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1952-05-07 第13回国会 参議院 厚生委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月七日(水曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君            深川タマヱ君    委員            大谷 瑩潤君            小杉 繁安君            中山 壽彦君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            河崎 ナツ君            谷口弥三郎君   政府委員    大蔵政務次官  西村 直己君    厚生省医務局長 阿部 敏雄君    厚生省医務局次    長       高田 浩運君    厚生省保險局長 久下 勝次君   事務局側    常任委員会專門    員       草間 弘司君    常任委員会專門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省薬務局麻    薬課長     堀江 二郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国民健康保險再建整備資金貸付法案  (内閣提出衆議院送付) ○国立病院特別会計所属資産讓渡  等に関する特別措置法案(内閣送  付) ○麻薬取締法及び大麻取締法の一部を  改正する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではこれから厚生委員会を開きます。すでにもう御配付申上げておる国民健康保險再建整備資金貸付法案でございますが、この法案については、特に小委員会を設けてありますので、保險経済小委員会のほうへ付託することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それではさよう決定いたしまして、中山委員長手許において……。
  4. 藤森眞治

    藤森眞治君 一応提案理由を聞いたらどうですか。
  5. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  6. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて。
  7. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) それでは私から国民健康保險再建整備資金貸付法案につきまして御説明を申上げます。  逐條的に簡單に御説明を加えて参りたいと思いますが、第一條は本法案目的でございますが、ここに書いてございまするように、先ず第一は、国民健康保險保險者診療報酬の未拂を解消するというのが、この貸付法案目的でございます。第二條には各用語につきまして定義がございますが、これは特別に、後に出て参りまするので御説明を申上げる必要はないかと思います。  第三條は貸付金貸付につきましての、貸付を受けるものに必要な條件規定してあるのでございます。第三條本文は、昭和二十七年三月三十一日現在におきまして事業を実施していました保險者でありまして、保險料の取れないものがありますもののうち、次に掲げるような要件該当するということになつておりますが、ここに書いてございまするように、その次に、「未拂診療報酬支拂に充てさせるため」という目的が、再び第一條と重ねて書いてあるのでこぎいます。これは後の四條との関係で御注意を頂きたいのでこぎいますが、そのときに又申上げることにいたしまするけれども簡單に申上げますと、未收保險料半額貸付けることになつておりますが、その限度につきましても、保險料の未收があつても、未拂診療報酬がないというものにはこの貸付がないということがこの文句から出て来るということに相成るわけでございます。なおその次に書いて、こぎいまするように、本貸付昭和二十七年度から二十九年度まで三カ年に亘りまして、未收保險料半額を分割して貸付けることに相成つておるのでございます。次に後段の、「厚生大臣が必要があると認めるときは、災害その他特別の事由により、左の各号の要件を具備しない保險者に対しても、同様とする」ということがございますが、これは次の各号の條件でそれぞれ申上げたいと思いまするけれども、一応一号、二号、三号、四号、五号、六号の六項目に分けまして、貸付を受けまする者の條件規定してございまするが、これらの個々條件につきましても、この後段規定によりまして災害その他特別の事由がありました場合には、以下の條件に合致いたしませんでも、貸付を認め得る場合があるというふうにいたしてあるのでございます。災害その他とございまするが、例えば特に災害というようなことは当らないにいたしましても、漁村に行きまして特にその年が他の何らかの事情で非常に不漁続きであつたというような事由ども、この場合に該当するものと考えまするし、又北海道などにその例があるのでございますが、非常に地域が広大で、而も医療機関が非常に少いような地域におきましては、自然的にいわゆる受診率が低いところがあるのでございます。後にありまするように、一定受診率がなければならんことになつておりますけれども、そういうような特殊な地域におきましては受診率規定よりも下つておりましても、場合によつて貸付を認めるようにしたいというような考え方でございます。  次に各号について申上げたいと思いますが、第一は、「貸付金貸付を受ける年度の前年度における調査決定した保險料の額と一般会計繰入金の額との合計額の、療養給付に要した費用の額に対する割合が、百分の五十五以上であること」というふうにいたしてございます。これは保險料の額と一般会計繰入金とを一緒にしてございますが、これは保險料一般会計繰入金とを同じような扱いにしたいという考え方であるのでありまして、その保險料療養給付に要した費用の少くとも半分になつておることが必要であるということを考えてこういう規定を置いたのでございます。その意味におきまして第三号の一部負担金の額と相応する規定でございますが、ここに百分の五十のほかに、五という、百分の五というものを加えまして、百分の五十五と書いてございまする意味は、その五の部分保健施設でありまするとか、或いは葬祭助産給付でありまするとか、保育手当等、いわゆる療養給付以外の業務を行なつておりまする保險者がございまするので、その最低限度を五%見込みまして百分の五十五というふうにいたしたのでございます。第二号は、「貸付年度の前年度における受診率が、百分の五十以上であること、」先ほども申上げましたように、この貸付は二十七年、二十八年、二十九年三カ年に亘つて行われますが、それぞれその前年度、二十六年、二十七年、二十八年の受診率が百分の五十以上であるということを條件にいたしております。これは実績を御参考に申上げますると、昭和二十四年度実績受診率は七九・九%でございます。昭和二十五年度実績は著しく上りまして、九三・五%に相成つております。昭和二十六年度はまだ正確な集計ができておりませんけれども、私ども見込といたしましては、一〇五%に相成る見込でございます。従つて結論といたしましては、この受診率全国平均の大体半分くらいに達していればよろしいというようなところを抑えたのでございます。  第三号は、貸付年度の前年度における一部負担の額の療養給付に要した費用の額に対する割合が百分の五十以下であること、これは一号について申上げました趣旨、これと裏腹になつております規定でございます。これは一部負担の額が余り高いようなところは、それだけ結局一号に相応いたしまして、健全な国民健康保險事業の運営をしているものとは認めがたいという趣旨でございます。二号、三号は、犬体事務費補助を従来いたしておりますが、これと同様の條件を附けておるのでございます。この規定によりますと、二号の場合、事務費補助は今まで百分の四十というふうにいたしております。その点は少し違いますけれども、二号、三号は大体事務費補助と大体同様の取扱いをいたしておるのでございます。四号、五号、六号ですが、五号、六号は特に面倒な細かい書き方をしてございますが、簡單に申上げますると、昭和二十七年度初年度貸付を受けます場合には、その前年度保險料徴收割合が百分の七十以上であることを先ず要件といたしまして、二十八年度、二十九年度に引続きその保險者がこの貸付を受けますためには、それぞれ二十八年、二十九年におきまして、二十七年度に比較して一〇%ずつ保險料徴收割合が上昇しなければならないというふうな考え方が現われておるのであります。従いましてこの制度は、先ず第一に百分の七十以上という保險料徴收成績のいいものを抑えますと同時に、その後におきまして、そのままの状態を持続するだけでなく、更に一歩を進めて、一〇%ずつ各年度毎に徴收率が上昇いたしませんと、八年度、九年度に引続いて貸付を受けることができないというような考え方を入れてあるのでございます。細かく書いてありまするのは、そのほかに事業を途中で始めましたもの、或いは昭和二十六年度徴收成績が惡くて二十七年度で借りられなかつたものでも、二十七年度において相当な成績を挙げたというような場合には……、先礼いたしました。二十七年度貸付を受けまして、二十八年度には貸付を受ける要件を充し得なくて、二十八年度貸付を受けられなかつたというものが、二十九年度で、一年休みましても、又貸付一定條件を充たせば貸付を受けられるというような場合、そういうような細かいことを定義的に書いてあるわけでございますが、精神は要するに徴收成績が逐年向上するということをこの考え方で狙つておるわけでございます。  第四條は、貸付金額限度及びその各年度割を書いてあるのでございまして、先ほど申上げましたように、昭和二十七年度貸付を受けますものにつきまして例を挙げて申上げますると、昭和二十六年度末の未收保險料総額、これは二十五年度から引続いたものでもよろしいのでありまして、それはすべて二十六年度末にあります未收保險料半額限度としてこの貸付が行われるのであります。而も徴收成績がこの次の表にございまするように、細かくなつておりまするが、貸付最高限度を未收保險料半額と抑えまして、更に徴收成績によりまして、初年度に全額借受けるものと、徴收成績が漸次低くなるにつれまして二年乃至三年に分けて貸付をするようにいたしておるわけでございます。例を挙げて申しますると、最低昭和二十六年度徴收成績が百分の七十から百分の八十未満でありましたものは、二十七年度におきましては、百分の四十だけが借りられる。五割の百分の四十だけが、つまり二割だけが借りられるということになるわけであります。その代りもう一〇%二十七年度成績が向上いたしますと、二十八年度におきましては三割、一五%、五割の百分の三十が借りられる。あとの残りは、もう一〇%成績がよくなりますと、二十九年度に借りられるというようなことにいたしておるわけでございます。この徴收成績の組合せによりますると、貸付限度が、この表だけを適用しますと、未收保險料の百分の五十を超える場合がございます。その場合未收保險料貸付対象額限度の百分の五十だけにとどめるということが第二項に念のために書いてあるわけでございます。  第五條分割交付規定でございます。これは第七條に関連をいたすのでございまするが、貸付を受けました保險者は、それと同額資金調達いたしまして、合せましたものを未拂診療報酬支拂に充てることに実行上は相成つております。そうなりますると、保險者経済状態によりましては、一時に借入を受けても資金調達に困る者があろうと思いまして、第五條におきましては、資格に該当して一定貸付金貸付が受けられます場合でも、資金調達の模様によりましては、保險者申請によりまして、分割して、年度を越えても交付ができるようにしてあるわけでございます。そして、従つてそういうふうに分割して交付を受けました場合には、その都度分割して交付を受けました額と同額を、原則として準備して、未拂診療報酬支拂に充てるということに相成るわけでございます。  第六條は、申請の手続の規定でございまして、特に申上げることはございません。  第七條は、只今申上げた通りでございまして、貸付を受けました者は遅滯なく大体原則として同額の金を調達して、診療報酬支拂に充当するということになつておるのでありますが、その借受をしました年度において、すでに前の未拂診療報酬を拂つておりますものがあれば、それはその部分だけ差引いてよろしいということが、当該貸付金の額から当該年度の間にすでに支拂つた拂診療報酬を控除した額という趣旨で現わしてあるわけでございます。  次に第八條でございます。これは衆議院におきまして修正をせられておりますので、或いはお手許修正の案、文が届いておりますかと思いまするが、それに基きまして御説明を申上げたいと思います。当初の政府原案によりますると、この貸付金償還期限を十カ年といたしまして、そのうち五カ年を据置期間とすることになります。利率は年六分五厘でありまして、据置期間中も利子複利計算で附くことになつておつたのでございます。これに対しまして衆議院におきまして修正が行われまして、据置期間は三カ年になりまして償還期限十年は変らないのでございますが、据置期間が三カ年になりまして、その代り三カ年は無利子とするということになりましたわけでございます。例を挙げて数字で御参考に申上げますると、原案規定によりますると、十万円借りました場合には、利子を加えまして、十年後には総額十六万九千円ほど、返済いたさなければならなかつたのでありますが、この修正によりまして十三万円足らずの返済で済むことになりました。三年間無利子ということになりました関係上、保險者としては十万円借りました場合に、十年経ちました場合の償還金総額は、比較いたしますと四万円ほど助かるというようなことになつたわけでございます。  第九條は支拂猶予に関する規定でございまして、これはまあ将来の問題でございまするが、災害その他の事由によりまして、支沸が困難になつた場合には支拂を猶予することができるようになつておるのでございます。  第十條は、所定の條件該当をいたし、又は後におきまして該当をするようになりましたような保險者につきまして、いつでも貸付金の全部又は一部の一時償還を命ずることができることにしてあるのでございます。個々項目につきましては特に申上げることはないと思います。  第十一條は、貸付を受けました保險者に対しまして、報告を求めたり、検査をしたりすることができるということに関する規定でございまして、特にこれも一般監督規定にありまするものでございます。  第十二條は、厚生大臣の権限に属する事務で、政令で定めるものは都道府県知事が行うことになつておりますが、大体私どもの現在の考え方といたしましては、貸付金額の決定につきましては、厚生省一定の方針に基いて不公平のないようにいたしたいと思いますが、具体的な金の貸付或いは償還に関する事務は大体挙げてこれを都道府県知事に委任をしたいと、只今のところ考えておるような次第でございます。  第十三條は、昭和二十七年三月三十一日、即ち昭和二十六年度末におきまして、国民健康保險事業をやつております全保險者、その後におきまして、前の休止保險者事務を引受けて事業を再開したり、或いは休止保險者診療報酬支拂義務を承継して事業を始めましたものにつきましても、この貸付制度の恩典に浴することができるようにという考え方で、一定條件の下に貸付金貸付をすることにいたしたわけでございます。ここにございまするように、昭和二十七年四月一日から昭和二十八年三月三十一日まで一年間のうちに、そういう該当いたしましたものにつきましては、大体同様の條件貸付ができることにいたしてあるのでございます。  第十四條は適用除外條文でございますが、これはこの法律につきましては、国民健康保險法第二十六條第二項、第三十七條ノ六第二項の規定適用しないということになつて、これは借入金をいたします場合には都道府県知事の認可を必要とするというような規定がありますので、さような規定適用をこの場合にはしないので、当然法律によつて貸付を受けられる。その国民健康保險法一般監督規定適用をしないということを現わしたのでございます。附則には特に申上げることはございません。ここで附則の第一項の、二十七年四月一日から施行するというのは、当然この時期が過ぎておりますので、衆議院におきまして、この法律は公布の日から施行するというふうに修正に相成つておるわけでございます。二項、三項は、厚生省設置法改正をいたしまして、この法律に関しまする仕事厚生省において行い、更に厚生省保險局においてこの仕事を担当するということを現わし改正でございます。極めて簡單でございましたけれども、以上を以ちましてこの法律案の概略の説明を終りたいと思います。
  8. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 概要の御説明保險局長から只今承わりましたが、これは保險会計小委のほうへ付託いたしまして、なお十分の検討を加えて結論を出してもらうということに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それならさよう決定いたします。   —————————————
  10. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に国立病院特別会計所属資産讓渡等に関する特別措置法案がこちらへ参つておりますが、提案理由説明を聞くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないものとして、西村政務次官からお願いいたします。
  12. 西村直己

    政府委員西村直己君) 只今議題となりました国立病院特別会計所属資産讓渡等に関する特別措置法案について、提案理由を御説明申上げます。  今回厚生省所管国立病院の一部を地方公共団体等移讓することとなりましたが、これにより移讓される国立病院の用に供されている資産に関し、その讓渡等について特別の措置を講ずる必要がありますので、この法律案提出いたした次第であります。  その内容といたしましては、今回の移讓趣旨にかんがみまして、先ず、移讓される国立病院の用に供されている資産讓渡に当つては、国の財産讓渡の特例として、国有財産法適用を受ける国有財産については時価の七割減を、消耗品を除き一般の物品については時価の五割減を、国立病院の経営により生じた未收金債権については時価の三分の一以内を減じた価額で讓渡し得ることといたしております。  次に、資産讓渡に当りましては、讓渡対価の納付前においてもその資産を引き渡すことができることといたし、また地方公共団体讓渡資産対価地方債証券をもつて納付することができることといたしたのであります。  次に、公的医療機関設置者資産讓渡を受けた場合におきまして、その対価を一時に納付することが困難であるときは、十年以内の延納の特約をすることができることといたしております。  この外、一般会計及び国立病院特別会計所属資産医療施設の用に供するために両会計間において所属替又は所管換をする場合においては、両会計間において無償として整理することとしたしました。  なお、国立病院移讓に伴いまして、その病院に勤務する職員が引き続き都道府県職員となる場合におきましては、これに引き続き恩給法規定を準用することといたしているのであります。  以上がこの法律案提出理由であります。  なにとぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを御願いいたします。
  13. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 提案理由説明を承わりましたが、提案理由説明に基きまして概要質疑だけ本日やりたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではさよういたします。  ちよつと速記止めて。    〔速記中止
  15. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて。概括質問に対して只今御承諾を得ましたので、国立病院関係に対する質疑に入りたいと思います。
  16. 藤森眞治

    藤森眞治君 只今提案理由を承わりましたのですが、何と申しましても、この国立病院地方移讓ということに対する一審重要な点は、ここにあります通り、その内容といたしましては、今回の移讓趣旨に鑑みましての点であります。移讓趣旨がどこにあるかということを我々は先ず確めねばならんのであります。これが只今日本の現状では、国立病院というものが日本医療に非常に大きく寄與しております。そうして又国民も非常に喜んで、そうして医療を受けておる状態でありまするが、これが地方移讓になるといいますことは、国民医療を向上さすということが目的でありまするのか、或いは国立病院地方移讓するということが、一つの国家財政の面から見て地方移讓しなければならんのかという、その根本的の移讓趣旨を承わりたいのでございます。
  17. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) お答え申上げます。今回の国立病院地方移讓いたします趣旨につきましては、財政上の都合或いは医療を向上させるという目的かというお尋ねでございますが、私ども考えておりますのは、地方移讓することによりまして、内容その他を充実させたい、又させ得るという考えの下に計画したのでございまして、財政上の問題を主にして考えたのではございません。
  18. 藤森眞治

    藤森眞治君 そこに非常に大きな疑問がありますので、現在の国立病院特別会計等から見ましても、必ずしもこれを地方移讓してそうしてその姿で以て国民医療が向上するとは思えないということは、これは政府当局においてもよくおわかりだろうと思うのです。殊に現在の地方財政が非常に窮乏しておりますときに、これを地方移讓して、そうして国がやつている以上になるということは常識的に考えても納得が行きかねるのじやないかと思われるのですが、これにつきまして地方移讓して、移讓したことによつてこういう点が国民医療の上から見て向上するということを具体的にどういうふうにお考えになつておりますか。
  19. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) お答え申上げます。小委員会でこの前も御説明申上げましたように、今回の移讓案は、できれば計画のものが全部移讓できることになれば結構でございますけれども、大体のやり方といたしましては、地方国立病院を受けられるところへ話合いの上で移讓するという点でございます。それを主眼にして交渉いたすことに考えておるのでございます。受けられるところと申しますのは、個々病院について地方と十分に話合いまして、地方がこれをこういうふうに使つて、そうしてやつて行けるというような自信のあるところへ讓りたいと思うのでございまして、私どもとしましても先ほど申上げますように、そうやつて行けば内容が非常に充実するだろうということを考えられるところに移讓するのでございますから、それを実例で申上げますと、例えば或る県につきましては、地方県病院を十分にその地区々々のセンターとして持つて行くのに、これこれがあればこの国立病院はこちらのセンターにするのだというような、具体的の計画を立てておられるところもあるのであります。そういうところにつきましては、県といたしましても、十分に内容整備して行かれる。国立病院として、国がたくさん持つて、今のような遅々とした整備の仕方で進むよりは遥かに進んで行くだろうと、かように考えておるのでございます。一概に国立病院と言いましてもいろいろありまして、経済的にも内容が非常によく、地方のそんなに負担にならん所もございます。それから又地理的に行きましても、今申しました地方公的医療機関としては適当な場所として利用のできる所もあるのでございます。ただそういうふうにうまく利用のできない不適当の所を無理に機械的に押付けるということになりますと、今お話のような医療の向上どころか、むしろ医療が低下して、更に地方の財的の負担になるということも或いはあるかと思うのでございますが、その点につきましては十分に個々について話合つてつて行きまして、医療内容の充実のでき得るという見通しのある所を移讓して行きたい、かように考えておるのでございます。
  20. 藤森眞治

    藤森眞治君 地方移讓することによりまして、国民医療が向上するということが考えられるが、併し或る地区によつては府県が引受けられない所はそのままにするという御答弁ですが、これは非常に矛盾があるのではないかと思いますので、地方移讓することによつて国民医療内容が非常によくなるということであれば、これは国が相当な犠牲を拂つてでも国民医療のためには、全部を地方に強制的にでもやつて国民医療を向上させなければならんということが考えられるので、ただ受入態勢がかなりいいところだけはやる、惡いところは放つとくということになりますと、国全体から見た場合には、金持ちのところはよくなるが、地方財政の豊かでないところはますます惡いところへ追込まれるということも考えられるのじやないか、そこに一つの大きな矛盾があるのではないかと思うのですが、この点如何でございますか。
  21. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 私の説明が少し足りなかつたので、ちよつと誤解があるのでございますが、地方財政のいいところだけに讓るというのではございません。その病院個々に鑑みまして、今の病院の立地條件その他そこの経営状態、いろいろな点から行きまして、地方病院として十分に利用できる内容、発展して行くというところへ讓りたい、こう思うのでございまして、国立病院は御承知のように突然として軍病院を国で経営することになつたのでございまして中には非常に地方一般病院としては立地條件その他まずいところがあるのでございます。そういうものまでも地方に押付けますと非常に財政負担にもなり、従つてそれがだんだんと惡くなつて行くということも考えられるのでございますから、そういうものは決して無理押しいたすつもりはない、かように申上げたのでございます。その点御了承頂きたい。
  22. 藤森眞治

    藤森眞治君 その点もわかりましたが、併しよくなるところ、又利用価値も非常に多いという意味でよくなるところは地方移讓ができる。併し立地條件その他がよくないところはそのままにして置くということになりますると、国全体から見た、国の医療という上から言いますと、すべてが平等によくなつて行かなければならない、こういうことが考えられる場合に、立地條件のいいところはよくなり、惡いところはそのままというのでは少し矛盾がある、むしろ立地條件の惡い、又病院そのものが余り完全でないとか、或いは地理的にも若干の欠点があるというところをよくしてこそ初めて利用率も高まり、国民すべてが恩恵に浴するわけで、むしろいいところより惡いところをよくして、そうして国民医療価値を多くして地方移讓するのだということになればよくわかると思うのですが、ただ立地條件がいいからというだけが移讓の対象になるのでは、少し国民全体の医療という面から見て少し不公平が起きて来る。仮にそれが地方財政には関係ないものといたしましても、そういう感じを我々は深くするので、もう少しそこを御明確におつしやつて頂きたい。
  23. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) その点は、私ども地方公的医療機関国立病院移讓だけで解決するということは考えておらないのでございます。現在の国立病院をできるだけいい病院利用さしたい。そうして内容をよくしたいということを考えておるのでございます。そのほかにもまだまだ足りないところがたくさんあると思います。そういう点につきましては、地方でもそれぞれ県病院を作りたいというので、今年度におきましてはすでに八十九億の起債の申請が来ておるような状況でございます。国立病院も全国的に見ますと、全国の医療を今の国立病院地方移讓しただけで、全部完璧になるというふうには私ども考えておりません。  それから又立地條件等の惡い病院をよくして地方にやることこそ本当の措置ではないかというお話でございますけれども、立地條件の惡い病院というものは、これはよくするということは非常に困難じやないか。建物の惡い病院ならこれをよくすればそれで立派な病院になりますけれども、立地條件の惡い病院というものは、これは何か別途の方法を考えなければならない。例えば結核療養所に転換するとか、そのほかの同じ医療施設としましても考え方がおのずから変つて来るのじやないか、かように考えておるのでございます。
  24. 藤森眞治

    藤森眞治君 この点につきましては又大臣の出席の折に大臣に御質問しますとしまして、次にお尋ねしたいのは、これは有償讓渡となつておりますが、只今のように国がやつておる医療地方移讓するという場合に、国の仕事地方にやるわけでございますから、当然これは有償でなく無償であつて、つまり国の仕事を代行さした、これは言葉は適当でないかも知れませんが、そのくらいにやらなければならない。そうするとむしろ国はこれを送ります場合には若干の化粧料がついておるといたしましても、十分なものにして国がやれないから地方でやれ、こうあるべきだ。逆にこれが有償になつておるということは、どういうわけでこれは有償になりますのですか、お伺いしたい。
  25. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 結論としまして、藤森先生が恐らく心持に抱いておられるであろうと思います。成るべく無償でありたいということにつきましては、私らも同感でございます。ただ根本の考え方としまして、この医療というもの、国立病院でまあ医療の一部を担当しておるわけでありますが、これらのものは国が十分責任を持つて財政的にも責任を持つて最終的にやらなければならない仕事であるとはこれは必ずしも考えていないのでありまして、やはり根本の考え方としては、病院整備等は地方の府県、特に府県等が公のものとしてやつたほうがいいのじやないだろうか、それで国としては先般来申上げておりますように、特殊の使命を持つた何がしかの病院整備をしておく、そういうような考え方のほうが医療の行き方としては妥当じやないだろうか、そういうように考にております関係上、この医療については、勿論国もできるだけ、財政上の負担の許します限り、できるだけ金を注ぎ込んで医療の完璧を期さなければなりませんけれども、同時に、これは地方のほうも、私は社会保障の見地から十分力を入れて、金も注ぎ込んでやつて頂きたい。まあそういう性質のものであろうと思いまするので、今までまあ国でやつておりましたのを、いわゆる事務配分という見地から国の代行をさせるという意味において只にさせるということは、私どもとしてはちよつと考えていないのでございます。併し先ほど来お話がありますように、地方財政の状況でありますとか、或いは今後の移管された病院の運営の行き方でありますとか、そういう点を考えまして、できれば成るべく地方財政上の負担をかけない仕方において移讓ができれば仕合せである、さような考えでおりますし、その意味におきまして、この価額の割引率等につきましても、従来のこういつた国有財産讓渡については、余り例を見ないような非常な低目に実はなつて法律案ができておるような次第であります。この点御了承頂きたいと思います。    〔委員長退席、理事長島銀藏委員長席に着く〕
  26. 藤森眞治

    藤森眞治君 これもたびたび承わつておりまするのですが、我々の感じとしましては、国立病院地方移讓ということが、国が国家財政の赤字を地方財政にしわ寄せするという感じがどうしてもしつくりととれませんので、できるなれば、そういう意味でないということの明確な御答弁を一つ承わりたいのです。
  27. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 以前は一般会計から国立病院経営の特別会計に相当の額の繰入れをいたしておつたのでございますけれども、来年度におきましては繰入れはいたしますけれども、その繰入れというのは、特に一部の改善費、整備費というもの、或いは特別の、看護婦の養成費というような、元来の病院費でない部分の繰入れでございまして、一般病院の経営費というものにつきましては繰入れを考えておりません。従いまして国家財政に対する負担という問題はまあ最近は非常に軽減して来ておるのであります。その点から行けば、それを理由にして病院移讓をいたすというほどのものではないと、私はかように考えておるのであります。
  28. 藤森眞治

    藤森眞治君 今回健康保險の單価の値上げ或いは入院料の値上げ等がありましたために、或いはここ暫くは赤字というものが或る程度カバーできるとは思いまするが、併しながら今後の経済状態によりましては必ずしもこれが永久に続くものとは考えられません。殊に社会保障制度審議会の第二次勧告におきましても、地方移讓に対しては相当な整備をして、そうしてこの経営については、国が相当の補助をしなければならんということが勧告案に出ておると記憶しておりまするが、こういう点に対しましての考慮が拂われておらないように思うのでありまするが、今一応は考慮がついておりますが、今後の経営については考慮が全然この法律ではついておらないように思うのですが、その点如何ですか。
  29. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 今藤森先生のお話のように、経営費に大いなる赤字が出ましたときに、それに対する補助をつければそれに越したことはないと思います。又我々もそれを希望するところでございますけれども国家財政等の立場から、そこまでのところはちよつといたしかねる。現に我々が国立病院として経営しておりましても、国からもらわなくてもどうにかやつておるのでありまして、そこまではいたしかねるような状況であります。ただその県営病院は全部赤字が出るという前提の下のお話でございますけれども、各府県におきましては、先ほども申上げましたように、分けの医療機関を作るということに非常な必要性を感じまして、昨年は約四十億円の建設費の起債の補助が出ておりましたが、今年は八十九億と、倍以上に出ておるというような状況で、    〔理事長島銀藏君退席、委員長着席〕 私は必ずしも県に移管したからそう県財政を危殆に陷れるような程度の赤字は出ないだろう。殊に病院は施設と共に、その診療のスタツフが非常に大事なんでございますけれども、それがそのままついて行きますので、地方へ移つたから急激に経営状態が惡くなるであろうというようなことも考えられませんので、大体これで地方にも御満足頂けるのではないかと考えておるわけであります。
  30. 藤森眞治

    藤森眞治君 地方に参りまして地方医療機関が今かなり増設される傾向もありまするし、又その経営内容もさして赤字が出ていないということも存じておりまするが、併し地方のいわゆる公的医療機関なるものの経営方針を見ますると、大体において独立採算制を採つておるのであります。ここに今お話のような点で心配がないとは言われますが、併しこれが府県に移讓されたのでは、どうしても独立採算制をとつて行く傾向が出て来た場合には、これが即ち診療費に影響するのではないかということが案じられますのみならず、これは一般国民もこれを憂えておるところなんです。こういう点につきまして、医療費が高くならないというお見通しがございましようか。
  31. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 先ほども申上げましたように、今のスタツフが行つて診療をやるのでございますから、そんな急激な変化があろうとは思いませんし、それから今又お話のように、公的医療機関が所によつては独立採算をとつているということも承知いたしております。併し独立採算といいましても、独立採算制のために、患者に余分な治療代、或いは無理な負担をかけまして、そうして採算を無理に合わすというようなことであれば、これはまあ非常に惡い傾向でございますが、そういう点があれば、公的医療機関につきましては、医療法に基きまして私どもから指示も出せることになつております。監督もすることができるようになつておりますので、今後一層その点につきましては、十分に検討を加えまして、そういう弊害のないように努力いたしたい、かように考えております。
  32. 藤森眞治

    藤森眞治君 医療法の面から厚生大臣の指導はできる規定がございますようですが併し今日までの公的医療機関その他の状態を見ましても、或いはこの医療法の三十五條による厚生大臣の指導ですか、これが指示というようなものが行なわれたことはないんじやないかと思うんですが、今後において、これを若し独立採算で弊害の起きるときには、どんどんおやりになる勇気がおありになりますか。これは余ほど強い御決心をお持ちにならないと、今日までの我々歴史を見ておりますと、一抹の不安があるわけでございますが、如何でしようか。
  33. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 医療法もまだできまして余り年月も経ちませんし、経たないということが弁解の理由にはなりませんが、実際お話の通りに、現在までのところは余り深く立入つては監督しておりません。併し私どもといたしましては、いろいろな医療費の問題は一番深刻な問題でございますから、もう少し我々としては立入つて検討もし、又惡い点については指示もして行かなければいけない。これはまあどうしてもそうしなければならん、さように私は考えておりましてやるつもりで、できるだけのことはやるつもりでいるのでございます。
  34. 中山壽彦

    中山壽彦君 現在の国立病院は戰時中に造られたものが相当多いのでありますが、極めて不便な位置にあつて利用価値の少い病院も相当あるように思うのでありますが、こういうような病院は国が閉鎖するというような考えはあるかどうか。それから今一つ、地方移讓されました場合、やはり経営が非常に困難になると、地方医療目的以外に讓り受けた財産を使用することの制限はこの法文には出ておりませんが、そういうことは自由でありましようか、一応お尋ねしておきます。
  35. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 立地條件の非常に惡いところは閉鎖する考えがあるかどうかというお話でございますが、私ども考えておりますのは、一応地方当局と一緒になりまして、県の公的医療機関として有効に利用する方法がないかということを検討いたしまして、それができなければ場合によりましては結核療養所に転換するということも考えられると思うのでございます。これも当座のところは一応三千ベツトということに限られておりますので、三千ベツドまでは入れるわけでございますが、それ以上になりますと一応現在お定め頂いたところじやできません。その問題については更にいよいよ蓋を開けて、そういうものを検討を済まして、残つた部分について今後更に検討いたしたいと思いますが、如何ように考えても公的の病院としての利用価値がない、存在の意義がないというものであれば、これは国立病院としても存在の意義がありませんから、これは私は閉鎖するよりしようがない、ほかに利用方法を考えるよりしようがないと、かように考えております。  それから今の移讓したものを県がやつてみたところがうまく行かん、それでほかに売つてしまおう、そういうものを認めるかというお話でございますが、これはまだここにははつきり出ておりませんけれども、私ども考えといたしましては、これは十五カ年の年賦で地方に売るのであります。一応十五年程度は医療機関として利用するという建前で地方讓渡いたしたいと、かように考えております。それでその点につきましてはここについて十分に各角度から検討いたしますので、県当局及び厚生省のほうの見通しが万々そんなひどい狂いはないだろうと、かように考えておりますが、まあ特殊の場合も出て来ると思いますし、今申上げましたように一応の考えといたしましては、十五カ年程度は少くとも……国有財産法には規定があるのだそうでございますが、十五カ年間そのほかのものに使つちやいけないということがあるのだそうでございます。気持は今申上げたような気持でおります。
  36. 中山壽彦

    中山壽彦君 国立病院療養所に移管した場合に、この病院内容はやはり総合病院的な経営をなさるかどうか。
  37. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 国立療養所の現状を申上げますと、まあ大体国立療養所は辺鄙なところにございます関係上、又その地元に対するサービス上或る程度の地元の患者は一般患者も診ておる現状でございます。併し性格は飽くまでも療養所としての建前をとつておるのでございますが、多少一割或いは一割五分程度の一般患者がときによりますと参つておりますが、その程度のことは療養所といたしましてもやはりやつて行かなければならん、それから又転換の方法でございますが、現在の建前によりますと、本年中に療養所に転換するものは順次に患者を入れ換えて参りまして、そして来年度即ち来年の四月一日からこれを療養所に切り換えるのだ、こういう形になつておるのでございますが、併しその転換の仕方によりましては急激に患者の転換もできませんし、多少はずれて行くことがあるのじやないかと、かように考えております。
  38. 中山壽彦

    中山壽彦君 この療養所に移管した場合、国立病院に勤めておりまする職員の身分というものは、若し療養所になりますと格差はないわけでございますが、総合病院内容をそのまま療養所に移した場合には、職員の身分に変動がなく行くだろうか、その辺のことは現在国立病院に勤めておる職員の人が身分の変動を非常に杞憂しておるというようなことを私ども聞いておりますから、一つはつきり御答弁下さい。
  39. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 療養所に転換いたしますと定員関係その他もございまして、現在の職員を維持するわけには行かないだろう、殊に療養所として要らない專門科面もありますし、併し従来の国立病院療養所に転換した例はたくさんあるのでございますが、順次にやつて参りまして、非常に職員に不安を與えるような、直ちにいついつか限り病院はやめてもらつてはというような問題は起らなくて、円満に私は転換ができるのではないか、かように考えております。又そういうふうに努力をいたしたいと思います。
  40. 藤森眞治

    藤森眞治君 地方移讓をしまして府県に渡しましたとき、現在地方では一つの医療機関整備計画を持つておりますのでこれに全部委ねて、他は府県が移讓されたものを全部府県の立場から、一つの新らしい角度から立てた医療体系を作るというふうなふうに、全部を委して利用させるというお考えはございませんか。つまり渡したから渡したものは県でよろしく処理をしろ、併し仮りに二千ベツドあるのなら二千ベツドというものはこれは確保しなければならん、併しそのやり方は府県に全部委してやらせるというふうな、只今国有財産移讓法律があるかも知れませんが、そこまで進んだお考えはお持ちになつておりませんか。
  41. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 今度の移讓趣旨が、先ほど来申上げておりますように医療体系の整備ということでございまして、従つて移讓された病院がその後において医療機関としての機能を失う、或いは又減少させるというようなことは、これは避けなければならないと思いますし、従つてその辺の見通しにつきましては移讓の際の交渉に当つては、更に相手方とよく話合をして、こちらも見通しをつけてやつて行きたいと思います。そういう意味におきまして、先ほど中山先生の御質問に対してお答え申上げましたように、国有財産法規定に基いた見当もつけるということになるわけでございますが、立地條件或いは建物等の関係上更に有効適切な整備が行われるにおきましては、今お話のように場所を変えたり、或いは建物を建て変えたりするということは考え得ると思いますが、野放しにして委せきりにするという考えはございません。
  42. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 ちよつとお尋ねいたしますが、この国立病院移讓地方の公的機関に移讓しようというのでありますが、例えば私立の大学とかというようなところにはこれは認めるわけには行きませんか、如何ですか。
  43. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 一応法律案にはそういうものは含まないことになつておりまして、私立の学校等につきましては、別個の国有財産措置に関する特別の法律がほかのほうで出て御審議を頂いたか、或いは済んだかと思いますが、そつちのほうによつて処理されるはずでございます。
  44. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 それでは例えば医師会などが或る国立病院をもらいたいというようなふうの場合はどうですか、それはとてもできませんか。
  45. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 一応お手許に差上げてあります法律では予定をいたしておりません。
  46. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 今ここに資料を頂きましたが、その中に看護婦養成所は、看護婦の学校は甲種と乙種を持つているのが大部分でございますが、この看護婦学校を持つておるところも、いずれそのうちの何パーセントか地方移讓になると思いますけれども、これについては甲種というのは普通の看護婦学校でよろしうございますが、これまでの乙種というのはどういうふうにこれから仕向けていらつしやるおつもりでございますかというのが一つと、この頃準看護婦の養成が始つて参りますと、普通の看護婦に準看護婦幾らというようなとりきめがないために、これからの国立病院の看護というものは恐らく地方へ移管されまして非常に落ちるのではないかと思います。只今経済的な部門を大きく論じられておりますけれども、この医療内容において、特に看護の面において非常に落ちることを憂えておるのでございますが、これに対してどういうようなお考えをお持ちになりますか。
  47. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 国立病院地方へ委讓することによりまして看護の内容は落ちやしないかというあとの御質問からお答えいたしますが、それはまあ勿論御承知のことでございますけれども、看護婦の数等も一定規定があるものでございますから、殊に現在おる看護婦も採つてもらいますから、それで私はその点は落ちないように十分に私のほうとしても指導もでき監督もできると、かように考えておるのでございます。  それから乙種の看護学院の移管をどうするかというお話でございますが、これは若し間違つておりましたら私あとで御訂正申上げますけれども、乙種の看護学院の中で甲種に昇格する、これは形の上でなくて、そういう非常に需要もあり、そこの情勢がどうしても甲種にするほうがいいというものは甲種に昇格して引取つてもらうように、或いは引取つてから昇格されるように県当局と交渉いたしたいと思います。それから又更に乙種のものは、準看の養成所にできるものは準看のほうの養成所にもして行くべきではないか。一概に乙種の看護学院は全部甲種の看護学院にするということはきめないほうがいいんじやないか、個々の場合にどちらか県と相談をしてきめる、県全体の甲種の看護学院及び準看護学院等の比率を考えてきめて行くべきではないか、かように考えております。
  48. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつとお聞きしておきたいと思うのですが、只今伺いますと、厚生省では看護の面においては十分指道監督をするというお話でございますけれども、この際私どもあらゆる面に改革が加えられて、それが国立病院地方委讓ということも考えられております際に、看護ということにつきまして厚生省ではもう一度再検討なさるお考えはございませんでしようか、お伺いしたいのでございます。
  49. 阿部敏雄

    政府委員阿部敏雄君) 看護の面につきましては、まだ厚生省の首脳部の会議におきましてこれを再検討するというような問題はきまつてはおりません。おりませんが私自身の考えから行きますと、いろいろの現地を見て歩いたりいたしますと、いろいろ御意見があるようでございますけれども、一応これは日本も独立したことでありますし、十分に検討して直すところがあれば直したほうがいいのじやないかと、かように私は考えております。
  50. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) この程度で概括質問を終りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ちよつと速記を止めて。……。    〔速記中止
  52. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて下さい。  麻薬取締法について簡單概要説明だけお聞きしたいと思います。
  53. 堀江二郎

    説明員(堀江二郎君) お手許にございます麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法律案の逐條につきまして御説明申上げます。  第二條の改正は、麻薬取扱者として新たに家庭麻薬製剤業者及び家庭麻薬卸売業者の二種を加え、家庭麻薬の需給を円滑にし、国民医療に寄與せんとするものでございます。この際家庭麻薬の定義中により阿片、モルヒネとその塩類を削除いたしましたが、モルヒネ等を家庭麻薬に含めますことは弊害がございますので削除いたした次第でございます。  次に第五條改正案は、麻薬製剤業者、麻薬卸売業者の免許資格を定め、且つ薬局開設者も家庭麻薬小売業者となれるようにいたしますと共に、第九條を改正いたしまして、登録手数料の規定中に家庭麻薬製剤業者、家庭麻薬卸売業者の二種を加えた次第でございます。  次に第十九條麻薬輸入業者の規定でございますが、従来終戰時の麻薬国内保有量が多かつたため殆んど輸入の必要がなかつたのでございますが、近時保有量の減少のため近い将来麻薬の輸入は当然考慮しなければならないので、その手続等を改正いたすものでございます。即ち第十九條を改正し、麻薬輸入業者の許可事項を法定化し、新たに第十九條の二を設けて麻薬輸入業者が麻薬を輸入したときの相手国発給の輸入許可書の提出義務を、又第十九條の三を設けて厚生大臣の発給する輸入許可書の返納義務をそれぞれ規定いたした次第でございます。  次に第二十四條は、麻薬製造業者の麻薬讓渡制限規定でございますが、新たに但書を加えまして家庭麻薬の原料となるコデイン、ヒドロコデイン等を家庭麻薬業者に讓り渡す場合は除外いたした次第でございます。  次に第二十六條の麻薬の製剤に関する規定、第二十七條の麻薬を製剤する場合の許可に関する規定中に、それぞれ家庭麻薬製剤業者を加え、又従来第二十八條でもつて家庭麻薬の讓り渡しを制限して参りましたが、家庭麻薬の性質上広く麻薬取扱者に讓渡し得るように改正いたした次第でございます。  次に第二十九條、第三十條は、麻薬輸入業者等が麻薬を輸入し、製造し、製剤し、小分した場合行わなければならない包装標示に関する規定でございますが、これに家庭麻薬製剤業者を加え、第三十一條並びに第三十五條の麻薬製剤業者、麻薬卸売業者がおのおの業務所ごとに行う報告義務の規定中に、家庭麻薬製剤業者、家庭麻薬卸売業者を加え、第三十三條、第三十四條を改正して家庭麻薬の讓渡先を第二十八條と同様に拡大して麻薬取扱者といたし、又第四十五條改正して、従来家庭麻薬を購入する場合に捺印せしめておりましたが、これを削除して家庭麻薬の購入を簡便いたした次第でございます。  次に第四十七條改正は、麻薬取扱者の免許更新の際の報告事項の規定でございますが、報告期限、報告内容を明確にいたしたものでございます。又麻薬取扱者間の讓渡、讓受については、従来第四十九條の処分命令で処置いたしておりましたが、これのみでは不便な点がございますので、許可制度とするため新たに第四十七條の二を加え、更に家庭麻薬取扱者が家庭麻薬以外の麻薬を所持すること等を禁止するため、新たに第四十七條の三を加えた次第でございます。  次に罰則の規定でございますが、最も害毒の甚しいヘロイン、即ち塩酸アセチルモルヒネの罰則を加重するため、第五十七條中より削除して新たに第五十七條の二を加え、又近時麻薬事犯の増加に鑑み、これを防渇するため、営利又は常習の目的での事犯については罰則を強化する必要があるので、新たに第五十七條の三、第五十七條の四を加えると共に、麻薬輸入業者並びに家庭麻薬取扱者の業種増加に伴い、第五十七條、第五十八條、第六十一條、第六十三條をそれぞれ改正いたした次第でございます。  次に大麻取締法の一部改正でございますが、第十五條、第十七條改正して大麻取扱者の四半期報告を年報に改め、報告事項を簡略にして大麻繊維の増産に資した次第でございます。
  54. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) なお細部に亘つて質疑は次回に讓りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  55. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは法案に対しましては本日はこの程度にいたしまして、次に小委員の補欠の指名を申上げます。引揚問題及び遺族援護に関する小委員草葉隆圓君の補欠、同じく草葉隆圓君、保險経済に関する小委員藤原道子君の補欠として河崎ナツ君、石原幹一郎君の補欠としては草葉隆圓君、医療に関する小委員の補欠として河崎ナツ君の補欠を河崎ナツ君、医療に関する小委員草葉隆圓君の補欠として草葉隆圓君、藤原道子君の補欠として河崎ナツ君、以上御指名申上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会