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1952-03-19 第13回国会 参議院 決算委員会決算審査に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十九日(水曜日)    午後二時十七分開会   —————————————   委員の異動 三月十四日委員石川清一君及び郡祐一 君辞任した。   —————————————  出席者は次の通り。    委員            長谷山行毅君            溝淵 春次君            山田 佐一君            伊藤 保平君            森 八三一君            栗山 良夫君            小酒井義男君            カニエ邦彦君            菊田 七平君   政府委員    厚生省兒童局長 高田 正巳君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君   参考人    関東財務局長  井上 義海君    関東財務局管財   第二課課長補佐  苗川 岩雄君    東京民生局長 畑 市次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度決算会計検査院検査  報告第三三三号聖十字学園に対する  国有財産売渡に関する件   —————————————
  2. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) 只今より決算審査に関する小委員会を開会いたします。  本日は小委員長が所用のため出席できませんので、小委員長の御指名によりまして私が小委員長の職を務めさせて頂きます。  本日は昭和二十四年度決算会計検査院検査報告批難事項第三百三十三号、聖十字学園に対する国有財産売渡に関する件を議題に供します。  本日は政府委員として厚生省児童局長高田正巳君、参考人として関東財務局長井上義海君並びに東京民生局長畑市次郎君の出席を求めております。このうち畑東京民生局長は止むを得ない事情のために出席が午後三時頃になる模様であります。出席遅延懇請書委員長宛に提出されております。以上念のため御報告いたして置きます。  それでは只今から本日の議題につきまして委員諸君の御質疑をお願いします。
  3. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本件経緯については前回の委員会森專門員から極くあらましを述べられたので、事件の全貌については大体各委員とも御承知であろうと思いますから、そういう点を省略いたしまして、直接本件のひつかかりとなつて参りました点についてお聞きしたいのでありますが、先ず関東財務局がこれを売拂う当時の原形はどういう形であつたかということ、特に本件建物以外に、相当破壊されてはおつたでしようが、元の厚生省衛生試験所である以上、いろいろな施設がここにあつたと考えられるのでありますが、その施設状態はどういう状態にあつたか、その施設はどこに売拂いをしたのか、その点について先ず伺いたいと思うのであります。
  4. 井上義海

    参考人井上義海君) 厚生省から大蔵省引継ぎましたのは、御案内のように二十三年の五月であつたと思うのであります。その当時の原形は、当時の模様を私聞いたところによりますると、附近の残土がそこに持ち運ばれておりまして、非常に荒れておりまして、又施設は殆んど焼け落ちておりまして、主として煉瓦塀残つてつたよう状態であつたように聞いておるのであります。
  5. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 施設は焼けた、併し、それは燃焼物は焼けても、不燃焼物である機械であるとか或いは鉄鋼素材であるとか、或いはパイプの類であるとか、或いは又その他のものは別にそれがために焼け落ちておるというようなことはないので、衛生試験所である限りにおいては、必ずしもそれ全部が可燃性物であつたとは考えられない。従つてこれら焼け残つたものはどうなつてつたか、この点を聞いておるのであります。
  6. 井上義海

    参考人井上義海君) 只今申しましたように、非常に残土が、堆くなつておりまして、その下に施設機械の一部等もあつて、明瞭にそれを認めるわけに行かなかつたよう状態もありましたものでありますから、大体厚生省と立会いまして引継ぎました物件は、大体物件種目を申上げます。土地は勿論これはそのままで三千二百二十二坪引継ぎました。工作物といたしましては、門、水道、下水、池井装置通風装置、貯槽、原動装置作業装置、諸標その他雑工作物というように、工作物として種目がなつておりまして、こういうものを現場で立会いまして大蔵省引継いだわけでございます。
  7. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この工作物売渡は誰に売渡したのか、その工作物は、誰に幾ら売渡しているか。
  8. 井上義海

    参考人井上義海君) 只今申しました工作物は、土地建物に附属いたしまして学園拂下げたのであります。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、土地建物に附属しておるもろもろのそういつた、恐らく使えなかつたでしようが、機械類等の破損したものも、残存したものも、そのまままとめて売拂つた、そういうことに了承していいですか。
  10. 井上義海

    参考人井上義海君) そうでございます。
  11. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで、この売拂いのときに磯川なる者にこれを売拂つておるのですが、そのときに、この磯川なる者がどういうような申請をして来たか、或いは又その申請に基いて、その申請した通り実施能力があるかないかということを、どういうような方法によつて確かめたか、先ずどういう方法によつて確かめたかという前に、なぜこれに売拂わなければならなかつたか、この事情について一つ詳しく述べて頂きたいと思います。
  12. 井上義海

    参考人井上義海君) 先ず、どうして聖十字学園に売拂わねばならなかつたかという点でございますが、この土地建物は、御案内のように元厚生省の所管でありまして、衛生試験所であつたのであります。まだ行政財産といたしまして大蔵省引継ぎます前に、すでに聖十字学園から厚生省に貸下げてもらいたいという申請が出ておつたようであります。それから東京都知事からも、当時の社会情勢に鑑みまして、そのような社会事業を営みまする要望が非常に強いというところから、そういうように利用されたいという陳情と申しまするか、要求が厚生省にもあつたようであります。厚生省から私のほうが引継ぎいたしますとき、行政財産から普通財産引継ぎをいたしますときにも、厚生省のほうからできるだけこの要望をかなえてやつてもらいたいという依頼の文書も参つておるのであります。私のほうといたしましては、只今申しましたように、その土地は当時非常に荒れ果てておりまして、殆んど人もおりません。残土は堆く積つておりまして、競願者も全然ないことでありますし、社会事業は勿論その当時非常に要望されておつたことでありますので、一応さような経緯がありましたので、聖十字学園拂下げようということにきめたのであります。只今質問になりました園長能力その他についての調査でありますが、これは、私のほうが一応聖十字学園から拂下げ申請書を出して頂きまして、その申請書内容につきましては事業計画収支計画等につきまして相当念査をいたしたわけでございます。個人そういつた能力状態について徹底的な調査は必ずしも十分ではなかつたと思うのでありますが、只今申しましたような引継経緯もありましたことと、もう一つはその当時そのような普通財産の処理に従事しております者が非常に手薄でございまして、かような案件はこれは問題なく処理できるものだと思つて、他のいろいろむつかしい問題を僅かな員数で処理しておりましたのでございますので、そこまで徹底した調査をやらなかつた憾みは確かにあると思うのであります。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ず先に厚生省からこの者に拂下げてもらいたいという要望があり、引継を受けるときにもそういう厚生省からの要望があつたと言われているのですが、この点についてはこれは売り拂つてやらなければならないという相当強い関財としての拘束力を持つものであるかどうか、この点についてはどういうことになりますか。
  14. 井上義海

    参考人井上義海君) その点は勿論むずかしい法律的に申しますと大蔵大臣が持つ拘束力はないと思いますが、大体社会事業団体としまして、財団法人聖十字学園というものが認可に相成つておりまするし、又認可官庁からそういうような御推薦もあつたのでありまして、私のほうは実際問題といたしまして、できるだけその要望に副いたい、こう考えたのであります。
  15. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから次にお答えであつたが、書類計画書は十分見た。併し個人或いはその他の組織の内容至つて、これだけの計画を遂行できる実態にあるかどうかということの調査は十二分ではなかつたが、したにはしたような印象を今受けたのですが、書類の上で書くということで、それでこういう厖大な土地建物がたやすく得られるならば、如何ようにでも申請書のようなものは書けるのであります。その申請書に書いてある事柄が問題でなく、その事柄が事実であるか、或いは又その事柄が実際実施でき得るかどうか、この点が重要な問題になるのであつて、その重要な点については必ずしも十分でなかつた。が併し一応の調査はしたようなお言葉であつたが、そこで調査をしたとするならば、具体的に誰と誰とをいつどのように調査したか、この点についてお答え願いたい。
  16. 井上義海

    参考人井上義海君) その点につきましては園長の磯川さんも数度お見えになつてみずから折衝されておつたようであります。又渡辺理事長でございましたか、渡辺敬吉さんもやはり数度お見えになりまして、みずから説明され、さような社会事業遂行についての非常な熱意及びその資力については御当人からいろいろ御説明があり、詳細な御説明があつたのでありまして、それと一方には今申しましたような監督官庁からの推薦もありましたし、そこで一応本件は間違いないだろう、競願者もなかつたし、非常な人手不足でもありましたし、この程度の調査で十分だろうということで本件拂下げに相成つたのであります。
  17. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 何ですか。申請書に書いておいた事柄、それからその申請者が来てそうして意見を聞いただけで丸呑みにして、それで調査が十分であるということであれば、何もそれは調査でもなければ何でもない。ただ申請人の言い分を聞いたに過ぎない。そこで何ですか、申請人が、その申請をしておいた当人がどんな人柄であるとか、どんな者であるかということの判定もせずに、言いなり放題大蔵省は聞いて、そうしてそれにおいて国のいわゆる国民の血税ででき上つているところの財産を安く売り拂う、こういうようなことを始終やつているのですが、その点はどうですか。それだけでいいと思うのか。
  18. 井上義海

    参考人井上義海君) いえ、その点は私のほうが多少、この点は少し怪しいというふうな印象を受け、そういうような調査上、或いは書面調査上において印象を受けましたときには、勿論私のほうで気の済みますような調査を、或いは場合によつて個人のそういう調査までもやる場合も勿論ありますが、只今申上げましたように、本件につきましては、事業自体そのもの監督官庁が財団法人聖十字学園としての認可をし、更にその方面からの御推薦もあつたのでありまして、專門外である大蔵省がそれ以上の調査をすればよかつたのでありますが、この点は一応そういうこともありましたのであります。又理事長園長も来られてみずから御説明もあり、一応これなら間違いないということで拂下をいたしたような次第であります。必ずしもほかの場合に皆このような調査をやるのではないのであります。問題になる場合には相当徹底した調査をやることがあるのであります。そのために相当人手も食われるのでありまして、本件については一応そういう経過もありましたので、間違いないだろうということで拂下処分をしたような次第であります。
  19. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 で、処分をしたのはいつ、幾ら処分したのか、当初。
  20. 井上義海

    参考人井上義海君) 契約いたしましたのは、日附昭和二十四年三月二十五日でございます。金額は合せまして九百十五万円くらいであります。
  21. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その契約がされる前からすでにこの土地建物に対して、この本人が手を入れ、或いは又それを 一部を建築したりしておつたと、こういうことについては、厚生省としてはこれは暗黙のうちに馴れ合いで認められておつたと、こういうことなんですか、その点はどうなんですか。そういう事実は全然知らなんだというのか、知つてつたが、これは早晩この拂下をしてやるし、又契約ができるものだという前提からして暗黙のうちに認めておつたのかどうか。
  22. 井上義海

    参考人井上義海君) その点は引継ぎますときに、すでにそれは拂下を受けるものとの前提で若干整地等学園のほうでやつておられた様子でございます。今申しましたように、本件は全く白紙引継いだと申しますよりも、そういうような経緯があつて引継いだのであります。学園といたしましては引継ぎますと、当然自分のほうに拂下げになるものと思つて、事実上そういう措置がとられておると思います。
  23. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで厚生省としては、まあそういう点は別として、大蔵省としては国の財産引継いで、これを大蔵大臣の決裁においてどう処分するかということが未確定である以上、直ちにこれに対して停止処分或いは停止の通告をしたかどうか、或いは又それを何故しなかつたか、その点についてお答えを願います。
  24. 井上義海

    参考人井上義海君) その点につきましては只今申しましたように、この土地建物処分につきまして全然競願者もありませんでしたし、又引継を受 けました前後の、その現場状況と申しまするのは、非常に荒れ果てた状況でございまして、相当浮浪者も無断で入り込んだりしておりました。学園がそれらをむしろ、どう言いますか、管理をしておるというような状態でも裏から申しますればあつたのであります。これが本当に白紙でこれを処分するのでありますならば、勿論大蔵省といたしましては嚴重に監視をいたしまして、公正な処分をいたさなければならんのでありますが、請願者もなし、又そういうような経緯から引継をいたしましたので、若し学園処分するものであれば、そこまで強行する必要もなかろう、こう考えたのでこれは停止 をやらなかつたのでありますし、いわ ば黙認のような形に事実上はなつてつたと思うのであります。
  25. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでまあ事実上は黙認のような形になつてつて、その後その建物についていろいろ手を入れ、そうしてその一部分が、而も道端の場所が三十何軒の業者、種々な業者に対してこれが転売されておる、こういうことについてはどういうような考えでおられたのか。それも黙認をして素知らぬ顏して過ごされて来たのか、この点はどうなんですか。
  26. 井上義海

    参考人井上義海君) その点につきましては、二十五年の五月頃でございましたか、会計検査院検査がございました。実地につきまして検査があつたのであります。そのときに初めて転売をしておるという事実を発見いたしました。そこで初めて学園が私どもの売拂いましたる契約條項に違反しておるということがわかつた。それでこれに対してどういう処置をとるかということにつきましては、関係方面ともいろいろ打合せをいたしまして、すでに御案内と思いまするが、転売しておりました土地建物につきましては契約を解除いたしまして、転売先と直接契約を結んだのであります。
  27. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その以前に遡つて、これのいわゆる取得されたとき、そのときにはその金が誰と誰とがその支拂いにあなたのほうへ持つて来たか、誰と誰とがその金を幾ら、あなたのほうの決済、支拂いに持つて行つたのか。
  28. 井上義海

    参考人井上義海君) 転売先からですか。
  29. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いや、転売先でなく、本件当初の契約本件当初の一番最初のですね、本件契約が締結できて、そうしてその代金幾ら誰があなたのほうに持つてつたか、それは誰が受取つたのか。
  30. 井上義海

    参考人井上義海君) 持つて来られましたのは磯川園長が持つて来られました。金額は三百五十万円、受取りましたのは会計出納勘定をやつております飯塚事務官受取つたのであります。
  31. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そのときに磯川は行つたことは事実ではありますが、磯川が金を出したのではなく、事実はそのとき同道をして行つた日通が金を出している。三百有余万円ほど出している、こういうことでありますが、それは事実であるのかないのか、その点をはつきりお伺いします。
  32. 井上義海

    参考人井上義海君) その点は全然わかりません。
  33. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは誰に聞くとよくわかるのですか、事実は。
  34. 井上義海

    参考人井上義海君) その当時の係官只今参つておりまするが、若しよろしかつた本人から……。
  35. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点はあとから当時の係官から一応委員諸君の了解を得て承わるということにいたしまして、そこで今度その金を受取つて、それがなぜすぐに国庫に収納されずにおつたか。で、その国庫に収納されたのはいつであつて、それから受取つたのはいつであるか、その間は一体なぜそれがどこにその金があつたのか、その点を井上君に一つ承わりたいと思います。
  36. 井上義海

    参考人井上義海君) 受取りましたのは二十四年の四月十五日であります。そうしてそれは出納官吏飯塚君の名前で大阪銀行に預入してあつたのであります。そういたしまして、十一月の半ばごろに第一回の支拂に充当されたのであります。
  37. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 四月十五日に金が受取られて、その秋の十一月、その頃まで一体長い間これが個人名前銀行に預金されておつた、そういうことが国の会計法上認められることなのかどうか。そういうことをあなたのほうは絶えず収納官吏が場合によればちよこちよこつているか。そういうやつていることは違法であるのかないのか、その点についてお答え願います。
  38. 井上義海

    参考人井上義海君) 終戦後国有財産拂下げいたしまして、代金の徴収につきましては非常に苦労いたしたので、拂下げますときには、先ず処分いたしました財産代金を確実に入手するという点に非常に力を注いでおつたのであります。従いまして先ず第一回の支拂分についての金を納入して頂くということで、又納めるほうも今金があるが、まだ若干納期あとであつて、今これを持つていると使つてしまうから一時預つておいてくれというので持つて来られるような場合、最も多くの例のありまするのは、今国有財産拂下げました代金につきまして、分納という制度がないのであります。併し一遍にはなかなか納められない、僅かずつ持つて来て、それを全額に達したときに納入いたします。そういう場合には自分が持つているとやはり使うんで、一時預つておいてもらいたいというふうな場合もままある。さような場合には便宜上これを、勿論これは現金のことでありまするので、役所で保管しておりますと、これはもう非常に危ないのであります。納入期まで便宜上一時現金を扱います出納官吏が保管しておくというような事例はままあるのであります。この場合も先ほどからいろいろ御質問がありましたように、成るほど社会事業を営む団体でありまするので、これに随意契約をすることは止むを得んといたしましても、資金関係については非常に心配で、先ず少くともその金は出してもらわんと困るということで、相当この点では現実問題として慎重に交渉しておりました。園長もそんなことなら持つて来ようというので持つて来られました。ところがこれは私の非常に手違いなんでありますが、今のように話が運んで参りまして、二十三年度の末にはなりましたが、できるだけ早く契約をしておきたいというので契約をいたしましたのですが、これは金額的に申しますると、本省稟議する事項でありまして、対外的には契約はいたしましたが、内部的にまだ稟議が済んでいなかつたという手違いがありまして、そこを大蔵省稟議しておりました間、今申しましたように止むを得ず銀行に保管しておつたよ うな次第であります。
  39. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私の申上げておるのは、そういうことを始終やつておるのかどうかということと、それは会計法上適切なる行為であるかどうか、違法なのか或いは正当行為なのかどうか。又この金が四月十五日から十一月の中旬まで銀行でどういう形態になつてつたかということは、これは銀行を調べて見ればわかる問題でありますが、それがどうあるとか、こうあるとかということは別として、とにかくそういう措置をすることが大蔵省としては会計法上許されておることなのかどうか、それはいいことと思うかどうか、こういうことなんです。
  40. 井上義海

    参考人井上義海君) これは常時やつておる事例ではないのでありまするが、只今申しましたような特殊の場合におきまして、買われたかたにおきまして、現金を持つていると使い込むかも知れんから一時預つてもらいたいと持つて来られる場合がある。その場合にまだ納期が来ないから預かりませというと、いよいよ納期の時期が参りまして支拂いができないというような場合も往々にして起るのでありまして、歳入確保というような見地から、事実上これを保管しておく、従いまして会計法の問題とは別の問題といたしまして、事実上それを保管しておる。それは只今申しましたように、一方には歳入確保、一方には本人のそういう申出を容れるということで事実上保管をしておくと、こういうことでありまして、会計法抵触云々の問題は余り起らないのではないかと思うのであります。
  41. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この問題については一応後日会計検査院から、検査院主管局長からどうであるかということをはつきりこの点は知りたいと、こう思つております。そこでこれは国が扱うのでありますから、そこでその出納官吏が誰それ個人ということで預つてつたという意味なのか、国の官吏として預つてつたのか、こういう意味なのか、その点はどちらなんですか。
  42. 井上義海

    参考人井上義海君) その点は便宜上今申上げましたように預つてつたのでありまして、現金を扱います出納官吏個人として保管しておつたと思うのであります。
  43. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからこの拂下げ申請が二十三年の三月になされた。拂下げ契約は二十四年の三月になされた。その一年間の間、本省のいわゆる稟議はなぜこれが早く行われなかつたのか、若しそういうような既成事実を作り上げて、もうすでにそのときからいわゆる紐付きのような形で来ておるものであれば、なぜこれがなされなかつたか、その間何をやつてつたか、それを伺いたい。
  44. 井上義海

    参考人井上義海君) その点はそういう申入れがあると同時にやればよかつたのですが、先ほど申しましたようにいろいろ書面上の申査等が、書き変えて来られたりするのに相当その間期間がかかりますので、大体これなら拂下げてもいいだろうというように、財務局として肚がきまりましたときにすぐに契約をやつたわけなのでありまして、その点は内部的なこととして、財務局としては手抜かりであつた。勿論本省稟議をいたしまして、その回答があつてやれば、契約はもつとずつと遅れるのでありまするが、やればよかつたのでありますが、契約のほうを今のように大体事業計画なり財政状態の調べ、そのための書類の提出を数十回やりまして、大体これでいいだろうといつたところで、年度末でもありましたので、契約を先にやりました。そしてあと本省稟議したというような結果になつたのであります。その点は今カニエ委員がおつしやいましたように、そこで財務局の態度がきまれば同時に稟議するというようにいたしまして、その回答があつて正式に契約を結ぶべきが当然であります。今申しましたように年度末でもありましたし、いろいろその年度契約、その年度歳入というようなことを考えて、年度末には相当輻湊してやるものですから、稟議が遅れたような結果になつたのであります。
  45. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからその後この売拂いについて会計検査院から、一部他に転売をしておるという事実がわかつて、そうしてこれを解約をし、そうしてそれぞれの居住者にこれを再度分割して売拂つたと、これはまあ当然な措置であろうかと思われるのでありますが、その場合に、なぜ全部に亘つてその解約措置をしていなかつたのか、ただこれは店舗側が、この周囲におる三十何軒の店舗側転売をしておるという事実以外に、現在行つたならば、この聖十字学園契約当時、売抑 いのときの契約に合致したことをやつ ておる部分は何坪あるのか、どこにあるか、我々はさようなものはこれはあるように思えません。従つて全部或いは大部分について契約をそのときに解除すべきでなかつたか、それをしていないということは、それはどういう理由に基くものであるかということと、現在でもこのいわゆる契約に則つて、そうして現実にこの契約通りに行われておるという部分は何坪であり、その内容は何であるか、この点についてお答えを願いたい。
  46. 井上義海

    参考人井上義海君) 他に転売しております事実がわかりましたときに、これにつきまして契約條項の違反といたしまして、全面的に契約の解除をする、か、或いは直接契約の違反をやつた部分だけについて更改契約をやるかにつきましては、事務当局は勿論いろいろ関係方面ともこの点については愼重に検討いたしたのであります。ただ更改契約をやりましたその理由は、聖十字学園というものがなお社会事業団体法人といたしまして、依然まだ認可されておる団体でありますし、それから大蔵省としては、これは專門的には勿論わかりませんが、一部浮浪者の収容もやつておりましたし、それから公衆食堂、公衆風呂等が、これは純然たる社会事業ではないでありましようが、一応あれは併設的に認められる事業ではないかとも考えられますし、又当時の社会情勢から申しましても、少くとも趣意書にありますような社会事業は非常に要望されておるところでもありますので、これがだんだんと本来の社会事業に進んで参りますものであれば、大蔵省契約條項違反ということだけで契約解除をするのは如何なものであろうかと考えましたことと、もう一つはこの社会事業団体として認可されておる聖十字学園が、事業をやる本拠がここにあるのでありまして、若しこれを契約解除いたしまして立退きを実際問題としてやらせましたら、転売先はすでに聖十字学園代金を拂つておるのでありますので、大蔵省あとから契約解除して転売先と直接契約を結びましたときに、転売先としては大蔵省にも金を拂わなければならないし、又聖十字学園にもすでに金を拂つておる。従つて大蔵省契約しました結果、聖十字学園拂つたものは聖十字学園から返して頂かなければならないというようなこともございまして、そういうことも、ここで事業をやつていけないと……、ここで契約を全面的に解除して売拂いますと、そういうことも非常に……、殊に零細な三十数軒の店舖もあるのでありまして、そういう点も多少は考慮しなければならないというような点から、直接契約に違反した部分の更改契約が一番穏当だろうという意見になりまして、さような措置をとつたのであります。
  47. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いや、直接その更改契約をしておる店舗側のことを言つておるのじやなしに、私はその他の現存しておる部分、それが契約に違反をしていないといういわゆる事実がどこにあるのか、どういう観点からあなたはそういうことを言つておられるのか。我々は一日、二日現地に行つて調査をしただけでも、決してこれが社会事業であるとは思えません。又今あなたが言われたような風呂にしたつて別にこれは磯川が経営しておるものでもなければ、又宿泊所にしても然りだ。又食堂にしたつてこれは食堂は何も食堂経営者が行うておるのであつて、これはもう純然たる営利事業以外の何物でもない。母子寮と称するものはいつて見ればアパートである。その施設たるや極めて危険な状態にあるような施設である。これらを通じて眺めてみても、一体何がためにこれが一部の更改契約をして、他のものを残すに至つたかということなんで、その点をはつきりと私たちがあなたから伺つて、成るほどそれはこの部分は契約の條項にあるところの社会公共福祉に関するところの施設であると言い切れるかどうか、自信を持つてあなたが言い切れるとすれば、どの分がそういうふうになつておるかということを述べてもらいたいということです。私の言うのは……。
  48. 井上義海

    参考人井上義海君) その点は只今申しましたように、その当時やつておりました聖十字学園の事業が、それがそのまま純然たる社会事業であるとは私ども考えていなかつたのであります。ただ大衆風呂とか公衆食堂、浮浪者の収容所といつたものが設立間がないときでありますので、先ずそういう事業からだんだんと純然たる社会事業に入つて行くのであろう、そうして取りあえず私どもはそういうことも併設事業として全然できない事業ではないのではないかということは、所管が違いますけれども考えたのであります。ただ契約條項違反ということだけで、折角認可を受けて併設事業とも認められるような事業から始めておる社会事業団体を消滅さすことは如何なものかということから、その分だけは一応残して、聖十字学園が今やつております事業だけは残して更改契約をやつておるというのでありまして、私ども純然たるそれが社会事業とは考えていなかつたのであります。
  49. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) ちよつとこの際委員のかたにお諮りいたしますが、当時の関係官であつた関東財務局の管財第二課の課長補佐の苗川岩雄君が丁度ここに来られておりますので、この際当時の事情を明らかにする意味で同君の発言を許可したら如何と思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) 御異議ないと認めます。では質問によりまして同君の発言を許可することにいたします。なお東京都の民生局長の畑市次郎君もここに見えられましたから、御質問がありましたら発言を許すことにいたします。
  51. 小酒井義男

    小酒井義男君 これの拂下げに対して聖十字学園に是非拂下げをするようにというような引継ぎがあつたという御説明があつたのですが、どうしてそういう聖十字学園にというふうに特定の社会事業団体にそれを拂下げようとして、東京都なり或いは厚生省がそうした條件にもひとしいものを附けられたかということの経過を一つ説明願いたいと思います。両方からお聞きしたい、どちらからでも結構です。
  52. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 私昨年の暮に民生局長に就任いたしましたので、それ前に起つた事柄につきましては当時の局長、関係者からもいろいろ伺つたのでございまするが、今御質問がございました点につきましては以下申上げる通りでございます。  それは終戦直後における社会経済状態はもう御案内通りでございまして、簡易宿泊所は戦災前には東京都の直営の分だけでも十四あつたのでございます。それから社会事業の宿泊所といたしまして四十五、それから簡易旅館、いわゆる木賃宿と称せられるものが四百十八、こういうような数に上つた宿泊施設があつたのでございます。そうしてこれらの宿泊施設には申すまでもなく浮浪者であるとか日雇労務者等、これらの人たちが泊つてつたわけでございますが、あの大きな災害を受けまして、殆んど全部これが罹災いたしたのでございます。従つて戦後における住宅難は、今日も住宅難は甚だしいのでありますが、それは極度な住宅難であつたのでございます。そこで東京都といたしましては、できる限りこうした施設の復旧なり或いは民間の団体に対して助成をいたしたいというように考えておつたのでございますけれども、当時の財政事情からしてなかなか意のごとく参らん。併しながら浮浪者はどんどん殖える、日雇労務者はどんどん殖える、失業者は街に溢れるというような状況であつて、何としてもこれは民間においてもこういうような仕事をやつてもらいたいというような希望があつたのでございまして、たまたまこのときに当つて聖十字学園がかような施設をするというようなことからして、この財団設立につきまして東京都知事が復旧をいたしたというようなことでございますが、併し当時の状況を考えて見ますというと、単に四十何万円かの基本財産を以てかくのご とき仕事をすることができるかどうか。その他の点につきまして調査について幾多遺憾の点があつたことは、先般これを衆議院のほうで申上げた通りでございまするが、戦後のそのときの状況下におきましてはそういうような、今申上げたようなことからして大いに民間にやつてもらいたいという希望で一応やつたということは事実でございます。
  53. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 国有財産拂下関係は、ちよつと委員長にお許しを得たいのでございますが、私の局の所管でございません。大臣官房会計課で扱つております。それでお許しを得て私の聞いておりますところだけを申上げたいと思います。御了承願います。
  54. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) 結構です。
  55. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 只今東京都からお話がありましたように、二十二年の十二月六日附東京都知事の復旧が添えられまして、十二月一日附で厚生大臣宛に当該の土地建物貸下方の申請書を提出されております。ところが厚生省におきましては、その衛生試験 所が戦災によりまして焼失いたしまして、その後復旧の見込もなかつたのでございましたので、それで東京衛生試験所長から二十二年の十二月に大臣官房会計課長宛に衛生試験所としての用途廃止方願出の手続をいたしたのであ ります。それで二十三年の二月四日附を以ちまして、厚生省といたしまして は大臣官房会計課のほうで当該国有財産の用途廃止並びに大蔵省に雑種財産として引継ぐということを決定をいたしまして、同日附を以て厚生大臣より 大蔵大臣宛にその旨を通知をいたしております。同じく二月四日附を以て会計課長から東京財務局長宛に右の大蔵大臣宛通知を添付して、当該国有財産收受について照会の文書を発送しております。同年三月十七日に厚生省会計課員実地立会の下に東京財務局に当該国有財産收受の事務を完了しております。三月三十一日附を以て財務局長から会計課長宛に土地建物についての受領書の送付があり、厚生省といたしましては五月十日附を以て会計課長から衛生試験所長宛に用途廃止手続方の完了を通知しておる。まあこういうふうな日附のいきさつでございます。今の御質問の要点でありまする聖十字学園拂下げてもらいたいという意味の紐付で移管したかどうかという点でございますが、私そのときの書類を借りて来るのを今日忘れましたが、引継一をいたすということが主たる用件でありまして、厚生省としては、もうこれは自分の公用財産としては必要がな い、従つて大蔵大臣のほうに引継をいたすということが主たるその文書の目的でありまして、その際になおこの土地についてはかくかくの者がかようなことを願出ておるから、大蔵省のほうで御詮議の上然るべくお取計らいを願いたいというふうな意味の文書を出したのであると当時の係官から私実は聞いておるわけであります。大体私の主管でございませんのでございますが、聞いておりまするところを申上げまして御参考といたします。
  56. 小酒井義男

    小酒井義男君 東京都のほうへお尋ねしたいのですが、現在あの聖十字学園の関係しておる事業に対して、東京都から何か補助でもなさつておるような部面のものがどれだけあるかどうかということなんです。
  57. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 東京都から聖十字学園に対しましては、例の千葉県にございまする児童福祉施設、これは認可になつておりますが、これに対しましては二十一年からずつと措置費が出ております、委託費が出ております。金額を申し上げましよう。二十一年度が二万六千三百七十五円七十八銭、それから二十二年度は三十一万四千八百四十三円八十五銭、それから二十三年度が百十四万七千五百三十九円、それから二十四年度が百五十二万八千五百七十円七十五銭、それから二十五年度は百七十五万九千八百四十七円、それから二十六年度は本年の一月二十四日現在の調べでございますが、百六十万八百十五円でございます。それから例の太陽寮でございまするが、家出人の收容所につきましては、これは認可施設になつておりませんが、生活保護法の第三十條によりまして、これは一定の箇所で、或いは條文をここへ……、生活保護法の第三十條にはこういう項があるのでございまして、ずつと書上げまして、「被保護者を養老施設、救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に收容し、又はこれらの施設若しくは私人の家庭に收容を委託して行うことができる。」こういう條項がございまするが、それによりまして家出人として收容した分につきましては、生活保護法によつて定めた経費を支出しております。二十四年度は十八万三千二十五円九十七銭、それから二十五年度は二十四万九千八百四十四円七十四銭、それから二十六年度は今年の一月二十六日現在で二十万七千七百二十六円、こういう数字になつておるのでございます。これは今お尋ねは……お差支なければ申上げたいのですが、共同募金の ほうからも参つております。そこでこの太陽寮のほうはああいう状態で、これはもうあのやり方自身につきましても批判されるものが多々ありますので、共同募金のほうは二十六年度は出ておりませんが、千葉県の児童施設のほうへは共同募金のほうから十四万円という額が本年も出ておるのでございます。
  58. 小酒井義男

    小酒井義男君 続いてこれは民生局の関係になるかどうかと思うのですが、あすこに母子寮というのがあるのです。行つて見ますと非常に設備の悪 い、火災でもあつたら逃げ場のないような設備のところに、これが社会事業とは考えられない形で運用されているようですが、ああいう施設には何か都のほうとして御調査になつたようなことがあるかどうか、全然そういう問題について考えられたことがないかどうかということをお尋ねしたい。
  59. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) あれは私一月でございましたか、ちよつと行つて現実を拝見したのでございますが、あれはまあ母子寮或いはそれに類すべきものでないということはもうその通りでございまして、それで結局あれは何と申しましてもアパートであつて、それからその施設、いろいろな点から見てもこれは適当でないということを私ども考えているのでありますが、建築局なり或いは消防庁のほうとも十分まだあと連絡をしておりませんけれども、これらにつきましては十分に一つその点究明してみたいと思つております。
  60. 小酒井義男

    小酒井義男君 財務局のほうへ……よろしうございますか。売買契約を見ますと第十條に、売拂いを受けた物件を引渡しを受けた日より十カ年間公益事業施設の用に使用することとなつております。十一條では契約條項に違反しその義務を誠実に履行しないと認めたときは無條件で本契約を解除するということになつておりますが、こういう問題について契約通り使用しているか、使用しておらないかということをお調べになつたことがあるかどうかお聞きいたしたい。そうでない、使用しておらないというような場合にはどういう措置をおとりになるのか、この二つの点についてお尋ねいたします。
  61. 井上義海

    参考人井上義海君) 只今質問のありました点は、財務局といたしましての従来の取扱い事例から申しますと、随意契約をいたします場合に、おおむね例文的というとおかしいのでありますが、こういう條件を附けております。そうして只今これが部内で非常に問題になつておりますのは、例えば学校等に非常に安く拂下げた、特権的に安く拂下げたときには、これはどこにも條件を附けて、その條件をどこでも履行させるように監視する。ところがそうでない、時価、適正価格で拂下げたのまでもかような十カ年という長い間の所有権の制限を附けることが、果して所有権尊重の憲法の精神からいつて妥当なものであるかどうか。それからもう一つは、十カ年の長い期間に亘つてあの今の事務要員でこれだけの厖大な随意契約のこの附帯條項を監視できるかどうかということが今問題になつております。だからこれは少し條件が行過ぎだ、あらゆる随意契約にさような嚴しい十カ年の取得の制限をすることは、どうもこれは折角所有権を移して置きながら、それだけの長い間の條件を課することは穏当でないだろうという意見が部内でありまして、部内で今大蔵省と検討いたしております。併し従来は只今申しましたように随意契約のときにはさような條件を附けております。併し実際問題といたしましては、都内の財産が非常にこれは軍用財産、物納財産、その他雑種財産、終戰後厖大な財産引継いだのであります。それを僅かな人数で処理しておりますので、随意契約拂下げたその後の條件履行について、現地についてそれだけの監視を常時続けることが非常に困難なんであります。併し最近ではできるだけ事務の簡素化もやつて参りましたし、できるだけ……一つの問題が国有財産処分について起ると、それに非常に手数を取られて、担当官も非常に苦労をいたしまして、聖十字学園も更改契約をいたすときに苦労をいたしました。三十八軒の店舗その他と直接契約をするのに非常に苦労をいたしました。一つ事件がこじれて参りますと非常に手数を掛けて運用面でやる場合がある、さようにしてやつておりましても、さような制限を附けた監視を十カ年間も続けるのには非常にむつかしいのでありまして、実際問題といたしましては、只今質問がありましたように、なかなか徹底した條件の履行についての監視は実際問題としてはむつかしいのであります。従いまして只今申しましたように、随意契約のすべてにそういう條件を附けることが妥当かどうかということにつきまして部内では検討しております。併し私どもはできるだけ事務の簡素化と能率化を図りまして、さような條件を附けたものにつきましても、今後はできるだけこれは十分の監視をして、そういう場合があれば即刻適当な措置をとつて行きたいと考えております。
  62. 小酒井義男

    小酒井義男君 今御指摘があつたように、なかなか監視はむつかしいと思いますが、本件のような場合ですね、目的外にやはり相当使用せられておるという事実がはつきりして来る、こういうものに対してはやはりどういう考え方を持つておられるか。ただこれの拂下げ社会事業団体であるが故に相当の安い価格で受けておるのじやないかというふうに我々は考えるのでありますが、これが普通の時価で拂下げをせられたものだというふうにお考えになつておるかどうかということをお伺いいたしたい。
  63. 井上義海

    参考人井上義海君) 拂下げ価格の問題でございまするが、これは私どもの考えといたしましては、社会事業団体としましても随意契約の対象にはなりますが、値段の点ではその当時の現況の時価で処分するのであつて、決して安くは処分したとは考えておらないのであります。
  64. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ほど民生局長から千葉の何が出たのですが、千葉の三里塚の修錬道場、昔の海軍の修錬道場のように聞いておるのですが、これの拂下げ大蔵省はいつしておるか、幾らでしたか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  65. 井上義海

    参考人井上義海君) 千葉の修錬道場のほうは、土地は民有地だそうでございます。建物も国有にはなつておらないそうであります。
  66. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これは海軍が使用しておつた、当時使用しておつたので、その当時の事情は又後ほど調べた結果によつて質問申上げますが、そこで民生局長にお尋ねするのですが、生活保護法第三十條に基いていろいろ中で適用條項を申述べられましたが、本件の場合はその條項のどれによつて先ほど御説明になつた金が支出されておるということになつておるのですか。
  67. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 先ほど申上げた中で「その他の適当な施設」、これでやつておるわけであります。
  68. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 民生局長は「その他の適当な」ということでやつておるとお答えになつたが、あの現状、太陽の光線も入らない、入つて見れば悪臭ぷんぷんとして臭う。而もあそこで一週間も寝ておれば、健全なる体を持つものでさえ病人にならざるを得ないというようなあの洞窟のような、地下室の隅のような個所を適当と考えておるのかどうか。あなたは適当としてこの金を出しておると言つておられるが、あれは適当な個所であるかどうか、その点をお伺いしたい。
  69. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 生活保護法で「その他の適当な施設」とございますが、従来はまあ適当な施設というわけでやつてつたのですが、私拝見しまして、今御発言がございましたが、その通りでございまして、これは健康保持の面からも由々しい問題だろうと、こういうふうに考えますので、私どもほかの收容施設等のことも勘案いたしまして、順次そうした方面にそれらの人々を移動するということを考えなければなるまい、こういうように考えております。
  70. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 厚生省のほうに、局長に伺うのですが、厚生省はああいつた場所に児童なり或いは少年少女を收容しておるということを、今日まで一度もその監督をしたこともなければ見たこともないというのか、或いは監督をしつつもそういう程度のところでよいという御認定の下に放置されておつたのか、その点を伺いたいと思います。
  71. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 今の御質問は太陽の家についての御質問かと思いますが、それにいたしましても、千葉の養護施設の問題にいたしましても、厚生省は直接自分で全国にありまする施設を全部監督するということは、非常に実質上困難でございまするので、それぞれ都道府県の知事さんのほうに実際の実地の監査をお願いをいたしておるわけであります。それで厚生省が直接あれを、問題が起るまでに監査をいたしたことはたしかないと私は考えております。なお問題が起りましてからは、先般も東京都と合同で監査をいたしまして、千葉のほうの施設は暫くおきまして、和泉町のほうのあの家出人の保護施設は、この施設も私の局の所管ではございませんが、事業といたしましては社会局の所管でございますが、常識的に考えて今の民生局の局長のお話のように私も判断をいたします。
  72. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで民生局長に重ねて伺うのですが、我々同僚議員が見て参りまして、あの中で、あの地下室の中で、二、三の者がしけた臭いような蒲団の中にうずくまつておる、あれは実際衛生的見地からいつても、又人権の上からいつても、今日の刑務所の内部より私はひどいのではなかろうか、こういうものを一時も早く、これを認めないという見地に立つなれば、すぐにでもやはり適当な場所に、もう残つておる者も二、三人であつたかと思うが、それ以上仮にあつたとしても、移動せしめるとか適当な措置を講ぜられなければならないのではないか。そういう観点からして、どういう措置をあなたはおとりになるつもりか。又今後ああいうものをまだ現在でも認めて、そういう者の收容の施設の対象としておられるのかどうか、今後、現在についての一つ御意見を承わりたいと思います。
  73. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 折角只今いろいろ御心配頂き、御注意を頂きましたので、ちよつと私東京都でとりまする全般的のああいう人たちに対する処置を簡単に申上げたいのですが、よろしうございますか。お差支えありませんか。
  74. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) どうぞ。
  75. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 只今仰せになりました通りと私も考えまして、適切な措置を講じたいと考えております。そこで東京都内に只今浮浪者が大体五千人くらいおるのでございまして、毎年六百人ほどの浮浪者東京都へ地方から流れ込んで参つております。それで昨年の暮も大きな社会問題を起したのでございますけれども、只今おりまする浮浪者の生活の実態はと申しますというと、例えばこの間も收容をしたのでございますけれども、例の吾妻橋の向うの隅田川の堤防のあそこへ百五、六十人の者が堀立小屋を立てまして、地べたで生活をしていたのでございます。それからもうすでに御案内と思いますけれども、上野の寛永寺の末寺でございますか、凌雲院という寺がございます。あそこにはお寺の暮場の中に極めて不健康な状態で三、四百人の者が生活しておる。それから又国鉄の山下橋の近辺におきましても、これ又数百人の者が掘立小屋の生活をしておる。そのほか徘徊浮浪しておる者等合せまして、先に申上げた数字になるのでございます。これらは全く非人間的と申しますか、非常に惨めな不健康な気の毒な状態にあるわけでございます。私どもとしてもこれを一日も早く対策を講じて適当な施設に收容しなくちやならんというように考えておるのでありますが、併しながらこれらの收容施設を作る場合におきましては、それを作ろうという地元ではもう例外なく反対をする、又浮浪者自身、又家出人にもこれに類する者がありまするけれども、れつきとした施設ができてもなかなか入りたくないというような者もございます。又財政事情もなかなか一挙にこうした多くの者を收容するだけの施設を作るだけの余裕がないのでございまして、政府のほうにも非常に御心配頂きまして、毎年々々補助金を頂き、経費を持出してやつておりますけれども、そういうような状況でございまして、一挙に理想的なそういう施設を建て、收容するということは非常に困難でありますという状況でございます。従つてまだこの太陽寮の下におりまする彼らの生活より以上にみじめな生活をしておる者が、今申上げたように数千人おるというような現状でございます。併しながらそうであるからといつて、太陽寮の中におる彼らの生活をそのまま放置していいとは考えておりませんが故に、私どもといたしましては、これは速かに適切の措置を講ずるためにできる限りの努力をいたしたいというように考えております。
  76. 森八三一

    ○森八三一君 大蔵委員会のために中座をいたしましたので或いは他の委員諸君から御質問の点と重複してお尋ねする結果になる問題もあるかと思うのですが、端的に二、三をお伺いしたいと思います。先刻来聞いておりますというと聖十字学園の直接監督につきましては、東京都でお当りになつておるというように拝承いたすのでございますが、そこで民生局長に先ず最初にお伺いいたしたいのは、現在聖十字学園のやつておりますこれらの事業が、真に財団法人聖十字学園の趣旨を十分に達しておるというようにお考えになつておりますかどうかという点でございます。  その次にその行なつております事業が、真に聖十字学園の責任において行われておると御覧になつておるのか、その実態はどうなつておるかという点を、御監査もお遂げになつた模様でございますので、詳細御承知になつておると思いますから、そういう点を第二にお伺いいたしたいと思います。  それから財務局長にお伺いをいたしたいのでございますが、昭和二十六年の二月二十八日に昭和二十四年の三月二十五日に契約せられました売買契約の一部を変更されておりますが、この変更をなさつた理由はどこにあつたのかという点をお伺いをいたしたいと思います。取りあえず以上三つの点をお伺いいたします。
  77. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 今お尋ねのございました聖十字学園社会事業として本来の趣旨に則つてつておるかという点につきましては、これはもう私どもこの目で見、又部下に監査を命じましたところ、達しておると考えません。それからあの中の仕事につきましても、家出人の一時保護と、それから千葉県の児童の養護施設を除きましては、これは全部委託なり、或いは民間の業者建物その他の賃貸借契約により運営しておるのでありますが、この点はその仕事のやり方が適当でない、こういうふうに考えておるのでございます。従つて年度行いました監査の結果につきましても、これは直営方式  に切換えることが適当だ、そういうようにするようにという指示、又そういうふうに考えまして私どものほうは監査をいたし、その結果の処置につきまして、そういうふうな注意を與えておるのでございます。
  78. 井上義海

    参考人井上義海君) 当初の契約を変更いたしましたのは、二十五年の二月でございましたか、会計検査院の実地監査がありましたときに、転売或いは転貸しておる事実を発見いたしましたが、これは契約條項に違反しておるわけでありまして、当初の契約を更改いたしまして一部更改契約に換えたわけであります。
  79. 森八三一

    ○森八三一君 検査院の御指摘によつて更改契約を作られたということでありますが、その更改契約を作らざるを得なかつたというその原因と申しますか、その実態はつぶさに御調査になつたのかどうか。もつと端的に申しますると、当初拂下げ申請するときにいろいろの事業を計画いたしまして而もその拂下げの理由書の中には、将来理想的な施設を完備して厚生事業の使命達成に邁進する、こう述べておるのであります。その述べておる趣旨に鑑みて適当な運営がなされておらんという部分を検査院が指摘いたしましたので、その部分を更改したということであろうと思いますが、そういう結果になるまでに聖十字学園の経営者と、すでにそれぞれの事業をやつておるものとの間に、どういうような具体的な取引が行われたかというような点は御調査になつたのかならんのか、その点を一つお伺いいたします。
  80. 井上義海

    参考人井上義海君) 実地監査がありまして転貸、転売の事実がわかりますまでは、財務局としては甚だ申訳ない次第でございまするが、わからなかつた。そこで初めて発見いたしましたので、早速その転貸、転売内容調査をいたじました。店舗三十八軒との関係或いは日通との関係、それからアジア貿易との関係、藤谷興業社との関係、それら転売契約はつぶさに調査をいたしました。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 その調査の結果、当初二十四年の三月二十五日に契約いたしました契約條件と、聖十字学園が日通なりその他に転売をしたその條件との間にどういうような事実がございましたか、御調査の結果をお話し願いたいのです。
  82. 井上義海

    参考人井上義海君) 只今質問の点は、聖十字学園処分いたしましたその値段と、直接契約に移りましたときの値段との差でございますか。
  83. 森八三一

    ○森八三一君 私の申上げておりますのは、政府のほうからは百という価格で拂下を受けて、それを途中で他のものに二百五十というもので転売をしたというような事実があつたのじやないかというように思いますので、調査をなさつたというなれば、その辺の事情は明確であろうと……。
  84. 井上義海

    参考人井上義海君) わかりました。聖十字学園転売いたしましたときの値段につきましては、日本通運に関しましては、これは聖十字学園処分するときは坪当り千七百円で処分しております。それを聖十字学園が日本通運に転売いたしますときの単価はこれは三千八百円でございます。それから店舗三十八軒のほうは、これは聖十字学園が、土地は国から買つたのでありますが、その上に聖十字学園が建てました建物土地と一緒に売つておりますので、土地建物との区分がちよつとはつきりいたしませんが、トータルの金額ではわかるのでございます。大体代表的な土地については、只今申しましたように、千七百円で売りましたものが、転売先には聖十字学園が三千八百円で処分しております。
  85. 森八三一

    ○森八三一君 そういうような問題について大蔵省としてはどういう処置をなさつたのか。拂下を一旦したものが、この契約書の十條によつて十年間も目的の通りに使わなければいけないという誓約を了承しておりながら、全然社会事業の目的に反するところへ、而も拂下の価格の二倍若しくは二倍強の価格で転売をして営利を行なつておるという事実を発見されて、ただ單に契約の更改をしたということだけで済まされたのであるか、何らか処分をされたのであるか。
  86. 井上義海

    参考人井上義海君) 財務局といたしましては、契約の更改をやつただけでありまして、それ以上の処分はいたさなかつたのであります。そして財務局といたしましては、ただ事業の監督と申しまするか、民法上の売買契約に基いての條件でありまして、それがその條件の履行がないときは契約を解除できるのだという附帯條項があるのでありますが、その條項を発動いたしまして契約の一部解除をやつた、こういうことでありまして、それ以上の処罰的な処置はとつておらないのであります。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 契約の十二條には「本契約の解除によつて甲に損害を生じたときは」、これは僕は明確に国の財産拂下げを受けて、こういうような列記された各種の社会事業をやりますと、こう言つておいて、もらつた途端に相当の利益を生んで転売してしまつたということが発覚しますれば、明確にこの十二條の規定が適用されて処置されるべきものと考えるのでありますが、そうは考えなくてもよろしいということでございましようか、御見解を伺いたいと思います。
  88. 井上義海

    参考人井上義海君) これは只今申しましたように契約の更改をやりまして、転売先からは適正価格で大蔵省処分して代金を取つております。それから転売を受けました先は、転売をいたしました聖十字学園から代金を拂戻してもらつておりますから、聖十字学園自体としては、それだけの利得をしたとは考えられないのであります。それからもう一つは、聖十字学園自体が今言うように補助を受けて、或いは寄附を受けて経営している社会事業団体でありますから、さように契約の更改をやりまして代金は返しておりまするから、それ以上の損害を請求いたしましても、実際問題として資力的にも非常に困つておるという団体でありますので、さような処置はとらなかつたのであります。
  89. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで前に戻るのですが、社会事業団体であるという認可ですね、こういうインチキな言わば好ましからざるものをなぜ認可をして、そうして而もそれを軽々に厚生省なり或いは東京都がろくすつぽ調べることもせずに大蔵省に対して、これに讓つてつてくれ、これに売つてつてくれと、これは先ほど民生局長が言われたように、終戦後非常に実情が窮迫を告げておつて、そういう施設を必要とするというこの理由はわかるのですよ。だからと言つて、何でもかんでもかまわないで国の財産を安く誰でもかまわん拂下げをさして、それをあたかも立派な厚生事業団体のようなふうに考えて認可をしたか、そうして又認可したやつに対してこれを讓つてくれということをそこまで執拗になぜ追つたか、この点でありますが、これは先ず認可をしたということの状態、経過について、厚生省の担当官から先ずその説明を願いたいと思います。
  90. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) この聖十字学園を財団法人といたしまして認可をいたしました当時の状況を取調べて見たのでありまするが、その理由と申しますか、事情といたしまして、一つは、先ほど畑局長からお話のありました当時の社会情勢というものが非常に、一人でもたくさん社会事業に参加をしてくれることが望まれるような状態であつたということが一つあると思うのであります。それからなお、この団体はすでに昭和二十一年四月頃から千葉県のほうの養護施設の仕事を始めておりまして、それが二十二年の一月十五日に生活保護法という法律に基く児童保護施設として認可をされております。そういうふうな関係で、すでに施設としてはまあ筋の通つた施設を、子供を実際に收容をして経営をいたしておる、こういうふうなことでございまして、この千葉県のほうの施設といたしましては、比較的堅実に経営をしておつた、こういうことでございまするので、その経営の実績から見て、個人としてそれを経営さしておくよりは財団法人として経営さしたほうが適当であろう、こういうふうな認定の下にこれを認可いたしたということが申上げられると思うのでございます。なお勿論のことでございまするけれども、いろいろな形式的な書類の要件は備えておつた。尤も後に調べて見ましたところが、この積んでありました基本財産二十万円は、どうも人から、当時は寄附のつもりであつたけれども、その後においては借りたような恰好になつてしまつたというふうなことが最近調査の結果わかりましたけれども、当時といたしましては、銀行の預金証明書等もありまして、形式的な要件を備えておつた、かようなことで財団法人の認可をいたしたわけでございます。その際にもう少し突つ込んで調査をいたすべきではなかつたかという御質問が次に出て参ると思いますけれども、今日こういうような事態を起しておりまするということが、即ち当時の調査が不十分であつたということの証明にもなりまするので、その調査に遺憾の点があつたと言わなければならないかとも申上げられると思います。  それから、なぜさようなものに大蔵省まで是非ともこれに拂下げをしてくれというようなことを言うたかという二番目の御質問でございますが、当時財団法人の認可をいたしました事情は今申述べたようなわけでございまして、その当時のことでございまして、特別にこの聖十字学園という法人が悪い財団法人であるというふうなことを知つておりませんで、今日こういう事態になるということは当時としては予想いたしておらなかつたと思うのでございます。従いまして、そういう申出があるから然るべく御詮議の上処置をおとり願いたいという、こういう副申をつけたものと私は考えます。
  91. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは東京都の民生局長に、なぜ東京都からそういうような、今言つたようなものに対して推薦をしたり紐付にしておるか。これについては大蔵省としては、つまり処分権は大蔵省にあると思う。併しながらやはり都なり厚生省がこれに拂下げてくれと言つてつて来ておると、それが結局拂下げをするところの動機にもなつたのだ、こういうのです。而も先ほど関財局長が言うように、すでに拂下げをしないのを厚生省から引継ぐときからどんどんもう入り込んで整地をやつておるというような事情であつたと、そこらのところがもう一つどうもおかしいと、これはあとからいろいろ調べては見ますが、併しながらいずれにしてもこういうようなものに、而もこんな東京都の真中にある国有財産拂下げをしてやらなければ、他に東京都には適当な社会事業団体というものがないのかどうか、それほどなかつたのかどうか、どうもその点が納得が行かない。重ねてざつくばらんに言うなれば、当の磯川が、いろいろ流布されるところによると、大蔵省にしても、厚生省にしても、民生局にしても、この問題に関してつべこべと取消しとか何とかいうようなことがあれば、それこそ彼ら役人は立ちどころに数人の者は馘になるというようなことを言つておると、而もその施設を見に来ても、これはもう一杯飲まして追い返すというようなことをやつて来ておるかのように聞くと、そういうようなことが行われて、そうして止むを得ずそういう因縁因果がからみついて来て今日までこういう事情に立至つておるのではなかろうかというような疑惑を持たざるを得ないので、その点もう少しもやもやがはつきりする、成るほどと納得の行くような御説明一つして頂きたいとこう思うのです。
  92. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 仰せの点御尤もですが、当時民生局長として上平正治さんというかたがおつたんであります。それから代がもう三代くらい変つておるのですが、この間も会つて、もう盲判を押すからこういう問題になつて非常に困る。大体私はもう社会事業であろうが何であろうが、これはもうきちつとしておかないといろいろあとで問題も起しますし、又社会福祉のためにもならん、私は従来そういう方針で仕事をとつておりますが、何せこれを引継ぎを受けてしまつてどうにもならんのでずが、私は先にも申上げましたように、この中でもう事業内容その他いけないものは、東京都のほうで済む分は順次これは処置をしたいと考えております。それから磯川というかたがそういうことを言われたということも私伺つておる。これは若しあつたらどんどんやつて、悪い役人ありとすれば、それこそは綱紀粛正をして頂いて、一人残らずそういう役人もやめてもらうのだと、これでも私は結構だと思います。ただここで問題になりますことは、私ども第一線のこの仕事をするについて考えますことは、社会事業をするに際して、これらの仕事をされるかたがたが、或いはアメリカとかイギリスの事情とは違いまして、日本では大体金を持たない人たちがこういう仕事を始める。従つて、金持ちをバツクにするとか、或いは一つの仕事を計画してからあとでいろいろ金策をしたりするということで、そこにいろいろと無理があるということは事実であります。そこでこういう場で意見を述べることは恐縮でありますが、お差支えなければ申上げたいのでありますが、社会福祉事業をするについては、やはり国なり或いは公共団体が金融の便を與えるというようなことでもしませんと、こういう問題は多から少かれ今後も起るであろうということが予想されるのであります。それで磯川さんの場合は別ですが、ほかの場合でも、よほどしつかりした立派なかたであつても、いよいよ困り出すといろいろなことに手をつける、それがだんだん輪に輪をかけまして、つい思わざる結果を引き起すということもございますので、私どもはこれから先こういつた問題につきましては、愼重に、今申上げたような政策の面は勿論、その他につきましてもやつて行きたい、こういうように考えておりまして、余分のことまで申上げて恐縮でございますが、そういうふうに思つております。
  93. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで関財局長に伺うのですが、当初の計画は、関財局にこういう施設をするからこれを拂下げてもらいたいということを言つて来て、そしてこれを拂下げたということですが、ところが実際は拂下げを受ける金すらもなかつたと、従つてその金は日通の某なる者が関財局に持参して、そうしてそれを役人に手渡したと、ただオブザーバーとして、名義人として磯川が付いて行つただけだということ、それから磯川と共同でやつておる渡辺某なる者は、これは当初から、わしは社会事業というようなものは考えていないと、ただこれをやることにおいてボロ儲けができるということで初めからやつておるということをはつきりつておる。而も又、拂下げを国から受けていないにもかかわらず、すでにその第三者の店舗側の者と売買の契約をする、或いは又いわゆる転売の金を取つておるということ、こういうような観点から考えて行つて社会事業をやるという目的ではなしに、社会事業をやるということの名前の下に隠れて、そうしてこういうようなことをやつておると、当初からそういうことを計画的にやつておると、社会事業の名に隠れてそういう金儲けをするのだということを計画的にやつておると、これがなぜわからなんだかと、これは恐らくや私は、現物がそこにあるのでありますから、現地を一時間でもふらふらとお歩きになれば、これはなぜやつておるかと、誰が何にされるのですかとお聞きになれば、それでもうそのときにすぐわかつておらなければならん。そういう点については一体どういう考え方で当初こういうような事件に至るまで放置しておつたのか。それからそのときにそういうことはわからなんだのであるか。なぜわからなんだかということと、それからもう一つは、今になつて考えて見れば、当初からこういうものをやる意思が実際はなかつたということをお認めになるかならないか、この三点についてお答えを願いたいと思います。
  94. 井上義海

    参考人井上義海君) 当初拂下げ申請をいたしましたときは、勿論結果論的に申しますれば、これは調査も不十分であつたのでありまするが、認可された社会事業団体であること、それから磯川さん、渡辺さんが来てみずから事業の説明をされたことと、これについての洞察力を欠いた点は、これは申訳ないと思いますが、十分社会事業をやるのだという御説明もあり、又所定の手続もとつておられたということで、一応社会事業法人がその趣旨の通り伸びて行くものだという前提の下に勿論拂下げをいたしたのでありまして、さようなその名において儲けをするためにやろうというようなことは毫も考えていなかつたのであります。それからだんだんとその土地に、通りに面しておりまするほうに店も建つてつたのでありまするが、外見から見ますと、これもやはり事業内容に、授産事業、未亡人とかその他職のない人に仕事を與えまして、その授産事業としてやつた製品をそこで売るというような計画も当初からあつたのでありまして、勿論中へ入つて詳細に調査すればわかつたかと思うのでありまするが、ただ一見して外見だけではなかなかそこまで見抜くことも非常にむずかしかつたのであります。さようなことで、こういう結果を来たしたことにつきましては、これはもう何と申しましても申訳ないのであります。その当時の事情といたしましては、そういう立派な社会事業団体が成長をして行くものという前提処分をいたしたのであります。
  95. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからもう一つは、現在あの場所はそのままになつておりますが、風呂屋であるとか、或いはタイプの修繕工場であるとか、或いは東京都の旅館組合の経営しておるところのあの部分、いわゆる簡易宿泊所であるとか、それからアパートになつておる部分とか、それからその下の食堂であるとか、こういうものは契約以外に明らかにさつきも森委員から話があつたが、どうも契約の範囲内のものであるとは考えられない、我々から考えましても。従つてこれについては当然解約すべきであつたにもかかわらず、未だにそれを処理していない。のみならずその処理がしていないために、却つてそれらの、いわゆる業者が非常に迷惑をしておるというような陳情まで我々の手許まで出ておるというような実情にあるが、これに対しては直ちに所定の解約をして、それぞれの模様によつて解決をするとか、何とかしなければならないと思うが、それは関財局長としてはどうするお考えであるか、それを明確に一つ承わりたい。
  96. 井上義海

    参考人井上義海君) 只今状態におきまして、再び転売の事実も発見したのでありまして、財務局といたしましては契約條項に基きまして、契約の全面解除をいたしたいとは考えております。ただ財団法人聖十字学園というものは、認可官庁のほうで今後これをどうお取扱になるか、聞くところによりますと、変つた形でここに社会事業を行うというような話もあるやに聞いておるのですが、本来の意味社会事業団体が生まれるのであれば、それに協力するということも全然考えられないことはないのです。契約を解除することは非常に簡単でありまするけれども、今回はすでに九百数十万円のものが、抵当権が設定されておりまするし、転売された先にはすでに転売登記もされておりまして、契約を解除いたしましても、前回のようには転売先には対抗して行かれません。結局聖十字学園に対する損害賠償の請求ということになると思います。聖十字学園の今の財政力から申しましてなかなかこれも困難でありますし、契約を解除いたしましても、一千万円近い抵当権の付いた土地が帰つて来ましても、なかなかこの処分もむずかしいのでありまして、歳入官庁としての大蔵省として果してそれが適当であるかどうかということも考慮する余地があるように考えられる。なお只今申しましたように、この財団法人聖十字学園監督官庁はどうお考えになつておるか、或いは認可を取消す、或いは解散を命ぜられるか、それであれば当然私は契約を解除して行かなければならないと思います。そういう点がありますから、これは関係官庁とも十分なる連絡をとつて適当なる措置を即刻講じて参りたいというふうに考えております。
  97. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今のあなたの言われておるのは、事態はいろいろこんがらかつた事情にあるから、あながちそういうような処分をすることは云々と言われておりますが、それは明らかにあなたがたの職務怠慢の結果、そういうことになつたのではないか。なぜなればこういう事態がごたごたしておるということは、すでに前回のいわゆる契約更改の時、その時にすでにもうはつきりしておる。にもかかわらず、なぜそれを素知らん顔をし、或いは見ぬ振りをして、これを今日まで持つて来たかというところに問題がある。その時に解決をしておればこういうことにはなつていなんだし、又それ以前にもつと早く問題が先方側のほうからやかましく財務局のほうに押し寄せて来る当時にこれを調査し解決しておれば、こういうことにはならない。それまでに半年なり、一年なり、或いは何カ月かの余裕を與えるために、その間にすでに、こういうよいことをやらない人間のことであるから、次々とそういうことをやつて行く。先日我々が見に行つた時には、すでにもう看板が真新らしい看板に塗り変えられて、そうしてそこにはいわゆる準備会、聖十字委員会か何かの看板が上り、又全くわけのわからないような設立準備会というような看板に塗り変えられておる。而も法的には、上から見た形ではどうあろうとも、我々が言つておるのは、本質的にはどうだ、実際はどうであるかということを言つておるので、従つてこういうものがこのままに置かれるということであれば、なお更これは社会に害毒を流して行くという結果にもなるし、従つてその周囲に住んでおる者が非常に迷惑をしておる。あなたから今非常に辻褄の合わんようなことを聞いたのですが、現在これが正当なるところの、本当に認められるところの社会事業団体に仮になつたとしても、現状のあのタイプライターの工場なり、或いは風呂屋なり、或いはあの旅館業のやつておるああいうものなり、或いはあのアパートをどうやつて然らばそれを我々の納得行くところの厚生施設に転換せしめ得るところの見通しが立つか。こういうものがあるというなれば、その根拠についてあなたからはつきり一つ承わりたい。そういうものが今後あなたの言われるように、仮に、それが実質的な看板に塗り変えられて、私はそういうことにはならないと思うが、ただ合法的に一時をいわゆる糊塗するためにああいう手段に出で、ああいうことをやつて、行なつておるとしか我々は考えていないが、それをもう少しあなたの言われるように善意に解するなら、そういうことが行われると仮にして、一体あなたの言われるような厚生……、いわゆる社会福祉の用に足りるところのものにあの一角がなり得るという御確信があれば、具体的にどうすれば一体そういうことになるか説明を聞かせてもらいたい。
  98. 井上義海

    参考人井上義海君) これは事業そのものについての指導ということは、これは勿論私のほうではできない相談なのでありますが、契約を解除いたしましてあとの法律関係が非常に複雑になるということ、併しこれも今の財団法人聖十字学園は、これはそういう事業内容が今はつきりわかつておるのでありますから、これについてどういう措置をとるかということは、大蔵省契約の條項違反という問題と同時に、監督官庁のほうのこれに対する御措置がどうなるのであるか、それらも関連して契約解除の措置をとつたほうが穏当ではないかということを申上げたのでありまして、これはもうこの聖十字学園というものは、もうどうしても正常なものにはならない、これはもう認可取消しものであるということであれば、これは勿論私どものほうとしても契約解除として如何に法律関係が複雑 でありましても、その措置をとつて行かなければならないと思うのであります。
  99. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 如何にあとの法律関係が複雑になろうが、なるまいが、それは監督官庁がどうするかということにおいて考えたいというように聞きとれるのですが、監督官庁がどうしようとこうしようと、今日の段階では、一度ならず二度までも、いわゆる関財としては騙されたわけだ。従つてそういうようなものを一体まだのらりくらりとかばうようなことをする必要は毛頭私はないのじやないか。そういうことがどうあろうとこうあろうと、いやしくも一国の大蔵省が、間違つたことである、而も約束に反したことであるということが事実であれば、その信念に基いて処理される。そのことにおいていわゆる技術的にどう複雑化しようとも、そんなことは何も国家のそれぞれの機関があるのでありまするから、私は一向そういうことは差支えない。ただそういうことを言われると、当初からの経緯から考えて見て、これが解除できないというところの因縁、曰くがどこにあるかということの疑義をなお更持たざるを得ないのじやないか。それこそ常日頃から磯川が言つておるように、解除するなら解除して見ろ、これを解除したならば、直ちに奴らの首は何人か吹つ飛ぶのだというようなことを豪語しておるということを裏付けることになる。だから大蔵省としては、どうであろうともこうであろうとも、約束が違うなら違うと、これはこうならこうだという、断乎たる処置をここでやらなければ、そうでなければ、成るほど磯川の言つておる通りだ、大蔵省の役人どもは、やはり毒を飲まされておるのじやないか、そうしてうまい酒の一杯も食らつておるのではなかろうか、こういうことを、国民から、要らざることを思われるのです。だから私は、こういうことは、やはりこういう議会で問題になつた以上は、はつきりとせなければならない、それが何故できないか、こういうことを言つておるのです。何もその本契約に対して、磯川の弁護に立つような御答弁を聞く必要は更にない、私はこう思う。
  100. 井上義海

    参考人井上義海君) 私は磯川さんの弁護は毫もしておらないのであります。若し取消さないのであるならば、何か因縁があるであろうというような御質問であるならば、私は取消すよりほかないのであります。ただそのために或いは勿論実質上解散というような状態になるのではないかと思うのでありますけれども、私は今そういうような御質問であれば、そういうことは毫も顧慮しておりませんから、取消しても私は差支えないのであります。そういう因縁があるから取消さぬのだろうと言えば、私はそういうことは毫末もありません。断乎として取消して差支えありません。
  101. 森八三一

    ○森八三一君 民政局長にお伺いしますが、これから今仮に売買契約、十條に違反しておるということは、これは明確なことでありまして、財務局長もお認めになつたことでありますので、解除なさるという手段に出られるのは当然だろうと思いますが、そういう場合に、民政局の立場で、これが解除になつた場合に、どういう事態が発生するか、一応お伺いしておきます。
  102. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 私のほうと直接関係がございますのは、家出人の一時保護と、それから千葉県の児童養護施設でございますが、それで前者については、何ぼも收容されてないのですが、これはもういつでも十人や二十人は既設の施設へ收容することは可能でございます。それから千葉のほうも六十人ちよつとと思います。これも引き取ることはさして困難でない現状でございます。
  103. 森八三一

    ○森八三一君 社会事業の実施官庁のほうで、実質的に、今私ども申上げておるのは、聖十字学園を解散させなさいということを申上げておるのではなくて、この問題に上つておりまする事件が、十條の趣旨を没却しておるという点にあるというので、この点だけを解除すべきである、聖十字学園の解散ということは、別に触れておらんのであります。そこで十條に基く解除が行われましても、立ちどころに社会事業の蹉跌を招集するというような心配がないということを当局である民政局長から伺いますれば、これはもう一刻の躊躇もなしに、当然おやりにならなければならんことだと私は思います。それに対する局長の御意見をお伺いするのでありますが、私は、それだけでは問題はまだ解決しないのであつて、こういうような結果になつたことを、結論から考えますれば、これはどうも国は一種の詐欺に会つておるというように理解をせざるを得ないと思います。この間の申請書に出ておる趣旨が全然失われておる。而もそれが、何年か経営して、そのあとでそうなつたというならば、まだまだ恕すべき点があると思いますが、昭和二十四年の三月二十五日に契約ができ、拂下げを受けた、それが私の手許に廻つておりまする他の資料によりますると、すでにその年の四月の二十二日には、一カ月を出ないうちに、その相当部分というものは転売されたというようなことは、これはもう初めから計画的に仕組まれておつた行動であるというように理解しなければならんと思います。そういうように理解をいたしますれば、明らかにこれは詐欺に会つておるというようになるわけでありますので、ただ單に契約を解除するということだけでは、満足することは、私はできないと思います。少くとも十二條に基きまして、損害の請求をするということが附帯してとられなければならん。その請求の実効の伴うか伴わんかは別問題、それは相手方の資産、財産状況によることでありますので、これは別問題でありますが、当然の措置として、十二條に基く損害の請求はすべきものであり、更に法律的に十分御研究を願いまして、申上げまするように、詐欺であるということになれば、これはそれぞれの手続を併せ行うべきものじやないかというように考えるのでありまするが、そういうことについてどう処置されるか、私見でもようございますからお伺いします。
  104. 井上義海

    参考人井上義海君) 只今カニエ委員からお話がありましたように、解除しなければ却つて変な繋がりがあるのではないかというようなお話もありましたし、又只今民政局長から、仮にあの土地を追拂つても、事業自体に支障はないというお話しを承わりましたので、私としてはもう当然解除すべきだと考えております。それから十二條の損害賠償は、これはもうやらなければならん。転売しました詐欺という点がありますから、今回はどうしても損害賠償の請求もしなければならん。そういう詐欺に伴う刑事問題につきましては、これは法務府その他関係方面ともよく相談いたしまして、如何ように成立するものでありますか、その点は愼重に相談いたしましてやりたいと思います。
  105. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 民政局長にお尋ねをするのでありますが、本件が決算委員会で、国有財産拂下げということで、たまたま問題になつて、いろいろ我々調査をいたしたのですが、その結果私は本件を眺めまして非常に遺憾に思う点は、社会事業という名前に隠れて、そうしてこういうような不正が行われておる。而も聞くところによると、赤い羽根の資金が、これがここにも相当金額が行つておると、ところがこの赤い羽根の金も、これもどういう金であるか、これはもう私が言うまでもなく、これは小さい子供や学生が、街頭に立つて、そしてあの箱を持つて、私どもの子供もときたま出るのですが、これが零細な金をかき集めるのです。そうしてこの金が固まつてつた人或いは又その他の社会の福祉のために使われるのですが、ところがこの場合においては、これらしいような事業もやらないのみならず、家出收容人の人数も、僅かな人間を相当過大に申請して、配給も取つておる。そうして個人のこれはいろいろ投書等によつて調査をしたんですが、あちらこちらにも事業をやつておると、而もその事業は聖十字学園の事業部という形でやつておる。又個人的には磯川なる者はお妾さんを四人も五人も置いておる。一号から二号、三号、四号まであると、赤い羽根の金をもらつて妾を養つておる、こういうような社会事業家、社会事業団体というものを東京都の真中にかかかえて、その監督の地位にある厚生省なり、東京都民生局が指をくわえて見ておるというようなことであつては、私は今後国民の淨財を集めるところの赤い羽根の募金の上においても大きな支障を来たすのではなかろうかと、こういう面から見てただ普通の詐欺であるとか、横領であるという場合と違いまして、如何にも聖人君子らしい形をし、そうしてそういう看板の下にこういうことが私的公的に行われるということについて、社会的、道義的責任と言おうか、この問題については深く遺憾の考え方を我々は持つておるわけです。そこでたまたまこれは国有財産拂下げの不正から出て来て、我々調査をして知り得た事実ではありますがですね、今後ともこういうものに対しては十二分な調査なり監督をやつて行くということの御決意なり或いは御意見なりを一つ承わつておきたいと、こう思います。
  106. 畑市次郎

    参考人(畑市次郎君) 先に申上げたので少し私説明が足りなかつたように思いますが、共同募金委員会のほうから出しておる金は、これは家出のほうへは今年は出しておりません。それから千葉の児童養護施設のほうへ十四万円ということでありますが、これは昨年は二十九万円、その前は三十三万円というふうに出ておるのであります。これは磯川それ自身の生活費なり、或いは全体の運営経費ということでなくして、千葉の養護施設の分として十四万円出ておるのでありますが、これは先般も、私千葉もこちらも同様でありますが、千葉へは係長以下四人派しまして、それから事実子供が幾人いるか、留守だとか何とかいうことであつたから、これは十日でも二十日でも一月かかつてもいいから徹底的に調べてそれから報告しろということで、この間報告を受けたのであります。それにはまあ間違いはなかつたようでございますが、今お話の通りでありまして、赤い羽根の募金の本旨に鑑みましても、これは十分に注意いたしたいと考えます。御趣旨の通り私はやつて行きたいと考えております。
  107. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今この三里塚のほうの話が出ましたが、この赤い羽根の募金の金は、これは二十六年度の分としては出していないと、これは当然だろうと思うのです。これはもうすでに去年からやかましくこの問題は新聞にも出、いろいろしておりますので、そこへ以て来て幾ら赤い羽根でも金をやるということはこれはあり得ないので、その以前に年々金をやつてつたと、こういうことを私は申上げておるのですから、お考え間違いのないように一つ聞いておいて頂きたい。  それからこれは参考までに申上げて置くのですが、三里塚のほうも先ほど厚生省係官から言われたが、必ずしも万全と思えないというような節もあつたのですが、これたりといえども実は三里塚に收容されておる子供たちを実際に調べて見ますると、これも余りいいようにも思わない。というのは、これを非常に酷使しておる、使つておる。そうしてこれらの日々の稼ぎ高を徴收して、そうしてそれで私腹を肥やしておるというようなことも聞いておるし、又事実ここから脱走して来た少年二人が、これがたまたま簡易宿泊所を経営しておるところの木賃宿の組合員の所に泊り込んで来たという、それでいろいろ聞いて見ると、どうも余り使われるので、これではたまらないということで三里塚の道場から逃げて来たというような事実もあるので、こういつた点についても必ずしも万全を期していたとは考え得られないので、併せて一つお考えを願いたい、こう思つております。
  108. 小酒井義男

    小酒井義男君 大体今カニエ委員からちよつと触れられたようですし何ですけれども、御承知だろうと思いますが、現在の聖十字学園へ行つて見ますと、三つほど看板が出ております。太陽の家教団と聖十字学園太陽の家対策委員会、愛光園設立準備委員会というように看板の塗り変えをやつて、その責任の所在をぼかそうというようなことにも私はとれないこともないと思いますので、こういうような社会事業団体として欠格しておるというような事実が判明して来れば、これは早急に処理をして頂く必要があると思うのです。  これは皆様がた一同にやはり私は申上げておきたい問題なんですが、はつきり申上げると、これは社会事業をやる目的じやなしに、やはり自分の利益を上げるための手段としてああいうものを作り上げたというより思えません。そういう点は一つそれぞれの立場で国民の前にはつきりとできるだけ早い時期にやつて頂きたい、これだけ私要望しておきます。
  109. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから金の授受について、当初のいわゆる三百何万円の授受について苗川という人が担当したと言つておられて、その人が今ここにおられるようですから一つその当時の事情をざつくばらんに、私が調査をいたした事実と合致するかどうかという点を一つ調べて見たいと思うので、一つ述べて頂きたいと、こう思います。
  110. 苗川岩雄

    参考人(苗川岩雄君) お答えいたします。売拂代金受領の経過につきましてお答えいたしますが、昭和二十四年の四月十五日、たしか晝近くだつたと思いますが、大手町の東京財務局東京業務課の井橋業務課長の面前におきまして、磯川園長より神田和泉町の拂下代金だと称しまして、三和銀行引受の小切手を以ちまして代金を持つて参りましたので、早速当時の国有財産部長に報告いたしまして指示を仰ぎまして、業務課の会計管理のほうに受領してもらつたものでございます。
  111. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その会計管理に受領してもらつたまではいいが、三和銀行の小切手は銀行引受けになつてつたのか、或いは他人名義の小切手であつたか、名義は誰か……。
  112. 苗川岩雄

    参考人(苗川岩雄君) 銀行引受のように記憶いたしております。
  113. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうするとそれはいわゆる銀行の発行による銀行小切手である、こういうことでありますか。
  114. 苗川岩雄

    参考人(苗川岩雄君) さように記憶いたしております。
  115. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それはどこの三和銀行ですか。
  116. 苗川岩雄

    参考人(苗川岩雄君) 三和銀行東京支店であつたろうと思います。
  117. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それじやそのときにその金を支拂に持つて来たのは、日通の某なる者が、私がこれは持つて行つたのですということを言つておるのですが、事実そうであつたかなかつたか。或いはその金は磯川が単独で持つて来て、そうしてあなたに渡したのか、その点を伺いたい。
  118. 苗川岩雄

    参考人(苗川岩雄君) 磯川さん以外に来ておつたかもわかりませんでしたが、どなたが来ておつたか全然気付きませんでした。私どもは磯川さんから提示を受けまして、金の授受はその当時から嚴格に会計管理されておりましたから、会計管理のほうに行つてもらつたものであります。
  119. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その当時あなたはいろいろ折衝をされておつたのでしようが、磯川がその三百万の金を持つて来た、持つておるというような御認定はあつたのですか。そういう認定があつたか、或いは磯川はとてもその金はないであろう、ほかからこれは融通したか、借りて来たという考えであつたか、その当時の自分の考えとしてはどうであつたか、その点について。
  120. 苗川岩雄

    参考人(苗川岩雄君) 実はこの財団の財政状態につきまして、相当検討された結果でありまして、当時の国有財産部長から財政状態については園長のほうに相当突込んだ質問があつたように私は記憶しておりますが、その結果、保証金だけでもという話で、この代金を持参したものでございます。
  121. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私の言つておるのは、その当時の收支財産目録等の書類もありますが、あれによつて見ても、とても三百万円というような金はないのであるにもかかわらずそこに現金が出て来たということは、これは磯川自身が、この聖十字学園なるものがそれだけの現金ストツクを持つてつたとその当時考えられたか。それともこれはほかから借りて来たというように考えられたか。その当時のあなたの考えはどうであつたか。その金の出所について。
  122. 苗川岩雄

    参考人(苗川岩雄君) その当時特別疑念を持ちませんでした。
  123. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  124. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) それでは速記を始めて。それでは井上財務局長にお伺いしますが、昭和二十四年の三月二十五日拂下当時の、この拂下価格の評価基準は何によつたかを御説明願いたいと思います。
  125. 井上義海

    参考人井上義海君) 評価の基準は、先ず国有財産には御案内のように賃貸等級がありませんので、適当な最寄りの比準地の賃貸等級から推しまして、相続税の課税標準から見てどのくらいの値段になるか、それから精通者の意見を聞きまして精通者、即ち專門家の意見を徴しまして、大体あの土地はその当時の現況で処分すればどのくらいかということを聞きました。それらの意見を勘案して算出いたしたのでございます。
  126. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) 当時の拂下げ価格は坪当り、これは建物を含めて二千八百四十円ということになつておりますが、今あなたがたの考えではこれは安過ぎはしなかつたか、その点どういうふうに考えておられますか。
  127. 井上義海

    参考人井上義海君) 今土地の値段も非常に上がりまして、私どもの今処分しております指数というものは非常に上つて来ております。ただ御案内のように、これは二十四年でありまして、この頃から見ますと、今非常な隔りがある。その当時残土が非常にありまして荒れておりましたその現況におきまして評価をしましてそれで出たのが、建物のほうはいろいろな種類がありますからちよつとここでは詳細に申上げかねるのでございますが、土地のほうにつきましては、大体千七百円程度が適当であるということになつて、これを採用したのであります。なお詳しく申上げますると、相続税の課税標準より見たものといたしまして、本土地の比準地の適用の価格は坪当りにいたしまして、神田佐久間町十九の一という所に七十八級の賃貸等級の土地があるのであります。これは相続税課税標準から見まして、二千三百七十六円、和泉町一の三百という所に七十一級の賃貸等級の土地がありまして、これが千四百十一円、浅草向柳原九十番地に七十五の等級があります。これが千八百五十九円、下谷二長町二百七番地、ここに七十二の等級の土地がありまして、これが千四百三十円、これを平均いたしますと、千七百六十九円となります。これが相続税課税標準から見ました最寄りの比準地の平均の値段であります。それから精通者の意見といたしましては、日本不動産の杉浦鑑定課長の意見を口頭で徴したのでありますが、整地されれば二千二、三百円、それはその当時の現況の値段です。併しああいつた状態から千七百円ならば適当だろう、大体千七百円が穏当だろうということでこの値段を採用したのであります。
  128. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) ところで、これが三月に拂下げた当時のこういう評価になつておるのですが、これを翌月の四月には太平自動車会社に坪当り三千八百円で拂下げておる、売り渡しておる。又五月には、渡辺という人に対しては、これは坪八千円で売渡しておると、こういう価格と比較して見ましても、やはり三月の、その当時の評価価格というものは正しかつたと、こういうふうに考えておられるかどうか伺います。
  129. 井上義海

    参考人井上義海君) 只今申上げましたのは、焼失しまして、残土の非常に多くなつた現況そのままの値段なのでありますが、その後学園のほうでいろいろ手を入れまして、整地したものでありまして、その後の処分は、整地された値段になつておるのであります。ただその値段が適正であつたかどうかということは、私もこれはちよつと自信がないのでありますが……。
  130. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) ほかに何か御質問ございますか。
  131. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは委員会でも検討されて、今言われておつたのは問題になつておると思うのです。三月、四月、五月、これはもう三月間というものは、殆んどずつと同時なんで、それが坪当り何千円も次から次と変るというようなことはおかしいじやないかということなんで、それが果して正しいかどうかということについては検討の余地がある。従つて当初の、三月当時の価格については、非常に安かつたというような印象を深くしておるということなんで、それはいずれ後日、今委員長から申された件は、我々も検討する。なお且つその他の資料も一つ調査をして見たい、こう思つておりますから、あなたのほうでも適当に、答弁のできるように資料をまとめて頂きたい。  なおこれは本件と直接関係ありませんが、丁度東京都の民生局長の畑さんがお見えになつておるからついでにお伺いするのですが、過日我々同僚議員が自動車二台で現地に参りまして、いろいろ見ましたときに、あの丁度風呂屋の前の所の道路に公衆便所がある。あの公衆便所があのままに便所として使用されていない。而も比較的道路の真中にある、それはまあいいということにしても、あの便所の窓から人がのこのこ入つたり出たりすることを認めたので、一応これはどういうことなんかということで聞いて見たところが、あの大便所のほうには七人が住んでおる。それから手洗所の、小便のほうには三人住んでおる。ところが時あたかもその日に小便のほうに、手洗いのほうに住んでおる、その三名のほうの中の一人が病気になつて、そうして救急車が馳せ参じて、その病人を連れて行つたというようなことをなにしたのでありますが、そういうような不衛生な、而もそういうような者がああいう所におるという点については御留意を願つて、そうして直ちに撤去するとか、或いは衛生上然るべき措置がとられるということが必要であろう、こう思うので、重ねて一つこの際申し添えて置きたい、こう思います。
  132. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) 他に御発言がなければ、政府委員参考人に対する質疑はこれで終了したことにいたします。参考人のかたがたには遅くまで御苦労様でございました。  次に今後の運営についてお諮りいたしますが、本件につきましては、必要な関係者を証人又は参考人として次回の小委員会に喚問することとし、その日時、氏名並びにその他の手続は小委員長に一任されたいと思いますが、さようにいたしまして御異議ありませんか。
  133. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 但しそれは手続上は本委員会委員長がやることになつておりますから、それでその点をお含みの上で小委員長に御一任申上げ、且つ本委員会委員長に形としては一任した、こういう形をとつて頂きたい、かように思います。そういう意味において異議ございません。
  134. 長谷山行毅

    委員長代理(長谷山行毅君) わかりました。では御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会