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説明員(
小峰保栄君)
只今議題にな
つております
案件の中で、
専門員から詳細に御
報告がありました分、六百二十一号につきまして
会計検査院の見るところを簡單に御
紹介しておきます。
これは
宮城県の
鳴子温泉のそばを流れております
江合川の
災害復旧工事の
案件であります。
先ほど会計検査院の
主張と
建設省の
主張を詳しく御
紹介がありましたので、繰返して申上げることは差控えますが、実はこの
案件につきましてはすでに
衆議院のほうでも御決議と申しますか、御
決定がありまして、
衆議院では
政府の措置が妥当だ、言換えますとこの
控横堤、これを
災害復旧の中に入れたがよろしい、こういうふうに御
決定にな
つたように伺
つております。併しながら私
どもといたしましてはその
理由を伺いましても、まだやはりこの原案が行過ぎだ
つたという
考えは実は持
つていないのでありまして、この
批難がまだ正しいとこう
考えておる次第であります。と申しますのは、
先ほど専門員からも大体三点に分けてこの
堤防の
控横堤、誠に奇妙な
堤防でありますが、普通の
堤防と直角に二本
突張りのような
堤防を取付けたものでありまして、これは恐らく私
ども寡聞でありますが、
日本にまだ例がないようなふうな
堤防だと思うのであります。これを作りました
理由は、第一に主堤の、まあ主堤という字を仮に使
つて置きます。これは普通の
堤防であります。本堤の
強度を補強する、これが第一点。第二点は仮に
災害が起きたときに
災害を中の
堤防によ
つて、囲われております中の
災害を
部分的ならしめる。これが第二点であります。第二点が
排水と、こういうことにな
つておるわけであります。第一点と第二点は現在では
建設省でももう問題にならないというふうにお
考えのようでありまして、余りお取上げにな
つていないようであります。私
どももこの第一点、第二点の
直高七メートルの
石張りの
堤防、これを
突張りを入れなければ
災害のときに
危いというようなことは
ちよつと
考えられないのであります。それから第二点の再度
災害を受けたときに被害を分けるということは、これは
ちよつと問題にならんのであります。本堤がこわされるほどの
災害を受けたときにこの横の
突張りがそのまま残
つておるということは
考えられないのでありまして、結局一緒に流されてしまうだろう。こういうことで第二点も問題にならんと思うのであります。第三点が現在
建設省と
検査院とまだ
意見が一致しないところでありまして、この
排水でありますが、これは
先ほど御
紹介がありましたように
在来の
堤防はもつとずつと小さいもので、而もずつと前に出ていたのであります。それを流されました
関係で
あとへ引きまして、而も
直高七メートル、たしか
あとの流された
堤防は三メートル見当の小さいものだ
つたように承知しております。それを七メートルもある
石張りの
練り積みのコンクリートの非常に立派な
堤防をずつと奥へ引きまして
造つたのであります。
在来の
堤防は、
先ほども御
紹介がありましたいわゆる
カスミ堤というので裾が空いていたのであります。これは
堤防にたくさん例がございますが、裾をあけて置きまして、
平常時の
排水ということをやるわけであります。今度はその裾のあいておりました
カスミ堤をずつと
あとへ引きまして、裾をあけないで上流の
終点も、それから
下流の
終点も全部山にとりつけてしま
つたわけであります。
従つて平常時の
排水ということが従来よりはむずかしくなる。こういうふうに相成
つたわけでありますが、併しながら
在来のその流された
堤防で囲
つておりました
地域よりは
堤防をずつと後退させましたので、囲われる
地域がずつと少くな
つておるのであります。そうして
在来の
排水と申しましても取立てての
設備があ
つたわけではございません、
自然排水の
ちよろちよろと流れる
程度の川だ
つたわけでございます。これに加えて六百何十万円もかけてわざわざ
雨樋と言いますといささか言い過ぎですが、樋のようなものをかける。
相当長い、而もそれを樋を載せるのに
石張りの素晴しく立派な
堤防であります。こういうものを
造つて、その上に水のまあ樋というと少しあれですが、
相当大きなものでありますが、それを附けるということが、果して従来の
自然排水程度のものに代る
災害復旧と言えるかどうか、これがもう問題の焦点になるわけであります。私
どもといたしましては、従来も
自然排水していたのだし、今度は
堤防によ
つて囲われる
区域は非常に少くな
つたのだから、
樋管を
幾つか
堤防の中に入れる、
堤防の下に入れるわけでありますが、それによ
つて十分じやないだろうか、それか又裏の山から……、これはすぐ急峻な山が迫
つておりますが、その山から出て来る水、これに対しても
樋管程度で
排水には支障がないのじやないだろうか。又強いて是非とも必要があるとしましても、もつと簡易な
方法があるのじやないか。こういう大きな
堤防をわざわざ二本渡しまして、そうして
排水しないでもほかに
方法があるのじやないだろうか。こういう点でこのやり方、六百何十万円という多額の金をかけて
排水路を作るということは、
災害復旧の
程度を超えているのではないだろうか。本来
災害復旧はいろいろな
例外がございますが、飽くまでも
原形復旧ということが
本旨であります。これは
先ほどお読み上げになりましたように、
相当の
例外はございますが、併し
原形復旧ということが飽くまで
本筋でありまして、その
原形復旧を
本筋とする
災害復旧工事は、こういう奇妙な大きな六百何十万円もかけるというような
排水路を造ることは従来なか
つたのでありまして、そういうものを造るということは行き過ぎじやないだろうか、こういう
考え方が
衆議院の御
決定がありました現在においても実は変
つていないのであります。それだけ御
参考までに申上げて置きます。
それから
先ほど六百十七号の
肝属川の
経理紊乱の案の御
紹介がございましたが、これは六百十六、六百十五、いずれもいわゆる
架空経費、実際に使います
経費と違う嘘の
経理をいたしまして、そうして
経費を捻出して
工事なりその他の用途に使う、こういう
案件でございまして、六百十六から六百十七は五件ほどの案がまとめてございますが、これがその後いろいろ社会問題にもなりまして、二十五年の
検査報告にはこの
架空経理の
案件がたくさんございますが、それのいわば先駆をなしたわけでございます。一々の
案件については御
説明いたしませんが、私
ども二十四年度でこの種の
案件が
幾つかありまして、実は驚きまして、二十五年度の
検査ではこれを一掃する、いやしくも国の
経理というものは公明正大でなければいけないのでありまして、平気で嘘の
経理が行われるというような事態はこれは一掃してしまわなければならぬというので、二十五年度の
検査、二十六年中に行いました二十五年度の
検査でこれを一掃するということに
相当の力を盡しまして、
建設省当局も同調されまして、現在ではこの嘘の
経理というものは非常に減
つておりますが、この二十四年度のこれが最初の
案件ということになるわけであります。