運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-05-15 第13回国会 参議院 建設委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十五日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君    委員            石川 榮一君            前田  穰君            門田 定藏君            松浦 定義君            東   隆君   衆議院議員            田中 角榮君   政府委員    建設政務次官  塚原 俊郎君    建設省道路局長 菊池  明君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    建設省道路局庶    務課長     浅村  廉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○道路法案衆議院送付) ○道路法施行法案衆議院送付)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします。  道路法案及び同施行法案を一括して議題に供します。両法案につきまして質疑のおありのかたは順次発言を願います。
  3. 田中一

    田中一君 運輸委員会からいろいろ質問がありましたので、一番重要な点は了承しておりますが、第三条の「私権制限」のところですね、現行法では私権に対する、例えば土地収用をしないという場合、民有地を借りていることになつているわけなんですが、その場合現行法ではどういう使用料支払の仕方をしているか。大体現行法では国道の場合ではどうか、府県道の場合にはどうか、市或いは町村道の場合においてはどうかという認定を誰がして……無論これは管理者がするのではないかと思いますが、どういうような形で以てそれを支払つているか。その現状を……、現行法によるところの支払状況、それから料金認定、そういつたものについて御説明願いたい。
  4. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 現行法におきまして道路を設けます場合には、先ず用地を取得するわけでございます。その用地の取得にも御承知のようにいろいろの方法がございまして、話合いで円満に解決のつく場合と、それから土地收用法規定によつて強権を発動する場合と、大体二通りあるわけでございます。  料金をどういうふうに支払つておるかという御質問につきましては、実は詳細な資料が今ございませんので、この場合にはどのように幾ら払うということはちよつとお答えいたしかねますが、まあ普通の常識上適当と認められるところに折合いを付けまして片を付けております。それから非常に特殊な場合でございますが、道路管理者側用地を取得しないで個人土地をそのまま道路に使わしてもらつておる場合があります。この道路法案第三条に規定いたしております「私権制限」という規定は、現行道路法にも同様の規定がございまして、さような場合に当てはまる規定でございます。つまり土地を手放すのはいやだ、自分の名前の土地にしておきたい、併し自分はその土地について別に地上権設定したり、永小作権設定するというようなことは考えない。道路に使つて頂いて結構だ。併し名義は自分のものにしておいてもらつて道路廃道なつたときには自分に返してもらいたい。例えば先祖伝来土地であつて、これを手放すことは工合が悪いというような場合が、これは非常に稀な場合でございますが、起り得るのでございます。かような場合には、これを無料で以て使わしてもらつて道路廃道なつた場合にはそのまま土地所有者にお返ししておるというようなことになつておる例がございます。さような場合には、私権行使制限を三条で規定しておるのでありまして、所有権を移転するのはかまわない、抵当権設定するようなことはかまわない、つまりそれは抵当権設定には何ら関係ないのであります。併し、例えばその土地所有権を持つておるから地上権設定してもいいじやないかというようなことで、地上権設定などをやられますと、道路公共性と忽ちぶつかりますので、さようなことは認めない。これは現行法考え方と同様でありまして、これが現行法は、河川法ではちよつと考え方が違つております。河川敷地については私権行使を許さんというような厳重な規定ができております。道路法では私権は認めるが、私権行使の仕方を制限するというような立て方でできておりまして、この法案考え方は同様になつておるわけでございます。
  5. 田中一

    田中一君 私の伺つているのは、今のあなたの御説明はそのまま了承しておるのです。ただ道路を構成する場所民有地である場合には、これについては御承知のように収用しない土地で、無論民間にその権利がある場合ですね、これに対する使用料の問題です。今のあなたの御説明ですと、話合い無料で使つているというお話がありましたが、私は無料で使うというのはやはり強権で民権を圧迫したということになると思うのです。従つて、これには妥当なる使用料が払われなければならないので、その実例を伺いたいというわけです。
  6. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 言葉が足りませんでございましたが、勿論無料の場合が原則というわけではございませんので、所有権を移転しないで使わしてもらう場合には、これを賃貸借というような形で借賃を払つておるというのが普通であります。これはどのくらいの率で払うかという御質問につきましては、ちよつと一概に申上げられません。これはいろいろなケースがあろうかと思いますので、ちよつと只今一概にかような率で払うということはお答えいたしかねますが、別に問題なく現在までやつております。
  7. 田中一

    田中一君 私は問題なくとか問題あるとか言つておるのではないのです。問題のあるなしの問題は、結局法の圧迫と言いますか、法の建前から言つて、屈伏しておるという形があつてはならんと思うのです。従つて、その意味を言つておるのです。料金の問題は誰が認定してどういうことをしておるか、賃貸借の契約というものは法の裏付けで以て圧迫しておるのではなかろうかということを質問しておるので了。現行法ではそういうようなトラブルがあつた場合がありますかどうか。
  8. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 現行法ではトラブル只今までございませんが、仮にありました場合には、現行法では訴願だとか訴訟だとかいう救済の規定がございますし、新法ではなおのことその点は気を付けまして、私権の保護ということにつきましては十分新らしい考え方を取入れて考えてございます。
  9. 田中一

    田中一君 第七条の認定の問題でございますが、この第一項第一号に「第三種漁港若しくは飛行場」とありますが、この飛行場の場合ですね。これは提案者に伺いたいのですが、この法案を作るときにどの飛行場を考えて、どことどこを考えて飛行場という文字を入れたか。もう一つは、若しも行政協定によるところの、アメリカ駐留軍が軍の専用飛行場として若し飛行場設定したと、その場合勿論これに連なる幹線がなくちやならん。その場合この法で以て大臣又は都道府県の長がそれを認定するかどうか。それからその工事をする場合、行政協定によるところの六百五十億、この中からすべきものか、或いは日本政府がすべきものか、或いは駐留軍がすべきものか、若し駐留軍がすべきものだとすると、行政協定のどこにそういう問題が挙つておるか、伺いたいと思うのです。
  10. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 飛行場認定は、軍の飛行場を全然考えておりません。これは新らしい道路法建前が新憲法に副うように、而も新らしい経済的、文化的、政治的な重要地点を縦貫連結する道路ということでありますので、空港というと一般的空港及び重要都市を指しておるわけでありまして、軍の純然たる軍事目的使用せられる飛行場重要飛行場として指定する意思は毛頭ありません。而も第二段の御質問にあるところの、例えば立川等軍専用飛行場についてはどうするかと、勿論これに対する新らしく作られる軍用道路がある、するならば、それは当然将来は道路法によつて律せられるものであると思うのであります。実際現在作られつつあるとか又作られるとか、軍が専用しているというような場合には、これに対しては当然行政協定による分担金によつて支出せられるべきものであつて一般道路費の中から出さるべきものでないと、こう考えております。
  11. 田中一

    田中一君 現在この飛行場というのは、どこを大体想定しておりますか。現在のあなたのおつしやるような産業、政治、経済、文化上必要なという、その定義の上に、どこを指しているのですか。
  12. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 現在のところ羽田、それから大阪、福岡というような、又将来札幌の飛行場、新潟その他民間航空によつて使用せられるもの等の飛行場を指しているわけであります。
  13. 田中一

    田中一君 これに関連しまして、道路重複の問題がありますが、然らば先ず駐留軍軍用道路というものは、軍用道路といいますが、まあ駐留軍だから軍用道路でしよう、これが都道府県の長、いわゆる管理者管理している道路重複した場合、その調停権管理権はどこにあつて、又そういう点については駐留軍話合いができているかどうか。これは重複の問題は何条でしたか、それをちよつと伺いたいと思います。そういう話合いができて、この法案ができているか。又その場合はどうするかということを考えられて作られたか。
  14. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは十一条でありまして、現行法の十六条と同様の規定でありますが、勿論道路法に明示せられる道府県道国道重複するような場所管理権は、日本政府にあることは論を待たないものであります。併しこれが駐留軍駐留のために特別に必要ある改修、補修維持というようなものが起きた場合には、当然その分担に対しては日本政府分担金より金をもらつて日本政府の手によつて維持補修を行なうということを考えているわけであります。
  15. 田中一

    田中一君 駐留軍の作つたところの専用道路というものは、現在の、これはまあこの委員会質問すべきものでないかもわかりませんが、同じ道路としての考え方を以て申上げますならば、それは専用道路に対しては、我々国民がそれを使う使わない、通る通らないの問題は、駐留軍そのものが権限を持つのか、或いはクロスする場合ですね、クロスする地点の上と下と両方に道が跨つている場合、その場合には行政協定においてはどこまでその使用……常識的な使用ですね、これは話合いができているかどうか、伺いたいのです。
  16. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 私は行政協定の衝に当つておりませんでしたので、そこまでは詳しくはわかりませんが、本法律案を立案し、審議をいたしておる私たちといたしましては、駐留軍が作るものであつても成るべく新らしい道路法を適用いたしたいと、こう考えております。併し実際一般的道路ではなく、純然たる軍用道路として作られ、而も純軍事的な目的にのみ使われておる場合には、当然向うが管理もしますし、維持補修も向うがするわけです。但し現在の府県道及び国道と交叉をするような地点に対しては、当然管理その他は日本政府が行うわけであります。
  17. 田中一

    田中一君 それはそういう協定ができておるのですか。
  18. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは現在の状態では私の感覚ではできておらんと思います。これは個々別々に日米合同委員会で協議をすることになつております。これが分担金によつて作られた道路、それから路線等所有権の問題その他の問題も徐々に解決し、妥結をするために日米合同委員会が設けられておりまするので、現在の状態においてはこのような細かいところまでは協定ができておらないのではないか、こう考えております。
  19. 田中一

    田中一君 七条の七項ですが、この「建設大臣が第五項の規定により路線認定すべき旨の裁定をした場合」には、この場合にはこの四号の「二以上の市町村を経由する。」云々とありますが、この場合にはこの都道府県議会議決を経ないでいいとなつておりますのは、これはどういうことでこれを謳われたのですか。
  20. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これはこの法律案規定いたします通り都道府県道都道府県知事都道府県議会議決を経てきめることになつております。市町村道市町村長市町村議会議決を経てきめることになつておりますが、二以上の市町村に跨る道路については、両者の意見がまとまらない場合に裁定をするのでありますので、いわゆる裁定についてはどちらかの意見がまとまらない場合もあり得るのであります。これにはこの議決を要しない、こういうことであります。
  21. 田中一

    田中一君 この「二以上の市町村」というのは或いは管理者同一の場合にはどうなりますか。管理者同一の場合ですが、この場合も議決を、承認を経ないでもいいのですか。
  22. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは路線認定の場合に各議会議決が異なる、議決でどうしても結論が出ないという場合にのみ裁定するのでありまするから、裁定の際には議決を要しないと、こういうことになります。
  23. 田中一

    田中一君 第十七条の「管理の特例」でありますが、この「指定市」というのはどこどこを指しているのですか。
  24. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 五大都市を指しております。
  25. 田中一

    田中一君 はつきりとおつしやれますか。
  26. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 横浜名古屋大阪京都神戸であります。
  27. 田中一

    田中一君 それから十七条の3の、これははつきりしておきたいのですが、「必要な技術的読替」、これは何を指しておるか、具体的に御説明願いたいと思います。
  28. 浅村廉

    説明員浅村廉君) これは、こうなりました場合には、私どもとしては政令で何をきめるかということになりますと、この十七条では只今説明がありました五大市指定市としまして府県並の扱いを受けるというようなことが規定してございますので、この道路法の各条文の中に「都道府県は」とか、或いは「都道府県の長は」とか、いろいろ書いてございます規定を、五大市限つては「五大市は」とか、「五大市の長は」とか、読替えなければならないという問題が起るのであります。これを一々このほかに書いたのでは大変なことになりますので、政令譲つたのだろうと思いますが、政令では一つ一つしらみつぶしに各条文を検討いたしまして、そうしていわゆる読替規定五大市府県並に扱うための読替規定というものを事細かに規定したいと考えておるわけであります。
  29. 田中一

    田中一君 この指定市というのは、今提案者の御説明によつて横浜名古屋大阪京都神戸の五つだという御説明があつたのですが、このほかに若しも市が自分の財政上可能だという範囲において、自分の市内における道路管理をしたいということの申出があつた場合には、どういう形で、又それを承認するのか、しないのか。
  30. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは現行法通りでありまして、そこまでは考えておりません。
  31. 田中一

    田中一君 指定市を指定する根拠はどこから持つて来て指定するのですか、その関係を御説明願いたいと思います。
  32. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 五大市、いわゆる指定市は現行の第十七条の但書にありますように、現行法通りを踏襲しておるわけであります。ちよつともう一言申上げますが、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五条第二項に規定する市……指定市はこういうふうに法律を以て規定しております。
  33. 田中一

    田中一君 ちよつとこの道路の問題とは外れるかも知れませんが、質問したいのは、いわゆる今問題になつておりますところの特別市制に該当するところが指定市、こういう所と了解してよろしいですね。
  34. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 特別市制問題とは全然関係ありません。
  35. 田中一

    田中一君 十八条の「供用開始」、供用開始はその路線計画通り完全に完成したという場合に供用開始をするのかどうか、或いは仮供用とかいう点で以て事前に通行をなし得るという状態ならば、それをさせるかどうか。そういう点が……。
  36. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 計画通り事業が完成した場合に開始します。
  37. 田中一

    田中一君 新京浜国道は現在供用開始はしておるものですか、しておらんものですか。
  38. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 新京浜国道は実はまだ当初の計画が完成いたしておりませんので、純理論的に申しまして只今まだ供用開始の手続をとつておりません。と申しますのは、これはまだ工事期間中だという考え方でございます。
  39. 田中一

    田中一君 我々あそこの通行者の通念としては、道路にああしてあらゆるものが激しく通つておる、その場合には無論ここには工事しなければならんということになつておりますが、工事は無論仮供用ならばしてないわけなんでしようね。その場合、供用開始と同じような状態において使つておる現在ですね、これは一体どうしていつこれが完全なる法的な根拠を持つ供用開始ということになるのかどうか。又こういうような路線がたくさんあるのじやないかと思うんです。その場合、それに対しては現在どういう形で以てやつておるか、仮供用という形でやつておるのか、その点現在あるところの仮供用の形の路線を御説明願いたいんです。
  40. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 新京浜の場合は先ほど申上げました通りでございますが、あれが歩道まで全部完成いたしまして、直轄工事の手を離れまして、もとの管理者に、つまり府県知事管理が移ればそこで正式の供用開始が始まる。だから国道等でそういう場合は先ず当初の計画通りに、鋪装計画があれば鋪装までしまして、それで橋梁もちやんとできまして管理が移れば、そこで恐らく供用開始をすると思います。
  41. 田中一

    田中一君 然らばその新京浜の例をとりますと、建設大臣が今施工者となつておりますが、建設大臣はあの道路閉鎖を強行することは可能なんだという法的根拠はあるんですか。
  42. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 工事都合等に応じて閉鎖の必要が起れば、そういうことはあり得ます。
  43. 田中一

    田中一君 そうした事例は、新京浜以外には直轄工事でやつておりますものはどこどこでありますか。
  44. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 目立つものは新京浜ぐらいでございます。但し国道工事でまあ一応通れるようになれば成るべく早く正式の供用開始はしなくても通そうという趣旨で通しておる部分はあります。
  45. 田中一

    田中一君 多少賃取道路関係する質問をお許しを願いたいと思うんです。新京浜国道を法的な根拠なしに通行させたという場合ですね、これに対してあなたのほうで通行を禁止するということの法的根拠があるわけなんですね。この法律から見ます場合には、その場合そういうことをした例はありますかどうか。又新京浜国道の場合、賃取の法案が通らんとしたならば、通行を禁止するようなことがあるかどうか。伺いたいと思います。
  46. 菊池明

    政府委員菊池明君) そういうことは全然ございません。
  47. 田中一

    田中一君 そうしますと、法的根拠がなくて供用開始はしておらんけれども、一遍通したものは必ず通すと、特別に障害がなければ通すと了解していいんでございますね。この二十四条の道路管理者以外の者の行う工事、これを一つちよつと詳しく説明して頂きたいのですが。
  48. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは請願工事規定したのでありまして、私人ですね、道路管理者の許可を受けてその工事を行うものであります。
  49. 田中一

    田中一君 この場合私人ですね、民間人工事をする。無論それには相当の資金が投入されるわけです。その資金国有の、国の常造物或いは都道府県営造物市町村営造物と、ここでは定義されておるわけでありますが、この法律によりますとその場合これは寄附行為で行くのですか。それともどういう形で以て国庫に編入されるのですか。民間で投資した財産というものは……。
  50. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは請願によつて工事を行わせるのでありまして、寄附行為ではありません。
  51. 田中一

    田中一君 併し個人の持つている資金財産を……この道路そのものは国が持つておる営造物であります。併しこれに対して只今その管理者が或る会社に命じて、その道路の修理に金を支出しなければならんという場合に、これは寄附行為か、或いは何かの形で以てこの資金を処理しなければならない。やはりそのまま残つておるのだと思います。その場へ残るわけです。ところがこの財産を受取るものがありますればやはり課税の対象になります。そうしますれば国として、都道府県として受取るに、どういう形式を以て受取るかということであります。
  52. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは工事道路の基準に合うか合わないかというだけで以て、技術上受取るだけでありまして、財産としては受取る必要はございません。これは一つの例を申上げますと、会社自分のところの自動車を通すために道路工事しなければならないという、こういうふうな請願工事がたくさんありますが、これは会社支出をしたからと言つて、国の財産が殖えるわけじやありません。これはその会社が移転し、又急に復旧しなければならん場合は、特に国が原形復旧に金を支出しなければならないというような場合もありまして、会社はただ請願が通過したというような証明書によりまして、これは欠損処分として毎期欠損に落せるわけでありまして、国がこれに対して財産的な措置をしてやらなければならないというようなことはないという考えであります。
  53. 田中一

    田中一君 然らばこの請願によつて工事をいたした場合の費用というものは、欠損勘定で落せるということははつきりしておるのですか。これは提案者に伺うのもどうかと思うが、今日まであつたところの事例によりますと、その場合には必ずこれは欠損勘定として、会社のもの、個人のものとして扱われるのですか。はつきり伺いたいと思います。
  54. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。これは欠損勘定の場合と資産勘定の場合との両方ありますが、これは赤字が非常に出ておるような会社では利益勘定で落しております。これは地上権であり、そうして地上権及び建物に附属する利益として欠損勘定に廻さない会社もありますが、実際から言いまして、利益のある会社は殆んど全部かかるものは欠損勘定で落しておるのが通常であります。
  55. 田中一

    田中一君 その点は、負債があつてこれが工事にならない、これは請願によつて相当な、仮に百万円ばかりの資金を投入した場合には、これは請願した会社自体の経理に及ぶのみならず、重大な影響がありますから……。時間もありますから、これは一応説明し得る適当な政府委員にお出でを願つて、正式に一つ説明願いたいと思います。
  56. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは国有の物件に対する出費は、決算面におきましては税務署及び国税庁でも全部損勘定に認めております。これは原則であります。いわゆる利益勘定になるものは転売するような場合に利益勘定として算定できる。いわゆる財産権を有する者以外は全部損勘定であります。
  57. 田中一

    田中一君 若しもその会社が仮に自動車会社であつて、その道路から自分敷地までずつと歩行し得る道路を作る。これは会社経営の上から言つて見ても、これがたとえ国道であつても、都道府県道であつても、これは会社自身自動車会社経営するには、少くともこの場合にはただ利用の権利があるのじやないかと思います。その場合、それを利益と見るか、或いは損失と見るかという点は、今提案者利益の場合はこうするのだ、損の場合はこうするのだというから、これはその請願会社の事実上の問題を言われたと思うのですが、原則は、国の所有権に対する支出と言いますか、その場合にはこれは損勘定だという原則は間違いないですか。
  58. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは普通の場合、寄附金というものは、利益勘定に入れる寄付金と、それから損勘定に入れる寄附金とあります。これは政党に対する寄附金なども損勘定に入れようというふうに今盛んに運動を起しておるような状態でありまして、この点は非常に微妙でありますが、大体常識的に考えまして、その支出をした会社自体損勘定で落すということが確定した場合、これを徴税当局利益勘定に算入するということは、国営や県営及び公共団体財産に附加した支出に対しては殆んどございません。これはもう私も関係しておりますが、原則的にありません。但し会社自体赤字経営会社つて決算面利益を計上したいというような場合は、こういうものを利益勘定にしております。もう一つは整理をした結果、早急に売払いたいというような場合には、これを利益勘定として会社の資産面を大きくしておく。併し又銀行や金融機関等、対外的な信用のために相当大きくかかつた資本に対しては利益勘定にして、これを何カ年かの分割にして損勘定に落して行くというような点がありまして、これは国税当局が言うのではなく、会社自体認定によつてプラス、マイナスの両面に計上できる。こういうわけであります。
  59. 田中一

    田中一君 ちよつとその点は納得できないものがあるので、これは誰か政府委員から聞きたいと思います。
  60. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは間違いありません。
  61. 田中一

    田中一君 これは納得しないことにして、何かの機会にもう一遍又伺います。
  62. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これはまあ納得しないと言われれば、これは国税庁のかたに聞いて頂けばいいのですが、私が一つ率直に私の考えておるところを申しますと、私鉄が国鉄との交叉のために金を出します。この交叉のものが国有鉄道の財産になる。それから私鉄が電化をするような場合、軌道会社が電化をするような場合、引込線等に対して配電会社に対して分担金を負います。それから配電設備、受電設備等を入れてもらうために、その三分の一乃至二〇%の金を負担いたします。こういうものは全部損勘定原則的に落ちておるのでありまして、これはもう会社財産権として登記をし、而も特別な法律がない以上は、いろいろ法律的な擁護を受けないで、利益勘定に算入できないものは全部損勘定として認めるわけでありまして、これはもう利益金を特別に空伝票等を切つて寄附金名義で出したり、又特別なる目的のために支出した寄附金以外は全部損勘定になることは常識であります。
  63. 田中一

    田中一君 それでは先ほどの会社の経理上のやり繰りのために云々ということは、もう伺わないことにしまして、全部損勘定だということにしましてよろしうございますか。
  64. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 結構です。
  65. 田中一

    田中一君 二十五条に「条例で定めるところにより、料金を徴収することができる。」というのがございます。これは無論都道府県道又は市町村道に対して賃取橋、賃取渡船施設というものを認めた条項と考えられますが、国道の場合にはどうなんですか。又もう一つ国道そのものの、道路そのものの整備をやつた、これに対しては有料か無料かという点は基本的にどういう工合に考えておられるか。明確に説明願いたいのであります。
  66. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。道路は私がいつも申上げるように原則としては国でやるべきでありまして、有料でやりたくないということは、これはお互いの気持でありますが、これは現行法二十七条に規定してあることと同様なものでありまして、国道等については只今御審議願つておるところの道路整備特別措置法案に譲つておるわけであります。
  67. 田中一

    田中一君 原則としては、国道は全部無料公開というのが原則だということを確認してよろしいのでございますね。
  68. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) そうあるべきであり、そうありたいのでありますが、今度同時に御審議願つております道路整備特別措置法案が通過をいたした暁には、道路法及び特別措置法によつて処置されるわけであります。
  69. 田中一

    田中一君 大正八年法律第五十八号の精神も、新法の精神も道路無料公開という原則は崩れておらんわけでありますね。この二十五条の規定は単なる特例ということに解釈してよろしうございますね。
  70. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) その通りであります。
  71. 田中一

    田中一君 この際、有料の橋又は渡船施設とありますが、これはなぜ橋又は渡船施設に限定したのか、この点を行いたいと思います。
  72. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 現行法の二十七条をそのまま踏襲するという意味から限定いたしておるわけであります。
  73. 田中一

    田中一君 現行法がなぜ橋又は渡船施設に限定したかを伺いたいと思います。
  74. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは例えて申上げますと、江ノ島の弁天橋等がその一例であります。大体橋又は渡船施設以外にはこのようなものは今まではやつておらなかつたわけであります。
  75. 田中一

    田中一君 今までやつておらんから、又ここでもやらないのだという考え方なんですか。又もう一つ隧道ですね、相当な工事の……。私の伺いたいのは橋はうんと金がかかるとか、或いは渡船施設は金がかかるとかいうことでそうきめられたのか。若しそうならば隧道などはなぜ除外したか、この理由を御説明願いたいと思います。
  76. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 私は道路整備の根本的な利益から考えまして、現在の国庫財政、いろいろな周囲の状況を考えましたときには、橋及び隧道、渡船施設等多額の費用を要し、特に地元公共団体支出及び国家財政だけで賄えず、非常に長い間、公共事業として指定せられてからも、橋を一つかけるのに十年も通行止めをしなければならないというような状況でありますので、このようなものに対する特例を開くことは、特に橋及び渡船施設に限らず、隧道を含めることもよろしいと、こう考えております。
  77. 田中一

    田中一君 この有料の橋又は渡船施設に対しては、私ちよつとその関係法を知りませんが、運輸省所管のほうに道路運送法ですか、これにあるのですが、民間がやる場合の規定は……。
  78. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 道路運送法に自動車道路として規定してあります。
  79. 田中一

    田中一君 この規定は、結局その都道府県又は市町村がやる場合には建設大臣の許可を受けてできるということを規定してあるのですね。従つてこれは先般からこの委員会にもかかつておりますところの賃取道路法案、これと裏腹になるものと考えてよろしうございますか。あれをやるためにこれがあるのですか。それとも旧法にこういう規定があるためにこれを持つたものですか。
  80. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 道路整備特別措置法案とは全然別なものでございまして、現行法を踏襲したわけであります。道路整備特別措置法案は新らしい観点に立つて新らしく道路を整備しようという観点から立案されたものと思ういます。
  81. 田中一

    田中一君 第二十七条のこの「権限の代行」、道路管理者の権限の代行ですが、ちよつとこれは政府委員から簡単に趣旨だけを御説明願いたいと思います。
  82. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 新法の二十七条の規定は、旧道路法、現在の道路法におきましても同様な規定がございます。一口に申しますと、建設大臣直轄工事を行います場合には、道路管理者の権限を道路管理者に代つて行使をすることを規定したのであります。どういうふうな権限をどういうふうに行使するかということは一概にきめられませんので、これはいろいろ詳細に検討した上、政令でこれをきめようということで、現行法の立て方も同様になつております。法律では権限を代行する旨を規定しまして、その詳細を政令に譲る点は、これは現行法と全然同趣旨でございます。
  83. 田中一

    田中一君 一つ事例としてどういう場合を言うか、ちよつともう一遍……。
  84. 浅村廉

    説明員浅村廉君) 例えば道路を築造いたします場合に、工事をやる前に先ず区域を決定するというような一つの問題がございます。道路としての管理権が将来及ぶ範囲を道路の区域としてきめるというようなことは、これは道路管理者一つの権限であります。併しながら工事を直轄いたします場合には、さようなことを建設大臣が先ずやるということが権限として認められませんと、非常に支障を来たすというので、さような権限を持たしております。それから例えばいろいろあとにこの法律にもございますが、隣地に立入る権利だとか、工事のためのいろいろな管理者の権限がございます。他人の土地に立入る権限などはいろいろあとのほうに規定がございます。これは現行法にもございます。かような権限は工事をやるために必要な権限でございますので、どうしてもこれを離すわけには行かないということで、建設大臣が代つて行使をすることになつております。それから例えば道路の占用ということは、道路ができ上つてから占用させるのでございますから、これは本来の管理者が行うというような考え方現行法でも行われております。
  85. 田中一

    田中一君 その際、この法律できめられておるところの正しい道路管理者との協議はどういう形で持つて行くわけですか。協議後にこれをやるのですか。或いは建設大臣自分の権限として、この法律二十七条の権限によつて代行するのですか。その点はどうなつておりますか、又その管理者がそれは困ると言つた場合にはどうなるか。そういう点は調整はどういうことに……。
  86. 浅村廉

    説明員浅村廉君) これは政令で定めるのでありまして、政令でさような定めがなされますれば、管理者直轄工事の場合にはこれだけの権限は直轄、つまり建設省側で代行するということは初めから当り前のことに考えておりますので、別に問題は起りませんし、なお現実の問題としてはいろいろ連絡をとつてつておりますから、現行法において別にそれについて特に問題が起つた事例はありません。
  87. 田中一

    田中一君 そうしますと、この問題については事前に管理者とは相談して権限の代行をやるということに了解してよろしうございますか。
  88. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 政令で初めから規定いたしておりますので、管理者政令を十分承知をしておりますし、現実的には十分承知をして、お互いが協議をすると同じ条件になるわけであります。
  89. 田中一

    田中一君 それに反対な意思表示をした場合にはどうなりますか。それが一つと、それからこの場合ですね、地方議会の決定を待たないでもいいわけですか。
  90. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 政令法律によつてきめるのでありますから、法律によつて政令規定せられるのでありますから、議会も拘束されるわけであります。
  91. 田中一

    田中一君 三十九条の「占用料の徴収」ですが、これは結局公共団体であつても、企業に類似したものの場合には、占用料を払うという建前のものと了解してよろしうございますか。
  92. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 公営企業に対しては占用料は取り得ると解釈しております。
  93. 田中一

    田中一君 若しも市町村或いは都道府県がその道路に沿つたところの空地で以て、博覧会をやる。その場合、そこに道路を一間くらいの幅で以て、ずつと道路沿いに、道路も含めて売店でも設けるという場合は、これは無論都道府県並びに市町村はその売店から無論使用料をとつておるに違いないのです。その場合、その経営する主体が都道府県又は市町村であつた場合には、これはただそれを使用する許可というものは、管理者であるところの市町村長又は都道府県知事に占用権を許すわけなんでありますが、その場合、今申上げたような事例で以て、それを又貸して、それで金をとつた場合は、これは都道府県或いは市町村経営した場合にも、そういう場合にもこれを払うわけですか。
  94. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 占用料は取り得るわけであります。ところが博覧会とか、そういう特別な問題に対しては、府県市町村が主催でありますので、この場合には管理者との間に十分協議があるわけでありまして、これには幅を持たしてあるわけでありますから、原則としては利益のある者からは当然徴収できるという原則でありますが、実際問題としては十分協調して、いろいろな問題が起きて来ると思います。併し原則的には占用料は徴収できます。
  95. 田中一

    田中一君 そうしますと公共事業体であつても、利益のあるものからは占用料を徴収するということに了解してよろしうございますか。
  96. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) その通りであります。
  97. 田中一

    田中一君 第四十七条の「車両の通行に関する措置」、これは先般同僚議員からも質問があつたと思うのですが、自動車運送業を許可するのは、運輸省が許可することと思いますけれども、許可をした場合、この道路管理者は運輸省が許可をした場合、これは事前に運輸省と連絡をとりまして、協議をしまして、この許可をするのですか、或いは一方的に運輸省が勝手に許可をするのですか。
  98. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 現行法では運輸大臣がバス免許を与える場合には、道路管理者意見を聞かなければならない。併し現実的には府県道路課を書類が経由いたしまして、土木部長の承認を経て許可をしておるのでありますが、ままそういうことをしないで、九尺の道路に二間のバスを許可するようなことがあります。
  99. 田中一

    田中一君 その際協議をせずに、或いは協議ではつきり了解せずに許可した場合、この場合にはここを通れるような道路の措置をその業者にさせるという規定が三項にあります。これはたとえ運輸省が許可しても、そういう通れない状態、或いは沿道の人家なり何なりに危険を与える場合には、それを拒否する権限を道路管理者は持つておるのでございますか。
  100. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは実際に運輸大臣が免許を与えた場合には、道路管理者と十分連絡をとつて、それで実情を調査をして、厳重なる条件を附けて許可をした場合には、このような問題は起らないのでありますが、実際上バス会社が免許を受けますとバス運行の度数を増したり、それから臨時運転を行いましたり、それからバスを運転しておるときに、場合によつては或る時期に或る区間を大型バスを運転するというような場合、実際九尺の道路を九尺一ぱいな車が通り通行人に迷惑を非常にかけておる場合がございます。これは牛車などではなく、自転車や人間まで田んぼの中へ逃げなければバスの運行ができないというようなことがありますので、これに対しては当然退避場を作つたり、何かする措置を命ずる規定が必要である、こう考えております。
  101. 田中一

    田中一君 第四章の費用の問題ですが、管理費は無論道路管理者がこれを負担することになつておりますが、地方によれば相当財政上困難な県、市町村が多いと思いますが、この際は平衡交付金制度で以てとの管理費を調整するという建前になつておりますか。
  102. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 管理費のうち、維持補修費のように金のかかるものは平衡交付金の対象になつております。ところがお金が少いために実際はそこまで行つておらないようであります。
  103. 田中一

    田中一君 道路が、非常に金がないために補修ができん、維持ができんということで非常に危険な状態になつておるという場合には、これはいつでも管理者はその大型バスなどの通行を禁止することが、この法律でできるのですか。
  104. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 本法案の四十六条に規定してありますように、道路が悪いような場合には禁止ができる規定があります。現行法でもその通りであります。
  105. 田中一

    田中一君 第五十六条のこの「道路に関する費用の補助」、これを一つ詳しく御説明願いたいと思います。
  106. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 現行法では、道路の修繕に関する法律で、国道から市町村道まで、修繕維持に関する費用にも全部国が補助することができるようになつておつたのでありまするが、私たちの改正原案では、道路の修繕に関する法律は新法の公布と同時に廃止をしたいというふうに考えておつたのでありますが、いろいろな御意見がありまして、私が先に提案理由の説明と同時に申上げましたように、道路の修繕に関する法律は、特に議員提案でもありますし、これを廃止することは時期尚早であるという御意見がありまして、道路維持修繕に関する費用も国の補助の対象にするという現行法通りにしたわけであります。
  107. 田中一

    田中一君 第五十六条の「主要な都道府県道若しくは市道」と、この市道だけを特別にここへ挙げたのはどういう理由ですか。
  108. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) そう強い意味で挙げたのではなく、ただ都道府県道又は市道を整備する場合というのでありまして、調査その他を行う場合には各道が全部行えるわけであります。
  109. 田中一

    田中一君 ここにだけ市と書いてありますが、この第五条、六条、七条などに、例えば「重要都市」とか或いは「主要地」とかいうことを定義しておりますが、この場合の市道というのはこの定義のうちの何に該当するのであつて、又これの認定は誰がどうしてするのか。もう少し明確に説明願いたいと思います。
  110. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。これは一、二級国道政令で定めますように、新らしい観点、新らしい立場から十分研究しまして指定いたしたい。こう考えるわけであります。
  111. 田中一

    田中一君 どうも突然「市道の整備」ということが出て来たのですが、ここに言つておるこの市道は、前項のどこに該当するのですか。
  112. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これはまあ率直に申上げますと、原案においては道路の修繕に関する法律を廃止することになつておりましたので、そうしますと非常に今までよりも国の補助が少くなりますので、その場合に都道府県道及び建設大臣指定する市道というものをすくい上げたつもりでおりましたが、今度は道路の修繕に関する法律をそのまま生かすことになりましたので、多少字句の上には面白くない表現があるかもわかりませんが、事情はそのような次第であります。
  113. 田中一

    田中一君 ちよつと、これは提案者にくどくて申訳ないけれどももう少し……。市道というものはいろいろな定義や、いろいろ認定の問題や、いろいろ問題がありますが、このどれに該当するのかということは言えないのですか。
  114. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 府県道及び市道には認定の基準がないわけであります。併し市道をきめる場合には大体市議会議決を経てきめられるわけでありますから、わかります。
  115. 田中一

    田中一君 どうもちよつと明確でないように思うのです。私の頭が悪いのかどうか知りませんが。
  116. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 都道府県道都道府県議会議決を経て都道府県知事が決定いたします。それから市道は市議会議決を経て市長が認定いたします。この中から特に重要と認めるものを建設大臣指定する。府県道及び市道のうち認定したものについて補助率を云々と、こういうふうに規定しているのであります。
  117. 田中一

    田中一君 この重要なる市道というものは、この法律のどの条文であつて、誰が認定するという項目があるか、条文があるか、御説明願いたいと思います。
  118. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これはこの第五十六条の条文によりまして建設大臣指定する、これだけであります。この五十六条は費用を補助できる規定でありますので、「国は」というのが主体でありまして、建設大臣指定した、何々に、このような補助ができると、こういうふうな規定であります。
  119. 田中一

    田中一君 この法律を施行するに当つて、政治的な含みがないように提案者にお願いしておきます。
  120. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) かしこまりました。
  121. 田中一

    田中一君 六十一条の「受益者負担金」の問題ですが、これはもう運輸委員のかたから質問があつたので、余りくどく聞きませんが、「著しく利益」というのはどの程度を指しているものか、事例があれば事例によつて説明願いたい。
  122. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは現在の道路が、府県道において基準が五メートル五十であるものが、実際は三メートル五十乃至四メートルしかなくて、バスの運行が全然きかないというようなものがあります。このようなものや、それから道路の幅員は五メーター十分ありまして、バスの運行には差支えないのでありますが、橋梁が腐朽いたしておりますために、全然その橋梁が一箇所通れないために、バスの運転ができないという場合もあります。もう一つは四トンぐらいの橋梁に対して六トン車、七トン車を特別な事情のために通すというような場合があります。それから道路の殆んどすべてができておるのでありますが、或る一定の箇所だけが災害等によりまして、認証にはなつておるけれども、認証金額だけではできない、多少府県市町村が負担しなければならないけれども、市町村が負担するには、工事の重要度から言いまして、工事ナンバーが非常に低いところにあつて、もう一年も二年もその工事を完成することができないというような場合、特にバス業者が免許を申請するような場所は、橋は私たちが直しますから、道路の拡幅に対しては、その五分の一乃至十分の一の費用を負いますからという請願工事を行うことがあるのであります。今まで全然ほかの牛馬車が通るには支障がなかつたのでありますが、バスを通すためにバス会社利益を得る、現在でも寄附金名義、負担金名義で徴収せられておるわけであります。このような特に受益する業者と、こういうふうに規定しております。
  123. 田中一

    田中一君 これは先般も質問があつたと思いますが、各府県、各市町村で一定の、負担金の率は違うと思うのですが、こういう点を何か政令で一定の基準をきめるとかいう考え方はないですか。
  124. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは六十一条が……当時いわゆる特別負担金がありました時に、条令でとつておる県もありますし、とつておらない県もありますが、この受益者負担というものは両者の完全なる協議によつて妥結点が見出されたとき工事が始められるのでありまして、いろいろな条件もあり、事情も違いますが、全国的な政令で以てきめるということは妥当でない、こう考えております。現在政令できめるつもりはありません。ただこの条文がありますので、この条文を楯にとつて都道府県市町村が過重な負担要求を行わないように通達を出すつもりでおります。
  125. 田中一

    田中一君 今提案者の御説明のあつたように、橋とか道路とかを拡げるとか、常時通るバス会社のようなものが寄附金の形で以て工事費を負担しておるという場合、大体においてこれは全額を負担するんですか。それとも今までの徴収といいますか、寄附金の受入れ方を、その工事の全額或いは何分の一とかいう比率で以てもらつていますか。現在どうですか、その実際は。
  126. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。これも例は非常にいろいろあります。工事を各府県及び地方公共団体が行うことに決定しております橋等については、受益者がそのうちの何分の一かを負担し合うというような協議の下に負担金をきめる場合もありますし、全然一般の交通には支障がない、併し一部分橋梁を直さなければ重量車の運搬ができない。だから特別にこの橋を直してくれというような場合には、道路は傷めるけれども道路の損傷金は徴収しない。併し橋だけは十分運行できるように改築せしめる。その代りにその費用は金額負担しろというような事情がありまして、これはもういろいろな状況において違いまして、両者の協議が成つた場合、初めて工事費の負担額がきめられておるわけであります。
  127. 田中一

    田中一君 この六十一条の受益者負担金の場合ですね、何ら条例できめるなり何なりして、協議の項目はありません。今度六十九条の損失の補償の場合には、道路管理者と損失を受けた者とが協議しなければならないということになつておりますが、これは建前からいつて、損失を受ける者に対しては協議する。取るほうは一方的に勝手だというような印象を与えるわけでありますが、この場合どう考えられますか。六十一条の受益者負担金の場合と、六十九条の損失の補償の場合と、片方は損を受ける者と協議する、片方は勝手に出すのだという建前は甚だ非民主的じやないかと思うのですが、どうですか。
  128. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 第六十一条の場合と比べまして決して非民主的にはなりません。これは条例で各都道府県議会議決を経る場合には、三項に書いてありますように、地方自治法第二百十七条第三項及び第四項の規定によつて公聴会を開いてやりますので、受益者の意見は十分表明されるわけでありますし、最後は表決でありますが、実際は協議妥結という結論に持つて行かなければ公聴会の結論は出ないのでありますから、十分受益者の意見は述べられるというふうに考えております。
  129. 田中一

    田中一君 雑則の八十八条ですが、「道等の特例」、これはなぜ北海道だけが又ここで特例……利益を受けなければならんかということは、この法を立てる場合にどうお考えになつておりますか。北海道というものには国民のうち、いろいろ特別に重点を置いて援助しなければならないものかどうか。これは曾つて我々が審議した北海道開発法案にしても、特例を北海道だけになぜ設けなければならないかという理由は、まあここに東議員もおりますけれども、北海道以上に開発すれば有効に国民の生活に寄与し得るという地帯がたくさんございます。だけれどもそれにもかかわらず、なぜ又ここに北海道に特別な措置を、利益を受けるということを挙げなければならんか。これはまあ自由党の、提案者であるところの田中君は自由党のかたですから、自由党をも含めた考え方を、与党の考え方一つ表明して頂きたいと思うのです。
  130. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは私の考えも田中さんの考えと同じだと思うのでありますが、党の中でも、又衆議院の建設委員会でもいろいろな議論がありました。併しこれは現行法をそのまま踏襲しておるのでありまして、北海道は太政官布告当時から開発地区でありまして開拓地として保障をせられておつたわけであります。いわゆる既得権であり、ここに東さんがおられるので言いにくい話でありますが、これは北海道そのものにこのような特例をいつまで設けることがいいか悪いか、審議しなければならないという発言がありましたが、これは審議をしなければならないのでありまして、今北海道の特例を廃止するという段階ではないということだけは原則的であります。その意味で北海道の特例は既得権でありますので現行法通り認めるべきであり、而も飽くまで新らしい見地から考えても、北海道の開発はこれからより以上新らしい観点において開発をしなければならないのではないかという相当強い意見もありますし、私自身もそういうふうに考えておりますが、現行法をそのまま踏襲する。但しあなたの言われましたように、北海道以上に、又北海道と同等な開発が必要な所もある。そのような地域に対して特例を設けないことは不合理じやないかという御意見がありましたので、八十八条を改正いたしまして「道等」という、北海道だけではなく、内地においても北海道と同等以上に必要な所にはこの特例を設け、全額国庫負担の恩典を与えることが妥当であるという結論に達し、修正をいたしたわけであります。
  131. 田中一

    田中一君 八章の罰則ですが、これは現行法はどうなつておりますか。
  132. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 現行道路法には罰金及び科料が規定されております。
  133. 田中一

    田中一君 この一年以下の懲役、三万円以下の罰金。そうすると現行法では懲役がなかつたわけですね。今度初めて懲役刑を科するということになつたんでしようが、又九十九条に三年以下の懲役ということになつておりますが、これは今日の何というのですか、刑法の罰則の通念といいますか、こういうようにどの法律もこのような罰金刑だつたものが大体においてみんな懲役刑になつておるような勾いがするんですけれども、一体これは法制局で作つたんでしようが、これは政府のほうに伺いたいのですが、従来道路法の施行に当りまして、この刑法の罰則のうちの懲役刑に値いするような犯罪があつたかどうか、伺いたいと思うのです。
  134. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 今までは全然ないそうであります。而も新らしく道路法に懲役刑を規定したことに対して、いろいろ衆議院の委員会でも審議したのでありますが、これは河川法に一年以下の懲役という規定がありますのと、新らしい土地收用法に一年以下の懲役、及び道路運送法に五年以下の懲役又は罰金刑というものがありまして、特に公共物に対する公徳心に訴え、日本の法律においてもこのような規定を作ることも悪いことではない。こういうような考えから来ておるわけであります。
  135. 田中一

    田中一君 刑罰の体系からいつてどうなんです、これは。そういうような形でです、片方には民主的な刑法を持ち、片方には別にそういう伝家の宝刀を持つて、極力お前をしばるぞというような印象を与える立法措置というものは、改悪だと思うのです。現在までも道路を破壊し、又交通の危険を生じたいわゆる懲役刑に値いするような犯罪がなかつたというならば、あえてここに体刑を科すというような罰則を設けんでもいいじやないかと思うのです。ただ従来の法律の、河川法がこうだから、あれがこうだからと……河川法の場合にはいろいろ難点があるのですが、まあこれは見解の相違で以ていろいろ分れるでしようけれども、私自身としては憲法の精神から言つても重く罰するということは将来日本が警察国家に移つて行くのじやなかろうかと、皆国民が心配しておるのです。その段階において、これはまあ政府も相当考えなければならんと思うのです。この三年以下にした根拠というものは、河川法とかその他の類似の法律にあるからやつたんだというような提案者の御説明ですが、条件がおのずから違うと思うのです。道路の場合は河川の場合、道路運送の場合とは違うと思うのです。人命に直接関係があるとかいう問題が多いと思うのですが、これは衆議院じやどういう審議をされたか知らんですが、何かこれを変えてもいいというような意向は提案者にありませんか。
  136. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 警察国家というようなお話がありましたが、これは法律を無視してふん縛ることが警察国家でありまして、これはこの法律で懲役刑を科するということとちよつと違う。法律を無視して何でもぶち込んでしまうということが恐ろしいのであつて、私どもは法律体系として懲役を規定することは新憲法にもどることとは考えておりません。ただ実際問題として新憲法が民主主義を謳つておりますので、成るべく民主的にものは解決したい。但し犯罪事実があるものに対しては、やはり一罰百戒式な相当な刑を科することが私は法律としては正しい行き方だと考えておるわけであります。ただ道路法なんかでも、現行法におきまして一つも違反はないのでありますから、特にこれを書く必要はないじやないかというのでありますが、そのためにこの懲役刑を科すということは、将来も又ないであろうと思いますし、実際ないことを希つておるわけであります。だから法律にこれを規定しても、この罰が適用せられないことを希つておるものでありまして、余り罰が軽過ぎると、今の状態では、まあ二三日入つて来るのならば騒いだほうがいいというような状態においては、罰則を掲げることも悪いことではない。而も新らしい交通関係というものは非常に飛躍した交通状況になるのでありまして、今までのような狭い考え、又小さい視野から考えてはできない。又こういう大きく発展する新らしい道路建前からは、三十年前に規定せられた罰則よりも……三十年後の改正でありますし、又これから先二十年、三十年、道路の根本ともなるべき法律でありますから、この種の罰則を規定することはさして無理ではないではないかと、こういうふうに考えておるのでありまして、衆議院ではこの罰則に対して修正意思は全然ありませんでした。
  137. 田中一

    田中一君 最後に伺いたいのは、ちよつと前に戻りますけれども、道都の特例、この二つの特例に対しては、都の場合には首都建設委員会ですか、これに十分諮つてやるか。道の場合には北海道開発審議会、これに十分諮つてやるかどうか。その点の関連性がここにはございませんけれども、それが明記してないように拝見しますが、これはどういうことになりますか。
  138. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは国が補助できるという特例を設けているのでありまして、これは首都建設委員会は都議会とかには関係なくやつているのであります。
  139. 田中一

    田中一君 今提案者の御説明ですが、私は首都建設委員会は金の問題を審議するのは第二段であつて計画を審議するものと思うのです。むしろ道路の問題、道路というものは首都建設委員会の重要なる審議事項だと思うのです。たとえ又この北海道につきましても、北海道は何も金の問題を云々しているわけじやない。開発を如何にすべきかということを考える。その場合、むしろ道路というものは大きな役割を果すものであつて、この定義にも、経済上にも開発上にも、云々とあります通り、道の開発審議会というものはやはり道路の問題が一番先決問題だと思うのです。この際それに対する基本事項というものはちつともありませんけれども、特例を与えるならば、ただお前のほうに金をやるというのじやなくして、計画そのものを……金をやるにしても計画がはつきりしなければ明確にはやれんわけですから、その場合両方にあるところの審議会委員会、これとの関連性をもつと明確にすべきじやないかと思うんですが。
  140. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これはもう北海道に関しては北海道開発庁もありますし、それから審議会がありますので、これは政府当局と密接な関係をとつているわけでありまして、それを建設大臣が直接一方的に配分をするというようなことは全然ありません。年度予算の配分につきましてはこれらの審議会及び政府機関と完全な連絡をとり、都道の知事だけではなく本庁の基本意見も聞いているような次第であります。併し非常に限られた予算の配分でありますので、これが重点的な配分に対しましては十分協議をしてやつているわけであります。特に土地の問題につきましては、或いは建設委員会でさえも都の都市計画及び道路整備に対して首都建設委員会及び東京都のかたがたの出席を願つて連絡しているような状態でありまして、これが予算配分に対しても一方的な配分を行うなどということは全然ありません。これは十分協議をした上行われるわけであります。
  141. 田中一

    田中一君 そうしますと、各審議会とも全部協議をしてやる。別にこの法律には規定しないけれども、そういう協議はしてやるのだということですね。質疑を終ります。
  142. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この道路のような営造物につきましては、府県とか市町村のような、行政庁が認可したものの営造物にするという学説と、或いは地方自治庁のような道路管理者の、管理権を持つておる者の営造物とするという、この二つの学説がありますが、どちらの学説を根拠にしてやつておられますか。
  143. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは一、二級国道は国の営造物都道府県道都道府県営造物市町村道市町村営造物、こういうふうにはつきり分けたわけであります。
  144. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 いや、それでは私のお尋ねしていることにちよつと当つていないのです。まあこの次でもいいですが。
  145. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 学説云々は、私はいずれの学説というわけではありませんが、とにかく現在の道路整備という意味から言いまして、これが管理及び所有権というような観念をはつきりして、責任分野を明らかにしたい、こういう現実的な理論の上に立つて、かくのごとく分けたわけであります。
  146. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 言い換えれば、認定した者の営造物にされるのか、或いは管理をしている者の営造物にされるのか、このどちらですか。
  147. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) まあどうもデリケートな、むずかしい先輩の御質問でありますが、私が御答弁をするような問題ではないようでありますが、非常にデリケートだと思います。国道に対しましては政令認定いたしますが、営造物は国の営造物であります。それから都道府県道都道府県知事議会議決を経て認定いたしますが、都道府県営造物になるわけであります。それで管理者は今度都道府県知事建設大臣の委任を受けて管理者になる場合もありますし、それから都道府県管理者になる場合もありますので、学説的にそうぴたつと右と左に一刀両断というわけには、ちよつとこの法律案では申上げられないと、こう考えるわけであります。
  148. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 つまりはつきりすることができないか知れませんが、今までこの営造物に対してはつきりそういう二つの説が昔から論議されています。ちよつと今の御答弁では納得しがたいのですがね。まあ併しこれは時間がありませんから、この次に私は質問いたします。
  149. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  150. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時十六分散会