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1951-12-15 第13回国会 参議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十二月十五日(土曜日)    午前十一時十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            玉柳  實君            櫻内 義雄君   政府委員    水産庁長官   藤田  巖君   説明員    水産庁次長   山本  豐君    水産庁漁政部経    済課長     奥田  孝君    水産庁漁政部漁    船保險課長   伊藤  茂君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (ルース台風災害復旧資金に関する  件) ○漁船損害補償法案要綱に関する件   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  先ず最初に今回のルース台風対策に関する件について水産庁から御説明を求めます。
  3. 山本豐

    説明員山本豐君) 今回のルース台風に対しまする対策といたしまして、いろいろ水産庁でも資料を牧集いたしまして、被害額の大体見当をつけまして、これに対する対策をいろいろ研究いたしたのでございますが、御承知のように大体公共事業につきましてはこれはまあ單に水産漁港方面のみならず広く各般に亘つておるのでありますが、これらにつきまして、閣議におきましてとりあえず繋ぎといたしまして十一月の十九日でありましたか、十五億円これを繋ぎに出す、これは要するに国庫金指定預金として預託をいたしまして、それを振替に各銀行、これも被害地銀行が主でありますが、例えば鹿兒島県興業銀行とか、或いは山口銀行広島銀行大分合同銀行というようなそういう銀行と、農林中金と商工中金というように融資機関が指定されておりまして、そのほか更に第二段といたしまして、閣議の線で大体五十億程度を取上げるということになつたのでありますが、その際に水産庁といたしましては、公共事業漁港については先ほど申上げたようなラインで参るわけでありますが、特に今回の台風におきましては漁船が多数沈没或いは大破いたしたのであります。そこで漁船だけがどうしてもそういう一般の枠では困る、何とか漁船のみの枠を是非設けてもらいたいということを強く要望いたしまして、その結果大体預金部運用資金を二億五千万円程度中金に出しまして、そうして中金から漁船資金を出す、こういうふうな一応総枠だけが決定を見たのであります。それでこれをまあどういうふうに流しますか、又各県別にどういうふうに割当をするかという問題を只今大至急にいろいろ練つおるのであります。それにいたしましても、農林中金がこれらに対する融資をいたす場合に、先般も問題になりましたいわゆる損失補償のつきました漁業災害融資というふうな法律前提としないと、なかなか農中としても不安で出せないというような意向もありますので、この法律は事務的な問題には多少難点があるのでありますが、是非来春早々にでもこの法律と、先般から問題になつておる漁船保險法律等は是非提案いたしたいと考えておるのでありますが、そういうような含みで二億五千万円の一応枠が決定を見たのであります。詳細なそれらの内容につきましては、経済課長から御説明いたします。
  4. 奥田孝

    説明員奥田孝君) それでは大綱につきまして次長から説明がありましたのですが、なおお配りしました資料につきまして簡単に御説明を加えたいと思います。  先ず被害額でありますが、これは各県からの報告をまとめたものでございまして、これによりますると、漁船被害額は、隻数にいたしまして一万九千五百十隻、二十八億三千六百万円余りになつております。漁具につきましては一万六千百六十統、十一億六千二百万円余りになつております。それから養殖施設につきましては三億四千四百万円ばかり、合計いたしまして四十三億四千五百万円という被害額報告されております。このうち最もひどいのは鹿兒島県で、ございまして、被害額の約四割は鹿兒島県被害でございます。この被害に対しまして復旧資金がどれだけ要るかということを県に照会いたしました結果、これを集計いたしましたものが次に掲げてあります。二十六年度と二十七年度に分けてありますが、それを合計いたしました数字は、漁船につきましては約十六億、漁具につきましては十二億、養殖施設につきましては四億、合計いたしまして三十二億九千万円ばかりの復旧資金を要するという報告が参つております。ここで御注意をお願いいたしたいことは、漁船保險金見込が僅か四千三百万円しかないということでございます。只今漁業災害補償制度といたしまして僅かに漁船保險制度があるのでございますけれども、現実には被害があつた場合に僅かこういう数字しか保險金として手に入らないというような状態でございまして、こういう数字から見ましても、我々としましては漁船保險制度の拡充を急がねばならんという工合に痛感いたした次第でございます。  それから対策経過でございますが、先ずこの復旧資金資金源を求めるということに努力いたしたわけでございます。それで我々としましては先に申上げましたように、県からの復旧資金要求額は三十二億もございますけれども、これを本年度中に何とか政府裏付するということはとても不可能でありますので、一応の目安としまして二十億程度財政資金裏付をしてもらいたいということで関係の各方面に折衝いたして今日まで至つておるわけであります。その結果今日までにきまりましたのが第一が国庫金指定預金預託でございます。総額十五億円でありまして、九十日間或る特定の金融機関預託するということがきまつたわけであります。それで主として被害地銀行国庫金余裕金預託するということがきまつたわけであります。これによりまして農林中金に三億五千万の預託があつたわけでありますが、ただこの金は何分短期のものでありまするし、一時の繋ぎ的にしか使えない金でありますので、これを復旧資金として活用することは非常に狭い限界が置かれておるわけであります。特に漁業だけに預託されたわけじやありませんので、一般産業がすべてこれに掛つて行くわけでありますので、この預託金につきましては、我々は余り期待できないと思つております。  それからその次が資金運用部資金による農林債券引受けでありまして、資金運用部から五十億の金を公共事業等繋ぎとして出すことにきまりました際に、その五十億のうち二億五千万を漁船復旧資金として出すということがきまつたわけであります。その二億五千万円の出し方は農林中央金庫が発行いたします農林債券引受けるという形で出すことにきまつたわけであります。御承知のように資金運用部金融債引受けるのは全額引受けができませんで、半額までしか引受けができませんので、資金運用部から二億五千万円の金を出すためには農林中央金庫といたしましては五億の農林債券を発行いたしまして、そのうち二億五千万円を資金運用部引受けてもらい、あとの二億五千万円は市中で消化するということになるわけでございます。この金融債による資金源は三年の長期資金源になりますので、漁船その他の復旧資金といたしまして非常に適当な資金であります。農中といたしましては、この五億の農林債券を十二月中に一億、一月から三月までの間に四億発行するということで只今準備を進めておるわけであります。で、この資料の括弧内に書いてありますことは、最初漁船復旧資金として十五億八千万円という数字を出して要求いたしましたところ、そのうち五億円は今申上げました農林債券による資金で賄うということになりまして、その残額についてはイで申上げました国庫金指定預金十五億ありますが、そのうちから何とか出してもらえるということにきまつたのでございますけれども、この預託金はさつき申上げましたように、漁業だけに使えるものではなく一般向けのものでありますので、それでは困るから漁船復旧資金のために特に十億円の預託金増額してもらいたいという要求只今出しておるのでありますが、これははかばかしく進みません。併しこの預託金というものは性質上長期のために廻せないものでありますので、我々としましてはむしろこの資金運用部資金引受けによる農林債券の五億の金を有効に活用したいと思いまして、只今農林中央金庫と折衝いたしまして、この資金の有効な活用方について準備を進めておる次第でございます。それで今後の問題でございますが、一応乏しいながら資金源が或る程度取れましたので、今後の問題としましては、やはり資金源をなお増額するという努力は続けて行かねばなりませんが、この次に問題になりますのは、折角取りました資金源もいわゆる金融べースで融資するということになりますると、災害を受けました漁業者がなかなか融資が受けられないということになりますので やはり国家がその融資について援助を與える必要があると思います。その援助のいたし方としましては、そこに掲げましたように、金融機関に対しまして国家融資損失補償を與えるということと、それから利子補給をするということであります。この対策につきましては、昨年度のキジア、ジエーン台風の際にもいろいろ考えまして、参議院におきましてもいろいろ御協力、御鞭撻を頂いたわけでございますが、実現しなかつたのでありますが、このルース台風被害は従来の災害にも増して特にひどい所もありまして、是非ともこの機会にこの制度を確立したいと思つておるわけでございます。その内容といたしましては、融資額の三割を政府が保証いたしまして、更に県が二億とありますが、二割の間違いであります。県が二割の保証をする、合計五割を保証いたします。そして利子補給としましては年四分の割合で利子補給をするというような制度考えておるわけでございます。で、これには法制的措置予算的措置が必要でありますので、法制的措置といたしましては、今国会中に法案を成立させる必要がありますので準備を進めておるわけでございますが、予算的措置といたしましては、二十七年度予算利子補給額とそれからそれに若干の事務費を必要としますので、それを只今大蔵省要求中であります。大体今日までの経過と今後の問題につきましては以上の通りでございます。
  5. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か御質問ございませんか。
  6. 千田正

    千田正君 このルース台風災害復旧の、被害漁船一万九千五百十隻、このうちには曾つて只今審議し、又且つ今まで我々が愼重に審議しつつあるところの小型底曳整理対象になる船舶がこの中に含んでありますかどうですか。
  7. 奥田孝

    説明員奥田孝君) これは含んでおります、おりますが、その数字につきましては只今のところまだはつきりつかんでおりません。
  8. 千田正

    千田正君 若し含んでおるとするならば、これは当然整理しなければならない対象の船でありますが、この際こういう問題を一気に解決する一つ立場から申しまして、そういう整理対象になるものに対しても政府融資資金或いはこの利子補給等をやつて、そういうものを補給するということは矛盾しているように考えますが、その点に対しては政府側としてはどういうことをやろうというお考えを持つておられますか。
  9. 奥田孝

    説明員奥田孝君) その点につきましては、整理されるべきような漁船が再び建造されることがないように、各県から復旧資金申込みを……被害者金融機関復旧資金申込みをいたします際に県で十分検討いたしまして、整理されるべきような漁船の代船が作られるようなことがないように県に指示してやつております。
  10. 千田正

    千田正君 そうするというと、実際は損害を受けておるのだけれども、整理対象の船であつたが故に代船は作れない。併しながら損害は当然受けておるという苦しい立場にある、そうした人たちに対しては、ルース台風によつて失われた船といえどもいわゆる整理対象の船になつたとするならば、只今審議中のいわゆる小型底曳船に対するところの整理法案に基きまして、それを補償してやるとか、転業させるというような方法に持つて行くつもりですか。それともどうするつもりなんですか。
  11. 山本豐

    説明員山本豐君) これは台風被害地の問題もいろいろあるのでありますが、鹿兒島県等におきましては、今御指摘のようなそういうふうなことが比較的少なかろうと思うのであります。併し広島とか、山口とか、愛媛県もありますが、こういう内海方面には御指摘のような船が相当に混つておると思うのであります。そこで内海のものについては御承知のような補正予算をとつておりまするが、それらとのやはり繋がりも十分考えて措置して参るのが本当であろうと思うのであります。併し鹿兒島県あたりにおきましては、これは該当の船は若干はありましようが、到底その補正予算では賄いも付かないのでありますし、実際には整理をするということになりましても或いは来年度以降になりはしないか、かように考えますので、そこら辺は十分按配をいたしましてやつて参りたい。それから又仮に整理するといたしましても、その該当船であるかどうかということの調査というものはまだ現在できておりませんので、多少時期的にズレがございます。そこで応急的な問題としましては、やはりそういう頭で以て仕事はしなければなりませんが、例えば個人有のものをできるだけこれはよくよく事情のあるもの以外は認めないようなことにして、共同経営に切り換えて、又協同組合をして代船を先ず一ぱい認めてやるとか、そういうような指導の仕方によりまして、或る程度将来の全体の計画を立てる上に邪魔にならんように持つて行きたい、こういうふりに考えておるわけであります。
  12. 千田正

    千田正君 その点において、私はその調査が或る程度杜撰だと思うのです。それで私自身の個人考えから言えば、禍いを転じて福にするような方法考えるべきだと思う。そこでこういう際に整理対象になるべき人たちに対しては、今次長がおつしやつたよりに、一括して代船なら代船を、補うものを作つて転業させる、そのための火害補償をしてやるというふうに水産らのほうで親心を持つてスムースにこの問題を解決する一つのいいチヤンスじやないか、こう思いますので、愼重にその点は考えて頂きたいと思います。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の御説明によりまして、資金源の問題が一部決定をしたようでありますけれども、漁船においてみますというと、少くとも十億円という復旧資金を必要とするものに対しまして、本当に役立つと思われるものは農林債券補給金によるところの五億円じやないかと思います。先ほどのお話にもありましたように、国庫金預託というものは僅か九十日しかないということになりますと、恐らく実情にはこれは副わない。仮に九十日を以て融資を受けるにしても、これを返還するところの目安は五億円しかないということになりますと、三分の一程度である。而もこの五億円というものはなかなかそうスムースには行かないのじやないかと思いますので、ここに更に十億の預託金増額要求中であるとおつしやつたが、若し十億参りましても九十日くらいでは殆んど実際面には役立たないのじやないか。そうすると別途にいわゆる長期、少くとも二、三年の長期資金を工夫しなければ、これではたとえ急の際に出してもらつても使えないと思います。その点について何かあとの十億というものを、これはまあほんの間に合せ程度のものであつて仕事の役に立たないと我々は思うが、他に何か方法考えておられませんか。ただこれに繋がつておれば何とかなるというお考えですか。九十日ではどうもならんと思いますが。
  14. 山本豐

    説明員山本豐君) この五億円の問題でありますが、これ以外に十億円のまだ未解決の問題があるのでありますが、実は五億円がありましても、元になりますのは二億五千万円でありますが、これも当初はそのうち五千万円は漁船以外の木造艦その他にというような話もありまして、それを強引に農林債券に結び付けた結果、一応予定通りの五千万円がこつちに参つたのであります。併し御説のように長期資金が結論としては必要になつて参りますので、現在の私たち考えとしましては、例の損失補償を伴う一つ融資法案というものを、どうしてもこれを出すについてもいろいろと農中或いはその他からも、條件付というわけじやありませんけれども、相当強く言われておつたのであります。そういうわけで一つ損失補償の伴う融資法案というようなものを早急に一つ具体化いたしまして、それを運用することになりますると、これは初めから長期になるわけであります。漁船なら仮に五年なり十年なんということになろうと思いますが、そういうふうな方法だけでは解決しないので、融資財源の問題も非常に問題があると思うのでありますが、そういう方法を続いて第二の手を打ちまして、それによつてつて参りたい、こういうつもりでいるわけであります。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それは大変結構だと思いますが、現在その法案を作成中であるというようなお話ですが、見通しはどうなのでございますか。政府部内においてこの補償制度及び補給制度、或いはそれらを実施するための資金源と申しますか、二十七年度予算に計上される補給額なり或いは元になる資金が果してそれが或る程度見込があるか。あるとすればどれくらいの見当か……
  16. 山本豐

    説明員山本豐君) この補償予算は、これは初年度は大して要らない、ほんの利子補給だけの問題であります。補償は少くとも融資期限が仮に七年なら七年としますと、七年後に起きる問題でありますので、後年度の問題になりまするので、取りあえずはその二十七年度なら二十七年度融資されるであろう元金の利子補給額だけであります。極めて僅かな金額のことであります。五千万円くらいに過ぎないのでありまして、ですからその点では大蔵省でもそう私は困難じやないと思うのでありますが、ただ大蔵省ではこれは恒久的な制度になりますと、そうしますと単にその水産だけについてそういう特別な制度が果して農業その他と比較して設けるということが一体、その程度論ですけれども、いいかどうか、こういうような問題が事務的には相当大蔵当局も批判的な態度に出ておりまして、相当困難性があるのであります。併し先般来この台風の起きましたときにもこの問題を蒸し返しまして、そうして衆議院のほうでは自由党の政調会なり総務会にはこれは保險のほうとこの法律両方要綱程度でありましたが説明いたしまして、両方とも満場一致でお互いにやろうということで、すでに政調会長も結構だというふうなことで、党としては全部賛成を一応表しておるわけであります。従つてこれは事務的だけではなかなか困難性がありますけれども、そういう政治的な含みを以て打出して参りますれば、差当つて予算というものは大したことはありませんので、私はむしろこれによつて実際に融資する財源ですね、そのほうが実際としてはこれは非常に難問題じやないかと実は心配しておるのであります。法律自体についてはそういう事情でありまするので、私どもとしましては或る程度期待も持つておりますし、是非これは何か議員提案か何かのような形で、衆議院のほうで一つ休開明けの際に是非持つて行きたい、これと保險と一緒に出してもらいたいと、こういうふうに私は期待しておるわけであります。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今のお話にありましたが、この資金源といいますか、この法案によつて借りることができることになつた場合に、どこから借りるのかという問題でございますね、これは今のお話市中銀行というようなものも考えておられるようですが、これはもう一般市中銀行或いは農中、こういつたように特別にその政府の何かの機関から出すのでなくて、一般金融機関から融資せしめる、こういう肚なんでございますか。
  18. 奥田孝

    説明員奥田孝君) 只今秋山委員から御意見がありましたように、さつき申上げました十億の預託金増額というのは実は余り金融の本筋から言いますと期待のできない金でありまして、我々としましては、やはり長期資金源獲得する必要があると思います。それで取りあえず年度といたしまして、農林債券として五億の資金源獲得できましたので、これにプラス融資損失補償及び利子補給をつけますれば、通常ならば金融ベースに乗らないものも融資対象となつて浮かび上つて参りますので、これで以て融資がかなり円滑に動いて行くという工合考えます。そうした場合に、それじや五億の資金源では足りないということになりますれば、その分は一般市中資金に頼るということになるわけであります。それで我々の今作つております予算数字といたしましては、本年度中に十四億三千万円の融資があるということを前提といたしまして、利子補給額なり、損失補償の限度をはじいております。併しその十四億三千万円のうち資金的な裏付のあるものは僅か五億でありまして、あとの九億三千万円は一般市中資金に頼ることになるのでありまして、その点は資金源の点が甚だ心許ないわけであります。そこで普通ならばなかなか出難いわけでありますが、それを損失補償なり、利子補給を付けることによりまして、普通なら出難い市中資金をできるだけ引つ張り出して行くという考えであります。それで我々の考えといたしましては、一応これでスタートいたしまして、融資の申込が非常に多いと、とても資金源関係で満足に補給融資が行われないというような事態に追い込まれると思いますので、そういう場合には来年度の問題といたしまして、更に長期資金源獲得に努めて行きたいと、それは例えば資金運用部による金融債の引受というような形でなお出して行きたいという工合考えております。取りあえずは先ずこの場合この程度でスタートして、その結果でなお資金源獲得に努めたいと、かように思つておる次第であります。
  19. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 実際問題といたしまして、この資金長期資金でなければならんのに、市中金融機関ではとても一年の期間のものは私はむずかしいと思う。況んや二年三年となれば、たとえ利子補給があろうと、この利子補給というものは銀行は何ら関係のないことであつて利子を拂うほうが助かるばかりで、もらうほうはちつとも助からない、又損失補償にいたしましても、そういう五年なり三年なり先の問題であるし、現在金融が詰つておる際に、二年半とか三年とかいう長期資金は私はとても市中金融機関では絶対だめだと思う。だからこういうものは市中金融機関に依存する考え方は初めから捨てて、他の方法に全力を注がなければ、形の上ではいいけれども実際の役に立たないと思うが、お見通しは如何ですか。
  20. 奥田孝

    説明員奥田孝君) 全く仰せの通りでございまして、一番いい方法といたしましては、只今あります農林漁業資金融通特別会計にそういう災害復旧資金を計上いたしまして、政府が直接の救済、復旧融資をするという形が一番いいと思うのでありますけれども、いろいろな関係でその点が実現がむずかしい事情がありますので、現状といたしましては、こういう形でやつて行くより仕方がないという工合考えます。
  21. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつとこれは何でしよう。昨年来奥田案として検討したあの方法でやるのでしよう。それだと私は資金源が五億円でもこれは相当多いのではないかと思うが、そのことを委員一つ説明なつたらどうですか。
  22. 山本豐

    説明員山本豐君) これは御承知だと思うのですが……。
  23. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 問題はですね、金額の問題です、金額がもうちつとなければどうにもこうにもならない。恰好はついておるけれども、実際運用する場合に幾らも行き渡らないのですね。
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問はございませんか。
  25. 玉柳實

    玉柳實君 補償法案に入ります前に漁港関係被害高なり災害査定状況並びに予算措置状況を簡単でよろしうございますから、ちよつと御説明願いたいと思います。
  26. 山本豐

    説明員山本豐君) 実は今資料を持つておりませんので、はつきりした数字は申上げかねるのでありますが、一応私たちの手許では整理してございます。御必要がありますればあとでお届けいたさせますが、それによりまして被害額を基礎にいたしまして、一応の予算要求ということは安本にいたしておるわけでありますが、現在安本におきまして過年度災害の問題、例えば二十三年、二十四年、二十五年、この問題がルース台風がありましたがために、実は十億近くの予備金の残を過年度災害に如何に割当てるかということで大体の案ができておつたのでありますが、ルース台風のためにそれが一応お流れになつておるのであります。我々としましてはこのルース台風の問題が非常に急ぐのでありますが、一応繋ぎの形でこの五十億というものが割当てられておりますので、そこで過年度災害のほうを一つできるだけ早く解決いたしまして、続いてルース台風の問題も、これは漁港だけではありませんが、港湾その他も含めて具体化したい、こういう段取りで今差当つてつております。
  27. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと私から質問しますが、被害漁船で一万九千五百十隻になつておりますが、これを単価で割つてみますと、およそ一隻平均十四万円くらいですが、これは沈没船も或いは修復可能船も全部加わつた数ですか、どうですか。
  28. 山本豐

    説明員山本豐君) そうです。
  29. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) その内訳、或いは件別がわかつておりますか。
  30. 奥田孝

    説明員奥田孝君) 只今ちよつと持つて来なかつたのでありますが、委員長のおつしやいました数字水産庁にございます。
  31. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) あとでよろしうございますから何かお配りを願いたい。  ほかにございませんか……。ございませんければ次に移ります。   —————————————
  32. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に漁船損害保險制度の問題を議題に供します。保險課長から簡単に御説明願います。
  33. 伊藤茂

    説明員(伊藤茂君) お手許にあります漁船損害補償法案というのが大体只今要綱程度でございますが、すでに法律案も部内では大体固まりまして、今農林省の文書課その他法制局その他と折衝を開始しようというところになつております。この要綱につきまして簡単に御説明申上げますと、今までの漁船保險法は独立採算を建前といたしまして、而もその主要な目的は、小さい船を主として引受けるというところに目標がありましたが、これを今度損害補償法というのに改めまして、現行のようにやはり政府が再保險をする漁船保險の事業を行う漁船保險組合のほかに保險事業の合理化等の事業を行う漁船保險中央会を設ける。それから保險をするための事務費の一部を国庫負担とすると共に小型漁船についての義務加入制を設けて保險料の一部を国庫負担とする。保險金支拂の円滑を期するために基金制度を設ける、これが制度内容の骨子でございます。  で漁船保險組合が従来はやはり各地に業態別と地域別と二つありましたが、今回もやはり地域と業態に分れることは分けますけれども、今度は業態組合のほうは主として資本漁業その他大きい企業形態のものを以て組織する、地域組合のほうは原則として漁業協同組合の組合員たるべきものを以て組織する、こういう工合に組合の性格を二つにはつきり分けまして、補助の対象は主としてこの地域組合に置くということでございます。問題となるのは漁業協同組合単位としての義務加入の制度でございますけれども、この義務加入は二十トン未満の漁船全部につきまして、協同組合が総会の決議によりまして、その定款の定めによつて一括加入をした場合に保險料の割引国庫補助をしようとするのであります。  なお義務加入を一応そういう枠を、網を被せますけれども、除外することのできる船といたしましては、無動力船その他特別の事由のある漁船即ち不稼動船のごとき一応陸に引揚げたままの船のようなものもこの対象から除き得ることができるという工合にしております。義務加入に該当する漁船についての保險金額は、但しここに制限を設けまして或る程度以上入らなきやならん、一応保險価額、つまり船価の百分の五十以上は加入しなければならん、併し特別な事由があるものについてはこれを半分まで下げることができる、こういう制限を設けました。従来のごとく小型船はほんの僅かばかりしか入らないというようなことでは、実際ことが起つたとき意味がないからというのがこの思想であります。それから漁業協同組合は義務加入の漁船については保險料を牧集して加入者に代つて漁船保險組合に協同組合が拂込む責任を負う。それから義務加入に該当するかどうか、或いは義務加入をしたらどうだということを勧告するために都道府県に漁船保險審査会という公的な組織を設けよう、それから義務加入の斡旋をしてくれた漁業協同組合には拂込保險料の百分の十に該当する交付金を漁業協同組合に対して漁船保險組合が交付する、これは手数料の意味であります。そのほか再保險関係は現行通りでありまして、一応特殊保險は現在のまま、それから漁船保險中央会の組織はこういう組織、事業はこういうことと、こういう工合にきめておりますが、問題は第三の国庫負担の項でございますけれども、政府の再保險その他漁船保險に関する事務費の全額を国庫負担とする、これは従来漁業者の負担する保險料の一部から賄われておりましたけれども、これは今度は全額国庫負担にしてもらう、これは大体大蔵省主計局と話合いが付いております、それから地域組合の事務費の百分の五十に該当する補助金を国が負担する、これは大蔵省では家畜共済の例をとつて三分の一にしてくれというお話であります。それから漁船保險組合が義務加入等をする漁業協同組合に対する事務費の交付金、これについてはまだ話合いが付きませんです。今朝も行つて交渉して参りましたのですが、まあこれは考えて頂きたいということを強く主張しております。それから保險料の国庫負担、国庫は義務加入の漁船については純保險料の百分の五十に該当する額を持つ、この件につきましては大体了解を得たようであります。その次の基金等の国庫負担につきまして、普通保險の基金一億五千万円、それから特殊保險の基金五千万円、合計二億円の基金につきましては、これは大蔵省はうんとまだ言つておりません、了承しておりません。それから再保險特別会計の赤字補填三千万円についても大蔵省はまだ了承しません。で、一応法人格等は現行通りでございます。それから漁船保險審査会を設けることも現行通りであります。経過措置といたしましては、結局現在の漁船保險組合は新たな法律に基いて作られた漁船保險組合とみなしてしまいまして、権利義務をそのまま継承して、非常に速かに新制度に切替えるような経過措置をとりたい、とこう考えております。大体以上であります。  それからもう一つお手許に差上げました資料は、これはこの保險料の国庫負担の関係でございますけれども、先ず第一枚目の水産庁案と書いてあります一等上が零トンから四・九トン、五トンから十九トンという範囲の船に強制義務加入の線を押付けた場合に、国としては相当の加入があるもの、つまり約十二万隻のこの部面において加入があるものとみなしまして、一億四千万の保險料国庫負担を要求しているわけですが、これに対しまして衆議院関係水産委員会におきまして、常任委員会におきましてこれを五十トンとする、或いは七十トンとする、百トンとする、二十トンの線を上に延ばして行くという場合にどの程度保險料国庫負担が要るか、それを計算して見ろというお話がございましたので、一応やりましたのが、五十トンまで延ばせば一億七千万円、七十トンまで延ばしますれば一億九千万円、百トンまで延ばしますれば二億七千万円というような程度の国庫負担が要ることになります。二枚目の紙は大蔵省がいろいろの制限を設けておるわけです。つまり例えば二十トンまでの加入につきましても、私のほうは十二万隻入ると見ましたが、大蔵省は七万七千隻程度にとどめたらどうか、そう一躍四倍以上にも上るわけはないのだから三倍ぐらいのところにとどめたらどうだ。こういうお話がございましたので、それによつて計算しますると、大蔵省の案で行きますると、九千万円の国庫負担、それからこれを五十トンまで延ばしますれば一億三千万円、七十トンまでなら一億五千万円、百トンまででは一億七千万円という程度の国庫負担が要る、こういう資料でございます。
  34. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か御質問ありますか。
  35. 千田正

    千田正君 この第一の目的の「この法律は、漁船につき、事故に因つて生ずることがある損害を填補することにより、」というその事故というのは何らの規範もない、どんな事故をも負担するという意味ですか。
  36. 伊藤茂

    説明員(伊藤茂君) これはいわゆる保險事故でございまして、特殊保險の拿捕、襲撃その他のつまり戦争保險事故に該当するものは、特別に特殊保險に加入しなければ支拂われないわけであります。それから事故と申しましても故意に生じた事故はこれは免責になると思います。
  37. 千田正

    千田正君 普通の損害保險の場合は、やはりそうした規定がはつきり法案に謳つておらないというと、ただ事故ということであれば、如何なる事故に対しても請求し得ることになります。この点は愼重考えたらいいと思います。
  38. 山本豐

    説明員山本豐君) これは実は要綱でございますので、今の御希望の点等も当然考えなければならぬところだと思います。そこでただ普通の保險用語というものもございましようから、それらをよく検討いたしまして、法律を実際作る場合にはそういう点は手拔かりないようにいたしたいと思います。
  39. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 今三、の基金等国庫負担は、大蔵省でまだ承認しないということですが、すでに大蔵省ではここへ大蔵省案まで作つて出しているが、この程度までよろしいという意味ですか。
  40. 伊藤茂

    説明員(伊藤茂君) 一等上の二十トンまでの分ならば、大体大蔵省で呑んでおるわけです。十九トンまでという線で九千万円の国庫負担、これは大蔵省は大体呑んでいます。
  41. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この補償法案は多年の要求であつて一日も早く成立せしめたいという希望を全漁民が持つておるのですから、水産庁としても早く大蔵省と折衝をされまして、再開劈頭提案ができるような準備をお願いしたいと思います。  なおいろいろ御意見もあると思いますが、時間も来ましたので、本日はこれにて閉会いたします。    午後零時七分散会