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説明員(伊藤茂君) お手許にあります
漁船損害補償法案というのが大体
只今要綱の
程度でございますが、すでに
法律案も部内では大体固まりまして、今農林省の文書課その他法制局その他と折衝を開始しようというところにな
つております。この
要綱につきまして簡単に御
説明申上げますと、今までの
漁船保險法は独立採算を建前といたしまして、而もその主要な目的は、小さい船を主として
引受けるというところに目標がありましたが、これを今度
損害補償法というのに改めまして、現行のようにやはり
政府が再
保險をする
漁船保險の事業を行う
漁船保險組合のほかに
保險事業の合理化等の事業を行う
漁船保險中央会を設ける。それから
保險をするための
事務費の一部を国庫負担とすると共に小型
漁船についての義務加入制を設けて
保險料の一部を国庫負担とする。
保險金支拂の円滑を期するために基金
制度を設ける、これが
制度の
内容の骨子でございます。
で
漁船保險組合が従来はやはり各地に業態別と地域別と二つありましたが、今回もやはり地域と業態に分れることは分けますけれども、今度は業態組合のほうは主として資本
漁業その他大きい企業形態のものを以て組織する、地域組合のほうは原則として
漁業協同組合の組合員たるべきものを以て組織する、こういう
工合に組合の性格を二つにはつきり分けまして、補助の
対象は主としてこの地域組合に置くということでございます。問題となるのは
漁業協同組合単位としての義務加入の
制度でございますけれども、この義務加入は二十トン未満の
漁船全部につきまして、
協同組合が総会の決議によりまして、その定款の定めによ
つて一括加入をした場合に
保險料の割引国庫補助をしようとするのであります。
なお義務加入を一応そういう枠を、網を被せますけれども、除外することのできる船といたしましては、無動力船その他特別の事由のある
漁船即ち不稼動船のごとき一応陸に引揚げたままの船のようなものもこの
対象から除き得ることができるという
工合にしております。義務加入に
該当する
漁船についての
保險金額は、但しここに制限を設けまして或る
程度以上入らなきやならん、一応
保險価額、つまり船価の百分の五十以上は加入しなければならん、併し特別な事由があるものについてはこれを半分まで下げることができる、こういう制限を設けました。従来のごとく小型船はほんの僅かばかりしか入らないというようなことでは、実際ことが起つたとき意味がないからというのがこの思想であります。それから
漁業協同組合は義務加入の
漁船については
保險料を牧集して加入者に代
つて漁船保險組合に
協同組合が拂込む責任を負う。それから義務加入に
該当するかどうか、或いは義務加入をしたらどうだということを勧告するために都道府県に
漁船保險審査会という公的な組織を設けよう、それから義務加入の斡旋をしてくれた
漁業協同組合には拂込
保險料の百分の十に
該当する交付金を
漁業協同組合に対して
漁船保險組合が交付する、これは手数料の意味であります。そのほか再
保險関係は現行
通りでありまして、一応特殊
保險は現在のまま、それから
漁船保險中央会の組織はこういう組織、事業はこういうことと、こういう
工合にきめておりますが、問題は第三の国庫負担の項でございますけれども、
政府の再
保險その他
漁船保險に関する
事務費の全額を国庫負担とする、これは従来
漁業者の負担する
保險料の一部から賄われておりましたけれども、これは今度は全額国庫負担にしてもらう、これは大体
大蔵省主計局と話合いが付いております、それから地域組合の
事務費の百分の五十に
該当する補助金を国が負担する、これは
大蔵省では家畜共済の例をと
つて三分の一にしてくれという
お話であります。それから
漁船保險組合が義務加入等をする
漁業協同組合に対する
事務費の交付金、これについてはまだ話合いが付きませんです。今朝も行
つて交渉して参りましたのですが、まあこれは
考えて頂きたいということを強く主張しております。それから
保險料の国庫負担、国庫は義務加入の
漁船については純
保險料の百分の五十に
該当する額を持つ、この件につきましては大体了解を得たようであります。その次の基金等の国庫負担につきまして、普通
保險の基金一億五千万円、それから特殊
保險の基金五千万円、合計二億円の基金につきましては、これは
大蔵省はうんとまだ言
つておりません、了承しておりません。それから再
保險特別会計の赤字補填三千万円についても
大蔵省はまだ了承しません。で、一応法人格等は現行
通りでございます。それから
漁船再
保險審査会を設けることも現行
通りであります。
経過措置といたしましては、結局現在の
漁船保險組合は新たな
法律に基いて作られた
漁船保險組合とみなしてしまいまして、権利義務をそのまま継承して、非常に速かに新
制度に切替えるような
経過措置をとりたい、とこう
考えております。大体以上であります。
それからもう
一つお手許に差上げました
資料は、これはこの
保險料の国庫負担の
関係でございますけれども、先ず第一枚目の
水産庁案と書いてあります一等上が零トンから四・九トン、五トンから十九トンという範囲の船に強制義務加入の線を押付けた場合に、国としては
相当の加入があるもの、つまり約十二万隻のこの部面において加入があるものとみなしまして、一億四千万の
保險料国庫負担を
要求しているわけですが、これに対しまして
衆議院関係の
水産委員会におきまして、常任
委員会におきましてこれを五十トンとする、或いは七十トンとする、百トンとする、二十トンの線を上に延ばして行くという場合にどの
程度の
保險料国庫負担が要るか、それを計算して見ろという
お話がございましたので、一応やりましたのが、五十トンまで延ばせば一億七千万円、七十トンまで延ばしますれば一億九千万円、百トンまで延ばしますれば二億七千万円というような
程度の国庫負担が要ることになります。二枚目の紙は
大蔵省がいろいろの制限を設けておるわけです。つまり例えば二十トンまでの加入につきましても、私のほうは十二万隻入ると見ましたが、
大蔵省は七万七千隻
程度にとどめたらどうか、そう一躍四倍以上にも上るわけはないのだから三倍ぐらいのところにとどめたらどうだ。こういう
お話がございましたので、それによ
つて計算しますると、
大蔵省の案で行きますると、九千万円の国庫負担、それからこれを五十トンまで延ばしますれば一億三千万円、七十トンまでなら一億五千万円、百トンまででは一億七千万円という
程度の国庫負担が要る、こういう
資料でございます。