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1952-02-04 第13回国会 参議院 人事委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月四日(月曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————   委員の異動 十二月十五日委員木下源吾君、平井太 郎君、大野木秀次郎君、西川甚五郎君 及び西田天香辞任した。 同日議長においてカニエ邦彦君及び愛 知揆一君委員に指名した。 一月二十三日委員森崎隆辞任につ き、その補欠として木下源吾君を議長 において指名した。 一月二十五日委員小野哲君、杉山昌作 君及び吉田法晴辞任につき、その補 欠として溝口三郎君、村上義一君及び 森崎隆君を議長において指名した。   委員長補欠 十二月十五日吉田法晴委員長辞任に つき、その補欠としてカニエ邦彦君を 議長において委員長に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     カニエ邦彦君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            加藤 武徳君            木下 源吾君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   説明員    人事院事務総局    給與局長    滝本 忠男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長の就任の挨拶理事補欠選任の件 ○国家公務員給與問題に関する調査  の件 ○公務員制度に関する一般調査の件   —————————————
  2. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは只今より委員会開会いたします。  日程に入ります前に簡單に一応御挨拶を申上げますが、不肖私このたび委員長に御推薦頂きまして、甚だ不馴れな者で、御承知のように非常にまあ何と言いますか、無作法な人間でありまして、いろいろ今後の運営に当りましても皆さんがたの御指導を頂かねばならないと思つております。つきましては自分も十二分に一つ努力いたしまして今後の運営に盡したいと、かように思つておりますから、皆さんにおかれましても十二分に御指導御鞭撻あらんことを切にお願いいたします。   —————————————
  3. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それから委員が従来の数から十名に実は減じましたので、これは参議院規則改正によりましてなつたわけでありますが、緑風会理事がなくなりまして、自由党の理事が一人欠員のままになつてつたそうでありますので、この際理事選挙をいたしたい、かように思つております。つきましては理事選挙を如何取計いますか、一応……。
  4. 加藤武徳

    加藤武徳君 成規の手続は省略して、例によつて委員長の御指名をお願いしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 只今加藤君の動議に御異議がないようでありますから、それでは委員長から理事宮田重文君を指名いたします。   —————————————
  6. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 次に給與問題に関しまして人事院のほうから給與局長只今見えておりますので、この件に関しまして何か御質疑があればお願いいたしたいと思います。
  7. 千葉信

    千葉信君 滝本さんにお尋ねいたします。たしかこれは第十二国会並びに休会以前の第十三国会でも、地域給修正勧告はもう早晩これを提出するというような御答弁でございましたが、今以て提出されておりませんが、この問題がどういう状態にあるか、この点について人事院のほうから承わりたいと思います。
  8. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 地域給改訂につきましては、これは昨年から成るべく早い機会に国会へ御提出申上げるということを、人事院として申上げておつたわけであります。なかなか細部的な作業になつて参りますると、いろいろ問題の点もございまして、大部分作業は終了はいたしておりまするけれども、なお且つ今以て細部的に終了しておるというわけではございません。併しながら恐らくは非常に近い将来、例えば遅くも来週ぐらいまでには勧告が出るようになるのではなかろうかというふうに私は想像をいたしております。
  9. 千葉信

    千葉信君 地域給の問題については、相当これは地域的には非常に直接関係の深い問題であるという立場から、陳情請願、或いはいろいろな交渉が人事院なり若しくは又国会のほうへもいろいろ働きかけがあることは御承知通りでございまして、できるだけ早く、何といいますか、動揺しつつある公務員諸君に一日も早く納得させる必要があると思うのですが、従来の人事院の態度から考えまして、今殆んども作業は完了したというその大体の結論について、地域的な部分や或いは余りに具体的な点について説明を頂くということは困難でございましようけれども、非常に地方がこの問題に関しまして種々動揺の傾向もあるわけでありまするから、この際おあかし願える大体の現在の人事院案について、例えば地域的にはどの程度地域が今度の修正勧告の中に含まれておるかというような点についてこの際できるだけ御説明を承わつて置きたいと思うのですが、という意味は、私ども開会中にいろいろ地方に視察に参つたりなどいたしました場合に、恐らく人事院当局からその内容が漏らされたはずはないのですけれども、非常に具体的な情報地方へ飛んでいるのです。例えば一例を申上げますと、北海道の釧路であるとか或いは稚内であるとか、根室であるとか、こういう地域は今度の修正勧告で三級地に指定されることにほぼ決定を見た。そして而もそういう情報を仲介されたかたが自分の名前をそれに附加して、俺はその点については責任を持つことができるというような、そういう情報まで地方に大分ばら撒かれております。これは單に例として申上げておるので、私が例えば山陰、山口県のほうへ参つたときもそれに近い情報が流れているというような現象もございましたので、何と言つても早く勧告をしてもらうことが一番望ましい状態ですけれども、併し今日、明日という恰好で待ちわびている地方公務員諸君のためにも、できるだけこの際おあかし願える抽象的な、若しくは又大体の御説明で結構ですからその点承わりたいと思います。
  10. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 本日は人事院総裁が参る予定になつておるのですが、私が出て参ります頃ちよつと用事がありまして、いずれ参りますが、そのとき総裁からお話になろうかというふうに思います。併し我々といたしましても、人事院案が最後的にきまつておるわけではございません。大体固まりつつある線はあるのでありまするけれども、それと違つたようなお話が相当流布されておるのではないかというようなことにつきまして、これは困つたことであるというように思つております。併しそういうお話をなさるかたが勝手になさるのでありまして、これはどうも甚だ責任の持てないことなんで、私ども非常に迷惑をいたすわけであります。具体的なお話等につきまして、人事院はまだどなたにも申上げておるということはないのであります。尤も人事院案そのものが最後的に人事官会議決定されておるわけではございませんから、従いましてそういうことは、決定がこうだということを申上げるということはないはずだというふうに考えております。今回の案につきまして最初は相当幅を狭めましてきつく考えておつたのであります。併しながらこれはなかなか作業をいたして見ますると、例えば一つの町と一つの町と比べて見まして、いろいろな点におきましてなかなか切りがたいというようなものが相当出て参るということは、もうこれはこの問題に関心を持つておられる皆さん承知通りであります。そういう工合でありまして実は私の承知いたしておりまする範囲では、或る程度そういつたような町の数等も殖えて参つたというのが現在の状態ではなかろうか、従いましてこれは各府県によりまして数が同じようになつておるということは申上げかねるが、併し従来この地域給というものは或る府県は比較的よく付いておるというような所もありましようし、又他の府県はそうでないという所がある。今度の改訂によりまして恐らくはそういう点が是正されて行くのではなかろうかと考えております。従つて府県あたりほぼ幾つくらいというふうに申上げることは甚だ困難というように思うのであります。相当数付いておるということを申上げられる。付けることに人事院勧告はなるのじやなかろうか、併し付けるといいましても、地域格上げをしますもの、新しく地域に編入いたしますもの、いろいろあるわけであります。併し主として重点は、新らしく地域に編入というあたり重点が、作業重点がおかれておるということは申上げられるのじやなかろうかというように考えております。
  11. 千葉信

    千葉信君 これは余り給與局長にお尋ねすることもどうかと思われるのですが、この際更にもう一つお尋ねしたいことは、たしかこの前に実施されました地域給は、総体の人員の七六%くらいしか該当していなかつたかと思いますが、今度の修正の中では、勿論級地の引上げもありましようけれども、新しく指定されようとしておる所もありますが、そういう新しく指定される所を含んでの全体の公務員に対してのパーセンテージは、大体現在の人事院作業しておられる、これは将来変更があるかも知れませんが、今作業しておられる分ではどのくらい増大しておるか、それをちよつとお伺いいたしたいと思います。
  12. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) その詳細も只今ここで申上げかねると思います。主といたしまして町というものを新しく編入して参るということになりますと、そういう所の国家公務員の数というものは割合数が少い、従いまして地域が拡がりました割に人員は入つていないということになろうかと思います。尤も中には地域格上げそのものもあるわけであります。そういう所に相当の公務員数を、含んでおるものもある、こういうことになろうかと思います。
  13. 千葉信

    千葉信君 それから次にお尋ねしたいことは、たしかこれは第九国会か第十回国会の当時だと思うのですが、岐阜県のほうから出ました僻陬地手当請願に関してこの委員会でいろいろ審議をしましたときに、僻陬地手当の問題は地域給の問題とも関連して合理的に結論を早く出す必要があると思うから、その点について人事院当局にできるだけ早急に作業を進められるように御要望申上げておきましたが、その後の状態はどういうようになつておりますか。
  14. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 仰せのように僻陬地の問題は地域給に関連する部分が多いのであります。併し考え方といたしましては、僻陬地手当というものは、物質的に非常に生活事情が困難であるということのみによつて設定されている一つ手当であるというように我々考えておらないのでありまして、これはやはりどういいますか、それが人間本来である社会生活から隔離されましてそうして非常に山間僻地におきまして例えば教育のことに従事しているとか或いは燈台守のような作業をやつている、こういう人々精神的苦痛も加味いたしまして考えるというふうに、非常に嚴格に考えているわけであります。勿論お医者さん等もないことでありましようから、そういうような面の苦痛ということもあるわけであります。この僻陬地手当の問題は、これは現在のところ政令三百二十三号の中できめられておりまして、而も大蔵省でやつておられました時代に一つ基準を作つておられて、その基準に照し合わせまして、該当する地域というのが全国的に相当程度検討されて、網羅されておつたかと申しますと、なかなかそういうわけに参りません。これは御存じのように大蔵省検討中に、政令三百二十三号というものは給與法の中に根拠が置かれるということになりまして、動かずそのまま人事院に引継いでいる。従いまして我々といたしましてもこの問題を放つて置くわけに行きませんので、昨年の夏から、その前もしておりましたが、組織的な検討を進め、実地調査ということも相当程度やりまして、現在事務的にはいわゆる政令三百二十三号におきまする僻陬地手当基準に照し合わせまして一応の基礎案というものを得ております。これは人事院内で検討しているわけでありますけれども、このほうは数は相当多くなりますが、予算はそれほど伴わない問題ではなかろうかということで、予算の面からも若干の検討を進めております。でき得れば地域給改正をして頂きましたあとあたりに、余り遅れないようにこれを考えて行きたい。但しこの問題はこの政令三百二十三号で今まで動かし得ないというようになつておりましたけれども、併しその後におきまして三百二十三号を若干動かしておるというような点もございますので、或いは人事院限りでやり得るというようなことになるのではなかろうかというふうに思つております。
  15. 千葉信

    千葉信君 それから次にお尋ねしたいことは、第十三国会休会に入りましてからあと浅井総裁談話を発表されて、そうして恩給法提案は、これは四月一日から給與準則を実施した後に予算関係その他を十分勘案した後でなければ恩給法提案は不可能だというような談話を発表されたようでありますけれども、やはり人事院では、この浅井さんがおつしやつたように、給與準則を取りあえず四月から実施するという一応の進み方で、恩給法提案その他はこれ以降というふうにきめて現在お考えになつておられるかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。
  16. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 只今お話は、これは総裁にお尋ねして頂けばなお一層的確であろうと考えるのでありますが、ただ両方とも我々のほうで研究いたしております関係上、事務的な点を申上げますと、現在給與準則も或る程度作業は進捗しております。で、殆んどこれは法律の法文ということになつて参りますると、見通しがついておるという状況であります。併しこの給與準則は白紙にものを書くようなわけには参りませんので、現在の給與額というものがあるわけであります。それと如何に関係づけるかというような問題に細心の注意を拂わなければならん。殊に法律でおきめ願いますことは、そう細部に亘つてまで一々きめられるものではないというふうに考えております。殊に又給與準則運営等の面から考えてみますると、法律で一々がつちりきまつておりましたのでは運営がつかないというので、従つて人事院規則で或る程度はきめなければならんことがあるであろうということを考えるのであります。併しながらこの部分はやはりかつきりした人事院規則でなくても、その内容等においてほぼ完成に近い姿で法律案と一緒に御覧願わなければならんのじやなかろうか、今目下そういう作業を入念にやつております。給與準則をやります際には、従来の既得権というものは、これは給與だけにつきましては職階制附則で認めるということになつておりますが、そのほか各種の制約もありますが、そういうことのために従来からいろいろ不利益になるということがあつてはいけない。原則としては既得権は尊重されなければならないというような観点から我々は作業を進めております。そういう作業をやつておりましてほぼ近く全体としてのまとまつた人事院としての案が体系的にでき上るという状態であります。  それで恩給法のほうもこれと並行いたしましていろいろ作業を進めております。作業進行状況はまあ大体順調に参つております。参つておりまするが、恩給法というのは、これは恩給法だけを作ればいいというものではなく、これもやつぱり従来の慣例もありますので、各種の法令の改廃をやらなければならないということであります。又共済組合法から、当然長期に亘りまする給付というようなものは、これは恩給法のほうに持つて行かなければならんという面もあります。又この国家公務員災害補償法というものもこれに伴つて改正を要するというようなことで、又退職手当は現在暫定的な法律で出ておるのでありまするが、暫定的とは言いながら、やはりこの恩給法改正に伴いまして或る程度変えなきやならんというような問題もありまして、目下作業をやつておるのであります。給與準則にいたしましても、恩給法にいたしましても、実にまあそれぞれ構想は違いますけれども、実に込入つた大きな体系のものでありまするから、これを同時に国会に御審議をお願いするということはなかなかこれはむずかしいのじやないか。従いましてやはりこれは順序ということはつけなければならんのじやなかろうか、只今のところはまあ差当り給與準則のほうを先に御審議願いまして、その後で恩給法のほうの御審議を願うという程度のところに私はきまつているように思つております。先ほど人事院総裁談話があつたというようなことのお話でありますが、私はその談話というものを詳しく存じておりません。私が日常総裁に接触してお聞きしているところでは、この恩給法もこの国会に必ずかけたいということを申しておられました。勿論我々のほうといたしましても両法案の勧告を至急に出すよう努力はいたしておりまするが、ただかける順序といたしましては同時にというわけには参らんのではなかろうか。従つて給與準則のほうを先にかけまして、それから恩給法を御審議願うというようなことになるように事務的には承知いたしております。
  17. 千葉信

    千葉信君 同時に国会にかけるということになると、これはまあ滝本さんがおつしやつたように、そう簡單には参るまいと思うんですが、併しまあ余りにそう人事院のほうで国会審議等に関連して勧告の提出を按配するというようなことは、これは少し我々としては余り当を得た考え方じやないと思うのですが、特に給與準則にいたしましても、恩給法にいたしましても、非常に公務員が一日も早く実現を待望している問題でありますし、従来の人事院国会における答弁等から言いますと、実はもうとうにこれは提案され勧告されていなければならないはずだつたと思うんです。どちらも非常に極めて甚だしく私は遅延しているというふうに考えております。併しまあ今人事院の御答弁によりまして、大体私ども想像としては、その提出されて来る時期の見当がつきましたから、まあ一応この問題はこのままにいたしておきます。ただ一つお尋ねしておきたいことは、たしか恩給法改正については、従来の人事院が所掌している国家公務員法に基く、つまり一般職職員だけに対する恩給法ということだけではなく、もつと広汎に国家公務員全体を含むとか、或いは公共企業体職員等も含むような形において恩給法改正されるというふうな、そういう最初の私どもの印象でありましたが、一体人事院で今作業を進めておられるものは、どの程度公務員諸君その他を含んでおるかどうか、それから又若しそういうふうに広汎に国家公務員その他準国家公務員等を含んだ場合に、現在の公務員法等を或る程度改正して、人事院恩給法に関して一切をやるという、そういう進み方でお考えになつておられるかどうか、その点をこの際聞いておきたいと思います。
  18. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 御承知のように現在の恩給法にいたしましても、特別職一般職の区別というものは、これはそういうものができます以前からあつたわけであります。両方に跨つている、或いは地方職員でも当てはまるという現状であるわけであります。又恩給法の性質といたしましても、一般職だけに限るということは、これはなかなか困難なことではなかろうか、こういうふうに思います。従いましてこういう問題は、これはそういう区切り方をいたしまして、一定の公務員に利益になるようなことがあつては事実上困る問題ではなかろうかというように考えられるわけでございます。従いまして我々の現在の作業進行は、これは何も一般職だけに限るというつもりでやつているわけではありません。ただその取扱い等につきまして今後どういうふうになりますか、現在の公務員法によりますと、人事院がやるというふうになつておりますが、併しながら現在におきましては、例えばこの寒冷地石炭手当の問題でありますとか、これは全公務員、即ち一般職公務員特別職にも適用されている法規でありますが、これはまあその人事院勧告によりましてやるということになつておりますが、公務員法によりまして人事院にはつきり課せられておるものは一般職だけでありますけれども、直ちにそれを直すか直さんという問題になつて来ますと、これはいろいろ議論があるのではないかと思います。尤も私はそういう法律問題につきましては十分詳しくは存じませんが、現在におきましてもいろいろ問題があるように思われます。恩給法につきましては、とにかく一般職だけを対象にすることなく、対象特別職にも及びまするし、場合によりましては地方公務員をも包括し得るような方法で、そういうことを目途といたしまして研究を進めておる現状でございます。
  19. 千葉信

    千葉信君 次にお尋ねしたいのは、給與準則の問題に関してでありますが、只今滝本さんからお話がありましたように、職階制に関する法律附則の中で、実績と言うか、それまで支給されていた給與から減額しない、不利益な扱いはしないという附則があるわけでありまして、この点は問題はないことになりますが、ただ御承知通り若しも給與準則が実施されるということになりますと、これは申上げるまでもなく、職階制に関する職種の分類或いは職級明細書と言いますか、そういう非常に職階給的な上下開きというものがあるけれども、現在の給與基準は開いて来るのではないか、こういうことが予想されるわけです。そういうことになりますと、現在の給與については職階制に関する法律附則の中で不利益取扱いはしないということになつておりますが、非常に上下開きが増大することによつて起る上級者、若しくはそういう分類による高給者が、或る程度現在より給與が増大するということが考えられるわけです。そういうことになりますと、或る程度予算措置というものが必要になつて来ないかというふうに私ども考えておりますが、この点についてお尋ねしたいと思います。
  20. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 職階制なつたからといいましても、直ちに上下差ができるというふうには我々了承しておらないのです。これは我々人事院給與ベース勧告をいたします際にとつております方向であります。それによりますと、民間における同様の責任職務内容を有するポジシヨンというものを一応の見当といたしまして、そういう人々給與というものが、比較的簡單作業に従事しております者の給與とどういうふうな関係になるかということを見まして、そうしてそれに歩調を合せてやつておりますから、今後若し給與水準上つたとか、或いは民間におきまして非常に格差ができるということになりますと、これは勿論それが反映して公務員給與に影響して参るというふうに思うのです。併し職階制なつたから直ちに上下差ができるというふうには我々は考えておりません。この給與準則になりますると、現在の職務の級でいろいろの人が或る一つ等級の中に入つて来るということはありまするので、これは相当一つ等級といいますか、そういつたものの俸給の幅というものが従来に比べて相当広くならなければならんということは勿論予想されるのであります。いずれにいたしましても、そういう所に入つて参つたとしても、そのための不利益取扱いになるというようなことは我々考えていないのです。むしろ現在の給與というものは保障いたしまするし、それから又昇給の速度等につきましても、一般的には現在より落さないというような目途でやつておりまするから、我々考えてみまして、現在より惡くなるというようなことは到底考えられないというふうに思つております。なお詳細につきましてはいずれそのうちに近くできることでございますから、その際に詳しく御説明申上げたいと思います。
  21. 千葉信

    千葉信君 提案されましてから詳しく御説明を伺うことは私どもそのつもりでおりますが、只今滝本さんから、私の言葉が足りなかつたためか、少し私の質問のポイントを外れた御答弁を頂いたようでありますが、私の今お尋ねしている点は、不利益になるとかならないとか、これは職階制に関する法律で明白になつておりますから、そういことは考える必要はありませんが、ただいきなり今度の給與準則の設定によつては、職階給的な、能率給的な方向へは移行しないけれども、併し中には或る程度上下差といいますか、職階給的な、能率給的な要素が加味されるだろうということは、誰でもこれは想像していることなんです。それは俸給の上下差の問題は抜きにしても、上下の階級的な開きというか、段階というものが現在より或る程度増大するだろうということ、或る程度多くなるだろうということは、これは誰でも考えられることなんです。そういうことになりますと、そういう幅の増大というか、上下差の増大ということによつて、当然これは或る程度現在の給與よりも有利に扱われる職種が出て来るのじやないか、又出て来るだろう、そういう形で徐々に能率給の体系に移行して行くということの一つの段階になつて、今度の給與準則の設定によつて行われるだろう、こういうふうに考えておるのです。ところがそういう場合にやはりそういう給與上下差の増大というものは、現在の給與水準とは違つて、或る程度予算措置が、少額ではあつても必要になつて来はしないか、こういう点を私はお尋ねしておるわけです。今滝本さんの御答弁では、そういう点についてはどうもはつきりしなかつた点があるのですが、その点を承わりたい。
  22. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 今千葉委員からの御質問の点は更に我々がこの実例をお目にかけまして御説明いたしますれば、或る程度御納得頂ける点ではなかろうかというふうに思つております。不幸にいたしまして現在その資料もまだ全部整理しておらないような状況でござまいすから、甚だ抽象的なお答えを申上げるわけでございますが、大体におきまして現在の俸給表の基礎には通し号俸というものが使つてある、その通し号俸というものが今度の給與準則の中でも使われることになるであろうというふうに考えておるのであります。従いまして現在のその通し号俸を用いまして俸給の幅をきめて参りますから、今度は今おつしやつたようなことが直ちに現われるというふうに我々は思つておらないのです。仮に現在のままの俸給表におきましても、民間給與上下差ができますれば、例えば七十号と初号との間に、通し号俸で七十号と初号との間に開きができる、そういう意味におきまして上下差ができるということが、今度の職階制給與準則の上におきましてもそういうことが言えると考えておるのであります。従いまして或る上位の等級が何号から始まつて何号というようなやつをすぽつと上へ持つて行くというようなことをやるというようなことはないのです。将来におきましてもそういうことはよほど理由がない限りできないのじやなかろうか、そういうふうに思つています。それにより予算が要るのじやなかろうかという御指摘でありますが、この点もまだはつきり見通しはついておりませんけれども、併し職階制で切捨てはしないということを言つておるわけです。職階制附則で現在いろいろな職務の級の人がおりますが、そういう人が或る等級に入つて参ります。そういう人の分布を見て参りますと、非常に給與の低い人と高い人、そういう非常に広い幅をこの俸給の幅として認めることはできませんから、或る程度下を持上げて、或る所からというふうにしなければならん、上のほうも或る限度をきめなければならん、で幅をきめるということになると思います。上の人は切下げるということは勿論いたしません。併し下のほうの人はここまで上げて行かなければならん、そのために予算が要るのではないかというふうに考えております。この予算はこれはどこまで切上げるかということで予算の要る限度というものは違つて参るのです。我々のおおよその見当では、大体十億乃至二十億程度つたらそれは行けるのじやなかろうかというふうに考えております。これは予算の問題に直接関連いたしておりまするし、給與準則が一体どういう方法で実施されて行くか、例えば或る一定量を切替えてやるというようなことになりますれば、勿論要るわけです。併し給與準則の切替に当つて、或る一定期間、例えば六カ月間というようなものを六カ月間かかつてこれを切替えるということになると、これは又自然に行くというようなことにもなろう、その切替等につきましてもまだ詳細を現在研究中であります。今直ちにはつきりしたことを申上げかねます。予算が必要である、むしろそういう面において必要であるということで、上のほうが高くなるということは今直ちには考えられない。でそれは現在の給與法でありましても、或いは職階制に基く給與準則に切替えられましたあとにおきましても同様の問題であろうかと、即ち基礎は一号から七十号、その上の八十二号くらいまでありまするが、これを民間と合せて行くということが根幹になつて作業をいたすということになると思うのでありまするが、従つて直接にそれが職階制に切替えたために上のほうが急に上るということはないのではないかというふうに考えております。
  23. 千葉信

    千葉信君 大体私のお尋ねしたいと思う点、つまり給與準則設定によつて或る程度公務員諸君予算上から言えば有利になれそうだという点がわかりましたから、私はこの点はこれでいいとします。ただこの際お尋ねしたいことは、御承知通り現在の国家公務員一般職職員給與は一万六十二円などという、而もそれがその実体が非常に怪しげな低い給與決定されておりまするけれども、御承知のように現在非常に物価が惡循環の傾向を、物価自体も惡循環の傾向を辿つておりまして、相当公務員諸君の生活が窮迫しておるはずなんです。従いまして人事院が昨年の五月を基準にして勧告されました一万一千二百六十三円当時から比べて、人事院勧告自体から見ても私どもは五%どころではない変動が私はその後起つておるというふうに考えておるわけです。そういう情勢の中で、これは又新聞記事を例に引けば、朝日新聞等に出た記事によりますると、人事院当局としてはいろいろその後の情勢の変化に応じて給與引上げの問題について作業を継続中であるという報道があつたようでございまするが、私どももこれは当然のことだろうと思つているのですが、そういういろいろな客観情勢の変化に応じて、現在の段階ではやはりどうしても或る程度給與の切換は必要だという段階に来ておると思うのです。そういう段階に来ておるときに、今お話のように給與準則の問題が起つて来て、そうしてそこから或る程度予算措置を講じなければならないという、たとえ少額にいたしましても、十億、二十億というような少額であるにいたしましても、そういう必要が当面起つて来ておるのです。そういう予算措置が必要だという当面の情勢と睨み合せて、この問題を給與改訂方向へ有利に結付けて行く必要があるというふうに人事院はお考えになつておられないかどうか、つまり給與準則の設定に伴つて或る程度予算措置が必要だという情勢と結付けて、現在の物価の状態、生計費の状態からいつて人事院給與準則の設定と同時に、或いは又それを有利にそういう情勢を活用しながら給與引上の方向べ持つて行くという考え人事院が持つていないかどうかということを御答弁願いたいと思います。
  24. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほど私が申上げました通り、この給與準則の切替に当つて予算措置が若干必要であろうということを申上げたのでありまするけれども、これはたまたまそういうこの切上げられるというようなところにおつた人だけの問題でありまして、全面的にそれによりまして給與の水準が改訂されるという問題じやない。従いまして今御指摘の全体に窮迫しておつて、昨年の五月から相当の変化があつたはずではないかというふうな御指摘があつたわけでありまするが、そういう問題に対しましては、これは公務員全体として考えなければならん問題ではなかろうかというふうに思うのであります。従いまして給與準則をどういう形において出すかということは相当問題があろうというふうに考えるのでありまするけれども、我々は給與べースが適正か否か、或いはいわゆる二十八條で言つておりますこの判断を人事院がいたす時期に達しておるかどうかということは、別に考えても又いいのではないか、即ち給與準則の切替という問題はむしろ制度の問題でありまして、直ちにこれを給與の引上と結付けて考える必要はないのではないか、むしろ我々といたしましては、ベース・アツプの問題はこれはもう二十八條で人事院としては当然やらなければならん、その後経済事情がどうなつておるか、標準生計費がどうなつておるか、人事院は現在におきましてベース・アツプをするということを判断する資料がまあいつも、いつもというわけにも参りませんけれども、絶えずそういうことについて我々が研究いたしまして、そうして適当な時期にそういうことを人事院が判断いたしまする資料に事欠かないように私ども勿論準備は進めておるのであります。従いまして一応両者は分離して考えてもいいのではなかろうかというふうに思つております。というのは先ほども申上げましたように、給與準則におきましても我々が現在使つておるところの給與の体系でございますね、その基礎になつております通し号俸というようなものはそのまま使つて行こうというふうに考えております。従つてベース・アツプということが仮にあつたとしましても、それは何も給與準則の体系を変えるというような形で行われるのではないのでありまして、例えば或る等級の号俸が何号から何号ということは、ベース・アツプがあろうとなかろうとこれは変りはない。従つてベース・アツプがあればその号俸の金額が上るというふうに問題は分けて考えられるのではなかろうかというふうに考えております。
  25. 千葉信

    千葉信君 分けて考えることのほうが、人事院としては筋の通つた考え方かも知れませんけれども、私の申上げておるのは、そういう給與準則の設定によつてどうせ或る程度予算措置が必要であるし、それから又一方から行けば、今もお話申上げましたように、相当その後の生計費の状態、物価の状態から考えますと、もうそろそろ給與引上という段階に来ておるのではないか、若しそういうふうな認識が人事院にあるとすれば、我々としてはできるだけこの際給與準則の設定に伴つて予算措置が必要だという段階に結び付けて持つて行くことのほうが、給與の引上の問題を有利に持つて行くことができるのじやないか、こういう立場から私は申上げておるんですが、あえて私は人事院のそういう考え方に反対するわけじやありません。反対するわけじやありませんけれども、少なくとも公務員諸君給與に対して相当責任ある立場に立つていなければならないはずの人事院考え方としては、結び附けて行くことのほうが有利に持つて行けるという考えが若し正しいとすれば、人事院としてはそういう点も考えて行く必要がありはしないか、そうして又私が特にお尋ねしたいことは、そういう考えの上に立つて人事院では一体現在給與引上の問題に関して作業がどの程度進行しておるか、その点についてこの際お伺いしたいと思います。
  26. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほど申上げましたのは給與準則の問題とベース・アツプの問題を分けて考えるのがやさしい方法であるということを申上げたわけであります。検討していないわけではございませんので、御指摘のようにいろいろこの問題は給與準則の設定といいましても、截然としまいまで、末端まで分け得る問題かどうかということにつきましては、いろいろまだ研究しておる段階でありまして、そういう点につきましていろいろ考えております。従いまして御指摘の点等につきましては今後におきまして更に愼重に考えたいと思つております。  現在それでは一体経済事情がどういうふうになつておるか、人事院がどういう判断をしているかということにつきましては、成るほど民間給與というものは、昨年の五月から昨年の十一月の間におきまして約五%程度つておる、これはその間に労働生産性の向上というような問題があつたということも一つの裏付になつておるようであります。そこでもう一方の足になつております標準生計費という問題になつて参りますと、昨年の八月に免税点の引上ということが、減税が行われた、地方税等を考慮に入れましても、税込の標準生計費で申しますならば、現在我々が計算いたしておりまするのはおおむね昨年の十一月程度でありますけれども、この数字は必らずしも人事院が今直ちに給與ベースの引上を勧告しなければならんという状況に達しておるというふうには考えておりません。それからC・P・Iを見ましても、やはり消費に関連ありまする物資等につきましてはおおむね横這いであるというふうに現在判断されるわけであります。従いまして今直ちにこの給與ベースの引上げを勧告しなければならんという時期に達しておるというふうには判断できないのであります。なおこういう指標につきましては、絶えず注意いたしましてやつておりますし、又民間給與調査というようなものにつきましても、人事院の資料だけでなしに、政府関係機関のほうぼうでやつておりまする資料を収集いたしましてその整理に努力いたしたいと思つておるような状況であります。
  27. 千葉信

    千葉信君 もう一つ重ねてお尋ねいたしますが、十一月を基準にしていろいろ御調査になつておられて、今のところ直ちに勧告をするというような段階にはない、標準生計費その他の関係がなつておらないというふうな御答弁でございましたが、そのほかにもう一つ私は人事院にどうしても考えてもらう必要があると思うことは、これまでの勧告で、人事院民間給與状態に鞘寄せするという形において民間給與の実態を調査して、その点を十分に参考に入れて勧告をされておりましたけれども、当時国会でも論議になりましたように、あのときに人事院調査されました民間給與調査の中で最も問題になつたことは、五十人、六十人程度の小企業、小工場等の賃金の状態が非常に比重が重く考慮の中に入つてつた。この問題については前にも参議院の人事委員会における公聽会の席上でも、例えば商工会議所の中にある労働問題研究所等の調査によつても、大工場、大会社等の民間給與水準というのは、人事院調査した水準とは遥かに違うのだ、こういう点なんかも今度又問題になると思うのですが、人事院としては民間給與の水準をとられる場合に、この前と同じような小企業、小会社、小工場を対象にして調査をされるつもりであるかどうか、この点を承わりたいと思います。
  28. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) この前御指摘を受けた点でありまするけれども、我々は小工場をとりまして、そうして小工場をそのまま大工場と同様に取扱つたというわけでは決してないのであります。あれは資料を御覧頂けばはつきりわかるのでありますが、例えば五十人程度の従業者のおりまする所の人事課長でありまするとか或いは業務課長でありまするとか、そういう人を考えまする際に、三百人なり五百人なり、千人なりの事業場の業務課長なり人事課長と同様に取扱つたということはないのであります。それぞれの責任の範囲或いは仕事の範囲、複雑さの程度ということによりまして、それぞれ段階を付けて考えておるのであります。即ち比較的小企業と言いますか、私は必ずしも小企業とは考えないのであります。我が国において例えば大都市の周辺以外を除いて考えますと、三百人、五百人という工場は大工場であります。そういう所をとるのを必ずしもおかしいというふうには考えておりません。併しながら御指摘になつたような点につきまして、我々がもう一度考え直して見まして、より適正な値をとるように努力するということは当然のことでありますが、そういう意味において考慮いたします。又労働問題研究所あたりの資料も十分見ておりまするが、これとても必ずしも代表的な本当の大工場だけを取出しておるというような状況でございまして、こういうものだけをとつて来て一般の納得が行くかどうかというような点も多少問題があるんじやないかというような点も考えております。いずれにいたしましても、御指摘の点につきましては更に検討を重ねまして、今後我々が民間給與調査をやりまする際においてそういう点について十分研究をした上でいたしたいというふうに考えております。
  29. 木下源吾

    木下源吾君 今日は地域給勧告の点とベースアツプの点と、それから給與準則というようなことで大体お尋ねしたいと思いますが、今いろいろ千葉君との応答でいろいろお話がありましたが、どうも腑に落ちないのですが、結論から言うと、我々はもうすでにベース・アツプを勧告せにやならん、こういうふうに考えております。そこでいろいろ標準生計費やら民間給與のことを人事院考えておる。まだその時期に来ておらないような話もあるが、第一に昨今民間給與の面においては民間労組のほうでは従来のC・P・I、これは甚だ不確実である、従つてエンゲル系数の問題を飛び越えて全物量方式で行かなければならない、こういうふうに考えて、現に各單組は、大單組からその他官公労においてもそういう決議が、すでに開かれておる大会では皆採用されておる。こういう点について一体人事院はC・P・S並びにC・P・Iが、全公務員の生活を支えるための給與に、確信を持つてこれはやり得る方式であるかどうかということを一つつて置きたいと思います。
  30. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) C・P・I、C・P・S等につきまして民間の労組等におきましていろいろ御検討になりまして、これが必ずしも適当でないというようなことをおつしやつておるということも承知いたしております。ただ人事院公務員給與ベースをきめます際に、C・P・Iにスライドさせるというような方式をとつていないことは御存じの通り、ただC・P・S等の個々の物価調査として出て参りまするいわゆる消費者価格というものは、これはやはり採用して何ら差支えないものじやなかろうか。従いまして我々は標準生計費という、人事院のいわゆるマーケツト・バスケツト方式をとつておるわけでありますが、その基礎資料はC・P・Sに出ております数字を採用するということにつきましては何ら支障がないというふうに判断しておるわけであります。ただC・P・I、C・P・Sそのものを問題にするということになりますと、御指摘のような点があるということも一応検討して見る必要があるんじやなかろうかということは考えまするけれども、併し我々がやつておりますることは、その数字をそのまま使うということをいたしておるわけではございませんので、その点は公務員給與ベース勧告につきましてはそれほど問題になることではないというふうに考えております。
  31. 木下源吾

    木下源吾君 今の問題ですが、C・P・Sでも地域給の問題のときに甚だ不十分だということは人事院も認めておるし、これをもつと合理的な科学的なという点についての研究もせられておると思いますが、今民間労組のいわゆる全物量方式というものが、より私は正確ではないか、こういう点を考えておるので、その点について一つ見解を聞いて見たいと思います。
  32. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 地域給のときに特別C・P・Sというものを用いたのでありますが、あのときとしまして、特別C・P・Sを算出する際に出て参りますウエイトとして用いてあるのは、あの当時としては先ず先ず妥当であつたのではないかと思うのであります。民間労組におきましてこのC・P・Sを使うということになぜ不賛成であるかと言いますれば、恐らくはC・P・S等を算出いたしまする際に考えた、即ち言葉を換えて言いますると、それが表現しておるところの一つの生活内容、まあマーケツト・バスケツトというようなことを言つてもいいのかも知れませんが、それは非常に窮乏した時期のものである、そういうものを基準にいたしまして、そうしてその後それがどれだけ上つたからそれだけ賃金の要求をするというのではこれは不十分である。従つて経済が回復して参るならば、それに応じてやはり一般労務者の給與というようなものも、生活内容を拡大した意味において考えるべきではなかろうか、そういう意味におきましてC・P・Iをとるのが適当であろうというようなことが言われておるのではなかろうかというように思うのであります。で全物量方式というものはいろいろな所でいろいろのことを考えておるわけですが、例えば飲食物費でありまするとか、或いはそういつたはつきりした消費が眼の前で極く短期間の間に行われるというようなものにつきましては、これは成るほど或る程度の意味は見出し得るというように思つております。但し相当耐久的な被服でありまするとか、家具調度の類でありますとか、或いは食器或いは炊さんに要しまする用具、いろいろな用具がありますけれども、それの耐用年限をどういうふうに押えるか、一体どういうふうに見て行くのが適当であるかということになつて参りますると、これは従来とてもいろいろな研究があるわけであります。その見方というものは、実は実証的になかなかむずかしいと考える。みんながまあこれぐらいのところであろうということできめておるということが多いのであります。而も全物量方式によつて計算いたしますると、そういう最後のところに行きますると極め手のないような要素がたくさん入つて参りまして、なかなか議論の余地が非常に多いのではなかろうか、そういう点から私は恐れておるわけであります。ですから本当に研究された後でありまするならば、金物量方式もなかなかいいのでありましようけれども、現在の不十分な段階におきましては、そういう方式は非常に議論の多い方法ではなかろうか。従つて只今のところにおきましては、飲食物費等につきましては、これはマーケツト・バスケツトというものを作つて行く、これはいいようです、いわゆる全物量方式、併しそのほかの住居費でありまするとか被服費、そのほかの費用につきましては、現在人事院がやつておりまするようにC・P・S、このC・P・IでなしにC・P・S、現実に消費されておる平均値というようなものを一応の目安にするということが、これがむしろ現在の段階としては適当なことであろうというふうに考えておるわけであります。その際にC・P・Sの調査対象になつておるものが公務員よりも層が違つておる。或いは労務者よりも層が違つておるというようなことを一般に言われる場合がある。又非常にその選択対象が偏つているというようなことが言われる場合がありまするが、それはそういうところを漸次解明することによつて補い得る問題ではないか、こういうように考えております。
  33. 木下源吾

    木下源吾君 今の御答弁の中にあるようにすでに従来のC・P・S、C・P・I、そういうやり方というものはもう古くて頭打ちになつてしまつて実情に即さないというところに、全物量というような方式を考えて来たわけです。で一方はどちらかといえば理論的に、実際的ではない。そういう結果として、今日の民間の労働者の要求というものが現実に現在の給與と非常に開きがある。こういうようにまあ考えられるのですが、今全物量方式は非常に厄介だと、こういうことを言われるが、厄介な点を科学的に究明して行つて、そうしてそのほうが現実に合うんだからして、それをやるというような考えはまだ人事院としては持つておられんのか。やはり頭打ちをしておつても、従来の方式でやらなければならんという何か根拠があるのですか。
  34. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 只今申上げましたように、人事院はC・P・I方式というものはとつておらないのであります。で飲食物費はマーケツト・バスケツトでやつておる。ただその飲食物費は、マーケツト・バスケツトを計算するに当りまして出て来ます。この消費物資の、品種別にその消費価格を消費者物価調査からとつておるということでありまするから、直接にC・P・I方式がどうのこうのということは、人事院が今やつておる計算方式とは一応無関係であるというようなことが言えるのではなかろうか。無関係でありますが、C・P・Iの方式がどういうふうに人事院は……、私個人の考え方を申上げたわけでありますが、考えておるかということでありますので、ただ申上げたわけであります。人事院が現在とつております方式はC・P・Iの方式ではないのであります。一応判断の一つの資料としてC・P・Iの傾向を見るということはいたしますが、直ちにそれに基いてやるということはありません。人事院が標準生計費を計算いたします方法につきましては、それが一番いい方法であるとは思つておりません。よりいい方法があれば採用して行くというふうに研究はいたしております。
  35. 木下源吾

    木下源吾君 そこで問題は、二十七年度のこの間政府のほうから国会説明をされたものが、鉱工業生産は八%の見込をしておる。これはすでに或る意味ではべース・アツプをしなければならん基礎をいつておるものと我々は考えるのですが、こういうことをやはり人事院は二十七年度に対して考えるべきではないか、そういうことに対して給與というものを考えて行くべきではないか。今聞いておると、こういうことはまだ考えておらない。これから先に行けば、いつかの臨時国会までに間に合うかどうかわかりませんが……、そうすると二十七年度というものはベース・アツプということは非常に困難であるということになる。あなたがたの勧告が基礎になるので、すでに予算提案において、そうしてこの日本の財政経済の面からこういう方向に行くのだということを明示されておるので、やはり人事院としてもそういう点に非常に注意を拂わなければいかん、こういうように私ども考えておるわけであります。殊に二十七年度予算というものは、御承知通りいわゆる準戦時的な予算が総予算の二一%も含まれておると言われておる。果して然らば、実際はそうなんだけれども、これは誠に不生産的な消費であつて、そのために当然インフレが起きて来るということも、これは誰にも考えられるのです。現政府はそれを起きないようにしようとするが、今までだつてインフレにしないしないというふうな、起さないような経済をやるやると言いながらどんどん上つて来ておる。殊に今度のいわゆる軍事予算、政府は軍事予算だとは言わんが、我々は……、軍事ということもいろいろ言い方があろうが、不生産的な警察予備隊、防衛費にしようが、ことごとく何も拡大再生産にかかるのじやない、当然インフレになる要素なんだ。こういうことをすでに政府はそういう方針を明らかにしておる、予算面で明らかにしておるというときにおいて、特に人事院は来るべき時期に対する公務員給與というものを当然私は考えて行かなければならない、こういうふうに思うのです。その点は人事院はどういうふうに考えておられるのですか。
  36. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 今御指摘の鉱工業生産が八%というような安本の見通しであるように私聞いております。併しそういう安本の見通し、これは直接我々関連いたします点は、国民所得の問題であろうと思いますが、そういう計算の基礎になつておりまする安本の計算におきましては、公務員給與はベース・アツプしない、或いは国鉄の給與は調停されたものを一年間やるというようなことを基礎にしていろいろ考えられておるようであります。従つてそういうようなことに拘泥するわけじやありませんが、今までこれは一つのものを見通すという場合、いろいろ研究されて行つておるものであろうというふうに思います。ところが人事院といたしましても、公務員給與というものはいろいろの経済の要素に関係があるのでありますから、それは我我としても注意して見ておるわけであります。併しながら我々が給與べースの引上げをやらなければならんというのは、飽くまで公務員法の二十八條に該当するというふうに人事院が判断いたすときでありますので、そのことにつきましては、遅滞なくこれが遅れないように資料の整備をいたすということで準備をいたしております。
  37. 木下源吾

    木下源吾君 公務員法二十八條の〇・五の問題ですが、もう実際にはそれはその上を越しておるのじやないですか。その点はどうですか。
  38. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 先ほどもちよつと申上げたのでありますが、人事院が判断いたしまする際には、民間給與調査というものと、それから標準生計費と、この両方から判断いたすわけであります。ところで民間給與調査というものは、いわゆる平均的な、工業平均でありますとか或いは全産業の平均でありますとかいつたようなものでやるわけにはいかない。これは飽くまで職種別にその給與を調べるという方法でやらざるを得んのでありまして、そのやり方につきましては、目下準備いたしておるわけであります。一般的に申しますと、勤労統計等に現われております毎月の給與の推移というものを見ております。これは昨年の五月から現在出ております一番新しい資料でありまするが、十一月の資料で一〇%程度上昇しておるということはあります。併し一方におきまして標準生計費のほうは、昨年の八月の減税並びに免税点の引上げによりまして税込で額を申しますならば、現在まだ昨年の五月に比べまして、一番新しい資料であるというところの昨年の十一月には余り上昇していないということが言えるのであります。ずつと五%の範囲内であります。従いまして標準生計費の面からはまだまだ人事院勧告をする段階には達していないというふうに現在のところは判断できるのであります。  それから又先ほど問題になりました、これはそれほど強く当てにするわけではありませんけれども、C・P・Iの動き、これはC・P・I等に現われております生活内容を問題にするならばいざ知らずでありますが、ただ動きだけを見まするならば、つまり推移だけを見まするならば、余り不都合はないだろうと思うのであります。C・P・Iにおきましても、昨年の五月から昨年の十一月までにおきまして殆んど変化がないという状況であります。従いまして現在のところ直ちに勧告をしなければならん時期に達しておるというふうには人事院としては判断ができない、こういうふうに考えております。
  39. 木下源吾

    木下源吾君 一体この前一万二千六百何ぼか勧告されたのだが、その勧告と政府の今度の給與法では大分開きがある。そうすると今のやつが正しいとするならば、人事院勧告が間違つてつたということになりはしないか、人事院勧告の線をやはり主張しなければいかんと思います。この点などは、もうすでにそのときが来たのだから、そのときからという考えでおるのか、その辺がちよつと……。
  40. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 人事院は昨年の五月を基礎にしてものを判断しております。それでまあ昨年の十二月に国会決定されまして改訂になつておるわけであります。あのときのことは二十六年度の補正予算で、二十六年度内のことであるというふうにお考えになると思います。従つて二十七年度の予算編成に当りまして、我々のほうといたしまして二十七年度について考えて頂きたいということは、やはり言い分があるわけであります。これはやはり昨年の五月の状況を基礎にいたしまして、人事院勧告いたしましたものは生きておるというふうに我々は判断しております。
  41. 木下源吾

    木下源吾君 そこなんだ。政府はこれは死んでしまつたものと考えておる。人事院は生きておるものというふうに考えておるのならば、その生きておるような方法をしなければいかんと思う。その方法は、意見書なり何かしないと、実質的に労働者のほうの賃金がそのたびに切下げられてしまうのだな。政府のやつたのはこれで正しいのだと、一方は財政的な面からこれよりやれんというのだが、片方は生きて行くのだから、やはり生きて行くのは苦しいのは苦しいのです。人事院は、この前の勧告自分のほうは飽くまでも確信を持つて、これだけなければ標準生計費で公務員はやつていけないのだと、而もほかのほうの比較は別です。アメリカとかイギリスの労働者との比較は別ですけれども、これではどうしても生きて行けないということならば、少くともあのときのあなたのほうの勧告と千六百円の差額があるのです。これは何らかの形であなたのほうで示して頂かないと、政府はこれでよいのだというふうに考えておると思うのだが、その点は人事院はどう考えているのですか。
  42. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) その点につきましては、これはやはり今私がここで人事院の見解を述べるということはちよつと僭越であるというふうに考えます。まあ事実問題といたしまして、この勧告が生きておるということを内閣なり或いは大蔵省方面に事務的に連絡をいたすというような程度のことは勿論やつておるわけであります。
  43. 木下源吾

    木下源吾君 事務的ぐらいでは私は駄目だと思うのです。この内閣は不死身だから……。だから人事院の権限を、やはり公務員法の精神に基いた権限で考えたらどうかと、こういうわけです。まあそういう考えがなければよろしい。私どもはあらゆる面から見て、世界的に見ても、アメリカの十分の一だとか、イギリスの四分の一だとか、我々が従来最も遅れておると思つておるイランだとか、或いはその他一切から見てこの日本の公務員の労働賃金が安いということは明瞭に言われておるので、これを肯定せられるならばよいけれども、すでに或る面においては生産が戦前から三〇%も上廻つておるというような、そうして一方においては文化的で健康な生活というふうなことを謳われておるのだから、そういう方面にも人事院が少し目を向けられるほうが、公務員の利益を守るゆえんではないかと我々は考えておるので、どうか一つ人事院のほうでもそういう方面に注意をして頂きたいと思うのです。  次に地域給の問題ですが、いろいろ人事院は努力をせられて大分進捗しておるようですが、いつ頃一体今度は勧告できるか、或いはどういう作業をしてどういう段階になつておるのか、これを一つ説明を願いたいと思う。
  44. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 昨年の末からこの問題は勧告をするすると言つておるわけでありますが、何しろやはり実際の問題になつて参りますると、バランスの問題でありまして、どこまで出て行くかということが非常に問題になるわけであります。従いましておおむねの作業は完了しておるのでありまするけれども、まだ若干事務的に問題の残つておる点もございます。併しながら、まあこれは私個人の見通しでありまするけれども、今週末か或いは来週中には地域給というものの改訂勧告人事院国会のほうに提出し得るようになるのではなかろうかというふうに考えております。
  45. 木下源吾

    木下源吾君 それは作業だけの関係か、或いは政府との折衝なのか、或いは関係方面との折衝なのか、そういう点についてはどうですか。
  46. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 来週中くらいには国会勧告し得るようになるだろうというように考えております。
  47. 木下源吾

    木下源吾君 それは見通しは確実ですか。
  48. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 見通しでありますから、どうも従来しばしば狂つておりますから、何とも申上げかねますが、まあ大体そういう見当ではなかろうかというように思つております。
  49. 木下源吾

    木下源吾君 大体人事院がこれだけやりたいと思うことであれば、予算増は一体どれくらいあればよいと考えておられるのか。
  50. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 予算の問題になつて参りますると、この前木下委員から御指摘のありましたように、大蔵省人事院予算の勘定が狂つておるのではないかというようなお話がありましたですけれども人事院予算の問題につきましては余り詳しくはわからない。殊にこういう問題を積算いたしまする際に、我々といたしましては、人事院が持つておりまする各地域別の、市町村別の実際の公務員数、これはその調査をやりましたものは二年ばかり前でありますから、少々狂いはあるでありましようが、そういう資料を基礎にいたしまして予算見当をつけているわけであります。ところが大蔵省側で、恐らくこういう問題を人事院勧告した際にやるであろうという計算方式を考えて見ますと、各省庁別にその出先機関別にこの積算をして行かれるであろうというふうに思う。而も人事院は実員についてやりますが、大蔵省は恐らくは定員についてやるというようなところで、両者の計算に狂いが出て来るということは、それは当り前のことで、止むを得ないことではなかろうかというふうに思うのです。併しながら人事院流に考えて見ましても、大体六億から七億というあたりが今回やろうとする地域給改正に要する予算ではなかろうかというように考えている次第であります。
  51. 木下源吾

    木下源吾君 私の聞いているのは、人事院は固く踏んでこのくらいならば政府は出すであろう、出せるだろう、これは非常に堅実なやり方でよろしい。ところが、一方やはりいろいろの均衡上、いろいろの條件でこれはどうしてもこの方面には地域給を付けてやらなければならない、こういうように考えられる面もあると思う。恐らく人事院としては私のあとに言つた、こういう所は付けなければならんというように、勿論順序がありましようけれどもそういうように考えている一つの基礎がなければならないと思う。私はその基礎的な人事院調査に基く考え方によつてつたならば、予算がどのくらい国家公務員の場合要るのかというようなことを聞いているわけなんです。
  52. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 今御指摘のようにそういう見当をいたしまして、例えば或る一つの町というものを切つて行くというようなことをいたしまする際に、どうも例えばその町の公務員がどんどん或る地域からその一つの町の中で別の地域へ拡がつて行く可能性がある場合に、一つの町の中を切つて行くというようなことも不便であるというような場合には、全域に拡げなければならん、こういう場合には無論考慮を加えなければならん場合もありましようが、又一つの大きな都市に繋がつてつて、事実上はそういう行政区面上は別になつても、これはやはり考えなければならんというような面もある。そういうような面をずつとまあ拾つて行くわけであります。ですから順位から申しましても、大体拾つて見るというようなことをいろいろいたしまして、そういうことをいろいろやつた上の話が、先ほど申上げたような案なのであります。
  53. 木下源吾

    木下源吾君 ちよつとこれはおかしいと思うのであります。先ほどベース・アツプのとき職種別の賃金を考える……、私どもは産業別というものを主張したい。それが今度の場合、やはり地域給を付ける場合にも全市町村というものを目標にしておやりになるのが当然じやないかと思う。あなたたちのおやりになつている点から行けば……。ですからだんだん調査して行けばもつともつと拡げて行かねばならないというものがたくさんあると思うのです。そういうものを私はお聞きしているので、今あなたのほうで勧告するというのは、恐らく私は予算に制約をされての……、これは真実がそうだと思うのです。そうでなくてお聞きしているのです。今日の場合私どもの主張は全市町村、公務員のおる所全部を付けなければならないと思う。この情勢では……。というように考えているのですが、そうでなくても、あなたがた今日までやられた調査の資料等によつても、恐らく今度勧告される以上にお考えになつているのでなければならない、そうだろうと思うのです。それを聞いているのです。それが一つには、私どもは別の関係で、予算の面で政府から今まで給與というものが抑えられているが、私ども民生安定という面から予算の増額ということで強く政府と闘わなければならないという観点からやつているのです。できるならば真実をお話し願いたい。
  54. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 只今お話に対しまして的確なる資料及び計算をいたしておらないわけでありますから、的確なことは申上げられないのであります。  一番理想を言いますと、現在地域給の付いていない地域を見ますと、これは言い換えれば、地域給というものを局限いたしまして、そうしてもう地域給は局限された地域のみ付けるということになるのがよろしいのではなかろうかと思うのであります。現在そういうことをやりまするためにはどういう方式があるかと言いますと、現在一級なり二級に付いているものを突放すということはできないのであります。そうすると、例えば一級なり二級を標準にして考えますから、今まで地域給の付いている全部を一級にしてしまう、そこで一級というものをなくす。即ちその〇・五というものを本俸に組込んで行くということになるのです。局限すればそういうことになるのです。その予算が今幾らになるかということはちよつと計算して見なければわかりませんから、御必要ならいたしますが、今詳しく計算したものはありませんが……。併し現在の段階におきましても、やはりこの程度までは、バランスを取らなければならんということを考え程度までは、人事院の案としてやはり考えるのが当然であろうというふうに考えているわけであります。
  55. 木下源吾

    木下源吾君 この前の五月の勧告では、やはり標準というものをあらかじめ人事院考えておる。例えば大都市の周辺とか、或いは朝鮮事変による経済的な変動というようなことをいろいろ考えておられる。今度の場合はそういう標準的なものを何か考えておるのですか。
  56. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) それは勿論考えております。それはこの前に人事院勧告をいたしました以後におきまして、状況の変化というものがあるわけでございます。そういう状況の変化の著しい所は勿論考えなければならんと、そういうことであります。又諸種の事情に基きまして状況の変化が、例えば指数にはつきり現われて来るというものは、これは数の上から言いましても局限されております。そういう状況がいろいろな資料から判断されるというものにつきましては、やはり相当程度考慮をしなければならぬというように今のところ考えております。又県のほうでいろいろ判断されまして、順位等が前と変更になり、或いは府県最初我々が意見を求めました際には率然と参加したというふうに思いますが、更に府県としても研究を進められまして、こういうふうにやつてもらいたいという希望もあるわけでございます。そういうような府県から出て参りました各種資料というものも、勿論そういうものを中心にいたしまして作業を進めておるわけであります。勿論各方面から非常な陳情を受けておりまするので、その陳情につきましても理由のあるものは取上げるというわけです。これを参照するということは勿論やるわけであります。又衆議院、参議院の国会議員のかたがた、或いは両院の人事委員会の專門員、調査員のかたがたが、いろいろ各方面から入手されました資料等につきましても、でき得る限り頂いております。こういうものも、又そういうかたがたが各地域を実地に御調査になるという場合には、そういうものも勿論、又我々が判断がつきません場合には特定の地域に対しまして実地調査をいたします。これは人事院の本院のみならず、地方事務所等を活用いたしまして調査いたしております。そういう各種の資料を総合いたしまして判断いたしたいと思います。
  57. 木下源吾

    木下源吾君 そこでこの府県のほうからつまり内申というか、報告というか、そういうことを最近公式に求められましたか、求められたならばその事実をお聞かせ願いたい。そうして回答が全部やはり一律にあつたかどうか。
  58. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 人事院はこの前の勧告以後におきまして、各府県に照会を発しました。これは人事院の権限としてやることができませんから、各府県にお願いしたわけであります。各府県でそれぞれ御判断になつておる地域給地域区分について県の意見をお聞かせ願いたいという照会を発しました。それに対しまして多くの県は来ておりまするけれども、或る府県は来ていないものもあります。県として意見のまとまらないところもあるでありましよう。又公式のものを出されても、更に追加々々でいろいろ来ておるというようなところもあるのであります。
  59. 木下源吾

    木下源吾君 来ていないところは、これはあとでもいいから別の機会にお知らせ願いたい。それから今度は別の問題ですが、給與準則は一体いつ頃提出になられるか。その予定は、見通しがついたらばお聞きしたいと思います。
  60. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 給與準則につきましては、懸命に作業を進めておるのでありまするが、我々の事務的な作業が若干遅れておると言いますか、余りに問題が大きいものでありまするから、その研究にひま取つておるわけであります。併し法案の大網のごときはほぼ完成に近付いておりまするし、目下最も我々が懸命に力を注いでおりまするところは、例えば切替えの際の問題でありまするとか、現在の給與法から切替えます際にスムースに、成るべく摩擦なく切替えて行きたいというような方法でありますとか、というのは、それは現在いろいろな俸給表がありますが、それが又俸給表を異にして、同じ俸給表に入つて来るというような例があるのであります。そういう場合に違つた俸給表から入つて来た者の間の序列をどうするか、或いはその調整をどうするかというような問題、これは具体的に個々に当つて行かなければならんので、そういう問題を個別に検討を進めておるのであります。又初任給の問題につきましても、従来は給與法は一本でやつたのでありますけれども、今後は新任用制度、職階制に基く新任用制度というものが確立されることになるのであります。それとの関係で初任給の問題が一体どういうふうに取扱われるか、現在の給與法におきましては、俸給表の数が少いようでありますけれども、御存じのように人事院規則の初任給、昇格、昇給等の基準人事院規則九−八というものが出ております。それらを噛み合せたりしますと、現在俸給表が四十八くらいになつておるのであります。見かけは少いようでありまするけれども……、従いましてそれを整理して参ります際に余りに機械的にやりまして、部分的な摩擦を起すことのないようにというようなことも研究しております。又今後新らしい給與準則になりましてから後におきましてれ俸給表を異にして異動をいたしまする際に、一体どういうふうに計算するか、即ち俸給表によりまして現在でも格差が付いておるわけであります。そういう格差をどういうふうに取扱うか、そういつたような言わば最後的な仕上げの問題につきまして、現在懸命に完成を急いでおる状況でありまするから、我々の見通しといたしましては、事務的に考えましても、なお且つ二月のしまい頃でないと国会勧告する段取りに到達し得ないのではなかろうか、これは懸命に成るべく早くやるということで作業を進めております。
  61. 木下源吾

    木下源吾君 この準則の点についてですが、これは予算の大体問題をどういうふうに考えておるか。今度の給與準則は従つて従来の引延しというような考え方でやるのか、新たなる観点に立つて予算というものの増額をもあえて関係なしにやろうとするのか、その点を一つ
  62. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 給與準則ということになりますると、或る一定の時日におきまして現在の給與法とかつきり切替えるというようなことも勿論考えられるわけであります。併しながら我々はそういう方法によつて全部給與準則に切替えるというふうなことは考えておらないのでありまして、将来に亘つて職階制運営というそれ自身が相当やはり今後充実して行く、これを改正して行くということが予想されるのであります。それに即応いたしまして給與準則というものを将来に亘つて漸次直して行く、この際は基礎だけを作るのであるというような考え方に立ちたいというふうに考えておるわけであります。従いましていろいろ改訂して行けば予算が要ることは勿論でありますけれども、成るべく根幹となる部分にのみいたしまして、今回は考え方の上から切替の仕方をやりまして、そうして細部的な仕上げは今後漸を逐つてつて行きたいというふうに考えております。基本的な部分といいますと、これは基本給、或いは現在で言いますと本俸というようなことになるのであります。その切替だけにしましても成る程度予算は必要であろうというふうに考えております。
  63. 木下源吾

    木下源吾君 今のお話だと、従来の引延しと我々は考えるのですが、従つてこの低ベースにおいては相当問題があると思うのであります。併し職階制云々と言われておるが、一体この場合生活給というようなことについて人事院はどういう考えを持つて今度の準則を作ろうとしておるのですか。
  64. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 生活給といいますか、或いはいわゆる職階給といいますか、私はこれは対立したものであるというふうには考え得ないのであります。見方の相違であるというふうに思つておるのであります。勿論生活水準が非常に高い、又給與水準も高いというような場合には、生活費というようなものは当然その範囲内で賄い得るのでありまするから、余り表面に出て来ないということになるわけであります。併し現在のような水準におきましては、職務給或いは職階給與といいましても、やはり只今生活給というものを表面から消し去るということはなかなかむずかしいのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。従いまして物の考え方といたしまして、職務責任に応じて給與をきめるということになるのでありますが、そうすると、そういう例えば或る一つ等級給與をきめるといつた場合に、理想で言えばその最低、一つ等級の最低号俸と最高号俸の間は余り広くないことが理想であるかも知れません。併し現在のような場合におきましては、この幅というものを相当広くせざるを得ないというふうに我々考えております。でありまするから、我々が今後お目にかける給與準則におきましては、一つ等級におきまする俸給の幅というものは相当長くなる。これはまあ本当に職務給という観点からこういう給與準則を見れば変則な、変なものという御批判を受けるかも知れませんけれども、現在の状況におきましては止むを得ないのであります。而もその等級内において勿論成績に応じて昇給するわけでありますけれども、その裏にはやはり一つ等級に長らくおるということになりますると、年齢も殖えまするし、家族も殖えまするし、生計費が自然嵩むということで、普通の正常にある人ならば、一つ等級の中において相当程度昇給して行つて、そう頭打ちはないというふうにする必要があるものと考えております。そういう意味におきまして生活給を考えておると言えばおると言えようかと考えておるのであります。
  65. 木下源吾

    木下源吾君 さつきもお話のように、まだでき上つたものでもないし、けれども併しやはり国会に持ち込まれることは当然なので、この機会に局長に私の考えを一応申上げておこうと思うのですが、第一番に機械的に余りならんように一つ。次に官僚の復活というような面にならないように。それから先ずできるだけ一つ画期的な問題ですから予算に余り拘泥されないで、少しは人事院の独自性というものをこの機会に現わしてもらいたい。それから次にはこの民間との均衡という点についてもう少し深く突き進んで検討してもらいたい。それから余り複雑でなく、できるだけ一つ簡素化して頂きたい。どうも給與のことが余り複雑だということ、受けるほうでもわからないので、こういうような点を一つまあ一応御注文して置きたいと思うのですが、内容においてはやはりいろいろアメリカの仕方を倣つてやることも止むを得ないが、やはり日本の従来の民主的な方法をもう少し進めてもらいたい。というのは余り上下の差をおつけにならないように。今度も新聞なぞで見ると、昇給でも上のほうと下のほうとではびつこになつて、上のほうは有利で下のほうは比較して不利益だというように、新聞で見た限りですがね、これらも一つの官僚といいますか、そういう匂いがあるわけです。それから学校出というと語弊がありますが、そういうものに余り偏重しまして、実務に堪能だとか、実務に対する見方を軽視するというようなことの余り起らないように。それから奨励手当一つ十分に、惡用というような労働強制というような方向にできるだけ一つならないように。それから特勤手当ですが、現在の特勤手当は二千九百二十円以来大体まあ変らない状況です。国鉄のごときはスライドしてまあ行つている実状ですね。こういう点も一つ十分に考えてもらいたい。それから現在のものは引下げないと言つていますが、実際に今度切替えて、その当時だけ引下げないでも、だんだん長い間に結局引下げたと同じような結果にならないように一つ十分に工夫してもらいたい。  それからまだいろいろありますが、特にこの調整号俸の問題ですね、ここには私は医療関係の資料だけちよつと見ておるのですが、お医者さんだけが今度の別表で、医療職というものの俸給表をまあ適用することになるらしいのですが、これは医者だけではなく、やはり看護婦だとか医療技術、又は補助だとか事務、労務、病院管理等をも私は一緒にして行くのが当然じやないかというように、まあ実際肺病と接触しているのは医者だけだから危險だというようなことに行かんと思うのです。やはり同じ病院におる以上全部がやはり危險な職業であるというようなことになりやせんかというように考えられます。それから休日ですが、従来一ヵ年間二十日ですか、今度は三月ずつに区切つたのですか、これなどはどういう考えでやられておるか、やはり従来のほうがいいのではないか。それから婦人の生理休暇というような問題等、こういうのももう少し実情を調べられて十分に研究せられておやり下さらんと、折角もらつた休暇なんていうものが役立たないというようなことになりやしないか。調整号俸などでも今上申げたように実際の実情にぶつかつて少し調べてもらつて、本当に危險な者、本当に難澁な者、そういうような者を、甚だ面倒なことだけれども、もう一つ実際にぶつかつて見て調整号俸などに対しては十分一つ注意してやつてもらいたい。  こういうような希望を申上げて、二月の下旬に出されるというお話ですが、お願いしたいと、こういうふうに思つております。できるだけまあ受給者の意向も直接間接に意向を反映されて、立派なものに近いものができるようにやつて頂きたい。
  66. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時二十九分散会