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説明員(石田吉男君) 百七十八頁にございます「
販売に適しない
製造たばこ」、これについて御
説明を申上げたいと思います。この点につきましては
検査院のほうから非常に御理解のある御批判を頂きまして実は恐縮に存じている次第でございます。この中にもございますように当時の
状況といたしますると
原料の
関係、これは本来でありますると
たばこを
製造をします
原料の葉
たばこでありますが、これは或る
程度収穫後寝かせておきまして、相当枯れて参りましてから作るのが本筋でございます。ところが当時は
たばこの供給
数量が少うございまして、できるだけ
原料の生産も急ぎ、製品の増加も図るというふうなことから、これを余り完熟しないうちから使わざるを得なか
つたということから、当時のこういう製品がどうも早く黴が生えましたり、
販売に適しない状態に悪変するという虞れが多分にあ
つたのでございます。又
製造の
施設にいたしましても成るほど
工場の数は殖えましたし、
たばこを巻く機械、或いは包装の機械、一応揃
つては参りましたのでありますが、内部的な設備といたしましていろいろな
加工の
施設が必要でありますが、それが十分に整
つていなか
つた。そのために早く消化いたしますれば別に支障はないのでありますが、普通の状態よりも少し長くなりますとどうしても早く悪くなるような傾向が多分にございまして、そういう
製造施設の
関係から悪変しやすい状態に置かれておるということもあるわけであります。又
倉庫その他の補完設備、これが非常に不十分でございまして、現在でもまだ
予算の
関係から全部完全なものに
なつておらないのでありますが、
製造後通風の亜いところ、或いは湿度の高いところ、そういうところに置きまして何カ月がたちますと、どうしてもこれも悪くなる。そういう
倉庫設備の不完全ということも多分にございます。このほかに
たばこの包装でありますが、製品の包装が十分に防湿できるほどに金をかけておりません。そういうことから、やはり一定期間よりも長くなりますと、悪変しやすい状態に置かれておる。こういうふうないろいろ製品自体について悪変しやすい
状況がございます。そういう
状況でありますから私どもといたしましては、できるだけ
販売の見込を確実に立て、それに相応じた
製造の
計画を立てて、
たばこが保存に適する時間以上に長く置かないように、いろいろ
計画の上で正確を期するということが必要なわけでありまして、その点を御
指摘頂いたのでありまして、全く私どもの見込の立て方がまずか
つたという点、当時のいろいろな製品
関係の
事情は別として、見込の点を御
指摘に
なつておられるのでありまして、誠に恐縮に存じている次第であります。ただその点につきまして一応御
説明を申上げたいと思いますが、実は御承知のように
昭和二十四年度から二十五年度まで一部の製品が配給
制度に
なつておりましたが、二十五年の四月からはこれを全部自由
販売にしたいということで、二十四年度中から着々準備中であ
つたのであります。それから
たばこの値段が高過ぎる。これをできるだけ早い機会に値下げをしたいということでありまして、結果におきましては二十五年の四月から殆んど全部の製品につきまして、十本当り十円くらいの値下げを行な
つたのであります。いささか技術的な点になりますが、それで当時の
状況から申上げますと、二十四年の十二月一日から値下げをやりたいというふうな
お話も政府のほうでございまして、それに相応じてどうせ値下げをするならば、そのときからやはり一斉に自由
販売に移行したいというふうに考えておりました。ところがいろいろな
事情から十二月一日からの値下げが実行できなか
つた。私どものほうとしましては、十二月一日から値下げしたい、自由
販売にしろと、こう言われるならば、すぐにでも
たばこが足らなくならないように準備をするということが私どもの仕事だと考えております。そういう頭で
製造の
計画も、
販売の見込も立てて、一応準備したのでありますが、それが実現できなか
つた。次いで二十五年の二月になりまして、せめて二月一日からでもや
つたらどうかという
お話もその後ございまして、これも私どもそのつもりでなお準備したところが、これも実現しなくて、結局二十五年の四月から値下げが、自由
販売が実行されることにな
つたわけであります。それで当時のこの中で、二十五年度に八億三千五百万本、結局この一年間に年度末までで約十一億本ばかりの悪変品が出たのでありますが、悪変品と申しますか、
販売に適しない
たばこができたわけでありますが、
昭和二十四年度におきましては憩とハツピー、現在はございませんが、憩やハツピーが一年間に約百二十九億本売れていたのであります。私どもとしますと、この値下げをし、或いは自由
販売にしたならば、たまたまこの憩とハツピーがほぼ同じような葉の配合をした製品でありましたので、少くとも売れるのではないか。但し値下げをいたしました
関係上、光なりピースなりへやはり客足が移
つて行く。そういたしますと、百二十九億本まるまる見込むのは行過ぎと思われる。だからこれをいささか減らしまして、憩とハツピー合せまして百二十億本
程度は二十五年度は大丈夫売れるだろう、こういう見込で
製造のほうも
計画を作
つてもら
つたわけであります。
販売の見込を立て、
製造の
計画を立て、これを各
工場に実行いたしまするにはかなり時間を要しまするので、きめてすぐ明日から実行に移すというわけにはなかなか
工場が動かないものでございますから、早め早めにやらなければ駄目でございますが、そういうことで前年度の
実績から考えて、百二十億ぐらいは売れるだろうという見込でやりましたところ、現実にこの二十五年度最後の締めくくりを見ますと、その
実績は僅かに六十四億本、半分ちよつとしか売れなか
つた、こういうふうな結果、当初の見込が非常に狂
つておりまして、そのために非常に途中から品物が悪くなりそうであるということから、悪い品物を売りますと、ますます全体の売上げがにぶ
つて参りまするので、年度途中からできるだけ悪くなりそうな気配があるものまでも、実際に悪くな
つたものだけでなく、悪くなりそうな気配のあるものまで、急いで全国的に
回収を始めたのであります。その頃までには残
つたハツピーの分は全部売
つてしまいましたから、憩が非常にたくさん残
つておりまして、この大きな
販売不適品と言いますか、残り大
部分は憩が多いのでございます。そういうことでこの悪くなりそうな
たばこを急いで
回収しましたために、こういう十一億本というふうな非常に大きな数字にもな
つたわけでありますが、そのうちには勿論そのまま巻替えまして、更に乾燥し直して巻替えますと、新らしい製品として一向差支えのないものもございます。それから憩を作るのを、少し悪くな
つたものでありますから、更にそれを乾燥して
新生に廻すというふうなことで、このうち約七割四分だけは全部巻替えまして新らしい製品として
販売のほうへ廻してございます。只今申上げましたようにないろいろの
事情と、もう
一つは、丁度四月、五月見込違いをやりまして、
在庫数量がだんだん殖えるにつれまして、つゆ時に
なつて参りますと、つゆ時には非常に気を付けなければならないのでありますが、このつゆ時にたくさんの品物を抱え込んで越して行
つた。ところがその
あと非常に旱が続いて、その
あと又長雨が降
つたのであります。丁度つゆのひどい時期が二回も参
つたというふうなことでありまして、
たばこを悪くするには、一番
たばこが悪くなるような気象条件がこの年に続きましたものですから、更に予想以上にこういう大きい悪変品、
販売に適しない品物が出て来たというふうなことであります。この後私どもも見込の立て方につきましては、できるだけ慎重な
注意を払いまして、いろいろ資料も集め、現在では却
つて見込を少く立てるような癖に
なつておりまして、実は二十五年から二十六年に移りますときに、ピースと光の値下げをいたしましたが、昨年度は見込の立て方が小さ過ぎて、光が切れて一時困
つた。最近では又ピースの意匠を変えましたところが、これも私どもの見込が小さ過ぎまして、現在ではピースが全国的に足らなくて困
つているというふうなことであります。こういう足らないような見込の立て方も非常に悪いのでありますが、経済
事情と共に
販売の
状況も変りまして、
販売の見込の立て方が非常にむずかしいのでございます。これをうまくキヤツチすることが私どもの仕事でありますから、今後も十分に留意して参りたいと存じます。