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專門員(
森莊三郎君) 四百三十三号につきましては、
検査院からの報告が極めて
簡單に記されておりまするので、これだけ十ではわかりませんので、もう少し詳しく申上げたいと思います。
只今御配付いたしました書類は、昨年の夏、私が九州のほうへ参りましたときに、
福岡の
財務部から
説明のために提出されたその書類をそのまま複写いたしましたものであります。非常に混み入
つておるのであります。これを読みながら御
説明申上げたいと思いますが、
佐世保船舶工業株式
会社が、松庫商店と言いまするのは八幡の日鉄の代行店なのであります。
従つて松庫と書いてありまするものは、実は日鉄というふうに
考えて読んで頂いて然るべきであるかも知れません。その松庫商店との間に
昭和二十三年十二月
解撤発生鋼材一万トンの売払契約をした、そのときの条件は、大割でトン当り二千円、ほかにもう少し細かく割るための中割の
作業費及び積込費、船に積んで送るための積込費としてトン当り千二百七十五円を松庫商店から
佐世保船舶のほうへ支払うことにな
つていたのでありました。そのときの契約書は、この
ガリ版刷りの第三枚目の裏の契約書の(1)と書いてありまするそれと、四枚目の表の契約書の(2)と書いてあります、それが
只今申上げたそれなのであります。その後
昭和二十四年二月に更に三千五百トンを前と同じ条件で追加契約をした。それがこれの第四枚目の裏のほうに出ております契約の(3)というのがそれであります。さて
昭和二十四年の一月の末に、日鉄に対する
最初の船の積出しがなされたのでありますが、佐世保に
おいては大割にな
つておりましたので、それでは船に積めませんので、船に積むことの可能な程度、即ち約三トンくらいに中割と申しますが、細かく割りまして、それを夏月丸という艦に七百十九トン半だけ積んだのであります。
ところがその際積込みに予定以上の日数がかかりまして、三日の発が六日になりましたので、三日分の滞船料というものを特に取られたそれから空トン料と申しますのは、スクラツプでありまして、積込みますると隙間がむやみやたらにたくさんできる、それで本当ならば千三百トン積めるはずの
ところへ正味七百トンしか積めなか
つたものでありますから、隙間かたくさんできる。それに対する空トン料というものを取られるというようなことにな
つて、大分
費用の点で損をしたのであります。それからその船が今度は八幡へ着きましたときに、日鉄の岸壁施設が不十分であ
つたものですから、これを艇の上へ下しまして、そこで更に小割
作業をしなければならないというようなことになりましてこれがために要した
費用もかかります。それらを
佐世保船舶と松庫商店と双方で
負担するこどとな
つたのでありまするが、こんな不経済な契約を続けておることでは全く採算が取れないので、
昭和二十四年の二月にな
つて前記
二つの契約を改めたのであります。その条件は買入価格小割トン当り二千百円、そのほかに現在までに要した
作業費として四百九十二万七千円を松庫商店より
佐世保船舶に支払えというふうに改めたのであります。そのときの覚書がこの印刷物の第四枚目の裏のほうに出ております契約書(4)というのであります。これが実は問題の中心のように思われるのであります。そこで
ちよつと印刷物の一頁ほどを飛ばしまして第二枚目のほうへ移
つて申上げたいと思います。これはスクラツプの契約に関する経過の概要であります。
昭和二十三年九月中旬商工省の鉄鋼局の事務官が
佐世保船舶会社の
解撤の現場を施察の後、同事務官より二十三年度の第三四半期の製鉄計画の上からスクラツプの需要にする現状の
説明があり、スクラツプの出荷に協力されたいという旨の要望があ
つた。その後商工省でスクラツプの需給調節の上から
艦艇解撤の各
業者にそれぞれ割当られることになり、
佐世保船舶のスクラツプは八幡の日鉄へ割当てられるということにな
つて十月中旬から
佐世保船舶と日鉄との間で交渉を始めた。二十三年十一月二十日商工省の鉄鋼局長から
佐世保船舶に対して日鉄宛て一万トンが割当てられ、
関係者の間で十二月の初めから具体的な交渉を行な
つて、大副のままで売払うことに決定した。日鉄八幡におけるスクラツプが不足して困
つておるので、急いで荷物を出す必要があり、二十四年三月末までに一万トンの輸送をするために
船舶を利用することにな
つた。
佐世保船舶における
解撤の現状は大割で、一塊まり十トン程度の大きいものに船を割
つたままでありまして、それがドツクの周辺に山のように積まれており、それを船に積込むために更に細かく割らなければならないわけでありますから、スクラツプの輸送の具体的
方法について
佐世保船舶と松倉商店との間に協議の結果、三月の末までに一万トン出荷するためには舶積みに可能な大きさに切断の上出荷することとして、その切断
作業は
佐世保船舶で行うことにな
つた。なぜそれを
佐世保船舶がこの細かく割る
作業を引受けたかというわけは
佐世保船舶の施設は
大蔵省所管に属し、元佐世保の軍港の跡でありますのでこの地域は准駐軍にも
関係があるため他の
業者が切断
作業をやるとすれば、いろいろな問題を惹き起かも知れないので、それで
佐世保船舶が実施したのだということであります。そこで船積みに可能な程度に細かく割
つた上で、二十四年の一月三十日夏月丸に七百十九トン半積んで八幡へ送
つた。佐世保における船積みの
状況は、一月二十三日に入港、三十日に出港、船積時間に六日間を要し、三日間の許容滯船を除いて、三日間だけ超過滞船とな
つた。それから艦積みの
状況については舶に積める分量がり千三百一トンあるにかかわらず七百十九トン半しか積めなぐて、隙間がたくさんできた
関係で、空トン料の支払を要する、又八幡に船が着いてから
あとの荷揚の
状況は、八幡着船後八日と八時間余り滯船してお
つたために、その滯船料が佐世保と八幡と両方でそれぞれ十五万六千円及び三十七万四千五百円となり、それに空トン料十四万一千円を加えると、合計六十七万千五百円という予想しない支払が余計に必要にな
つて来た。なお八幡では佐世保
造船所のごとく起重機の設備もなく、荷揚する岩壁もないので、取りあえず海上クレーンを使
つて一千トン積の艀に移して、更に艇の中でこれを小割にしました上で荷揚をして貨車に積み込んで輸送をするということにな
つたので、切断費、海上クレーンの使用料、艇の使用料などが必要にな
つた。とにかく非常な損失を見た。よ
つて一月の末から
佐世保船舶と松庫商店との間で契約更改の交渉を行い、今後は熔解用スクラツプというのですから、極く悪いスクラツプのみを出荷することをしたのでありますが、第一回の船積みから送
つたその夏月丸の経費をどんな
工合に両社で
負担するか、結論を得るまでに交渉に相当の時間を要した。一月の末までは主として大割のブロツクを船積み可能な大きさ、即ち中割というものに切断をしていたので、引続き入港予定の第二回以後の配船を中止して、全能力を挙げて小割の
作業を行い、二月末までに一千トン以上の小割を完了したので、宮川丸という船は三月六日に入港して十五日に出港しておりますが、宮川丸で八百五十六トン半の熔解用のスクラツプを出荷した。宮川丸でもやはり七万九千円の空トン料を払わなければならないこととなり、結局スクラツプを船で輸送するといことは到底できない
関係から、事後は汽車で以て輸送することに変更した。三月末までに夏月丸、宮川丸の出荷数量を合計いたしますと、千五百七十六トン、そのほかにまだ船には積めませんが、小割をした
ところのものが千百八十九トン、合計二千七百六十五トンを小割にしたのであります。なお、この際B材と申しますか、極く下等なものでありまするが、二百三十五トンだけ副生物ができた。かような経過を辿
つておるのであります。それでこの印刷物の五枚目の一番終りの行に善きました
通り、
検査院は、この契約書の第四号というものを見まして、四百九十余万円という
金額は二十四年三月までの出来高の二千七百六十五トンに対して、
作業費として松庫商店から
佐世保船舶に支払うものである。
従つて政府から
佐世保船舶に支払う
ところの
作業費の中からこれだけを引いて支払うべきものである。そうでないと二重の支払いになる。こういうふうに
批難を加えられたのであります。この契約書の第四号というものだけで見ますと、その文面には明らかに現在までに要した
作業費四百何万円を支払うということが書いてあるのでありよすから、
検査院の言われる言葉がそつくりそのまま当てはまるわけであります。
ところが
当局におきましては、これはそうじやない、この
金額は松庫商店と
佐世保船舶との間のプライベートな
関係でこういう数字が出ておるのであ
つて、
政府としては全然無
関係なんだ、即ち
政府と
佐世保船舶との
関係が一方におり、又
佐世保船舶と松庫商店との
関係が一方にあり、双方の間に無
関係な数つ字が今ここに出ておるのだと申しまして、そうしてそれでは何故そんな数字が出たのかということを一々
計算しまして
説明をするのであります。その
当局の
説明というものを順序を立てまして(一)、(二)、(三)とそこへ記しましたのであります。契約書の第4号に
作業費という仮の名前を使いまして四百九十余万円と記したのは松庫と
佐世保船舶との間のプライベートな
関係であ
つて、
政府とは無
関係である。その事情は別紙の附属
計算書の
通りである、その別紙附属
計算書と申しまするのは、今私が読んでおりまする
ところよりも元へ一枚ばかり戻りまして、この印刷物の第四枚目の中ほど以後に横書にな
つているそれなのでありまして、これはり先ず(A)としまして、一万三千五百トンというこれだけのスクラツプの売買契約をした、この契約の更改のときに單価の値上げを百円した、なお
作業費として一トン当り四百円を要求することにした
従つてその合計金頭は六百七十五万円、これは松庫から
佐世保船舶に支払うべきものである、
ところがその反対に
佐世保船舶から松庫商店のほうへ払わなければならないものがある、言い換えれば松庫商店が立替えている
ところのものがある、それは
先ほど申しましたような滯船料とか空トン料とかいうようないろいろなものでありましてその合計
金額が百八十一万三千円である。
従つてこれを債権債務をプラス、マイナスしますると、四百九十三万七千円だけ
佐世保船舶が受取らなければならないというそういう
計算になるから、その
金額がここへ現われて来たのである、ただそれを契約妻の上では「
作業費」という名前で書いたので、それでつい誤解を與えるような結果にもな
つたのかも知れないというのであります。それで続いてこの
計算書を申上げまするが、
計算書の(2)、二十四年三月までの出来高の二千七百六十五トンに対して、実際
佐世保船舶が支出した
ところの
作業費は八百五十七万円余りであります。これは恐らく間違いのない数字であろうと思われます。次(3)、契約の更改により
佐世保船舶が松庫商店から一万三千五百トンに対する
作業費として受取るべき
ところの
作業費は、そこに書きましたようにトン当り四百円でありまするから五百四十万円である。
ところが(4)、松庫が立替えた
作業費は
先ほど申上げました
通り百八十一万三千円である。それで次に(5)と言いまするのは、(3)から(4)を引いた
金額でありまして、一万三千五百トンに対する
作業費として
佐世保船舶が松庫商店から受取
つたその
金額が三百五十八万七千円である。この
金額は一万三千五百トンに対する
金額でありまするから、すでに小割
作業を行な
つてしま
つて、その二千七百六十五トンに対する
作業費というものは次の(6)に書きました
通り一万三千五百トン分の二千七百六十五トンという
按分比例で出て来ろのでありまして、六十九万五千円である。それでその次に、(7)、故に
福岡財務部が
佐世保船舶に支払
つた作業費というのは、前に(2)の
ところに書きました数字から(6)の
ところを引いた
ところのものでありまするので、七百八十八万三千円を支払
つたわけである。こういうわけでありまするから、最後に(8)として書きました
通り、結局
検査院が言われる(1)の
ところに出ております四百九十余万円は(6)の
ところに出ております六十九万円余りと直してもらわなければならないのだ。六十九万円のほうが本当なのだ、こういうふうの
説明なのでございます。事情が非常に混雑しております。なかなか容易にわからないので困
つておるのでございます。以上でございます。