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1952-06-06 第13回国会 参議院 厚生委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月六日(金曜日)    午前十時五七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君            深川タマヱ君    委員            大谷 瑩潤君            小杉 繁安君            中山 壽彦君            藤森 眞治君            河崎 ナツ君            山下 義信君            谷口弥三郎君   衆議院議員    丸山 直友君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    厚生政務次官  松野 頼三君    厚生省児童局長 高田 正己君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○医師国家試験予備試験受験資格の  特例に関する法律等の一部を改正す  る法律案衆議院提出) ○児童福祉法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○小委員長報告   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 只今から厚生委員会を開きます。  公報で御通知申上げてあります案件のほかに緊急議題といたしまして医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。提案理由の説明を丸山さんからお願いいたします。
  3. 丸山直友

    衆議院議員丸山直友君) 只今議題となりました医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律等の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げます。  医師又は歯科医師になるためには、国家試験に合格しなければならないことは申すまでもないことでありますが、従前大陸特に満洲方面向け医師の養成を目的とした学校を卒業した者、正規の日本の医学校又は歯科医学校を出ては居ないが朝鮮、中華民国、蒙疆、マライ、シンガポール等の現地において免許を受けて医業を営んでいて終戦により引揚げた者のためには、国民医療法施行令特例試験による救済等が講ぜられたのでありますが、この試験を受けて二度とも合格しなかつた者、又は朝鮮及び満洲国におきまして医師又は歯科医試験の第一部の試験に合格した者に対しましては、それぞれ医師国家試験予備試験、又は歯科医師国家試験予備試験に合格し更に所定の実地修練を行なつた上で、国家試験を受けて医師又は歯科医師になる道が開かれているのであります。  併しながら現在、医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験受験回数はいずれも二回に限られており、この試験に二度とも合格しなかつた者は永久に試験を受けることができなくなるのであります。而もこれらの者の多くは引揚者であつて、経済的にも同情すべき立場にあり、年齢的にも転業を困難とする者も少くないので、医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律及び歯科医師国家試験特例に関する法律による国家試験予備試験実施期間中はその受験回数の制限を撤廃して将来に希望を持たせるということが適宜であると存じまして提案した次第であります。  何とぞ慎重審議の上、速かに、御可決あらんことを、御願い申上げます。
  4. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 続いて質疑に入ります。
  5. 山下義信

    山下義信君 本案質疑打切つて討論を省略し、直ちに採決せられんことの動議提出します。
  6. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 その前にちよつと質問が願いとうございます。
  7. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 動議が出ておりますから……その動議の中の質問事項でございますので、どういたしましようか。
  8. 山下義信

    山下義信君 動議採決を願います。
  9. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 極く簡單な質問なんです。
  10. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それではどうしようか……。
  11. 山下義信

    山下義信君 それでは私の動議井上委員質疑あとで御採決を願います。
  12. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 極く簡単な質問でございますが、只今、二回国家試験を受けてすでに合格しないで落第をしておられまして、この法律によつて救済される人数はどのくらいでございましようか。
  13. 丸山直友

    衆議院議員丸山直友君) 正確なる数字がつかめておりませんが、その数は割合に少ないのであろうというふうに言われております。厚生省方面でこの試験は第三回目の試験が受けられるようになるかも知れないということで、願書の受付をしておられるそうであります。明日がたしかその試験の期日であろうと思います。厚生省方面で正確なる数字をつかんでおられるかも知れませんが、私の得ました数字は非常に僅少であろうと思つております。只今申上げました第一の條件にはまりまする者、即ち三年制度学校であります、この卒業者は二回だけしか卒業生は出ておらんのであります。従つてそのうち及すでに及第した者もありますので、これも正確な数字をつかんで今お答えできませんが、極く僅少で、この三つの種類を全部合せましても百名以内であろうと考えております。
  14. 山下義信

    山下義信君 採決願います。
  15. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 結構でございます。
  16. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 山下さんの動議異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは質疑は終了したものと認め、討論を省略いたしまして採決をいたします。賛成の緒君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  18. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 全会一致でございます。原案通り決定いたしました。  それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。    多数意見者署名     長島 銀藏  井上なつゑ     深川タマヱ  小杉 繁安     大谷 瑩潤  中山 壽彦     河崎 ナツ  山下 義信     藤森 眞治  谷口弥三郎
  19. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 署名漏れはございませんか。……署名漏れないものと認めます。  なお本会議における委員長口頭報告については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  21. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 続いて児童福祉法の一部を改正する法律案議題といたします。引続き質疑に入ります。
  22. 山下義信

    山下義信君 本日児童福祉法の一部を改正する法律案議題に供せられましたこの機会に、実はあとで小委員会結論を御報告させて頂きまするその前に念のために岡野国務相の御出席をお願いをしまして、御意見を伺つて置きますることが、本改正案審議の上に適当であると考えまして、本日御出席をお願いした次第でございます。お伺いいたしまする問題は申すまでもなく平衡交付金の問題でございまして、改めて指摘いたしますまでもなく、昨年十一月十四日の本院の本会議におきまする同僚河崎ナツ議員質疑に対しまして、当時の厚生大臣からは二十七年度の予算にもこれを含みまして要望を実現するように努力するという答弁があり、岡野国務相は、平衡交付金法は昨年初めて出発いたしたものでございましてまだ実施日なお浅くして、その結果を見ております次第でございますが、僅かの期間とは申しながらいろいろ遺憾の点があつたことは皆様承知通りでございます。その点におきまして私は平衡交付金法改正する腹案を今検討中でございまして、お説は十分考慮しておりまして、その結果が厚生大臣答弁に現われたような情勢になつておりますから、河崎議員の熱烈な御示唆はすでに政府としても盛込みまして、寄り寄り協議中でございまして、恐らくお説の通りの結果が出て来ることと存じますから、暫らく時日をお借し下さることをお願いいたします。と、かように御答弁になつておるのでございます。この御答弁によりまして当委員会の本員らは非常に期待をいたしておりましたところが、昨年の末、本年初頭にかけまして情勢が一変をいたし、御提出の本年度予算を見まするというと、岡野国務相のお考えと相反する結果になつておりましたので、私は重ねて予算委員会岡野国務相並びに大蔵大臣出席を求めまして、このことを伺いましたところが、当時の御答弁河崎議員に対する答弁とは非常に趣きを異にいたしまして悲観的な御答弁でありましたものですから、直ちに当厚生委員会にその状況報告いたしまして、政府出席を求め事情を聴取いたしました。ところが政務次官出席をいたしまして絶対心配はございませんというようなことをなお繰返して申しておりましたようなことで、すでに予算案提出になりました以後におきましても厚生省当局は、我々の所望の状況実現するかのごとく当委員会で繰返して申しておつたような次第でございます。併しながら事実は今日の現状のように相なつておるわけでございます。実は先般岡野国務相の御出身地の大阪市におきまして第六回全国児童福祉大会が開催せられましたときに、参集のおよそ三千名に近い大衆はこの問題につきまして喧々ごうごうの声が高くなりまして、当時の大会空気政府を責めるというよりは、この問題を取扱つた衆参両院の、殊に厚生委員の責任を追及するという空気が非常に強かつたのでございます。併しながら当時出席松永代議士岡野国務相のために一席弁じまして、聴衆が漸く納得いたしましたような事実もあるわけでございます。今回児童福祉法改正案提出せられまして、その中にはすでに大臣は御承知でおありになると存じまするが、かの可憐なる花売娘街頭労働禁止、その他児童の夜間の街頭労働禁止等をいたしまして、児童福祉目的を達しようとする改正案が出ております。私どもといたしましては、ただこれらの禁止規定取締規定処罰規定のみを以てしては児童福祉は増進されないのでありまして、この裏付といたしまして生活の保障或いは児童福祉措置強化等の対策が併行いたすべきことを要望いたし、今日まで熱心なる質疑を続けて参つたのでございます。ここにおきまして問題に相なりまする児童福祉措置費平衡交付金の問題の解決をどうしてもやらなければならん状態に差迫つて参りましたのでございます。当厚生委員会といたしましては小委員会の、後ほど報告いたすでありましようそれらのことについて御審議をお願いするつもりでございますが、その以前に本院におきまして国会に対してときの国務大臣が責任ある答弁をなされたその御答弁の経過なり、或いは又御所信を承わらずして、我々厚生委員会が独自の決定をいたしますることは、いささか政治の礼儀上にも鑑みて考慮いたしまして、本日は特に岡野国務相の御出席を求め、御所信を承わり、而して我々の審議に移りたいと存じたのであります。岡野国務相は私が甚だ失礼なことを申上げるまでもなく、我が国第一流のバンカーであつて、而もその性質は誠に何と言いますか、謹直、質実、正直なおかたであつて政治家として最も期待のできる人であると私は確信をいたしております。そのかたが国会とお約束なさり、或いは国会の席上でこういう御趣旨の御答弁をなされておりまして、そのままであつては後世に残る記録上私どもといたしましても不本意であり、又大臣にとりましてもさぞかしお心残りのことであろうと存じまするので、この際明快なる御答弁を頂き、御所信のほどを承わりまして、政治家としての言質の御解決を願つて置きまするのが、今日この機会が唯一の機会ではないかと考えまするので、御出席を願いまして御所信のほどを承わりたいと存ずる次第でございます。
  23. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 山下委員の御質問にお答え申上げます。只今縷々お説の通り私はそういうような観念で進んで来たのでございますが、この点において一つ了承を願いたいと存じますことは二つございまして、一つはこの児童福祉について特別の取扱をいたしますというと平衡交付金の中のいろいろな問題が関連いたしまして、結局平衡交付金というものの根本的な存立の趣旨を或いは動かすまでになるまでの大改正をしなければならんということが一つ、それからもう一つは御承知でもありましようが、これは大きな声では申せませんが、今年の四月二十八日までは何といたしましても技術的に我々の経綸を行うことができない状態にあつたのでございます。でございますので、この二つ事情によりまして今日まで皆様方の非常な御熱心な御努力にもかかわらず、政府といたしましてこれに手を着けることができなかつたのでございます。そこで私どもといたしましては、この問題は決して念頭を去つたわけでもございません。検討をとだえたわけでもございませんわけで、今回国会に提案いたしまして地方制度調査会というものを作りまして、地方制度根本的にやはり改正しなければならない。こういう構想の下に地方税法並びに地方税法と関連いたしまして国税、それから同時に平衡交付金と、こう三つ財政面におきましては地方制度の一番大事な改正根本テーマといたしまして研究させることにいたしました。それにつきまして寄り寄りいろいろの腹案を作らしまして、そうして検討しておる次第でございます。でございますから大変結論が遅れておることは事実でございますけれども、そういう方向に進んでおるということだけは御了承願いたいと存じます。
  24. 山下義信

    山下義信君 今日まで児童福祉措置費の問題が解決を見るに至らなかつた事情につきまして只今大臣からお答えになりましたような事情がおありになつたということ、これは了承いたします。誠にそうでございましたであろうと思います。併し私が伺つておりまするのは、岡野国務相根本的な意見といたしまして児童の上に非常な御同情を垂れられて、これらの費用補助金でなくてはうまく運用が行かないだろうという点にも御了承を賜わりまして、成るべくそういう趣旨に副うように努力するという御答弁があつたわけたんです。今日までそれが実用に至らなかつたという経過は、只今お述べになりまして了承いたしたのでございますが、今後はどういうふうになさろうとするのであるか。又岡野国務相のお考えは、只今申上げたような、従来国会で御答弁相成つたような御所信で御邁進下さるであろうかどうかという、あなたの御所信を承わつて置きたい、こういうのでございます。
  25. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。只今申上げましたように、地方財政というものは御承知通りすべてにつきまして非常に窮乏をいたしております。でございますから、この点におきまして私の立場といたしましては、地方の行政の各項目すべてに亘つて十分御満足の行くような税法平衡交付金法、並びに若し必要があるとすれば国税から地方税税源を落す。そうして地方弾力性のある税収を得させる、こういう方向に進んで行こうと思つております。でございますから若し私に理想を言わせますならば、私は根本的に地方財政のあり方というものを変えてしまいたいと思つております。ということは地方が今限られたる、弾力性のない税収によつて、而も毎年々々中央政府からいろんな仕事を仰せ付けられて、そうしてそれに対する税源が伴わないということでは地方自治の確立はできない。同時に地方において仕事をして行くということにつきまして、私の根本観念からいたしますれば、地方自治というものは中央からいろいろお指図を受けたり、又紐を付けたり、そうして義務を感じたり……そういうことなしに、自由自在に自分自身自治政治をやつて行ける、こういうのが先ず根本精神でございます。若し理想といたしますならば、私は今後税源十分弾力性のあるように与えまして、そうして地方自治固有仕事は勿論のこと、中央から与えられた仕事に対しても十分の財源が得られるようにこれをやつて行きたい。これが第一の理想でございます。併しながら今日の国家財政、並びに地方財政というものは、そう理想を持ちましても、そういうふうに行かんという情勢が昨年以来出ておるのでございます。でありますから、若しそうであるといたしますれば、又方向を変えまして或いはもと負担金であり若しくは補助金であつたというような制度を復活しなければならんということも出て来ると思います。一にかかつて、これは地方事務の再配分というものが十分確定いたしまして、その事務に合わした財政収入というものが如何にして確保されるか。こういう点を私は十分検討いたしまして、そうして先ほど申上げました理想といたしましては、できるだけの財源を与えて、そして地方がやつて行く自治固有事務は勿論のこと、中央から与えられた仕事に対しましても十分なる、収入が得られるという方向に、これを第一の理想としてやつて行きたいと思います。併しそれが若し実情上現下の情勢ではなかなかむずかしいこととなれば、その次にはやはりお考えのように、平衡交付金じや工合が悪いから負担金補助金にして行く、こういう方向にして行く。こういう考えを持つております。でありますから只今のところでは私はいろいろ理想案に向つて事務当局に準備をさしておりますが、併し第二次の方向としてはそういう方向にも考えを及ぼすという案を作つております。
  26. 山下義信

    山下義信君 大変明快な御答弁を頂きました。将来についての、地方財政についての御理想、私どもも同感でございまして御尤もであります。而してその理想に到達いたしまする段階の、即ち現状におきましては大体において止むを得ざる場合には、即ち問題になつておりまする児童福祉法のごときものについては、その理想実現に至るまでの過程において、万止むを得ざる事情と、こう考えるならば、それが、補助金に直るということについても、その辺がはつきりと御明言には相成りませんでしたけれども、言外と言いますか、お述べになりましたお言葉の中に御反対ではないというお心持に私ども拝聴いたしまして、非常に示唆に富んだ、御答弁を頂いた、かように考えるのでございます。従いまして私は今一点最後に伺つておきたいと思いますることは、この現状の場合なんです。将来、地方財源が確立し、或いは中央地方事務配分諾検討を終了されまして御理想段階に至りまするまでの、即ち不完全ながら平衡交付金を存続せざるを得ないという立場に置かれたところの現状に即しまして、若し私どもがこの地方財政法規定の中にこの児童福祉に関しまする、即ち日々のそれらの生活費等費用に関しますることは、従来のいろいろなデーター等に鑑みまして、これは一つ補助金に願いたいというようなことの、仮に、我々の意見が具体的に地方財政法一つ改正というような事態と相成りましたときには、国務相は御反対に相成るでしようか、御賛成下さいますでしようか。その辺のお心持を承わつておきますることが決してこれは無駄なことではない。かように考えて御意見を拝聴したいと思うのであります。
  27. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私はその点につきまして、只今申上げましたような理想を持つておりまして、同時にその理想実現するために、地方制度調査会というものももうすでに国会において御審議を経られて成立するものと思つております。我々といたしましては、それに次いで提案すべきいろいろの具体的の理想案、並びに第二次、第三次というようなものを検討しつつあるわけでございますから、若しできますならば、根本的にそういうことの改正をし得るまでお待ちを願つた如何かというのが、私の真意でございます。と申しますことは、只今この問題を国会にお取上げになつて、そしてただ児童福祉の問題だけを平衡交付金から抜くというようなことになりまするというと、非常に平衡交付金根本趣旨に釣合いを失いまして、又はかにいろいろの問題の起ることができて来ます。同時にまだそうされても国家財政並びに地方財政というものが、十分私の理想若しくは第二次、第三次のところまで調整がとれておらないから、そういうふうな意味におきましてバランスを失わないで、そして立派にやつて行けるというものを早急にやりたいと思つておりますから、只今これをすぐ御可決になるというようなことには私の率直な考えから申しますれば御猶予を願いたい。これが真実でございます。
  28. 山下義信

    山下義信君 私が伺いましたのは、恐らくそういうことになりますと、岡野国務相の何と申しますか、固苦しい言葉で言えば言質ですけれども、いや言質というようなことを申上げないで……国務相がかねて国会でお述べ下さいましたその心持が期せずして実現ができ、何と申しますか、お心持に副うことに相成るのでありまして、従来平衡交付金に関しまする少くとも児童福祉措置に関しまする大きな国務相政治的の立場はこれで結論が出て円満に終結したという結果に相成るのではないかと私考えまして、冀わくば御反対下ざらんように、せめて御賛成に相成らんでも期せずしてお心持に副う事実があらわれました以上は、強いて御反対に相成らんだろう、こう考えて伺いましたのであります。只今の御答弁で御反対にはなりませんようで、できれば猶予したらどうかというお心持であつたようでございますが、御反対でありますれば改めて承わりますが、御反対でありませんならば御答弁を頂きませんでもよろしうございます。なお地方財政法の何か改正案につきまして、今国会一つ出たようでございますが、なを国会会期も、日数がありますが、会期中に地方財政法に関しまする改正案等をお出しにたるようなことはございませんか。もうお出しにたるようなことはないのでありましようか。念のために伺つておきたいと思います。
  29. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 先ず前段のことについて一応もう一度申上げておきたいと思いますことは、私は只今出し下さることに対しては賛成いたしかねる。こういう気持でございます。  それから次に財政法につきまして先般或いは通りましたかどうですか、衆議院のほうは通りまして参議院のほうへ回りているはずでございます地方財政法の一部改正法律案、それからもう一つ平衡交付金法改正案が今出ております。その平衡交付金法改正案のうちに、こういうことを一つ盛込んでございます。と申しますのは、今までは平衡交付金法というものは中央から何らこれを指図してはいけないとか、又義務付けてはいけないとか、こういうふうにして算出の基礎は十分出しまして、そうして割当はありますけれども、与えましたところの平衡交付金というものは、これは何ら中央政府に対する義務付けではなくて、地方団体が自由自在に使つてよろしいということで、中央からのいろいろの金を渡してあります。けれどもこういうこともありますので、一応概括的の一つ平衡交付金としましては一歩後退の方向ではございますけれども中央において地方にこういう仕事をしろということで、一つ機関委任をいたしました場合には、それに対する平衡交付金は若し地方がその仕事をしたいときには平衡交付金を返してもらうという制裁を与えるように法律改正いたしております。と申しますことは例で申しますならば、或る一つ仕事をすることを地方に命ずる又地方に委託する。その場合に中央からこれこれの金を出す、それじや平衡交付金によつてやるんだ。併しながらその仕事をやるについては中央において法律を以てこういうような施設をしろ、こういうような人員を使え、こういうような資材を整備しろというようなことを法律でおきめ下されば、それに合つた通り平衡交付金算出を作りまして、そして地方に渡します。これはもともと通り平衡交付金でありますればそう算出はするけれども地方の自由自在に使つてよろしいということになつてつたのでありますが、今日の改正法ではそう中央できめられたならば、その通りつてもらうことを期待する。若しそれができなかつた場合にはその平衡交付金中央引揚げてしまう。こういうような、平衡交付金といたしましては少し後退した改正案出しております。多分これは通ることと思います。それによりましても一時凌ぎはできることにたるわけでございます。
  30. 山下義信

    山下義信君 前段地方財政法改正案参議院のほうは五月十六日に上げてすつかり済んでおります。
  31. 山下義信

    山下義信君 ないですね。
  32. 山下義信

    山下義信君 では私の質疑はこの程度に……。    〔速記中止〕
  33. 山下義信

    山下義信君 当委員会は去る五日、児童福祉法の一部を改正する法律案審議をいたしますので、早速小委員会を開催いたしまして慎重審議を重ねましたところ、本改正案には修正を加える必要を認めましたので、種々検討の結果満場一致を以ちまして修正案を提案する次第でございます。    児童福祉法の一部を改正する法律案を次のように修正する。   第三十三條の改正規定の前に次の一條を加える。   第十一條を次のように改める。  第十一條 都道府県は、児童相談所に児童福祉司を置かなければならない。    児童福祉司は、児童相談所長の命を受けて、児童の保護その他児童福祉に関する事項について、相談に応じ、専門的技術に基いて必要な指導を行う等これらの者の福祉増進に努める。    児童福祉司は、児童相談所長の定める担当区域により、前項の職務を行い、担当区域内の市町村長に協力を求めることができる。附則第一項を次のように改める。(施行期日)  1 この法律は、公布の日から施行する。但し、第三十四條第一項の改正規定は昭和二十七年九月一日から、附則第四項の規定は昭和二十八年四月一日から施行する。附則第三項の次に次の一項を加える。(地方財政法の一部改正)  4 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。    第十條第七号中「並びに身体障害児の保護」を「、身体障害児の保護、児童福祉施設並びに里親」に改める。  この児童福祉法一部改正案に対する修正案につきましての説明はこの際省略いたします。
  34. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 この修正案の中の附則第四項に地方財政法改正するということがございますけれども地方財政法改正するのはこれでよろしうございますか。この委員会だけでできますのでございますか。
  35. 山下義信

    山下義信君 お答え申上げます。この委員会だけでよろしいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  ほかに御質疑がなければ質疑を打切りまして討論に入りたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  36. 中山壽彦

    中山壽彦君 私はこの法案の採決に当りまして、修正案並びに修正部分を除いた原案に賛成するものでありますが、ここに附帶決議案を提出したいと思います。    附帯決議   今回第三十四條を改正して児童の街商に制限規定を加えることにしたのは、これによつてその福祉を増進しようとする趣旨であつて禁止そのものが目的でないことは勿論である。よつて政府は法の実施にあたつてはよくこれを周知徹底せしめ一面それらの輔導又は生活の扶助等方全の方途をつくし福祉の実に欠くることのないよう努めなければならない。  以上であります。
  37. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 只今の附帯決議案に対しまして、御意見がございましたらお伺いいたします……。御意見ないようですから、了承するものと決定いたしました。  ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 討論は終局したものと認めます。  それでは採決をいたします。本案賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  39. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 全会一致でございます。それでは委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますので、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。     多数意見者署名     長島 銀藏  井上なつゑ     深川タマヱ  小杉 繁安     大谷 瑩潤  中山 壽彦     河崎 ナツ  山下 義信     藤森 眞治  谷口弥三郎
  40. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御署名漏れはございませんか。御署名漏れはないと認めます。なお先例により諸般の手続は委員長に御一任を願います。  本日はこれで散会いたします。     午前十一時五十分散会