運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-27 第13回国会 参議院 建設委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十七日(火曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            楠瀬 常猪君            島津 忠彦君            深水 六郎君            徳川 宗敬君            前田  穰君            門田 定藏君            三輪 貞治君            三木 治朗君            松浦 定義君   衆議院議員            田中 角榮君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    建設省管理局長 澁江 操一君    建設省道路局長 菊池  明君   事務局側    常任委員会專門    員       菊池 璋三君    常任委員会專門    員       武井  篤君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君   説明員    建設省道路局庶    務課長     浅村  廉君    日本国有鉄道経    理局長     高井 軍一君   証人    東京財務局長 中井喜代太君    大阪建設業協会    会長      鴻池 藤一君    群馬総務部長 神田 坤六君    東京建設業協会    副会長     大島 義愛君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共工事の前拂金保証事業に関する  法律案内閣送付) ○道路整備特別措置法案内閣提出、  衆議院送付) ○道路法案衆議院提出) ○道路法施行法案衆議院提出) ○本委員会運営に関する件 ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案に関する件 ○国土総合開発法案等に関する件   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします。公共工事の前拂金保証事業に関する法律案を議題に供します。  本日は本案につきまして発注者側及び請負者側からそれぞれ御出頭を願いました。証人かたがたより証言を聴取することにいたしたいと思います。証人かたがたは御多用中御出頭願いまして誠に恐縮でございます。本日は忌憚なく率直に証言を願いたいと思います。  本件は国、地方公共団体又は公共企業体等発注する公共工事に関するものでありまして、発注者側請負者側のそれぞれの側からいろいろの御意見のあることと思います。先ず発注者側に願いますことは、本法律が適用になりました際に予算執行支障なく相伴なつて行けますものかどうか、特にこの点の忌憚のない御意見を承わりたいと存じます。又請負者側につきましては大業者中小業者のそれぞれの立場から、本件が企図しております目的に副い得るものでありますかどうか、御意見を承わりたいと存じます。それから委員かたがたにお諮りいたしますが、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人につきましては宣誓書を朗読させ、且つこれに署名捺印を求めることになつておりますが、すでに宣誓書署名捺印を願つておりますので、直ちに証言を聽取したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議なしと認めます。御異議がないようでございますから直ちに証言を求めます。順序といたしまして一番先に、東京財務局長中井喜代太氏、その次に大阪建設業協会会長鴻池藤一氏、第三番目に群馬総務部長神田坤六氏、第四番目に東京建設業協会会長大島義愛氏にお願いいたしたいと存じます。  それでは中井君に第一審に御証言を願います。
  4. 中井喜代太

    証人中井喜代太君) 東京都の財務局長であります。只今委員長から公共工事の前拂金保証事業に関する法律案に関しまして、発注者側といたしまして地方団体予算執行に関しまする事情に関して、どういう考えを持つておるかという、こういうお尋ねでございますが、この点につきまして、考えておりますところを御証言申上げます。  東京都の工事関係につきましては、年々相当厖大な額に上つておりまして、前年度におきましては約六十億の発注をいたしております。それから地方団体は特殊な仕組みなつておりますけれども、やはり都のほうで財源的な措置をいたしております。特別区の学校建築等を入れますというと、更にその上に十億程度支拂いになつておりますが、これだけの経費がいわゆる工事経費なつております。これらの工事の実際の執行を見まするというと、一番私どもが見ておりまして、業者側にとりまする困難は申上げるまでもなく金融の困難な問題でございまして、途中でいろいろ契約上の事故が生じまする原因の大半は、金融の困難な問題に起因している点が多いのでございまして、こういうような点に鑑みましてこの法案が提案の理由になつているのではないかと思うのでございますが、東京都に例を取りまするというと、二十六年度におきましては、契約を途中で解除いたしまして、つまり工事を投げ出したものが約二十二件になつております。これらの原因は、只今申上げましたようなことで、大体金融の問題が主になつております。こういうときでございますので、業者工事を円滑ならしむる意味の措置といたしましては、本法案趣旨につきましては私も非常に賛成をいたすのでございます。地方団体の、只今委員長の仰せられたような予算執行の問題、経費問題等の観点からこれを見ますというと、何といたしましても前金拂いをいたすのでございますので危險負担の問題が強く当面の問題になるわけであります。法案にありまする通り保証会社というものの設立によりまして、この危險負担地方団体にかけないようなことになつているのでございますけれども、問題は保証会社能力の問題でありまして、最終的にもこの危險負担地方団体に転嫁されないような、確実な仕組み考えられなければならないのではないか、かように考えております。法案にもありまする通り会社の破産でありまするとか或いは解散でありまするとかいうことが許されてありますると、さような場合には、これが結局は地方団体側負担になる、こういうような点から言いますれば、最終的に国がもう少し保証の中に入るというような方途がないものであるから、そういうことをして頂ければ結構であるというふうに考えます。それから次は金繰り資金の問題でありまして、財政といたしましては大体その年度においてそれだけの財源見込を立てまして、工事執行するメドにつきましても、時間的にはいわゆる金道はあります。資金状況におきまして、これを市中銀行から一時借入をしなければならない、そういう資金があるわけであります。これにつきましては、市中銀行相当融資によりまして借入をして、そうしてこれを更に所定の前金拂のほうに廻さなければならない状況を生ずるわけでございますが、これらの点につきましては、その工事の時期と、それからまあ金を支抑う時期と、銀行にありまする資金状況等によつて違うわけでありまして、こういう資金状況を円滑ならしめる意味合いにおきまして、国はできるだけ国庫補助金或いは起債の認可その他国で以て支弁いたすごとになつておりまする財政負担と申しますか、この点を速かに地方団体にできるだけ早くこれを交付することが必要なわけであります。この点につきましては、地方財政法にも謳つておるのでありますが、実際は非常に遅れておりまして、各地方団体金繰りにつきましては非常な困難を来たしておるような状態であります。これらの点は、この事業施行するに当りましては特に考慮を頂かればならんのではないかと考えるのであります。それからもう一つは全部その責任なりはその保証会社に属することになるかどうか、知りませんが、前金拂をいたしましたならば、金額使途地方団体発注いたしまする事業に直接使われるかどうかという、これに対する懸念相当あるわけであります。これが不健全な経営のために他の方面に使われている。この法案によりますれば、相当監査と申しますか監督と申しますか、権限が会社にあるようでありますけれども、そういう点が会社だけの監督なり監査によつてできるかどうか、これは相当金類に達しまする場合には、発注者側といたしましては相当大きな問題ではないか、かように考えるわけであります。  以上簡單でありまするけれども、今の保証会社保証能力の問題、それから金融金繰りに関しまして、国といたしまして地方団体に対します補助金なり起債なりその他の交付時期を速かにしてこれを円滑ならしむる方法を積極的に図つて頂きたいということと、それから不健全なと申しますか、前金拂使途に対しまする非常な金融難、これらの点が地方団体といたしまして心配いたしておりまする点であります。以上であります。
  5. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 委員のかたにお諮りいたしますが、一々質問をいたしますか、或いは全部証言が済みまして質問をいたしますか。どちらにいたしましよう。
  6. 小川久義

    小川久義君 証人四人のかたが済みましてから、総括的に質問いたしたいと思います。
  7. 田中一

    田中一君 この証言のうちもう少し聞きたい点がありますが、簡單に……。東京都なら東京都の現在の運営状態、そういう点で判断できないところもあるのですから、簡單に二、三点開くということはできるようにいたして頂きたいと思います。
  8. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでよろしゆうございますか如何でしよう……。
  9. 小川久義

    小川久義君 簡單な一、二の質疑お許し願つて、あとは終つてから総括的にやる、そういうふうにお計らい願いたい。
  10. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今小川君の発言通りでよろしゆうございますか……。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めまして一、二の御質問がございましたら御質問頂きまして、若しなければ次の証言に移ります。
  12. 田中一

    田中一君 私は今、中井証人に一、二点伺いたいのですが、現在東京都では工事契約をいたしまして、契約金の拂い方というものは、無論契約上いろいろきめると思いますが、その支拂状況ですね、これがどういう工合拂つているか、先ず伺いたいのです。契約面通り金拂つてつたかどうか、その状態を、実情を知りたい。  もう一点は、先ほど手持金のない場合があるとおつしやつていましたが、手持金のない場合というのは、仮に二十六年度中に一番大きいとき、市中銀行から融資を受けた場合、いつ頃、どのくらいの金額を借りたか、それがいわゆる職員のための支拂に当てたか、或いは工事金支拂に充当したものがどのくらいあつたか、それから契約になりまして、何と言いますか、その建物なら建物工事を引取るという場合におきまして、支拂はどのくらいの期間支拂つたか、契約通りちやんと支拂つているか、或いは金融上いろいろ支拂が一カ月、二カ月、三カ月、或いは検收をしないで金を拂つたか、東京都の実情だけをちよつと伺いたい。御意見のほかに……。
  13. 中井喜代太

    証人中井喜代太君) 今具体的な資料ちよつと持つておりませんのですけれども、最近におきましては、契約通り大体これに近い期間において支拂われておるのではなかろうかと思います。二、三年前、非常に資金難の時分には、半年、三月というようなものも中にはありまして、非常にその支拂を握らさせたために、業者かたがたに非常な御迷惑をかけたこともあるようですが、昨年あたりから大体においてそういう御迷惑はかけないで、契約通りつておるのではないかと思つておるのでありますが、ここに契約の額でありますとか、支拂金額資料を持ちませんので、大体そういうふうに考えております。
  14. 田中一

    田中一君 先ほど市中銀行から借入れなければならないということをおつしやつていましたが、市中銀行から昨年は、二十六年度はどのくらいの金額をどのくらいの期間借りたという事例がありますならば、御説明を願いたいと思います。
  15. 中井喜代太

    証人中井喜代太君) 今その期間ちよつとわかりませんけれども東京都で一時借入れする限度は、大体都議会で決定いたしております範囲におきまして、出納長が借りますが、併しその金は人件費に充当されるか、事業費に充当されるかという、金に印しを付けるわけには計算上今できかねると思いまするけれども、とにかく税の徴收の時期、或いは先ほど申しました国庫補助金又は起債の入つて来る時期と、それから債権者に金を拂わなければならない、或いは俸給を抑わなければならないという時期とがずれますと、どうしても市中銀行から借りなければならん。昨年度借りましたものは記憶いたしておりませんが、何だつたら今すぐ電話で……。
  16. 田中一

    田中一君 大体でいいのですが、実情を知りたい。後ほど御答弁願つて結構です。
  17. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでは別に御質問ございませんければ、次の証言に移ります。大阪建設業協会会長鴻池藤一君。
  18. 鴻池藤一

    証人鴻池藤一君) 鴻池藤一でございます。先ほどの御質問の件でありますが、この法案の成立によりまして前渡金が十分に出ますなれば、これは大業者並びに中小業者共に好ましいものであると考えます。
  19. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 何か御質問ございますか。簡單質問……。
  20. 田中一

    田中一君 ちよつと鴻池証人に伺いたいのですが、鴻池さんはこの法案全部をもうお読みになり、大体御研究なさつていらつしやるのでございましようね。
  21. 鴻池藤一

    証人鴻池藤一君) 十分研究するというところまでは行つておりませんが、一通りは読んだつもりでございます。
  22. 田中一

    田中一君 私は前回か前々回の委員会でここに出席しておりますところの澁江局長から、関西においてはもはやこの法律が可決されるものという前幅の下に、相当突き進んだ行き過ぎたくらいの計画を立て、或いはもう株式の募集はやつておるというくらいに私は推定しておるのです、それは澁江局長のお言葉を聞きますと……。そういう現状ならば、その母体なつております業者は、あなたが会長をなさつていらつしやる大阪建設業協会母体なつてやつておるのか、或いは有志がやつておるのか、どちらにしましても、どういうかたがた中心になりまして、どの程度まで進んでおるかという点について、あなたの御承知なつておる範囲の御説明を願いたいと思うのです。それから殊にあなたはそれに対して投資をするおつもりであるかどうか、この点も伺いたいと思います。    〔委員長退席理事小川久義委員長席に着く〕
  23. 鴻池藤一

    証人鴻池藤一君) 只今質問の件でありますが、現在まだ法案の通過しておりませんときにおきまして、大阪の業界といたしましても、具体的な準備はいたしておりません。併しこの保証会社につきまして、大阪建設業協会役員会で互いに意見の交換のあつたことは事実であります。
  24. 田中一

    田中一君 これは建設業協会会長としての鴻池さんに伺うのではございません。個人の鴻池さんに伺いたいと思うのですが、あなたはこの会社が実施される場合に株をお持ちになりますか、なりませんか。
  25. 鴻池藤一

    証人鴻池藤一君) 若しこの法案が通過いたしました場合は、大勢順応によつて方法を決したいと考えております。
  26. 小川久義

    理事小川久義君) 質問がおありでなければ、お諮りしたいと思います。赤木委員から御要求のあつた大蔵大臣が、リードと会見のため出席ができかねるということでありますが、事務次官か主計局長を呼ぶことにしたいと思いますが、御異議ありませんか。
  27. 田中一

    田中一君 予算の金の各省に対する、直接の国家の金融操作をやつておる当面の責任者は誰ですか。
  28. 小川久義

    理事小川久義君) 主計局長だと思います。それでは御異議がなければ、主計局長を早速呼ぶように手配いたしたいと思います。  次は群馬県の総務部長神田君にお願いいたします。
  29. 神田坤六

    証人神田坤六君) 群馬県の総務部長神田でございます。  問題の、法案を実施するとすれば、予算執行との間に支障なく円滑に行く見込があるかどうかという点が主眼のようであります。大体の結論は東京都からお述べになつた点とほぼ同様でありますが、簡單に要点だけを申上げます。法案の御趣旨に必ずしも反対いたしませんが、財源措置なり資金措置が十分これに伴うのでなければ予算執行に昭らして、円滑にこれを実施することは困難であります。そこでこのような法案が通過し、実施されるとすれば、是非これと並行して事業に対する財源措置、その財源に相応するところの資金措置というものが、急速に円滑に処理できるようなふうに御心配を頂きたいのであります。地方団体公共工事をいろいろやりますが、その大部分は災害復旧などを中心にした問題で、その財源は大体において国庫補助金及び起債であります。    〔理事小川久義退席委員長着席〕  これを十分に急速に確保するということは、従来の実情によればかなり困難であります。こういう問題について相当円滑に処理できる見込が併せて立たなければならないと考えます。  第二にそれに相応した現金というものは、先ほど東京都からお述べになりましたように、例えば起債の本格的な借入れは毎年度年度末になります。それまでは繋ぎ資金が必要であります。そういうような工合で、地方団体手許資金というものは、決して潤沢、円滑ではありません。実際の仕事に当りますと、例えば災害復旧などは、大きな問題になりますが、災害復旧などは、事柄の性質上、財源措置又はこれに即応する資金の用意ができるできないということにかかわらず、或る程度の応急の仕事を始めざるを得ない場合が多いのであります。そういう場合に、この前金拂制度と併せて考えて見ますというと、この前金拂というものは、どの程度行われることになるか、私も多少まだはつきりしない点もありますけれども発注者としては——災害工事発注するほうの側としては、仕事性質上、財源なり資金について、相当困難に遭遇する場合があり得ると思います。これらの点は例えば政府なり地方公共団体が相寄つて災害金庫制度のごときものを考えるというような、何か特別な方策を併せお考え願いたいものだと考えます。そのような特別な災害というようなことでなくて、群馬県などの実例を申上げますと、大体河川関係した仕事が多いのですが、河川仕事は御承知のように、冬の水の涸れた時に主として行わなければならないのであります。ところが会計年度は三月と四月に切れるので、実際の仕事を行う時期と、河川年度というような言葉もありますが、その河川の水の状況に応じて仕事の行われる時期と、これに対する財源措置というものは、マツチしないのであります。そういうような関係仕事を進めながら、それに即応した財源現金を円滑に合せて行くということは、相当の困難があつて、これについても特別のお考えを願いたいと考えております。そのほかになお特別に懸念に堪えないと思います点は、先ほど東京都からお話ありましたように、この保証会社がスタートいたしまして、どれだけの責任が持てるかという問題であります。この点については二段構えか三段構え準備金を置いたり、基金を用意したりするような仕組みなつておるようにも拝見しましたけれども、最終的に何か再保証のような制度として、又は国の保証のようなことをお考え願うわけに行かないものであるかということを考えます。なおその次にこの保証会社が前渡しされた金を、それを当該事業というものがどこかにありますが、その事業に、当該工事に、使用しておるかどうかという点については、いろいろな面から監督規定もあるようでありますが、従来の実情によると、業者手許資金の困難な余り、次々とその次の事業落札請負をやりますというと、次の予定事業資金を前の仕事に注ぎ込んで繰り廻すというようなことが、常識上実際行われておるようであります。こういうような実情に照らして前渡しされた金がその該当工事に果して使われて行くか、行かないかということは、相当懸念に堪えないものがあります。こういう点を考えると、監督措置監督規定というものを十分お考えを願いたいのでありますが、特に役職員の人選、運営の実際ということについて、相当行届いた制度的な、或いは運営上の考慮がなければならないとこうことを痛感いたします。以上であります。
  30. 田中一

    田中一君 これも今お手許資料がなければ止むを得ませんけれども、私は群馬県が年々歳々の台風禍、或いは水害とか災害によつて相当全国でも有名な貧乏県だと思うんです。又借金県と考えておりますが、現在起債をどのくらいしておりますか、それから市中銀行の借受金がどのくらいありますか、それから平衡交付金は大体どれくらいもらつておるか、それから補助金はどれくらいもらつておるか、いわゆるあなたがおつしやつているあなたの県を守るための、災害の結局土木建設工事関係に鑑みまして、その起債銀行借金、それから平衡交付金交付高補助金交付高、これだけちよつと伺いたいと思うんですが、若しおわかりでなければおわかりになつてからでも結構です。
  31. 神田坤六

    証人神田坤六君) 群馬県の現在起債の現在高は、二十六年度の末におきまして、大体二十六億であります。現在市中銀行から特に借入れている金額はありません。二十五年度の終りに七億円ばかりの工事のやり過ぎをいたしまして、甚だ醜態なんですが、年度末に財源がなくて大変閉口いたしまして、七億円ばかりあつちこつちから無理をしてお借りした事実があります。最近は本格的に預金部資金長起債として借入れる、あの枠のほかには特に地元からお借りする金はありません。それから平衡交付金は二十億ちよつと足らずであります。十九億八千万円くらい、ちよつと今端数はわかりません。それから補助金の点は多分災害工事に対する補助金という御質問だろうと思うのですが、これも詳細な手許資料がなくて、恐縮ですが、災害土木関係で二十六年度十二、三億であつたのですが、ちよつとはつきり数字はわかりませんが、今年度はもう少し少くなるだろうと思つております。
  32. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 次にそれでは東京建設業協会会長大島義愛君にお願いいたします。
  33. 大島義愛

    証人大島義愛君) 大島義愛であります。先ほど御質問点等に関しましてお答え申上げます。  私ども業者はここ数年来深刻な金融難でありまして、従つて工事施行の途中においていろいろ事故等が発生をするという状況にまで追い詰められております。そこでこの法案に関しましては、大業看たると中小業者たるとを問わず前拂金の保証制度実施裏付となるこの法案の一日も早く国会を通過して成立されんことを熱望しておる次第であります。以上であります。
  34. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) これで全部証人証言は終りましたが、御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。政府側説明者として来ておられますのは国鉄経理局長高井軍一君、それから政府委員として澁江建設省管理局長主計局長は本省を出掛けましたのですぐお見えになります。
  35. 小川久義

    小川久義君 只今証人のうちで発注者側の御心配の点なんでありますが、これに対して局長の御意見をこの際お聞きしたいと思います。
  36. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 只今証人のかたからいろいろ御発言がございましたが、特にこの発注機関であられる東京都乃至は群馬県の経理責任を持つておられるそれぞれ証人のかたから御発言があつたわけでございますが、その一つの問題は、財源措置をこの法案に関連して如何にするかという点にあるように伺つたわけでございます。私どももこの法案提出の際に非常に心配しておりましたことの一つは、確かにこれは発注機関、殊に財政的に恵まれない地方公共団体公共工事に関する支拂が、この前金拂制が一面にとられるのに対応するような支拂方法ができるかどうかという点が非常に心配されておつたのでございます。これは勿論この法案だけで解決さるべきものではございませんので、その点は証人の御発言にもその趣意が出ておつたと思いますが、法案自体がこれによつて云々という問題ではなくて、むしろこれに並行してとらるべき措置として、補助予算の支出の促進乃至は公共工事に関連する起債の手当の促進といつたようなことが並行してとられることが望ましいと、こういうふうに私どもまあ伺つたわけでありますが、それにつきましては、勿論この法案だけで解決すべきものではございませんので、それはそれといたしまして、これと並行いたしまして努力すべきものであるというふうに私ども考えております。ただこの法案がそういうことに対するマイナスになるかというとこれは決してそうではないので、この法案はそういうことによりまして、一面そういう非常に隘路となる條件をとつずつ解決して行く一つの手段であります。それに対する又財源措置の手段というものをこの法律の実施によつてむしろ刺激し促進して行かなければならないという考え方に立つて我々努力すべきものであるというふうに実は考えておるのであります。一応私の考えはそういうことであります。
  37. 小川久義

    小川久義君 国鉄の経理局長に御意見を伺いたいのですが、今の三人の証言にこだわりなく、国鉄自体の立場からどういうふうにお考えか、その点を承わりたいと思います。
  38. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 経理局長高井でございます。御承知のように私どもの鉄道の工事は特殊な工事でありますので、建築の工事の部を除きましては随意契約によつて在来行なつて来たのであります。併し二十四年の十二月にスキヤツピンによりまして、それに基きまして国鉄法の四十九條がきめられ、工事の請負は一般競争入札ということに相成つたのであります。この一般競争入札になりましての前提というものは、これは米英におけるごとくにやはり工事の請負の資格が制限されておりますことと、或いは工事保証制度というものが前提でなければいけないのであります。併し我が国におきましてはまだそこまで行つておらないのに、国鉄が先行いたしましたので、その点いろいろな困難に直面いたしました。現在この一般競争入札を実施いたしておりまして困つております問題は三十万円以上の工事に対しましては建設業法で登録業者だけが請負に参加できることになつているのでありますが、何分にも数が非常に多うございまして、又なかなか工事量に対して人間が多過ぎますことと、実力が伴わないというような問題がありまして非常に困つているのであります。そうして又この前渡金の問題につきまして、これは一部いたしているのでありますが、相手の履行の能力とか、その他の関係がありますので、公告の場合に前渡金の支拂うということをいたしませず、以降の申出によりまして、銀行保証なり或いは同業者保証というものでいたしているのであります。現在問題になつております前渡金の関係が百万以上の工事でありまして、件数で千四百五十件ほどであります。そしてこの前渡金の対象になります額が約二十二億あるのでありますが、うち実際前渡金を支拂いましたのは九億ほどであります。これは他のこの資金関係、その他関係を睨みながらやつているのでありますが、そういうような関係でありまして、全面的に前渡金を実施するというのじやなしに、自己の資金関係とか、或いは業者状態とかその他を見まして前渡金を支拂つているような状態であります。他の問題といたしまして、今回のような法案ができますと、確かにこの業者銀行保証なり或いは同業者の履行保証というような問題がなくなります。実際問題といたしまして、前渡金に対する銀行保証を受け得る業者は非常に少いのであります。いろいろ銀行が非常にむずかしうございますので、それで同業者の履行保証になる。そういたしますと結局この折角のオープン・ビツドがいろいろ同業者に頼まなければいかんというので、この折角の制度がそこに封建的な一つの親分子分と申しますか、繋がりができることになります。だから今度のような法案ができますと、その点は大いに私ども前進いたしましたものとして喜んでおります。併し鉄道の工事はそうした金額保証せられるというのじやなしに、工事自身の完成が大きい問題なのであります。その点現在の私どもから見ますと、この法案は前渡金に対しまする法案であるけれども工事の履行を保証完成するまでに至つていない、その点につきましてもう一歩前進したものこそ私どもといたしましては望ましいというふうに考えております。
  39. 小川久義

    小川久義君 先ほどからの証人証言にもあり、我々の心配していることと大体同じことなんですが、如何にこの法律を作りましても前渡金の支拂に対して、地方公共団体財政では拂う能力がないし、国家がそれに如何なる方策をとり、適正な融資を安全にやるかやらんかということが重点だと思うので、その点について主計局長の御意見を伺いたいと思います。
  40. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 国の補助金なり、そういつたものの交付が遅いということになりますと、地方団体工事につきまして財源がなくて実質上前金拂もできない、こういうことは御指摘の通りであります。私どもの立場としては、勿論この問題だけでなしに、補助金の早期交付ということを数年来いろいろ心がけてやつて来ております。ただ現実問題としまして、公共事業費につきましては、認証とかいうことがありまして御指摘の通りなかなか行かなかつたのでありますが、本年度はもうすでに直轄工事に関する限り四月一日に全部予算がつきました。補助金につきましてもこれもなかなか内容が決定しないようなところがありまして、関係各省から出て来ない点もあるのでありますが、これはこのことに限らず、国の補助金交付の遅延によつて地方団体財政に迷惑をかけるということは絶対に避くべきであるのでありますので、この点についてはできるだけ工事を継続して参りたいと思つております。又起債なんかにつきましても、これと裏腹となるものでありまして、この早期に今から資金の貸付等を行いたいと思つております。ただ我々としては、事業がまだできないのにと申しまか、なかなかその金を使う、現実問題として使いもしないことに一年分を一時にあれして、その金を寝かしているというようなことがあつては、これは交付の目的に副わないのでありますから、そこの限度はあると思いますが、考え方としては御指摘のような考え方でやりたいと思つております。
  41. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 何か主計局長非常に急ぐそうですから、主計局長に対する質問がありましたら……。
  42. 石川榮一

    ○石川榮一君 主計局長がいらつしやいましたから一応局長にお伺いしておきたいのは、実は五十里のダムの予算のことでありますが、今年度五十里のダムには多くの予算をつけております。ところがあれは基礎工事並びに新規等によつて多額の費用を要するものでありまして、一応その整備ができまするならば、あとはコンクリートを打つだけでありますが、これまでに基礎工事もできますし、機械の整備もでき、いろいろこの七、八月頃からコンクリートを打つ段階になつております。明年の三月、昭和二十七年度一ぱいにこなし得る能力相当なものであります。ところが現在も予算措置におきましては、大体におきまして、そのコンクリートを打ちます費用としまして、大体二カ月乃至三カ月程度で消化してしまう。あとは約半年程度というものは遊んでいるという形になるのであります。ダムの建設のようなものはあれでは支拂つた意味がないのでありまして、道路とは違いまして、どうしても完成を見なければ何らの効果がない、而も年度をきめておりますが、今のような情勢で行きますと、相当の年数がかかると思うのであります。ただ恐れますのは、急いで完成しなければならん運命にあるのに、予算措置のために、たとえ半年でも八カ月でも遊んでしまう、遊休してしまう、而も労務者や理事者も分散してしまわなければならないという運命に追い込まれているのであります。こういうようなものは、補正予算等によつて予算裏付をして頂きまして、フルに年度末まで工事が進み得るような措置を講じて頂きたいと思うのです。来るべきときに補正予算を組む意思が大蔵省にあるかどうかを、これはこの問題だけではありません、ほかにも随分緊急を要する問題があるのです。まだはつきりしないと思いますが、止むを得ないものは補正予算をお組みになるかどうかを伺つておきたい。
  43. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 五十里のダムが前々からいろいろ問題がありまして、工事の設計その他に御苦心がありまして、漸くこれがまとまりまして、今年度から継続費で五カ年計画でありましたかやつて行くことは御承知通りであります。如何せん、経済速度と予算がマツチしないという御指摘なんでありますが、これもまあ国の財政のいろいろな関係で、なかなかそこまで参らん次第であります。まあ今年度において補正予算を組むかという仰せでありますが、補正予算の問題につきましては目下のところこれはまだ年度開始二カ月でありまして、これをどうしても組まなければならんといつた事務的な必要性という段階にまで至つておりません。今後如何なる事態の進展を見まするか、この点について私の今どうするというふうな確約は申上げることはできないと思います。
  44. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  45. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。  それから主計局長急ぐそうですから、主計局長に対する質問からやつて頂きたいと思います。
  46. 田中一

    田中一君 この法律が出ますと、相当早く、或いは大蔵省のほうの金の都合を待たずして、早く欲しいというようなことがあると思うのです。無論この法律には、この会社ができましても、契約した相手方の工事請負人が、この前拂金をくれという請求権を持つておりません。従いまして金を持つておりますところが非常な親心を持ちまして、愛情を持ちまして業者に不便をかけないというような気持にならなければ、到底この法律ができましても、所期の目的は達せられないと思うのです。只今東京都も或いは群馬県も、同じように、資金措置を並行して考えてくれなければこの法律ができても何もならないということを言つておるのです。殊に群馬県を例に取りますと、災害が非常に多くて、災害があつた場合には無論一応繋ぎ資金を出しておりますけれども、それだけでは一応の問題でありまして、請負人に計画性のある仕事を頼むときには相当資金裏付と、それからもう一つ災害復旧工事というものは、おおむね冬に仕事をしなければならんということが多いと群馬県で言つておるのです。できるならば年度末にいつも平衡交付金なり或いはその他の資金が流れて行くということをやめて、暦年度制にして欲しいと、こういうような希望も群馬県は述べておるのです。従いましてこの法律に対する生かすも殺すも無論これは主計局長の肚一つにかかるのじやないかと、かように考えるわけなんです。この法律があつていいか悪いかの問題と、若しこれが出た場合には、主計局長はどう考えるか、大蔵省としてはどう考えるかという点について御意見を伺いたいと思います。
  47. 河野一之

    政府委員(河野一之君) この法律通りますれば、国が前金抑ができるような政令を出さなければいかんわけでございます。それは現在の会計法の建前では、政令でできることになつておりますので、それの準備をいたしております。尤も現在予算決算会計令の臨時特例で、重要資源の開発に関する工事につきましては、前金拂ができるようになつておりますが、これだけでは狭いということになつておりますので、政令の改正をいたしたいと思います。それから御指摘の点でありますが、国の立場から申しますと、年度の上半期は揚超でありまして、下半期からずつと金が出て参るという現在の国庫の運営なつている。これをできるだけ調整いたしまして、平準化するのが望ましいことでありまして、むしろ我々の立場から申しますと、年度の初めに金が出るほうがいいのでございます。ただ現実問題としてなかなか出ておりませんのは、御指摘の通りでありまして、これはいろいろな事情があろうと思います。殊にまあ最近まで認証というようなことで、四半期ごとに区切つたというようなこともございますし、それから予算が成立してから仕事考えるというと語弊がありますが、設計したり何かされるという点もあるのだろうと思います。これらの点は一朝一夕に行かん点もあるかも知れませんが、できるだけ各官庁の側はもとより、各公共団体の側におきましても、大体予算提出される頃にはどの程度のものが自分のところへ来るのであろうかということは或る程度は、確定はいたしませんけれども、わかるのでありますから、年度早々から仕事ができるように、そういつた配慮をして頂けるならば、国庫の立場としてはそのことについて、勿論異議を差挟むべき次第は何もないのでありまして、できるだけ金の早く出ることを我々としては希望しております。従いましてそういうふうなことになれば、すぐにでも前金拂ができるわけでありますが、ただ先ほどもちよつと申上げましたように、災害工事が十月頃からかかるということでありますが、その頃に仕事が始まるものを、四月の初めに金を抑うという手もなかろう、その間遮ばしておくという手もないのでありますから、それはそのときの事情に応じてつまり仕事とマツチして金が行くように、そういう配慮だけはどうしてもやらなければならん、又そのつもりでおるのであります、
  48. 田中一

    田中一君 先ほど東京都でも、群馬県でも言つておりましたが、結局この仕事はしなければならない、従つて業者契約する、この法律が通ると前拂ができるのだから仕事支障なく、その工事東京都の場合には二十二件あつたそうでありますが、いわゆるけつを割つた工事、投げ出した工事、こういうものをなくするには、どうしても前拂をしたほうがいいと思いますけれども、その場合手許現金がない場合には、やはり市中銀行から借りたり何かする、そうしますと大体この法律では、一銭の保証料と一銭の保証金金利で貸すのでありますが、地方公共団体が幾らで借りますか存じませんが、説明聞けばわかりますが、やはり借りて貸すという形になることが多いんじやないかと思います。その際結局この法律ができるために、その金利だけはとにかく負担が多くなるということを考えられますけれども、その点はどうお考えになりますか。そういう場合にこの法律ができて、前拂金をしなければならないのでしようけれども、前拂金をしてやろうというときに、金がない、市中銀行から借りる、そうすると市中銀行には一般の金利を拂わなければならない、そうするとどのくらい借りますか、群馬県では何か間違つて七億も借りたことがあつた、金利がかかる、これに対してはどう考えていますか。この法律ができるために、都道府県の地方財政が多少ともマイナスになるんじやないかと考えますが、この点どうでしようか。
  49. 河野一之

    政府委員(河野一之君) いやしくもこういうような仕事をやつて業者金融を或る程度金融の面から仕事ができなくなつたり、潰れたりするものを或る程度つても行きたい、又それによつて事業の能率をよくしていい工事をしたいという意味合いから申しますならば、国は勿論、地方団体も金を早期に調達するわけでありますから、或る程度、その面で正確には出んと思いますけれども、金利負担があつても、これは制度性質上止むを得ないのじやないかというふうに考えるわけであります。ただ市中金融機関からどういうふうになりますか、現在でも公共団体は相当特に預金部から一時融通と言いますか、前貸しみたいなことをやつておるわけであります。その事業をいたすにつきまして、起債が早急に確定しない場合においては、一時借入預金部からいたしております。そういう形式はずつと今までやつておるのでありまして、これは單にこのことのためにどれだけ余計に殖えるのかという問題はあろうと思いますが、全般的に見まして、そう大きな負担になるとは私は思つておりません。
  50. 田中一

    田中一君 それではこの法律が通つたほうがいいと思いますか、まあ暫らく通らんでおいたほうがいい、財政面から金を握つていらつしやるかたとして、どうお考えになりますか。
  51. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 非常にむずかしい御質問でございますが、会計の面から言えば、従来の会計の変遷から言いますと、国の会計というものは事後主義でございます。つまり契約をしまして、そうして履行して、一部出来高拂で概算を拂うことがありますが、大体において後柳主義であります。昔のように相当一般の人が資力がありまして、又資金の蓄積もあり、銀行その他からも十分な金融が来ておつた、それは又それで十分であつたわけであります。その金利その他のコストが代金の中に入つて来ておつたのでありますが、今何しろ自己資本も少いし、一般金融機関から借りると、金利も高いという段階におきましては、大きな工事をやることになりますと、なかなか困難であろうと思います。そういう意味におきまして、最近の会計制度の動きは、前金拂或いは概算抑の範囲相当拡張して参つております。その一環になるのだと思います。殊にこの仕事については保証ということがつきますれば、前金柳の場合の危險はそこで確保される、危險負担がなくわるわけでありますから、そういつた点としては、そういう制度の運用としては非常に結構であろうと思います。まあ最近までの会計制度の動きはそうでありますが、今後まあ絶対にその方向がいいのかということにつきましては、もう少し事態の、経済事情の推移を見てでありませんと、何とも申上げかねると思います。
  52. 田中一

    田中一君 若しも国と契約する業種が、今ここでは建設業というものが出て来ましたけれども、いろいろな業種からこのような法案が出て、前拂金ができるという法律が、特定の業種に続々と出て来た場合には、あなたが主計局長として金を預かつて、金の操作をやつてつて、あなた自身、国の財政の面から言つて好ましいことですか、好ましくないことですか。恐らくこれは一つつて円滑に行けば、無論各省とも自分の仕事はかわいいのですから、いい仕事を早くいたしたい、例えば機械一つ買うにしても、金をやつておいてやれば、金の融通がつくから、いい仕事をやるのじやなかろうか、経理も聞違いなしにできるのじやなかろうかということになつて、各業にこのような法律が生れた場合は、あなたのほうはちつとも差支えないのですか、それともそれに対してはどうお考えになりますか。
  53. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私どもの立場といたしまして、すべてのものがそういうふうになるということは、必ずしも好ましい事態ではないと思います。現在でも前金拂、概算拂については非常な制限をしております。つまり国民の税金で拂われる金でありますから、それが無駄になつたりしては困るわけでありますから、現在でも各省大臣と大蔵大臣と協議をいたしまして、個々のものについて、これは前金拂をしてもいいかどうかということについて、嚴格に審査をやつておるのであります。この具体的な問題といたしましては、一応危險が非常に起らないように、まあ危險負担がそこにあるわけでありますから、それと今までのものとは非常に違うと思いますが、併しこういう制度というものは、皆が同じようになつては、もともと制度がないのと同じことになるのでありますから、御指摘のようにすべてのものがそうなつては、何らそこに大蔵大臣として契約性質を見て、個々的に審査する余地がなくなるということでありますから、必ずしも歓迎はいたしませんが、要するに事業性質、そこから危險があるかどうかの判定の問題であろうと私は思います。
  54. 田中一

    田中一君 現在の大蔵省というか、国が各契約する契約そのものが、妥当でないという点については、どうお考えなつておりますか。妥当でないからこの特殊な、特殊と言いますか、公共工事に対するこうしたものが生れて来るのだろうと思います。現在の国の全体の経済から見て、前金拂というものが当り前なんだ、こうしなければならないのだとお考えなつておるか。この業種だけがそうしていいものとお考えなつておるのか。今まで建設省も、この法律を作るまでには相当御検討になつたと思いますけれども、そうすると、この業種だけがこのようにならなければならんとお考えになりましたかどうか、伺いたいと思います。
  55. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 現在でも会計法の建前では、前金拂というものは、公共団体への補助金であるとか、或いは官公署の間の支拂であるとか、つまり公共団体に拂うとか、そういつたようなものしか、原則的には前金拂はないのであります。それを特例で、現在例えば進駐軍工事……今度はもうございませんが、特殊のものについて履行を確保すると申しますか、そういう事業の、急いでやるとか、或いは特殊の工事であるとかいうようなものについてだけ、そういう特例が認められておるわけです。これがまあ特例の中に新らしく入つて来るわけでありまして、現在いろいろな経済事情、或いは建設業の特殊性と言いますか、私どもとしては止むを得ないのではないかと思います。ほかのほうの事業につきましては、こういつた前金拂保証というような性質のものはないのでありますが、この建設業についてはそういつた会社をお作りになつて、保証をされるということでありますれば、国としては危險がそこに少くなるわけでありますから、必ずしも弊害はないのではないかと思います。併し建前としては、原則的には拡げて行くべきものではないと考えております。
  56. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ほかに御質疑ございますか。主計局長よろしうございますか。
  57. 田中一

    田中一君 国鉄の経理局長がお見えになつておれば、先ほどどなたか伺つたかもわかりませんが、現在国鉄で実際行なつておりますところの契約面について、契約の形式と言いますか、実施状態についてちよつと御説明願えますか。どなたか今まで伺つたかも知れませんけれども、甚だ恐縮ですが、もう一遍……。
  58. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 先ほど概略につきまして御説明いたしましたのですが、この二十四年の暮のスキヤツピンに基きまして、国鉄ば工事関係をオープン・ビツドでやることになつております。その前提となりますものは、英米のように、結局こうした相手の対象の業者が資格制限をされておる、或いは工事の履行が保証されるという前提の下にオープン・ビツドは成り立つはずであります。それに先立ちまして、国鉄がこれを実施いたしました。それでこの非常に業者がたくさん参りまして、その間いろいろ場合によりますと、不当な競争をいたしまして工事の履行が不安な問題ができる、或いは場合によりますと、この業者の名を借りまして、名をと申しますか、実際はその能力のない者が入札に入るとか。或いは談合というものが必ずしもなくはないのじやないかというような状態なつて参りました。それでこの資格制限ということを何とか考えなければいかんというふうに考えております。  それからもう一つの前渡金の問題であります。これはいろいろ先刻から問題になつたのでありますが、国鉄といたしましても、資金関係とか、その他の関係がありますので、これは又業者がいろいろ参りまして、必ずしも入札の公告をいたしますときに、前渡金をするというようなことを表示いたしませず、実際の工事を請負いましたときに、業者状態なり、或いは国鉄の資金繰り関係その他を見まして、個々に認定いたしておるのであります。実績は昨年度といたしまして、百万円以上の工事が千四百五十件ほどあります。而も前渡金として四割を渡しておりますが、対象になる前渡金の額が約二十二億であります。そのうち実際前渡金を持たしましたのは九億程度であります。即ちその程度しか資金関係とか、いろいろ業者の申出とか、或いはその場合には、この銀行保証とか、同業者保証というような制度をとつておりますので、業者関係で辞退をするというような、辞退と申しますか、申出がないとかいうような関係におきまして、実績はそういうことになつておりまして、それで私どもといたしましては、現在この同業者の履行保証というものをさせておりますが、これは前金の金銭的な損害だけでなしに、鉄道の仕事といたしまして、やはり工事の完成自身が非常に必要でありますので、そうした完成保証と申しますか、同業者によります完成をお互いに保証さしておるというような状態であります。併し実際の問題といたしまして、現在におきましては、業者といたしましては、同業者保証を得るということは、拒否をでき得ないいろいろな仁義と申しますか、関係もありますようであります。そこで現在の私ども制度が必ずしもいいかどうかということにつきましては、相当研究の余地があるのじやないかというふうに考えております。
  59. 田中一

    田中一君 今あなたのほうで、二十六年度でやつておりますうち、投げ出した工事がどのくらいありますか。件数はわかりませんか。
  60. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 今昨年度のはちよつと記憶いたしておりませんが、今までの目ぼしいものといたしましては十数件投げ出しをいたしました。それは同業者がやはり履行いたしておりますので、同業者負担におきまして実行さしております。だから全然投げ出しというのじやなく、代行をいたさせております。
  61. 田中一

    田中一君 この保証人は一人でございますか、二人でございますか。一社ですか、二社ですか。
  62. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 二社であります。
  63. 田中一

    田中一君 この法律が通過しましても、工事の履行の保証にはならないというような御見解ですか。
  64. 高井軍一

    説明員高井軍一君) これは前渡金の保証でありまして、あとの残りました完成自身につきましては保証にならないというふうに私どもは思つております。
  65. 田中一

    田中一君 主計局長はこの法案を一応頭にお入れになつて、それからそれではあなたのおつしやるような工事の履行までを保証して欲しいような気持でこの法律を、どこをどうすればいいとお考えになりますか、実際やつておりますあなたのお考えとして……。
  66. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 実際はどこをどうしてどいうところまで検討をいたしておりませんが、今言いましたように、要望といたしましては工事の完成自身が、金銭的な保証ではなしに、工事の実行自身を保証されたいというふうに私ども考えております。
  67. 田中一

    田中一君 国鉄としましては、若しこの法案が通過しまして施行された場合に、これは無論会社ができて、会社保証しても、あなたのほうでは、無論業者にも請求権はありませんし、あなたのほうでもいやならしないほうがいいのです、すべて現行法でやつているのですが、若しこの法律が通過しました場合には、あなたはこれをおやりになるつもりでいますか、つもりでいませんか。
  68. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 現在この法律に基きますものと、それから銀行保証なりというような現在の規定との併用の問題になりますが、先ほど申上げましたように、これをやるということ、現在やるということにいたしますと、公告のときにこれをやりませんと、業者が更に負担をこうむることになる。と申しますのは、現在私ども銀行保証なりさしておりますのは、申上げましたように、公告のときに前渡金がもらえるとすればそういう価格で安くこれはやるはずでございます。併し公告のときに前渡金の支拂條項というものを出しておりませんので、結局あとから申出によりまして契約の更改をしておる。即ち銀行保証を持つて来る者につきましては日歩二銭、同業者保証につきましては日歩二銭五厘というものを前渡金に対しまして取ることにしまして、それだけ契約額を当初のものより減額しておるというような状態になりますので、これと併用するということになりますと、公告の当初からやり方を変えまして公告をするという工合にいたしませんと、併用の問題としてむずかしい点があると思うのです。この点は折角できます法案でありますし、事務的にそういう銀行保証との問題その他をどうして考えて行くかという点につきまして、検討いたしたいというふうに考えております。
  69. 田中一

    田中一君 この法律と履行保証保險とを一緒にやつたならばあなたのほうの目的は達せられるのではないですか。
  70. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 先ほども申上げましたように、これを保險会社自身が工事を代行いたしてくれますれば、これはいいのでありますが、金銭的だけでありますと、私どもの狙いといたします工事の完成とは相反することになる。だから金の保証にはなりますが、私どもは金を取るということよりも、工事の確保自身が問題でありますので、その点ちよつと保險業法における保險とは性質と申しますか、考え方が私ども望みますところはちよつと違うというふうに考えております。
  71. 田中一

    田中一君 昨年九億の前拂金を拂つた、この前拠金を拂つた工事は大体あなたの最初の契約通りにスムースに完成しておりますか。
  72. 高井軍一

    説明員高井軍一君) おおむね予定通りにできております。
  73. 田中一

    田中一君 この法律ができまして三割の前渡金を拂つた場合に、あなたが今お話になつたような、大体故意に前拂金をもらつて投げ出して、という悪意の場合も無論あるでしようけれども、併し公入札と言いながら、相当條件としては誰も安いものにやるとか何とかいう形式はとつておらないと思うのです。無論内容なり何なりお調べになつてやつて、まあ落札者は少くともあなたのほうで納得するような人が選ばれているのじやな、かと思うのです。今も言う通り、余り間違いはなく前拂金を拂つた工事に対しては間違いなく行つたというならば、そうすると、この三割限度の前拂金をやつた場合、先ずけつを割るということは余りないのじやないかというようなお考え方は出ませんか。
  74. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 先ほど申上げましたように、現在地方によりましては、小工事は非常にたくさんの業者が参つております。そういうものにおきましては、いわゆる今お話の工事が完成しない、けつを割るというような問題が出ておるのであります。そこで私どもといたしましては、現在政令を作りまして、そうして随意契約なり、特殊なものにつきましては、指名競争入札というような制度を作つて行こうというふうに考えております。そういたしますと、今の前渡金をやりましても、そういうようなところの、いわゆる工事能力ない者は排除されますので、そういう点は救えるのじやないかというふうに考えております。
  75. 田中一

    田中一君 最後に伺いたいのは、この法律ができますと、無論御考慮なつて研究しておられるでしようが、歓迎している気持ですか、それともどうも自分のほうは自分のほうのやり口があるので、こういうもので、いわゆる請求権じやないでしようけれども、自分のほうもそれに準じてやらなければならんという消極的な考え方ですか。それとも積極的に研究して、自分のほうの工事の完成のために、ただ技術面とか何とかおつしやるけれども、結局前拂金なら前拂金が来れば、仕事がスムースに行くということは、あなた自身が九億の前拂金をやつて、その点は立証されておるのですから、歓迎してこの法律を迎えますか、同時にあなたのほうはこの法律を御研究なさつて無論やるでしようけれども、どうですか。
  76. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 勿論業者関係銀行保証を得たりすることは、非常に事実問題としてむずかしいのであります。そうして又同業者関係としましても頼まれるほうも非常に苦痛だと思います。又頼むほうも苦痛なのであります。だからこういう規定ができますれば、これは業者も喜びます、私どももできるだけこういうような制度につきましては一歩進めたもので協力をいたさなければいかん、資金関係とかその他の関係を睨みながら私どもはむしろできるだけの協力はいたすべきである、したほうが又いいというふうに考えております。
  77. 田中一

    田中一君 今の公入札制を変えまして、指名入札制などに変えて行こう、無論独立したのですから、あちらからのなにもありませんから、そういうような方向に向つて行くというお考えですか、或いは又機会均等の精神から言つて、誰でも彼でも公入札させるという、将来の行き方はどつちをおとりになりますか。
  78. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 原則といたしましては公開競争入札であります。併し仕事性質によりまして、これは指名なり或いは随意なりというふうにする必要があるというものがあります場合には、これはそういうようなふうにして参りたいと考えますが、原則は飽くまで一般公開競争入札というので、最高最低の価格で、というのが建前であります。
  79. 田中一

    田中一君 これは業者側からの目から見るときには、二十五年度でしたか、約三割くらい予算よりも工事費が余つたということがあつたように記憶しておるのですが、結局それはあなたが再々言つておるが、工事の完全履行という点から言つて、あなたのほうでも相当な技術官がおつて、計算なすつておる工事です。従つて頭から三割残すというような形は、これは正しい工事が行われていないようにお考えになると思うのです。無論原則から言つて公入札制はアイデイアとしては結構ですし、又あなたのほうでは相当研究なさつたのでしようけれども、ただ予算を余すということのみに集中されているのじやないのでしようか。これは私の思い過ごしですか。
  80. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 勿論私どもといたしましてはできるだけ安く工事をしたいのでありますが、これは工事が破格に安く参りますれば、工事の完成自身に不審の問題もあります。必ずしも工事監督をいたしておりましてもこれは見得る限度というものがあります。従いましてこの競争につきましてもやはり限度というものがあります。そういう点も睨みながら、その点は検討すべきき点が十分あるというふうに考えております。
  81. 田中一

    田中一君 公入札でやりまして今まで予算をどれくらい余しておりますか、年々……。ちよつと数字がありましたらお教え願いたいと思います。数字を……、どのくらい余しているか。私は相当の金を余分に余しているのじやないかと思う。又余しているということを聞いたことがあります。今数字をお持ちならちよつとお聞かせ頂きたいと思います。
  82. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 今数字は覚えておりませんが、予算をどれくらい余したかというのは非常にむずかしい問題であります。特に現在のような物価の変動のありますときに、それがそうした競争に、一応事務的には私どもこの前の実施いたしました、これは物品の関係でありますが、これが平均いたしまして一五%程度のオープン・ビツドをやりました結果といたしまして二十五年度でしたか浮いたように考えております。そういうような数字になりましたけれども、その数字が本当に浮いたかどうかということにつきましては、これは疑問の点もありますし、変動期その他平常の時と違いまして、必ずしもこれはどれだけ浮いたかということにつきましては責任を以て明言いたしかねる問題だと思つております。
  83. 田中一

    田中一君 これはここで説明できないのなら止むを得ませんが、これは当委員会の権限であれができるかできないか知りませんが、あなたのほうに要求しますのは、公入札でやりまして、どのくらいな……。無論最低入札制度をおとりになつているのでしよう。
  84. 高井軍一

    説明員高井軍一君) そうです。
  85. 田中一

    田中一君 その際に無論予算をオーバーしたというものは余りないと思うのです、予算をですね。そうすると相当なものが残つているのじやないかと思うのです。あなたの企業として非常にやりいいですから、これは苦労がありませんから……。ただ業者を叩いて、叩くというのは競争させて、予算が余ることのほうが国鉄の運営としてはいいわけですから。これは保証会社金融面は、仕事がうまく行くのだという前提の下に今度前渡金をやるという考えでいるのですから、国鉄のそれを一遍委員会へでも出してもらうことはできませんか。あなた困難だ、困難だと言いますけれども、私は困難じやないと思うのですが……。
  86. 高井軍一

    説明員高井軍一君) ちよつと御賛同の要旨は何年度におきましての……。
  87. 田中一

    田中一君 公入札をやつてから今日までです。
  88. 高井軍一

    説明員高井軍一君) 多大な推定が入るかと思うのですが、それは必要でございますれば、今私記憶はいたしておりませんが、十分調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
  89. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほどの群馬県の総務部長さんの御証言の中に、この法律施行される場合に、流用の危惧についてお述べになつた。勿論監督規定があるわけでありますけれども、運用の面について流用されなければいいがと、これは勿論発注者としてのそういう希望を持たれるということは、これは当然のことであると思います。併しながら工事を請負われた業者においても利害を超越してその工事の完成を期したいということは、これは皆そういうふうに思つておられるわけでありますけれども、いろいろな都合で、やはり金は何も印しが付けてありませんから、何でも使えるわけで、正しくこの流用の危惧は大きな問題だろうと思うわけであります。そこで建設業協会の代表のかたから、業界の実情と照らし合せて、それが單なる杞憂であればいいわけでありますが、これが施行された場合に、この流用の危惧が果して群馬県のかたが申されたように杞憂でなしに、それが大きな心配になるような状態でありますかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  90. 大島義愛

    証人大島義愛君) 只今前拂金の流用ということについて危惧しておられるようでありまするが、私どもの体験から見まして、又この会社が成立して、その運営の上において監査その他の制度がありますようでありますので、一つ心配はないと考えております。
  91. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それからなおこの再保証制度が望ましいという御意見がございましたが、これについて将来再保証の問題をお考えなつているかどうか、管理局長にお聞きしたいと思います。
  92. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 実は法案の立案の過程におきましても再保証問題というのは一つの問題でございました。即ち再保証と申しましてもいろいろな形があるわけでございますが、現在保險会社がやつておりますように、保險会社相互間の保証という問題、更にそれを再保するという問題、そういう仕組みもありますし、それから現在中小企業の信用保証について行われているがごとく、これを国が再保するという行き方も一つ考えられるのであります。まあこの法案におきましてはそういう再保制度を実は表面的には取上げておりません。と申しますことは、国の再保制度という問題を仮に考えた場合におきましても、これは公共工事に関しましては国の資金を先ず出すというのがこれは相当な量になるわけであります。発注機関たる国が資金を出しつつ、その資金についての保証について又再保の責任を負わなければならない、こういうことは非常に理論としておかしいということのみならず、それでは発注機関たる国の負担というものは余りにも多過ぎる、こういう問題もございます。国の再保の問題は実は出ておりません。それは又先ずその必要はないのじやないかというふうに考えているのでございます。この事業会社も従つて、自力による保証、自力による信用というものを主体に考えているわけでございますが、これにつきましては今後事業会社運営によりまして、或いはこれを仮に資本を保証される途が開かれるかどうかということは、今後の問題でございますが、それらは運用の結果によつて見て行くべきものじやないかというふうに考えております。それだけにむしろこの事業会社の信用力を如何にして強化させるか、信用あるものにして行くかということについて、一応この法案の中にはそういう点についての配慮を行いまして、御説明申上げましたような責任準備金制度或いは保証制度、こういうような仕組みを取入れまして、会社自体の信用力を強化させる方法を私はとつているようなわけでございます。
  93. 田中一

    田中一君 これば鴻池さんに伺つたほうがいいのじやないかと思うのですが、一体公共工事支拂がどのようにして支拂われているか、例えば先ほど私が言つたように、金がないと安心しない、相手方を見るのです、まあもう少し待て、待てと言つて。そうして支拂を延ばすような場合があるのです。それから検收をして向うに引渡す。それから後どれくらいの期間を経て金が拂われているか。先ず地建あたりの、地建の仕事をおやりになつたことと思いますが、地建あたりはどうです、実際の現在の支拂状態ですね、それを御説明願えませんか。
  94. 鴻池藤一

    証人鴻池藤一君) 地建につきましては現在のところ余り遅れておるようには聞いておりません。
  95. 田中一

    田中一君 その他公共工事の実態どうですかね、あなたのところにはいろいろな統計や資料が集まつて来るのでしようが、短かくでなく、あなたの知つていることをすつかり話して下さい。
  96. 鴻池藤一

    証人鴻池藤一君) 地方庁の工事においては若干遅れておるようなことも聞いておりますが、私の記憶には具体的に何県がどうというような記憶は只今のところありません。地方庁では若干遅れておるようなところもあると思いますが、具体的な数字は只今記憶しておりません。
  97. 田中一

    田中一君 大島さんのところは東京都の仕事を大分やつておるようですが、東京都のほうの支拂状況はどうですか。
  98. 大島義愛

    証人大島義愛君) 今日は非常に順調に行われております。
  99. 石川榮一

    ○石川榮一君 田中君の質問に関連するのですが、建設省の支拂は非常に迅速であることは認めますが、農林省関係公共工事費が非常に遅れているように聞いておりますが、群馬県のあなたのほうで農林省関係の土地改良その他の補助金等に対してはそう遅れておりませんかどうか、この際お聞きしておきたい。
  100. 神田坤六

    証人神田坤六君) 農林省関係について特に遅れているのじやないかという御質問ですが、これは御承知通り農林省関係仕事関係としましては、特に地元負担の問題が相当大きな要素をなしますので、或いは地元負担のまとまり方の関係にも関連してややそういう傾きがあるかと思つていますが、只今のところそう具体的に問題になつてもいないかと考えております。
  101. 田中一

    田中一君 今鴻池さん、大島さんの両証人から伺うと、非常に公共工事に対しては支拂も順調だ、無論出来高拂をしているのでしようから……そうすると保証会社というものは要らなくなるような気がするのですが、どうでしよう、これは管理局長に伺います。
  102. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 地方公共団体並びに業者側からそれぞれ支拂関係についてそう大した心配もないというお話でございますので、そういうお話を聞くことは非常に私どもまあその責任の一半が軽くなつたような気がして喜んでおるのでありますが、併しこの業者側のその間における資金操作、これは支沸関係が順調に行つておると否とにかかわらず私はやはり相当金融機関からの資金繰りによつてその間の繋ぎをしている。仮に出来高拂がこの期日に余り遅れないで支拂われるという関係におきましても、出来高拂を受けるまでの間においては、これはやはり業者としては金融機関からどうしても或る程度の金を借りて、そうして仕事をやつて行く。これは勿論工事費の中にそれだけ加味されるわけでありますから、畢竟これは発注機関のつまり工事費の中で支拂われるという関係なつて参りますが、併し突き詰めて考えますと、その金融機関からの借入が困難であればあるほどその金利の負担というものはかなり高いものがかかつて来ることは予想される。そういう支拂の順調な経過を辿つておるといたしましても、その金利の負担や何かの負担というものは決して見逃すわけには行かない。そういう点についてこの制度による前金拂が行われるということはそれだけ金融機関に依存する割合を少くするという関係において負担が軽くなる。それからもう一面におきましては金融機関に対する債務保証仕事がこの事業会社に與えられておる。それによつて金融の円滑化ということもこれで期待される。従いまして従来非常に貸出を受けるのについて、融資を受けるについての金利の高い部面の軽減それから金融機関に、仮に債務保証をしてもらうことによつての従来の不円滑な金融が打開されるということ。それから一方においては先ほど東京都からもお話が出たそうでございますが、けつを割るというような、工事の解約、この危險負担をカバーするということも、そういう点についても支拂関係が順調に行われるにしてもなお且つそういう問題が残つておる。それを解決する方法はこの制度によつて解決して行けるのではないかというふうな考え方であります。
  103. 田中一

    田中一君 いや、もう何も建設公共工事ばかりじやないのです。物品を買うにしても、機械を買うにしても、何買うにしても自己資金、或いは金融の問題は無論起るのです。まあこれは各業者かたがたに叱られるかも知れませんけれども、六万ぐらいという業者を全部国民が背負つて救わなければならんということは無論考えられないのです。これは今言つたように六万近い業者がいるそうですが、これはその通りです。併し今お話のように、これは單に前拂金を拂つて業者を救うのだどいう観点からのみ言つているのではなくて、工事の完全な施行と、一切の施工契約の完全忠実な施行というところに重点を置いているのじやないかというのです。餌をやつて悪いことをさせないで立派なものを受取ろうというような御意図ならこれはよく了承できます。実は建設工事そのものはなかなか複雑怪奇でございまして、その中にはもう何にもわからない労働者も入れば、農民も入ればもういろいろなものも入るのです。従つてちよつとしたかすりをどこかから取ればそれが相当累積しますことにもなるのです。併しいろいろ労働基準法その他の新らしい民主的な法律ができまして一応そうした面を守つておりますしいたしますけれども、大体においてまあこれは一つの例ですが、資金を余分に持つている人は割合に安い材料を買つております。実際に金拂いがいい、これはまあ魅力ですよ。実際にまあ請負いしても、請負というか、建設業者にしても実際に金さえあれば完全な工事をしたいですよ。自分の技術、自分の面子にかけても……併し金がないと、まああそこは拂いが悪いといえば品物を持つて来ないのです。あそこは拂いがいいと言えばどんどん安くして品物を持つて来る。人情ですよ。従つて公共事業を完全に施行させるためにこの法律を作るということは又至極結構です。実は建設業者を助けるためにこの法律を作るというだけでは僕らそれに対してまあ多少の利益になりますが、精神的な利益になりますが、これはどうかと思うのですが、まあ今日いろいろ伺つて私としてはこの法案が端的に建設業者の利益だけを図るのではないという結論が出れば非常に結構です。ただ問題は大体において地方公共団体資金に困つております。従つてこれに対する、先ほど群馬県の神田さんからも言つたように、国が負担すべきものは早く国が交付するということをして強力に推進しなければこの法律を作つたところが何にもならんと思います。そういう点について今後建設省としては農林省その他関係官庁とお打合せになつて、この法律を生かすも殺すも全く金を流すか流さないかの問題ですから、そういうことは今日証人がお見えになつて甚だ私としては成果を挙げていると思います。私の質疑はこれで終ります。
  104. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでは本案につきましては本日はこの程度にとどめたいと存じます。証人かたがたには御多忙のところ誠に有難うございました。  それから午後の委員会は継続いたしまして午後一時から再開したいと存じます。事務上の理由で午後は十号室になりますからどうぞ御了承願います。有難うございました。休憩いたします。    午後零時二十一分休憩    —————・—————     午後一時五十四分開会
  105. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 休憩前に引続きまして建設委員会を開会いたします。  道路整備特別措置法案を議題に供します。本案につきまして御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  106. 前田穰

    ○前田穰君 先ず以て法制局のかたに来て頂いておるかと思いますが、若しそうでございましたならばあらかじめ法制局のかたに御意見を伺いたいのですが、この道路整備特別措置法案の第三條の條文の字句について、法制局の法律技術的といいますかの御意見を伺いたい。この第三條に有料道路を実施し得る條件が三つ書いてあるのでありますが、この條件は私は非常に何といいますか、條件らしからざる條件が書いてあるように思うのですが、第二番目の條件はやや條件らしい條件だと思うのでありますが、その二号の「通常他に道路の通行又は利用の方法があつて、当該道路の通行又は利用が余儀なくされるものでないこと。」、こういう條文の「通常」という言葉はどういうふうに法律技術的に解釈されるのかということをお伺いしたいのであります。
  107. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) お答えいたします。これはほかに道路があつて、従いまして当該道路を利用することが余儀なくされるということのないということが普通である場合においてというふうに解すべきものと思います。
  108. 前田穰

    ○前田穰君 それでは、御意見によりますとこの書き方では、他に通行すべき道路がある、従つて当該道路を必ずしも通行をする必要がない、これが原則であるけれども、例外の場合には他に通行の道路がなくてもやつてもいいのだ、こういう意味に解釈できないのでございますか。
  109. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 要するに、ほかに道路があるということが條件で、普通はその道路を使つておれば、当該道路を必ずしも使わなくてもいいというのが普通である状態である、でありますから、たまたまほかの道路が水害とか、或いは何かの加減で破壊されて止むを得ず当該道路を利用しなければならないようなことがあつても、通常はほかの道路を利用できるという状態であればよろしいというふうに解釈いたします。
  110. 前田穰

    ○前田穰君 御意見よくわかりました。それでは次に道路局長一つお伺いしたいのであります。
  111. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ちよつとお諮りいたしますが、法制局長はよろしうございますか。
  112. 前田穰

    ○前田穰君 もう結構でございます。だんだんこの法立案の採決の時期も近付いて来たようでありますので、最後に一つお伺いしたいのでありまするが、この法案の中に、私としましては小さい疑問点を二、三挙げ得るのでありますけれども、それは暫らく他の方法をここに考えられておるようでありますので、そういうほうに讓りまして、有料道路を作る最も根本の問題でありまするどういう場所に有料道路を作るのであるかというその條件の問題、これが本法案一つの骨子だと思いますので、その点に関します疑問だけは了解して私の意見を決したい、かように考えておるのであります。即ち私のすべての疑問をここに集中して参つておるわけでありますが、その点は只今法制局長の御意見を伺いました「通常」という言葉の解釈にかかつておるわけなんであります。これは最初道路局長が逐條説明をされた時にも、又私が逐條説明に留意いたしましてお尋ねしました際にも、私の了解したところでは、原則として他に通行の道路がある場合であるが、例外としては他に通行すべき道路がなくてもやるのだ、こういうふうに解釈されるような御答弁だつたと思うのであります。この点をもう一度明瞭に一つお伺いしておきたいと思います。
  113. 菊池明

    政府委員菊池明君) 只今局長から説明がありましたが、原則としてということと通常ということの法理上の解釈ということになりますと、ちよつと私も十分説明申上げかねますが、普通通れる道がある場合にやるのだが、ない場合も、通れない場合も全然取つてはいけないということではないというふうにやはり我々は解釈したいと思います。
  114. 前田穰

    ○前田穰君 そうしますとほかに道路のない所でも取るのだ、こういう結論と端的に了解していいわけでありますか。
  115. 菊池明

    政府委員菊池明君) 止むを得ず取る。進んでそういうものを取るというわけではありません。通常といたしましては殆んどそういうものはありませんが、そういうものもあつてもいいと言つては悪いでしようが、普通はそういうものは取らないが、場合によつてはそういうものも取り得ると、例えばすでに問題になつております観光地等の道路ではしばしばそういうものもございますが、そういうことを予想しているわけでございます。
  116. 三木治朗

    ○三木治朗君 局長にお尋ねするのですが、仮に戸塚の道路のような、今度有料道路ができるということになつたとしますと、土曜日とか日曜日のようなときには殆んど列をなして自動車が通ることになる。そこで有料だと一々そこでくいとめることになる、料金を取るために……。そうするとえらいつながつてしまつて混雑を来たすことになるように思うのですが、これは毎日というわけじやないでしようけれども、週末や何かで皆出かけて行くというときに相当な混雑を予想されると思いますが、そういう点をお考え願えましようか。
  117. 菊池明

    政府委員菊池明君) 料金を取りますためにそういうことが起り得ることを予想いたしまして、徴收方法につきましては十分研究いたしておりますが、まあ外国の例などでは、あの程度以上の場合にもそう停めないで渡して行くようなこともやつているようでございますから、只今の千台單位であればやれるものと思つております。
  118. 三木治朗

    ○三木治朗君 いや、その方法がよほど考慮しないと一つの関所を設けるようなことになつて、大変混雑して困るのじやないかという心配相当あるようですから、よほど研究してうまくやつて頂かないとまずいと思います。
  119. 田中一

    田中一君 局長に伺いますが、国道でも必要ならばどうしても有料道路をやりたいというあなたの、どうしてもそうしなければならないのだというような強い信念の下に考えていらつしやるのか。戸塚の場合は止むを得ずやるのだというお考ですか、どちらですか。原則として、無料公開が原則の道路、殊に国道ですね、それを戸塚の場合にはどうしてもあなたはそれをしなければならないのだという強い信念で強行なさるのか、その点もう一遍明確に聞きたいと思います。
  120. 菊池明

    政府委員菊池明君) 私の考えますところでは、国道とか府県道とかの種類によつて有料であつてはならんとか、いいとかいうことではないと思います。で、あの戸塚の場合は明らかに迂回線でありまして、現在の国道を通つて行けば幾らか時間ほかかりますが、無料で行ける場合でありますから、支障なくやれると思いますから、ああいう場合にはやつてよろしいと思います。
  121. 田中一

    田中一君 今度の山越えの新道ができますと、元の国道は国道から外すつもりですか、それともその後やはり残しておくつもりですか、国道としての指定を。
  122. 菊池明

    政府委員菊池明君) これは今後の問題でありまするが、国道として残す方法もありますし、或いは府県道にする方法もございますが、多分国道として残すのじやないかと思う。まだそこのところは決定いたしておりません。
  123. 田中一

    田中一君 大臣に伺いたいのですが、御承知のようにこの法案が提案されまして参議院におきましては五十何日間揉みに揉んでおりますこのことは言わなくてもよく御承知のことと思いますが、一体何故こんなに揉んだかということにつきましては、大臣もいろいろ情報をお集めになりまして御承知と思いますが、無論我々の考え方は、ここに計画の案としてお出しになりましたものの内容について、不適当なものがあるのではなかろうか、こういう点が反対の、反対と言うか、ここまで揉んで来た理由なんであります。従いましてこの参議院の委員会においてそこまで揉みに揉んだ法律を今日採決をいたしますが、その際大臣の信念として我々の考えております意図をお酌取り願いまして、実際にどことどこをやると、それからその理由はどうであると、いわゆる今までの委員会の議事録も御覧と思いますが、ここはまあこの計画からとり、そうしてその工事費は現在計画されておるもののほうに余分に資金を廻してその完成を一日も早くするというようなお考えを実は伺いたいのでございますが、これは大した項目でもございませんが、一応大臣のお考え方を伺いたいと思います。
  124. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 私は、道路の整備につきましては自由党も一つの大きな政策として掲げておるのでありまして、これにつきましては極力努力をして参つておるのでありまして、公共事業費のほうにおきましても予算をつけられております。併し一般の会計から得られるだけの道路の整備費では、今日の道路の必要とする道路の整備を十分に行うことができないというような実情でありますので、別途有料道路の制度を設けて、更に日本の道路の整備をスピード・アツプしたい、こういう意図に出ておるのであります。従いまして今後も一般の道路の改修費の増額を極力努力するのは当然でありますけれども、それと併せまして有料道路の資金を、運用部資金を使うことに相成りますが、この際極力拡充いたしまして、両者を併せて道路の飛躍的改良を図つて行きたい、こういう意図を持つておるわけでございます。
  125. 田中一

    田中一君 これは仮定でありますが、この挙げたところの計画のうち、若し十五億の金をそのまま投入して、無論その工事の整備その他にもスピードをかけまして、重要性の順位をきめて順次そこから完成して行くというような構想は持ち得られませんか。
  126. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 御趣旨はあそこに掲げてある中で、率直に申しまして第二京浜国道が非常に問題になつているんじやないかと思いますが、第二京浜国道につきましては非常に皆様がたから御批判の声もありますので、今後第二京浜国道は有料道路制度においては実行することから外そうかと考えております。
  127. 田中一

    田中一君 私は、少くとも三月三十一日まで通常予算を以ちましてやつてつた工事、これをなぜ有料道路に切り替えなければならんかということにつきまして、これは甚だ失礼な言い分ですが、予算の折衝上、この有料道路という法律が生れたために、それが削減されたということに帰着するのではなかろうかと思うのです。今後予算の配分の上からいつて、こうした形の道路に移行すると、こういう計画の道路に移行するという点になりますと、道路費というものがますます圧迫されるじやないかという危險も感ずるのです。従いまして無論この便法としまして、有料道路の行き方をするのも私は原則としては賛成です。併しながら来年度、無論来年のことは大臣もおわかりにならない、そこまで予算の編成期になつておりませんからわからんと思いますが、相当大幅な道路費をとつて、こういうものを成るべく最小限にとどめるというような構想でありますのか。それともこういう考え方を以て有料道路でどしそしと工事を推進して行くというお考えですか。どちらをお考えなつていらつしやるか。
  128. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 私は一般の道路費をできるだけとりまして道路の整備を図るということは勿論やつて行きたい。それと併せまして有料道路の制度も適当な道路、橋梁等を選びまして、これも強力に実行して行きたいと考えております。本年は十五億でありますが、更に本年度中でも追加予算があればそれは殖やしてもらう。それが来年になりますとおのずから拡つて行きますから、相当大きなものになると思います。それは何十億になりますか、それを確保してやつて行きたいと、こういうふうに考えております。
  129. 田中一

    田中一君 これは甚だ穿つたことを言いまして失礼に当るかも知れないが、この計画が地方的な選挙の、政党の政略とか何とかという選挙目当の計画というようなことは全然なく、全く地元の要望がここに盛上つたものだというふうに解釈してよろしうございますか。
  130. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 私どもがこの問題を考えますときに、別に選挙というようなことは全然頭に入れておりません。ただ如何にも道路が悪い、そうしてそれを作るにも大変長い年月かかつて、いつになつたら地元のかたがたの非常な不便を除き得るかどうかわからない状態であります。私もあちこち歩いて廻つて見まして、如何に皆様が難澁しておるかということを見るに見かねてこういうものを出し、勿論一般の予算も十分獲得して、一般の道路の改善を図ると共にこの制度を併せて行いまして、一日も早く国民全体の悪道路からの救い出しをやりたいと、こういうことを考えております。
  131. 田中一

    田中一君 先ほど第一の質問に対して大臣から御答弁がございませんけれども、この一、二、三に挙げられましたところの関門隧道、戸塚、新京浜の国道、それから三に挙げました地方の橋又は観光道路に属するものでございましよう、こういうもののうち今度我々の参議院委員会、先ほど申上げました通り委員会の多少反対の意見もあるということを織込みまして、大臣はどことどこを実施するというような計画か、率直に伺えないものでしようか。
  132. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 私は、問題になつている点で今はつきり申上げられるのは、第二京浜国道の有料道路制というものは、これは取止めようというふうに考えておるわけです。その他の点はまだはつきり申上げるまでに至つておりません。
  133. 小川久義

    小川久義君 質疑も盡きたようでございますから討論採決に入つてもらいたいと思います。
  134. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  135. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。
  136. 石川榮一

    ○石川榮一君 先ほどの前田さんの御説は我々と同じなのです、解釈のしようが、第三條第三項の「通常」という文字の使い方、これを普通の場合に適用するか、特殊の場合に適用するかということになりますが、前田委員の御質問は、道路の利用する所がなくても道路局長はやらざるを得ないことがある。前田さんの説といたしますれば、他に通る道があれば、そういう場合に特殊に考えるべきものであつて、ない所にどんどんこういうものを作られては困る、そういう意見の相違があると思う。これに対して建設大臣の御意図のあるところを示して頂きまして、若し前田委員意見が建設大臣と御一致願えれば大変仕合せだと思うので、もう一度前田委員から御質問を願いたい。
  137. 前田穰

    ○前田穰君 それでは、只今御注意の次第もありましたので、最後にもう一度建設大臣の御意見を直接伺うことにいたします。それは、私この法案の中に二、三疑問の点もありますけれども、細かい点はもう採決の際にすつかりあれしてしまつて、それは最も根本的な点に集約して、自分の意見をまとめたいと思います。その要点は、第三條の中に有料道路を実施すべき條件が三ヵ條あります。その第二に「通常他に道路の通行又は利用の方法があつて、当該道路の通行又は利用を余儀なくされるものでないこと。」、こういう條件があるのですが、この「通常」ということはどういうふうに解釈すべきかという問題なんです。これは、只今法制局長法律的の解釈も伺つて見たのです。ところが法制局長の御意見は私と同じことなんです。つまり、他に道路があつて、必ずしもその有料道路を通行することを余儀なくされない、これが「通常」なんだ。或いは水害の場合その他で道路がなくなつておる場合もあるかも知れない、そういうようなことも例に引いて、他に通行する道があるのが通常の状態である場合において初めて有料道路をやつていいのだ、こういう法制局長は解釈をしておられた。私もそういうふうに考えている。ところが道路局長の答弁はそうじやなくて、無論原則としてそういうことは望ましいのであるが、まあいろいろな例外の場合としては、他に通行する道路がなくても有料道路を設けることができる、こういう答弁なんです。これは最もこの有料道路を実施する根本の問題の一つであります。日本の道路政策の無料公開の原則を或る程度変更すると、こういうことならば、これは又その意味において愼重に研究すべきだと思いますが、無料公開の道路政策の根本はそのままにしておいて、そうして機宜の処置として有料道路を作ろうと、こういうのであるから、できる場合には成るべく嚴密に限つて行くということが、この道路の公共性ということに非常に必要じやないか、かように考えるわけであります。この点の御解釈如何によつて私の態度をきめたい、こういうことなんです。
  138. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 大体今法制局の言われた意見でいいんじやないかと思うのです。道路局長意見もいろいろなエクスプレツシヨンはありましたけれども、よく解釈して行けばそう大きな隔りはないように考えます。
  139. 前田穰

    ○前田穰君 どうも私は道路局長の御答弁を解釈すると、まさに私の意見と建前上正面衝突しているように思うのです。これは実際問題としてどの道路ということに即して言えば、或いは話合いがつくかも知れない。併しながら有料道路を作る建前上、他に道路のない所に有料道路を作るのだということは、これは私は日本の道路政策の根本の問題に非常に影響があつて、建前の問題として、私は簡單に了承ができがたいのです。
  140. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 私は「通常」という言葉は先ほどお話があつたように、「通常」というふうなことは大体法律でもよく使われている言葉でありますから、その言葉趣旨に従つて法制局で解釈しているんじやないかと思います。それでいいのじやないかと思います。
  141. 前田穰

    ○前田穰君 それじや具体的に伺いたいと思いますが、今度の予算の中に熱海、伊東間の道路がまあ計画されているように思うのです。熱海、伊東は御承知通りに或る部分は断崖絶壁に面しておつて、恐らくはそこを有料道路とすれば、その現在ある道路を拡張する、或いは舗装する、そういつたことをされるのであります。又海岸に降りて部落なんかを見て、これはもう一本作ろうと思えば作れるであろうと思うのであります。そういう場合にどういうふうにそれが……。
  142. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 私は今のような場合におきましては、いろいろなやり方があると思います。で、これは一概に有料道路と言いましても、例えば有料道路とほかの道とすれ違う場合もありましようし、その有料道路が、こうこうこうなつて、少しこういうふうにちよつと重なる場合も起るだろうと思います。そういう場合は時宜に応じてやるべきで、例えば片方の道がうねうねうねうね曲つている、もう一つの真直ぐの道を敷いた、或る所で重なる所ができると、その場合重なつた所を有料道路だということはできない。私はそういうふうに思つております。こういうことにつきましては、アメリカあたりに例がありましたので、特別に人をやりましてアメリカで詳しく調べさして来ておりますので、適正を期したいと思つております。
  143. 前田穰

    ○前田穰君 そうしますと他に道路のある所やない所が伊東、熱海の場合きれぎれなつております。その場合にその料金はどう取られるのですか。
  144. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 料金の取り方は、私この間アメリカへ行つて調べました。何十種類とあるのです。それは今の極端な所を言いますと、一つの道がありますと、こう何ヵ所も取る所もあります。一定の一ヵ所で取つている所もある。逃げるやつがあつて逃げてもかまいません。通るやつは何でも取るという行き方と、大つかみに九五%押えればいいという行き方がある。こういうふうに二ヵ所で取つておりますと、こう来た自動車が関所のある所をこう曲つて、こうやつてこう曲つて、一厘も拂わずに通れるという例があるわけであります。それでもかまわん。非常に何十種類もある。私は時宜に応じてやりたいと思います。
  145. 前田穰

    ○前田穰君 それでは仮に今の伊東、熱海の場合を例に引きますれば、部落に降りた所のキロを合計をしてそれを取る。熱海、伊東間の中から崖に面した一本しか道路のない所は除外して料金を取ると、こういうふうなことができますか。
  146. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) これは具体的な問題といたしまして、これからどういうふうに道路を作るかということと関連しますので、十分研究いたしまして、これはまあアメリカのことは詳しく調べて見まして、その他各国に例のあることでありますから、最も能率的で最も便利なやり方をいたしたいというふうに考えております。
  147. 前田穰

    ○前田穰君 若し只今の建設大臣の答弁をまあ極く几帳面に私の頭に直して解釈すれば、熱海、伊東間の中で二本治道路のある所のキロだけを寄せて、そうして熱海、伊東間の料金として取ると、そういつたようなやり方を仮にするとすれば、道路局長の言われたような答弁をせられなくても、法制局長官の言うような答弁をせられても同じじやないかと思います。
  148. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) それで私は大体同じようなことになるんじやないかと、実情について、いろいろ検討すれば余り大差ないことになるんじやないかと思います。全く同意見であります。
  149. 前田穰

    ○前田穰君 それは道路局長にもう一遍伺いますが、大臣が言われたのだから無論それは問題ないはずですが、よろしうございますか。
  150. 菊池明

    政府委員菊池明君) 結構です。
  151. 小川久義

    小川久義君 私は本法案の修正の動議を提出します。
  152. 田中一

    田中一君 ちよつと待つて下さい。まだ質問があります。
  153. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 地方の都道府県で道路利用者負担金というのを大方取つていると思いますがね。その場合このほかの県内の道路を利用する、たまたまそこを通る場合は道路利用者負担金を拂い、なお且つそこを特別通つたのだからその料金を拂うということは、これはわかりますね。專らその道路を利用する、例えば熱海、伊東間のバスならバスというものがある。この場合には県には道路利用者負担金を出し、又この有料道路の利用料を出すと、こういう形になるのですか。一本だけで済むのですか。
  154. 菊池明

    政府委員菊池明君) 負担金はまあ今の法律では損傷負担金というのでありますが、一般の維持、修繕費を補いますために、県で負担金をとつているのであります。でありますから若し有料道路がありますと、有料のほうの道路の維持、修繕費はそこから上ります料金のほうから出しますから、そのほうには負担金のほうは廻らないと思います。
  155. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうすると、專らその間有料道路の所を利用しているバスなんかは、二重には拂わないでいいということですか。ちよつと速記を……。
  156. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記をとめて下さい。    午後二時二十九分速記中止    —————・—————    午後二時四十八分速記開始
  157. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。別に御発言もないようでありますから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、修正文及びその修正理由を討論中にお述べを願います。
  159. 小川久義

    小川久義君 本法の附則の第一項中「昭和二十七年四月一日から施行する。」とあるのを「交付の日から施行し、昭和二十七年四月一日から適用する。」に改めるの動議を先ず出します。
  160. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) なお別に御意見のございますかたは御発言を願います。
  161. 赤木正雄

    赤木正雄君 この法案は長い間審議いたしましたが、非常に法の運用如何においては将来弊害を導く虞れもあります。併しこれを適正に運用するならば、現在の道路の状況から見まして、又国民の要望の一部にも副い得る点があるかも知れません。こういう点を考えまして、この法案を仮に通過させようというふうな場合には、私はただこのままでは納得しがたい。相当の制限を附しておきたい。即ち私の制限と申しますか、一つの附帶決議のようなものを付けて、私はこの法案の通過を望みます。それで私の付けようとする附帶決議を今ここで申上げます。本案は道路の無料公開を原則とする我が国道路の立法の精神に馳背するものであるが、道路の現状に鑑みて止むを得ざる一時的の措置として、これが運用には長大橋、長大トンネル等のことく集中的に巨額の工費を要するもの、或いは特に経済効果に富む産業道路並びに急施を要する観光道路等いずれも国民がひとしく要望するもので、而も短期間に料金徴收により容易に收支の償う個所を嚴選の上適用することとし、御京浜国道のごときは本法外において施行されたし。私の要喫する点はこれであり、今申したことで私の趣旨は盡きていますが、この法案の運用如何は、先にも申しましたように、非常に弊害がありますから、将来政府はこの法案施行をなさるについては、今申したような附帶決議の意味を十分吟味されて、そして法の運用をされることを私は切に要望して、それならば私はこの法案を呑む、こういう考えです。
  162. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は社会党第四控室所属委員を代表して本案に反対をいたします。理由は、しばしば今までの質疑応答の中でも出て参りましたように、道路はもともと無料公開が原則であります。而も公共施設のうちの最も大きな公共施設でありまして、いやしくもこれを利用する者から料金を取るというような根本原則に修正を加えるがごとき法案を我々は承認することはできないのであります。もう少し極端に申しますならば、例えば佐渡島、淡路島といつたような離島に行く、これは道を歩く術はありませんが、私は一本だけは無料の船があるべきだというかうに、道路の無料公開の原則からは考えざるを得ないのであります。それを或る特定の道路を指定いたしまして、その利用者から料金を取るということは、今申しましたように反対なのであります。なおこの提案理由を見ますと、もともとそうであるけれども、今の国並びに地方公共団体財政状況に鑑みて、道路の整備を促進し、交通の利便を増進するためという理由が述べられておりますが、これも考え方の問題でありまして、本年度予算を見ましても二〇%以上が軍事費的な性格を持つた使途を予定されておるわけでありまして、若し本当に交通の利便を増進し、道路の整備を促進しようとするならば、恐らく予算範囲内においてもこれを実施することが可能であると我々は考えておるわけであります。右述べました理由で本案に反対いたすものであります。
  163. 石川榮一

    ○石川榮一君 私は本案に賛成いたします。そうして附帶決議に対しましては、私ども十分にこの附帶決議の趣旨を尊重いたしまして、善処方を大臣に要望いたしまして賛成したいと思います。  その理由は、財政的な面から勘案をいたしまして、必ずしも無料公開の原則を飽くまでも貫き得ないということは言い得ないのでありますが、現在の段階におきましては、国家の財政状況から考え、国家の総合的な将来の政策を樹立する上におきましていろいろな制約があることも止むを得ないのであります。こういう観点に立ちまして、ここ当分の間に、今この附帶決議に謳つてありますような個所につきましては止むを得ざる措置として、一時は忍ばざるを得ない、それが道路を開発する一つの推進力ともなる、又これを待望するところの利用者の気持を急速に充たし得る唯一の方法であると考えますので、暫定的な措置として、この附帶決議の趣旨に沿うところの予算執行を期待いたしまして、この原案に賛成したいのであります。
  164. 松浦定義

    ○松浦定義君 私は改進党の意見といたしまして、原則的にはこの法案趣旨には賛成しかねるのでありますが、只今赤木委員から御提出になりましたこの附帶決議が本当に実行されるということであるならば、必ずしも私は反対とは申上げない、かように考えるのでありますが、若しこれが通過いたしまして、更に又附帶決議も大臣といたしまして必ず実行すると、或いは善処すると、こういうふうにまあ申されましても、今日までのあらゆる法の附帶決議の結果を眺めて見ますと、必ずしもこれが実行されているとも考えられませんが、併し本法案につきましては、御承知のように、すでに本日を以て審議の期間が切れるというくらいに、参議院といたしましては愼重な審議をやつておるわけでありますので、特に又今社会党第四控室の意見もありましたように、若しこれが国民全体のいろいろな面につきまして、又疑惑を持つような今後の運営なつてはいかんという意味から、本当にこの附帶決議というものを遵奉される意思をはつきりして頂くというとを先ず第一にお願いしたいということと、更にこの際申上げておきますのは、若しこうしたことが仮に非常にいい結果をもたらしたということが前例になりまして、だんだんだんだんとこれを拡大されて参りますと、私は地方の本当に困つた所の地帶における道路の発展上或いは支障を来たすということについては、特に荷主の負担というものはむしろこの際非常に軽減されるということにはなると思いますけれども、実質的には生産者というものの負担が過重になつてくるというような面もないということは断言できにないので、この法案通過後におきます所管大臣といたしましての最大の御努力を特にお願いして、本法案附帶決議が了承されるならば賛成をいたしたいと、かように考えておるのであります。
  165. 小川久義

    小川久義君 私は本法案に賛成いたします。  元来、先ほどから述べられた点を省きますが、今の計画を見ましても、全部地元の要望が基本である。又これが衆議院に提案されて以来各方面からその実現を要望して参る数も多数に上つておる。そういう点から地元民の要望に応える、而も地元では嚴密な計算をして幾らの金を借りて、何年間たてばこういう結果になるという計画的に数字を挙げて企画されておりますので、地元民の要望を主にして、それに応えるためにこの法案に賛成いたします。
  166. 田中一

    田中一君 私はこの法案に織込んだ有料道路の考え方は一応是認するものであります。併しながら国がこれを行う面が含まれていることについて、その点だけは反対したいのであります。理由は少くとも先ほど三輪君からも述べられたように、無料公開の原則というものが破れるのではないかという点、それからこれが前例となりまして、所管大臣の閣内における予算分取りの場合、非常に道路費の圧迫、圧縮を受けるのではないかという懸念、それからこの法案が十五億、たかだか十五億の金で以て実施されるということになる段階において、これは二十七年度予算の上において大臣の力の足りなさを物語るものにほかならないと、こう考えるのであります。従つて自由党の持つところの政府が道路に対する関心が薄かつた。それがたまたまアメリカその他諸外国でやつているところの例をとりまして、モデル・ケースとして一応の試みをやつて見るということに盡きていると考えるのでございます。併しながらここまで参りまして、各地元民の要求が盛り上つたのであるということの大臣の言明もありますし、もともと衆議院において我が党はこれに反対をしております。併しながら赤木委員の述べられた附帶決議がこの本委員会で決定され、これを衆議院の委員会でもこの問題が取上げられて、そうしてこの決議案に盛込まれましたところの精神が現実に活きる、現実に実施されるという條件が付くならば、この法案に一応賛成しておきたいと思います。
  167. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ほかに御発言がなければ、採決に入つて異議ございませんか。
  168. 田中一

    田中一君 採決をしてから、これは言い過ぎかも知らんけれども、附帶決議は否決されるという懸念が若しあるならば、この際私は反対も賛成も留保しなければならんのです。今申上げた通り附帶決議がこの委員会において採決の結果委員会の意思として衆議院に送り込まれるならばこの採決に服しますけれども、その点は議事の進行上どういうことになりますか。一遍伺いたいのです。委員長に伺いたいのです。
  169. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  170. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記始めて。
  171. 田中一

    田中一君 決議案のほうを先に採決するということはできませんか。
  172. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  173. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記始めて。それでは採決に入つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 道路整備特別措置法案について採決いたします。先ず討論中にありました、小川君の修正案を議題に供します。小川提出の修正案に賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 多数と認めます。よつて小川提出の修正案は可決されました。  次に只今採決されました小川君の修正案にかかる部分を除いて、本案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て修正議決されました。  次に赤木君の提案の、附帶決議について採決をいたします。賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  177. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 多数と認めます。よつて委員会としてこの附帶決議を付することに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等爾後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 田中一

    田中一君 大臣も今出席しておりますから、この附帶決議について大臣の考え方を述べて頂きたいと思います。
  179. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 本法案只今可決せられたのでありますが、附帶決議の問題につきましては、本法案の今後の運用に当りましては適正を期し、国利民福を増進するように十分配慮いたしたいと考えております。
  180. 田中一

    田中一君 もう少し具体的に大臣の所感を伺うわけには行かんでしようか。
  181. 石川榮一

    ○石川榮一君 これは大臣は、衆議院の議決は原案賛成であります。こちらは附帶決議を付したのでありますから、この間の事情は大臣非常に御心配なつていると思いますが、大臣は参議院から出ているということに一つ御信頼を賜りまして、余り追及しないで頂きたい。(笑声)
  182. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 次に以上本案を可とされたかたは成規の手続により順次御署名を願います。   多数意見者署名    赤木 正雄  田中  一     小川 久義  石川 榮一     楠瀬 常猪  島津 忠彦     深水 六郎  前田  穰     徳川 宗敬  三木 治朗     松浦 定義   —————————————
  183. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 次に道路法案及び同施行法案を一括して議題に供します。本法案に対して質疑のおありのかたは……。
  184. 前田穰

    ○前田穰君 私は道路法案に関して二点だけお伺いしたいのですが、一つは六十一條の問題、それからその次は八十八條の問題であります。この六十一條につきましては、先般運輸委員会との合同委員会の節、並びに委員外の発言の際にも質問があつたのでありますが、なお私からももう一度お伺いをして御意見を確めておきたいと思うのであります。先ず以て提案者にお伺いしたいのでありますが、六十一條の第一項の「著しく利益を受ける者」というのはどういうものを考えておられるのかという点と、それから衆議院のほうでの括弧内の「修繕に関する工事を除く。」ということを削つているようでありますが、若しおわかりであれば、その衆議院で削つた理由、若しおわかりがなければ提案者としてこれをどういうふうに解釈しておられるかということをお伺いしたいのですが。
  185. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 六十一條の受益者負担金の問題でありますが、特に利益を受ける者というのは、先般の委員会でも御質問に対してお答えしたわけでありますが、現在新らしくバスの免許等も申請いたしている路線につきまして、一部が完成しないため、及び橋梁の腐朽が甚だしいために、これが補修等を行えない場合にバス業者等が、その修繕の費用の一部を負担いたしますから、免許を下してもらいたいというようなものがありますので、このようなものを指しているわけであります。なお六十一條の原案の括弧内を除きましたのは、六十二條に特別負担金があつたのでありますが、この特別負担金を、只今委員会において御可決になられました有料道路というような意味もありますし、もう一つは、各府県の条例で以て各個にばらばらに徴收し、而も道路の維持補修に事欠いているにもかかわらず一般財政資金として繰入れられて道路に復元されないということがありますので、道路整備の本法の根本精神がら、道路負担金を徴收したものは道路に還元せられるような措置を全国一律に政令でこれを行おうという当初の立案でありましたが、現在の道路整備が完全に行われておらない現在において、時期尚早であるということでありまして、特別負担金の項目を削除したわけであります。そういたしまして、これが第六十二條の特別負担金及び六十一條の受益者負担金を規定し、而も道路の修繕に関する法律は、本法施行と同時にこれを取り除き、廃止をするということでありましたが、これも議員立法でありましたし、現在の道路事情から言うと、国が維持修繕費まで補助できる規定を在来通り残しておいたほうがいいというので、施行法に規定しておりました道路の修繕に関する法律を除きましたが、括弧内、即ち「修繕に関する工事を除く。」の字句を取つたわけでありますが、この結果現行道路損傷負担金及び寄附金名義等で徴收しておるものよりも勿論上廻るものではありませんし、もつと軽減せられるということを考えているわけであります。
  186. 前田穰

    ○前田穰君 この受益をする者ということの解釈は、その辺まではこの前の連合委員会質問で大体了解しているのでありますが、只今例をお引きになつた道が少し悪いから、而も直せばバスの免許が取れる、或いは橋が腐つているからそれを直せば取れるというような、そういつたどつちかと言えば寄附金的のことを言つているようにも聞えるのでありますが、従来この道路なんかで受益者負担というと、沿道の土地が道路が良くなると値上りをするとか、そういつたようなことを指しておるようにも思うのでありまするし、それから今度の、先刻通りました道路整備特別措置法ですか、それの條文にも同じような意味の言葉が使つてありますから、若しこれの解釈並びに運用如何によつては、実質的にこの有料道路と同じようなことになる虞れなしとしないと思うのであります。現に今日道路の工事をやる場合に、或る部分は国が補助をする、或る部分は県が負担する、一定部分は地元だと、こういう場合に多くのこの自動車業者がその地元の負担分を分担している。実質的には分担している。そういうことから行きますと、この有料道路におけるような利益を受ける者というものは、ある場合もあり、ない場合もある。こういうことになるのでありますが、そういつたその有料道路の場合の利益を受ける者ということと、この六十一條の利益を受ける者ということとは違つたものと解釈していいのですか。
  187. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。その通りであります。有料道路法に規定されております受益者負担金というのではありませんので、この條文に規定しましたのは、無料公開の原則である道路が、実際は各府県によつて過重なる道路損傷負担金をかけられ、而も法律的一定の基準がありませんので、道路利用者会議その他の名目で以て過重な寄附金名義で徴收せられているのが現実でありまして、有料道路法は今日漸く日の目を見たのでありますが、実際負担金では無料公開の原則を破つて有料道路法をやつてつたわけであります。私たちこの道路法を立案いたします立案者としての考えは、かような全国一律でないところの、而も非常に無理をして徴收している者に対して、一定の基準を設けたい。而もこの特に利益を受ける者というのは、又請願工事を指しているのでありまして、どうしても施行年度が往々遅いためにバスの営業等ができないというような業者の特別請願によつて工事を行う場合というのでありまして、道路の無料公開という原則は堅持をいたしております。勿論有料道路法に規定する受益者負担とは全然趣きを異にしております。
  188. 前田穰

    ○前田穰君 建設省の当局にお伺いしたいのでありますが、この六十一條を読んでいると、有料道路の利益を受ける者ということと非常に似通つた意味になつて来るのでありますが、只今提案者の御説明によると、むしろ地域的の特別の場合にこれが当てはめられるようなふうな御説明でありますが、今後本法が仮に施行されました際に、建設省としては地方に対してどういうふうな指導と言いますか、監督と言いますか、この三項の実施についてどういうふうな方針を以て当られますか。それを一つ伺いたいと思います。
  189. 菊池明

    政府委員菊池明君) これはもう全然我々は別個に考えておりますが、有料道路を建設いたしまして、これは該道路から納めるのでありまして、受益者負担の扱いとはもうこれは全然違つたやり方で行きたいと思つております。
  190. 前田穰

    ○前田穰君 無論そのあれを取る方式とか何とかは違いますけれども、利益を受ける限度において金を取るのだということが実質的には有料道路じやないか。そういうふうにちよつと見えるんですよ。それで提案者の御説明はそうでない、任意的のものだとこう言われるのでありますから、その点を誤りなく都道府県をしてその第三項による條例を作らせるような御指導をなさるかどうか、こういう意味です。
  191. 菊池明

    政府委員菊池明君) 提案者の言われたような趣旨に副つてこの條例を制定いたすつもりでおります。
  192. 前田穰

    ○前田穰君 それではもう一点八十八條でありますが、八十八條はまあ特にこの第二項であります。「前項の規定による條件は、当該許可、認可又は承認を受けた者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。」こういう條文がありますが、現行法の二十九條とこの八十八條との関係はどういうふうに考えればいいのでありましようか。現行法二十九條の拡大強化と、こういう意味に解釈していいのでありますか。
  193. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 御質問は八十七條の二項だと思いますが、不当な條件を課するようなことは原則的にありませんか。
  194. 前田穰

    ○前田穰君 よくわからなかつたのですが……。
  195. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 徹底しなかつたようでありますが、御質問は八十八條の二項と言われたようでありますが、八十七條の二項の間違いだと思います。「前項の規定による條件は、当該許可、認可又は承認を受けた者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。」という條文と思いますが、不当な條件をつけるようなことは原則的にありません。
  196. 前田穰

    ○前田穰君 私の申上げることはですね、この現行法の二十九條だと、管理者が正当の事由がなくて公益事業のようなものに対して許可若しくは承認を拒んだり、或いは不相当な占用料を定めるときは主務大臣が代つて許可又は認可をして、又占用料を主務大臣が代つて定めることができるというように規定があるのです。それを或る面において強化し拡大されたものがこの八十七條二項かと思う。こういうことかというのですね。
  197. 浅村廉

    説明員(浅村廉君) 現行法の二十九條でありますが、これは公共の利益となる事業が道路を占用しようとする場合において、道路管理者が正当の理由がなくて許可承認を拒んだ場合、或いは相当な占用料を定めたときには、主務大臣即ち建設大臣はその被害者であるところのまあその事業者の申請によりまして、管理者に代つて占用を許可したり、或いは占用料をきめてやつたりすることができるという規定でございます。  それからこの改正案の八十七條の二項にありますのは、この管理者において許可、認可、承認をする場合に、その不相当な義務を課してはならないということを規定しておる條文でございまして、ちよつと両方比べてというわけには参らないのじやないかと思うのですが……。
  198. 前田穰

    ○前田穰君 それでは手取早く具体的にお伺いしますが、従来この地方公共団体、市とか町とかですね、いろいろな占用の願出がある場合に処するためにまあ大きいところ、頻繁にあるところは條例を作つておる。その條例の中に、例えばところによつて違いましようが、当局の必要の場合には即刻これを撤去せいと、こういつた命令をするような條例があつて、そしてこれを公益事業等に対してもそういう條件をつけておる。こういうことは新法が施行されるとその條例は無効になりますかどうですか、こういうことを伺います。
  199. 浅村廉

    説明員(浅村廉君) 條例で地方公共団体が定めておりますものは、その新らしい道路法が施行になりまして効力を失うことはありません。これは公共団体の條例でございまして、現行道路法でも條例で公共団体が何かきめるということは全然ございませんです。これは国の仕事を公共団体の長の知事なり、市長なり、町村長が執行いたしておりますので、すべて規則によつて律せられておるものであります。そこでそれに関連いたしまして然らば道路管理者が非常に何と申しますか、適正を欠くような、不穏当な條件を許可等に対して附しておつた場合、この八十七條の二項によつて今度はこういうことが書かれておるということになつた場合どうなるか、これは道路法の施行法案を見ますると、その第九條に「旧法の規定による許可に附した條件で新法第八十七條第二項の規定に違反するものは、」、即ち非常に不穏当な條件を附しておつたものは「違反する限度において、効力を失う」ということが附いておつて、余りひどくて従来非難があつたものはこの際効力がなくなるというようになつております。
  200. 前田穰

    ○前田穰君 まあ市町村の権限はどういうふうだかはつきり私よくわかりませんが、現実にこれは川崎市の例なんですが、まあその権限の問題があればその條例は別問題にしまして、現に公益事業等の占用の願出があつた場合に許可をする、その條件として当局で必要があつたら即時そちらの負担で撤去せいと、こういうような條件を附しておるのが非常に多いと思うのです。これは只今お話の不当な八十七條の二項に、いわゆる不当なものとお考えになりますかどうですか。
  201. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) どうも御質問が、ちよつと例がおありになるようでお示しになりませんのではつきりしないようでありますが、お答えいたしますと道路占用に條件を附するということは特別な場合でありまして、実際は公益事業等の場合には占用料さえも免除してよろしい。徴收しないというのが原則なんでありますから、だから不当な要求をし、不当な條件を附けるというようなことは原則にはないわけであります。ですからあなたが今おつしやつたところの現行法の規定におきましても、「道路管理者が不当なる條件を附けた場合には建設大臣がそれを取消すことができるという規定がありますにもかかわらず、この新法におきましては、なお八十七條の二項において不当な義務を課することとならないものでなければならない。」というふうに明確に規定しておりますから、あなたが今言われましたような不当なる要求を道路管理者が許可の條件として附すということは殆んどありません。
  202. 前田穰

    ○前田穰君 じや、具体的に申上げますが、これは川崎市の東京電力に対する占用許可の條件であります。「将来道路管理者に於て占用工作物の改築除去の必要ありと認め之を命じたる場合は許可を受けた者の費用を以て即時施行すること。」こういう條件が附いておるのです。これは従来の規定だというと、許可を受けた者の申請によつて主務大臣がまあ変更するなり何なりするということでありますから、それで東京電力はこれで止むを得んと思つてつたかも知れない。今度は若しそれが不当な條件だというのならば、八十七條二項によつて当然無効になる、こういうふうな違いがありますから、こういう場合は不当なのか不当でないのか。
  203. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) その場合は、條件を附けてありますのは実際それを自費で以て撤去を命ずるというような場合には、工事を行うというような場合にのみでありますので、工事を行う場合でありましても事前にこれを通告したり、適当なる措置をいたし、十分なる協議の上に撤去を命ずるわけでありますので、不当なる條件ではありません。
  204. 前田穰

    ○前田穰君 私は無論よく懇談をして、そうして殊に公共の事業なんかの場合には、これに代るべき場所を見付ける余裕を與えるとか何とか。そういつたことをして、そうして撤去を円満にやる場合には私は不当だと思いません。併しながらこういう條文を読んで見ますると、必要なりと認め命じたる場合にはそのものの費用で以て即時施行すること、こういうようなことが書いてあります。こうなつたならば、若し実行したならばこれは不当じやないか、こう思うのですが……。
  205. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 私はこれは道路法を改正いたすときに原則的に考えましたが、今までの観念から言いますると、六メーターの道路に電柱が路面に立つておりますために五メーターしか使えない。東京の旧市内等には六メーターの道路が四メーターしか使えないので車が入らない場合があります。こういうものに対する永久占用はこれはやつてはならないというふうに考えております。道路の幅員というものは有効幅員、使用できる幅員を一ぱいにしなければならないだからこれからの問題だつて仮設の電柱を立てるという場合は別でありますが、いわゆる東京電力に対するお説のような電柱はきつと道路の幅員内に立てるものであると思いますが、これは新規幅員拡張の場合とか、それから都市計画等によつて道路を整備する場合には当然無償で撤去してもらうという條件を入れてあるのでありまして、これは不当なものではない、こういうふうに考えております。
  206. 前田穰

    ○前田穰君 どうも質問と御答弁とがちよつと食い違つているようでありますが、結局そういう場合にはそう無理なことは実際にはしないであろうから不当は起り得ない、こういう御意見に解してよろしうございますか。
  207. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) その通りであります。
  208. 小川久義

    小川久義君 質疑相当進んで十五、十六日でしたか、その間に大抵質疑を終るという申合せもあつたように思うのですが、今日の採決は無理だと思いますが、この次の委員会くらいでも討論採決に入つたらいいのではないかという気もするのですが、今日はこの程度にしてということを一つお諮り願いたいと思います。
  209. 石川榮一

    ○石川榮一君 今小川委員の御説も御尤もで私どもさように考えたいと思います。今日丁度田中委員もいらつしやいますからこの間委員会におきまして、平衡交付金の枠の設定につきましての地方財政委員会に当委員会から申入れる案がまとまつておるはずであります。その後どうなつておりますかわかりましたらば委員長でも、発議者であります田中君でも御説明願いたいと思います。
  210. 田中一

    田中一君 今小川君から十六日か十七日に上げるという話合いであつて云々とありますが、そういう話合いは常に無視されております。従つてまだ前田さんのほう、或いはほかの緑風会のかたがた質疑があれば質疑を継続するのが妥当だと考えますから一応今日はこのままで打切るならば打切る。併し又後日そういう質疑があるならば質疑のあるかたは質疑をして頂くというようにして頂きたいと思うのです。殊に緑風会ではまだ今としての何と言いますか、話合いができていないようですからその点は小川君の提案をちよつと保留して頂きたいと思います。
  211. 小川久義

    小川久義君 これは田中君の言われるように申合せたことがいつも取消される、実行されないということになると将来の運営にも相当重大な影響があるので、丁度私が十四日の晩くにへ帰る用があつてその十四日の委員会では十五日、十六日で一つ質疑を終えて置こうと、そうして二十日の日には採決しようという話合いがついて僕は十九日の晩あわてて帰つて来たような恰好なんです。帰つて来て見て今日やるのかと思えばいややらんのだ、こういう話なんで、そういうことがいつも繰返されないように一遍申合せをしたことはその通りつて行く、そういうふうに委員長においても十分御高配を願いたいと思います。
  212. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 田中君どうしますか、小川君の発言……。
  213. 田中一

    田中一君 その通りです。
  214. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) では今日はこの辺で……。
  215. 石川榮一

    ○石川榮一君 だんだん会期も切迫して参りますので、又衆議院からこちらへ持込む予想のものもありましようから、委員長においてよくお調べ願いまして、そうして理事会を招集して一つのこの建設委員会のなすべき法案等を取調べ願いましてプログラムを一つつて置いて頂いて、理事会で以て大体の案をまとめてもらいまして委員会の承認を求めてもらいたい、その線で進んでもらいたい。ただ無意味に質問をいつ打切るかわからんような形で目標なしに行くことは甚だ不都合だと思います。どうかその整理をして頂きたい。すでにもう会期も迫つておりますことは皆さん御承知通りなんですから、誤つて時間切れなどにして審議未了になるというようなことでは大変遺憾でありますから審議した結果において賛否を決するならば結構ですが、それをなさずして荏苒百数十日のこの期間を空費したということになると困る。どうかその辺を御注意願いたいと思います。
  216. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これはこの法案が通過した後でいいわけなんですけれども準備の都合等があるからお伺いしておくのですが、今まで数回の国会において陳情請願されたものの中で、道路に関するものは大概道路法の施行を待つてという條件で保留になつておりますのですが、この道路法がいよいよ制定されれば、今まで道路法の制定を待つてという理由で保留された分も一緒に今度の国会で陳情請願を採決すべきだと思いますが、どういうふうにされますか。そうされれば今からもう準備をしておかなければならんと思いますが……。
  217. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  218. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。
  219. 田中一

    田中一君 先般の地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして当委員会とじて一応の申入れをしようということになりましたので、私今日午前中開かれましたところの地方行政委員会へ参りまして、委員会として決定されました件を申入れをしました。それは第一点は第十二條の測定單位及び單位費用に対して新らしく一項を加える点でございます。例えば「地方団体の種類、道府県の分につき経費の種類、土木費中に砂防費の号を加え、その測定單位として流路工の延長、崩壊地の面積を加えること。」こういう申入れをしました。これに対して建設省ではこれに対する費用の正確な算定がとれない、従つてただこれは挿入するという希望を申述べた点だけにとどめました。ごれに対する地方行政委員会のほうの答弁は、このことは十分考えておる、現在でも建設省と打合せをしまして何とか早いうちにこの砂防費の号を加えたい、これにはいろいろ問題がある、例えば農林省の持つておりますところの砂防費の問題、建設省の砂防費の問題等考えまして十分に考えております。こういう答弁があり、各委員にもこの点をよく了承して頂くようにお願いして参りました。第二点は「地方団体の種類、道府県、市町村共に経費の種類、公債費、災害復旧事業費財源に充てた地方債の元利償還金について地方団体單独負担事業費に関するものもこれに含まれるよう措置する。」これはいわゆる災害土木費は十五万円以下のものに対しては国が補助しておりません。この平衡交付金交付の算定基準としましては、国が補助をしたものに対する元利金の補助交付金ということになつておりますので、都道府県市町村の十五万円以下の分に対してもこの適用を或いは現在では一円につき九十五銭の交付金になつておりますが、これが八十銭とか或いは七十銭が妥当か存じませんが、地方財政の窮迫を告げておる今日この分も見てくれということの希望を申入れて参りました。以上であります。
  220. 石川榮一

    ○石川榮一君 先ほど国土総合開発法の話が出ましたので、ちよつと状況を申上げます。衆議院では大体今日の本会議で国土総合開発法の一部修正を含むいわゆる改正法の議案が通る、これは政府提案に対して一部修正をして通るんです。或いは明日にも参議院のほうに廻つて来ると思いますが、これは利根川開発法等に端を発しました法案であるのと、全国の資源の開発を特定地域を予算化せられる重大法案でありまして、是非今会期中に通してもらいたい、施行の日は六月十日ということにきめております。ですから来月の十日ということになりますと、もう延長を含んでおるわけでございますが、延長をどの辺まで延長するかわかりませんが、六月十日が施行の日になつておりますから、その辺を皆さんお含みを願いたいと思います。一つ経済安定にかかりまして連合会がありましたらば御協力願いたい。  それから又あとで申上げますが、鬼怒川の上流に今建設しております五十里ダムの現状視察をお願いしたいと思います。これは委員会として公式じやありませんので、利根川に関係を持つ府県の要望でありまして、これは地元の府県の要望でありますが、是非皆さんに多数御出張を願いまして、一晩泊りで行つてもらいたいと思いますから適当の機会に委員長からお諮りを願いたいと思います。これは非公式であります。
  221. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 本日はこの程度にして散会いたします。    午後三時四十九分散会