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1952-04-03 第13回国会 参議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月三日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            楠瀬 常猪君            島津 忠彦君            深水 六郎君            徳川 宗敬君            前田  穰君            松浦 定義君            東   隆君   衆議院議員            上林榮吉君            瀬戸山三男君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊地 璋三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○特別土じよう地帶災害防除及び振興  臨時措置法案衆議院提出)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今より建設委員会を開会いたします。先ず特殊土じよう地帶害防除及び振興臨時措置法案議題に供します。  先ず提案者より御説明を願います。
  3. 上林山榮吉

    衆議院議員上林榮吉君) 只今議題となりました特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法案について、最初から世話をして来たものといたしまして、且つ又提案者を代表いたしまして提案理由説明をいたしたいと思います。  御承知通り、本法案概要についてはすでに有志の委員各位に非公式に説明を申上げ、委員各位の建設的な御援助を得ておるのでありまするが、この法案概要をこれから説明をいたしたいと思います。  提案理由簡單説明申上げまするというと、特殊土壌と称する地帶が特に南九州を初め全国的にも相当散見されるわけでありまして、この特殊土壤地帶内容を分析して見ますと、ここに見本を持つて来ておるのでありまするが、特殊火山噴出物によるシラスボラコラアカホヤ、或いは花崗岩風化土、或いは特に浸蝕を受けやすい性状土壌が、各地にあるわけであります。そのためにこの地帶においては、年々災害が他の地方よりも極度に多く、而もこの地帶の農作物の生産高は普通の土地に比べてこれ又非常に收獲が少いのであるが、これが対策を普通の程度に放置しておくとすれば、国家的にも、地方的にも非常なる損害を加えることになりますので、経済再建の上からいつて極度に障害になることでありますので、これを国家の助成を得て除去して行きたいというのがその根本趣旨であります。  そこで法案内容を更に御説明申上げますというと、第一條にこの法案目的を書いてありますが、特殊土壤地帶に対しまして先ほど申上げました理由によりまして、適切な災害防除及び農地改良対策を樹立し、これに基く事業実施することによつて特殊土壤地帶保全農業生産力向上とを図ることがその根本目的であります。  第二條はここに明記してある通り特殊土壌地帶指定をいたそうとするものでありまして、「内閣総理大臣は、特殊土じよう地帶対策審議会意見をきいて、しばしば台風来襲を受け、雨量がきわめて多く、且つ特殊土じよう」、先に説明申上げましたものでありますが、「特殊土じようでおおわれた地形上年年災害が生じ、又は特殊土じようでおおわれているために農業生産力が著しく劣つている都道府県の区域の全部又は一部を特殊土じよう地帶として指定する。」というのであります。そして第三條に示してある通り内閣総理大臣は、特殊土壌地帶対策審議会意見を聞いて、先ほど第一條説明申上げました通り、その目的を達成するために必要な特殊土壌地帶における災害防除及び農地改良に関する事業計画を定める、というわけであります。  そこで第四條に基いて、事業実施をやるわけでありますが、「前條第一項の事業計画に基く事業は、この法律に定めるものの外、当該事業に関する法律、」これには命令を含むわけでありますが、「法律規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。」、こういうことにいたしまして、事業実施をなすことにしたのであります。  更に適正を期するために特殊土壤地帶審議会設置をいたすのでありますが、審議会権限その他について、第五條には「この法律規定によりその権限に属せしめられた事項その他特殊土じよう地帶における災害防除及び農地改良に関する重要事項調査審議するために、総理府特殊土じよう地帶対策審議会を置く。」とあるように、これらの設置権限を明らかにし、そして審議会特殊土壌地帶における災害防除及び農地改良に関する重要事項につき、関係のある行政機関の長又は地方公共団体に対し、意見を申出ることができる、ということにしたのであります。なお、審議会の組織といたしましては、第六條にあります通り審議会内閣総理大臣が任命する委員十九名を以て組織いたしまするが、ここに列挙してありまするように、地方自治庁の次長、大蔵事務次官農林事務次官運輸事務次官建設事務次官経済安定本部副長官、都道府県知事都道府県議会議長市町村長市町村議会議長学校教育法又は旧大学令による大学の教授、農業者団体を代表する者、こういうことになつておりまして、その任期は二年といたしてあります。なお審議会の構成についてはここに示してあるのでございます。会長を置くとか、或いは委員は互選零あるとか、会長が会務を総理するとか、專門の事項調査審議するために審議会專門委員を置くとか、それぞれ規定いたしているのであります。  更に第七條について説明を加えますならば、「審議会は、第五條第一項に規定する事項調査審議に関し必要があるときは、関係のある行政機関地方公共団体その他の者に対し、資料提出を求め、又は報告をさせることができる。」と規定しまして、審議会の運営について支障のないように、効果のあるように規定をいたしたのであります。更に関係地方公共団体等意見の申出ができるように規定をいたしました。それは第八條にあります通り、「関係地方公共団体その他の者は、第三條第一項の事業計画に関し、審議会に対して意見を申し出ることができる。」というのがそれであります。  更に第九條は、国の予算への経費の計上をここに規定をいたしたのであります。それは「政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、第三條第一項の事業計画実施するために必要な経費予算に計上しなければならない。」と規定をいたしたのであります。この趣旨立法例は、御承知通り先般国会を通過いたしました單作地帶法案等にもその例があるのであります。  次に特別な助成方法を講ずるために、第十條に「国は、第三條第一項の事業計画による事業を行う地方公共団体その他の者に対し、地方財政法第十六條の規定に基く補助金を交付し、必要な資金を融通し、又はあつ旋し、その他必要と認める措置を講ずることができる。」と規定したのでありますが、本條も又これに類した立法例は多数あるわけであります。なお「国は、国有財産法第二十二條又は第二十八條規定にかかわらず、第三條第一項の事業計画による事業を行う地方公共団体その他の者に対し、その事業の用に必要な普通財産を無償で貸し付け、又は讓渡することができる。」と規定したのでありまするが、これは飽くまでも国の財政の許される範囲内においての規定でありまして、この立法例も又前例同様に多数あるわけであります。  次に附則として、「この法律は、公布の日から施行する。」ということになつておりまするが、大体臨時措置法の性格に鑑みまして、「昭和三十二年三月三十一日限りその効力を失う。」と一応ここに基準を規定したのであります。なお総理府設置法の一部を次のように改正する必要がありますので、改正をいたしたのであります。即ち「第十五條第一項の表中、積雪寒冷單作地帶振興対策審議会の項の次に次の一項を加える。」とこういうふうにいたしまして、「特殊土じよう地帶対策審議会」という項を入れたのであります。更にこれに附随いたしまして、「特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法昭和二十七年法律第  号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。」といたしたのであります。  私は本法案のできるまでの沿革乃至は立法理由乃至は法案概要について説明を申上げたのでありまするが、本法案予算的な措置政府においてすでに若干計上いたしておるのでありまして、本法案成立によつて予算全体に重大なる変更を及ぼさないということを附加いたしておきたいと思うのであります。先ほど劈頭に御説明申上げた通り、本法案は特殊中の特殊の事態を目標といたしまして、この方面の災害防除と而も低生産地向上ということを目的として立案をしたのであります。何とぞ御理解ある御審議を願いまして早急に本法案が参議院を通過し、これら関係国民の期待に副うことができますように、提案者といたしまして、特にお願いを申上げる次第であります。
  4. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 大正の十年頃から今日に至るまでの高知県の災害状況、殊に幡多郡の災害状況調査を少し……。それを参考に、この審議をする前に一応調べて見たいと思いますから、その調査書類関係官庁からお取寄せを願います。  第二條に「花こう岩風化土」とありますが、この花崗岩風化土は、中国地方とその他近畿地方花崗岩風化土とどこが違いますか。この物理的の結果をお示し願いたいと思います。
  6. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 只今赤木委員の御質問でありますが、この第二條に「花こう岩風化土」というのを挙げておりますのは、実は專門家赤木先生は十分御承知のはずと思いますが、日本国土調査、特に土質調査というのは、まだ明確になつておらないというのが專門家の御意見でありますので、ここに挙げておりますのは、花嵐岩風化土、まあ中国地方では真砂、これを「まさ」と称しておるそうでありますが、そういう地域があるということで、実はこれは安本当局、農林省、建設省の專門家を集めたのでありまするが、全国にかような特殊の、特に立法してやらなければならないという土壤を完全に調べた資料がない、まだそこまで行つておらないという状況であるそうであります。そこで問題になりましたこの花崗岩風化土、先ほど申上げました真砂と称するようなところが問題になつておりますので、そういうところはこの法案に出しております対策審議会において調査をしてもらいまして、この法律の適用を受くべきところは審議会によつて必要ありとされるときに指定をしてもらう、こういう制度にいたしたいという立法をいたしておるわけであります。そういうふうに御了解を願いたいと思います。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 シラスボラコラ、これは私はよく存じています。併しこの法案花崗岩風化土特殊土壤として謳つてあるからには、中国地方、或いは近畿地方も、特殊土壤の一種としてこれに類似した法案を出し得ても、仮にこの法案が通過した場合には、やはり認めねばならん、そういう結果になると思います。そうしたら又花崗岩がなくてもいろいろの特殊土壤があろうと思います。そういう観点から、私は特にシラスの多い鹿児島宮崎以外のほかの都道府県地質関係も、一応検討して見る必要がありはせんか、こういうふうに思います。
  8. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 只今の御説御尤もであります。先ほど申上げましたように、日本全国国土調査ということが明確になつておりません。最近安本で印刷物を出して「国土調査について」という文献を出しておりますが、そういうことで調査方法などを研究いたしておるような実情でありまして、まだ具体的に日本全国国土、特に土質調査というものが完成いたしておりませんので、そういうところを勘案いたしまして、ここには特殊土壤という一つの概念の内容を、シラスコラボラアカホヤ等、これは明確になつておりますので、火山噴出物、それから先ほど申上げました花嵐岩風化主という、こういう具体的に例示をいたしましたが、こればかりに限るということは、現在調査が完成いたしておりませんときには適切でありませんので、そこでその他特に浸蝕を受けやすい性状土壤、将来研究の結果この法律を適用すべき地域があることを勘案いたしまして、特に浸蝕を受けやすいその他の土壤といたしておりますので、将来研究調査の結果、この法律を適用する必要があると審議会において決定指定されましたならば、この法律の中に包含される、こういう見解の下に立案いたしておるわけでありますから、御了承を願いたいと思います。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 今御説明になりました特に浸蝕を受けやすい性状土壤、これはひとり鹿児島宮崎のみならず、日本到る所にあることを私は例示することに躊躇いたしません。そういうふうになつて来ますと、ますますこの法案審議がむずかしくなります。そういう観点からだんだん浸蝕土壤を検討するならば、林業試験場土地研究している專門家、或いは大学地質研究している專門家意見も徴したいと思うのであります。
  10. 上林山榮吉

    衆議院議員上林榮吉君) 赤木委員シラスボラコラというような特殊土壤、殊に火山噴出物による特殊土壤、こういうような問題について実地に見聞され、学問的にも又研究されておられる点に対しまして、私ども関係者といたしまして心から敬意を表するのであります。そこで我々といたしましては、安本等が二、三年前から研究をした結果と同時に、私どもが常に見聞をし、災害等に悩まされておる体験等からいたしまして、一部專門家にも專門的意見を聞いた上で、この法案提出したのでありまするが、この法案審議の途中において、花崗岩風化土というようなものについては、これは特殊土壤のうちで最もわかりやすい、而も常識的にも類似しておるから、こういう程度のものまでは一応入れたらどうかと、こういうような意見もありまして、それに類似したものとしてこれを取入れたのでありまして、私どもの狙いとするところは、重点は飽くまでもシラスボラコラアカホヤというこの特殊土壤、而も政府專門家も相当に調査し、認めているところのこの状態において、この法案を出したのでありまして、ただ将来これに類似したものがあるといたしましても、無限にこれを擴大する意思はないのでありますから、若しそういう時期が来たならばそのときに擴大しなければならないという状態なつたならば、私ども審議会があるなしにかかわらず、根本的な又立法措置を講じて行くと、こういうふうにして頂きまして、当面緊急な特殊な状態だけをこの法案の対象としたいと、こういうのが私ども提案者考えでありますので、でき得べくんば一つ赤木委員におかれましても御賢察を願いたいと、こういうふうに考える次第であります。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 上林先生お話で言わんとされている本旨はわかつております。併しこういう字句が明文化されておる以上は非常に疑点が殖えて来るのじやないか。先ほど申す通り花崗岩風化土、これは御承知通り中国地方近畿地方には実に厖大な面積にこれは亘つています。又その他の浸蝕地或いは第三紀層土地は、浸蝕を受けやすい土地はたくさん日本にはあります。でありますから今お話の真意に触れないところのものが明文化してあるということをはつきり申上げねばならんのであります。まあそれはそういうふうな観点として、場合によつては先ほど申した林業試験場土質検査している人なんかの意見も一応徴さしたほうがいいかと、こう思います。  それから次に伺いたいのは災害防除、第三條に「災害防除及び農地改良に関する事業計画」とありますが、災害防除はどういうふうなことを今までしておられますか承わりたい。
  12. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 專門家赤木先生からのお尋ねでありますから、(笑声)私のほうが教わるような気持で一つお答えをいたします。これはお手許に差上げてあります経済安定本部資源調査会の安藝皎一氏が代表で報告をいたしておりますが、大体この内容を一々申上げるまでもなく、皆様御覧なつて頂けばよろしいのでありますが、第一頁の論旨の要約というところに專門的意見が発表されております。従つてども素人がこういうふうにするとか、ああいうふうにするとかいうことを申上げるよりもこのほうが適切だと思いますので、一応これを引用いたしますが、私ども素人で現地におつて考えておりますことは、先ず山腹の砂防渓流砂防、多くの土砂が崩壊して流失いたしまして、河川を氾濫いたしますから、河川の改修、道路においても従つて側溝を堅固にするとか、それから農地におきましては排水計画して排水をよくする、農地保全の工事をするとか、こういうことでこの地域災害防除をいたしたい、こういう考えでおるわけであります。御承知通り終戰真際になりまして殆んどの平地林その他を伐採いたし、その他に食糧増産計画のために多くの土地を開墾いたしたのですけれども、これは食糧増産計画の急なるに追われまして、殆んど無計画に開墾いたして、特殊の土壤の上の開墾だという観念がなくて、広大な台地を開墾した。従つてそれに対する排水ということの計画が全然無計画なつておりますので、この特殊の土壤関係から地下水その他のために、又表流水等のために思わざる厖大なる崩壊を各地に発生いたしまして、アサヒグラフ誌上に出しておりますように、崩れ行く火山灰地帶というくらいな惨害を生じておりますので、そういう意味保全をやつて頂きたい、こういうことであります。
  13. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ほかに御質疑ございませんか……。
  14. 赤木正雄

    赤木正雄君 質問すればたくさんある……。(笑声
  15. 上林山榮吉

    衆議院議員上林榮吉君) 速記をとめて下さい。
  16. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記をとめて……。    午前十一時五分速記中止    ——————————    午前十一時四十二分速記開始
  17. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて……。
  18. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど懇談中にしばしば台風来襲を受け、雨量が極めて多いとおつしやいましたが、その観点から私は先ほど高知県の特に幡多郡の状況を欲しい、こう言つたんです。高知県は少くとも昭和七年頃まででは日本で一番災害が多いんです。殊にあの幡多郡のごときは、どうかもう高知県からのけて、愛媛県へ持つてつてくれ、幡多郡で高知県の県財政は困つてしまうというほど災害が多かつたのである。決して高知県の災害鹿児島宮崎に劣つておりません。それほど災害の多い県が、とにかく今日は殆んど災害がなくなつてしまつた。そこの理由がどこにあるかということを私は後ほど示したいと思つて、それで高知県のあの状況調査して欲しいと言つたのです。しばしば台風云々ということをおつしやることは、私は少し当らんと思つております、その点から。
  19. 田中一

    田中一君 今瀬戸山議員から台風云々と、台風云々公共土木費を以てできる。決して特殊土壤の、雨量があるとか何とか、いろいろ災害台風圏中心にあるから災難を受けるんだとおつしやいますけれども、これは與党である皆さんのお力を以て十分この公共土木費というものは補助されるんです。これは別にしたいと思います。そういう考え方は別にして、原形復旧原則をも破つて、もつと余分な金をもらつていいと思う、災害対策の問題ならば。私はそうでなくて、二点なんです、伺いたいことは。一つはかかる立法が、当然国の一部の国民に大きな負担をかけ、或いは生活権を脅やかす、そうした場合には、これは立法措置をとらなければならないという原則はわかります。同時に同じような、国全体に部分的な問題が起きた場合ですね、それもことごとくそうした処置をとつて議員立法化してそれを救済するという場合ですね、実際にそれ自身の立法権というものがありますから、これに対して同じように皆さんが丁度特別都市指定したように、今特別都市が十幾つかあるそうですが、何にもしておりません、何にもしておりませんが、とにかく特別都市はできております、あれと同じような空文に属するような法案をお作りになることに賛成するかどうかの問題ですな、これはあえて実は伺いたいんです。それからこの方法の問題ですがね、第三條に示されたところの事業計画の問題ですね、どうするかという具体的なものがどこに出てるんですか。その具体的な、結局今申上げた災害に対する対策という観点ならば、あえそこの法案がなくても公共土木費公共土木のあの法律で以て十分にカバーできるんです。だからその方法をどうするかということをもう少し明確にこの法律でできれば、そのシラス土壤が、シラスが立派な農耕地になり、災害がなくなるのだというのでなくて、どういう方法でこのシラスをするかという具体的な方法ですね、これをお示しにならなければ、ただ基本法だけ作つても困ると思うのです。従つてその県のかたもお見えだと思いますが、一つこれをどうすればいいかという点について御答弁ができれば結構ですし、御答弁よりも的確な資料で以てこういう工合にして実施するのだ、これにはこれだけ金がかかるのだ、只今四千万円の金があるということはこれは災害復旧の費用だと思います。そうでなくて、このシラス土壤に対してこうすればいいのだ、これだけ金がかかるのだということの考え方を持つて欲しいのです。本年度は又起債も相当出そうというようなことも政府も言つていますから、その点についてもう基礎的な、基本的なですよ、何か計画というものを示して欲しいのです。この二点だけを説明議員お願いしたいと思うのであります。
  20. 上林山榮吉

    衆議院議員上林榮吉君) 私から簡單お答えいたしますが、第一点の、この法案ができても空文になるようなことになると困るじやないかと、極めて御理解ある御質問でありますが、私どももそうならないように努力しなければならないし、政府にも本法案成立の後には積極的に善拠してもらわなければならんと思うし、なかんずく審議会のかたがたにおいて、最も有効適切である方法により予算の算出も願わなければならないんだ、こういうふうに考えているのであります。幸いにして今四千万円程度予算政府が組んでおりますが、これは主としてシラス地帶農地関係予算だ、こういうふうに考えているのでありますが、こういう程度のものではどうにもならないんだ、こういうふうに考えて、この特殊の事情をどうしても認めてもらわないというと、政府もよるところがなければ予算措置も思うようにこれはしてもらえないんだという意味で、お願いをしているわけであります。  それから第二点の事業計画というものを数字、或いは專門家企画というようなものがなければならない、尤もな御意見でございまして、この問題については、我々も常識以上のものを持つているつもりではありますけれども、権威ある御質問に対して答えるほどの資料を持つておりませんが、これは併し立法の精神から言いまして、我々がただ地方的な感覚、地方的な実情だけから計画を立て、或いは県当局等が、地方団体等計画を立てるだけでは私は万全を期することができないから、これらの意見参考として徴して行かなければならないが、それよりも審議会自体の活用というものを重点に置いて、これが企画或いは計画乃至は予算必要量というものを大局的見地から一つ策定してもらいたい、こういう趣旨を持つておりまして、私ども希望は勿論持つておりますが、希望を申上げることは遠慮いたしまして、そういうところに重点を置いて行きたい、まあ飽くまで審議会中心主義一つつて行きたいというのが、まあ提案者等意見であります。何か附加えることがあれば瀬戸山君からお願いいたします。
  21. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 私のお答えは、或いは私が誤解いたしておりまして、御質問の焦点を外れるかと思いますが、私が理解しました御質問としてお答えいたすわけであります。今言われました計画ということをこの際我々から申上げるのは、実力を持たないということは率直に申上げますが、お手許に差上げてあります経済安定本部資源調査会の「シラス災害の実態とその対策」という報告書でありますが、これに專門的調査計画報告されております。勿論これだけではございません。このいわゆるシラス災害と申しますか、これの対策には、少くとも二十幾つかの学者からの御調査、御研究を願つた報告書が出ております。それを一々皆様がたのお手許に差上げることは不可能でございますので、政府調査いたしましたもののみをお手許に差上げておるわけでございますが、そのほかにも各関係省の技官、技術官がそれこそ数にいたしましては少くとも二百名ぐらいの人たちが調査をいたしております。そういうことで、建設省におきましても農林省におきましても、十分なるこれに対する考え計画を持つておるわけであります。その資料の第一頁、論旨の要約というところに項目的に掲げてありますが、第六項に今後の対策ということも掲げてあるわけであります。第七項のところに、最後の結論といたしまして、「系統的に一貫した工事が必要で、この為の組織的体制が必要である。シラス台地の災害対策シラス台地の土地利用合理化の基礎條件であり、之によりはじめて長い間停滞していた低い土地生産力の安定向上が期待される。」こういう一応の結論を出しております。こういうことで、今日まで勿論これを地方といたしましても又国といたしましても放任いたしておつたわけではありませんけれども、例えば開拓にいたしましても、それから道路の開鑿にいたしましても、河川の改修にいたしましても、こういうふうな系統的と申しますか、総合的な強力なる力を及ぼすに至つておりません。開拓にいたしますれば、食糧増産の関係平地林その他を殆んど伐り盡しまして、この特殊の土質であるということを考慮に入れないでただ單に開墾、開拓をする。そのあと数年にしてこの特別の土壌に対する灌漑排水その他の施設をいたしておらなかつたために、厖大なる崩壊、損害をこうむつて……これは写真に一部載せておりますので、その資料で或る程度は御了解願えると思いますが、そういうことであつては、食糧増産どころの騒ぎじやなくて、開拓、開墾された以上の大損害を生じておる実情であります。そういうわけでありますから、今日まで長い間專門家にも研究してもらつておりますし、この法律を、簡單な條文ではありますけれども作つて基礎を與えて、それによつてこの地方災害防除対策をして参りたいと、こういうのが私どもの念願であるわけであります。先ほど災害復旧でよろしいではないか、公共土木若しくは農地関係災害復旧法律があるではないか、こういう御意見で、御尤もでありますけれども、あれとこれとは全然観点が違いまして、あれは損害があつた後にやつて頂く。勿論我々の地方といたしましては、高率若しくは全額の補助を頂きたいという強い熱望を持つておりますけれども、今日の財政状態ではそこまでは参つておりません。政府といたしましては今日の地方実情を同情を頂いて、比較的高率のいわゆる国家の助成を頂いておりますが、その災害を復旧するという理念、観点を一歩進めまして、事前にそういう災害の起らない対策を立てて頂きたい。その基本たる法律をここにお願いをいたしたいというのが私ども提案者考えでありますから、どうか一つ御了解を願いたいと思います。
  22. 赤木正雄

    赤木正雄君 今瀬戸山先生がおつしやいました災害云々の問題でありますが、私も同意見で、このシラス地帶は何も耕作物がないので、つまり災害の起らんようにするのでありますから、そういう点は全く私も同感であります。それでこの農地の改良のことはさておきまして、直接の災害に対しては、今まで宮崎鹿児島であつた例を見ますと、運惡く砂防が一番大事なんです。そういう場合に、今一般の公共事業費の治水費の砂防でやつているものとは別の費目を取つて仕事をしようというお考えなのでありますか、或いは公共事業費で行なつている、ひとり砂防のみならずそういう治水事業を特に鹿児島宮崎シラス地帶においてたくさん工費をもつて行く、こういうお考えですか。この点どうですか。
  23. 上林山榮吉

    衆議院議員上林榮吉君) 非常に專門家であられるだけに微妙な御質問をされるわけでありますが、我々といたしましては、できるものならば、狙いとしては公共土木の費用の中に別枠を作つて頂きまして、その別枠によるシラスボラコラ対策等を講じてもらいたいという希望を持つてはおりますが、併しこれは飽くまでも希望でありまして、我々といたしましては、提案申上げている問題が解決されさえすればいいのでありまして、その技術的な、予算的な処置は審議会等の意見に基く策定によつてなされても一向に差支えない、こういうふうに考えております。なお問題といたしましては、先ほど御説明申上げました通り、補助率等はできるだけ全額に近いもの、或いは高率の補助率を適用したものを我々としては頂きたい。こういうわけでありまして、公共土木の費用の中から別枠を設けてもいいし、或いはそれに一緒にしても結論としては差支えない。こういうふうに考えております。
  24. 赤木正雄

    赤木正雄君 どうして私だ先ほどあのような質問を申上げたかについては、実は本年度の治水費の中の砂防に地辷り対策といいますか、そういう費目が七千万円取つてあるのであります。これは実に妙なものでございまして、昭和十三年に内務省の土木局で砂防事業はどういう仕事をするかと、これは省議で決定した項目があります。その中に地辷り地帶砂防でやる。実際新潟県、長野県、山形県、あれらの地辷り地帶砂防工事で仕事を起しまして、非常に成績がいいので、新潟県のごとき何ら砂防に関心がなかつたのに、砂防々々と言い出したのは、実はあの仕事をやつた結果なんです。ところがこれは建設省の砂防課の連中にも、又地方砂防関係している人にも、私は非常に責任があると思うのですが、衆議院のほうで地辷り対策云々ということをされまして、砂防とは違つた仕事をするような感じを持たせてしまつたのです。飛んでもないことです。そんな馬鹿なことはないのだ。一旦こういう技術的のことは砂防でやるのだということを決定して、何も技術にはそういう退歩はあろうはずはありません。それに今になつてそれを砂防ではない、地辷り対策事業といいますから、これを私は非常に不可解に思つておつた。その結果大蔵省としては今度地辷り対策費用だけは……、普通の砂防は三分の二が国の補助ですが、地辷り費用は二分の一出したというのです。私はこういう結果が必ず来る、それで惡くすると、大蔵省は御承知通り成るべく補助率の少いほうが好みますからして、折角今まで長年苦労して起した三分の二まで砂防の補助を用いたものを、地辷り費用は二分の一でやつているのじやないか、そういうふうに将来引落す危険が非常にある、そうすると今持込むとあなたのほうの県にしましても非常に大きな影響がある、だから小策を弄して大本を誤つてはいけない、そういう趣旨を私はやかましく言つているのです。その結果といたしまして、この委員会でも建設省の河川局長に来てもらつて、そうして質問しました。つまり砂防堀辷りは治水に関係しないところであるのだと、無論治水に関係があるならこれは砂防費で取れますから、併しその実砂防費で計上しているのではないか、ところがこれは僅かな金で項目の出しようがなかつたから止むを得ずこうしているのだ、実際は治水に関係しない畑なんかが地辷りしまして、そういうところでやるのだ、そういうふうな了解で一応は了解を得ているのです。これを仮に今申したその公共事業費で一括なさる場合に、そういう惡い例がありますから、そういう惡い例に引つかかつては困るのです。率を下げられては困るのです、実際を言うと……。でありますから、端的に申すなら、公共事業費を殖やしてあなたたちの御希望通りに仕事ができるならこれは一番いいと私は思つているのです。
  25. 上林山榮吉

    衆議院議員上林榮吉君) 赤木委員から非常に将来の問題について思い遣りのある御意見を拜聽したのでありまするが、私も全くそういうふうに考えております。そこでできるものならば公共土木事業費の中に別枠を設けて、本事業の、本法案目的としておる事業の達成を図りたいと、こういうふうに考えるのでありますけれども、それができない場合は御意見にあります通り、公共事業多の粋を擴大する、二十八年度においては勿論のことでありますが、二十七年度においても我々といたしましては本法案目的とする事業を初め、その他の問題についても政府がどう考えておるかはわかりませんが、補正予算等におきましてこれらの問題も検討をして、そうして政府に強く実現を要望したいと、こういうふうに考えておるのでありまして、御意見を尊重いたしまして私どもも努力をいたしたいと、こういうふうに考えております。簡單でありまするが、お答えに代えたいと思います。
  26. 田中一

    田中一君 農林省並びに建設省の政府のほうはどういう見解を持つておるか聞きたいと思うのですが、どういうものでしようか。
  27. 上林山榮吉

    衆議院議員上林榮吉君) この問題は先ほど瀬戸山議員からも説明があつたようでありますが、三年前に私ども強くこれを要望いたしまして、政府に取上げてもらつて、これが調査の費用を組んでもらつて、それぞれ調査した結果を先ほど瀬戸山議員から説明があつたわけでありますが、そのときの報告内容経済安定本部の資源調査会の会長である周東英雄君から経済安定本部総裁である吉田茂君に対しまして報告があつたのでありまして、政府といたしましては大局的見地から本問題に対して賛意を表しておられます。なお当該官庁である建設省及び大蔵省或いは安定本部或いは農林省これらの事務当局も私ども招致いたしましてそれぞれ検討をいたしたのでありまするが、これらの諸君も特別の対策を講ずる必要があるんだと、こういう意味で賛成をしておる状態でありますので、政府の責任者は勿論本法案に賛成をしておるということを附加えておきたいと思います。
  28. 田中一

    田中一君 農林関係と建設関係政府委員をお呼び願いたいです。
  29. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 今の田中委員の仰せられること御尤もでありますが、これは余計なことかも知れませんが、政府の見解を正式に御披露申上げておきます。これは衆議院の建設委員会の第十三号の記録でありますが、三月二十五日の野田建設大臣の、この法案に対する見解を質された答弁を御披露申上げておきます。  「特殊土壤地帶に対しまして、適切なる災害防除及び農地改良対策を樹立して、この地帶保全農業生産力向上とを図りたい、こういう御趣旨からこの法案が生れておるのでありますが、この法案の適用されます地域につきましては、私も幾たびか現地を訪れたことがあるのであります。この土地が非常に疲弊しておりまして、全国でも民度が一番低いかと思われる地域に属しておりますというようなことがありまして、何とかこの地方の生産力を回復しまして、民生の安定を図る必要があるということを今までもしばしば痛感いたしておつた次第であります。今回こういう提案がなされましたことは、私は極めて時宜を得たことだと思つております。本法案が速かに成立いたしまして、その恩恵が、この特殊土壤地帶の人々に行き渡りますことを念願いたすものであります。」  かように建設大臣、建設関係の責任大臣として委員会において答弁を頂いております。農林大臣、農林関係、特に農地局でありますが、この法案ができることを非常に歓迎いたしておる。これは事実でありますから御披露申上げておきます。
  30. 田中一

    田中一君 私は、今上林山、瀬戸山両氏からお話があつたのでありますが、そのくらい大臣が考えておるなら、ここではつきりと伺いたいと思うのです。従つてその若し今……速記をとめて下さい。
  31. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記をとめて下さい。    午後零時七分速記中止    ——————————    午後零時二十五分速記開始
  32. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて。明日は午前十時より委員会を開会いたします。議題は本日と同じものをいたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時二十六分散会