○
政府委員(
久下勝次君) それでは私から
国民健康保險再建整備資金貸付法案につきまして御
説明を申上げます。
逐條的に
簡單に御
説明を加えて参りたいと思いますが、第
一條は本
法案の
目的でございますが、ここに書いてございまするように、先ず第一は、
国民健康保險の
保險者の
診療報酬の未拂を解消するというのが、この
貸付法案の
目的でございます。第二條には各用語につきまして定義がございますが、これは特別に、後に出て参りまするので御
説明を申上げる必要はないかと思います。
第三條は
貸付金の
貸付につきましての、
貸付を受けるものに必要な
條件が
規定してあるのでございます。第三
條本文は、
昭和二十七年三月三十一日現在におきまして
事業を実施していました
保險者でありまして、
保險料の取れないものがありますもののうち、次に掲げるような
要件に
該当するということにな
つておりますが、ここに書いてございまするように、その次に、「未
拂診療報酬の
支拂に充てさせるため」という
目的が、再び第
一條と重ねて書いてあるのでこぎいます。これは後の四條との
関係で御注意を頂きたいのでこぎいますが、そのときに又申上げることにいたしまするけれ
ども、
簡單に申上げますと、未
收保險料の
半額を
貸付けることにな
つておりますが、その
限度につきましても、
保險料の未收があ
つても、未
拂診療報酬がないというものにはこの
貸付がないということがこの文句から出て来るということに相成るわけでございます。なおその次に書いて、こぎいまするように、本
貸付は
昭和二十七
年度から二十九
年度まで三カ年に亘りまして、未
收保險料の
半額を分割して
貸付けることに相成
つておるのでございます。次に
後段の、「
厚生大臣が必要があると認めるときは、
災害その他特別の
事由により、左の各号の
要件を具備しない
保險者に対しても、同様とする」ということがございますが、これは次の各号の
條件でそれぞれ申上げたいと思いまするけれ
ども、一応一号、二号、三号、四号、五号、六号の六
項目に分けまして、
貸付を受けまする者の
條件が
規定してございまするが、これらの
個々の
條件につきましても、この
後段の
規定によりまして
災害その他特別の
事由がありました場合には、以下の
條件に合致いたしませんでも、
貸付を認め得る場合があるというふうにいたしてあるのでございます。
災害その他とございまするが、例えば特に
災害というようなことは当らないにいたしましても、漁村に行きまして特にその年が他の何らかの事情で非常に
不漁続きであつたというような
事由な
ども、この場合に
該当するものと
考えまするし、又北海道などにその例があるのでございますが、非常に
地域が広大で、而も
医療機関が非常に少いような
地域におきましては、自然的にいわゆる
受診率が低いところがあるのでございます。後にありまするように、
一定の
受診率がなければならんことにな
つておりますけれ
ども、そういうような特殊な
地域におきましては
受診率が
規定よりも下
つておりましても、場合によ
つては
貸付を認めるようにしたいというような
考え方でございます。
次に各号について申上げたいと思いますが、第一は、「
貸付金の
貸付を受ける
年度の前
年度における調査決定した
保險料の額と
一般会計繰入金の額との
合計額の、
療養の
給付に要した
費用の額に対する
割合が、百分の五十五以上であること」というふうにいたしてございます。これは
保險料の額と
一般会計繰入金とを一緒にしてございますが、これは
保險料と
一般会計繰入金とを同じような扱いにしたいという
考え方であるのでありまして、その
保險料が
療養の
給付に要した
費用の少くとも半分にな
つておることが必要であるということを
考えてこういう
規定を置いたのでございます。その
意味におきまして第三号の一部
負担金の額と相応する
規定でございますが、ここに百分の五十のほかに、五という、百分の五というものを加えまして、百分の五十五と書いてございまする
意味は、その五の
部分は
保健施設でありまするとか、或いは
葬祭助産の
給付でありまするとか、
保育手当等、いわゆる
療養の
給付以外の業務を行な
つておりまする
保險者がございまするので、その
最低限度を五%
見込みまして百分の五十五というふうにいたしたのでございます。第二号は、「
貸付年度の前
年度における
受診率が、百分の五十以上であること、」先ほ
ども申上げましたように、この
貸付は二十七年、二十八年、二十九年三カ年に亘
つて行われますが、それぞれその前
年度、二十六年、二十七年、二十八年の
受診率が百分の五十以上であるということを
條件にいたしております。これは
実績を御
参考に申上げますると、
昭和二十四
年度の
実績受診率は七九・九%でございます。
昭和二十五
年度の
実績は著しく上りまして、九三・五%に相成
つております。
昭和二十六
年度はまだ正確な集計ができておりませんけれ
ども、私
どもの
見込といたしましては、一〇五%に相成る
見込でございます。
従つて結論といたしましては、この
受診率は
全国平均の大体半分くらいに達していればよろしいというようなところを抑えたのでございます。
第三号は、
貸付年度の前
年度における一部
負担の額の
療養の
給付に要した
費用の額に対する
割合が百分の五十以下であること、これは一号について申上げました
趣旨、これと裏腹にな
つております
規定でございます。これは一部
負担の額が余り高いようなところは、それだけ結局一号に相応いたしまして、健全な
国民健康保險事業の運営をしているものとは認めがたいという
趣旨でございます。二号、三号は、
犬体事務費の
補助を従来いたしておりますが、これと同様の
條件を附けておるのでございます。この
規定によりますと、二号の場合、
事務費の
補助は今まで百分の四十というふうにいたしております。その点は少し違いますけれ
ども、二号、三号は大体
事務費の
補助と大体同様の取扱いをいたしておるのでございます。四号、五号、六号ですが、五号、六号は特に面倒な細かい書き方をしてございますが、
簡單に申上げますると、
昭和二十七
年度の
初年度の
貸付を受けます場合には、その前
年度の
保險料の
徴收割合が百分の七十以上であることを先ず
要件といたしまして、二十八
年度、二十九
年度に引続きその
保險者がこの
貸付を受けますためには、それぞれ二十八年、二十九年におきまして、二十七
年度に比較して一〇%ずつ
保險料徴收割合が上昇しなければならないというふうな
考え方が現われておるのであります。従いましてこの
制度は、先ず第一に百分の七十以上という
保險料徴收成績のいいものを抑えますと同時に、その後におきまして、そのままの
状態を持続するだけでなく、更に一歩を進めて、一〇%ずつ各
年度毎に
徴收率が上昇いたしませんと、八
年度、九
年度に引続いて
貸付を受けることができないというような
考え方を入れてあるのでございます。細かく書いてありまするのは、そのほかに
事業を途中で始めましたもの、或いは
昭和二十六
年度の
徴收成績が惡くて二十七
年度で借りられなかつたものでも、二十七
年度において相当な
成績を挙げたというような場合には……、先礼いたしました。二十七
年度に
貸付を受けまして、二十八
年度には
貸付を受ける
要件を充し得なくて、二十八
年度に
貸付を受けられなかつたというものが、二十九
年度で、一年休みましても、又
貸付の
一定の
條件を充たせば
貸付を受けられるというような場合、そういうような細かいことを定義的に書いてあるわけでございますが、精神は要するに
徴收成績が逐年向上するということをこの
考え方で狙
つておるわけでございます。
第四條は、
貸付金額の
限度及びその各
年度割を書いてあるのでございまして、先ほど申上げましたように、
昭和二十七
年度に
貸付を受けますものにつきまして例を挙げて申上げますると、
昭和二十六
年度末の未
收保險料総額、これは二十五
年度から引続いたものでもよろしいのでありまして、それはすべて二十六
年度末にあります未
收保險料の
半額を
限度としてこの
貸付が行われるのであります。而も
徴收成績がこの次の表にございまするように、細かくな
つておりまするが、
貸付の
最高限度を未
收保險料の
半額と抑えまして、更に
徴收成績によりまして、
初年度に全額借受けるものと、
徴收成績が漸次低くなるにつれまして二年乃至三年に分けて
貸付をするようにいたしておるわけでございます。例を挙げて申しますると、
最低の
昭和二十六
年度の
徴收成績が百分の七十から百分の八十未満でありましたものは、二十七
年度におきましては、百分の四十だけが借りられる。五割の百分の四十だけが、つまり二割だけが借りられるということになるわけであります。その
代りもう一〇%二十七
年度の
成績が向上いたしますと、二十八
年度におきましては三割、一五%、五割の百分の三十が借りられる。あとの残りは、もう一〇%
成績がよくなりますと、二十九
年度に借りられるというようなことにいたしておるわけでございます。この
徴收成績の組合せによりますると、
貸付の
限度が、この表だけを
適用しますと、未
收保險料の百分の五十を超える場合がございます。その場合未
收保險料の
貸付対象額の
限度の百分の五十だけにとどめるということが第二項に念のために書いてあるわけでございます。
第
五條は
分割交付の
規定でございます。これは第
七條に関連をいたすのでございまするが、
貸付を受けました
保險者は、それと
同額の
資金を
調達いたしまして、合せましたものを未
拂診療報酬の
支拂に充てることに実行上は相成
つております。そうなりますると、
保險者の
経済状態によりましては、一時に借入を受けても
資金の
調達に困る者があろうと思いまして、第
五條におきましては、資格に
該当して
一定の
貸付金の
貸付が受けられます場合でも、
資金の
調達の模様によりましては、
保險者の
申請によりまして、分割して、
年度を越えても
交付ができるようにしてあるわけでございます。そして、
従つてそういうふうに分割して
交付を受けました場合には、その都度分割して
交付を受けました額と
同額を、
原則として準備して、未
拂診療報酬の
支拂に充てるということに相成るわけでございます。
第六條は、
申請の手続の
規定でございまして、特に申上げることはございません。
第
七條は、
只今申上げた
通りでございまして、
貸付を受けました者は遅滯なく大体
原則として
同額の金を
調達して、
診療報酬の
支拂に充当するということにな
つておるのでありますが、その借受をしました
年度において、すでに前の未
拂診療報酬を拂
つておりますものがあれば、それはその
部分だけ差引いてよろしいということが、
当該貸付金の額から
当該年度の間にすでに
支拂つた未
拂診療報酬を控除した額という
趣旨で現
わしてあるわけでございます。
次に第八條でございます。これは
衆議院におきまして
修正をせられておりますので、或いはお
手許に
修正の案、文が届いておりますかと思いまするが、それに基きまして御
説明を申上げたいと思います。当初の
政府原案によりますると、この
貸付金は
償還期限を十カ年といたしまして、そのうち五カ年を
据置期間とすることになります。利率は年六分五厘でありまして、
据置期間中も
利子が
複利計算で附くことにな
つておつたのでございます。これに対しまして
衆議院におきまして
修正が行われまして、
据置期間は三カ年になりまして
償還期限十年は変らないのでございますが、
据置期間が三カ年になりまして、その
代り三カ年は無
利子とするということになりましたわけでございます。例を挙げて数字で御
参考に申上げますると、
原案の
規定によりますると、十万円借りました場合には、
利子を加えまして、十年後には
総額十六万九千円ほど、返済いたさなければならなかつたのでありますが、この
修正によりまして十三万円足らずの返済で済むことになりました。三年間無
利子ということになりました
関係上、
保險者としては十万円借りました場合に、十年経ちました場合の
償還金の
総額は、比較いたしますと四万円ほど助かるというようなことに
なつたわけでございます。
第九條は
支拂猶予に関する
規定でございまして、これはまあ将来の問題でございまするが、
災害その他の
事由によりまして、支沸が困難に
なつた場合には
支拂を猶予することができるようにな
つておるのでございます。
第十條は、所定の
條件に
該当をいたし、又は後におきまして
該当をするようになりましたような
保險者につきまして、いつでも
貸付金の全部又は一部の一時
償還を命ずることができることにしてあるのでございます。
個々の
項目につきましては特に申上げることはないと思います。
第十
一條は、
貸付を受けました
保險者に対しまして、報告を求めたり、検査をしたりすることができるということに関する
規定でございまして、特にこれも
一般の
監督規定にありまするものでございます。
第十二條は、
厚生大臣の権限に属する
事務で、政令で定めるものは
都道府県知事が行うことにな
つておりますが、大体私
どもの現在の
考え方といたしましては、
貸付金額の決定につきましては、
厚生省で
一定の方針に基いて不公平のないようにいたしたいと思いますが、具体的な金の
貸付或いは
償還に関する
事務は大体挙げてこれを
都道府県知事に委任をしたいと、
只今のところ
考えておるような次第でございます。
第十三條は、
昭和二十七年三月三十一日、即ち
昭和二十六
年度末におきまして、
国民健康保險事業をや
つております全
保險者、その後におきまして、前の
休止保險者の
事務を引受けて
事業を再開したり、或いは
休止保險者の
診療報酬支拂義務を承継して
事業を始めましたものにつきましても、この
貸付制度の恩典に浴することができるようにという
考え方で、
一定の
條件の下に
貸付金の
貸付をすることにいたしたわけでございます。ここにございまするように、
昭和二十七年四月一日から
昭和二十八年三月三十一日まで一年間のうちに、そういう
該当いたしましたものにつきましては、大体同様の
條件で
貸付ができることにいたしてあるのでございます。
第十四條は
適用除外の
條文でございますが、これはこの
法律につきましては、
国民健康保險法第二十六條第二項、第三十
七條ノ六第二項の
規定は
適用しないということにな
つて、これは借入金をいたします場合には
都道府県知事の認可を必要とするというような
規定がありますので、さような
規定の
適用をこの場合にはしないので、当然
法律によ
つて貸付を受けられる。その
国民健康保險法の
一般の
監督規定の
適用をしないということを現
わしたのでございます。
附則には特に申上げることはございません。ここで
附則の第一項の、二十七年四月一日から施行するというのは、当然この時期が過ぎておりますので、
衆議院におきまして、この
法律は公布の日から施行するというふうに
修正に相成
つておるわけでございます。二項、三項は、
厚生省設置法の
改正をいたしまして、この
法律に関しまする
仕事は
厚生省において行い、更に
厚生省保險局においてこの
仕事を担当するということを現
わした
改正でございます。極めて
簡單でございましたけれ
ども、以上を以ちましてこの
法律案の概略の
説明を終りたいと思います。