運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-02-05 第13回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月五日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員の異動 二月四日委員小林英三君辞任につき、 その補欠として楠瀬常猪君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石坂 豊一君            深水 六郎君            徳川 宗敬君            三輪 貞治君            三木 治朗君   委員外議員            寺尾  豊君   政府委員    特別調達庁長官 根道 廣吉君    特別調達庁長官    官房長     辻村 義知君    特別調達庁財務    部長      川田 三郎君    特別調達庁管理    部長      長岡 伊八君    建設大臣官房会    計課長     植田 俊雄君    建設省河川局長 目黒 清雄君    建設省道路局長 菊池  明君    建設省都市局長 八嶋 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    建設省事務次官 中田 政美君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○河川道路都市及び建築等各種事  業並びに国土その他諸計画に関する  調査の件  (昭和二十七年度特別調達庁予算及  び所管事項に関する件)  (昭和二十七年度建設省関係予算に  関する件) ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く特別調達庁関係  諸命令廃止に関する法律案(内閣  送付)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今より建設委員会を開会いたします。  本日の日程は、第一に特別調達庁長官から二十七年度所管事項に関しての方針について御説明を伺い、時間がありましたら、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係命令廃止に関する法律案提案理由説明をお聞きしたいと存じます。第二に建設省関係予算大綱についての御説明建設事務次官会計課長からお聞きしたいと存じます。時間の都合によつて更に詳細を河川局長道路局長に御説明願うことにいたしたいと思います。  先ず特別調達庁長官にお願いいたしますが、調達庁としては諸情勢がはつきりしない事情もいろいろありまして、お困りのことと存じますが、そのお困りの点をお示し願えれば結構と存じます。場合によつて速記をとめてもよろしいと存ずる次第でございます。
  3. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今委員長から申されましたように、博別調達庁の二十七年度の分に関しましては、不確定の要素が殆んど全部でございます。従いまして政府の立場におきましてこれを具体的に御説明申上げる段取りはなつておりませんので、殊に特別調達庁はその設置法におきまして連合国軍の点領目的のためにするところの諸需要に関する調達を行うということに相成つております。調達庁そのものといたしましては、占領軍というものがなくなつたときには、法律に書かれたる表向きの條又というものがなくなるわけであります。事実上占領軍がそのままに駐留軍ということに相成りますると、現実問題といたしましてやはり同じような種類の仕事日本内に残されておる、それを日本政府としてやるべき面については、やはり日本政府の機関がこれを行わなければならない。そのときに或いは名は変りましても、従来そういう仕事に経験のある者のその能力を活かしてその仕事をさせるいうことになるのが当然の筋道かと存ずるわけであります。只今のところ特別調達庁をどういうふうに直してどうするということは事柄が多分に行政協定の結末とも関連いたしますので、私より只今申上げかねる次第であります。その点御了承願いたいと思うのであります。
  4. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記をとめて下さい。    午前十時四十三分速記中止    ——————————    午前十一時二十三分速記開始
  5. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。  それではこの際ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係命令廃止に関する法律案を議題に供したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) では、先ず根道長官から提案理由説明をお願いいたします。
  7. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 提案理由を御説明申上げます。  この案はポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係廃止に関する法律案、こうなつております。  日本国との平和條約の効力発生にともなつてポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件は廃止され、これに基く諸命令についてはその効力関係を明確にする必要があるのでありまして特別調達庁関係要求物資使用収用令土地工作物使用令に関しましては、日本国との平和條約の効力発生と同時に連合国軍最高司令官要求に基いて日本政府としては物資並びに土地及び工作物を提供する義務がなくなるのでありますから、当然に連合国軍最高司令官のなす要求を充足するための要求物資使用収用令土地工作物使用令廃止することが妥当であると考えられます。  本法律案は右の命今の廃止規定いたしますと共に命令廃止に基いて所要の経過規定規定しております。即ち、日本国との平和條約第六條に規定により占領軍は條約の効力発生後なお九十日間は日本に滯留し得るようになつておりますので本命令によつて使用した物資並びに土地及び工作物についてはなお九十日間引き続き効力を有することといたすと共に損失補償についても法律施行後もなお従前によることといたしました。  又法律施行前にした違反行為に対する罰則の摘要は従前の例によつて罰することといたしました。  本法案の概要は以上御説明致しました通りでありますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます
  8. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 特別調達庁関係は、今日はこの程度おとどめを願いたいと思います   —————————————
  9. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 次に建設省関係調査に移りたいと存じます。  先ず予算大綱について建設事務次官説明をお願いします
  10. 中田政美

    説明員中田政美君) 昭和二十七年度建設省所管歳出予算案概要につきまして、一般的な問題から一わたり御説明いたします。  一般会計建設省予算金額は、六百六十億余円と相成つておりますが、これに北海道開発庁計上されている建設省関係事業費が約五十二億七千万円ございますので、これを合せますと七百十三億一千万円と相成りますこの金額を前年度予算に比較いたしますと、約百四十一億七千万円の増加となるわけでございます。この予算あと会計課長から申上げたいと存じますが、本年度予算編成の形式が前年とはすつかり変りまして、予算書の千三ページに建設省所管予算参照書というものがございます。で、これによりますと、只今申上げた数字のものが、一般行政費公共事業等一切の建設省所管のもが計上されておりますので、比較的見やすい予算と相成つたわけでございます。これは要するに公共事業予算各省へばらしまして、各省予算に直接計上した結果でございます。この只今申上げました建設省の六百六十余億円の内容について若干の御説明をいたします。  先ず第一には、行政部費でございますが、行政部費は三十八億余と相成りまして、前年より二億円ほど増加に相成ります。行政部費は御承知通り事務的経費が多いのでございますが、主なる増加したものを拾い上げますと、高速度自動車道路調査経費が二千万円、防火建築帶造成経費が二億円、このほかべースアツプに伴う人件費増額等が主なるものでございます。官庁営繕費につきましては総額約二十億六千万円余となつておりまして、これは前年度に比し約二億円の減と相成つております。  行政部費三十八億余円の説明は以上でございますが、何と申しましても建設省にとつて重大な予算公共事業的、いわゆる事業費予算もございます。そこで公共事業という観念が今年度予算の上から姿を消しております。これは先ほど申上げました通り安定本部に従来計上いたしておりました公共事業費に属する各事業は、それぞれ各省計上いたしましたためでございます。従つてこれを予算書の上で公共事業という観念を計算することはやや至難でございますが、予算編成の途上おいてに考えられましたいわゆる従来の公共事業費と称せられる経費を概略申上げて御参考に供します。  新聞紙上等で発表されました通り、来年度公共事業費は、一般公共事業費が八百億円、災害関係が五百億円、合計千三百億円がいわゆる公共事業費と称せられるものでございます。そのうち八百億円の一般公共事業の中で、我が建設省において計上されているものは四百二十二億余円となつております。災害関係五百億円の中で今後来たるべき災害の引き当てとして八十億計上いたしておりますので、過年度分として四百三十億円が各省計上されるわけでございます。その四百二十億円のうち我が建設省におきましては二百五十二億余円と相成ります。従いまして公共事業建設省分を概観いたしますれば、一般公共事業四百二十二億、災害関係二百五十二億、合計六百七十五億となるのでございます。この金を全体の公共事業に比してどの程度のものになるかと申しますれば、只今申上げました一般公共事業の八百億円、過年度災害四百二十億を加えたのが全体の金額でございますので、この金が千二百二十億円となるわけでございます。千二百二十億円に対して、建設省公共事業費が六百七十五億でございますので、この%は五六%となるわけでございます。これが公共事業費建設省担当分一般的な姿でございますが、更にこの公共事業の金におきましてどのくらい殖えているかと申しますと、約百四十億ぐらい殖えている計算と相成るようでございます。  そこでこの六百七十五億の中にどういう経費計上されているかを概観いたしますと、河川事業費におきましては百六十七億でございます。うち北海道十八億六千万円でございまして、河川事業費におきましては二十億七千万円前年度より殖えております。この増加部分鬼怒川ほか二河川総合開発事業等が主なる新規でございまして、河川事業の性格を申しますれば、いわゆる上流において河川総合開発事業をやる金が多くなつたということが言えましよう。次に砂防事業四十億円を計上いたしました。この金額は前年に比して約五億八千万円を増加いたしております。第三に道路事業費でございますが、八十六億二千万円でありまして、前年に比しまして十八億六千万円ほど増加と相成つております。次に住宅でございますが約五十億でございまして、前年に比しまして六億余円を増しておるわけでございます。建設機械整備費十七億四千万円となつておりまして、前年に比して五億三千万円ほど殖えております。又河川災害復旧事業費は二百四十一億円でありまして前年度に比し五十八億八千万円ほど増加なつております。次に都市災害復旧におきましても二億数千万円を計上いたしております。ほお住宅施設災害復旧事業費八億七千万円で、これも相当の増加なつておるわけでございます。  以上が公共事業内容でございますが、このほか我が建設省予算といたしまして、新らしい事項として注目すべきものは特定道路整備事業特別会計というものを設定するわけでございます。これはいわゆる有料道路と申すものでございまして、資金運用部特別会計より十五億円を借り入れ、その金を投資しまして道路建設し、有料でこの元利金支拂わんとする構想でございます。なお、そのほかに我々の所管に、関連のある予算といたしましては、住宅金融公庫がございます。この住宅金融公庫におきましては、来年度におきましては一般会計よりの出資五十億、資金運用部よりの融資百億、これまで貸付けた金の回収金十七億、計百六十七億円を以ちまして元資といたしまして、これを融資いたしまして、約五万戸の住宅建設を促進せんとするものでございます。  以上が一般会計特別会計及び公庫の会計概要でございますが、これを要するに、或る程度金額としては増額を見ているわけでございますが、これらの予算内容につきましては、できるだけ新機軸を持ち、又その有効な施設をいたさんと目下研究をいたしているわけでございます。なおこれらの内容につきましては、河川或いは道路等、詳細に御質問に応じてお答えをさせる予定でございます。  以上で概括的な説明を終ります。
  11. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 何か御質問ございませんか。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は質問はたくさんありますけれども、一応これを研究してからにしたいと思います。
  13. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ちよつと皆さんに申上げますが、植田会計課長が明後日洋行されるそうであります。それでその前に一つ質問を願いたいということですが、先に御説明願いましよう、補足して……。
  14. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 私今委員長から御発言がございましたから申上げますが、有料道路制度の運営を研究いたしますために、命によりまして明後日出帆の船でアメリカに参ります。私おりませんでも御質問下つても結構なように準備はいたしておりますけれども只今次官から申上げました中で、特に事務的なことで補足する分だけをここで申上げたいと思います。  今回は、先ほど申上げましたように、安定本部公共事業費を一括計上するというようなことがなくなつたのでございます。これは只今参議院継続審議なつておりまする財政法会計法改正によりまして、予算部款というものがなくなることになつているのでございます。従来公共事業費というものは、公共事業費という一つの部がありまして、部でまとまつてつたのでございますが、今度項一本になりまして、河川事業費道路事業費は項になりまして、項しかないということになりますと、技術的に申しましても、安定本部計上するということは困難になるわけでございます。こういつた事情が契機になりまして、今回から公共事業費が分割して各省計上せられるということになつたのでございます。こういうことになりますと、当然経済安定本部工事認証というものはなくなることに相成つております。この点委員会からもたびたび御要望がございました工事予算を早くつけるということにつきましても、一つ段階が省かれるのでございまして、事務的に申しまして非常に好都合だと感じている次第でございます。  それでこの予算で変つております点は、多年私どもが要望しておりました継続費が、千三十四頁に鬼怒川ほか二河川総合開発事業費について認められた点でございます。これは継続費という制度が今度の財政法改正によつて出ることになり、財政法改正に見込まれているのでございますが、これもできるだけ多く出すことを希望はいたしたのでございますが、何分にも数年の間中絶しておりましたことでありますので、二十七年度といたしましてはこの総合開発事業費だけに限定せざるを得なかつた点でございます。次に千三十五頁のほうに参りまして、繰越明許というのがございます。従来は御承知通り直轄河川等繰越がうまく参りませんために、いろいろ問題を起しまして御迷惑をかけたことと存じますが、河川道路等につきましては繰越明許になりまして、繰越手続が非常に簡單に参るということになります。こういうことになれば、例のいろいろ御迷惑をおかけしました空人夫というふうなものが入らなくて済むということになり、これも従来の一つの弊害を除くことに非常に役立つだろうと思つております。なお、繰越明許のほかに今度の財政法会計法改正におきましては、事故繰越の点もはつきりとできることにいたしておりますので、これ以外の経費につきましても特別の事情によつて繰越さざるを得ないような場合には、大蔵省に交渉すれば繰越しできるということになつております。繰越しの点から参りますと、継続費繰越明許事故繰越段階の道が今度はつきりと開かれるということになるわけでございます。  次にこの予算書皆さんもう御承知のことでございますから簡單に申上げますと、従来の部款がなくなりましたために、すべて項ということになつておりますが、千三頁の刷り物で申しますと、一番初めの頁にございますように、項で建設本省という項がございます。括弧書大臣官房管理局河川局道路局ということになつておりますが、すべて建設本省という項で縛つておりますから、この款は項の中にございますから、建設省限りで経理ができることに相成つております。ただ特殊な事業というようなものになりますと、これが項で別項になつております。参考のために申上げますと、千五頁を御覧願いますと、これは管理局経費でございますが、一番奥に入れて組んだ分でございますが、一番初めの建設本省というのが一つの項でございまして、これが管理局事務費でございます。その下のほうをずつと御覧願いますと、建設技術研究補助、これは二十六年度予算から上つた分でございますが、これが新らしい項、次に官庁営繕費。こういうふうに建設本省建設技術研究補助官庁営繕といつたものは別の項になりますから、その間の流用はできないこういうことに相成るわけでございます。  次に河川局のほうに参りますと、これも最後の頁の千十四頁を見て頂くとおわかりになると思いますが、千十四頁の上のほうは建設本省で、これは事務費でございます。途中に河川等事業費というのがございまして、これが公共事業費が分解せられて計上せられたものでございます。この次に「鬼怒川外河川総合開発事業費」、次に「砂防事業費」、「河川等災害復旧事業費」、こういうふうに重要な公共事業費が項として河川局計上なつているのでございます。なお北海道分につきましては、建設省計上になりませんで、別途北海道開発庁のほうに計上いたしております。この分につきましては、最後の頁に北海道開発庁分を増刷りいたしまして附加えておりますので、そのほうを御覧願いたいと存じます。  予算書の組み方の点について御説明申上げた次第でございます。
  15. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御質問ございませんようですから、地盤沈下問題につきまして、孝尾議員から委員外質問を求めておりますが、許可いたしたいと存じますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 寺尾豊

    委員外議員寺尾豊君) 委員外議員質問といたしまして、只今委員長より御紹介を頂きました地盤変動対策事業について御質問を申上げたいと思います。  すでに御承知のように、昭和二十一年十二月の二十一日のたしか未明であつたと思いますが、南海地震は四国、中国、南海道の十一県に極めて大きな災害を與えてしまつたわけでありますが、昨年東京大学、京都大学地理調査所、こういつたような所で、いろいろこの地盤変動等についての調査測量等をせられて、この地盤沈下量と申しますか、これが測定をされたことは御承知通りであります。而も現在なお僅かながらこれは沈下が進行中であるという所もあるということであります。而もこの沈下の最大な被害というものは高知県の一・ニメートルというものが測定をされたのであります。従つてこれに対して海岸河川等に重大なる影響を與えておる河川氾濫面積海岸の浸蝕は未だに増大をいたしておりまして、極めて憂慮すべき現象を起しておるわけであります。これが関係をいたしております住民は、深刻なる生存に対する脅威を受けておつて、誠にこれ由々しい問題になつておるわけであります。関係当局がこれに対して地盤変動対策事業を二十七年度計上をされておられますことは、極めて時宜に適したことであと敬意を拂うわけであります。ただこの計止された予算被害十一県の厖大なるこの災害復旧費用に比較いたしまして、極めてこれが少いといつたような点がありますが、この一億円というものが計止されておるかに聞きますが、こうしたことに対しまする経路と申しますか、こうした予算をここに計止せられたいきさつについて一応の御説明を承わりたいのであります。
  17. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 私のほうの地盤沈下対策の問題につきましては、すでに過去において地盤沈下費用を計止いたしまして、或る程度片付いたのでありまするが一応査定の終りましたものは、残務は一般災害費の中でこれを処理するように相成つたのであります。ところが最近におきまして、更に調査洩れといいますか、更に地盤沈下現象が現われて参りまして、それらを如何にするかということで、昨年あたりからこれの調査にかかつたのでありまするが、相当まだ沈下現象のため多額の復旧費が必要なのであります。そこで我々はこれを予算要求いたしましたのでありまするが、余りこれらに対する予算が配当されません。ただ一億の限度において本年度は賄つてもらいたいということに相成りまして、止むなく一億だけがここに計止されたのであります。併しながらこれは相当多いのであります。一億程度では到底これは賄い切れないということがわかつておりますので、我々は更にこれを調査いたしまして、どうしても捨てがたいものは、災害の大きなものは、災害費として採用する。併しながら地盤沈下という明らかなるものは更に来年度において予算要求をいたしたいと考えておるのであります。
  18. 寺尾豊

    委員外議員寺尾豊君) 局長の誠意ある御答弁には誠に満足でありますが、お言葉にもありましたように、十一県の被害、現在この復旧すべき総費用というのは大よそ百三億と見積られておるわけであります、これに対して一億ということになりますというと、復旧に五十ヵ年を要する、うつかりするというと、この次の又地震が来るまでに仕上らないのじやないか、周期的に大よそそんな年数に参つておるのでありまするが、これは誠に被害県といたしましては堪え得られないことである。この点につきましては局長もお言葉の中に、なお次回において十分一つ研究と御同情を賜わつて、これらの非常な災害地にありまして、種々の不自由と脅威に襲われておるところを一日も早く復旧をするということに特に御要望申上げるわけであります。  なお、この補助率が二分の一ということになつておりますが、被害を受けたこの被害地住民といたしましては非常に大きな負担である。災害同一率にして頂くとか、まあそういう点についての御考慮を願いたいと思いますが、この補助率ということにつきましての一つ当局のお考えを伺いたいので為ります
  19. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 只今補助率は二分の一と相成つておるのでありますが、これは、一般海岸堤防等補助率と一致さしたという結果から、そういうふうな形になつております。そこで我々といたしましては、そのうちで地盤沈下というふうな原因と又それと別な観点から現在の災害補助規定を適用できる範囲と、これを成る程度区分けをいたしまして、現在の災害補助規定でできる範囲災害に取り入れるべきではないかというふうな見方をして行きたいと考えておるのであります。明らかに地盤沈下といいますか、そういう形でありますると、現在の二分の一という姿で以て行かなくちやならんのじやないかというふうに考えております
  20. 寺尾豊

    委員外議員寺尾豊君) 私は当時衆諸院に席を持つつておりまして、災害の、この震災の翌日に衆議院を代表いたしまして災害地視察と慰問に参つたのでありますが、現在なお地盤沈下等において非常な災害を続けておるというような所は、私どもが当時視察をいたしましたところ、乃至はこれに関連をいたしましたところ、明らかにその当時の生々しい記憶を辿つて見ましても、これが災害によるものであるということが極めてはつきり記憶に印せられておるものが多いのであります。従いましてこういう点につきましても更に御検討を願い、更に綿密なる御調査が願いたいわけであります。なお農林貧関係地盤変動対策事業費補助が建設省の一億に比較いたしまして約五億六千万円になつておるかに聞いております。農林省関係建設省関係に相互関連性は御考慮になられたかどうか、この点をちよつと御説明願いたいと思います。
  21. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 先ほど申上げました通りに、この地盤沈下を取上げましたのは建設省が先なのでありまして、一応の査定をやりまして成る程度進み、その残務は一応災害として災害費の中に現在組んでおりまするので、そういうわけで相当地盤沈下に対しては仕事を進めつつあります。そのあとに農林省が御承知通りに出て参つたのでありまして、私のほうは全体から申上げますると、農林省よりは恐らく仕事は進んでおると考えておりまするが、たまたま我々の最初の地盤沈下のとりました範囲が或る程度見落しがあつたのではないかという現象が起つて参りまして、昨年から再調査に入つたというのが本当であります。そこで我々は予算の作戰として、村盤沈下という項目を起したほうが予算が取り得るであろうという作戰があつたので、地盤沈下といたしたのでありますが、百三億というのはそういう査定でありまするが、我々はそのうちで考え直してみますると、当然災害復旧として組入れられる性質のものもあるのではないかという考え方は現在持つておるのであります。これは又よく調査いたしまして、場合によりますると、そういう性格のものであれは、却つて地盤沈下という一項目で少い予算から進むよりも、災害として是非やらなくちやならん、必要欠くべからざるものだというふうなものは、できるだけそういう方向で取上げて行つたほうがいいのではないかというふうに現在考えておるのであります
  22. 寺尾豊

    委員外議員寺尾豊君) 局長のお言葉最後にありましたように、私も全くそれと同感であります。地盤沈下予算の枠が極めて少いといつた面からお考え願つて、いわゆる現在受けております沈下なりの性質が災害から来ているものであるということが、御調査を願つたときにおいて、それが証明をされたということになれば、やはりいわゆる災害によるものとして取扱を願うということができますことを希望いたしまして、綿密なる更に御調査をお願いを申上げたいと思います。常識的に考えまして、河川の堤防であるとか、海岸の堤防であるとか、これらの対策が農地の対策に優先すべきものであるというように私は考えております。これらの対策が完璧を期し得られることにおいて、農地というものはここに完全なるものを作り得られることは当然でありますからして、こういつたような点からお考えを頂きましてこの南海大震災によりますところの被害が、丁度人間で言えば打身のようなものであつて、打つたときには、さよう外部にも現われていないし、割合にそれがわからなかつたけれども、日が経つに従つていろいろの故障を生じた、こういつたようなことが事実に各所にあるものであります。こういう点は当時の調査が行届かなかつたり、或いは高潮のときに非常な潮が押寄せて来て被害が自然に出て来て、なおそれが沈下を続けているというのでありますから、これは私は御当局においても再調査を綿密にして頂いて、これらに対しまする対策を十分にやつて頂くということの希望を申上げまして、私の質問を終ります。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 私先ほど、この次に質問すると申しましたが、ちよつと気が付いたことがありますので、この際質問をしてよろしうございますか。
  24. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) よろしうございます。どうぞ
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 ここにあります砂防事業費の中に地辷対策事業費補助七千万円、二分の一補助率、これでありますが、これは来年度初めての仕事ですが、地辷りは砂防でやつていますが、地辷対策事業というものはどういうふうな仕事をなさるのか、まず伺いたいと思います
  26. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 地辷り対策は、現在砂防で、河に直接関係のあるものは砂防でやつております。但し地辷りが起きまして、それが河川の流砂を助長するようなものとか、或は河川を荒廃に瀕させるようなものとかいうようなものを砂防で現在やつておりまするが、それ以外の地辷りが又起つて参ります。そこでこれは人心安定の意味におきまして、どうしても或る程度これを保護しなければならんという建前で、地辷り対策を要求いたしたのでありますが、これは恐らく考え方によりますと、河に直接の関係がないという点から申上げますと、恐らくこの地辷り対策は河川局の主管事項ではないというふうにも考えられますが、幸いにして砂防課におきまして、この地辷り対策に対していろいろ技術的な研究が積まれつつあるのであります。或る程度その羨術的な研究により効を奏しているのでありまして、砂防課で、そういう技術的な力のある砂防課においてこれを行なうことが非常に便宜であるというふうな関係から、我々のところでこれを要求したのであります。性格的に言えば、砂防とは確然と線を引けるものと考えております。たまたま砂防課でこれを今研究しているという関係でここに砂防課にその事業を入れたということでございます。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 今局長は砂防とは確然と線を引ける、こういうふうにおつしやつたように私は聞き取れました。そういたしますと私は疑問が起るのであります。新潟県にいたしましても、長野県、山形県その他の府県にいたしましても砂防事業としてこの地辷り防止のために随分仕事をやつています。昭和十三年の内務省の土木局の局議で、言い換えるならば内務省としてきめた砂防事業はどういう仕事をするかという一つの立派な刷りものの中に、地辷り事業は砂防の一つ事業であることはこれははつきりしておるらしい。そういう関係で今申しました新潟県におきましても非常にいい成績を挙げております。又民心もこれがために非常に安定して新潟県のごときは、地辷り対策の事業を非常に要望しておるのであります。ところが私の聞き及ぶところにおきますと、新潟県、或いは石川県の一部におきまして、こういう地辷り地帶に仕事をやつていたのを、ほかに仕事をやるために仕事を中止した、これは三、四年前です。そのために地元の人々は、なぜあれほどのいい仕事をやつてくれんかという強い要望があつたのです。併し工事の関係もあるかも知れませんが、今までやつていた仕事を中止してしまつた。新潟県のごときは殆んど各町村でやつていた、その仕事がなくなつてしまつた。これがために地元といたしましても、又県といたしましても、地辷り事業を是非ともやつて欲しいという要求が起つたことは、私も知つております。昨年も新潟に行つてその事実をよく聴取し、又現状も見て参りました。一体そういう観点で、直接河川関係のないというところもありますが、一つの例を申しますと、一つ河川があつて、その河川からして、甚だしいところは、約三町も四町も、もつと上のほうの耕地が地辷りする。その場合河川にはなんら今のところ被害はないが、適当な場所を計つて、そこに一つの堰堤を設ける、或いは地辷りする場所に水路を作る。そうすると四、五町或いはもつと高い山の奥まで安定してしまつて、これによつて地辷りを、いわゆる河川に害のある前に防ぎ、同時に耕地或いは人家の安定をさしてやる。でありますからして私はこの地辷り対策の仕事というものは、これは非常に疑問があります。砂防事業の一環として内務省土木局できめた仕事でありますから、特に地辷り対策としてお出しになる以上は、今まで砂防でやつていたいわゆる地辷りの防止策とは違つたところに仕事をさるべきだと思います。そうでないと、折角河川局でおきめになつておるあの根本方針に反するのであります。言い換えるならば地辷り対策というのは、治水に関連のないところにされるべきものと思います。そうでないと非常に矛盾するのです。併しここに私は非常に不思議に思うのは、この砂防事業は治水に関連した事業であります。治水に関連した事業の中に地辷り対策費を計上しておるのは、非常にそこに疑問がある。むしろこれは何かの間違いではないか、こういうふうな感じがいたします。併しこの事業をなさることは私は賛成でございます。賛成でありますが、今申す通りに砂防として地辷り対策はどんどんやつて来たのでありますから、この事業を起す、殊に補助率は二分の一になつております。折角三分の二の砂防の補助をするのは、随分苦心の結果三分の二になつたのでありますから、大蔵省はややもすると補助率の少いほうに持つて行くのは当然であります。たまたまこういう事業を七千万円で起した、これが原因となつて、砂防の根本目的が、或いは補助率が減るというようなことになりましたならば、まだ今日は砂防の発達する道程でありますから、非常にこの点は危險性がある。この点につきまして次官のお考え方を承わりたいのであります。
  28. 中田政美

    説明員中田政美君) 赤木先生のお話の点につきましては、私も大体において同感でございます。砂防の中に便宜入れておるという点については、砂防と関連を持つ、或いは砂防の一環であるという意味で中に入れておるわけでございます。ただ砂防法十三條による三分の二という補助につきまして若干の疑問がありますので、地にり対策として目において別に計止いたしましたが、これは予算処置としてやつておりますので、砂防法の三分の二という補助率に惡い影響を與えるものとは私は決して思いませんし、又さようなことはないものと考えますが、併しながら地辷り対策自体におきましても、この二分の一の補助につきましては、なお財政当局と十分研究いたしまして、砂防のいわゆる一環としてやるものという性格をますます強めるように努力したい、こう考えております。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 大体今のお話の御趣旨はわかりましたが、なお重ねて申しますが、仮に治水には関係ないと……、これも私から言うならば、治水に関係ない地辷りはないと言いたいのでありますが、まあ素人の眼から見て、治水に関係がないとこういうふうにしておきましよう。そういう場所に地辷りが起る。殊に人家或いは耕地が移動する、これを何とかして欲しい。そういうところに仕事をなさるものと私は解釈しているのでありますが、それで差支えありませんか。
  30. 中田政美

    説明員中田政美君) 勿論治水に関係のある、砂防はこれまさに砂防なのでありまして、これについては三分の二という補助でやるべきであつて、これはもう明々白々なんです。先生のおつしやる通り直接河川に接近してなくても、河川の維持上必要なものについては、これは砂防なんですから砂防法で行くべきである。併しながら客観的常識的に見て、必ずしもはつきりと治水関係と言いにくいような中間的なものについては、これで賄つて行こうという趣意でございますので、従つてこういう項目をつけたから従来の砂防でやつておる範疇を狭めるとかいうような考えは全然ございません。大体において御意見の通り施行したいと思います。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 重ねて申しておきます。次官の御意見は誠に私は嬉しく伺いました。ただややもいたしますと、今はそうでもないか知れませんが、砂防は三分の二補助があるからして、地元は要望するのだ、あの補助率をもつと減らしたらいいという空気が随分内務省に以前はあつたのであります。今は恐らくそういうことを言う人はないでありましよう。併しこういう二分の一の補助率は、これは或いは内部でどういうような影響があるか知れませんが、大蔵省でもどういうように考えられるか知れませんが、今次官のおつしやつた通りにこれは治水に関連する地辷りとは全然違つたことろにできますから、一々の箇所に当つて、これは局長に特にお願いいたしますが、これははつきりしておいて頂きたい。そうして地元に間違いないように……、と申しますのは、地元は何でも仕事をさしてもらえばいいと申しますからして、局長に十分御監督願うように特にお願いいたします。
  32. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでは次回は明後七日午前十時に開会いたしまして、河川局道路局調査をいたしたいと存じます。本日はこれを以て散会いたします。    午後零時十九分散会