○
説明員(
小峰保榮君)
終戰処理費の
案件がここで御
審議になるわけでありますが、その個々の案を御
説明する前に、
終戰処理費の全貌というものを
ちよつと簡單に御参考に申上げておくのがいいかと考えます。
終戰処理費は御承知のように日本の財政の上で非常に大きなウエイトを占めておるのであります。二十四年度の支出額は九百七十九億八千四百余万円にな
つております。百三十二億二千六百余万円を二十五年度に繰越しまして、百二十六億四千余万円が不用額にな
つております。ざつと申上げますと、支出額千億とお考えにな
つて大差ないのであります。一般会計の
決算額が御承知のように六千九百九十何億ざつと七千億であります。七千億のうちざつと千億というものが二十四年度は
終戰処理費に
なつた、こういうふうにお考えにな
つていいわけであります。今申上げました九百七十九億、この支出額を検査いたしまして、二十四年度で検査が完了いたしませんで、未確認という取扱いをいたしたものが二十一億余万円であります。これを未確認といたしました事由は、
検査院でいろいろ
質問をいたしました回答が来ない、回答は来ましたが、なお調査を要するというような
関係で未確認にしたのでありますが、二十三年度まではこの検査ができないで未確認するという
案件が実は非常に多か
つたのでありますが、二十四年度は概算払が減りました
関係で、これが二十一億
程度に少なく
なつたわけであります。二十四年度のところの約千億というものの検査に当りましては、特に維持
管理工事、役務、それから物品及び連合国
関係の
使用人の給与と、こういうように重点をおきまして特に丁重な検査をしたわけであります。その結果、この
検査報告事項も今申上げたようなものがたくさんに出ております。
批難事項としてこの
検査報告に掲げましたものは、先ほど
ちよつと
專門員から御紹介がありました
艦艇解撤、これを含めまして五十九件に上
つております。前年度より若干減少しております。今の五十九件を分類して申しますと、工事が二十三件、
物件に関するものが十六件、
艦艇解撤に関するものが七件、それから
不正行為、これは主として労務者の給与をごま化すというようなものでありますが、この
不正行為が七件、それからその他役務などに関するものが六件、こういうことにな
つております。大体それだけ申上げまして、今の三百九十三号以下個々の
案件について御
説明申上げます。
先ずこの三百九十三号でありますが、これは先ほど
專門員からも御紹介がありましたように非常に大きな
批難事項であります。東京都におきまして、間組、それから小川鉄管、これに工事を請負わせまして二億円余り支出して、成増の家族住宅地区の室内保温と給湯等のために蒸気を送る屋外配管、それを又屋外配管を収容しますトンネル工事、これを実施したのであります。二十三年八月に完成したのでありますが、会計実地検査の際調べて見ますと、余り雨水の排水計画がうまくない、粗漏だというために、雨が降ると地表の水がたくさんに溜
つてどんどんとトンネルの中に浸入して来る。又工事の性質がトンネル工事でありますから、どうしても防水工事というものを行わなければいけないのでありますが、これを全く行な
つていない。防水工事はやりようによ
つてはそうえらい手数をかけないで初めやればできるものであります。地下の工事ではこれを行うのが普通なのであります。ところが大きな工事でありながら、まるつきりこれを行な
つていない。それから現場を見ますと、鉄筋が裸かに出ておる。或いはコンクリートの地固めが不十分なために空隙がほうぼうに見える、こういうような施工も非常に惡か
つたのであります。そういうふうに計画も惡いし、施工も惡い。こういう
関係で完成後間もなく、二十四年の一月に更に特別調達庁で一億六千六百万円という大きな経費を投じまして改造工事を実施するの止むなきに至
つた、こういう事案でございます。工事費として大きな
案件であります。それから三百九十四のカーテンの取付工事費の精算が惡い
案件でありますが、それは実は先ほど申上げたように五十九件という
批難事項がありますが、この中で実は私どもの取扱
つたものといたしまして最も質の
惡いもの、こういうふうに考えております。三百九十四、これは特別調達庁で横井産業という
会社に請負わせたやはり成増地区の家族住宅のカーテン取付工事の問題であります。いろいろ窓にカーテンやドレープを取付ける工事で、数に応じて
代金を支払う、こういう
契約だ
つたのであります。いろいろ複雑なのもありますが、簡單に申上げますと、窓の数を二戸建のものを一戸建と同じに扱か
つた。二戸建でありますから、その間には窓がないわけであります。それを別別に建てるのと同じように扱か
つた、これが代表的なものでありまして、ほかにもつといろいろなものがありますが、二戸建、三戸建の場合に一戸建の二倍なり、三倍なりの窓の数が要るとして
代金を払
つた、これがこの中で一番大きな事案にな
つております。
あとから考えますと、どうもおかしいのでありますが、そういうふうにな
つております。実際に
代金を払いました数が三万千八十四であります。実際取付けた数を勘定して見ますと、二万六千二百七しかない。ざつと四千個ばかり余計払
つてしま
つた。こういう
案件にな
つております。それから窓の附属品のレールでありますが、これなどは
契約では真鍮を使え、こういうふうにな
つております。従
つて真鍮に相当する
代金を払
つておるのでありますが、実際に現場を見ますと、鉄製の非常に粗惡なものを
使つておる。これも相当
金額の差がたくさんに出るのであります。それから材料の窓のドレープ、そういうようなものを今の窓の数が違
つておりました
関係で、過剰に渡したというのも批難の
一つにな
つております。この
案件につきましては、当局も横井産業といろいろ折衝されておりますが、相手がなかなかいろいろなことを言
つておりまして、過払額が相当多いのであります。そのうち多分二十万円
程度しか
回収にな
つておらない。こういうふうに承知しております。それから三百九十五号以下の分でございますが、同じような工事に関する
案件でございます。一々申上げるのも如何かと思います。先ほど
專門員から御
指摘がございました
会計検査院の批難と当局との、特別調達庁との意見の食い違
つておる点を簡單に御
説明して行きたいと思います。当局は、
検査院はこの三百九十七号以下のずらつと表に並べました
案件につきまして、実質的には物品納入だ、物品納入だから物品納入に相当する諸経費を見てやればいいのじやないか。それを従来の惰性に引きずられて工事並みの諸経費を見たのはいけない、こういうのであります。これは物品の納入となりますと、ただ物を買
つて納めさえすればよいのであります。間接的な諸経費は非常に支出が少くて済むのであります。工事になりますと、いろいろ企画もしなければいかん、人も雇わなければならん、工事請負になればいろいろ諸雑費が余計かかるのであります。大体二〇%以上の諸経費を見るのが、これは
金額によ
つて違いますが、二〇%前後の諸経費を見るのが普通でありますが、物品納入の場合はそれが五%
程度というのが一般の取扱いであります。ここに掲げました事案は、従来二十三年度までは請負工事として注文が軍から命令が出まして、請負工事に扱か
つてお
つたものであります。二十四年度から軍が経費節約の意味で、従来だと請負工事で出してお
つたけれども、軍が日
本人の労務者を使いまして自分でやり出す、直営でやり出すという
方針に全面的にこれは切替
つたのであります。軍
管理工事と申しまして、非常に細かい工事がいろいろ多いのでありますが、一口にメンテナンスと申しますが、メンテナンスは軍が従来は請負に出しておりましたが、二十四年度から軍が直営でやる、直営と申しましても、これは日
本人の労務者を雇いまして軍が
監督をして行うのであります。それで
本件の場合丁度その切替えの直後であります。それで従来工事請負に出しておりました
関係で、二〇%とか、二二%とかいう諸経費を見ていたのでありますが、このときから直営に変りまして、軍が別に日本側で金を出して雇う労務者を使いまして、そうしてそのものを
使つて工事する、こういう体制に切替
つたのでありまして、当然肝腎な物の購入ということになるわけであります。それを従来のように工事そのものを請負う場合と同じに高率の諸経費を払う必要はないじやないか、こういうのでありますが、それに対しまして、当局は軍の直営に変
つたというが、軍の受入体制が整
つていなか
つた、こういうことを言
つております。受入体制が整
つていなか
つたということは、実は私どもにはよくわからないのでありますが、いろいろこの弁明を見て調べて見ましたが、どうもやはり私どもはこの批難が行過ぎだ
つたとは思
つていないのであります。軍の受入体制と申しますが、軍には
監督者も従来請負時代からおります。それから労務者は従来は別に請負人が調達したわけでありますが、今度は日本側で労務
管理事務所を通じまして雇
つて、そうして提供する、結局請負人は單純な物の納入は従来の惰性がありますから、少しはいろいろなことをするかも知れませんが、原則として切替
つた、そうして体制もそういうふうに
なつた、こういうふうに了解しておるのでありまして、こういうふうに折角経費節減の意味で直営に切替えたのに、なお且つ諸経費だけ二〇%とか、二二%とか工事並の諸経費を払う必要はなか
つたんじやないだろうか、こう思うのであります。それから現に特別調達庁でも、この種の事案につきましては諸経費は五%
程度でよろしいという通牒を二十四年五月に出しておるのであります。何なら通牒の写しを持
つておりますから後ほどお読みしてもよろしうございますが、特別調達庁のこの種の
案件につきましては、決して二十何パーセントというものは出す必要はない、五%でよろしい、こういうような通牒を出しておるような事案でありまして、私どもとしては強く当局が言明されるのは実はわからないのであります。この弁明の中に、先ほど
專門員からも御
指摘がありました二十一年
法律第六十号の検査に基いてこれを払
つた、こういうことを言
つているところもあります。これもこの種のものにつきましては、概算払をするのが普通でありまして、概算払いのときに一八%とか、二〇%という甘い諸経費をや
つてしま
つては、業者はもら
つたら
使つてしまう。このパーセンテージは当然低くな
つておるのでありまして、これは初めから締めて、五%なら五%として
計算すれば、それで済んだはずでありまして、六十号の検査は実績についていたしますから、業者はなかなか二〇%に持
つて行くことはできませんが、それは初めのこちらのやり方が多過ぎた結果そうな
つたのでありまして、初めから締めてやれば、そういうことはないと私は思うのであります。それは六十号の検査によ
つて支払
つたということは何ら私は言訳にはならんのじやないかと、こう考えております。
あと実は非常にたくさんございますが、大体工事
関係の
案件は、先ほど
專門員からもお話がございましたが、余り今のもの以外は当局も
検査院に余り楯をついておりませんので、この
程度にいたします。それから若し御
質問がありましたら、解除
物件の売渡し、これもたくさん
案件がございますので、御
質問によりましてお答えいたします。