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1952-04-25 第13回国会 参議院 人事委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十五日(金曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     カニエ邦彦君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            北村 一男君            溝口 三郎君            紅露 みつ君   政府委員    内閣官房長官 剱木 亨弘君    総理府事務官    (内閣総理大臣    官房審議室長事    務代理)    増子 正宏君    地方自治庁公務    員課長     佐久間 彊君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公務員等懲戒免除等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 只今より人事委員会を開会いたします。  公務員等懲戒免除等に関する法律案を議題に供します。只今政府側からは内閣総理大臣官房審議室次長増子君がお見えなつておりますが、いずれ後ほど菅野長官見えるはずになつております。質疑をお願いいたします。それでは政府のほうから逐條的に御説明をお願いいたします。
  3. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) それではお示しによりまして、この法律案の各條について簡單に御説明申上げたいと思います。  大体の趣旨は先般の提案理由の御説明の際に申上げてございますので御承知と思いますが、先ず第一條について申上げますと、これは如何なる場合の懲戒免除、或いは弁償責任に基く債務減免について規定したかということでありますが、従来の例によりますと、いわゆる犯罪行為に関する恩赦が行われます際には、それと同時に犯罪に至らない一定法令違反行為、或いは非行、好ましくない行為非行に対する制裁でありますところの懲戒処分及び弁償責任に基く債務につきまして免除措置を実施いたして参つております。終戰後におきましては、この恩赦は、御承知のように恩赦法に基いて、それに基く政令によつて行われることになつておりますが、懲戒免除等につきましては、今までこの恩赦法に相当する法律がございませんでしたので、この法律を制定するということにいたしたわけでありますが、この法律目的といたしますところは、恩赦の中の一般的な制度でありますところの大赦と、それから一般的な復権が行われる場合には、少くともそれと同趣旨懲戒免除なり弁償責任に基く債務免除ということをする必要があるのじやないかということで、こういう場合の事柄について規定することにいたしたのであります。  第二條は、この免除等を行います対象の中の国家公務員と、それから公共企業体職員その他政令で定める者といたしました。政令で定める者と申しますのは、大体従来の先例を見ますと、弁護士とか公証人等その職務内容が特に公共的なものでありまして、国家の間に特殊な監督監督関係がございまするものでありまして、それについて一定行為につきまして懲戒処分規定のあるもの、そういうものが従来行われておりますので、そういつたものを政令で定めて行くという趣旨でございます。こういうものにつきまして、懲戒処分をすでに受けた者に対しては将来に向つて免除すると、それから又未だ懲戒処分を受けていない者に対しては懲戒を行わないということを規定したわけであります。  それから第三條におきましては、地方公務員でありますが、地方公務員につきましては、地方自治体の自主性を尊重する建前から、国の場合に準じまして條例でこの関係のことを規定するということにいたしたわけであります。  それから四條と五條は、弁償責任に基く債務減免につきまして規定したものであります。四條は、大体におきましていわゆる国家公務員であります。それからそのほか公共企業体職員等も入つておりますが、大体において国家公務員であります。第五條地方公務員、その範囲につきましてこの弁償責任に基く債務減免に関する基本原則規定したわけでございます。  それから第六條でありますが、懲戒処分に基く既成効果は、懲戒免除によつて変更されることはないと、この点を少し詳しく申上げますと、懲戒処分はいろいろございますが、一番わかりやすく免職の場合をとつてみますと、一定行為に基きまして懲戒処分として免職が行われますと、いわゆる国家公務員であれば、国家公務員身分を失つて退職させられるわけでありますが、そういう処分を受けた者につきまして、今回その懲戒免除をいたしましても、すでに受けた懲戒免職処分によりまして失つておる公務員身分をそのまま回復するということはないのであります。又恩給受給資格を失つておる、そういう失つた恩給受給資格も又この懲戒免除によつて回復することはないのであります。懲戒免除によつて既成効果が変更されることはないというのは、そういう趣旨でございます。  ただ一定資格の回復につきまして考慮いたしましたので、それを七條におきまして規定いたしました。第七條におきまして、懲戒処分を受けたことによりまして、国家公務員となる資格その他の資格を失いました場合と申しますのは、具体的に申しますと、国家公務員懲戒免職を受けますと、その処分がありましてから二年たたないうちは、再び国家公務員になることができないという規定があるであります。そういうふうに資格一定期間失つております者につきましては、今回懲戒免除がありますれば、免除されたときからそういう就官能力と言いますか、官に就く能力が回復するという規定でございます。地方公務員となる資格地方公務員となるための競争試験若しくは選考を受ける資格も同様であり、それから第二條による政令で定める者となる資格、又はそれらの資格以外の他の法令で定める資格と申しますのも同様でありまして、例えば弁護士或いは公証人というようなものが、第二條による政令で定められますと、弁護士懲戒で除名というようなことになりますと、再び弁護士になることができない。或いは国家公務員免官になつた者は、二年以内は弁護士になることができないというような制限、そういうものが除かれるわけであります。で、ここに「又はそれらの資格以外の他の法令で定める資格」と書いてございますのは、これは政令弁護士とか公証人とかというものを定めますけれども、若し指定から漏れておりますような職業がございまして、それに就く資格を他の法令で失つておる、他の法令の定めで失つておるというような場合を予定いたしたのでございます。従いまして恩給受給資格などがここで回復するという趣旨ではないのでございます。  それから最後の八條でございますが、これは懲戒処分を受けまして例えば免職になつた者があるといたしますと、この懲戒免除によりまして、将来につきましては懲戒がなかつたと同じように取扱われるのでありますが、免除になるまでの期間におきまして、懲戒免職なつたという事実そのものは抹消されないわけでございますので、その懲戒を受けたということについて不服のある者は、法令規定によりまして、訴願とか審査の請求、異議の申立その他を行うことができるというよりも、むしろ当然そうされるわけでありまして、そういう事柄につきましては、この免除ということは何ら影響を及ぼすものではないのだということを規定したわけであります。従いましてこの懲戒免官になりました者が今回免除になりましても、過去の懲戒を受けたという事柄につきまして、この手続をいたしまして、例えば国家公務員について言いますれば、人事院審査を請求いたしまして、人事院調査した結果、その懲戒処分は不法のものであつたということが確定いたしますれば、前に遡つて懲戒処分そのものが取消されるということになるわけでございます。それはその効果は、免除のこの法律に基く処分とは何ら関係のないものであるわけであります。  以上大体簡單に各條の御説明を申上げました。
  4. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは質疑を……。
  5. 千葉信

    千葉信君 質問の順序としては、やはり大綱の質問から入ることが正しいと思うけれども、責任あるかたがお見えなつておられませんから、いきなり逐條に入つて行きたいと思います。併し逐條に入つて行くにいたしましても、これは増子君に聞いても御答弁を頂けるかどうかはわかりませんけれども、この点だけは一応念のために聞いておきたいと思うのでありますが、提案理由説明によりますと、慶事等があつた場合ということになつておりますから、この点について突き詰めて御質問申上げる必要もないかとも思いまするが、私ども考えを率直に申上げれば、ここに慶事等とありまして、等という以上、弔事の場合等も一応考慮に入つておるという解釈が成り立つわけでございまして、私ども考えからすれば、今度の講和條約の締結に伴う恩赦とか或いは復権という問題は、これはどうも喜びことに従つてのこういう措置ではない。これは御承知通り衆議院のほうでは政府委員答弁では、国会が大多数の意見を以て今度の講和條約が決定せられたのであるからということを一つの足がかりにしておられますけれども、併し今度の講和條約の締結によつて、果して日本が独立国家なつたのであるかどうかということについても、相当疑念があると思うのであります。例えば独立国家としては、完全に国家の主権が回復されなければならないし、従つて飽くまでも国家としては自主的な立場において今度の問題を処理して行けるはずなのに、現在の状態では、そういう状態も我々としては殆んど希望が持てない恰好になつております。特にそういう独立という問題ばかりでなしに、今度のこの講和條約の締結によつて、むしろ最も隣接しておる国家とは逆に今度は戰時状態というものが非常に明確に浮き上つて来ておる。こういう條件からすると、これは平和を約束する講和條約であるというふうにもとれない点が非常に多い。こういう点から言いますと、私ども今度の講和條約の発効に伴つて行われる大赦若しくは復権というものは、これは提案理由説明にある慶事ではなくて、その慶事等という言葉の中に含まれておる弔事の場合に該当する大赦若しくは復権であるというふうに考えざるを得ないのですが、併しいずれにしても、これは弔事の場合においても、国が挙げて哀悼の意を表するような場合にもこういう措置が行われるのですから、私はこれを行うということについてあえて反対するものではありませんけれども、今申しましたような、国家の完全な独立であるとか、或いは平和が本当に保障せられるというような状態というものは、やはり世界各国と本当の講和状態に入る場合、そうして又平和という問題が、国民が納得できるような状態になる場合、こういう場合を我々としては、将来必ずそういう事態があるであろうし、又我々としてもそういうふうな努力をしなければならないし、吉田総理大臣も、今度の講和條約は全面講和への希望を持ちながらこういう講和を結んだということを吉田首相も言つておられますが、一体政府は今度のこの暫定的な状態の下において、恩赦若しくは大赦に関する措置をとられようとしておられますが、そういう点から行きますと、最終的にもつと他のたくさんの国々と講和條約を締結した場合には、又改めてこういう大赦若しくは恩赦措置をとられるおつもりであるかどうか。これは増子君に聞くことは少く無理かとは思うんですが、逐條質問に入る前に、一応念のために承わつておきたいと思うのです。
  6. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 只今の御質問でございますが、お言葉にもありましたように、大部分は私からお答え申上げる筋合のものでないように思いますので御遠慮申上げたいと思いますが、ただ私から申上げられることは、この法文に書いてございます第一の目的は、大赦又は復権が行われる場合、こういう場合に行います懲戒免除その他について規定をいたしておるわけであります。大赦若しくは復権が如何なる場合に行われるかということは、恩赦法を見ましても、恩赦法にも別段明らかでないのでございます。従いまして如何なる場合ということを実質的に定めますことは、現行法ではむずかしいのでございますが、従来の例に鑑みますと、勿論慶事の場合のほかに弔事の場合も行われておるのでございます。従いまして今後につきましても慶事弔事、そういつた国民全体が喜び、或いは悲しみをわかち合うという場合に恩赦が行われるのではないかと思われるのであります。この懲戒免除等につきましても、大体この恩赦であるところの大赦、又は一般的な復権を併せて行うという趣旨で立案をいたしたわけでございます。
  7. 千葉信

    千葉信君 これは増子君に聞くのは何ですが、その次へお進みいたしますが、今度のこの大赦若しくは復権に該当すると思われる人員が、政府のほうでは大体政令なんかも考えられているようですからおわかりになつていると思うのですが、どのくらい政府としては計算されておりますか。
  8. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 御質問大赦復権でございますか。つまり恩赦でございますか。この懲戒免除等でございますか。
  9. 千葉信

    千葉信君 そうそう。
  10. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) この懲戒免除及び弁償責任に基く債務減免でございますが、これの適用を受けます人員は、地方公務員国家公務員その他いわゆる政令で指定するもの等でございまして、範囲が非常に広汎であり、種類が多岐に亘つておりますので、全般的に調査をすることは、一応政府として考えてみましたが現在まで間に合つておりません。ただ国家公務員のうちの一般職につきましては、人事院調査いたしておりますものがございます。それについて申上げますと、昭和二十五年と二十六年、この二カ年の合計が大体一万人近くになつております。これは懲戒処分のいろいろな種類がございますが、その種類全部を通じてのこの二カ年の合計でございます。これは国家公務員一般職だけでございます。特別職につきましてはまあ大多数といいますか、逆に特殊のものにだけ懲戒処分というものがございまして、一般的に特別職についての懲戒処分はございませんので、これもその総数は調べかねております。それから地方公共団体につきましてもなお一層調査が困難でございまして、自治庁のほうで目下いろいろ調べております。それからその他の政令で指定する者等につきましては、はつきりした数字を残念ながら申上げることができない次第でございます。
  11. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) ちよつと、地方自治庁公務員課長佐久間君が見えておりますから、佐久間君に対する質疑があれば重ねて一緒にお願いします。
  12. 千葉信

    千葉信君 これは、お尋ねしているのは、懲戒処分なぞを受ける職員等が一体全体の公務員のうちでどういう割合を示しているかということが大きな問題になると思う。これは御承知通り現在の公務員諸君の待遇、それから身分の保障の問題、それから又利益の保護の問題、こういう問題が私どもとしては相当職員の平素の行状或いは執務の状態に関連があると思われるので、それで実はお尋ねしているのです。今の御答弁によりますると、大体二十五年と二十六年の懲戒処分を受けた一般職職員だけに限られているようですが、その一般職職員だけでも結構ですから、もう少し範囲を広く、今度の懲戒免除とか弁償責任減免という措置は、これはこの前こういう行政処分に対する免除或いは債務減免等が行われた以後の職員全体を含むはずですから、そういたしますと、一体、この前こういう措置が行われた以後における懲戒処分或いは弁償責任免除に該当する職員が一体幾らぐらいいるのか。その点についてもう少し二十五年、二十六年ばかりじやなく、それから又も一つ弁償責任減免を行われる職員等の数もおわかりになりましたら、もう少し明確にこの際御答弁願いたいと思うのです。
  13. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 只今資料に基きまして明確に申上げられるのは、先ほど申上げました二十五年と二十六年の分だけでございます。この前面に懲戒免除等を行いましたのは、昭和二十年の九月二日でございますが、それ以後の数字につきましてはまだはつきりしたものがまとまつていない状況でございます。それからなお弁償責任関係につきましては、実は大蔵省におきましてその内容をいろいろ検討中でございますが、どこまでこの対象を入れるかという点につきましてもかなり問題があるのでございます。そういう意味におきまして調査もまだいたしかねている状況でございます。
  14. 千葉信

    千葉信君 そうするとまだこの立法に伴う政令その他については殆んど具体的に進んでいないという状態ですか。
  15. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 弁償責任の問題につきましては、若干今申上げましたような問題が残つております。併し大体政令準備はもうできているわけでございます。懲戒処分のほうもこれはもう政令準備ができております。
  16. 千葉信

    千葉信君 それから第二條に関連して御質問申上げたいのは、懲戒処分を受けていない国家公務員等に対して懲戒を行わないことができる。第三條にも地方公務員に対してそうなつております。この法律適用を受ける諸君で、これから懲戒処分を行わないことができるという限界は、一体どこにその限界を置かれるか。その期限期限というよりむしろその限界ですね、その点をもう少し明確にお答え願いたい。
  17. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) この第二條法文を読みますと、只今御指摘のような疑問が出て参るのでございますが、これはこの條文でございますが、第二條政府は、大赦又は復権が行われる場合においては、政令で定めるところにより、……また懲戒処分を受けていない国家公務員等に対して懲戒を行わないことができる。」というふうに読んで頂けば意味がわかるのじやないかと思いますが、従いまして、と申しますのは、まだ懲戒処分を受けていない国家公務員等に対するものにつきましては、政令で定めるところによつて明白になるということでございます。もつと具体的に申上げますと、国家公務員等でありまして、一定日前の行為についてまだ懲戒処分を受けていないものに対しては、その懲戒を行わないというような具体的な内容になるわけでございます。その一定日前に懲戒に価する行為があつた場合に、すでにそれについて懲戒処分が、手続が進行いたしまして行われてしまつたものがあるわけでございますが、それはすでに懲戒処分を受けたものということにかかるわけでございます。まだ懲戒処分を受けていないものというのは、一定日前にそういう行為がありましたけれども手続関係上とか、或いはまだそういう事実が発覚されないというようなことで処分を受けていない、そういう国家公務員考えておるわけでございます。従いまして今後いつそういう行為が行われても処分はしないのだというような、そういう意味内容は全然考えてないわけでございます。
  18. 千葉信

    千葉信君 それで実は私今政令が一体どの程度になつておるかということを聞いたんですが、その政令によつて定められるということは、これは私條文を読んでわかつております。そこで疑問が起りますのは、例えば一般職の場合に、国家公務員法の第八十二條によつて懲戒処分を受けます。ところがその八十二條の第一号、二号、三号等の場合、この事犯事犯というのは少し極端ですが、こういう事犯というものは、例えばその政令で定められた一定日、その一定日の以前から継続して又今後も行われている場合もあると思う。これは実際問題として将来又あり得ることなんです。そこでそういう事態に対しては一体政令はどういう形において現在考慮されつつあるかということが問題になると思うのです。そういう点に対してはどういう限界を設けてありますか。
  19. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 御質問趣旨一定日前から後までに行為が継続した場合でございますと思いますが、そういう場合におきましては、これは従来もそういう例があつたわけでございますが、従来の取扱といたしましては、その前か、つまり特定日の前であるということが判明しておるものについては前として取扱う、それからずつと継続しておりましてどちらの時に属する行為かわからんというものについては、それ以後の行為として取扱うという従前の例になつております。
  20. 千葉信

    千葉信君 そこで問題になりますことは、今度の懲戒免除とか、弁償責任減免というやり方について、今度の場合には、もうすでに既定のものについてはこれは問題ないのですが、例えば問題になるのは継続中の処分の解消の問題とか、それから今申上げたように、例えば懲戒対象になるような事犯が継続しておるような場合、今度の措置を見ますと、将来の問題、例えば現在行われておる問題等についても、これはそのまま懲戒処分しないというような方針をとつて、特にこういう事犯等に対して嚴密な調査を行わないで、そのまま懲戒免除をするという方法がとられるやに考えられる答弁衆議院のほうで行われておりますが、そういう点はどういうことになるのですか。やはり今後も私はそういう状態に対しては十分調査をして、そしてこれが懲戒対象になるか、若しくは懲戒処分をすべきかどうかということを決定して後に、この第二條、第三條の措置がとられるのですか、それともそういう調査は一切ここで打切つて懲戒処分はやらないというやり方をとられるのですか、その点はどうですか。
  21. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 御質問趣旨は、この特定日前に懲戒に価いすると思われる行為があつた場合に、この懲戒免除政令が出たときには、それについての調査をもうやらないでうちやつてしまうかどうかということと了解いたしますが……
  22. 千葉信

    千葉信君 それはこの点については衆議院藤井委員質問に対して菅野政府委員答弁ですが、すでに決定した処分に対してもこの免除を行うのでございまするから、これは仮にお説説のように一旦懲戒処分を決定いたしましても、この法律趣旨から言うと、当然それは又免除になるというようなことがはつきりいたしておりますので、その間の手続を省略いたしまして、この法律を直接適用して懲戒を行わないということにいたしたいと考えておる次第でございます。こういう答弁が行われております。そうなりますと、例えば懲戒対象になる事犯が仮にあつたといたしましても、どうせこの法律が施行されれば懲戒免除が行われるのだから、その間の手続を省略しても同じではないか、こういう答弁菅野政府委員が行われておるわけでございます。そういたしますと先ほど私が申上げましたように継続しておる場合、その前とその後の限界というものが非常に不明確になる場合があるのではないかと思います。この点はどうですか。
  23. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 一定行為がありまして、それが懲戒処分に価いするかしないかということを調査しておる間にこの特定の口が来るという場合だと思いますが、……
  24. 千葉信

    千葉信君 そうじやなく、この法律が施行されれば、どうせ政令の如何にかかわらずこの法律が施行されれば、その懲戒対象なつている人は今調査中の、若しくは手続中の人はその懲戒免除されるのだから、だからその間の手続は省略しても何ら差支えないと思うから、そうやるつもりか、こういうことを言つておるのです。
  25. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 申上げますが、只今内閣官房長官剱木さんが見えておりますから、剱木さんのほうから御答弁願います。
  26. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) 只今菅野長官の答えました答弁の問題でございますが、懲戒にかかわり得る行為がありました場合に、調査のほうは勿論いたすと思います。ただ調査いたしましてそれが明確になつて、これがはつきり免除に該当するということがわかりますれば、その際は懲戒手続は省略する形になるのじやないか、こう考えております。
  27. 千葉信

    千葉信君 そうするとこれは確認しておく必要があると思うのでありますが、先はど増子君から御答弁のありました、つまり復権の行われる日ですね、その日以前のものに対しては、この法律適用がないということは、調査したところではつきりされるわけですね。
  28. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) さようでございます。
  29. 千葉信

    千葉信君 それから次にお尋ねしたいことは、今度のこの法律の立案過程において、人事院等と十分打合せが遂げられておられましようか。
  30. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) さようでございます。十分打合せをしております。
  31. 千葉信

    千葉信君 次にお尋ねしたいことは、第三條から第三條等の懲戒処分を受けていない国家公務員若しくは地方公務員等に対する今度の懲戒免除若しくは弁償責任に基く債務減免等が、すでに懲戒を受けた職員との、公務員との間に非常にたくさんの差別待遇が、差引された措置が生じているのですが、この点については政府のほうでは一体どういうふうに考えてこういう措置をとられたか、御答弁によつて質問したいと思います。
  32. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 御指摘のように不公平と言いますか、差別が起りますことは私どもも十分承知いたしておるのでありますが、まあこういう恩赦と同じような意味での懲戒処分免除というようなことが行われますときには、これはそういう不公平と言いますか、そういつたものが起るのは、これはもう止むを得ないのじやないかというように考えたわけでございます。
  33. 千葉信

    千葉信君 頗る不親切なやり方ですね。それが單なる形式的な問題でしたらそう多く問題にはならないと思うのですが、例えば恩給法等の問題に関連しましても、第五十一條によりますと、懲戒なつ職員の恩給の受給資格懲戒と同時にこれは消滅しております。それと同時に恩給法による恩給の通算期間というものも、一応恩給法によれば懲戒と同時にこれは完全に消滅されている。ところが今度の場合これから懲戒を受ける職員等に対する措置でありましても、その恩給の受給資格等については、何らこれは阻害されない。而も單に恩給の受給資格ばかりじやなく、一方は恩給の通算期間というものも全部前職の場合の分は抹殺されてしまつて、そうして一方はそれが完全に全部恩給の受給年限に計算される、こういうふうな状態に対する救済措置というものは何ら政府のほうで考慮せずに、こういう法律を立案されるということは、只今答弁のように、こういう恩赦等が行われる場合にはその程度の不公平は止むを得ないなどということは、余りにそれは公平を欠くやり方だと思うのです。こういう点に対して一体政府内部ではこれの救済について何らかの措置をとろうという御意見やお考えがなかつたのですか、この点官房副長官から承わりたい。
  34. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) 懲戒免除になりました際に、恩給の受給権が消滅している者に対して、それを遡つて復活すべきや否やという問題につきましては、相当考究をいたしたのでございますけれども、そのときの懲戒処分によつて生じましたその恩給受給権を失いますものを復活するということはできないだろうという一応結論になりました。それで今お尋ねのような点につきまして、過去の受給資格もなくなつたものとの問に不均衡がありますことは、これはお尋ねの通りに不均衡がございますが、これに対しまして適当な救済方法ということはどうしても講じ得なかつたのでございまして、この点はお説の通りに不均衡ではございまするが、今回の恩赦等の関係と同時に、懲戒免除をやります際に、この程度の不均衡は止むを得ないと実は考えまして、十分考究はいたしたのでございますけれども、止むを得なかつたのでございます。
  35. 千葉信

    千葉信君 政府としては誠に遺憾な次第でございますね。ところが問題はただそればかりじやないのですが、その次にお尋ねしたいことは、今度懲戒処分を受けました者が今度の法律によつて資格の回復ということが行われて、従来二年間は公務員となることができなかつたというのが直ちに公務員資格が回復される。この点だけが今度の法律では懲戒処分になつた者に対する一つ恩赦措置にしか過ぎないと思う。そこで私どもとしては、二年間どうしても公務員になれなかつた者が今度は公務員になる資格ができたのですから、そうすれば今又未処分者に対する不公平を是正するためにも、その資格を取得した懲戒免除者に対しては、直ちに復職させるという措置政府のほうでとるということが今のような非常に大きな不公平を是正する一つの方法でもあると思うのです。政府のほうでは今度の法律を立案するに当つて、そういう点について一体どういう方法をおとりになるつもりでお考えになられたか。これはやつぱり副長官から答弁を承わりたいと思います。
  36. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) 懲戒によりまして失いました身分は、この法の効果はそのままで回復はいたさないのでありますが、その復職をするというようなことは、非常に過去に遡りまして、ということは、現在の定員法その他の関係で到底不可能な問題であろうと思います。
  37. 千葉信

    千葉信君 その到底不可能というのは、どういう條件からですか。例えばどの省におきましても、大体の現在の状態では、公務員諸君の場合、これは一般会計の場合でも特別会計の場合でも、通例一年間に五%程度の職員の異動が行われております。退職者と新らしく就職する者とのパーセンテージは、全体の職員の数から見ますと五%くらいに達しているわけです。ところが今度の例えば一般職職員のうちの懲戒処分を受けた人員というのは、二十五年と二十六年を通算しても、五千五百五人、一般職職員の全体の職員のパーセンテージから言いましても、一年間に大体この数字は〇・二%、懲戒処分を受けた公務員の数です。そういうことになりますと、一方においては五%以上の職員の異動があるのに、定員法その他の関係が仮にあるとしても、こういう職員の異動状況から考えますと、〇・二%程度の職員に対して、恩給法その他の不公平を救済するためにも直ちに復職させる措置くらいについて政府がとれないという理由は私は発見できないと思うが、この点は如何ですか。
  38. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) 第六條にはつきりしておりますように、この処分既成効果は変更されないとはつきり明記をいたしておるのでございますが、こういつたような懲戒免除といつたような過去におきまして行いました場合におきましても、この点ははつきした点でございます。なお実際問題といたしまして、現在、御承知のように行政整理を行なつておりまして、各公務員につきましては現在の人員を今整理する過程にございます。そのときに、過去において懲戒処分を受けた者が当然に復職して来ると、現在の人はそういう処分を受けないながらもやめて行かなければならん、こういうことは、むしろそれによつて来る、そのことから起りまする不公平というものはより大きな問題であると思いますので、そういう当然に復職させるというようなことは困難な問題であると思います。
  39. 千葉信

    千葉信君 定員法の問題に関する首切のあと補充の問題をこの際私は論議するつもりはありませんが、併し劔木さんのほうから特に言われたのですから、私のほうからもこれは一言しておいたほうがいいと思うのですが、定員法による大体行政整理というか、首切というか、あの問題については、これはもう現在の状態では、少くとも先ほど私が申上げた職員の自然的な異動の條件等から考えてみましても、それから希望退職者が相当多いという條件から言いましても、あの問題を理由として復職をさせることができないような状態があるという理由にはならないと思うのです。大体定員法による首切は、今年の六月までには少くとも定員法の縮減の分だけは順調に進むという情勢があるばかりでなく、むしろ場合によつては自然退職者のほうが多いという恰好で、その後における自然退職者の條件などを考えてみると、その問題は理由にならないと思うのです。それから今度は第六條の点について、懲戒処分に基く既成効果は影響を受けることがないとか、変更されることがないという、この條件とは私は問題が違うと思うのです。勿論そういうふうな第六條の條件によつて懲戒されたという嚴然たる事実ば消滅もされないし、それから又今度の法律のこの立案の状態から言いますと、そういう状態のために、今私が申上げたような直接利害関係、例えば恩給等の問題については、恩給の受給資格は消滅する、通算年限も通算されない、これはもう第六條で以てはつきりとそういうことは規定されておるわけです。そういうことが規定されておるために、先ほど来申上げておるように、これから処分される者との間にも大きな不公平が生ずる。その不公平を救済する必要が政府のほうでもあるという考え方から考慮されたということが、さつきの副長官からの御答弁でもはつきりあるわけです。従つてそういうふうな措置ができなかつた代りにでも、第六條に何も関係のない復職という問題についてくらい、政府のほうとしては当然実際上復職させることができるような状態があるわけですから、そういう状態に対しては政府のほうでも復職させることができないなどと、これはまあ見解の相違になるかも知れませんけれども、私から見れば十分これは復職させようと思えば、復職させる措置をとみうと思えばできるという條件が揃つているのですから、その点についても考慮する余地が全然ないというような御答弁では、政府の御答弁としては受取れないのですが、政府のほうでは将来そういう措置を考慮される余地があるのですか、ないのですか。
  40. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) 復職というので私誤解しておつたかも知れませんが、当然に懲戒免除と同時に前の官職を回復するという意味にとつておりましたのでお答えしたのでございますが、官吏任用の資格は得ておるのでございますから、改めてその個々の場合につきまして復職をさせるということは何ら差支えないと思います。
  41. 千葉信

    千葉信君 そうすると、衆議院人事委員会における菅野さんの御答弁によりますと、特に優先してそういう職員の、復職という言葉は誤解を招くとすれば、再採用、或いは又就職と、そういう点については特に措置をとるつもりはないという印象を與える御答弁がありましたが、今度は政府は積極的にそういう職員の復職ということについて措置をおとり願うということに了解してよろしうございますか。
  42. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) これは各省各業務の事務の関係によつて違うと思いますが……。
  43. 千葉信

    千葉信君 政府の方針です。
  44. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) 免除された者を当然に優先的に政府として採用するということは考えられないと思います。ただ資格があり、又その業務に適当である者につきましては、各省採用の判断によりまして復職を行うことと思います。
  45. 千葉信

    千葉信君 そうすると、やはり政府のほうでは、この法律適用される職員に対して、今まで懲戒処分等の行われた職員と今後行われるかも知れない職員に対する不公平に対しては、何らこれに対して政府のほうでは是正するような措置をとろうという考えは全然ないわけですか、そう了解していいですか。
  46. 剱木亨弘

    政府委員剱木亨弘君) 大赦等を行いまする場合においても、多少の不公平は起つて参りますので、できるだけ是正はするつもりでございますけれども、絶対にこの不公平を是正するということは、これは非常に困難ではないかと思つております。
  47. 千葉信

    千葉信君 私は今お話のございましたように、絶対に不公平を是正しろと言つておるのではないのです。相当な不公平が、絶対と言つてもよいくらいな不公平が一方にあるから、それを救済するような措置として、曾つて懲戒なつ職員資格が完全に回復できるという立場において、できるだけその不公平を是正するような措置政府が講じて欲しい、講ずべき立場にあると言つておるのです。だから、絶対などと言わんで、一つその点についてもう少し理解のある御考慮を願いたいと思うのです。
  48. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは質疑はほかにございませんか……。それでは他に御質疑がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは質疑は終了したものとして、討論に入ることにいたします。  本法律案について御意見のあるかたは賛否を明らかにして逐次お述べを願いたいと思います。
  50. 宮田重文

    ○宮田重文君 只今議題になつております公務員等懲戒免除等に関する法律案については、先ほど来千葉委員その他よりいろいろ御質疑がありましたが、その間この法律案によつて公務員等においても、この法律適用される場合に非常に不公平の起り得るような面もないではないので、さような点については必ずしも満足すべきものと考えられないような面もあることはあるのでありますが、併し一方恩赦その他が行われる場合にもやはり同様なことは生ずるのであつて、そういうのと並行して公務員等懲戒免除に対する場合も、慶事その他筆の場合に行う場合、やはり並行してかような法律案によつて該当するものを救済して行くというようなことは当然であると、こう考えるので、我々はこの法律案に対して賛成の意を表し、ただ政府においてもできるだけこの適用に当つては、不公平の少いような方途があればさようなものを十分考慮の上施行されるように望んで、本法律案に賛成をいたすものであります。
  51. 千葉信

    千葉信君 私は本法案に賛成いたします。以下賛成の理由を申上げます。  政府のほうからは本法の提案に当つて、国の慶事等があつた場合に行う措置として、恩赦の制度に倣つて公務員諸君に対して懲戒免除、或いは弁償責任減免という措置を講じたいという立場から御提案になられたという御説明でございましたが、私どもこの「慶事等」という政府提案理由に対して「等」という言葉を重税しております。どうしてかと言いますと、政府のほうではこれは慶事というお考えを持つておられるようでありまするが、私どもの認識する限りにおいては、決して今度の講和條約なり、或いは安全保障條約なり、若しくは又行政協定等が国の慶事として簡單考えられない。むしろ私どもは今度の講和條約の発効に伴つて日本が喜ぶべき事態に入るというよりも、むしろ悲しむべき事態に入るという認識を持つております。従つてそういう点から言いますと「慶事等」、つまり慶事であるとか或いは弔事の場合に行われる恩赦に倣つて今度の措置がとられるのだという認識の下に私はこの法案を審議いたしました。一体講和條約が発効するからと言つて、日本が果して独立国家になるかというと、本当の日本の自主権というか、独立国としての立場から、対等の立場において、例えばアメリカとも、その他の国とも自主権を回復した状態において国交が行われるなどということは希望を持つておりません。現実がそれを証明しております。例えば行政協定等におきましても、アメリカ防衛のための行政協定は結ばれておりまするけれども、日本防衛のための行政協定なんかは結ばれておりません。而も講和條約等に至りましては、むしろ逆に近隣大国を敵視するような形において、完全に戦争状態が継続するような形において講和條約が締結されております。国の主権も回復されない状態のまま、非常に危險な戰時状態が継続されるという状態は、これは独立国でないばかりでなく、戦争の危險をさえもむしろ増大するような形において行われた講和條約です。そういう点から言いますと、私どもは、先ほどこれは政府委員の御出席がなかつたときに御質問申上げたために、将来本当に日本の国民が喜べるような、どの国とも講和條約を締結して、本当に平和国家になれるような場合にこそ、我々は慶事によるところの恩赦、その恩赦に関連する公務員諸君に対する懲戒免除、或いは弁償責任減免等について行う措置が必ず近い機会になければならない。そういう立場から私どもは、この法案を審議したのでありまするし、又そういう状態に移行する一つの暫定措置的な形において、この法案のあることが望ましいという立場から賛成したわけでございまして、どうしてそういう暫定的な立場においてこの法案に賛成するかというと、政府の御答弁にもありましたように、大体はこの一般職職員だけに限つて見ましても、国家公務員法の第八十二條による懲戒処分を受けている者は、これは地方公務員や、或いは準公務員を除外し、今度の法律によつて対象となる、弁償責任減免等対象を除いた国家公務員法の八十二條による一般職職員処分だけでも、昭和二十五年が四千三百十三名、二十六年になりますると、五千五百五人、非常に厖大な数字です。こういう状態が起るということは、一方からはこれは公務員諸君に対する待遇等が適正でないということも一つの原因としてあるということを私ども考えなければならないと思うのです。待遇が悪いからと言つて行政処分を受けるような悪いことをするのは不当だと政府のほうで言うかも知れませんけれども、どだいこういう待遇條件が悪いばかりでなしに、政府自体が、一体この国家公務員法を本当に民主的に遵守しているかというと、遺憾ながらノーと言わざるを得ない。例えば英国なんかの状態を見ましても、公務員に対する給與の勧告、裁定等は常に政府によつて全面的に実行されておる。国会又これを承認するばかりでなしに、政府自行が予算上の如何なる理由に藉口しても、公務員等の給與等を勧告若しくは裁定から減額したり、延引したりしておる事実は一回もないのです。これは国家公務員法の第二十八條を政府が完全に蹂躪しておるという立派な証拠なんです。そういう非民主的な政府の態度なんです。国家公務員法さえ十分にこれを尊重しない。つまり政府自身が法律を蹂躪するというような形において国家公務員諸君非行を煽動しておるようなものです。そういうふうな状態で、政府法律を蹂躪するような点を示しながら、單にこれは国家公務員法の第二十八條だけではありません。そういう状態で、而も一方においては劣悪な待遇の中に酷使されておる公務員諸君の中から、こういう法を紊る職員が出るということは、遺憾ながら肯定せざるを得ないと思うので。そういう状態の中で行われた行政処分が、たとえ仮に今度の講和條約自体が日本の独立を保障しないものであつても、若しくは日本を本当に平和国家として将来長く繁栄させることを約束しないような講和條約発効に伴つての法案措置であつても、こういう公務員の現在のお気の毒な状態考えますると、私は今度の法律によつて、少くとも贖罪という意味において懲戒処分免除なり、若しくは弁償責任減免という措置がとられるということは、悪いことをした政府自身の罪滅ぼしの一つでもあるという立場から、私はこの法律に賛成いたします。
  52. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは討論は終結したものと認め、採決を行うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは公務員等懲戒免除等に関する法律案を問題に供します。本法律案に賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  54. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 全会一致であります。よつて法律案は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に本法律案を可とするかたの順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     宮田 重文  千葉  信     北村 一男  溝口 三郎     紅露 みつ
  55. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、先例に従いまして委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それではさよう取計うことに決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会