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参考人(
伊藤佐十郎君) お許しを得まして陳情の要旨を述べさして頂きます。
水産業協同組合法中の一部改正についてのお願いであります。
要旨は第八十九條の
漁業組合連合会の規模制限撤廃をお願いしたいということで、これは今日初めてお願い申上げるのではなく、
水産業協同組合法の制定当初から我々の一貫した要望としてしばしばお願いを申上げ、我々の陳情なり、請願なりは
委員会においてその都度御採択を
願つておるわけであります。併し諸般の事情から今日までこの法の改正が実現しておりません。勿論私
どもといたしましては、戦前からの沿岸
漁業団体の全国連合としての動きについて、過去において相当の痛手もこうむ
つておりますし、いろいろ批判の対象になる問題等もありますので、集中排除的な
考え方を抜きにいたしましても、軽率に全国連合を作
つて振廻すということについては相当の危惧を
感じ、且つ反省しなければならない点があるということを認めざるを得ないのであります。併し法制上の建前といたしましては、そういうことのために若し羮に懲りて膾を吹くというようなことであ
つては、これは全く奇妙な話でありまして、法制上の建前から言えば、これは一日も速
かにこの制限は撤廃して頂いて、そうして沿岸
漁民の盛上がる力によ
つて、いつでも全国連合が発足できるような態勢を作り上げて頂きたいということであります。ところがこの問題につきまして、今日まで全国の連合会長が集会を重ねまして、しばしば検討いたしておるのでございますが、
組合法の制定当初におきましては、周囲の事情から申してどうしても指導連より発足しなければ可能性がないというようなふうに見られてお
つたのであります。漸次情勢の推移に伴いまして、御承知のように
只今まで全国漁村経済協会という団体を作りまして、若干の活動を続けておりますけれ
ども、指導事業に専念するにいたしましても、それに対する財政的な裏付けというものが欠くる点がありまして、今日までの経営には相当の苦心が拂われ、且つ難航を続けて参
つておるわけでありますけれ
ども、全国団体として今後すつきりした姿で行くためには当然に法の改正によ
つて連合会の形はとらなければなりませんが、当初指導連の可能性が漸次事業連で行くべきである、事業を行いつつ指導事業を行うべきであるという方向に変
つて参りまして、而もこれを如何なる形において、どういう仕事から着手して行くかということが目下盛んに検討されているわけであります。今月に入りましてから、
対策のために推進
委員会というものを設けておりまして、漁村経済協会の役員その他若干の地方団体の役員が参加いたしまして、推進
委員会において議をまとめ、一応これならばや
つて行けるのではないかという案を作
つたわけであります。これは私
ども日頃法律の改正をお願いするにいたしましても、ただ法の改正だけをお願いする、寺が曲
つたためにお経が読めないというような注文を付けて下さ
つては困るので、むしろ如何なる受入態勢の下にこれを推し進めるかという、自分
たちの仲間としての
対策のほうに重点を置いて行くようにな
つて参りました。本来なれば販売事業を中心として発足するのは系統運動の常道ではありますけれ
ども、今直ちに全国組織を持
つて販売行為を開始するということについては相当の難色を示しておりまするので、丁度今日我々の
感じておりまするのは魚価の値上りということも大幅には期待できなくな
つている。生産は漸次上昇しているが、魚価をこれ以上大幅に吊り上げるということは困難な事情であるように見られるので、むしろ生産費の逓減、経営の合理化という面のほうをより多く取上げなければならん、ややもすれば、あたかも農業会の肥料購買、
漁業における石油燃料の問題というものが非常に大きなウエートを占めておりますし、これは現在各県連の事業分量の中において相当の割合を示しております。ただ遺憾なことには、全国各連平均に進んだのではなくて、特定の団体においては非常な成績を収めておりますが、未だ全然この購買事業に着手していない連合会もあると思われますので、同時に発足して、同じ責任の下に出発するということは困難な
状態にありますけれ
ども、いろいろ資料によ
つて検討し、意見を交換いたしました結果、現状において系統で賄
つていた四万キロ内外のものについては、むしろ見積としては過少なくらいである。これを基礎にしていろいろ計算いたしました結果、大体経営上の、バランスも確信を得る
程度まで見通しが付いたわけでありまして、併しややもするというと、この経費を得るために、或いは収益のために無理な仕事をでつち上げるというような傾向にならないとも限りませんし、そういう傾向に陷ることは過去の団体の経歴から申しまして非常に一般から警戒されている面であります。そういう点からいたしまして取りあえず今回は石油の購買事業を中心とし、すでに実績を上げている連合会を中核といたしましてこの購買を一本にまとめるような操作、例えば輸入各社に対する団体交渉によ
つて、値引きなり、還元なりの問題を闘いとるとか、そういうような
方法を基礎として、漸進主義を以て仕事をや
つて参りたいというふうに
考えているわけであります。そこで漸次販売事業なり、それに附随する
水産倉庫とか、製氷、冷凍という問題も将来は
考えられますけれ
ども、大風呂敷は禁物である。極く堅実な漸進主義をとるという
意味において、
只今申上げたような構想で
一つ出発したい、これをやるとすれば、各県連のや
つている事業の実績から言いまして、流通面においては大した資金も要しないで着手はできるのでありますけれ
ども、全国組織として発足する以上、少くとも相当の資金量も確保しなければいけないが、今各連の内情はそう簡単に参りませんので、一応組織は出資一億
程度、これも一挙に出資するということは容易ならざることでありますので、大体そうした第一年次において二分の一、二年次、三年次にその四分の一
程度ずつを積立てて 一億
程度の出資にしたい。これに対してこの仕事に関連する固定施設、これはいろいろ両院において御心配を
願つており、且つ獲得できましたところの農林
漁業特別融資の
関係の
政府資金のほうにも
関係を持たして頂きまして、例えば石油の場合においてはタンクなり、輸送設備なり、そういうものを系統ごとにうまく配給網の確立するようにや
つて参りたいということも一応
考えているわけであります。この問題につきましては国会にお願いするばかりでなく、
水産庁の御
当局とも篤と常時連絡をとりまして、そして法の改正があれば直ちに発足できるような具体案をまとめるまで、今後も引続き私
どもとしてはこの研究と工夫を重ねて参りたいと
思つております。今日までの
段階におきましては、一応全国連合は事業連を主体として指導を併せた組織とすること、規模も大体その
程度にして購買事業から堅実にやる。要するに団体交渉とか、斡旋というような仕事が中心にな
つて、大きい収益は期待できませんけれ
ども、これは事業の進展に伴
つて自然増收が図られるというような
考え方を持
つております。これが今日までの大体の結論でございますが、なおプランはどういうふうに作りましても、今後最後に問題となる、果して全国組織として信頼を得られるかどうかという問題についてはいろいろの問題があります。
最後にはこの組織の構成、内容、人事等に至るまで広く天下に公表して、恥じないような信頼できるものを作り上げなければならないと思うのでありますが、未だそこまでは進んでおりませんし、勿論今後結論としてそういう問題も御相談申上げなければならない
機会が出て来るかと思うのでありまするけれ
ども、要するに国会の各位におかれましては、私
どものこうい
つた研究の成果によ
つて全国組織を発足するに際しまして、いつでも活動のできるようなこの法の制限撤廃、このことを従来もお願いはしておりますが、引続き御
努力をお願い申上げたいというふうに存じまして、日頃いろいろとこの問題について御心配を頂いておりますし、私
どもとしても漸次
只今申上げるように
考え方が固ま
つて参
つておりますので、中間報告かたがた速
かに法の改正について御
処置あらんことを要望いたす次第であります。