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赤木正雄君 今
局長は砂防とは確然と線を引ける、こういうふうにおつしや
つたように私は聞き取れました。そういたしますと私は疑問が起るのであります。新潟県にいたしましても、長野県、山形県その他の府県にいたしましても
砂防事業としてこの地辷り防止のために随分
仕事をや
つています。
昭和十三年の内務省の土木局の局議で、言い換えるならば内務省としてきめた
砂防事業はどういう
仕事をするかという
一つの立派な刷りものの中に、地辷り
事業は砂防の
一つの
事業であることはこれは
はつきりしておるらしい。そういう
関係で今申しました新潟県におきましても非常にいい成績を挙げております。又民心もこれがために非常に安定して新潟県のごときは、地辷り対策の
事業を非常に要望しておるのであります。ところが私の聞き及ぶところにおきますと、新潟県、或いは石川県の一部におきまして、こういう地辷り地帶に
仕事をや
つていたのを、ほかに
仕事をやるために
仕事を中止した、これは三、四年前です。そのために地元の人々は、なぜあれほどのいい
仕事をや
つてくれんかという強い要望があ
つたのです。併し工事の
関係もあるかも知れませんが、今までや
つていた
仕事を中止してしま
つた。新潟県のごときは殆んど各町村でや
つていた、その
仕事がなく
なつてしま
つた。これがために地元といたしましても、又県といたしましても、地辷り
事業を是非ともや
つて欲しいという
要求が起
つたことは、私も知
つております。昨年も新潟に行
つてその事実をよく聴取し、又現状も見て参りました。一体そういう観点で、直接
河川に
関係のないというところもありますが、
一つの例を申しますと、
一つの
河川があ
つて、その
河川からして、甚だしいところは、約三町も四町も、もつと上のほうの耕地が地辷りする。その場合
河川にはなんら今のところ
被害はないが、適当な場所を計
つて、そこに
一つの堰堤を設ける、或いは地辷りする場所に水路を作る。そうすると四、五町或いはもつと高い山の奥まで安定してしま
つて、これによ
つて地辷りを、いわゆる
河川に害のある前に防ぎ、同時に耕地或いは人家の安定をさしてやる。でありますからして私はこの地辷り対策の
仕事というものは、これは非常に疑問があります。
砂防事業の一環として内務省土木局できめた
仕事でありますから、特に地辷り対策としてお出しになる以上は、今まで砂防でや
つていたいわゆる地辷りの防止策とは違
つたところに
仕事をさるべきだと思います。そうでないと、折角
河川局でおきめに
なつておるあの根本方針に反するのであります。言い換えるならば地辷り対策というのは、治水に
関連のないところにされるべきものと思います。そうでないと非常に矛盾するのです。併しここに私は非常に不思議に思うのは、この
砂防事業は治水に
関連した
事業であります。治水に
関連した
事業の中に地辷り対策費を
計上しておるのは、非常にそこに疑問がある。むしろこれは何かの間違いではないか、こういうふうな感じがいたします。併しこの
事業をなさることは私は賛成でございます。賛成でありますが、今申す
通りに砂防として地辷り対策はどんどんや
つて来たのでありますから、この
事業を起す、殊に
補助率は二分の一に
なつております。折角三分の二の砂防の補助をするのは、随分苦心の結果三分の二にな
つたのでありますから、大蔵省はややもすると
補助率の少いほうに持
つて行くのは当然であります。たまたまこういう
事業を七千万円で起した、これが原因と
なつて、砂防の根本目的が、或いは
補助率が減るというようなことになりましたならば、まだ今日は砂防の発達する道程でありますから、非常にこの点は危險性がある。この点につきまして次官のお考え方を承わりたいのであります。