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1952-05-07 第13回国会 参議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月七日(水曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————   委員の異動 四月二十五日委員溝淵春次君及び秋山 俊一郎君辞任につき、その補欠として 玉柳實君及び山田佐一君を議長おい て指名した。 四月二十八日委員玉柳實君、成瀬幡治 君及び小酒井義男辞任につき、その 補欠として溝淵春次君、小笠原二三男 君及び椿繁夫君を議長おいて指名し た。 五月六日委員小笠原三三男君及び椿繁 夫君辞任につき、その補欠として成瀬 幡治君及び小酒井義男君を議長おい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩男 仁藏君    理事            飯島連次郎君            小酒井義男君    委員            大矢半次郎君            宮田 重文君            山田 佐一君            高木 正夫君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            森 八三一君            栗山 良夫君            小林 孝平君            カニエ邦彦君            田中  一君            菊田 七平君   政府委員    大蔵省管財局長 内田 常雄君    運輸大臣官房会    計課長     辻  章男君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君   説明員    大蔵省管財局国    有財産第二課課    長補      佐原 末一君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峯 保榮君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○小委員補欠選任の件 ○昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十二回国会継  続) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十二回国会継  続) ○昭和二十四年度政府関係機関收入支  出決算内閣提出)(第十二回国会  継続)   —————————————
  2. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 只今より決算委員会を開会いたします。  先ず理事補欠互選及び決算審査に関する小委員補欠選定の件についてお諮りいたします。溝淵春次君及び小酒井義男君が先に委員辞任されましたために理事欠員になつておりますが、その補欠互選の手続を省略いたしまして、再び決算委員に選任されました両君にお願いすることとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  4. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 次に決算審査に関する小委員溝淵春次君、山田佐一君及び小酒井義男君が委員辞任されましたため欠員となつておりますが、この補欠は再び決算委員に選任されました三君を選定することとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  6. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 次に昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算ほか二件を議題に供します。  本日は艦艇解撤に関する事項のうち批難事項第四日三十二号を問題に供します。本件前回関係当局から説明を聽取いたしましたので、これより質疑に入ります。御質疑のあるかたは御発言を願います。……それではこの前御出席が少かつたようですから、改めて森專門員から一応の御説明を申上げます。
  7. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) 御配付いたしましたガリ版刷要領だけを書いておきましたが、検査院意見によりますと、福岡財務部ほか四カ所で支払つた金額をみると、間接費配賦が多過ぎる。元来本件造船工業原価計算という方法によつて直接労働時間を基準として間接費配賦するということにして計算されておるのですが、この計算方法は適当でない。本件のごときただ艦をぶち壊すという場合には、労務費材料費などを加算したところの直接原価基準にして間接費配賦するという計算方法をとるのが実情に即して合理的であるから、その方法に従わなければならないと思う。現に東京広島大阪におきましては、初め違つた方法をとつてつたが、検査院からそれを改めるように注意をしたので、その検査院見解を採用して計算方法を改めた。然るに福岡ほか四カ所では検査院見解に従わないのがよろしくない、こういう指摘であります。これに対して当局側から弁明されているところによりますると、この艦艇解撤事業前回にも詳細御説明申上げました通り、この別紙に艦艇解撤一般経緯についてという書類と、なお、それに附属いたします艦艇解撤についての通牒を集めて印刷しておきましたが、それによつてもわかりますように、実は昭和二十一年五月というこんな古いときから造船工業原価計算準則によつて処理をして来たものでありまするが、今昭和二十五年三月というようなもう数カ年を経過した後に至つて、いよいよその費用精算しようとするに当つて検査院の言われたような工合間接費配賦方法を変更することにすれば、この事業に従事しております造船所などにおきましては、一方その艦艇解撤によつて生じた資材若しくは機械類などを他に売却したものもありまするし、或いは自分造船所でほかの船舶修繕などに使つてしまつたものもありまして、それらすべてについてそれぞれ計算が終つてしまつているのでありますから、ほかの工事のすでに決済が終了しておるので、それを今更変更させるわけには行かない。それで当初の方針通り計算をしたのであるという弁明でありまして、結局当局側としては、或る一部の財務部では検査院意見従つて計算方法を改めたのに、他の一部ではこれを改めることができないというので、全国を通じて統一を保つことができなかつた。その点は遺憾である。併しながら何分にも二十一年あたりから引続きやつて来たことで、すべての計算がそれで終つておるものを、今更計算方法を改めることはできない、こういう意見であるように思います。なお、当局なり検査院から補充して頂ければ結構だと思いますが……。
  8. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 一応今の件について検査院から一つ説明を聞きたいと思います。
  9. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 只今の四百三十二号の件につきまして、この前一応御説明いたしましたが、もう一度簡單に御説明いたします。只今專門員から御紹介がありましたことで大体盡きておるわけであります。四百三十二号は解撤をやりました業者がほかの業者固有事業造船とか船の修理とか、こういうのをやつておるわけであります。その場合に御承知のように間接費と言いますと、総額で出て参りまして、或る部門にこれを按分配賦しなければいかんわけであります。固有部門解撤部門配賦する標準が必要となつて来るわけであります。御承知のように間接費按分基準には先ほど專門員から御紹介がありましたように、直接労働時間で配賦する固有部門に仮に一〇〇の労働時間、それから解撤部門に仮りに五〇の労働時間というようなふうになりますと、全体の間接費を一〇〇と五〇の割合で分ける、これが一つやり方であります。それから直接原価方式と申しますか、労働時間はこれは申上げるまでもなく労力費だけで按分するのと同じであります。これも一つやり方でありますが、この労力費に更に材料費を足しまして、両方足したもので按分するというやり方もあるわけであります。ところがこの業種が同じ場合にはどちらの方法をとりましても、そう狂いは出ないわけであります。艦艇解撤と、船を作る或いは修理する、こういうものは同じところ仕事をいたしますが、実は業種がまるつきり違うわけであります。と申しますのは、たとへて申しますと、家を建てる作業と、家を壊す作業と同じ大工がいたしましても、これは全然業種が違うのであります。具体的に申しますと、造船なり船の改修というものは材料代が相当なウエイトを占めておるわけであります。造船で申しますと、約半分というものは材料代であります。ところ解撤のほうはこれは壊すだけでありますから材料は要らないのであります。そういう業種の違うものを間接費按分いたしますときに労力費だけで、直接労働時間で按分いたしますと、労力費の比率の高い解撤が不当に余計背負つてしまう、こういうことになるわけであります。これは自明の理だと思うのであります。昭和二十一年という御紹介がさつきございましたが、最初解撤を始めますときに、造船工業原価計算要綱によるということを指示したわけであります。この造船工業原価計算要綱によりますと、間接費配賦は直接労働時間でやる、こういうことがきまつておるわけであります。それから造船だけの仕事の場合に一般ごと間接費配賦するというような場合には、今の直接労働時間でやつて少しも不合理は、ないのであります。この解撤造船などに間接費配賦するときに、労力賃だけを基準にして労働時間で行きますと、非常に不合理になる。会計検査院はそれを指摘いたしまして、直接原価主義材料代を加えた直接原価主義で行くのがいいじやないか、こう言つて照会を出したわけであります。そういたしますと、先ほども御紹介されましたように、東京広島大阪この各財務部では検査院の言う通りだというので直したわけであります。ここに掲げました福岡財務部ほか四カ所、これは広島大阪、それにあと関東海運局、それから横浜海上保安本部これでありますが、ここはお直しにならん、同じ政府部内の取扱として或る面は検査院の言う通りに直し、或る面は直さない、こういう結果を来したわけであります。それから先ほど專門員から御紹介がありましたが、これを検査院の言うようにやると昭和二十五年になつて二十一年からやつておる計算を全部やり直さなければならん、こういうような御紹介でしたが、これは何もやり直す必要はないのであります。国が精算をして払う金をその計算でやればいいのであります。会社決算をやり直す必要も全然ありません。それで現に今申上げました東京財務部とか大阪こういうところはやつて直して曲るのであります。それから同じ広島でありますが、広島はこの中で批難されているのが僅かなのでありますが、広島財務部で扱いました大部分のものは御承知のように播磨造船所であります。これは百四十何杯というたくさんの船の解撤をやつたのでありますが、この百四十杯ほどのものについては直しておるのであります。ところが同じ広島財務部で扱いました占部造船の分でありますが、占部造船の分だけ直していない、こういう結果になつておるのであります。同じ案件の取扱いとして政府やり方二つに分れるということは非常に不公平な結果を来しますので、面白くないのではないかと思います。こういうふうに考えておる次第であります。
  10. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、この福岡財務部ほか四カ所というのはどこどこで四カ所になるのか、それからここに出て来ておるところの旧航空母艦ほか四十二隻とは一体何々であるのかということ、それからその関係しておるところ業者はどこどこであるかということ、これを一つ明確にお答えを願いたいということが一つ。それからもう一つ大蔵省財務局はこれに対して是正をしてそうしてこの減額の分だけを再精算するということを当分これは行うべきであろうと思うが、その件については大蔵省はどういう工合考えておるか、この点についてお答え願いたい。
  11. 佐原末一

    説明員佐原末一君) 只今間接費の問題につきましては、森專門員から御説明があつたと同じような状況でございまするが、まあ大蔵省といたしましては当時艦艇解撤処理要領というものを作りますときに、検査院のほうにもいろいろ御意見高いに上つたわけなんですが、そのときにも先ほど小峰局長からお話がありまして、直したらどうだと、こういうような御意見がありましたのでございますが、大蔵省といたしましては先ほど説明のありましたように、最初造船工業原価計算でやれということを大蔵大臣の名におい承認をいたしまして、更に二十一年の五月の当初に遡つてやらせてしまつた、やらせてしまつておりましたものですから、今更最後になつてこれを変更してやらせるということは非常に不合理じやないか、それと同時に先ほど検査院から伺いましたように、計算をやり直さなくてもよろしいのだというようなお話でありますが、大体の解撤をやりました会社というものが造船のほうと解撤のほうと大体一緒にやつておりますので、両部門という関係考えますると、解撤のほうだけを一応元に別に直しまして計算し直すということになりますると、どうしてもその分だけ、減つた分だけが造船部門のほうにかかつて来る、こういうような状況になりまして、結局大蔵省としましては、これは直すということは困難であるから、まあ一応昔大蔵大臣から通牒を出しました趣旨そのままにやつて行くよりほかに途がないのじやないか、こういうふうに考えまして直さずにやつてしまつたわけであります。
  12. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 先ほどカニエさんの御質問、福岡財務部ほか四カ所、それから関係会社、これをちよつと御説明申上げます。福岡財弊部のほかは広島大阪財務部であります。それから関東海運局、それから横浜海上保安本部、これだけであります。この中で全体の大半は福岡財務部になつております。それから関係会社でありますが、福岡財務部の分は佐世保船舶川南工業であります。それから広島財務部のほうは先ほど申上げました占部造艦大阪財務部の分は日立造船関東海運局の分は浦賀ドツクと石川島重工業、横浜海上保安本部の分は浦賀ドツクであります。それから旧航空母艦隼鷹ほか四十二隻でありますが、これは実は直ぐ船の名前を全部申上げるということはちよつといたしかねますが、何でしたら後ほど……。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで、今の検査院の答弁によると、相手方の会社もさほど複雑というほどな数ではない、極めて数社にとどまつておるのじやないか、そういう点から見て、これは一応不当に、やはり国から相当な金額を取つておるということになり得れば、これは当然返して頂くのが当り前であるという考えを持つわけです。それから先ほど大蔵省大蔵大臣通牒を以てやつたんだからもうこれでやつて行くよりしようがないじやないかという、やれないという理由を述べられておるのだが、その前に検査院のほうでは一方においては是正をしてやつておる、現に。他方おいてはこういうような不当なままでやつておる、これは不公平ではないか、こういうことを言つておられる。そういう点から見て、他方はやれるがこれに限つてやれないという理論的根拠が那辺にあるのか、この辺については一つ大蔵省からもう少しやれないということについてはつきりした事情を聞かして頂かないことには、どうも我々として納得が行かないと思うので、もう一度大蔵省からその点について詳しく説明を願いたい。
  14. 佐原末一

    説明員佐原末一君) この関東財務局ほか数カ所において検さ院の言う通りにやつたということにつきましては、一応その財務局としては業者のほうが簡單に納得して、その当時早く金をもらいたいのだが、なかなか話がきまらないで金がもらえない、早くもらいたいというところから簡單に多少の損はよろしうございますけれども、というような調子で承諾してしまつたわけです。それで財務局としてはざつくばらんに申上げますと、検査院の言う通りにやつてしまえば、業者も納得すればそれで一番自分のほうも責任を逃れるし、というような調子からやつてしまつた、こういうことなんです。ところがやらなかつたほうは何かというと、業者もなかなか強硬でもありますし、それに大臣のほうからもこれでやれという最初に命令を出しておいて、更にあとで追加するというのは困る、こういうような状況で、なかなか納得しないわけです。こちらとしては一応最初は全部それではこれでやれというので、造船工業原価計算でやるように指示しておりました。ところがたまたま関東財務局あたりがほかで簡單に早く……その代り金を下さい、こういうようなことで承諾してしまつたものですから、それでやつてしまつた、こういうような状況になつておるわけです。
  15. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それですと、結局はまあ国の方針に対してまじめに聞き入れた人は損をする、頑張つた人は損をしなくてもそれで済む、こういうようなことになる。これは損でなくして、当然その逆に頑張つたものは不当に利益を得る、そうして得べき利益を正直にやつたために得られなかつた、こういう点に不公平な措置があるのではなかろうか。そういうことでは検査院が言つておる通り、全くいわゆる甲と乙との間の不公平というものができ上るわけなんだから、従つてこれに対しては何らかの措置をしなければならないのではないかということ、仮にそれに対してはやはり何とかすべしというような強い要望が本院からなされたという場合においては、一体大蔵省はどういう措置をとるかということ、その点についてもう少しはつきりと、成るほど今あなたが言われた通りざつくばらんに言つて頂いて非常に結構です、その通りであろうとは思います。併しながら結果として、今後我々が国の経理或いは財産処分等に対してこれを見て行く上において、そういうことを仮にわかりつつ過したとするなれば、今後に対するところの影響というものはかなり業者に対して及ぼすところがあるのではなかろうか、こういう点が顧慮されるので、そこで重ねて大蔵省に対してお聞きをしておるわけなんです。その点はどういうことになるのですか。
  16. 佐原末一

    説明員佐原末一君) この点につきましては、これはこの間接費の問題というものは、労働時間法によつたらいいか、それとも更に原価計算原価基準としてやつたほうがいいかということにつきましては、いろいろ異論があるのでございますが、それで大蔵省のほうとしましても、両方でいろいろやつてみたのでございまするが、まちまちでありまして、これで必ずしも片つ方のほうが減るんだ、片つ方のほうが殖えるんだという、まだ結論が出ていないわけです。それで一応この問題につきましても、もう少し検討してみたいと思うのです。
  17. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 併しこれは相当もう日時が過ぎておるのですよ。これはもう相当何年間も経つて曲るのですよ、問題は。それでこれからなおこれをその次に続いて検討するというような、そんな馬鹿げたことは大蔵省としてあるはずがないんだ、我々の考え方からして……そうすれば大蔵省としては、物を売払つて処分したやつに対出して再検討をする。検査院から批難されたものについては……。殆んどその措置については仕事の上においてこれは怠慢ではないかというようにも一応考えられるのですよ、これから検討したいと思うておるというようなことであれば……。併しそれはまあさておいて、実際問題として検討したところでですね、これを検査院が指摘しておるところの一千五百六十三万四千五百七十七円というものが、当然これはこういう措置をやれば減額することができたということを検査院は言つておるのでしよう。だからこの一千五百六十三万円は取返して来るかと、そうしてここで業者から取返して国の財源にこれを振当てて入れて来るという自信があるのかないのか。それがないとすれば、然らば今後そういつたような不均衡が行われたものをどうやつて一体是正して行くのであるかとこういうこと。それで我々は別に大蔵省に対してできないことをやれと要求しておるのではないのであつて、どうするのかと、国会でいつも言われるときだけは、さよう研究いたしますと言うけれども、今度は一年経つと又次の人が代つて、又検討いたしてみますということになれば、何年経つたら一体その是正なり処理ができるかということに勢いならざるを得ないというような今日までの結果であるのに鑑みて、私は大蔵省に対してどうおやりになるのですかと、実際はどうされるのですかと、こういうことなんですよ。
  18. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) ちよつと……只今カニエ委員大蔵省の原説明員との間の質疑応答、その点につきまして森專門員見解を質したいと思います。
  19. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) 私の了解いたしまするところでは、船舶解撤事業請負つておりまする会社にとりましては、そう損益はないことと思うのでありますが、そのわけは、問題が間接費賦課方法ということでありますので、その船会社が何ほどの間接費を使つたかというその金額は、合計額は動かないはずであります。XならXという或る一定の金額を、それを造船部門のほうと、解撤部門のほうと二つにどういう割合で割振るかというだけの問額のように了解いたします。そういたしますると、解撤部門のほうは政府のその割当てられた金額負担するわけでありますし、造船部門のほうは、例えば何々造船会社あたりから船舶修繕などを頼みに来て、そちらのほうの造船の、若しくは船舶修繕費用のほうにそれだけが降りかかるわけでありますので、仮に政府負担がYなちYという金額が減ずるといたしますと、それだけの負担船舶修繕をしてやつたほうにそれだけ増加させなければならないことになるわけであります。解撤をやりました会社としましては、右のほうに払つたところの金を左のほうから取戻すというだけのことでありまして、損益はないはずなのであります。ただ併しその計算を実行しようといたしますと、過去数年間の多数に亙るその伝票や何かを一々調べて計算をし直さなければならない。而も船舶修繕などを請負つたそちらのほうの仕事はすでに完了しておりまして、精算も済んでいる。それをあとになつてから取立てるというようなことは、実はなかなか言うべくして行いにくいというところに問題があるのじやないかと、こういうふうに了解をいたします。若し私の了解が誤つておりますれば、どうぞ関係の方面から御訂正を願いたいと思います。
  20. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の森專門員考えについて、一つ検査院小峰局長から考えがあつたら述べて頂きたい。
  21. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 今の森專門員お話でありますが、新造船なり何なりの値段政府と同じ原価計算によつておるならば今おつしやるようになると思います。と申しますのは、政府原価計算をやりまして、全体の間接費を一〇〇なら一〇〇ある間接費を三〇なら三〇に割当ててそうして金を払う。その三〇が私どもの見るところはそれが二五でいいはずだというのが批難なのであります。ところがその三〇を引きました七〇を果して民間の新造船から回収しているかどうかということはわかりません。というのは入札でやつたり、普通の請負でありますから、七〇取つているのやら六〇しか取つていないのやら、或いは七五に相当する金を儲けているのやらこれはちよつとわからないのであります。そしてこれを仮に検査院の言う通り千五百万円を否認する。政府負担をそれだけ減しても、向うから取れるという性質のものではざざいません。新造船なり何なりの関連部門はそれぞれの契約で値段がきまつておるわけであります。後で政府から間接費を余分に……予想より少ししかもらえなかつたから三百万円くらい契約したお客さんにもう少し金を出してくれ、或いは去年契約したお安さんの値段をもう少し上げてくれ、こういうことが言える性質のものでは私はないと思います。それで政府は幾ら負担するのが合理的か、こういう性質の問題でありまして、これを政府負担分を減したからといつて関連部門からその分を取立てる、こういう性質のものじやないと私は思うのであります。
  22. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私は今の検査院の大体言われたことでいいのではなかろうかという考え方大蔵省に対して質問しているわけなんです。そこでやはり問題は今小峰局長が言われたように、政府負担分片一方は多く渡しておる。片一方は多かつたから是正して削つて、それで向うを承認さしておる。こういうことなんだから、だから承認したところはそれでよいが、承認せずに頑張つたから負担の削減ができないということであれば、今後あらゆる政府機関に対するところ業者が頑張るやつはとにかく通るのだということにつなつたのでは今後困る。だからそれはどうなるのだ。その点はどう考えておるかということを、実際問題として話をして、この千何百万円の負担分を、国費を、国庫負担を軽くするために一応話合いをする意思があるか。勿論これは意思があると言われるでしようが、あつても結果においてそうならにや何にもならんことで、その見通しはどうなのかという二点を聞いておるわけなんです。というのは、御承知のように私がいつも言うように払下を安く払い下げておる。そうして或いは又それによつてのいろいろな不当支出、それから不当な価格による買入れとか、こういうようなものを年々これを搾り出して行くと、今やかましく言つているような、この間この委員会で問題になつておる国家公務員や地方公務員や、或いは教育費だとかいうような、そんな財源をとやかく言う必要はないのですよ。何百億という金が出て来るのですよ、これをうまく搾つて来ますと。今この艦艇解撤の僅か数社に対する問題だけでもここに千五百万円という金がロスがあるのだから、こんなやつが何百何千といつて仔細に検討するとあるのですから、これを集めて搾り出すと、そんなに財源に苦しまなくてもよいという結果になる。そういう見地からも一応大蔵省としてはどう考えているのか。これはむしろ説明員であるあなたにお聞きすることではないかもれかりません。大蔵大臣なら大臣を呼んで、政府は何ぞというと馬鹿の一つ覚えみたいに財源がない、財源がないから国民に対する施設はできないとか言つている。片一方はこういうことはのべつまくなしに年がら年中やつているのではないか、これをどうするのだということを私は言つているので、これはむしろ一事務官僚に言うべきことではない、政府責任者に言うことでありましようけれども、とにもかくにもそういうような見地からして、なおどういう工合考えておるのかということをお聞きしておる。併しながらこれも今大蔵省から言われておるようになお一層これについて研究をし、検討をしてみたいとおつしやるのでありますから、今日の委員会ではこれを一応留保いたしておきまして、次の委員会に是非一つこれを検討ができれば御答弁を願つて何したらいいと、こう思つております。
  23. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちよつと説明を聞いておつて気がついたのですが、今余分に払つてあるとか払つてないとか、この問題にたつておるところのものは、最初方針がこうであつたからあとから直すわけにはいかないのだ、こういうような説明のように私は聞いたのです。そうするとそのほかの是正されたところと、今残つておるところとは最初の出発点は違つてつたのかどうかということですね。最初同じ条件でやらせたものでしたら、結局同じ結論になると思うのですが、ところ最初出発点が違つておれば別ですけれども……。そうすると残されたものが妥当正当な扱い方となれば、是正されたものが不当な扱いを受けたというような結果にも私はなると思うので、その間の経緯を少し違つてつたのか同じだつたのか、御説明願いたい。
  24. 佐原末一

    説明員佐原末一君) これは最初の出発は勿論同じだつたのです。それで途中からいろいろ検査院のほうからも御指摘を受けたり、やかましく言われたものですから、それで一応簡單に承諾したほうだけは直しておいた、こういうような状況になつております。
  25. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると結局弱いものだけが、どう言いますか、あとから条件を変更せられたという結果になるのですね。それで先ほどの答弁の中でもう一度それじや研究しようというようなことも言われておるのですが、それじや研究しようというのは、あとの残ざれた分を取返すような方法をこれから講じる余地があるというお考えですか、どうですか。
  26. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) 私は勿論当時この仕事に携つておりませんために詳しい御説明はできないのでありますが、すでにもう前国会で一応問題が本委員会で討論せられております。今だんだん聞いておりまして、昨年あたりから私があとから勉強いたしまして、想像したところで申上げるのでありますが、艦船解撤の問題は数百隻の船舶をかなり長い期間に亘つて処理して来た。それでいろいろのやり方が行われて来まして、政府が或る種のやり方計算方法で手を染めた後において、会計検査院からそういう方式は適当でないじやないかというお話を受けて参つて検査院お話は誠に一つの経理方法としては合理的であり、又カニエ先生が述べられることも私はよくわかるのでありますけれども、政府が行政的に一つの経理方法で始めて来てしまつておるものですから、途中で検査院のお考えにより合理性を認めて来たものでありますから、より合理性を適用してそれでやり切れるものは政府も更に改善の意向を持つてその方式に乗替えた。従つて或る種のものは会計検査院の言う通り相手がたも承服させ、政府もそれで行つたけれども、あとのものは政府一つの経理方式で以て出発して来たために、今更あとに戻つてやり直すことはこれは実際問題として困難だ、而して両方の方式を比較してみますと、これは無論検査院の御指摘のほうが一つ計算方法原価計算方法としては合理性があるけれども、併し政府が従来やつて来たその方式が全面的にその通りであつて国家財政に非常な損失を與えたということでもないので、一応のその方式としては行政的には適当と思つて政府も善意で出発して参つた、併しそれはあとからより合理的な方法が提示されても、全面的に過去に遡つてそれに乗り切れながつたというところに、そのお叱りの由来があるものと考えます。従いまして、私どもとしては飽くまでも会計検査院の御指摘を参考として今後同種の処理事項については、政府が行政的に考えた経理方式よりも、より科学的である検査院の方式で、同種の問題についてはそれで推し進む、今後行き方を変える。こういうまあ謙虚な考え方で進むより仕方がないのでありまして、最初の方式をここに全部やり直す又やり直さんでも、計算の差額だけを何らかの方法で取戻すということは誠に申訳ないことでありますけれども、今となつては現実に即さないのじやないかという私は気がいたします。私の答弁或いは間違えておりましたら、これは又訂正さして頂くかも知れませんが、一応政府委員としても……。
  27. 小酒井義男

    小酒井義男君 御説明はわかるのです。例えば長期に亙る契約だつたということなのでございますね、その場合にそうすると最初の契約通り、こういろいろな経済的な変動があつても、その変動というものに影響されずに一貫したこの価格によつて行われて来たものであるかどうかということと、そうして検査院意見によつて更改したものとしないものとの差額を、それ以後でもこう同じようなふうでやはりやられて来ておつたのか。途中で更改をしないものに対しては打切るというようなやり方はできない性質のものであつたかどうかということ、この二点なんですが……。
  28. 佐原末一

    説明員佐原末一君) 艦艇の解撤というのは、これは連合軍からの指令によりまして、昭和二十一年の五月頃からもう大体かかつたわけでございます。その後これは予算措置とか何か取ることができませんので、そのまま連合軍の強い要望によつてあとにかく早くやれというようなことでやらして参つてつたのでございまするが、その後二十三年度におきまして、会計検査院なり国会からそれは收支混淆じやないかというような批難をこうむりまして、ようやく予算を立てたのが、二十三年度の終戰処理費で取つたような次第でございます。それからその後又この主管官庁をどこにするかというような問題もありまして、すつたもんだ始まつた結果が結局大蔵省の管財局がこの艦艇解撤をまあ処理するのだ、こういうことになりましたのが二十四年の三月でございます。ようやく二十三年の三月に始まつたばかりなものですから、その後になつて艦艇の解撤処理要領というようなものを作りまして、始めたわけでございまするので、もうすでにそのときには前に大蔵大臣の名におい造船工業原価計算準則でやるということで、すべての会社というものがもうすでにそれでやつてつたわけなのでございます。その後この経理の要領というものを作りますときに、改めてそいつを前から遡つて取消すということは困難である、こういうことになつております。
  29. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の大蔵省の答弁でですね、実際問題としてはまあ尤もだと思われる点はこれは考えられると思うのですよ。併しながらそうだと言つてこれをですね、このまま泣寝入るということでは、これもどうもおかしいじやないか、実際問題としておかしいじやないか。で仮に私はこの場合で、今先ほど会計検査院から言われた相手方の業者ですね、業者の大部分を聞いた感じで眺めて見るのに、この作業をやつたために、相当ないわゆる損をしたとか、そのためにやつて行けなくなつて分散したというようなところちよつと見受けられんのであります。大体はやはりこの作業その他によつて、これによつて相当にやはり利益をしておるというような点から考えて、やはりこういうところから不当に取つておれば返してもらうというのが至当ではなかろうか。こういう点と、それから今言われたように、これは実際問題としては大蔵省のいわゆる行政措置としてそういう工合にしてやつた、併しながらその後まあ会計検査院等から上りよい意見があつたので、それに直して、直つに結果それに応じてくれたところはいいが、応じてくれなかつたところは、実はこの通り泣寝入りして止むを得ないということになると、これによつて生じて来るところの、成ほど今言われるように著しく国家財源に損を與えていないということではあるでありましよう。併しながらこの我々の言うのは著しくという問題ではないのです。実は我々はもう非常に細かいことをいつも言つておるのは、著しいまあ問題になると、大きないわゆる播磨の払下問題とか、八日市の何百億、何百何百千万の払下であるとかまああるが、こういう問題を我々は言うのではなくして、僅かなと言われる一千万或いは二千万のものをやかましく言わなければ到底これは納まりが付かないというような考え方からやかましく実は言つておるのですよ。そういう点からして、仮にこれが止むを得ない、そのままこれはしようがないということにすべてなるとしてだね、結果としてはよりよい行政措置をすれば、国の負担が減少できたものをそれだけの措置が、考えが至らなかつたためにこれだけの軽減を図ることができなんだ。これで行政者としてよいということにこれがなつて来ると、自然勢い国民に対し、国家に対するところの行政の責任というものはもうてんでなくなつちやうのですね、その点は一体どう考えておるか。大蔵省はこういう場合ができたときに、一体これは国会に対して、行政府は一体責任を国民に対してどうとるのだと、こういう場合はその場合公報か官報でも出して事の次第を申上げて、甚だ遺憾でございましたから、今後こういうことは直しますというようなことでもやるのか。それともやはり嚴重なその当時の責任者がこれはぬかつてつたのだということで、適当な処分をするということになるのか。併しながらこの問題は、会計検査院批難をしておるところのすべての問題の中から見れば、さほど強く言うような悪質なものではないのですね、これは誰が見ても悪質なものではない。單なるよりよい行政措置があつたにかかわらず、それができなんだということなんで、それを果して担当者を訓戒処分にするとか、適当ないわゆる処分をやらねばならないというようなものに果して当てはまるか当てはまらないかは別として、私は一つの事例として申上げておるので、そういう見地に立つて十分にお考えを願えれば非常に結構だと、こう思つているのですよ。
  30. 内田常雄

    政府委員(内田常雄君) カニエ委員の御所論誠に御尤もでありまして、私どもは行政的によりよい手段を当初からとり得なかつたということにつきましては、大変申訳ないことと思つております。カニエ先生の御意見国会決算に対する御批判、御意見といたしまして十分傾聽いたし、又かような公開の委員会におきまして国民の批判も受け、又速記等も発表せられるわけでありまして、別に政府が直ちに成る程度拔かつてつたということを政府の名において官報に掲載するような例はございませんけれども、貴重な御意見といたしまして、今後の行政の参考にいたすべきであると信ずるものでございます。
  31. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 別に御発言もなければ、第四百三十二号は終了したものと認めて、第四百三十三号に行きたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議ないと認めます。それでは第四百三十三号を問題に供します。先ず專門員より御説明申を上げます。
  33. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) 四百三十三号につきましては、検査院からの報告が極めて簡單に記されておりまするので、これだけ十ではわかりませんので、もう少し詳しく申上げたいと思います。  只今御配付いたしました書類は、昨年の夏、私が九州のほうへ参りましたときに、福岡財務部から説明のために提出されたその書類をそのまま複写いたしましたものであります。非常に混み入つておるのであります。これを読みながら御説明申上げたいと思いますが、佐世保船舶工業株式会社が、松庫商店と言いまするのは八幡の日鉄の代行店なのであります。従つて松庫と書いてありまするものは、実は日鉄というふうに考えて読んで頂いて然るべきであるかも知れません。その松庫商店との間に昭和二十三年十二月解撤発生鋼材一万トンの売払契約をした、そのときの条件は、大割でトン当り二千円、ほかにもう少し細かく割るための中割の作業費及び積込費、船に積んで送るための積込費としてトン当り千二百七十五円を松庫商店から佐世保船舶のほうへ支払うことになつていたのでありました。そのときの契約書は、このガリ版刷りの第三枚目の裏の契約書の(1)と書いてありまするそれと、四枚目の表の契約書の(2)と書いてあります、それが只今申上げたそれなのであります。その後昭和二十四年二月に更に三千五百トンを前と同じ条件で追加契約をした。それがこれの第四枚目の裏のほうに出ております契約の(3)というのがそれであります。さて昭和二十四年の一月の末に、日鉄に対する最初の船の積出しがなされたのでありますが、佐世保においては大割になつておりましたので、それでは船に積めませんので、船に積むことの可能な程度、即ち約三トンくらいに中割と申しますが、細かく割りまして、それを夏月丸という艦に七百十九トン半だけ積んだのであります。ところがその際積込みに予定以上の日数がかかりまして、三日の発が六日になりましたので、三日分の滞船料というものを特に取られたそれから空トン料と申しますのは、スクラツプでありまして、積込みますると隙間がむやみやたらにたくさんできる、それで本当ならば千三百トン積めるはずのところへ正味七百トンしか積めなかつたものでありますから、隙間かたくさんできる。それに対する空トン料というものを取られるというようなことになつて、大分費用の点で損をしたのであります。それからその船が今度は八幡へ着きましたときに、日鉄の岸壁施設が不十分であつたものですから、これを艇の上へ下しまして、そこで更に小割作業をしなければならないというようなことになりましてこれがために要した費用もかかります。それらを佐世保船舶と松庫商店と双方で負担するこどとなつたのでありまするが、こんな不経済な契約を続けておることでは全く採算が取れないので、昭和二十四年の二月になつて前記二つの契約を改めたのであります。その条件は買入価格小割トン当り二千百円、そのほかに現在までに要した作業費として四百九十二万七千円を松庫商店より佐世保船舶に支払えというふうに改めたのであります。そのときの覚書がこの印刷物の第四枚目の裏のほうに出ております契約書(4)というのであります。これが実は問題の中心のように思われるのであります。そこでちよつと印刷物の一頁ほどを飛ばしまして第二枚目のほうへ移つて申上げたいと思います。これはスクラツプの契約に関する経過の概要であります。昭和二十三年九月中旬商工省の鉄鋼局の事務官が佐世保船舶会社解撤の現場を施察の後、同事務官より二十三年度の第三四半期の製鉄計画の上からスクラツプの需要にする現状の説明があり、スクラツプの出荷に協力されたいという旨の要望があつた。その後商工省でスクラツプの需給調節の上から艦艇解撤の各業者にそれぞれ割当られることになり、佐世保船舶のスクラツプは八幡の日鉄へ割当てられるということになつて十月中旬から佐世保船舶と日鉄との間で交渉を始めた。二十三年十一月二十日商工省の鉄鋼局長から佐世保船舶に対して日鉄宛て一万トンが割当てられ、関係者の間で十二月の初めから具体的な交渉を行なつて、大副のままで売払うことに決定した。日鉄八幡におけるスクラツプが不足して困つておるので、急いで荷物を出す必要があり、二十四年三月末までに一万トンの輸送をするために船舶を利用することになつた佐世保船舶における解撤の現状は大割で、一塊まり十トン程度の大きいものに船を割つたままでありまして、それがドツクの周辺に山のように積まれており、それを船に積込むために更に細かく割らなければならないわけでありますから、スクラツプの輸送の具体的方法について佐世保船舶と松倉商店との間に協議の結果、三月の末までに一万トン出荷するためには舶積みに可能な大きさに切断の上出荷することとして、その切断作業佐世保船舶で行うことになつた。なぜそれを佐世保船舶がこの細かく割る作業を引受けたかというわけは佐世保船舶の施設は大蔵省所管に属し、元佐世保の軍港の跡でありますのでこの地域は准駐軍にも関係があるため他の業者が切断作業をやるとすれば、いろいろな問題を惹き起かも知れないので、それで佐世保船舶が実施したのだということであります。そこで船積みに可能な程度に細かく割つた上で、二十四年の一月三十日夏月丸に七百十九トン半積んで八幡へ送つた。佐世保における船積みの状況は、一月二十三日に入港、三十日に出港、船積時間に六日間を要し、三日間の許容滯船を除いて、三日間だけ超過滞船となつた。それから艦積みの状況については舶に積める分量がり千三百一トンあるにかかわらず七百十九トン半しか積めなぐて、隙間がたくさんできた関係で、空トン料の支払を要する、又八幡に船が着いてからあとの荷揚の状況は、八幡着船後八日と八時間余り滯船しておつたために、その滯船料が佐世保と八幡と両方でそれぞれ十五万六千円及び三十七万四千五百円となり、それに空トン料十四万一千円を加えると、合計六十七万千五百円という予想しない支払が余計に必要になつて来た。なお八幡では佐世保造船所のごとく起重機の設備もなく、荷揚する岩壁もないので、取りあえず海上クレーンを使つて一千トン積の艀に移して、更に艇の中でこれを小割にしました上で荷揚をして貨車に積み込んで輸送をするということになつたので、切断費、海上クレーンの使用料、艇の使用料などが必要になつた。とにかく非常な損失を見た。よつて一月の末から佐世保船舶と松庫商店との間で契約更改の交渉を行い、今後は熔解用スクラツプというのですから、極く悪いスクラツプのみを出荷することをしたのでありますが、第一回の船積みから送つたその夏月丸の経費をどんな工合に両社で負担するか、結論を得るまでに交渉に相当の時間を要した。一月の末までは主として大割のブロツクを船積み可能な大きさ、即ち中割というものに切断をしていたので、引続き入港予定の第二回以後の配船を中止して、全能力を挙げて小割の作業を行い、二月末までに一千トン以上の小割を完了したので、宮川丸という船は三月六日に入港して十五日に出港しておりますが、宮川丸で八百五十六トン半の熔解用のスクラツプを出荷した。宮川丸でもやはり七万九千円の空トン料を払わなければならないこととなり、結局スクラツプを船で輸送するといことは到底できない関係から、事後は汽車で以て輸送することに変更した。三月末までに夏月丸、宮川丸の出荷数量を合計いたしますと、千五百七十六トン、そのほかにまだ船には積めませんが、小割をしたところのものが千百八十九トン、合計二千七百六十五トンを小割にしたのであります。なお、この際B材と申しますか、極く下等なものでありまするが、二百三十五トンだけ副生物ができた。かような経過を辿つておるのであります。それでこの印刷物の五枚目の一番終りの行に善きました通り検査院は、この契約書の第四号というものを見まして、四百九十余万円という金額は二十四年三月までの出来高の二千七百六十五トンに対して、作業費として松庫商店から佐世保船舶に支払うものである。従つて政府から佐世保船舶に支払うところ作業費の中からこれだけを引いて支払うべきものである。そうでないと二重の支払いになる。こういうふうに批難を加えられたのであります。この契約書の第四号というものだけで見ますと、その文面には明らかに現在までに要した作業費四百何万円を支払うということが書いてあるのでありよすから、検査院の言われる言葉がそつくりそのまま当てはまるわけであります。ところ当局におきましては、これはそうじやない、この金額は松庫商店と佐世保船舶との間のプライベートな関係でこういう数字が出ておるのであつて政府としては全然無関係なんだ、即ち政府佐世保船舶との関係が一方におり、又佐世保船舶と松庫商店との関係が一方にあり、双方の間に無関係な数つ字が今ここに出ておるのだと申しまして、そうしてそれでは何故そんな数字が出たのかということを一々計算しまして説明をするのであります。その当局説明というものを順序を立てまして(一)、(二)、(三)とそこへ記しましたのであります。契約書の第4号に作業費という仮の名前を使いまして四百九十余万円と記したのは松庫と佐世保船舶との間のプライベートな関係であつて政府とは無関係である。その事情は別紙の附属計算書の通りである、その別紙附属計算書と申しまするのは、今私が読んでおりまするところよりも元へ一枚ばかり戻りまして、この印刷物の第四枚目の中ほど以後に横書になつているそれなのでありまして、これはり先ず(A)としまして、一万三千五百トンというこれだけのスクラツプの売買契約をした、この契約の更改のときに單価の値上げを百円した、なお作業費として一トン当り四百円を要求することにした従つてその合計金頭は六百七十五万円、これは松庫から佐世保船舶に支払うべきものである、ところがその反対に佐世保船舶から松庫商店のほうへ払わなければならないものがある、言い換えれば松庫商店が立替えているところのものがある、それは先ほど申しましたような滯船料とか空トン料とかいうようないろいろなものでありましてその合計金額が百八十一万三千円である。従つてこれを債権債務をプラス、マイナスしますると、四百九十三万七千円だけ佐世保船舶が受取らなければならないというそういう計算になるから、その金額がここへ現われて来たのである、ただそれを契約妻の上では「作業費」という名前で書いたので、それでつい誤解を與えるような結果にもなつたのかも知れないというのであります。それで続いてこの計算書を申上げまするが、計算書の(2)、二十四年三月までの出来高の二千七百六十五トンに対して、実際佐世保船舶が支出したところ作業費は八百五十七万円余りであります。これは恐らく間違いのない数字であろうと思われます。次(3)、契約の更改により佐世保船舶が松庫商店から一万三千五百トンに対する作業費として受取るべきところ作業費は、そこに書きましたようにトン当り四百円でありまするから五百四十万円である。ところが(4)、松庫が立替えた作業費は先ほど申上げました通り百八十一万三千円である。それで次に(5)と言いまするのは、(3)から(4)を引いた金額でありまして、一万三千五百トンに対する作業費として佐世保船舶が松庫商店から受取つたその金額が三百五十八万七千円である。この金額は一万三千五百トンに対する金額でありまするから、すでに小割作業を行なつてしまつて、その二千七百六十五トンに対する作業費というものは次の(6)に書きました通り一万三千五百トン分の二千七百六十五トンという按分比例で出て来ろのでありまして、六十九万五千円である。それでその次に、(7)、故に福岡財務部佐世保船舶に支払つた作業費というのは、前に(2)のところに書きました数字から(6)のところを引いたところのものでありまするので、七百八十八万三千円を支払つたわけである。こういうわけでありまするから、最後に(8)として書きました通り、結局検査院が言われる(1)のところに出ております四百九十余万円は(6)のところに出ております六十九万円余りと直してもらわなければならないのだ。六十九万円のほうが本当なのだ、こういうふうの説明なのでございます。事情が非常に混雑しております。なかなか容易にわからないので困つておるのでございます。以上でございます。
  34. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 次に会計検査院及び大蔵省当局おいて特に説明を要つするようなことがございましたら、御説明を願います。
  35. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 今の四百三十三号でありますが、なかなかむずかしいということでありますが、実は余りむずかしいとは考えておりません。と申しまのは、ここにいろいろ政府側から出しました資料の御紹介がありましたが、これは本件関係のない分の一万トンの契約であります。それ以外にもう一口四千トンという契約が同じ日に結ばれておるのであります。これは翌年の二月末ということを期限といたしまして非常に急いで運んだものがもう一口あるのであります。これは急いだ関係で船に載せたり何かいたしましたが、その他資料と大分こつちやになつておりますが、これは別にお考え願わんといかんのでありまして、四千トンのほうは甚だ複雑なのであります。急ぎました関係がありますが、一万トンのほうは実はそう複雑ではないのでありまして、翌年の三月末までに出しましたのがこの二千七百六十五トンであります。この二千七百六十五トンというのは笠置という一隻から出た鉄でありまして、そう事態は複雑ではございません。この二千七百六十五トンというもののうち問題の先ほどお話がありました滯船料であるとか空トン料を払わなければならないとか、こういう船で積出しましたものは、この二千七百六十五トンのうち僅か百二十六トンであります。ほかの大部分のものはこれは貨車で運んでおります。先ほどいろいろお話がありまた船で運んだというものは別口の契約の四千トンの部に当るわけであります。これを区別して頂きますと、この案件はちつとも複雑ではないのであります。それを前提としてちよつと御説明申上げます。  この二千七百六十五トンの中割作業と申しますか、艦艇解撤は御承知のように武装解除ということで、軍艦の形をなくしてしまうという作業つたのであります。それで大割作業というのが原則だつたのであります。ほかのものはみんな大きく割りまして、そのままにして売つたり使つたわけでありますが、これは松庫商店の希望によりまして、大きいのでは平炉に入りませんから、又運搬も容易でないとこういう関係で、更に小さく割つてくれ、こういう特別の契約があつたわけであります。これが中割作業であります。これは一般の艦艇解撤以外の作業なのであります。それでこれを二千七百六十五トンを中割するために先ほどちよつと御紹介がありましたが、八百五十七万九千円という作業費をかけたのであります。これに対しまして、佐世保船舶が松庫商店からもらいました金がここにあります四百九十三万七千円であります。これに八百五十七万円という作業費をかけて、それを四百九十三万円で安く売つてしまつた、これが事実なのであります。私どもといたしましてはこういう不経済な作業をやるというのはどうか、この八百五十七万円というものをこれは皆会社負担にすべきじやないかというような強い意見も実はあつたのでありますが、併し艦艇解撤はすべて実費主義というので実際の損をすればそれだけはやはり国で払つてやるのが本当じやないか、こういうのでこの八百五十七万円の作業費は全部呑んだのであります。その代りにそれの見合になる收入である四百九十三万七千円ば会社の懐ろに入れてしまつてはいかん、これは国に入れては相当国が損をするわけでありますが、とにかく実費ということで実際かかつた金は見よう、それに見合になる收入は国庫に入れよというのがこの批難なのであります。  ついでに申上げておきますが、四百三十二号以下の七件に上つております艦艇解撤会計検査院が検査をいたしました結果、この前ちよつと御紹介いたしましたが、一億五千何百万円というものを実は摘出したのであります。この経費につきましては、そのうち当局検査院の言う通りお直しになつたのは一億千九百万円であります。この直した分については全然批難していないのであります。当局が頑張つてお直しにならん分だけをここに挙げたのであります。四百三十二号、四百三十三号もその一つなのであります。事態は先ほど申上げましたように、四百三十三号の事実はそうむずかしいあれではございません。そして検査院先ほど説明で、契約書に書いてあるのをそのままとつて批難したかのような説明と申しますか、契約書だけ読むと誠に検査院通りです、併し実態は違う、こういうふうに政府説明されたようでありますが、契約書に何と書いであるかということはこれは勿論資料として参考にはいたしますが、実際にその契約通りの金が入つていなければ、これは批難にならんのでありまして、その四百九十三万七千円というものは二十四年の四月十八日に佐世保船舶が現実に收納しているわけであります。それで先ほど申し上げましたように、八百何十万円をかけた作業費のあれがその見合の收入である。四百九十三万円という佐世保船舶の收入は国庫に入れるべきだ、そういう批難で私はそう複雑に考えておりません。それで複雑になりましたのは、先ほど申上げましたように、もう一口同じ日の急ぎの契約四千トン、こういうものがありまして、これは大分船で送つているようでありますが、こういうものは一切佐世保船舶と松庫との間で決済されております。この非難では全然それに触れておりません。繰返し申上げますが、この二千七百六十五トンのうち船で運びましたのは僅かに百二十六トンであります。滯船料をまるまる取られたところでこれは六、七万円というくらいでありまして、そういうことはあり得ないのであります。私どもその点では政府説明は少し事実を混同した説明ではないかというように思います。
  36. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 專門員のほうで今の小峰君の説明で大体わかりますか。
  37. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) この資料を検査院のほうに差上げてありますが、検査院から不幸にして只今までその詳しいことの話を伺うことができなかつたのでありますが……。
  38. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の検査院の言われた点と政府との食違いの点について大蔵省からそれでは説明を願います。
  39. 佐原末一

    説明員佐原末一君) 事情につきましては大体森先生からお話がありました通りでありますが、これは検査院の方と食違つておりますというのは、その契約を更改しましたときに、契約更改書に附属書類というのが附いてあるのであります。その附属書類によりますと、明らかに四百九十三万七千円という金額がどこから出て来たかということが謳つてあるわけであります。それによりますと、明らかに一万トン及び三千五百トンの鋼屑一級品の公定価格を幾らくにする、そしてそれから割出して四百九十三万七千円というのが出て来る、例えばこういうことが明らかに計算に載つておるわけであります。それで大蔵省といたしましては、一応四百九十三万七千円というものは一万トン及び三千五百トンに対するところのいわゆる作業費であるのであるから、二千七百六十五トン分だけのものに対しては四百九十三万七千円の作業費にはならないのだ。そうすると、二千七百六十五トン分の作業費というものはどれだけになるかというと六十九万五千四百三十八円三十八銭になるそれだからそれだけの分は松庫から佐世保船舶がもらつたのであるから、その作業費だけを差引いた、こういうことに考えております。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それで検査院のほうは今の説明で一応了解が行くんですか、呑み込めるんですか、その点は。
  41. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) いろいろな御説明がありますが、この四百三十三号の二千七百六十五トンというものは二十四年三月中に先ほど申上げた笠置から発生した数字であります。これに対する代金を四月の十八日に松庫から佐世保船舶に払つているのであります。これは事態は非常に私は簡単だと思うのでありますが、ほかの二月いつぱいに納めるというような急の契約という別口の契約と一緒にしますと、この事態が非常にわからなくなつてしまうのでありまして、私どもはそれを全然切離しまして、当初一万トン、これは後に更改いたしましたが、当時一万トンの契約、これは二十三年の十二月に契約をしまして、実際に全部松庫に渡しましたのは二十四年の九月であります。相当長い期間の契約であります。これに対する二千七百六十五トンというものを三月中に松庫に渡しました。二千七百数十トン、これに見合う代金を四月十八日にSSKH收納しておる。こういう次第でありまして、それは当然に国が解撤作業費として幾らかかつても仕方がないとして負担する代りに、これの見合にとつた代金は差引くべきである。これだけのことでありまして、どうもいろいろむずかしい御説明がありますが、私のほうは筋が至つて簡単なのであります。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、大蔵省のほうへもう一度お尋ねするのですが、今検査院が言われたように一応分けて、そうして分けた形においての説明をしてもらえばなおわかるのではないかね、会計検査院が言つておるように、一緒にせずに分けてこれはこれ、あれはあれ、これはこういう事情だということにしてもらえば……。そういう御説明を願いたい。
  43. 佐原末一

    説明員佐原末一君) 只今の御質問でありまするが、これを分けると申しましても、これは、結局問題はこの契約更改をしたときの附属書類によるわけでございますので、その附属書類によりますると、一万トンと三千五百トンというものは一緒になつておる、ですから分けられないのでございます。やはり一緒にして考えないというと問題が出て来ない。これは一応申上げておきまするか、これは私のほうが最初に検査をやりまする前に、会計検査院のほうで御検査をなさつたわけであります。そのときに直接佐世保船舶のほうへ検査院のほうからおいでになりまして、いろいろ調査されたわけでございまするが、そのときに実はこのあとでわかつたのでございまするけれども、佐世保船舶のほうでこの契約書の更改書類を検査院のほうにお見せするときに、この附属書類だけを除いて本文だけをお見せした、こういうことになつておる。それはどういうわけで除いたのかと申しますと、その当時隠退蔵物資なんとかというもので非常にほかから責められておる。そのときこの附属書類によりますると、一級品の公定価格が二千百円で、これはマル公になつておるわけです。ところが更に四百円の割合で甲から乙に支払うということが書いてあるものですから、マル公違反に問われるのではないかという慮れがあつたために、向うでは一応それを除いてお見せした。こういうような状況になつておりますので、その後私のほうで調査しましたときは、実はこういうものがあるんだ、こういうことで出して来たわけでございます。それで財務局ではそれを元にして一応これは一万三千五百トン分の作業費ではないか、そうすると二千七百六十五トン分の作業費ではないんだからということで一応計算して出した、こういうことになつております。
  44. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 政府のほうは非常に混同が多いようであります。先ほど一万三千五百トンという数字をお挙げになつて、これは一体のもので分けられない、こういう御説明であります。これは御尤もなのであります。最初一万トンという契約を二月に一万三千五百トンと更改しているのであります。これは一本の契約であります。最初私が申上げました一万トンと申上げた契約のことであります。それと別に十二月の二十三日でございましたか、この一万トンの契約をするときの別品がもう一本ある、これは四千トンであります。これは納期を急いでおりまして先に履行した、こういう関係にあるのであります。政府のほうではこの四千トンの口のことを御存じないのかどうかと思うのですが、ここに挙げておる資料で船へ積んだというようなものはこの四千トンの口でありまして、一万三千五百トンの口ではないのであります。先ほどおつしやいました一万三千五百トンというのは私が最初申上げた一万トンの契約のことであります。これはそれ自体が三千五百トン追加になりまして更改されたのであります。それと別に四千トンという口が同日附で納期を急ぐ関係値段も少し高いのでありますが、そういうものが別品にあります。それと混同しておられるように見受けられるのであります。それから検査院の検査のときに書類を見せなかつたとか何とかいうようなお話がありましたが、これも私どもは見せて頂かなかつたのでありますが、そういうものがあるないにかかわらず、私どもは契約書に何と書いてあろうとも、これは單なる一つの資料にすぎない、現実に幾らの金が入つたか、幾らの金を出したか、これが問題なのであります。ここに実際の入金額として挙げました四百九十三万七千円というものは、契約を見ようが見まいが、ともかくも二十四年の四月十八日に会社が取つておる金なのであります。私どもは契約書によつてここへ書いてあるのではございません。附属書類を見せて頂かなかつたのかも知れませんが、そういう点は何ら検査報告の内容と関係のないことであります。以上申上げておきます。
  45. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の検査院からの別口というものと、それから大蔵省の原君が今言われておる別口の話とは、それで違うということがここで明らかになつた。そこで検査院の言つておる別口については一体どういうことなんですか、その点はどうですか。
  46. 佐原末一

    説明員佐原末一君) この四千トンということについて、こちらは存じていないのでございますが、それで今四百九十三万七千円というものは、この附属書類によりますると、先ほどの一万三千五百トン分の問題になつておるわけでございます。これは附属書類を御覧頂けますれば、はつきりするわけでございます。
  47. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、検査院にお聞きするんですが、今大蔵省の原説明員が述べておるような契約書を見てもらえばわかると言つている。そういう点からしてこれはそうだという主張を出しておる。それから検査院では別に四千トンのものがあると、こういうことを言つておられるのですが、その四千トンあるという根拠は一体何によるのか、その説明一つ……。
  48. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) ここに契約書の写しを私持つております。やはり日附は二十三年十二月二十三日、松庫商店と佐世保船舶代表取締役との契約であります。これによりますと、第一条に品名、数量四千トン、單価二千百円、先ほど引合に出ました一万トンというのは單価が二千円であります。百円違うのであります。これにはつきりと一万トンのほうの契約というのは納める期間が書いてありませんが、この今の別品の今申上げました四千トン、これに対しましては第三条で現品の受渡期日は昭和二十四年一月より同年二月末日までとする、こういうわけでこれは非常に急いでいたわけであります。別口のほうはそう急いでない、そうなつていまして、ここにちやんと写しを検査院で持つております。
  49. 小酒井義男

    小酒井義男君 検査院のほうにお尋ねするのですが、別口のとそれからあとで契約した一万トンの口と、これが発送する場合に同じような時期に出ているというようなことになつているのではないのですか。
  50. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 小酒井さんの御質問でありますが、二千七百六十五トンのうち船積と申上げましたが、それは百二十六トンを丁度これと同じ船で運んでおり、別品の大部分のものは、三月に入つてから二千七百六十五トンの大部分は貨車で送つております。それで混同するということは、今も御参考に申上げましたが、別品の四千トンというのはこれは期間まで明示されておりまして、非常に急いでいるわけです。それで大体これが先に出まして、若干両方がダブつたという期間はあつたかと思いますが、問題の二千七百トンのほうは大体これが終つてから大部分のものは出た、こういうふうに了解しております。三月中のものが多かつたようでございます。それから二月末となつておりますが、実際には少し延びたようでございます。こちらでは実は検査の部面でも批難すべきものは何もございませんので、私どもはこれに何も触れておりません。
  51. 小酒井義男

    小酒井義男君 大蔵省のほうで、別口というものはまだ御存じがないというようなことなんですが、全然御存じがないとすれば、やはりそういうものがあるかないか、一つ確かめて頂く必要もあるかと思うのですが、どうですか。
  52. 佐原末一

    説明員佐原末一君) 今まで私どものほうといたしましては、この四千トンということについては別にこれには関係ないように思いましたので、その点については全然存じておりません。一応調べて参ります。ただ、この四百九十三万七千円という金の問題につきましては、ここに契約書もございますが、二十三年の十二月二十三日に一万トンの契約をしております。それから更に二十四年の二月二十八日にやはり三千五百トンの契約をやつております。それで、これを契約更改した覚書というものがありまして、それにははつきり四百九十三万七千円の作業費を支払う、こう書いてありまして、その覚書にこの附属書類がありまして、その附属書類の中に四百九十三万七千円の計算方法が書いてあるわけです。私どもとしましては、一万三千五百トン分、つまり前の一万トンとそれから次の三千五百トンの両方の契約にかかつておるものと、こう考えておるわけであります。
  53. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今までの説明で、会計検査院の主張されておる点と、大蔵省のその答弁との間にはなお大きな食違いがある。そこで大蔵省も今原説明員から言われておるように、なおほかの分についてはここで調べて来ておらんし、資料もないということでありますから、これはいつまでやつてつてもこれ以上に結論を出すことは委員会としてもできないから、これは我々も調査をいたしまして、それで留保をいたしまして先へ進行願いたいと、こう思うのでございます。
  54. 森八三一

    ○森八三一君 カニエ委員の御発言に私も賛成でありまするが、一点伺つておきたいと思いますのは、検査院の御説明は、作業に要した費用は国庫の負担で全額認めたんだと、それが妥当か妥当でないかは別問題にして全額認めたと、だから松庫商店からこの附属書類によつてつた金は国庫の收入にすべきだという御主張のように思いますが、そういうことでございますか。
  55. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 私、先ほど国庫の收入と申上げたのは訂正させて頂きます。八百五十七万とこの松庫から取りました四百何万円を差引いて作業費として認めた、こういうわけでございます。それから非常に不経済な作業になつたわけでございますが、この点はどうも実費を国がみようという原価主義、実費主義で行く以上は、止むを得なかつたんじやないだろうかと考えておるわけであります。
  56. 森八三一

    ○森八三一君 そこで検査院にお伺いしたいのは、八百五十万円というのは二千七百六十五トンに対する実際支出の作業費であると、それから四百九十三万円という額が出て来ておるのは、一万三千五百トンという数が基礎になつて出て来た数字だと、そこに基本的に元のスクラツプの数量が非常に違つておる点はどう見ておられますか。
  57. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 今の点でございますが、この八百五十七万円というのは二千七百六十五トンに対する作業費でございます。それから四百九十三万七千円というのもこれも二千七百六十五トンに対して佐世保船舶が松庫商店からもらつた金であります。一万三千五百トンというものは契約の総額でありまして、これはまだ三月までには二千七百数十トンしか渡つていないのであります。それを九月一杯に片付けるのであります。その四百九十三万七千円は一万三千五百トン全体に対する金額ではございません。二千七百トンに対する金額と双方が見合うわけでございます。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 検査院でも調査のときにこの附属書は一応御覧になつたと思いますが、附属書の計算でありますと、四百九十三万七千円という金は、出て来ておる元が二千七百トンではなくて一万三千五百トンが出発になつておるのが、お話では四百九十三万七千円は一万三千五百トンに関係がなくて二千七百トンに関係しておるのみであるということの御説明にお聞きしましたが……。
  59. 小峯保榮

    説明員小峯保榮君) 附属書の計算では一応そういうふうに現われておるわけでありますが、実際に松庫商店が受取つた現物に対する代金として精算するものであります。又ちよつとお考え願いましても、四月十八日にこの問題の四百九十三万円は全額SSKが取つておるのであります。一万三千五百トンというのは入りもしない鋼材でありまして、入りもしない物に対して半年も前に会社が金を払うということは、これは私はあり得ないことであると思います。飽くまでも四百九十三万七千円は三月に実際に松庫に納めました物に対する見合いの金、こういうふうに考えておるのであります。それが正しいのでありまして、会社が半年も先の物に対して、まだ現物が入るか入らぬかわからない、契約だけはしましたが、果して入るか入らぬかわからんという物を見合いにして四百九十三万円を払うということは考えられない次第であります。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 今の検査院お話は実際の取引上はそうあるべきであることはよく理解できますが、大蔵省では事実スクラツプが納入になつておらん、受渡しが済んでおらんのに松庫商店が一応ここに上げられておる附属書、計算書に基く差額を一万三千五百トンに対して払つたと確認されておりますか。
  61. 佐原末一

    説明員佐原末一君) そうでございます。
  62. 森八三一

    ○森八三一君 若し松庫商店がそういう行動に出ることが当然であるといたしますれば、常識的には当初の契約のときにも同様の行動があつて然るべきではないかと思うのです。ということは更改の契約で百円値上げしておりますね、値上げを……。一番前のときにはそういう行動はとらなくて、値上げした結果のときだけにそういう前払い的な行動がとられておるということは、検査院の御説明のほうが正しいように思うのでございますが、同じ会社であつて、前段の契約のときには前渡金的なことをせずにおいといて、値上したときに前払いが行われたという、会社としては二つに取扱われている、検査院は一万三千五百トンの対象のものではなくて、二千七百トンの対象のものだ、こうおつしやつている。
  63. 佐原末一

    説明員佐原末一君) これは松庫とSSK、佐世保船舶との最初の契約によりまして、一応作業をやつて実行して行つたわけであります。ところ先ほど森先生からの御説明もありましたように、非常な損失を来たして、品物も大きいし、どうにも船にも積めないというところで、契約を更改しなければやりきれないのじやないかというようなことから考えまして、一応松庫と佐世保船舶の間で契約の更改をやつたわけであります。それでそのときに前の契約でやつておりまするならば、そう大した不経済にもならなかつたのじやないかと思いますのですが、それを結局佐世保船舶というのはまあ日鉄関係、そういう方面には非常に資材をもらりているとか何とかありまして、弱い関係にありますので、相当圧力を加えられたというようなことで、非常に自分のほうには不利益であるけれどもまあ止むを得ず契約の更改をしてしまつた。それで最初のマル公の二千百円だけの分に対しましては百円上つたのですから、非常に値上りをしたというようなふうに考えられ得るのでございますけれども、全体から考えると決して値上りにはなつていないのでございます、前の契約から比べますと。それでその補足の意味において余り損失が大きくなるというような意味から多分四百円というものを更に追加で出した、こういうことのように聞いております。
  64. 森八三一

    ○森八三一君 この森專門員の報告の書類はあなたはお持ちになつておりますか。
  65. 佐原末一

    説明員佐原末一君) いいえ、報告書類は持つておりません。
  66. 森八三一

    ○森八三一君 この書類を見ますと、福岡財務部の報告の御説明のでございますが、一万三千五百トンに四百円を掛けて五百四十万円という作業費が基礎になつて計算が出て来ておる。最後に実際支払つた八百五十七万九千余円から二千七百六十五トン分を計算をした六十九万五千円を差引いて七百八十八万三千六百五十三円四十七銭を財務部が支払つたというようになつておりまするが、更改契約によると作業費は五百円になつているので、ここにも一つ食い違いがあるように思いますが。
  67. 佐原末一

    説明員佐原末一君) これは更改契約によつて最初の契約は二千円なんでございます。ところがそれを二千百円に上げ、更にそのあとに追加の分が四百円だ、こういうことになつておりました。それで大蔵省としましては、佐世保船舶に売払つたのは二千百円で売つているわけでございます。それで松庫と佐世保船舶との間の計算は五百円上つたことになりますが、大蔵省佐世保船舶との計算は四百円ということになつております。それで四百円を元にして計算した、こういうことになつております。
  68. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  69. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 速記を始めて  ……。問題の第四百三十三号は会計検査院大蔵省当局からの御説明について了解しにくい点が多々ありますので、これを留保いたしまして、次の機会に更にこれを検討したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) それではさように決定します。  本日はこの程度で散会いたします。    午後三時三十九分散会