の主張を堂々飽くまで推し立てて行くお気持があるかどうか、その点について承わりたいと思います。
  14. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 非常に対外的の問題でありまするので、我々はこれを愼重に取扱つているつもりでおります。で、只今水産外交とおつしやいましたが、我々は水産を通じて世界の人類に貢献したい考えでおるのであります。又ごの日米加三国の協定ができたばかりのときに、争つて醜い姿を見せちやいかんじやないかということでありまするので、最初から我々のほうは「かに工船一つ、それから鮭鱒については五十杯以内というように非常に愼重考えてやつておるわけであります。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 先ほどの私の質問を補足いたしておきたいと思いますが、大臣水産加工の問題につきまして、いわゆる再建整備法を適用してもらいたいということを、個人的にというふうに御解釈になつているのじやないかと思います。私のほうはそうじやなくて、水産加工協同組合漁業協同組合と同じような協同組合が非常に困窮しておりますので、これを漁業協同組合というのを水産協同組合と申しますか、或いは加工協同組合も含めた再建整備法として救済する御意思はないか、かようなことでございまして、個人的の問題じやございません。そういう意味において、もう一つ考えがあればお答え願いたい。
  16. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは私よく知りません。相談いたします。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それじや水産庁長官から一つ
  18. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは当初預金業務を扱つているような組合に限りというふうな方針であつたために、大蔵省との折衝において、これは一年以上、一年も前のことなんで、私当時の詳細のことは知りませんけれども、その当時の折衝の経過を一遍調べて検討したいと、こう考えます。
  19. 千田正

    千田正君 大臣が早く見えられれば、もうとうにお尋ねしようと思つてつたのでありますが、それはこの自由党内閣になられてから水産行政の面における長官が代ること四度ということは、誠に水産業務に携わつておる人たち、或いは漁民人たちにとつては遺憾なことでありまして、一年に一一回くらいずつ長官が代る、こういうことは水産というものを日本の産業のウエイトから見ましても甚だ遺憾だと思いますが、このたびの藤田長官が免職された、この点につきましては、新聞紙上に伝えるところによるというと、廣川農林大臣が御就任になると同時に反政府的なあれだというので職を免じたと、こういうふうに新聞が伝えております。漁民並びに水産関係する我我からいたしまするというと甚だその点は不明でありまして、どういうために切つたのか、自由党内閣に対して忠誠を誓わないからお前はやめてしまえ、こういうことになりますと、曾つてのいわゆる自由党憲政会等争つた当時の派閥闘争というような面が行政の問題にまで現われて来るということは、日本の将来のために決してよろしいことではないと思いますので、この際当時の状況をはつきり大臣から御説明を願いたいと思います。この点をお願いしたいと思います。  もう一つは、今度の内閣一つの政策のうちに行政機構改革、この点がありまするが、長年の間漁民水産省設置の問題を請願しておりましたにもかかわらず、未だに相変らず局の毛のはえたような水産庁なるものが現存して、我々がこうやつて苦闘を続けておるわけであります。けれども、この間の政府の発表と言いますか、巷間伝うるところによるというと、いわゆる省をむしろ圧縮して、今までの省を改廃する、統合するというような意味のことも言つておりますが、この行政機構改革に伴うところの水産行政大臣はどういうふうに考えておられるか、これもしばしば質問申上げましたごとく、太平洋進出その他のマツカーサー・ラインの消滅と同時に、日本漁業界一大進展のまさにスタートを切ろうとしているときにおきまして、この国内における水産行政の問題については相当今後ウエイトを強くかけて考えて頂かなければならない今日におきまして、今後の行政機構改革に対しましては大臣はどういうふうにお考えになつていらつしやるか、この二点をお伺いいたしましす。
  20. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 前の水産庁長官が退職したいきさつはどうかということでありますが、これは決して私に反抗したとか、自由党に反抗したとかいうことでございません。これは後進に道を開いてくれたのであります。而も又今年ラインも外れ、新たな出発をするときでありますから、有能な元気のある長官をお願いしたわけであります。それから行政機構のことですが、今日三時頃に行政庁長官から内示案があるようでございます。まだ一切厳秘にしておつて新聞等がいろいろなことを書いているようですが、我々もまだ聞いておりません。併しこの水産行政が重大であることはよく承知いたしております。
  21. 松浦清一

    松浦清一君 中共拿捕船の問題でもう少し伺つておきたいのですが、私は曾つて前に廣川さんが農林大臣をしておられるときに御出席願つてお聞きしたことがあるのですが、講和條約が締結されて一つも得の行かないのは日本漁業界である、それはやはり中共、それからソ連との関係において日本の今日までの遠洋漁業の最も重要な地点でありた東支那海や、ソ連に近接した北洋関係漁場が開放されないということでお伺いを申上げたことがあるのですが、その後拿捕船の問題についてしばしば御質問申上げるたび、ごとに、外務省を通して総司令部から向うに交渉をしておる、精一杯努力をしておる、こういうことであつたわけです。そこで一体これから、まあそういう方向によつて今日の日本の現在を努力するよりほかに途はないと思うのですが、将来の東支那海方面拿捕を免かれるための準備としては、やはり海上保安庁の船を殖やして警備を一層厳重にして、強化して行く、こういうことをしばしばおつしやておられるのです。誰が考えてもそういう方法以外にはないと思うのですが、どのくらい海上保安州庁の東支那海警備が強化されるか、それは知りませんが、若し強化して行つた結果、向うはやはり拿捕しようとして出かけて来る、こちらはそれを防備しようというので態勢を整える、そこで衝突するというと、どういうことが起るかというと、これは想像に難くないのであります。当面そういう方法をとらなければならんが、それよりももつと重要なことは、これからは中共ソ連に対してやつぱり漁業協定を結ぶ努力をここで抑わなければいかん講和條約ができないから、そういう協定はできないのであるかも知らんが、必ずしもその講和條約全般に亘るものができなくても、東支那海カムチヤツカ方面漁場に対する協定などというものに対して、日本政府努力を拂われるということは当然の話であると思うのです。又そういうことをお考えになつておれば、現在どのような努力が携われ、どのようなお考えを以て臨んでおられるかということ。それから一月二十七日に向うから帰つて来ました百八十名ほどの乗組員から事情を聴取して見ますというと、相当やつぱりあのほうの筋の教育をされているということを承わつているわけなんです。この連中が帰つて来たのは、日本政府の、今まで御報告を承わつている外務省を通して、総司令部を通して交渉した結果百八十名というものが帰つて来たのであるか。向うが教育を完了したら、このくらいなら日本に帰しても大丈夫だということで日本に帰したのか、その点についてわかつているならお答えを願いたい。
  22. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 中和になつて得をしないのは水産関係方面のみであるというのですが、やはり平和になつた利益を、これは南のほうで十分私は得ていると思いますが、不幸にして中ソ等においてはまだそこに行つていないことを残念に思います。併し米国を通じての話ではありますが、「らつこ」、「おつとせい」條約についてはアメリカがソヴイエトに呼びかけているようであります。それから又我々も世界の平和を望むのでありますから、早くこういう協定というか、條約というか、そういうものができることを私は望んでおります。併し現段階においてはなかなかむずかしいことだろうと思います。それから最後の日本政府の希望によつて司令部を通しての努力によつてつたか、それとも教育をしたから帰してよごしたのかというお話でありますが、この間についての細かい消息はよく存じておりません。
  23. 松浦清一

    松浦清一君 それからもう一つ、今の秋山委員のほうからお伺いしておつた北洋の「かに工船鮭鱒の問題なんですが、聞くところによりますというと、今大臣から御答弁がありましたように、自主的に業界で相談し合つて話合いの付くようにしろと、こういう態度で政府のほうは臨んでおられる。こういうわけですが、そこで内容は最初水産庁長官からここで承わつたときには、鮭鱒と「かに」のほうと一つ会社にさせるのだ、こういうことであつたから、若しその話合いが、業態が違うので話合いが付かなかつた場合にどうするのかとお伺いしたところが、それはそのときに必ず一緒にしなければならんことはない、こういうことであつたのです。これは政府のほうから言明を得たのではないが、今までの経過を聞いて見まするというと、鮭鱒と「かに」のほうとでは大分業態が違うから、二つの会社でもいいんだという態度に政府は変つている。自主的に話合いをさせているが、実際の話合いの協議の結果というものがなかなか進捗していない。はたから見ていると、こうぐずぐず話していると、今度の漁期には間に合わないのじやないかという心配も我々はなからしている。若し話合いが付かなかつた場合に一体どうなさるかということで、農林大臣は今判定を下されるかどうかということが問題だろうと思いますが、あなたがおつしやるように、何とか話をまとめてくれると思うと楽観をしておられて、その通り行けばいいんですよ。皆が円満に摩擦なしに体制ができるというのであるならば結構ですが、どうしてもそれぞれの会社に得失があるようですから、そう簡単には行かないように見える。若し話がまとまらなかつたら、今度はやめてもいい、今年は行かんでもいいという考えなのか。そのうちで一番いい方法大臣が判断をして、こういう工合にやれと、こういう工合になさるおつもりか、その点を承わりたい。
  24. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 大分むずかしい話になつたようですが、私たちは本当に自主的にやつて皆さんやはり利益を得ることが第一なんですから、もうそろそろ算盤で割切つてもらいたいと思つております。それから又出漁準備等ですが、これも傭船なり或いは自己所有船なりを持つている会社があるはずでありまするので、そう時間をかけなくても私は出られると、こう信じております。それから最後に、話の付かない場合にはどうするかというのですが、飽くまで私は話ができると、こう信じております。それからやらないという方針は国は持つておりません。どんな方法を講じてもやはり最初の年ですから出したい、こういう決心であります。
  25. 松浦清一

    松浦清一君 それからこれ又二番煎じになりますけれども行政機構改革の問題で、最近新聞に伝えられるところによると、農林水産省ができる、こういうふうになつている。我々の委員会では、今まで水産省を別に設置すべきだ、こういう見解をとつて来ているわけです。この理由は申さなくても、農業と水産と相並行して、世界の無限な海域に公海自由の原則に基いてその鵬翼を伸ばしてたくさんの魚をとつて来る。このためにはどうしても水産省というものを設置しなければならないというのが我々が今日までとつて来た態度であります。それが若し政府が今日発表するように農林水産省となつた場合に、今水産庁のやつている所出管事務というものはどういう形で行われようとしているのか、今日三時から詳しい発表があるということなんですが、若しそうならば、その場合どうなさるか、それを承わりたいと思います。
  26. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 実はまだはつきり聞いていないのです。
  27. 松浦清一

    松浦清一君 非公式に聞いているのではありませんか。
  28. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) あなたのような考えは、我が党の議員諸君も同じ主張をいたしておるのです。併し非公式に開いておるのではないかという話ですが、これは本当に私は聞かないでおるのです。(笑声)その後のあれですが、案を見てから善処いたしだいと思います。
  29. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私もその問題でありまして、大臣が聞いておられないというのは、まさか廣川大臣がこの行政機構を何にも知らないということは誰が聞いても受け取れないのです。(笑声)私も自由党内閣行政機構の簡素化をやり、行政整理をやるということに対しましては何ら異存はないのでありますが、ただ必要なものは殖やして行かなければならない。外務省もこしらえなければならないでしようし、必要によれば何でも殖やして行かなければならないが、今同僚委員がそれぞれお述べになりましたように、これから先の水産業については内外共に非常な重要な問題を孕んでおると思う。そこで水産省の設置を熱望しておるわけでありまして、全国漁民八十万の署名をとり、超党派的に議会でも八十七名の議員提案となつて、現在内閣委員会で審議を重ねて今日に至つておりますが、その事実は恐らく大臣御承知のはずである。そういう民意のあるところをお考えになりましたる上で、この行政機構改革に対して何も知らないということは私は大臣は言えないと思うのです。そこでこれに対して日本三百万の漁民の気持をお汲みになつて発表になられたものに対する所管大臣として、一つ十分に漁民の心持を生かすべくお働きを願いたいと思います。現在水産庁となつておりますが、更に農林水産省となつて内局になるということは私はないのではないかと思うのであります。こういうふうに考えまして、この報を得ました水産関係者は非常に落胆いたしております。今日何としても政府のやることだから仕方がないと言えばそれまででありますが、この盛上つて来た熱意をそのまま何ら顧みないで処置するということは、私どもとしては誠に堪えられない感じがいたしますので、今日如何なる発表がありますか知らないが、恐らく過般来しばしば発表されている範疇を出ないのじやないかと思うのでありますが、その際非常に強い政治力を持つておられる我が農林大臣に、これが打開する方法について一つ努力して頂きたいということを特にお願い申上げます。
  30. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 行政機構を簡素化して、そうして税の軽減を図るということは私たちの年来の主張であります。併し盛上つて来ておりますこの水産庁関係の役所に対してのあなたの熱意は非常に私よくわかりますが、発表を見てから、その前いろいろなことを私は申伝えてはおりますが、十分善処いたしたいと思います。
  31. 松浦清一

    松浦清一君 もう一言ちよつと長官に伺つて見たいと思うのでありますが、小型機船底びき網漁業整理特別措置に必要な三億二千万円という予算は、この要求額は閣議では通つているのですか。
  32. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは通つております。
  33. 松浦清一

    松浦清一君 昨日この法案が衆議院を通つたということなんですが、この委員会でこの問題が審議中になつておりまして、千六百隻の減船をやつて四万八千人の失業船員が出る。こういうことはお役所のほうから頂いた数字でありますから確かなのであります。そこでこの補償金の内容を今まで審査の過程において伺つて来ましたところによるというと、船員の失業に対する補償金というものは、この補償金のうちに入つておらないという説明を承わつて来たわけであります。実際四万八千人の船員が失業するかどうかということは、これは確実な数はわかりませんけれども、これらの船員は労災保險も船員保險も失業保險も適用されておらないのであります。家族で乘つている船もありましようが、全然雇用関係で結ばれて、使用人という立場で乘つている船員もいるわけであります。これに対して失業手当もやらなければ、解雇手当もやらない、こういう建前じや困ると思います。その点一体どういうふうに考えておりますか。ここで前に伺つたときには船員の補償金というのは入つていないと、こうはつきりした説明を伺つておりますが、そうすると、業者と乗組船員との間に圧力が起り、やはり失業手当をもらわなければ困るという要求が出ております。使用者のほうはそういうものは入つていないと突つぱねる、こういうことになると両者の調整はうまく行かない、こういうことになりますが、しばしば私どもが要求いたしました通り、何とかそういう問題が起らないように、船員の失業手当がこの中へ入るように努力を願いたいと思います。その経過と今後どうされるかを伺つておきたいと思います。
  34. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) その件についてはずつと労働省のほうと交渉を進めております。労働省のほうの意見としては、経営者的な立場に乘組員が立つような形態ではなかなかむずかしいというふうなことを申しておりまして、それで形態といたしましては、水産組合的なものならばその中に包含してできるのじやないか、こういう意見も持つているようでございます。で、近く大体話合はできるのじやないか、こう思つておりますけれども、まあそうしますれば小型底びき等においては、とにかく或る一定期間船を止めて小釣、延繩といつたようなことをやる場合も適用されるというような形になつて、かたがた本当の失業の場合だけでなくて、かなり広くそういう点に恩典が加わるのじやないか、こう思つておりますけれども、まだ決定には至つておりません。法制的にはなかなかむずかしいことを申しております。
  35. 松浦清一

    松浦清一君 それからちよつと……。
  36. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 法案審議の場合にそれは一つお願いいたします。今日は農林大臣に対する一般質問をお願いいたします。
  37. 松浦清一

    松浦清一君 いや、大臣に聞いておかないと、大分ワンマンみたいなところがあるから、大臣にはつきり聞いておかないと、俺知んぞと言うような虞れがあるから……。それでは長官の御答弁でいいのですね、大臣
  38. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) ええ。
  39. 松浦清一

    松浦清一君 だから実際に減船整理をする前に失業保險手当がやれるようやつて下さい。それならいい。そうしないと……。
  40. 青山正一

    青山正一君 これは廣川さんにお尋ねしたいと思いますが、廣川さんが前に農林大臣をやつておられるときに、例の中央市場法を、手数料を六分に引上げるについて、中央市場法を改革するとか、こういうふうな言質を與えておられるわけなんです。今度は一つ是非ともこれは、一月あとにおやりになろうと、二月あとにおやりになろうと、その前に一つ中央市場法の改正をしてもらいたい。先般の委員会におきましても話がありましたが、最近農林省が非常に冷淡極まるということで、各中央市場側、例えば東京都或いは大阪、京都、神戸その他の中央市場の市場長あたりが通産省に移管するというふうな問題が非常に大きく調われているわけなんです。そういつたことのないように一つはつきりと、例えば生産者の希望する要項も多いと思います。或いはその他荷受機関の整備或いは仲買人の整備、或いは仲買人の法制化というようないろいろ問題があります。そういつた問題を一つ在任中にその前の約束を是非とも一つ果して頂きたいということの言明を得たいと思いますから、どうぞ。
  41. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 承知いたしました。
  42. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私からちよつと一言農林大臣にお願いを申上げておきます。廣川君が農林大臣になられてから水産の各面に対しては非常に努力をされて、私ども見るべき実績が非常に多いと思います。例えば金融問題に対しても非常に御関心がありましたし、文公共事業費の漁港船溜りの修築においても年々非常に殖えております。又近くはルース台風に対する対策も近く国会に出されるということを聞いております。これは漁民に対しても非常に福音でありまして私ども衷心感謝いたします。先に松浦千田委員からお話のありました水産行政の拡充強化というのを謳つている。又自由党の議員の大多数、社会党の殆んど全部、民主党の全部が賛成して、そうしてさつき松浦君が言われたように、八十七名が提案をして今かかつております。私は水産行政が拡充強化しないために日本が受けている損失は非常に大きいと思う。一例を申しますと、昭和二十五年度において対米の「まぐろ」の油罐詰が百七十二万出ている。その金額が百三十五億、これは前古未曾有の輸出であります。その年の生糸が百五十億であるから、生糸に次ぐ輸出である。これが急に四割五分の関税なつたために、昭和二十六年度においては油罐詰が一凾も出なかつた。この損失は非常に大きい。これは業者も怠慢であろうが、私政府当局の怠慢の結果であろ、うと存じております。これまでの水産行政が拡充強化されて、輸出面その他に対しても十分なる関心があれば、この損失は免かれたのじやないか、かように残念に思つております。今後マツカーサー・ラインの撤廃と共に、公海漁業の進展ができ、又増産も相当期待されて、その一部分を又輸出に向けなければならんというような場合でありますし、現在の水産庁を以てしても私どもは甚だ不満足と思つている矢先に、どうも新聞の伝うるところによると、水産局にするというような話を聞きます。先ほど農林大臣はこれに対しては十分関心を持つて努力するとおつしやいましたが、どうか閣議の場合においては、この水産行政の拡充強化については万全の努力を拂つて頂きたいということを私切に希望いたします。
  43. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 承知いたしました。   —————————————
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 道府県漁業協同組合連合会の会長の代表者のかたから本委員会に陳情したいという申出があります。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 異議ないと認めます。それでは陳情を許可いたします。どなたか代表して発言をお願いいたします。
  46. 伊藤佐十郎

    参考人伊藤佐十郎君) お許しを得まして陳情の要旨を述べさして頂きます。水産業協同組合法中の一部改正についてのお願いであります。  要旨は第八十九條の漁業組合連合会の規模制限撤廃をお願いしたいということで、これは今日初めてお願い申上げるのではなく、水産業協同組合法の制定当初から我々の一貫した要望としてしばしばお願いを申上げ、我々の陳情なり、請願なりは委員会においてその都度御採択を願つておるわけであります。併し諸般の事情から今日までこの法の改正が実現しておりません。勿論私どもといたしましては、戦前からの沿岸漁業団体の全国連合としての動きについて、過去において相当の痛手もこうむつておりますし、いろいろ批判の対象になる問題等もありますので、集中排除的な考え方を抜きにいたしましても、軽率に全国連合を作つて振廻すということについては相当の危惧を感じ、且つ反省しなければならない点があるということを認めざるを得ないのであります。併し法制上の建前といたしましては、そういうことのために若し羮に懲りて膾を吹くというようなことであつては、これは全く奇妙な話でありまして、法制上の建前から言えば、これは一日も速かにこの制限は撤廃して頂いて、そうして沿岸漁民の盛上がる力によつて、いつでも全国連合が発足できるような態勢を作り上げて頂きたいということであります。ところがこの問題につきまして、今日まで全国の連合会長が集会を重ねまして、しばしば検討いたしておるのでございますが、組合法の制定当初におきましては、周囲の事情から申してどうしても指導連より発足しなければ可能性がないというようなふうに見られておつたのであります。漸次情勢の推移に伴いまして、御承知のように只今まで全国漁村経済協会という団体を作りまして、若干の活動を続けておりますけれども、指導事業に専念するにいたしましても、それに対する財政的な裏付けというものが欠くる点がありまして、今日までの経営には相当の苦心が拂われ、且つ難航を続けて参つておるわけでありますけれども、全国団体として今後すつきりした姿で行くためには当然に法の改正によつて連合会の形はとらなければなりませんが、当初指導連の可能性が漸次事業連で行くべきである、事業を行いつつ指導事業を行うべきであるという方向に変つて参りまして、而もこれを如何なる形において、どういう仕事から着手して行くかということが目下盛んに検討されているわけであります。今月に入りましてから、対策のために推進委員会というものを設けておりまして、漁村経済協会の役員その他若干の地方団体の役員が参加いたしまして、推進委員会において議をまとめ、一応これならばやつて行けるのではないかという案を作つたわけであります。これは私ども日頃法律の改正をお願いするにいたしましても、ただ法の改正だけをお願いする、寺が曲つたためにお経が読めないというような注文を付けて下さつては困るので、むしろ如何なる受入態勢の下にこれを推し進めるかという、自分たちの仲間としての対策のほうに重点を置いて行くようになつて参りました。本来なれば販売事業を中心として発足するのは系統運動の常道ではありますけれども、今直ちに全国組織を持つて販売行為を開始するということについては相当の難色を示しておりまするので、丁度今日我々の感じておりまするのは魚価の値上りということも大幅には期待できなくなつている。生産は漸次上昇しているが、魚価をこれ以上大幅に吊り上げるということは困難な事情であるように見られるので、むしろ生産費の逓減、経営の合理化という面のほうをより多く取上げなければならん、ややもすれば、あたかも農業会の肥料購買、漁業における石油燃料の問題というものが非常に大きなウエートを占めておりますし、これは現在各県連の事業分量の中において相当の割合を示しております。ただ遺憾なことには、全国各連平均に進んだのではなくて、特定の団体においては非常な成績を収めておりますが、未だ全然この購買事業に着手していない連合会もあると思われますので、同時に発足して、同じ責任の下に出発するということは困難な状態にありますけれども、いろいろ資料によつて検討し、意見を交換いたしました結果、現状において系統で賄つていた四万キロ内外のものについては、むしろ見積としては過少なくらいである。これを基礎にしていろいろ計算いたしました結果、大体経営上の、バランスも確信を得る程度まで見通しが付いたわけでありまして、併しややもするというと、この経費を得るために、或いは収益のために無理な仕事をでつち上げるというような傾向にならないとも限りませんし、そういう傾向に陷ることは過去の団体の経歴から申しまして非常に一般から警戒されている面であります。そういう点からいたしまして取りあえず今回は石油の購買事業を中心とし、すでに実績を上げている連合会を中核といたしましてこの購買を一本にまとめるような操作、例えば輸入各社に対する団体交渉によつて、値引きなり、還元なりの問題を闘いとるとか、そういうような方法を基礎として、漸進主義を以て仕事をやつて参りたいというふうに考えているわけであります。そこで漸次販売事業なり、それに附随する水産倉庫とか、製氷、冷凍という問題も将来は考えられますけれども、大風呂敷は禁物である。極く堅実な漸進主義をとるという意味において、只今申上げたような構想で一つ出発したい、これをやるとすれば、各県連のやつている事業の実績から言いまして、流通面においては大した資金も要しないで着手はできるのでありますけれども、全国組織として発足する以上、少くとも相当の資金量も確保しなければいけないが、今各連の内情はそう簡単に参りませんので、一応組織は出資一億程度、これも一挙に出資するということは容易ならざることでありますので、大体そうした第一年次において二分の一、二年次、三年次にその四分の一程度ずつを積立てて 一億程度の出資にしたい。これに対してこの仕事に関連する固定施設、これはいろいろ両院において御心配を願つており、且つ獲得できましたところの農林漁業特別融資の関係政府資金のほうにも関係を持たして頂きまして、例えば石油の場合においてはタンクなり、輸送設備なり、そういうものを系統ごとにうまく配給網の確立するようにやつて参りたいということも一応考えているわけであります。この問題につきましては国会にお願いするばかりでなく、水産庁の御当局とも篤と常時連絡をとりまして、そして法の改正があれば直ちに発足できるような具体案をまとめるまで、今後も引続き私どもとしてはこの研究と工夫を重ねて参りたいと思つております。今日までの段階におきましては、一応全国連合は事業連を主体として指導を併せた組織とすること、規模も大体その程度にして購買事業から堅実にやる。要するに団体交渉とか、斡旋というような仕事が中心になつて、大きい収益は期待できませんけれども、これは事業の進展に伴つて自然増收が図られるというような考え方を持つております。これが今日までの大体の結論でございますが、なおプランはどういうふうに作りましても、今後最後に問題となる、果して全国組織として信頼を得られるかどうかという問題についてはいろいろの問題があります。  最後にはこの組織の構成、内容、人事等に至るまで広く天下に公表して、恥じないような信頼できるものを作り上げなければならないと思うのでありますが、未だそこまでは進んでおりませんし、勿論今後結論としてそういう問題も御相談申上げなければならない機会が出て来るかと思うのでありまするけれども、要するに国会の各位におかれましては、私どものこういつた研究の成果によつて全国組織を発足するに際しまして、いつでも活動のできるようなこの法の制限撤廃、このことを従来もお願いはしておりますが、引続き御努力をお願い申上げたいというふうに存じまして、日頃いろいろとこの問題について御心配を頂いておりますし、私どもとしても漸次只今申上げるように考え方が固まつてつておりますので、中間報告かたがた速かに法の改正について御処置あらんことを要望いたす次第であります。
  47. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この法の八十九條撤廃問題は、請願としても、陳情としても再々委員会を通過し、満場一致で本会議も通過しております。十分御陳情の趣きは委員会において検討いたしまして結論いたしたいと存じます。  かかつておりまする法案の審議はこの次の委員会に讓りまして、本日はこれを以て散会いたします。    午後二時三十四分散会