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1952-05-26 第13回国会 参議院 人事委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十六日(月曜日)    午後二時六分開議   —————————————   委員の異動 五月十六日委員北村一男辞任につ き、その補欠として田方進君を議長に おいて指名した。 五月二十一日委員宮田重文辞任につ き、その補欠として工藤鐵男君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     カニエ邦彦君    理事            千葉  信君    委員            溝口 三郎君            森崎  隆君            紅露 みつ君   政府委員    海上保安庁長官 柳沢 米吉君    特別調達庁労務    部長      中村 文彦君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   説明員    海上保安庁総務    部人事課長   中村 幹夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海上警備隊職員給與等に関する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 只今より人事委員会を開きます。  海上警備隊職員給與等に関する法律案と、日本国との平和條約の効力の発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律案、この二つを本日の議題といたします。  先ず海上警備隊職員給與等に関する法律案、これは前回総括的な説明がありましたが、引続きまして、本日はこれに対する質疑をお願いいたしたいと思います。本日の政府側出席者は、海上保安庁長官柳沢君、海上保安庁人事課長中村君以上であります。それから特別調達庁のほうからは、特別調達庁労務部長中村君、説明員として労務部次長山田君、企画課長の木下君、以上であります。それでは海上保安庁からお願いいたします。
  3. 千葉信

    千葉信君 質疑に入る前に議事進行について一言申上げますが、今日の委員会の開会、それから、これから質疑を開始されることについて異議はございませんけれども、この状態では、委員数を申上げることは差し障りがありまするから御遠慮申上げまするけれども、何と言つても余りにこの出席は不可解至極くだと言わなければならない。従来委員長のほうでもいろいろ御努力を願つているところでありまするが、法案審議のためにも、こういう出席状況では私ども前途誠に憂慮に堪えないものがありますので、若しこういう状態が今後とも依然として変化がないということになりますというと、これはやはり相当問題になると思われます。今後委員会を開催されるに当つては、できるだけ委員諸君出席を督励するような方法等について、勿論これは委員長一人の責任ではございませんけれども、例えば委員長理事間においてそれぞれ御考慮の上、もう少し、不まじめだとは申しませんけれども、まじめに委員会を開けるような態勢に持つて行くように、この点について特に委員長善処方を私からお願いしておきます。
  4. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 只今千葉君の御発言尤もだろうと思います。そこで委員長としてもできるだけ努力をして参つたのでありますが、各委員の御都合、それぞれの会派の御都合もあろうかと思いますが、併しながらこういう状態においては今後の議事進行上如何かと思われるので、でき得る限り善処いたしまして早急各会派、或いは議運筆に必要あらば申出て適切なる方法を講じたい、かように思つております。それでは質疑をお願いいたしたいと思います。
  5. 千葉信

    千葉信君 海上保安庁長官に御質問申上げますが、御承知通り政府のほうから今提案されておりまする保安庁職員給與法案、この法律案を見ますと、附則第四項のところで海上警備隊職員給與等に関する法律はこれを廃止するという、こういう附則が出ております。大体この法案が通過するとすれば七月の一日から施行されるわけでありまするが、私どもこの法律案と、現在提案されておりまする海上警備隊職員給與等に関する法律案については少々両案の中に食い違いもあるようでありまするし、廃止される法律であるとは言つても、私どもとしてはやはり或る程度こういう短期間施行が約束されているような法律であつても、法律施行等についてはやはり国会としてはこれらのいろいろな両者の間の抵触する部分、或いは同一でない問題等については両者を勘案しながら審議する必要があるとは考えておりまするが、一体政府のほうとしては七月一日までで効力を失う、廃止される法律をこの際どうしても成立させる必要が若しあるとすれば一体どういう理由があるのか、その点を先ずこの際明確に承わつておきたいと思います。
  6. 柳沢米吉

    政府委員柳沢米吉君) 今年度最初におきまして、予算案その他につきまして海上保安庁警備隊を設けるということに相成つております。従いましてこれにマツチするように海上保安庁法の一部改正の御審議をお願いしたわけであります。この海上保安庁法の一部改正法律案の内容というものは、他にもいろいろありまするが、主として海上警備隊設置ということが主眼目となつて審議願つたわけであります。この海上保安庁の一部改正法律案は四月の二十六日を以て公布せられたという状態に相成つている。従いましてこれに竝行いたしまして、本海上準備隊職員給與等に関する法律案もこれと竝行して御審議願つている次第であります。一方一部改正法律案施行いたされまして、これに伴つて各種機構その他を作り、人員募集等手配をしている状態でございます。従いまして本法律案は御承知通り海上保安庁法の一部改正法律案の公布された日を以て施行するということに相成つている。車の両輪ごと関係に相成つているわけでございます。従いましてこの法案の御審議をできるだけ早くお願いして、出発しました海上警備隊というものの運営を円滑に行いたいというふうに考えているわけであります。なおお話のありました保安庁におきましては、新設さるべき保安庁というものは七月一日を期しまして機構改革の一環として行われるものと承わつているわけであります。これらに対する法案及び給與法案というようなものにつきましては、逐次御審議願つているような恰好に相成つていると思うのであります。併しこれらの問題は我々事務当局といたしましては、先ず予算にきまりました海上警備隊設置というものを海上保安庁法の一部改正によつて行う、これに伴う警備隊職員給與等に関する法律等もできるだけ早く御審議願つてその施行保安庁法の一部改正施行と同日日付を以て施行して行きたい、こういうふうに願いまして、これによつて七月一日に改正すべく、御審議願つているまでの間は、それの通過するかしないは別といたしまして、本法案によつて給與等支給いたさねば支給ができないというような恰好に相成つているわけであります。なお一面におきまして、海上におきまする海上保安庁の増強の問題でございまするが、先般も申上げました警備隊機構その他によりまして、海上船艇その他の整備をいたしているのであります。これらが逐次整備されつつある状態でございまして、早急にこれらに対しての整備手配をしなければならない。従つてこれに対して種々の準備もございまするし、なお御承知通り海上におけるところの船員の養成というような点につきましては、或る程度日にちを要するという関係から、できるだけ早く準備をして進める以外にない、こういう情勢に相成つているわけであります。
  7. 千葉信

    千葉信君 只今答弁にありましたように、海上保安庁法等の一部を改正する法律案施行後におけるこの海上警備隊給與法等関連、まあ、今、車の両輪という言葉でありましたが、そういう形において、当然これは政府としては法律上からも、予算上からもいろいろな点からこの法案成立を希望しておられることはわかりますし、又そういう点からもこの法律案成立の必要なことはわかつております。私の特にお聞きしたいことは、只今の御答弁にありましたように、例えば船舶に対する手配であるとか、或いは警備隊員養成等も問題でございます。そういう問題と関連して、警備隊員としてもうそろそろどうしても給與を実際上支拂わなければならないような事情が生じていると思うのですが、そういう状態がつまりどういう程度海上警備隊職員給與等に関する法律を適用しなければならない人員が、今のところどういう状態になつているか、その点を少し伺つておきたいと思います。
  8. 柳沢米吉

    政府委員柳沢米吉君) 現在におきまして、警備隊に所属する船舶は、アメリカより貸與を受けるようにこちらから要望しておつたわけであります。これらは先刻申上げました通り、千五百トン級の船舶を十隻及び三百トン級の船舶を五十隻というものを貸與を願つているわけであります。これらの船舶のうち、二隻ばかりのものは現在日本に到着している状態であります。これに対しまして一船大体百六、七十名の人員を要するわけであります。これらを補完し、或いはこれらに対して乘組むべき修練を行わなければならないというような関係で、現在におきまして海上保安庁人間等を約五百人を割きまして、これらに対して当てておる状態であります。これらの人員に対しましての給與その他を、やはりこの法律によりまして支給して行かなければならん、かように考えておるわけであります。勿論このアメリカから来ました船舶は、現在まだ正式に貸與されておるものではございませんので、現在その貸與形式等につきまして、文書を作成して向うと交渉しておる状態でありまして、近く公文書ができまして正式に借りるという恰好になるものと思つております。
  9. 千葉信

    千葉信君 私のお尋ねしたいと思つている点は、海上警備隊隊員は、たしかこれは新聞等の広告によりますと、募集を開始されているはずなのです。今のお話によりますと、海上保安庁のほうから大体五百人くらいの人員を差繰つているというお話で、勿論それらの諸君に対しては、新らしい給與法による給與が必要でありましようけれども、その他の募集を開始されて応募された隊員諸君、これは若干あると思いますが、それは一体今採用状況若しくは募集状況はどういう状態になつているか、そういう立場からこの法律成立が急がれているというような状態があるかないか、その点一つ……。
  10. 柳沢米吉

    政府委員柳沢米吉君) 御承知通り海上警備隊人員は六千余で、そのうち現在募集しておりますのは約三千、これは日にちを申上げますと、六月の一日に試験をいたすべく準備をしておるわけであります。そして六月半ば頃採用というつもりでおるわけであります。これに対しまして募集状況でございまするが、募集状況は五月一日に募集を始めました。これは海上保安庁法一部改正の公布されました直後に募集を開始いたしました。五月二十日を締切りに二十日間の募集に対しまして、人員三千に対しまして、現在のところ締切り後まだ正確な数字は出ておりませんですが、二万一千三百五十八というのが応募人員でございます。この比率は大体七倍という恰好に相成つておるわけであります。これらの人間が六月中旬には入つて参りますと、約三千の人間給與ということが問題になるというふうに考えております。
  11. 千葉信

    千葉信君 そういたしますと、一応こういうことも考えられるわけですね。今海上保安庁のほうから差繰られた五百名だけを除いて、大体第一期の募集において採用されると思われる人員は三千人、そして而も実際上採用されて給與等支拂が必要になるのは六月十五日、六月中旬以降、こういうことになる。そして若しも保安庁職員給與法等が七月一日から施行されるということになつて、而も一方海上警備隊職員給與法が若しも成立しないというような場合には、十五日乃至十六日間だけのブランクが生じて、政府としてもこの点については困ると、こういうことが実際問題として起るわけですね。
  12. 柳沢米吉

    政府委員柳沢米吉君) お説のようなことも起りますし、又同時に現在海上保安庁のほうから廻しました約五百人の人数、これらは法の通過直後におきまして、すでに受入態勢のために警備隊の業務に携わつておる、先ほど申上げました通り、すでに船舶その他が参りましたものに対しまして、乘船すべくすでに訓練を始めておる状態でございます。これらの約五百人に対する給與が現在すでに困つておるという状態に相成つておるわけであります。
  13. 千葉信

    千葉信君 海上保安庁のほうから差繰られた職員等については、これは勿論そういうふうに身分が切替えられておれば、問題ですけれども、何と言つてもまだ国会でこの海上警備隊職員給與に関する法律成立していないという段階の中で、いち早くそれらの職員海上警備隊隊員として切替えられておるとすれば、これはちよつと法律上も珍妙な恰好になると思うのですが、併しそれはそれとして、大体私、逐條審議の形に入つて行きたいと思いますが、その点について他の委員から若し質疑があるならば、総括質問のほうを先にやつて頂きたいと思います。
  14. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 総括的な質疑は他にございませんか……。それでは逐條的に御質疑を願いたいと思います。
  15. 千葉信

    千葉信君 これは海上警備隊隊員特別職職員にするという場合に、政府としてはどうして特別職職員等に関する国家公務員法附則第十三條ですが、これの特例法によるという考えをお持ちにならなかつたか、その点を一つ伺いたいと思います。
  16. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 御質問にお答え申上げますが、確かにお示しの通りどもといたしましても、この法案を提案いたしますに際しまして、一応そういうふうにも考えて参つたわけでございます。特別職職員に対しまして、特別職職員給與法が別に出ておりますので、この給與法に織込むということも一つ方法であろうかと、かように考えたのでございまするが、この一般職陸上におきまするこの種の職員と違いまして、殊に警備隊職員につきましては、主として海上に勤務する者が多いというようなことで、勤務形態の違い、その他の勤務環境等考慮いたしまして、むしろ別の單行法として考えたほうが、法的に取扱いやすいのではないかと、かように考えまして、只今指摘とは違いましたような別個の法体系をとるようにいたしたわけでございます。
  17. 千葉信

    千葉信君 第六條の関連ですが、第六條の第一項は、階級別昇給基準をきめておるようですが、一等海上警備士補高級者が、最低六ヵ月で昇給するようになつていますが、それと俸給日額が同じ三等警備士昇給は、これは最低九ヵ月かからなければ昇給できないという條件になつていますが、一体どうしてこういう取扱いをお考えになられたのですか。それから又一緒に御質問申上げますが、七号俸警備士補最低六ヵ月ごと昇給して行く、そうして若しも進級すれば、三等警備士の五号俸に達する間に、それと同じ一号俸の三等警備士は、最低九ヵ月ごと昇給して行くということになりますと、三号俸までしか達しない、こういう不合理が起つて来る。どうしてこういうような階級別昇給期間のきめ方……、非常にこれは矛盾があるのじやないかと思いますが、この点はどうでしようか。
  18. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 昇給に関しましては、御質問通りそういう矛盾が確かにあるわけでございます。それでこの昇給期間等算定いたします基準といたしまして、一般職給與法の第八條関係があるわけであります。一般職給與法の第八條関係によりまして、大体俸給間の格差を考えましてやつて参りますると、大体この階級に乘つて参るわけであります。只今指摘のございました一等海上警備士補と三等海上警備士関係でございますが、確かに御指摘通り一等海上警備士の三百七十五円の号俸の適用を受けておりますものの関係と、或いは三等海上警備士初号関係等考えて見ますると、相当問題はあると思いますが、考え方といたしまして、大体におきまして昇給と申しますか、階級が上る点でございますが、大体頭打ちになるという関係も、本人の成績次第によりまして、どんどん上級の階段に上つて行くということから考えまして、この一等海上警備士と三等海上警備士補丁度境に当りますところにそういう矛盾があるわけでございますが、その点につきましては、本人の昇進の期間と申しますか、そういうことを考慮いたしましてやつて行けるのじやないか、かように考えていたしたわけであります。と同時に海上警備隊俸給表と大体同じ似通つたものが、陸上警察予備隊俸給表にもございますので、かれこれ見合いまして考えざるを得ないということもございまして、かような俸給状態に相成つた次第でございます。
  19. 千葉信

    千葉信君 今一般職給與法の第八條関係がありましたが、一般職給與法のほうでは、直近上位俸給額との差額別によつて昇給期間を定めておるのですが、これは或る程度合理的だと思います。それがあなたのほうの場合には、今言つたような関係で、三等海上警備士一等海上警備士補の間には、今の御説明によると、これは大体進級等関係について本人を刺戟、鞭撻するという意向も含まれておるようですが、併しこういう明らかに不合理なやり方をやるということは、たとえ陸上のほうにそういう手本があるにしても、これらの新らしい立法の方法として余り感服した手じやないと思うのです。  これはこれで、その次のと質問に入りますが、第十一條の第一項ですが、これは扶養手当のことをきめておりますが、海上警備員長以下は扶養手当は渡らないということになつておりますが、何か前にお尋ねしたときの御答弁では、大体海上警備員長以下の職員年令も非常に若いから、扶養手当のことについては余りそう影響はないだろうというような御答弁つたと記憶いたしておりますが、併し一般職職員等の場合におきましても、年令は若くとも扶養手当支給する資格を持つておる人がかなりたくさんおるのですね。そういう人の場合を全然考慮に入れずにここで切つたということは、給與方法としていい方法じやないと思いますが、どうしてこういう扶養手当は三等海上警備士補以上のものに対するというようにお切りになつたのですか。
  20. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 扶養手当支給の範囲でございますが、この点につきましては御指摘通り、三等海上警備士補以下の階級のもの……、つまりいわゆる警備員長警備員クラスでございますが、これらの階級に属しまする警備員につきましては、おおむね年令につきましては、只今募集状況等考えまして、年令二十五才以下のものと見込んでおります。併しながら御指摘通り、一人でも二人でもそういうケースがあれば、扶養家族手当考慮すべきであるということはその通りでございまして、政府部内におきましても、この法案審議いたします場合に問題といたしたのでございまするが、御承知通り、同時に現在の警察予備隊隊員につきましても、同様の措置が行われておるというようなことからいたしまして、一応警察予備隊に合せるという建前におきまして、三等海上警備士補以下の階級に属します警備員に対しましては、扶養手当支給しないということにいたしたような次第であります。
  21. 千葉信

    千葉信君 海上警備隊給與法がいいか惡いか、これは今後の保安庁職員給與法審議する場合に出て来る問題でありますから、一応あなたがたがいい惡いにかまわず、警察予備隊給與法手本をとられたということであれば、これは一応御答弁としては承わつておきますが、どうもやり方としては私は、そういう機械的なやり方は、方法としては決していい方法じやないと思います。これは我々よりあなたがたのほうが詳しく御承知で、警察予備隊というものがどういう恰好で設けられたか、どういう恰好給與等が決定したかということについては、日本人であるあなたがたはよくおわかりだと思う。ああいうものが一体どういう状態できめられておるかということについては、この際我々は十分反省しなければならない点があると思います。余り簡單に鵜呑みにされるということは、私どもとしてはいいことじやないと思います。  たくさん先に條項が並んでおりますから、先に進みますけれども、次に第二十五條の三項、恩給金額計算基礎として、退職当時の俸給年額恩給法五十九條の二以下、俸給日額をこの場合で見ますと、三十倍に計算する、それによつて俸給月額とするというふうになつておりますが、三十倍にするということになりますと、大体あなたがた計算から行つて、三百六十五倍にした場合と、三百六十倍にした場合との中には差が生じませんか。これはあなたがたのほうで俸給を決定される場合に、大体の他の職員等給與を参考にされて、それを三十で割られて日額を決定されたと、こういう理由から三十倍にするということに月額計算をされることにしたのですか。この点……。
  22. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 俸給算定に対しまして、いわゆる俸給算定いたします際におきましては、一般職におきまする警察官俸給基本といたしまして、警察官俸給表海上保安官俸給表基本といたしまして基本給を作りまして、それから控除すべきものは控除して、附加いたすものは附加いたしまして俸給表作つて参つたのであります。それを三十で除しまして得たものを日額といたしておりますので、恩給計算といたしまして一応三十倍したものを俸給月額とみなすという形式をとつたわけでございます。
  23. 千葉信

    千葉信君 海上警備官俸給構成状態を見ますと、本俸の中に勤務地手当が加算されているということが一つと、それから超過勤務手当平均給與額が更に本俸に加味されている。勿論その本俸の中から恩給国庫納付金とか医療費相当額というものが控除されて本俸金額が決定されるのでありますが、併し一応この中には恩給国庫納付金とか医療費相当額が控除されているとしても、本俸算定自体の中に勤務地手当或いは超過勤務手当が入つて計算されているということになりますと、一般職職員等の場合を考えてみますと、この点では海上警備官恩給計算一般職職員の場合よりも特に有利になるという條件が生じて来ませんか。この点はどうでしようか。
  24. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 俸給の体系といたしましては、確かに御指摘通り勤務地手当特殊勤務手当或いは超過勤務手当或いは殊に士補クラス以下につきましては、寒冷地手当等計算いたしまして加算いたしているようなわけであります。その反面恩給国庫納付金とか医療費相当額とかいうものは控除いたしているわけでありますが、その点につきましては一般職職員とは俸給算定方式を異にしております関係その他から、絶対額と申しますか、金額の面から申しますと勤務状態が違うという点もございますが、若干有利になるのじやないかとかように考えております。
  25. 千葉信

    千葉信君 比較の問題になりますけれども一般職職員等と比べますと金額等の点について若干有利になるどころじやないと思うのですね。例えばお出し願つた資料を見ましても幹部等俸給初号計算基礎、この中にある二等警備士、三十の場合を例にとつてみても、なるほどこれはおつしやる通り俸給月額算定に当つては、恩給納付金としての分を百九十二円、これを控除されています。それから医療費の分として二百三十円控除されている。この二つが控除されているけれども勤務地手当の分としては千四百十一円入つている。それから超過勤務手当の分としては千三百三十二円入つている。控除されたほうの合計額というものは四百二十二円、本俸の中に加算されている分が合計二千七百四十三円、二千三百円近くも違うのですね。こういうことになるとこれは相当、單に少し金額が違うというだけじやおさまらないような不均衡が少くとも現在の状態では起つて来るのですね。これは單に一例としてだけでなくて、その他の場合においても同様なことがこれははつきり言えると思うのです。例えばこれは海上警備監ですか、海上警備監なんていう立派な御身分のかたなんかになると、この金額の点がますます猛烈に開いて来ているのです。海上警備監の場合でも同じくこの金額を拾つてみますと、恩給医療費等として控除されている。日額算定の場合に計算上控除されておるものは月額で千二百四十一円、ところが勤務地手当超過勤務手当等として一万一千三百十五円本俸に加算されておる。而も一般職職員等の場合特別職にこれは該当するのであるが、大体一般職並びにその他の特別職の場合にあつて海上警備監系統のかたがたの場合には超過勤務手当などというものは実際もらつていない。それがこの海上警備監の場合には四千二百六十五円も計算上入つておる、一万一千三百十五円の中に而もこれは單に俸給だけの問題ではなくて、これがそつくりそのまま恩給金額計算の対象になる。大体が普通の官公吏、公務員諸君と違つて一旦事ある場合には御馬前で討死する場合があるということを考えると、恩給とか、退職金の率をよくして置かなければ困るだろうと思いますが、それにしても余り一般職職員と比べて不合理ではないまでも不均衡は歴然としておる。こういう点について一体立案上どの程度こういう問題についてお考えになられたか、少し詳しく承わりたいと思います。
  26. 柳沢米吉

    政府委員柳沢米吉君) この恩給の問題についてでございまするが、恩給計算基礎というものにつきまして、只今お説の通り勤務地手当その他を加味して特に俸給表を作り、この俸給表を基礎として恩給計算するということに相成りますると、ここにお説の通り或る程度の一般公務員に対するものとの差が出て来るわけでございます。先ほど来お話がありました通り、いろいろの点につきまして現在の警察予備隊の制度というものは非常に面白くないというようなお話があつたわけでございますが、併しながら一面におきまして現在そういう組織がとられております場合に、これと或る程度歩調を合せて行かなければならない、或いは警察予備隊のほうを改正して行かなければならないというようなことにしないと……、或る程度の均衡というものを保つて行かなければならんということが我々事務的に考えまして考えられる点なんでございます。従いまして現在におきましては本問題につきましても、大体警察予備隊の行き方というものと歩調を合せたような状態に相成つております。で、この点につきましては先ほど御指摘がございましたのですが、然らば警察予備隊と変えてやつて行くということに相成りますと、何故に変えたかという点が又問題に相成つて来るのでありますから、この点につきましてはいろいろ御批判があるとは存じますが、大体警察予備隊と合せてやつておる。こういうように御了承願いたいと思つております。
  27. 千葉信

    千葉信君 それからまだ一般職職員に比べて著しく不均衡と思われる点に寒冷地石炭手当の点、第二十三條の分があるのですが、この法律によりますと、国家公務員に対する寒冷地積雪手当については、国家公務員の場合には本俸と家族手当の月俸給の八割ということ、八割を最高限度にきめてあるのです。ところがこの法律によりますと、海上警備隊の場合は本俸の中に家族手当が入つておる、それからそのほかに第十九條の第三項によりますと、国家公務員等に対する憲冷地支給が、今申上げましたように、本俸と家族手当というものが基準になつておるのに、この場合には俸給、その俸給の中には勤務地手当が入つております。それからそのほかに扶養手当日額、それから乘船手当の日額、営外手当の日額、そういうことになりますと、国家公務員の場合には俸給額と、それから扶養手当額しか寒冷地支給の基礎にならないのに、海上警備隊の場合にはそのほか更に勤務地手当考慮される、乘艦手当が考慮される、それから営外手当が考慮されておる、こういう恰好になりますと、これは給與の大体の基準になつておる計算を読み上げなくても、先ほど申上げましたように、例えば勤務地手当の月額として本俸に計上されておる分のごときは、三等海上警備士の場合に千四百十一円、海上警備監の場合には七千五十円、これは單に勤務地手当の場合の例ですが、そのほかに今度相当高率の乘船手当、営外手当とか、こういう一般職の国家公務員にはない三つの要素が、この場合には寒冷地手当の積算の基礎に含まれておるのです。これはもう意識してこういうふうに寒冷地手当に関する昭和二十四年の法律第二百号を混乱させるようなやり方をお考えになつたのか。
  28. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 一般職職員に対しまする寒冷地手当の支給と、海上警備隊の警備官に対しまする寒冷地の手当の支給基準となります給與につきましては、相当の相違のありますることはお説の通りでございます。併しながら乘船手当について申上げますと、乘船手当の算定基準と相成つておりますものは、海上保安庁その他一般職職員の中にも船員俸給表がございます。それで海上警備隊隊員に対しまする乘艦手当を算定いたしまする際に、乘船手当の算定の基礎と想成つておりまするものは、先ず一般職の一般俸給表を受けておりますものの一般俸給表と、それから船員俸給表の差が、大体号俸で言いますと、十二号俸程度あるのでございます。それから一般給表と、いわゆる公安俸給表と申しますか、警察俸給表或いは海上保安俸給表号俸上の違いと申しますか、これが大体四号俸程度あるのでございます。従いましてこれらの差額となりまする約八号俸というものが、乘船手当に見合うべきものだということで、大体乘船手当を算定いたしておるわけでございますが、この場合に一般職と不均衡だという虞れがございますが、現に海上保安庁に勤務いたしておりまする一般職の船員の場合を考えてみますると、船員俸給表を大体基準といたしまして寒冷地手当を支給いたしておるわけでございます。一般職の船員に対しましては、船員俸給表とプラス航海日当という恰好になつておりまして、同じ海上保安庁におきまして警備官と保安官と、それぞれ一般と特別職の差違はございますが、給與算定の上におきまして先ほど御指摘のような点もあつたことはあるわけでございますが、いわゆる寒冷地手当の算定に当りましては、乘船手当を考えませんと、一般職のほうともバランスがとれないというようなことで、つまり乘船手当は一般職俸給表と船員俸給表との差額であるという考え方から、乘船手当を出しておりまする以上は、これを上廻らないものならいいのではないか、かように考えまして乘船手当は加算いたしておるわけでございます。営外手当におきましては、一等警備士補以下の警備官が営外に許可を受けまして居住する者に対しまして支給する手当でございますが、これは御承知通り海上警備官俸給算定に当りまして食事代或いは光熱代に見合うべきものの一部といたしまして、本俸算定に当りまして六十五円控除しておるわけでございます。この種の警備官がつまり営外に居住いたしますようになりますと、その分だけ補助をいたしませんと、引かれつ放しになつておる恰好になりますので、これらのものは営外居住を許しておりまする関係から、これも準俸給的のものであると考えまして、乘船手当、営外手当に対しましては、寒冷地手当の算定の基礎にいたしたわけでございまして、一般職に比べましてこれを混乱させるような目的を以てやつたわけではございませんで、ただバランスの上でやつたわけでございます。
  29. 千葉信

    千葉信君 まあ一般職の場合も船員等の関係或いは公安職の職員等関係、こういう職員俸給表の中に、即ち調整号俸考慮されておることは私も大体知つておりますが、まあそういう点で、今あなたのおつしやつておられるうちの大体営外手当であるとか或いは乘船手当等については、これはおつしやる通りその他の船員等との関係から、調整号俸関係もあつて、こういうやり方も間違いではないと思うのです。併しそういうことは言われても、もう一つどうしても問題になりますことは、本俸の中に勤務地手当が入つておりますね、そういう本俸構成の中で、巧みに弁明をなさるとしても、そういう弁明では片付かない問題は、今度は本俸の中に勤務地手当が含まれておる。而もその勤務地手当等の場合には、あなたがたの今度の法律では、寒冷地支給の対象になる。ところが勤務地手当等の場合には、これはあなたがたも今言われたような関係の、例えばその他の公安職或いは一般の船員そういう職員には、勤務地手当の分なんかは全然考慮されていない。而もこれらの給與は大体において現在その他の俸給に比べて一〇%或いは一五%ぐらいに該当しておる。そういうものは一応あなたがた本俸算定の場合にも入つておる。そうするとこれは相当金額としては給與の中における比重は相当高いものだというふうに考えなくちやならんです。それの分については、あなたがたのほうでは理論的な解明はどういうふうにお考えになつておられるのですか。
  30. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 給與体系に対しまする理論的構成と申しますか、そういう点についての御質問と伺つたわけでございますが、この点につきましては海上警備隊隊員は、主として海上勤務者が大部分でございます。それで海上勤務者が大部分でございまして、給與支給事務等を勘案いたしました場合に、殊に訓練等を考えました場合に相当船舶の間の隊員の異動もあるのではないか、或いは又船舶の上において隊員俸給計算して参らなければならんような点もかれこれ考えまして、現在の一般職給與法におきまするような計算方式は、海上隊員におきましては特殊の專門家と申しますか、陸上給與担当官のような者を特に配置しない限りは、給與支拂というものは現実には困難であろうということを考えまして、この給與算定と申しますか、給與体系の作成に当りましては、給與制度をできるだけ簡素化するということを一応の建前といたしておるわけでございます。従つて指摘のございました勤務地手当ごときものにつきましても、平均約一割五分を本俸の中に加算いたしておるわけでございます。この場合に一割五分と申しますと、例えば大体一割五分とはじきましたのは、警備隊で置かれるであろうところの地方出先の勤務地手当の率を予想いたしまして平均いたしますと、一割五分ぐらいになつておるわけでございますが、その点につきまして平均額を加算いたしておりまする関係で、確かに御指摘通り或る地区に勤務いたしております警備官は非常に有利であり、又或る地区に勤務しておりまする警備官については不利であるという点も生じて来るわけでございます。併しながら先ほど来長官からも申上げました通り、一応この俸給構成につきましては、同種の、同じような給與形式としまして、警察予備隊給與形式がございましたものですから、一応それと余り離れた形式もとることができませんので、一応こういうような手当につきましても、本俸に入れて計算したというわけでありまして、特にこれらの作成につきましての理論と申しますか、理窟というものは持つておりませんわけでございます。
  31. 千葉信

    千葉信君 私の質問に対してそれでは答えになつていないと思うのです。あなたのおつしやつておられるように、勤務地手当本俸に入れることの可否ということは、これは別問題であろうと思うのです。これは私どもの中にもいろいろ意見を主張されるかたもありますから、これは必ずしも同一ではありませんが、私は又私でこれに対する一つ考えを持つておりますが、私はその問題をお尋ねしているのじやないのです。今、例えば乘船手当或いは営外手当、こういう問題の、寒冷地給に積算される基礎となつたという点についての御答弁によりますと、これらの点については、例えば一般職職員の中における公安官とか、こういう人々の本俸内における調整号俸問題等が、海上警備隊の場合にはそういう調整号俸のようなものがないから、論理的にはそういう分として乘船手当だとか営外手当を寒冷地給の積算の基礎にするということは、何もおかしくないのであります。私はこの意見は正しいと思うのです。又あなたもそういう意見をおつしやつたのです。ですから私はこれを肯定しながら、それならそういう均衡を保つ措置をとつたというならば、それならば一体本俸の中に勤務地手当が入つていて、而もその本俸がそつくりそのまま一般職の場合、その他の場合には考慮の対象に入つていない、寒冷地給の積算の基礎に入つていないものがこれに入つているんじやないか、それを勤務地手当を対象に入れたという立場が、乘船手当や営外手当と言われた理論構成が、一体あるのかどうかということを私はお尋ねしておるのです。その点を一つ……。
  32. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 先ほど御答弁を間違えて失礼いたしました。確かに御指摘のように勤務地手当本俸に入れまして、それを基礎として寒冷地手当をはじいて行くということになりますと、その分だけでも一般職より有利に、或いはアンバランスになるということは御指摘通りでございます。併しながらこの海上警備隊給與体系を一般職給與のそれと比べて見ますと、御指摘のような非常に有利な点もある半面、又同時に不利なような場合も出て来るわけでございます。従いましてその点につきましては確たる理論的根拠があるかという御質問でございますが、私どもといたしましては、そこまで考えたわけではございませんので、ただ一般職特別職、こう言つた給與体系の違いから、組立方の違いから、こういう結果になつて来ましたわけで、一般職特別職との給與は、御指摘のような有利な点もあると同時に、又半面不利な点も出て来るわけでございます。その点だけ、そういう違いのあるということを一つ御了承頂きます。
  33. 千葉信

    千葉信君 今お話になられた有利な点も比較上あるけれども、不利な点もあるというのは、例えばどういう点ですか。
  34. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 一例を申上げますと、恩給法の例でございます。恩給法につきましては、船員が退職いたします場合に、船員俸給表という特別の俸給表があります。この特別俸給表俸給基本といたしまして恩給算定の基礎にいたしておるわけでございます。これに反しまして警備官につきましては一応俸給日額を先ほど御指摘のございましたように三十倍いたしましましたものを俸給月額といたしまして、それを基礎として恩給が成り立つている。こういつた点につきましては勿論、勤務地手当が入つておるということで、若干の相違はありましたわけでございますが、俸給表の違いが若干の不利なことになつている点が第一の点でございます。それからもう一つの例といたしましては、先ほどもちよつと御説明申上げましたように、俸給算定に際しまして食事、光熱代に見合うべきものが本俸から控除されておりますが、こういつた営外居住者或いは船外に居住した者がそのままやめて恩給をもらうという恰好になりますと、これらの該当者はおおむね十二年で恩給年限に達するわけでございますが、そういう人たちは食事代を控除されたものを基礎にして一応恩給をもらうということになりまして、これは勤務地手当が入つておるということになりますけれども、こういつた控除される面も出て来るわけで、アンバランスは出て来るわけでございます。有利な点と申しますと、先ほど御指摘になりましたような点もございます。その半面に不利な点といたしまして御指摘のございましたような扶養手当などにつきましても、実際問題といたしまして一般職給與につきまして海上警備員長クラス以下のものに該当するようなものについて考えて見ますと、大体私どもの概算でございますが、恐らく五十人に一人か或いは六十人に一人くらいしか扶養家族は持つておらないというのが海上保安庁のこの種の職員の統計から参りますと出て参るわけでございます。併しながら先ほど指摘のございましたように、一人でもあれば扶養手当はやはり考えるべきものでございますので、こういう扶養手当の制度を警備員長以下に設けてないということにつきましては、一般職に比べて不利な点でございます。それと同時にもう一つ一般職との違いにつきましては、扶養手当の例を申上げますと、海上警備官につきましては配偶者に対しまして月額六百円、それからその他の者に対しましては四百五十円ということになつております。この場合に一般職職員ですが、その場合仮に東京所在の官署に勤務いたします職員につきましては扶養家族手当本俸との合計額に対しましては勤務地手当支給されておるわけであります。その場合に勤務地手当をそのまま本俸に入れております関係で、扶養手当につきましては勤務地手当が附かないという関係になつて扶養手当につきましては妻一人六百円と考えますと、東京にいる一般職の者は七百六十円もらえるのに対し、東京にいる警備官については六百円しかもらえない。こういつた点に一般職職員給與とは相違があるのでございます。
  35. 千葉信

    千葉信君 勤務地手当の問題ですね、これ、今のお話では東京に勤務する者はどうとかこうとかありましたけれども、大体あなたのほうで勤務地手当の相当額として一四・七%だ、とか或いは一六・九%という恰好計算されて、これを俸給月額に換算をやり、それを更に三十で割つて日額に引直されておる。そういうことになりますと、一四・七%とか、或いは一五%というのは現在の東京ばかりじやなくて、日本全国を含んだ公務員の勤務地手当の大体の支給金額の率と余り大差のない金額がここへ計上されているわけですな。だから勤務地手当の分に関して本当に扶養手当の二割とか或いは二割五分だから、一般職の而も東京に勤務する職員が得だという理窟にはならないのです。これはあなたがたの場合には、一般職職員の場合にはどの程度勤務地手当日本全国としては支給されているということを私は御存じだと思います。そういう点から行きますと、私どもは率では殊更に不利益だということをあなたが言われるのは、私は数字の上からしてその点がおかしいと思うのです。その点は余り細かくなりますから一応避けて次に入りますと、先ほど御答弁の中にありましたが、これは勤務地手当そのものを本俸に入れることがいいか惡いかということについては一応これはいろいろ議論があるわけです。例えば国鉄それから一般職職員との比較の中でも、この勤務地手当の問題については、国鉄当局のほうでは成るべく本俸の中へ入れようという考えを持つてつておりますが、まあこれも一応そう簡單には賛成できない方針だというふうに私ども考えているのですが、それはどういう意味かというと、国鉄なんかの場合には地域給の分については、勤務地手当の分については五八分だけその他の一般職職員等から見て引下げて、その分を本俸に入れている。併しその本俸に入つた分はどういう恰好で分配、分配という言葉が当るかどうかわかりませんが、どういう形で分配されているかということを見ると一本俸のうちの一号俸ずつを地域給の減收、削減した分で支給されているのですね。そうするとどういうことになるかというと、おのおの一号俸ずつの増俸を地域給の減收でやるということになりますと、御承知通り俸給の低い人は一号俸の差額というのは百五十円、二百円の人がある、或いは三百円、三百五十円の人もありますが、ところが一方には二千円、三千円という人がいるのです。そうすると地域給の分を本俸に入れるといつても、入れ方に問題があると思うのです。ところがあなたがたの場合を見てもやつぱり同様のことがあるのです。あなたがたの場合でも俸給算定方法を見ると、例えば三等海上警備士とそれからもつと上級の警備官とを簡單に比較してみましても、三等海上警備士に対して海上警備官は三・七倍の俸給月額なんですね。ところが勤務地手当の場合にはどういうやり方をしているかというと、勤務地手当の場合に本俸にこれを編入する場合のやり方を見てみると、三等警備士の場合には金額にして千四百十一円、海上警備官の場合には金額にして七千五十円、そうするとその倍率は俸給のほうでは三・七倍であるにかかわらず、勤務地手当本俸に入れる場合は五倍入れているのですね。これはもう国鉄当局なんかでやつている一号俸の増俸よりももつと極端な例をここに発見せざるを得ないのです。本俸で三・七倍なのに勤務地手当のほうの加算率は五倍も加算している。こういう点はたとえ勤務地手当の問題について成るべくこれは本俸の中へ統合して行こうという考え方が仮にいいとしても、こういうふうな本俸への入れ方というのはますます現在のような安い給與の中で上下の差を開かせて、そうして下級者が食えないような現象をたくさん生ずるという、そういう原因になりはしないですかね。そういう点でこういう計算の仕方はちよつと賛成できないやり方だと思うのです。こういう点についてあなたがたのほうでは……。
  36. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 勤務地手当本俸に加算いたしますに対しましての御指摘でございますが、こういう只今指摘のございましたように、上と下と比べますと非常にアンバランスな点が出て参るわけでございますが、この計算を一応こういうふうにはじきました理由といたしまして、いわゆる警備官というものは先ず東京にしかおらんということで、先ず警備官が東京でもらうならば二五%もらうだろう。それから警備官補以下それぞれの勤務地を想定いたしまして、予定の基地その他を想定いたしまして、それぞれの基地に配置せられまする定員等から逆算いたしまして、それらのものに対しまして、いわゆる加重平均と申しますか、やつて参りますと、こういうことが出て参るわけでございまして、特に上のほうだけ高く率をつけたわけではございませんので、こういつたような階級が主として東京でございますとか、横須賀でございますとか、そういつた所に警備官或いは警備官補が配置せられておりまする関係上、こういつたような率が加算になつたわけでございますが、これを加算されたために出て来る不平等というような、そういつたような点につきましては、こういつたような給與形式をとつております以上、御指摘通り、そういう矛盾は出て来るものと考えますが、止むを得ないと我々は考えております。
  37. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁だと却つてますます混乱して来るのじやないですかね。勤務地手当のようなものは給與政策上芳ばしい方法でないからこれを本俸の中へ入れて解決して行こうという一つ考えに立つてやられている方法だと思います。そうして又実際上そういう方法がとられているのです。ところがそれを今度今その上下の比率が不均衡過ぎるという質問に対するあなたの答弁としての立場から、いや併し本俸に入れる場合でもその本俸支給される人の勤務地を考慮して本俸に入れることを考えたということになると、これは却つてむしろ問題が混乱して来やしませんか。今日は時間も時間ですし、他の委員出席惡いようですから、一応これくらいで今日は質問は打切つておきます。
  38. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは海上警備隊職員給與等に関する法律案は本日はこの程度にいたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十三分散会