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1952-07-08 第13回国会 参議院 決算委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月八日(火曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 六月三十日委員長谷山行毅辞任につ き、その補欠として川村松助君を議長 において指名した。 七月四日委員高橋進太郎辞任につ き、その補欠として工藤鐵男君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            玉柳  實君            飯島連次郎君            小酒井義男君            棚橋 小虎君    委員            秋山俊一郎君            大矢半次郎君            西山 龜七君            宮田 重文君            伊藤 保平君            高木 正夫君            森 八三一君            カニエ邦彦君            田中  一君            菊田 七平君            三好  始君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局司    計課長     柳澤 英藏君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君   説明員    会計検査院院長 佐藤  基君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度政府関係機関收入支  出決算内閣提出) ○特別会計政府関係機関及び終戰処  理費経理並びに国有財産処理に  関する調査の件  (会計検査院機構等に関する件)   —————————————
  2. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) 只今より決算委員会を開きます。  本日は委員長が不在でありますので、その御委託によりまして私が委員長代理を勤めます。  先ず昭和二十五年度決算三件について説明を聞きたいと思います。先ず内閣から御説明を願います。
  3. 河野一之

    政府委員河野一之君) 昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算及び同特別会計歳入歳出決算並びに同政府関係機関決算報告書会計検査院検査報告と共に本国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申上げます。  昭和二十五年度予算は、昭和二十五年四月三日に成立いたしました本予算昭和二十五年四月三日及び十二月九日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。昭和二十五年度の本予算は、前年度に引き続き国民経済の安定を強化しつつ、更にその再建復興のための諸施策を積極的に実施することを目標として、総合予算の均衡、財政規模の縮減、税制の合理化教育文化及び社会政策関係経費充実等一連の構想の下に編成されたのであります。なお、本予算成立朝鮮動乱の勃発に伴い特需及び輸出貿易の著るしい伸長を見、経済界も活況を呈したのでありますが、一方海外物価の高騰による国内物価の動きは必ずしも楽観を許さぬ面もありましたので、補正予算編成に当つても引き続き経済安定の確保に意を用いたのであります。  なお、予算施行に当りましては、財政と金融との総合的、一体的な運営を図ると共に、財政法その他の会計法令を改正いたしましてその適正を期した次第であります。  以下決算内容を数字を挙げて御説明申上げます。  一般会計歳入決算額は七千百六十七億円余歳出決算額は六千三百三十二億円余でありまして、歳入歳出を差引きいたしますと、八百三十四億日余の剰余を生ずる計算であります。この剰余金から、昭和二十六年度繰越しました歳出財源に充てなければならない金額三百七十億円余及び昭和二十四年度剰余金使用残額百九十五億円余を差し引きますと、二百六十八億円余が本年度新たに生じた純剰余金となるのであります。なお、右の剰余金八百三十四億円余は財政法第四十一條の規定によりまして、一応翌年度歳入に繰り入れるものでありますが、そのうち、本年度に新たに生じました純剰余金二百六十八億円余の二分の一を下らない金額は同法第六條の規定によりまして、公債又は借入金償還財源に充てることとなるものであります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入におきましては、予算額六千六百四十五億円余に対して五百二十二億円余の増加となるのでありますが、この内には前年度剰余金の受入が予算額に比べて二百八十五億円余を増加しておりますので、これを差引きますと、純歳入におきましては百三十七億円余の増加となるのであります。その内訳租税及び印紙收入における増加額百十三億日余官業及び官有財産收入における増加額百六十六億日余特別收入における増加額九億円余、雑收入における減少額百五十二億円余となつております。一方歳出におきましては、予算額六千六百四十五億円余に前年度からの繰越額百八十九億円余を加えました予算現額六千八百三十五億円余から支出済額六千三百三十二億円余を差引きますと、その差額は五百二億円余でありまして、その内翌年度繰越しました額は、前に申上げました通り三百七十億円余、不用額は百三十一億円余となつております。  右の翌年度への繰越額のうち、財政法第四十二條但書前段規定によつて、あらかじめ国会の承認を得て翌年度繰越しました金額は二百六十四億日余でありまして、その内訳の主なものは、終戰処理事業費におきまして、工事、需品、役務等調達要求書の発出時期の関係から年度内支出を終らなかつたもの、及び価格調整補給金におきまして食糧、鉄鋼、肥料の各補給金精算確定数量確認年度内にできなかつたために年度内支出を終らなかつたもの等であります。又、財政法第四十二條但書後段規定によつて避け難い事故のため翌年度繰越しました金額は十三億円余でありまして、その大部分は、公共事業費一般施設費等のうち、天候、資材、その他の避け難い事由によつて年度内支出に至らなかつたものであります。なお、ポツダム政令規定に基く翌年度への繰越でありますが、その一つは、警察予備隊令附則第三項の規定に基くもので、その金額は六十七億円余でありまして、これは警察予備隊の発足に伴う物品及び施設費等経費年度内支出を終らなかつたものであります。その二つは、海上保安庁法等の一部を改正する政令附則第三項の規定に基くもので、その金額は二十四億円余でありまして、これは朝鮮動乱の影響に伴い造船関係資材入手が困難となり、船舶新造費等経費年度内支出を終らなかつたものであります。  次に、不用額でありますが、そのうち主なものは、終戰処理費における六十億円余、産業経済費における十七億円余等でありまして、終戰処理費につきましては、主として事業費でありまして、連合国軍調達要求が少かつたこと等によるものであり、又、産業経済費につきましては、主として運航船民営還元等により商船管理委員会事業が縮小されたこと、及び、朝鮮動乱等により低性能船舶買入が少かつたこと等によるものであります。  次に、予備費でありますが、昭和二十五年度一般会計における予備費予算額は四億五千万円でありますが、その使用総額は二億八千三百万円余となつております。そのうち、昭和二十五年十一月までの使用額二億千五百万円余につきましては、第十回国会において御承諾を頂いております。又、二十六年一月から三月までに使用いたしました金額六千八百万円余につきましては、本国会に提出いたしまして御審議頂いておりますので、その費途及び金額につきましては説明を省略させて頂きます。  次に一般会計国庫債務負担行為について申上げます。財政法第十五條第一項の規定に基く国庫債務負担行為限度額は三十一億円余でありましたが、実際に債務を負担いたしました額は三十億円余でありまして、これに既往年度からの繰越額を加え、昭和二十五年度中に支出その他の事由によつて債務の消滅いたしました額を差引きました金額四十九億円余が翌年度以降に繰越されたこととなります。又、財政法第十五條第二項の規定に基く国庫債務負担行為は本年度はございませんので、既往年度からの繰越額のうち昭和二十五年度中に支出その他の事由によつて債務の消滅いたしました額を差引きますと、翌年度以降へ繰り越した額は二千百万円余となります。以上は昭和二十五年度一般会計決算につきまして、その概略を申上げた次第であります。  次に、昭和二十五年度特別会計決算につきましては、それぞれの決算書によつて御了承願いたいと思いますが、同年度における特別会計の数は三十二でありまして、これら各特別会計歳入決算総額は、二兆九百二十億円余歳出決算総額は一兆九千億円余であります。これを一般会計決算額と合せ、相互の重複額等を控除調整いたしました決算の純計額歳入において二兆一千二十八億円余、歳出において一兆八千百二十八億円余となる計算であります。  次に、昭和二十五年度政府関係機関決算でありますが、同年度における政府関係機関の数は二十三でありまして、その收入支出決算内容につきましては、それぞれの決算書によつて御了承願いたいと思います。  最後に、昭和二十五年度財政の特色の一つであります政府関係債務償還状況につきまして、その実績を申上げます。年度当初における政府及び政府関係機関債務総額は、国債二千九百十六億円余、政府借入金及び一時借入金千二百六十八億円余、食糧証券その他の短期証券千三百三十七億円余、政府関係機関借入金千四百十六億円余、計六千九百三十七億円余でありまして、このうち、政府及び政府関係機関部内で保有しております分を控除いたしました対民間債務額は四千百八億円余でありましたが、各種債務償還措置が講ぜられました結果、年度中における対民間債務減少は千百六十四億円余に上つたのであります。なお、年度末における国債の現在高は二千四百二十一億円余、政府借入金及び一時借入金の現在高は、九百四十四億円余となつております。  以上昭和二十五年度一般会計及び特別会計並びに政府関係機関決算につきまして、その概略を御説明申上げたのでありますが、詳細につきましては、更に御質問の都度説明申上げたいと存じます。何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  4. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) 次に、会計検査院検査報告を願います。
  5. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 昭和二十五年度決算検査報告につきまして、その概要を説明いたします。  昭和二十五年度決算検査報告には、国の收入支出決算の確認、検査上不当と認めた事項の外、会計事務職員に対する懲戒処分の要求及び検定、検察庁への通告事項政府関係機関その他の団体に関する検査事項等を記述いたしてあります。  昭和二十五年度一般会計決算額歳入 七千百六十七億余万円、歳出」六千三百三十二億余万円、各特別会計決算額合計歳入 二兆九百二十億余万円、歳出 一兆九千億余万円でありまして、一般会計及び各特別会計決算額を総計いたしますと、歳入 二兆八千八十八億余万円、歳出 二兆五千三百三十三億余万円となりますが、各会計間の重複額等を控除して歳入歳出の純計額を概算いたしますと、歳入  一兆九千八百九十一億円、歳出 一兆八千十四億円となり、前年度に比べ歳入において三千六百二十二億円、歳出において二千三百六十六億円の増加となつております。政府関係機関昭和二十五年度決算額の総計は收入 一兆千三百五十一億余万円、支出 九十八百七十五億余万円でありまして、前年度決算に比べ歳入において三千百十七億余万円、歳出において三千三百億余万円の減となつております。  以上申し上げました国の会計及び政府関係機関会計決算額のうち、会計検査院においてまだ検査が済んでいないものは総計百十三億二千二百余万円でありまして、その主なものは、終戰処理費関係歳出十六億六千八百余万円、米国対日援助物資等処理特別会計歳入九億三千四百余万円、肥料配給公団收入五十四億千八百余万円などてあります。  次に、会計検査の結果、経理上不当と認めた事項及び是正させた事項として昭和二十五年度決算検査報告に掲げました事項の件数は租税に関するもの二百八十八件、未收金に関するもの八十三件、予算経理に関するもの百十一件、工事に関するもの百八十五件、物件に関するもの百五十七件、役務に関するもの三十二件、資金管理に関するもの八件、財務諸表に関するもの三十件、会計事務関係のある職員不正行為に関するもの百九十三件、その他二十六件合計一千百十三件、の多数に上つております。  今、これを経理の態様に従つて金額を概算いたします、不正行為による被害金額が二億七百余万円、架空経理など法令又は予算に違反して経理したものが十四億九千五百余万円、検收不良のため又は計算上の過誤等のため誤払又は過渡となつているものが八千余万円、補助金等交付額が適正でないと認めたものの差額分が三億三千九百余万円、歳入等徴收決定が洩れていたり、その決定額正当額を超えていたものが五億八千六百余万円、工事請負代金物件購入代金等が高価に過ぎたり、又は物件売渡代金不動産貸付代金等が低価に過ぎたと認めたものの差額分が九億六千余万円、不急不用工事施行不急不用物件購入等又は工事のは行など経費が効率的に使用されずいわゆる死金を使つたと認めたものが九億千五百余万円、財務諸表の表示が適実でないと認めたものが六十三億三千八百余万円、その他の雑件を含めて総額百四十九億四百余万円のものが本院の指摘した批難金額の集計となります、又、このほかにも経理上妥当と認めがたいものとして、それぞれの関係責任者に対し嚴重な注意書を発した事項も多数あります。国民の租税を主な財源とする国及び政府関係機関等会計においてこのような事項が毎年多数発生しますことは、甚だ遺憾に堪えませんので、善後処置について責任を明確にすると共にその発生の根源を塞ぐことに努力を傾けておる次第であります。  ここに不当事項の全体を通覧してその概要を説明いたします。第一は歳入收納未済についてであります。一般会計の二十五年度收納未済額は五百六十二億余万円で、牧納米済額徴收決定済額に対する割合は約七%二に当り、前年度の約一二%五に比べますと相当好転しております。この一般会計收納未済額特別会計收納未済額三百二億余方円を合わせると、收納未済額は八百六十四億余万円に上り、そのうち主なものは租税收入の四百六十八億余万円、食糧売払代の七十五億余万円であります。これら收納未済額のほかまだ徴收決定をしていないものが貿易特別会計で二十四億余万円あることなどを考慮すれば、事実上の收納未済額は、なお多額に上るものと認められます。これらの收納未済額については、国の財政の現状に鑑み、その徴收の促進について、なお一段の努力の要があると認められます。  第二は契約の締結についてであります。契約の締結について十分な注意が行き届かなかつた事例が相当見受けられます。即ち、競争契約に付したならば、より低価に購入し又はより高価に売り払うことができたと認められるのに、随意契約によつたものがあり、或いは予定価格の算定がずさんであつたなどのため結局契約価額において不利を来たしたものがあります。又、契約締結経済事情の変化に応じて契約單価を改められるような條項を設けておくべきであるのにこのような処置がとられていなかつたりするなどの事例もありますので、これらの点について関係職員の注意を機会あるごとに喚起しております。  第三は、不急不用又は不経済な経費の使用についてであります。工事について見ますと、事前調査が不十分であつたり、計画が未熟であつたため不経済な施設となつたものがあり、又、物品について見ますと、年度末に予算残額で多量の不急不用品を購入したり、検收が粗漏であつたため粗惡品を受け取つたものがあり、又、役務について見ますと、運送料倉庫料等の支払が高価についているものなどがあります。  今、二、三の事例をあげて見ますと、電気通信省で、電報電話局局舎を完成させながら遊休の状態となつていたものがありますが、工事開始の際このような結果となることが予想されたのに工事施行したものであり、又、局舎建築工事局舎内に施設すべき機械据付工事とが跛行していたり、或いは多額の経費を使用して工事の手直しを実施しているものがあります。又、農地事務局で地盤の関係から使用できないドラグラインを多数購入したり、或いは日本專売公社で具体的な使用計画もないのに年度末に鋼材等を多量に購入したり、特別調達局で味入ドラムかん等海上輸送代金又は石油類受払役務の支払が高価についているものなどがあります。  このような事例に徴し、予算効率的使用について、なお一層の改善を要するものがあります。  第四は架空の名義による支払その他不法の経理についてであります。  経費使用の事実がないのに、その事実があつたように関係書類を作製してその経費相当額を別途に経理して使用する事例につきましては、既に昭和二十三、二十四両年度決算検査報告に掲記したところでありますが、二十五年度においてもなおその跡を断たないばかりでなく、著しく増加しており、後述の公共事業費における四億余万円を合わせ、五億二千万円に上つております。即ち、工事費から人夫賃材料購入費、自動車借上料等架空の名義で支払つたことにして実際はその金額を手元に保有し、これをほしいままに他の工事請負代金労力費材料費、給料、諸手当、食糧費等に使用したり、又、許されていない借入をして、ほしいままにこれを使用し、その返済のために工事費から架空名義で支払うなど事実に合わない経理をした事例が多く見受けられます。このような経理の根本の原因は、予算及び経理の諸規定を軽視した点にあると認められ、不正行為の誘因ともなるので厳重に関係者責任を追求しております。  第五は公共事業費についてであります。本費は一般会計決算額の一六%をこえる多額の経費でありますが、工事施行状況を見ますと、建設省所管道路河川改善及び災害復旧工事農林省所管各種改良工事及び災害復旧工事運輸省所管港湾改修及び災害復旧工事におきまして、工事箇所なり、又、工事方法について研究が不十分のため工事費を徒費した結果を来したもの、計画又は施行が不良のため工事の手もどり及び工事費の増大を来したもの、又、設計に対して出来形不足のものなど留意すべき事項が多いのであります。併し、それとは別に経理の方面で、国の直営工事において架空経理を行なつて資金を捻出し、これを他に使用した事例建設省所管の道路、河川の改修及び災害復旧工事において四億円をこえ、又、地方公共団体施行災害復旧工事において原形を超過して施行したと認められるものに対し全額国庫負担の対象としたため国庫負担金超過交付を来たしたものが、建設、運輸両省所管の分について二億円をこえる状況であります。右の外、災害を被つた事実が認められないのに災害復旧に便乗して改良工事施行したり、設計だけを作製して実際には工事施行しなかつたり、又、予算消化を図るため必要以上の機械を購入してこれを殆んど使用しないで放置したり、その他予算目的外に使用したものなどの事例が見受けられます。このような不当事項が多数発生していることは誠に遺憾に堪えないところで、予算効率的使用及び国庫負担の適正並びに経理真実性を確保する必要を痛感いたします。  第六は物品経理についてであります。物品経理につきましては、従来から現金に比べ、とかく軽視される傾向が少くありません。即ち、現品の把握や帳簿整理が不十分なまま簿外品があつたり、不足分があつたり、又、保管上の注意が行き届かないため亡失毀損品質低下を生じさせ、又は退蔵となつている事例が多く、甚しいのは、ほしいままに関係職員により領得又は処分されたものもあります。又、工事物品製造委託についての交付材料善後処置が適切でない事例も見受けられますので、物品経理については更に検査を徹底させたいと思つております。  第七は職員不正行為についてであります。会計事務関係ある職員不正行為により国又は政府関係機関その他に損害を與えたもので、この検査報告に掲記したものの件数は百九十三件、その金額は二億七百余万円に上る状況でありまして、二十六年十月末現在補填された額は四千百余万円であります。このように不正行為が毎年跡を断たないのは、会計事務を執行する職員倫理観及び責任観の低いことを直接の原因としますが、上司もまた管理監督についての不行届の責を負うべき事態と認められ、民事責任行政責任の追求は勿論でありますが、それと相待つてなお一層会計事務職員の資質の向上を図り、責任観念を高揚し、会計経理の監督を嚴にするの必要があります。  なお、検査報告説明を終るに当りまして、会計検査院検査方針及び検査状況について一言附け加えたいと思います。国及び政府関係機関会計経理に対しましては、会計検査院は特に收入の確保及び支出の節約を図り、経費を効果的に使用し、又、事業を能率的に運営し、物件を経済的に管理処分すると共に一般的に当務者の経理の適正を期し、且つ、不当事項の是正及び発生の防止を図るなど、適正な経理事務の執行を確保するよう検査の徹底を期したいと存じている次第であります。会計検査院検査は、書面検査及び実地検査の二方法によるのでありまして、書面検査においては二十五年十二月から二十六年十一月までの間に、国及び政府関係機関等歳入歳出等に関する計算書及び証拠書類検査したものは十七万七千余册、七千四百余万枚であります。又、同期間中に実地検査施行した箇所は約二千六百箇所であります。会計検査に伴い関係者に対して質問を発したものは一万七千余件に上つていますが、会計検査院検査の結果及び経理上の所見に対しましては、検査を受ける側の一層機敏な反応による内部是正が望ましい次第でありますので、国会におかれましても、この点についての一層の御支援を頂きたいものと存じております。
  6. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) 本日はこの程度に止めまして、質疑は後に讓りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  8. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) 次に、会計検査院長が御出席になつておりますので、前回に引続き院長に御質疑のあるかたは御発言を願います。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その前に大蔵省主計局長に対して御質問をしたいと思うのですが、大蔵省当局は今二十五年度会計検査院長からの御報告をそこでお聞きになつて、どういう工合に考えられたか、先ずその点についてお聞きしたい。
  10. 河野一之

    政府委員河野一之君) どういう工合に考えるかということでありますが、国の経理状況終戰以来一時非常に紊乱いたしたのでありますが、その結果これが規正にいろいろ努力いたしたのであります。最近ようやく会計事務のほうも軌道に上つて参つているように感ずるのでありますが、なお御指摘のように、検査院報告にもありますように、不当の事件があとを断たないことは誠に遺憾に存じておる次第であります。一つには社会道義の問題もあります。又会計事務職員がまだ事務に不馴れの点もあります。いろいろな原因がありましようが、それぞれ原因につきましては十分検討いたしまして、一層会計事務の適正を図りたいと考えておる次第であります。
  11. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今大蔵省主計局長の言われることは、終戰後非常に紊乱しておつた従つて最近は非常によくなつて来ておるというお話でありますが、私ども決算委員会はさように考えていないのであります。そこで終戰後昭和二十一年でありますが、昭和二十一年から二十五年の間の決算報告までの一体こういつた不正事実はどういう工合になつているか、会計検査院の年々批難されて国会報告されているものの件数ですね。それは二十一年度から今日まで、二十一年度は何件、二十二年度は何件、二十三年度が何件、二十四年度が何件になつて、そうして今の二十五年度が一千何件になつている、こういうことについて御検討になつておられると思うのですが、一応お聞かせ願いたいと思います。
  12. 河野一之

    政府委員河野一之君) そういう数字的なものは只今手許に持合せておりませんので甚だ遺憾でありますが、私の申上げましたところは、非常に最近よくなつているということを特に申上げたのではないのでありまして、昭和二十年、二十一年のあの非常に経済的な社会的な混乱の中において会計事務が異常に紊乱したことは事実なんです。これは公団のつまみぐい事件もありましたし、その他終戰処理費、臨時軍事費、あらゆるものについて非常な紊乱があつたことはカニエさんもお認めになると思う。そのために財政法会計法等諸法規を改正する、或いは認証制度、例えば小切手の認証制度等いろいろな制度をとりまして、これを正常に取戻すべくこの二、三年来非常に努力したこともお認めになると思います。にもかかわらず形式的と言つては大変失礼でありますが、検査院報告されておりますいわゆる不当な事件は減つておりません。数は殖えていると思います。併しただ單に形式的なそういう数字だけでなしに、会計事務全体の最近の年間で見ると、二十三年に比較して大分よくなつていることは責任を以て申上げられると思います。勿論幾らよくなつても限度はないのでありまして、一頃の異常な状態に比べて我我は非常に改善されて来ていると思う。これがために政府で折角国会の御承認を得まして、会計事務検査もやり、いろいろなことをやつて来ている次第であります。併しながら御指摘のようにいろいろな点があるのでありまして、会計検査院が御指摘になり、或いはこれに基いて国会が御議決になつたことにつきましては、直ちに各省にその旨を通達いたしまして、然るべく善後措置を講じさせている次第であります。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでいろいろ規則規定等を設けて、そうして会計経理に関する仕事に対しては改善をして来たと思うと言われるのですが、その改善されて来たら、それだけいわゆる国民の損、即ち血税によるところの負担というものがそれだけ減つて来なければならん、年々。ところが逆に国民の受けるところの損というものはこれらふしだらな行為が続発するために逆に殖えて来ている、数字においても。そういう事実から見て努力をされているかは知らないが、数字の上において、事実の上において少しも減つていないということですね。いや、そうじやない、実際にこれは数字が努力したために年々減つていると言われるなら、各年次についてどういう状態において減つているか、金額を御指示を願いたい、こう思うのです。私は只今あなたが言われているように努力されているということを認めないのではないのです。これは努力されていると思います。併しながら遺憾ながら努力されているにかかわらず国民に対するところの大きな損失というものが増加しているという点についてはこれは甚だ遺憾に思つているのです。ところがその点今の御説明によると食い違いがあると思うのです。だから我々委員会として、あなたが言われるように実際に減つているなら、年々その減つたデータをお示し願いたい、こう言つているわけです、この点如何ですか。
  14. 河野一之

    政府委員河野一之君) 今あいにくそういつたデータを持つてつておらないのでありますが、確かに検査院の御指摘になる国損は決して減つておらんと思います。確かな数字は私も記憶いたしておりませんが、ただカニエさんに一つ御留意願いたいと思いますことは、いわゆる不正事件、或いは契約が非常に高かつたということの一例は一つの国損でありましよう、ありましようが、又それから税金も取るべきものを取らなかつたというようなことも一つの国損であろうと思いますが、行政の執行の上において最小の経費を以て最大の効率を挙げたならばどうであつたかということは、本当の意味の国民の負担に関係することであろうと思います。又或いは税について脱税があつたと、それがどうであろうかということも併せて国損の問題が考えられると思うのでありまして、そういうところまでいろいろ調査いたしました結果は、まだ実のところないのでありまして、それについて私が責任を以て国損が軽くなつておるということは決して申上げかねます。併し不正、不当な事件もこれは国損でありまして、御指摘の通りそういつた不正な事件が決して減らないということは大蔵当局としても甚だ遺憾であつて、今後折角努力しなければならんと考えておる次第であります。
  15. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこででき得る限りこういつたその不正事実なり、或いはいろいろな直接間接の国損に対してはでき得るだけの努力をしたいと言われることはこれは尤もであろうと思います。が併し、そういつた措置に対してどうも十二分な措置があらゆる方面で講ぜられていないのではないかというように考えられるのですが、併しあなたのほうとしては、大蔵省としてはまあ十二分にやつておると思われるのでしようが、私どもの目から見るならば、十二分でないと思う。そこでお尋ねしたいと思うことは、こういう不正に対して、或いは又不当に対して、監督なり或いは又そういうことの調査なりをしておるという機関は只今のところは何々があるわけですか。勿論会計検査院があるが、そのほかには何があるのですか。
  16. 河野一之

    政府委員河野一之君) 会計については会計検査院であります。会計検査院会計検査院法に基きまして、決算確認し、法律に違反した事項、不当な事項というものを検査し、国会報告してその是非を判断する資料を提供される、これは会計検査院の権能であります。そのほか予算執行上の責任、或いは現金、物品の亡失に対する責任の検定、こういうことをおやりになることであります。これは会計関係でありますが、これに関連いたしまして大蔵大臣は会計法第四十六條の規定に基きまして財務の監査権を持つております。予算の執行の状況を監査してこれの一定の報告をとり、いろいろ指示し、やり方を是正することができる、これは財務監査でありますが、そのほかにおきまして、各省がその業務監督権の内容といたしまして、上級官庁が下級官庁を検査することができる、これはもう当然のことでありますが、これに基いて例えば建設省は所管の行政について河川道路等の工事について検査することができる、これは権能であります。当然でありますが、そのほか経済安定本部が公共事業について認証の作用として従来監督権を持つておりました。現在認証というものがございませんので、その辺のところはあいまいでありますが、とにかく各省施策の総合調整という点からいたしまするならば、そのような権限を持つているというふうに言われると思います。それから行政管理庁がそういつた権限を持つております。行政の査察という事務であります。それから経済調査庁が、これは機構改革されますと変つて参りますが、経済法令、経済関係の行政について監査の権限を持つております。勿論国会も憲法によつて国政調査の権能として会計内容についても御調査し得ると、こう思うのであります。
  17. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) 河野主計局長に対する二十五年度決算内容等に関する質疑は、あとの急ぎの協議事項もありますので、次回に讓つて頂きます。前回会計検査院長に対する機構その他の質疑を求められておりますので、この際会計検査院長に対する御質疑等のおありのかたは御質疑を願います。
  18. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 大蔵省の主計局長に対する質問は、今委員長から言われた会計検査院の組織機構等に関する質問に関連をいたしますから、それでこれは今言われたように、二十五年度決算の只今御報告になりました大蔵省に対する質疑はこれは今はいたしません。併しながら会計検査院に対する質問に関連して大蔵省に対する質問はこれはあるので、そこで先ず先に大蔵省に対する考え方を明確にしておいて、そうして会計検査院に伺いたいと、こう思つているわけであります。続いて主計局長にお伺いするのですが、只今の御説明によりますと、大蔵省の四十六條監査ですね、この四十六條監査というものは、これは去年のいわゆる行政機構整備によつて相当これが殆んど機能が十二分にでき得ないまでも圧縮されたことは御承知であろうと思うのです。而も機能が圧縮されていない当時においてでも、恐らくこれは五十分の一くらいの監査しかしていないのじやないか。それをなお今度の機構改革では圧縮しているのですよ。だからこれ以下に低下することは言うまでもない。それから経済調査庁でありますが、これも残るとはいえ大巾に圧縮をするのですよ。特にあなたは主計局長としてそのくらいのことはもう御承知であろうと思いますが、これも随分圧縮をされてしまつて殆んど機能がどうであるかということになる。そうするとあとで各省に対する監督というものですね、上から下に対する監督権というもの、これは当然ですね、これはあつて当り前のことで、行政管理庁のやつておる仕事といえどもこれは年々やつておられますが、我々が見てそう効果があるとは思えません。これはないよりはましだという程度のことである。そうすると従つて国民は、国の歳入歳出を見ておるという所は勢い現在のところ会計検査院しかないと、こう思うのです。ところがその会計検査院を眺めて見ると、どういうことになり得るかと言いますと、これは年々会計検査院努力をされておると思うのですが、努力をされた結果最近の批難の報告も相当量も殖えてもおりますし、従つて内容を見ても正確にされておると思います。併し我々国会から見れば、これといえども決して満定しておりませんよ、国民代表としては。而もこの会計検査院がやつておられる年々の検査を見ますと、これは三分の一から四分の一くらい、これは検査の分担されておる局によつて違いますが、大体三分の一から四分の一しが検査がされていないのですよ。これをもつと仔細に、この検査が十二分に行われるようになり得るなれば、これはもう国民に寄與するところのものは実に大きなものがある。そうしていつも言われるように收入確保ももつとこれをやる。支出は勿論節約をして行く、経費を効率的にこれを使用し、事業を能率的に運営し、物件を経済的に管理して行く、そうして処分をする。これらのことが本当に完全にでき得たならば、およそ年間にどれほど助かるかと思われるか。我々が想像するのに一般会計特別会計を通じて二千億円という厖大な金が、これがふしだらに経理されておるのです。こういうことを主計局長は考えて見たことがあるかどうか。実際に勉強して見たことがあるか。そういうことを勉強されたとするなれば、知つておると言われるのなれば、一体会計検査院に対するところのこういう機構に対して今後どうやつて一体拡充整備して行くという考えがあるのか。そういうことを先ず検討して調べて見たことがあるかどうか。年々調べておるかどうかということ、それから会計検査院に対する今後こういうものをなお一層充実するための計画を持つておるかどうか、この二点について伺いたい。
  19. 河野一之

    政府委員河野一之君) 会計検査院の機能を如何に生かすかと申しますか、充実するかどうかという問題、会計検査院の基本的な問題でありますが、これについては各国いろいろ違うようであります。イギリスのように大蔵省の委託検査ということを内閣の委任によつていろいろ検査を各種のものをやられるという行政監査の面までタツチし得るような行き方もありますが、現在の日本の会計検査院は、会計事務について国の機関及び国庫補助金、貸付金、奬励金、それから補助をもらつておる公共団体であるとか、或いは元利保証をしてもらつておる法人であるとか、あらゆる国の金の息のかかつたものを全部できると、こういう建前になつているのが日本の会計検査院の建前であります。そうしてこの検査は事後の検査の建前であります。ほかにありますいろいろ監査の問題につきまして、会計検査院或いは行政管理庁内の相互の監査権が競合して非常に監査を受けるほうでも迷惑をしておる。或いはその或る部分は要らないとか、統合したらどうかという御意見があることもよく御存じの通りであろうと思います。この権限を全部行政の監査、つまり金に関係のないものまで全部会計検査院に持つて行くというのも一つの案であります。又事後の監査の権限を持つて行くということも一つの行き方であります。併しこれも非常にむずかしい問題でありまして、上下監督の上に立つ官庁の関係におきましては、この監督権が、当然会計及び業務の監督権の内容がつまり行政であるという面がありまして、これは離すべからざるものの点があるのであります。例えば統計につきましても、行政といつたような統計は行政とは離れられない。併し統計なるものは非常に大切だから、統計事務は別にして役所を作れというので常々問題があるのと同じように、行政の内容を成している監査の問題と監査自体の問題とは常々どこの国でも争いがある。日本でも問題になつているのであります。従いまして、現在の会計検査院は明治憲法以来非常な進展を遂げられまして、又その機能も非常に充実して参つております。我々昔を知つているもののあれから考えますと、人員につきましても三倍程度になつております。勿論予算はインフレになつておりますからその比較はできませんけれども、その機能と申しますか、その事務能力においても私は格段の差がある、この数年において格段の差があると思うのであります。併しカニエさんのおつしやるように、これはそこに限度がない問題でありまして、国の現在の会計経理の現状から見て、会計検査院の機能を今後とも十分に活用しなければならないというお考えにつきましては全く同感であります。併しこれを如何に充実するかという問題につきましては、会計検査院自体としてのお考えもありましようし、又政府自体としても諸般の情勢から行政機構全体の問題としても又大いに関心しなければならないと考えている次第であります。
  20. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の主計局長、あなた言われている各国の例を挙げてお話になつたのですが、国の行政の面まで監督をして行くとか、その他の分野まで、統計の分野に亘つてまでやつて行くということを監督するとか、或いは検査院を拡充して統合して行くというようなことはこれはなかなか容易に一朝一夕に今言つてもできないと思う。又そういうことがいいか惡いかも我々としてはこれは検討しなければならんと思う。そうでなくして、現在会計検査院がやらねばならないことと、現在の会計検査院のいわゆる規定の枠内においてやらなくてはならないことですね、これが十二分にできていないと言うのですよ。わかりますか。三分の一及至四分の一くらいの検査しか年々していないと言うのです。それでは国民としては困る。言い換えれば無検査のところがあると言うのです。だからこの部分についてはせめて十二分の検査ができ得るように、大蔵省としてはそういうことには賛成するのかしないのか、これを聞いているのですよ。
  21. 河野一之

    政府委員河野一之君) 私は現在の会計検査院検査検査洩れがあるとは思いません。各省は書面報告計算証明規程の三のところによつてあらゆるものについて出しておるのであります。先ほど会計検査院長の申されたように、十七万の書類を見ても、ただおつしやる点は実地監査が十分であるかどうかということです。これについては現在どの程度おやりになつておりますか、いろいろ会計検査院といたしましては或いは御希望もあり、或いはお考え方もあろうと思いますが、そういう点につきましては、実情をよく会計検査院からお聞きしまして、善処したいと考える次第であります。
  22. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは、二十四年から二十七年度会計検査院の年間の人件費、物件費を含めた全部の総予算額は幾らになるのですか。
  23. 河野一之

    政府委員河野一之君) 人員においては千人程度、予算においては三億足らずであつたと思います。
  24. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この三億ぐらいの金をこれを仮に十億にしてみたところで、これは問題にならん金なんですよ。いわゆる国の経理の今言つたような目的のために使われる金としては、十億にしても何らこれは問題にならない金なんです。それを一体どういう工合に考えておるか。今あなたが言われておる書面審査で十二分にできておると言われておるのは、書面審査で十二分にできておれば、こんな大きな厖大な年々大きな件数の不正が起きたり何かしないのですよ。これはやはり書面審査も十二分にできていないのです。それから勿論実地検査やなんかができないためにああいう土木のインチキ、不正事件が起きて見たり、又年々この法務府やなんかでも印紙の不正やなんか年々出ておるのです。これは毎年国会報告されておるのです。のみならず又今度ああいう大きなものが会計検査院の手でなくして、警察の手によつて挙げられて来る、こういうような始末であります。これは十二分に会計検査院が拡充強化されておつて、そうして十二分な行届いた検査ができ得たならば、こういうことは自然となくなる。そのために国の受ける損害を防止するところの額は恐らく私は年間一千億くらいには達するのではないかと思うのです。一千億の年間の支出を防ぐために仮に十億を出したところで、これは何も痛くも痒くもないものである。こういう工合に我々は解釈しておるのです。なぜ一体大蔵省はつまらない特審のようなあんな月遅れの雑誌を買うようなところに、あれに何十億の金を使つておるか。そういうだらしのないところに使う金があるのなら、もつとこういう大切なところに金を使うように努力をしなければならんのではないか。会計検査院は勿論これは院としては独立した機関でありまして、又予算の上においてもあらゆる面において制約を受けないと私は思いますが、併しながら大蔵省としてそういう会計検査院が若しかここで拡充強化して国のための経理のためにやろうという考えができた場合において、大蔵省としては賛成するのかしないのか。それに対してはできるだけの予算をこれに計上してやつてもらうという肚があるのかないのか。この点については主計局長どうなんでしようか。
  25. 河野一之

    政府委員河野一之君) 会計検査院予算につきましては、毎年十分御相談をいたして計上いたしておるのであります。今まで会計検査院予算につきまして、事務当局と私のほうとの間に争いのあつたことはございません。いつも一番早く目下の現状が一番よくおわかりだものですから、一番早く御決定を願つておるのであります。勿論会計検査院としても決して十分ではないのでありましようとは思いますが、そういう点については財政の許す限りできるだけ御相談に応じて、機能の一層の充実を図るようにいたして参りたいと考えておるのであります。
  26. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで主計局長非常にくどいようですが、私の言う理窟わかるでしよう。つまり会計検査院が三億か四億を、今の国家予算の中から三億や四億の金を動かして、年々これだけの仕事をしているのだから、ほかの役所でももつと重要なところはあるでしようけれども、差しずめやはり重要なものとしてはこういう今日までの不正や或いは不当の経理が行われた結果年々増加するのでありますから、だから私はその今まであなたが大蔵省として会計検査院予算の上において争いがあつたとか或いはなかつたとか、或いは検査院から言つて来たやつをみみつちく創つたとか、そういうようなことを言つているのじやない。我々としては、ここで拡充強化をせねばならないという考えに立つたから、だから今後に対して検査院からそういう強い一つの意思があり、又やろうと努力されるなら、あなたのほうとしてはこれに対して、十二分に一つ優先的に努力するかどうか、大蔵省の方針としてですよ、それを聞いているのですよ。もう一度今お答えを願いたいと思うのですか……。
  27. 河野一之

    政府委員河野一之君) カニエさんの御意見は御尤ものところもあるようでありますから、会計検査院と十分御相談を申上げます。
  28. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) ちよつとこの際、カニエ委員からいろいろ御幕等がありましたが、若干大蔵省の予算等対する希望が出たようでありますけれども、当決算委員会としては、かねて会計検査院の質、量共にこれが充実拡張等については絶えざる論議が繰返えされておるところでありまして、この点については、私からも特に大蔵当局に、会計検査院検査能力を充実するために十分一つお考えを願うことにいたしまして、カニエ委員の主計局長に対する御質疑はこの程度にしておきたいと思います。
  29. 河野一之

    政府委員河野一之君) 会計検査院検査能力を強化するということは、これは非常に大切なことだと思います。これは確かに一つの見方でありますが、いわゆるお巡りさんを殖やせば泥棒が減るということも、こういう考え方も一つありますか、我々として今進んでおります考え方、これは会計検査院の件も勿論でありますが、会計職員の能力、それから素質の向上というのがこれに応じて非常に重要なことじやないかと思うのであります。この点につきましては、会計検査院におきまして十分この点を御認識になりまして、二、三年前におきましてわざわざ会計職員の素質向上に関する勧告を頂いたのであります。数年前、二十五年からそういつた会計職員の研修をやつておりますが、非常に成績が良く、そういつた中堅職員の従事いたしておりまする官庁におきましては、そういつたような非違が漸次減少して参つておるのが事実であります。そういつた面も併せて、この当決算委員会におきましては御了承を賜わりたいと存ずる次第であります。
  30. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 あのね、今言われている点は、我々少くともここにこれだけいる決算委員としては、相当決算も長くやつて皆来ておられるのです。従つてそのくらいのことは百も承知の上で大蔵省に対して申上げておるわけなんです。というのは、終戰後のあのいわゆる乱脈な当時は、なかなかそういつた人間の手においてでも、今主計局長が言われたようにむずかしかつたと思うのです、これは事実において。ところが最近におきましては、やはりそういつた仕事にも慣れておるところの経済調査庁やなんかでも、これは多少質は違いますが、内容的には大体同じようなものでありますから……。従つて経済調査庁や何かの人間をここで少し減らすのでありますから、こういうものを又利用する手もあると思うのです。又その他いろいろな関係で事情が是近はよほど変つて来ておると思うのですが、当時から見ますれば、そういう点から見て、私はここでやはり十二分に監査ができるようにというように又考えて申上げておるのでありますから、従つて今主計局長が言われたように、ただ口先だけで、会計検査院から話があれば一つ十二分に努力をしますとか、或いは御相談に応じますとかいうことでなくて、積極的に、やはり国の経理に関しては重要なものだから、一応はつきりした態度でやつて頂きたい、こう思います。  そこで会計検査院のほうに伺うのですが、会計検査院としては、年々我々が報告を頂いておりますものを眺めておりますと、十二分なやはりものではないと思うのです。というのは、勿論只今問題になつておりました経費の点、或いは人員の点等によるのであろうし、又人の質の点にもよろうと思うのですが、いずれにいたしましても、会計検査院が批難をされて来ました中を、我々国会が僅かな人数で再検討して見ても、検査院が行き届いておらなんだ点をしばしば指摘しているような現状でありますから、そこでどうしてももう少し毅然たる方針と態度を以て、会計検査院の機構或いはその他の拡充についてなさねばならんというように、まあ我々当決算委員会としては考えているわけなんですが、そういう計画があるかどうか、お考えがあるかどうか、若しかあれば、どういうような何にして行きたいというようなお考えがあるのか、一つお聞かせを願いたいと思うのであります。
  31. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 只今カニエ君の御指摘の通り検査院検査が十分かと言われると、遺憾ながら十分でありますと言うだけの自信は今ないのです。我々といたしましても、とにかく終戰以来税金は非常に高くなり、国民は非常に困る、だからしていやしくも国費の経理ということになりました以上は、これを能率的にやつて行く、無駄なことはしない、いわんや不正なることがあるのは以てのほかだ、こう思つております。そこで会計経理是正を図り、適正を期するという院法の趣旨に基きまして、我々も検査をいたしている次第でありますが、検査の陣容から申しますと、いわゆる質の問題、量の問題、この二つに分けて考えることができると思うのであります。先ほど主計局長も言われましたように、憲法が改正になりまして、新憲法になつて会計検査院は三倍以上の増員、数量的の増加をいたしたのであります。ところがこの検査と申しますと、まあ申すまでもないことでありますが、ただ人を増したからすぐできるという問題ではありませんので、或る程度のエキスパートでなければ困る。まあ二三人の者が行きまして、数日の間に相当大きな検査をするのでありますから、その能率を上げる、質的の向上を図るということが大事なことでありまして、その点におきましても、私就任以来質的の向上ということを特に熱心に主張いたしまして、事務当局もその方針で動いております。いろいろと講習をいたしまして随分やりました。又先輩が後輩を検査に連れて行つて十分指導をする。そういうような方法によりまして、検査の質的の向上は成る程度できて来たのではないかと思つております。これは年々の検査報告で御覧になり、先ほどもカニエ君の言われました通り、大分よくなつていると思います。殊にその点を他の方面から見ますというと、先ほど主計局長が言われました通り終戰後は、世相もそうでありますが、会計も非常に乱れておつた。それが世相はだんだんよくなつて来ている。恐らく会計関係改善されているだろうということは想像されますし、又我々のほうの事務当局の職員検査に行つた結果を聞きましても、よほどよくなつている。然らばどうしてよくなつているにもかかわらず、こんなに件数が殖えているか、昭和二十二年のものにつきましては三百八十件、二十三年度が六百二十件、二十四年度が七百五十件、二十五年度が千百件、こんなに殖えているということやははり惡いのじやないかという議論が起るのであります。併しながらその議論も起りますが、一方におきまして検査院職員が非常に熱心にやつてくれ、その努力の結果が現われて来て、従来ならば見つけなかつたような不当事項というものを相当見付けておるのじやないか、こういうふうにも考えておるのであります。そういう点におきまして、過去五年間の職員の熱心な努力によりまして、計算能力は相当進んで来た。質的の向上が相当できた。勿論これを以て十分とするわけでありませんけれども、私の就任当時に比べますと非常に高まつて来たまうに思います。そうなつて来まするというと、量的の増加ということをそろそろ考えてもいいのじやないか、こう思つております。今までは量的の増加ということに対しましては、私といたしましてはむしろ消極的な態度をとつてつた、と申しますのは、人を殖やしたからといつて検査ができるのではないので、そう人がたくさん集まると却つてこんぐらがつて、むしろ検査の相手方に対して非常な迷惑をかけるということも考えまして、質的の改善を図つて来たのでありますが、それが或る程度目的を達したので、そろそろ量的の改善に移つたらどうか、近く来年度予算の審議もありますが、そういうふうに考えております。勿論これは国家財政全般の方針とも関連する問題でありまして、私のほうだけで思うようにもいかんかとも思いまするが、十分主計局とも相談いたしまして、主計局長もああいうふうに言つておられるのでありますから、その点について努力したいと思います。
  32. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 勿論この質ということは非常に重要な事柄であつて、又重要な事柄でなければならんと思うのですが、質がやはり十二分に向上されない場合においては、この質の欠陷を補うためには、やはり量ででも補なわなければこれはまあやつていけないのじやないかと、なお量も多く、質もよくということになれば、これはもう問題じやないと思つておりますが、かような点からこの点についてはもう少し御検討を願つて、そうして今我々としては、会計検査院ができるだけの能力と何を発揮して、そうしてやつて頂けば、こう国会への報告もふしだらなものでなく、もつとましなものになるのではないかと思うのです。それ以上に我々としては会計検査院の仕事に対しては期待をしておるわけなんで、このために予算が、今の国の予算関係もあるということを検査院院長は言われておりますけれども、そんなことは考える必要はない。会計検査院が、幾らあなたが気張られても、そんなものは滅多と国の予算に影響するような大きな予算は組めませんよ。従つてたかだか今の三億を倍にするか、三倍にする程度のことにしか私はならんと思うのです。だからそういうことでなく、実際十二分にその検査をして、そうして国民の心を安んずるためにはどうすればいいかということを検討になつて、思い切つたやはり何をされたらいいと思います。その点については、我々まあこれは勿論党派の別なく、決算委員会全力を挙げて恐らく協力され得ることだと思うのです。いいことであればそういう工合に……。特にその点お願いをしておきます。  それからもう一つは、物品経理でありますが、今のあなたの説明でも、物品経理に及んで言われておるのですが、これは物品経理に関しましては実に私はだらしがないと、一つの会社でありましても、個人のものでありましても、これはもう便箋一册に至るまで整然としてそのバランスは、いつもやはり経理面から報告されておるのです。ところが金に対しては、割に会計検査院等にも厳重にされており、又国の行政管理のほうも、そういつたものには割に重きを置いておるようですが、事一旦それが物に変りますと、殆んど無茶苦茶な経理がされているのですね。従つて物品経理に対してはどういう考えをお持ちになつておるか。それで物品経理に対して一つのやはり規定を、法律をここでやはり制定する必要がないかと我々考えるのでありますが、その点についてはどういうようにお考えになつておるか。
  33. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 只今の御意見、全く私も同感でありまして、金銭と物品と比べると、物品に対する経理というものは非常に不熱心であります。会社ならば棚卸を厳格にやるだろうと思うのでありますが、政府の大きい会計政府なり政府機関の大きい会計では、帳外の物品がたくさんあつて、どうしてそんな不経済なことをするかという場合をよく聞くのであります。それでこの物品経理というものは、我々のほうとしても検査一つ事項として大変力を入れておるのであります。それでなお物品経理に対する会計法規は、御指摘の通り昔太政官布告ですか、とにかく非常に古い物品会計規則というものがありまして、それをまあ近代的に合理化しようという努力は、政府、大蔵省においても大分前からあるようであります。ところがまあどういう事情が、なかなかいつまで経つても金銭会計と同じような完備した制度はできないので、我々としても一日も早くそういう制度ができることを望んでおります。
  34. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで一つこれは懸案としてお願いをしておきたいのですが、物品経理に関する一つのいい方法があり得れば御研究を願いまして、我我委員会のほうへ一つお示しを願いたいと、こう思つております。  それから次にもう一つは、会計検査院の今の検査院法ですね。これをお直しになるところに来ておるのじやないか、多少は。というのは、一例を申しますと、この会計検査院のやる範囲では、もう一つ突き進んだ権限を持たないために、その権限を持たないために、突き進んでその分野まで、いわゆる民間の分野まで調べるというのではないが、そういうことができないために、本来のその任務である仕事のほうが十二分に行かない、こういう点があるのではなかろうか。これはまあしばしば各担当責任者から報告を年々聞いておりますと、もう一つ調べればこの点は明確になるのじやないかという点が、どうして調べないかというと、現在の会計検査院法の規定の上では、そこまでは調べることができないことになつておる。権限がないことになつておるという、そういうことで十二分に調べられないのじやないかということは、国会は勿論そういう限界を我々は持ちませんから、従つて会計検査院の御報告なつたものをおかしいと思えば、それを突き進んで調べてみるのですね。そうすると実際はその会計検査院が御報告になつておる以外の、そういつた会計法の違反とか、そういつた不正事実が出て来るのですね。そういうようなことから考えてみて、やはりそこまで検査院が突き進んで、検察庁のやるような分野までやれというのではなくですよ。そういう権限をも持たなければ十二分にやれないのではないか、このようにも考えるのです。これは單なる一例でありますが、その他にもいろいろ会計検査院の法規を改善する余地があるかどうか。又そういう考えがあれば一つお聞かせを願つておきたい、こう思つておるのです。
  35. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 会計検査院検査に関する権限の限界が法に定められておる、そのために検査ができないのじやないかという、できなくて困る点がありはしないかというお話でありますが、只今お挙げになつたいわゆる第三者に対する検察権限は、原則としてないのでありますことはお話の通りであります。併しながらそれは法律上の権限がないのであつて、実際はどうかと申しますと、これは一つの例で申しますと、公団の場合でありますが、公団についてはやはりそういうふうな考えで公団は検査できる。併しながら公団のいろいろな不在事件、殊に金融機関との関係においてあつたのです。だから金融機関は会計検査院法上当然に検査権限はないのだ。併しながら検査権限がないからといつて、放つておくわけにも行かんじやないかというので、公団に対する検査の方針を大分改めまして、金融機関に行つて聞こうということは……法律的に言えば関係者に対する質問権はある。勿論質問に応じないからといつて罰則はありませんけれども、法律上は質問権がある。その法律上のことは別として、公団の取引銀行に対して公団の人を連れて行つて、向うで聞くということで、それで大体目的は達していたように思うのであります。そういう事情で、法は多少理論的に言うと不完全かも知れませんけれども、実際の運用におきましては、少くとも現在職員の活動の範囲においてはそれほどの非常に困るというところまではいつておりませんが、お話の点は将来の問題として、検査院法をどうするかという問題は取上げておりますので、今の点は勿論問題にはしております。なお十分研究したいと思います。
  36. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからもう一つは、これは先ほどのあなたの報告にもありましたように、予算及び経理の諸規定を軽視した点にあると認められる、不正行為の誘因ともなるので、嚴重に関係者責任を追求しておりますということなのですがね。予算経理の諸規定を軽視したということは、これは年々やられるのですね。ひどいのになれば、同じ事柄が同じ省において又今年も出て来た、去年もあつた、一昨年もあつた、こういうのです。最近の例を挙げてみますると、法務府の今申上げました印紙の偽造とか、ああいうやつは年々報告されているのですよ。にもかかわらず根を絶たない。そうして終いにはとんでもない、警察に挙げられて、そのいわゆる損失が年間東京都内だけでも百億、国が損をしておるというようなことが言われているのですね。印紙だけでそういうようなことであるならば、ほかのものを言つたらどんなことになるかということになる。そこでこれについては今我々は痛切に感じられることは、検査院が嚴重なる処分に対して非常にやかましくやつていないのじやないか、言つていないのじやないか。特に少くともこれは刑事事件関係があると思われるようなにおいのするものについては、これはどしどしとやはり検察庁や、警察なんかに挙げられる前に、事前にやはり措置をされるということになりますと、非常に私は少くなるのじやないかと思う。従つて処分に関する問題が、これが嚴重に行われていないところに諸規定を軽視するというような結果が出て来ておるのです。従つてそういう点から年々同じことが繰返されていると思うのですね。この処分の点については、勿論各省から出されておるところの責任者の処分調査等も御研究になつておろうかと思いますが、検査院としてはどういう工合に一体お考えになつておりますか。この点について一つ……。
  37. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 只今の点、私も非常に懸念しておるのでありまして、先般の二十三年度ですか、二十三年度の参議院決算委員会の本会議に対する御報告にも書いてあつたと思いますが、現在では我々のほうでいろいろの文句を言つた場合に、向うの処分というものが厳重注意とかなんとか、非常に軽い程度のもので、それだからどうも又やるのじやないかと、私どもも同じように思つておるのでございますが、そこでそれはどうすればいいかというんでありますが、私のほうの方針といたしましては、勿論法律によつて会計検査院法であるとか、或いは予算執行職員等の責任に関する法律とか、或いは政府契約支払遅延防止等に関する法律、これによつて懲戒要求の権限が我々のほうにあります。勿論要求するだけであつて、懲戒実施は主務省でやるのであります。その場合の問題でありますが、今までの検査は、或る事項不当事項として認め、その不当事項をやつた本人に対しては相当嚴重に言つているのでありますけれども、本人の監督者等に対するこちらの警告がもう少し強くやつたらよくはないかということを考えまして、どうしてそういう不当行為が行われるか、その不当行為の原因というものについての検査と申しますか、研究といいますか、これに今年度から実は非常に力を入れております。それによりますと、どうしてそういう不当行為が起つたか、それではこういう点を直せばできるということと、それからそれを本人は勿論のこと、それに対する監督権を有する者に対しまして、更に強く注意を喚起しよう。こういう方法によれば、今よりはもう少しよくなるだろうと思つております。
  38. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) ほかに……。
  39. 西山龜七

    ○西山龜七君 私は、今カニエさんが言われました批難事項に対する処分のことでありますが、私も決算委員になりまして長いことやつておりますが、結論は、それによらなければどうしても改善ができないのじやなかろうかということを強く感じておる一人です。今佐藤院長からも同様の御意見がありましたが、これに対しましては、我々決算委員としては、どういうふうにしてこれを批難事項の少いようなことにするかという方法をお互いに研究をして、国損の少いように努めたい。如何にいろいろ考えましても、年々これが減らないという原因をお互いに研究しまして、国民の負担の成るべく少いようにいたしたい。私は、今のカニエ委員の発言に対しまして、院長の御同感のことを聞きまして、是非ともこの点を何とか一つ改善して、一罰百戒というようなことで、これを成るべく少いようにしたいと、かように思います。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点について、これは我々の感じておる点を御参考までに申上げておきたいと思うのでございますが、今までやつておるところの処分の問題は、これはそういうたことを行なつた部内、いわゆる農林省であれば農林省部内において、その行なつた者を処分をしておるわけなんです。いろいろ各省で、先ほど河野主計局長が言つたように、それぞれ内部監督をやつておるというが、内部監査に要しておるところの経費というものは、非常に厖大なものを使つておるにかかわらず、十二分に行かないということは、自分のいわゆる子供のことを自分がやつておるというところにこの問題が多くあるのであろうと思うのです。従つてこの処分の問題も、会計検査院検査のほうに、使うのは各省が使うが、検査をするのは会計検査院検査をする。従つてそういう不当な行為のあつた者に対しては、別個の機関がこれを見て処分する。こういうことになれば非常にいい。例えば大体会計検査院のほうでは、その事件について、案件についてはこれは御調査になつておるし、又それは專門であるから、この質についてはどの程度のものであるかということはお調べになればわかると思うのです。そこで処分のつまり格付け、会計検査院自体がいわゆる処分しないでも、大体の事件を格付けをして、一級なら一級、二級なら二級、或いは五級なら五級という処分の格付けをして、そうしてその処分について実施するのは或いは人事院がやるとか、或いは又その他の実施官庁でない他のところでやるというようなことにでもされれば非常に改まるのではないか、こうまあ思うのです。これもまあ一応参考までに一つ何して頂きまして、十二分に御検討を願つて、先ほど私が御要求を申上げて置きましたように、検査院として何らかの一つその意見を御研究の結果、当委員会のほうに一つ、公式でも非公式でもどちらでも結構ですから、御報告を願いたいと、こう思つている次第であります。
  41. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちよつと一つだけお聞きをしておきたいのですが、先ほどもカニエ君が言われた問題、つまり物品の購入、払出、及び返納の手続ですね。これは各省現在それぞれ異なつ方法でやつているのか、そうじやなしに、一応の統一した手続というものがきめられているのか、その点はどうなつているのか。
  42. 佐藤基

    説明員佐藤基君) その点は、根本法規としては、物品については物品会計規則がありますが、細かい点においては、やはり各省の行政の便宜上多少の取扱は違うかと思います。勿論これは各省でいろいろな細かい省令その他できめていると思います。
  43. 田中一

    ○田中一君 平衡交付金に対する検査の方針は、今度法律になりますが、どういう形で以て今までやつておるのですか。任した額については、そのままその項目によつて使つておればよいのであつて、やはり検査なしで処分していると思うのですが、どういう形でやつておりますか。
  44. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 平衡交付金につきましては、我々のほうで一番やかましく言つているのは、平衡交付金の計算の基礎というものが非常に複雑なのでございます、御承知の通りに。それで前年度でしたか、若干検査したところが、もう正式にきちんと適正に行つているところは非常に少いのです。皆違つております、極端に言うと。非常に違つております。そこで先ずそれを直そうということを主にやつておりまして、勿論使途に対してもやつておりますけれども、その計算というものがでたらめと言つちや言葉が過ぎますけれども、それに近い、そういう状態であります。
  45. 田中一

    ○田中一君 あれは今度法律になりまして、各府県から一応何というか、希望の申入があると思うのです。その際に査定して払出しているわけなのですが、そうすると使つたものの始末はまだ調べていないのですか。そういう点は……。
  46. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 地方公共団体検査と申しますというと、非常に範囲が広いものでありますから、国からの補助金その他使途を限定したものについては或る程度やつておりますけれども、一般的なものについてはまだそこまで検査は十分行つておりません。
  47. 田中一

    ○田中一君 それから我々随分地方に視察に行きますと、各府県で相当御馳走になるのですが、これはどうかと思うのですが、どういう方面から出ているかというと、私は建設委員で、ほうぼう歩きますが、現場で非常に御馳走になるのです。どこから出て来るかというと……、こちらのものが二、三人行きまして、向うの人たちが十入、二十人集まつてつているのです。常識的に少し欠けるところがあるのですが、それにしてもどういうところから出るのかと思うのです。従つて補助金ですね、補助金というものが完全に仕事に使われているかどうかという点、又そういう中央から行つて、まあ会計検査院が行つても御馳走になると思うのです。大蔵省が行つても御馳走になると思うのです。そういうものが相当の額たと思うのです。これは、そういうものはどこから出ているのですか。大体そういうものの費用はどこから出ているか。そういう点はやはり工事費の中に入つているものですか、入つてないものですか。会計検査院はどういう態度を以て検査しておりますか。
  48. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 今の問題は、予算にそういう費目は若干ありますけれども、実際問題としてはそれでは足りないので、検査報告にも書きました通り、その接待費と申しますか、そういうものを出すために、いわゆる架空計理というのが相当あるのです。だからその点はやかましく言つておりますし、今会計検査院を引合いに出しましたが、会計検査院でも絶対に御馳走してくれるなということを事務総局から地方の知事なり、或いは出先機関のほうへしばしば言つておるのでありまして、まあ出先機関或いは府県におきましてもよほど自粛されて、この頃はそれが絶対なくなつたとは申しませんけれども、程度が非常に自粛されて来ておるのじやないかというふうに思つております。
  49. 田中一

    ○田中一君 それはどういう態度で以てお調べになつておるのですか。そういうものは調べている範囲にたくさん出て来ているのじやないですか。相当な額になつているのじやないですか。そういうものは見逃しているのですか、それを一々摘発といいますか、問題にしているのですか。
  50. 佐藤基

    説明員佐藤基君) その点特にやつておるわけじやありませんけれども、一般的な検査をやりますというと、報告にあります通り大分出ております。
  51. 田中一

    ○田中一君 何とか今の問題、それは会計検査院としてそういうものがたくさんあつちや困ると思うのです。会計検査院として、政府並びに地方公共団体注意を促すというようなことはできないものですか。
  52. 佐藤基

    説明員佐藤基君) 政府において、殊に大蔵省においても大分その点は気にしておられまして、予算の使い方の惡い点もありますけれども、予算それ自身に相当無理があるのじやないか、大蔵大臣なんかは十分その点を考えて予算を組んたと言つておられますが、もうあれで十分かどうかは疑問でありますが、予算の組み方にも、若干問題があると思います。この点についてはいろいろ意見があり、予算の組み方についても、そういうものを或る程度増額しておるように聞いております。
  53. 田中一

    ○田中一君 じや予算の組み方に無理があるから、大体のところは見逃してやつておるというわけですか。
  54. 佐藤基

    説明員佐藤基君) いや、我々のほうは予算の組み方に無理があつても、それは予算の組み方が惡いので、我々のほうとしては法規の示すところによつて予算に反しておればいつでも文句を言つております。
  55. 飯島連次郎

    理事飯島連次郎君) ほかに御質疑がなければ本日はこれで散会いたしたいと思います。    午後零時二十八分散会