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政府委員(
根道廣吉君)
特別調達庁におきますいろいろな
非違事件、ときどき
新聞に現れます。又現れるだけの実際の
関係もございまして、その人つきましては、
特別調達庁長官として
仕事をあずか
つておりまする
責任上誠に遺憾に存じます。又
只今御
質問の、従来は下部ばかりだが、最近のは上のほうにまで及んで来たのではないかという
質問であります。現在
新聞に出ておりまするものといたしまして、
東京調達局の
管財部長、比較的上の者であります。この者に関連しての
非違事件があるわけであります。問題は大体いわゆる
解除物件関係において生じたことだろうと私は考えております、この
解除物件というものにつきましては、事の性質上いろいろの人が出入りをいたします。それをめぐりまして、
特調の
職員の
関係なくして、外部においても
詐欺事件などが発生するというような歎かわしい
状態にな
つております。従いまして我々といたしましては、特にこの
解除物件というものは、丁度蟻の甘いにつくがごとく、
寄つてたか
つていろいろなことがあるので、十分の戒心を加え、特にそのやり方の問題につきましてもいろいろ工夫いたしまして、
嚴格に
嚴格に、そのために
仕事の
処理が遅くなるというようなことがありましたが、それを早くすると同時に
嚴格にというふうに、できるだけ指導して参りましたにもかかわらず、割合に上のほうにおいてそういうような問題が云々せられるのでありまして、誠に遺憾に存じます。事柄の
内容は私といたしましてまだ正確には存じません。脚多少疑惑の点になる
ところがあると、こういうことで現在引続いて調べられております。今後におきましてはそういうような者は勿論のこと、
関係ある者はできるだけ相当なる処分をいたしますると共に、なお嚴重に戒めまして、
特調の今日までや
つて参りましたことからも、折角
骨折つてや
つて来
ただけの
意味を以て
世間の印象に映るようにできるだけ指導して、又若し惡い点があればそれはできるだけ是正するというようにいたして行きたい。こう考えております。
それからもう
一つ、
カニエ委員のいわゆる直接
調達より
間接調達の問題につきまして、若しこれが直接
調達ということに大体において相成るならばどういう
影響を来たすかという御
質問でございますが、私といたしまして今日までの
経験、
見聞等に徴しまして、
間接調達のほうが場合によ
つて又多くの場合でありますが、直接
調達より
却つて日本のために、或いは
日米両国のためにそのほうがいいではないかというふうな感じを強く抱いておるものであります。その大体のわけを申しますと、
何分にも
相手は外国の人であります。こちら側は
事情を異にする
社会経済状態の中で以ていろいろな業を営んでおります
日本の
業者であります。これが又各種の
中小工業者を含んでおる
ところの
相手であります。言葉が自由に通じない点もございます。通じたつもりが、やはりこれが誤解の因になるという場合もあります。又一面
日本の
業者としての足らぬ点もございまして、とかく
仕事を取りさえすればいいということで食いついて行くという結果、
見込み違いを生ずる、善意の
見込み違いを生ずる、或いは
軍側におきまして要求することが
呑込めないために、その後軍の要求が非常に無理な恰好にな
つて来る場合もあります。その場合に
業者等において思わぬ損害を招くどころか、それが
契約の文面上履行されなければならんということにな
つておることを後において発見することが往々にあるのであります。そういうときにその争いを裁決する、裁決する
方法は現在及び将来のことを考えましても、はつきりした途はないのではなかろうかというふうに考えるのであります。併しながらこれが仮に
間接調達といたしまして、その間に或る種のクツシヨン的な存在がある、右に
行つて事情を質し、左に
行つて事情を質して、できるだけ実際に物事を突つめて行くことによ
つて将来の解決し得ざる問題をできるだけ少くして行くという
方法がとられれば、これが非常に結構であると思います。又従来の
状態を考えますと、
軍側におきまして直接
調達のほうが安く上ると
言つておるのであります。最近の
予備作業班等においてお話が出た
ところを漏れ聞きますと、先方の
担当官におきましては、
自分たちが
買つたほうが一〇%、多いときに二五%安く買えるのであり、これを
日本政府に
間接調達をやらせればそうは行かん、
自分たちとしては直接
調達のほうがいいと
言つておるのであります。併し私
どもから考えまして、一〇%乃至二五%安いということは一体どういう
原因であるか、むしろ私
たちはこれを正確に知りまして、若し
日本政府としてそういうことが仮にできる
状態であるならば、我々といたしましても同じく安く買わなければならん、それが国に対する我々の当然の務めであります。これが
業者に無理を強い、損を掛けてまで安くしたということでなければ、私
どもは当然にそうせねばならんものと考えておるのであります。いろいろの場合を考えますと、必ずしも
本当の
意味で安く
買つたと言われない場合もあるのではないかというふうに考えております。
軍側におきまして
普通入札をいたしております。これは
日本政府が全然
関係いたしません
入札でありますが、
入札にいたしましても、
日本政府の場合には
予定価格というものを立てまして、資格ある者の
入札参加を求め、それで
最低入札をとるわけであります。その後に
業者等において失格の事由がなければそのまま
最低入札者に渡すということに相成
つておることは御承知の
通りでありますが、現在まで聞いておりまする
ところによりますと、
軍側において
入札をいたしまするときに必ずしも
最低入札をとらんのであります。
予定価格というものは必ずないのであります。
ただ軍の使うべき
予算というものがあるだけでありまして、その場合に十人の
入札者があるといたしますと、
最低のものをとらないで、何番目かの上のものを適当に選んで、そうしてそれに落すという場合があるわけであります。そのときにその
業者に対しまして、場合によりましては一番
最低のものがここにあるが、
自分たちはこの札と同じくらいの
値段で以て物を納めんかというような
交渉があるそうであります。まあ
仕事を取りたいためにたまたまそれに納得するという場合がないわけでもありません。又更にその場合にいよいよ
契約調印の
段取りになりましてから、これに更に何%か、一〇%か二〇%か引かんかという
交渉がなされるそうであります。その場合にまあいよいよありつけた
仕事であるので、無理でも引受けようというので引受けて行く場合が往々にしてあるのだそうであります。
これは誠に
日本の
業者の罪であるかと存じます。そのようにして引受けた
価格が、
自分の
経営状態にはね返
つていろいろ将来の
過誤を来たす、当面は引受けても、やがて
過誤を来たす。それが労務者の賃金にまで惡
影響を与えるというような問題があるというようなことが今まで言われておるわけであります。又或る
品物につきましては、
会社の
代表等を呼んで
値段を相談する、軍は
予算がこれだけしかない、これで引受けんかという相談が、
会社としては非常にむずかしい、いよいよ最後の
段取りになるような場合におきまして、これをまあ
罐詰と
言つてはおかしいのでありますが、家に帰さずに、何時間もねば
つて、あたかも
労働交渉のごとく談判をするわけであります。
会社からの連絡も取らせず、
会社の
代表ならば何でもここできめられるだろうと
言つてきめさせられる。その結果が相当安い
値段であるというようなことがあ
つたというふうにも聞いておるわけであります。これも断固として拒否すればそれで済むわけであります。
何分にも
会社の業態というものはあらゆる方面に
関係しておるものもありますので、いろいろなことを考えてこれを引受ける、不満ながら引受けるというような場合があ
つたというふうに聞いておるわけであります。それから又
特別調達庁においてそういうような
工合にしてなされたる
品物と同じ
品物を買うという場合におきましては、どうも
勢い高からざるを得ないのであります。特に又そういうようにして買われた
品物が、先ずそういう
値段で軍に引上げられた後において、
特別調達庁がそれに増したる数量を又きめられたる短い期限内に買入れようといたしますると、どうしても
値段が高くなる、こういうような
事情もあるのであります。まあそれはそういういろいろの
事情を合せまして、軍が直接にや
つたほうが安くなる。安くなるということは、
日本の
業者が不当に儲けることを防ぐことならばこれは誠に結構でありますが、必らずしもそうじやない場合があるのではなかろうかと心配しておるわけであります。恐らく今後はそういうことはないのかも知れませんが、
何分にも安く買うということ、それが職務の外国の軍人でありまするので、特に将来とも多少の無理が起りはせんか。これはたとえ占領軍の威力、権力というものを離れてもありはせんかというふうには心配があるわけであります。又先ほ
ども申上げましたように、特に私として非常に心配いたしますのは、如何に
契約自由の原則が存在するものであるといたしましても、その争い、問題が起
つたときの最後の決をとる
方法というものが、
日本の国内法、商慣習等によりまして、
日本の公権において裁きを受ける自由を持たなければ、結局争いことはついに解決ができないで、永久に不満、誤解として残
つてしまう。折角アメリカが
日本にドルを持
つて来て、
日本が円を以て
調達するといたしましても、非常にそれが有難くない結果を生じて、やがて日米間の感情を阻害するような
原因にならねばいいがということを強く感じておる次第であります。以上大体の感じを申述べました。