運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-03-07 第13回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月七日(金曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————   委員の異動 三月六日委員郡祐一君及び岡田宗司君 辞任につき、その補欠として加藤武徳 君及び小林孝平君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩男 仁藏君    理事            高橋進太郎君            長谷山行毅君            溝淵 春次君            小酒井義男君    委員            秋山俊一郎君            大矢半次郎君            瀧井治三郎君            團  伊能君            伊藤 保平君            高木 正夫君            栗山 良夫君            森崎  隆君            田中  一君            菊田 七平君   政府委員    特別調達庁長    官       根道 廣吉君    特別調達庁業    務部長     池口  凌君    特別調達庁管    理部長     長岡 伊八君    特別調達庁労    務部長     中村 文彦君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君   説明員    大蔵省管財局    国有財産第一    課長      松永  勇君    大蔵省管財局    国有財産第二    課長      牧野 誠一君    会計検査院事    務総局検査第    三局長     小峰 保榮君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十二回国会継  続) ○昭和二十四年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第十二回国会継  続) ○昭和二十四年度政府関係機関収入支  出決算内閣提出)(第十二回国会  継続)   —————————————
  2. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 只今より委員会を開会いたします。  本日御審議願いますのは昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算、このうち大蔵省所管国有財産関係及び終戰処理関係の分、即ち会計検査院批難事項で申上げますと、第三百三十二号から第四百五十一号までであります。そのうち国税庁関係事項はすでに審議終了しておりますから、これを除きまして残余の部分のうち、先ず大蔵省所管国有財産関係、即ち会計検査院批難事項第三百三十二号から第三百九十二号までを一括して議題に供します。これについて專門員が調査いたしました結果を報告いたさせます。
  3. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) 大蔵省国有財産関係部分につきましては、別紙項目別に分類をいたしておきましたから、それを見て頂きたいと思いますが、三百三十二号は、物納財産売渡代金徴収が面白く互いという事件であります。三百三十三号は聖十字学園の問題でありまして、これは小委員会審議をするということが決議になつておりまするから、本日はこれを除いて頂きたいと思います。その次に三百三十四号から三百三十八号までは、国有財産管理が不当であるという事件なのでございます。その次の三百三十九号乃至二百六十号というのは国有地社手境内地にしてある所がありまするが、それらの管理が不当だという例が挙げられているのであります。その次の三百六十一号乃至三百八十六号は、只今委員長から申されました通り国税庁関係のことで審議が済んでおります。次に三百八十七号乃至三百九十二号は職員不正行為。そういうような種類分になるのであります。  それからこの別紙あとのほうに、三百三十二号乃至三百九十二号については特に重要な問題としては記すべきことがないと書いておきましたが、ただ一つだけちよつと附加えて申上げたいと思いまするのは、三百三十二号の問題であります。これは東京と大阪と名古屋の財務部物納財産の売払いを民間会社委託をした。その代金政府自身受取るべきはずであるのに、委託業者受取つたということが第一の誤まり、更に委託業者はその受取金政府に納めないで手許に保留していたということが第二の誤まり、最後に政府がその未納金整理をするに当りまして、速かにその全額を整理していないという不都合があります。即ち二十五年の三月に検査院指摘しましたように、七千万円の金が宙に浮いておつたのに、その検査院の注意を受けて政府整理をいたしましたが、二十五年の八月になおそのうち五千万円余りがまだ整理ができていないというような、こういうような事件なのであります。この事件自体がもうすでに一つの問題でありまするが、これについてすぐ思い起される事件は、その前年度の二十三年度の批難事項の四百四十七号というものがございまして、これは物納財産の売払いを信託会社などに委託をした、それについて手数料をやるべきでありまするが、案外高い手数料信託会社に払つたものでありまするから、極端な場合を申しますと、国有財産をただで政府が手離したのみならず、お金を付けてやつてしまつたといつたふう事件が二十三年度の審議のときにも指摘されておりまして大分ここで問題になつたのであります。それとこれとを併せて考えてみますると、何かそこにこれら民間不動産会社とか、信託会社とかいうような所と大蔵当局との間にすつきりしないようなものがあるのじやないのかというようなことがちよつと気になりまするので、そのことを御参考に申上げたいと思います。それ以外の他の問題につきましては、もうこの国有財産関係では別段特に注意すべき問題はございません。  なお一言附加えて申上げまするが、あと終戰処理費関係の中で艦艇解撤という問題がございますが、その中には大蔵省関係のものがございまするから、大蔵省のものが全部これで終了という意味ではなくて艦艇解撤に関する分だけはちよつとあとへ残るということを附加えて申上げておきます。
  4. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 次に会計検査院の御説明を願います。
  5. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 只今国有財産に関する三百三十二号以下の案件でございますが、專門員から御説明がありました通りでありまして、三百三十三号は特に前年度からこの二十四年度にかけまして、更に二十五年度の検査報告にも関係がございますが、相当長い期間に亘る問題であります。物納財産の売払というものが比較的小ざいものが多いという理由で、民間会社委託いたしまして、その代金が七千万円も入つて来ない、こういう案件であります。これがその後焦付きまして、昨年の十月末現在で二千九百万円ほどまだ焦付いたままになつております。その中には会社外交員が横領したというようなものもございますし、会社が自分のところの経費に使つてしまつたというようなものも、質の惡いものも相当巨額に上つておるわけであります。それが二十四年度で、二十四年度末現在の状況で御報告したのがこの三百三十二号であります。  それから先ほど專門員からお言葉希ございませんでしたが、この三百三十八号、広島財務部の管内の徳山の東洋曹達株式会社に、終戰直後からまあざつと五千万円見当の財産でありますが、これが使われておりまして、これは全然使用貸付というような形に敷理をしていなかつたわけであります。会計検査のときにこれを偶然の機会から見付けまして掲げたのがこの三百二十八号でございます。  それ以外には特に申上げることもございませんが、三百三十九号以下のずらりと並べましたものは、国有境内地目的外使用、こういう案件でございます。
  6. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 次に大蔵当局の御説明を願います。
  7. 松永勇

    説明員松永勇君) 三百三十二号について御説明申上げます。三百三十二号は、只今検査院から御指摘になつた通りでありまして、誠に遺憾に存じております。こういうことがなぜ起きたかということと、これに対して私たちがその後どういう手段を、措置を講じて來たかということについて御説明申上げます。  こういうことが起きました理由は、物納財産というものは非常に小さな、零細なものが多くございまして、それを売払う場合にはおおむね現在居住している人間に売る以外に方法がない。その現在居住している人というのは勤労者が大部分でございまして、非常に買受資力がなくて、これが買受けさせるのにはまあ非常に苦労を要しておるところでございます。で、委託不動産会社とうものを使うようになりましたのも、そういう勤労者が晝間はおおむね働きに出ておりまして、そういう買受の交渉というようなものはおおむね夜にやらなければならないというような事情もございまして、特にそういう專門委託業者というものに依頼しておるわけでございます。依頼いたしておりますのは、買受代金徴収ではございませんで、そのまあ話を付ける仲立ちなのでございますが、ところが当初仲立ちでやつてつたようでございますが、その間勤労者契約が、売払契約ができました後におきましても、契約通りになかなか金が入らない。で、催促いたしますと、今非常に金がないからその一部分としてこれだけでもそれでは受取つてくれということで、契約代金をまるまるはなかなか金が入らない。で、その一部分をまあ民間でよくやる内入金のような一部、分割払いでございますか、そういうような形で金を受取つてくれということで、その金を受取つたのでございます。で、これは従来はそういう一部分の受入ということは国ではやつておりませんでしたので、そういう金をこの不動産会社受取つて、それで預かつて置く、金は会計法規上、全部の金を受取る、こういうことになるものでございますから、その聞不動産会社が一時それを預かつておく、預かつておく場合に、それをあと残り満額なつたときに初めて国に納付をする、こういうことを講じておつたのでございます。その間満額になるまでの一部分の入金は、これは不動産会社銀行に、或いは信託銀行に預金しておくというのが当初の形態のようでございました。ところがだんだんそれがその金を流用するということが出て参りました結果、検査院指摘されたようなことになつたわけでございます。で、私のほうではこういう事実がわかりましたので、こういうことが起ることの根本の問題を処理するに当つては、先ず第一に委託業者に金を受取らせてはならない、これは会計法上当然でございます。委託業者仲立契約だけをするのであつて、金を受取る権限は持つていないのでございますから、直ちにその金を受取るということを厳禁しました。で、委託業者が行う職分は契約の仲介であるということをはつきりさせまして、今までの契約書がその点明瞭を欠くといううらみもございましたので、全部契約書を改めてやりなわしました。その仲立契約ということをはつきりいたさせました。それから代金を受領するのは、国の収入管理か若しくは日本銀行になるわけでございますが、日本銀行のほうは満額になるまで受取りませんので、収入管理をしてその金を受取らせる 一部分の金であつても、その収入管理をして受取らせる、こういう措置を講じまして、所用の地に収入管理を設けるように措置いたしました。もう一つ収納、これは買受人の立場に立つて見ますと、やはり金融事情その他資力関係から、延納制度或いは月賦制度というものを認めてやらなければ、事実上なかなか根本的な解決はできないという面がございますので、月賦延納制度を大幅に認めることにいたしますと共に、従來会計法上は一部分分割納付ということは認めない建前で参つておりましたのを、先ほど申しましたように一部分の金であつても、その金を収入管理をして受取らせるというような措置を講じて参つたのであります。それからもう一つは、受託業者というものの指導監督が重要であるという点から、受託業者監督を嚴にするようにいたして参りました。この結果、只今検査院の御指摘になりました昭和二十五年三月末現在で七千万円の未納金がございましたが、これが二十六年三月に五千四百万円、約五千四百万円にまでこれを回収して参りました。その後、毎月これの回収努力しました結果、二十七年一月二十日現在でございますが、只今この金が二千三百万円、約二千三百万円まで残つておる、こういう現状になつております。これにつきましては、各財務局は全力を挙げて回収努力いたしております。従来この未納金のあつた会社は十七社でございましたが、只今のところでは八社に減つております。残り会社は全部回収が成つております。今後の回収といたしましても、勿論今までの既定方針通り回収して行くのでございますが、特に有効な方法としましては、委託手数料を、国からの未払いの手数料がございますので、その手数料相殺をするというような方法も講じてこれが回収に努めております。
  8. 岩男仁藏

  9. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 御説明申上げます。三百三十四号から三百三十八号までの批難事項の件でございますが、一つ一つ順に申上げたいと思います。三百三十四号につきましては、君津町という町が水道施設大蔵省と正式の手続をしないで使つてつたということは、これは検査院の御指摘通りなんであります。それで我々のほうとしては、この水道施設は町や市に対しては、無償貸付が旧軍用財産貸付及び譲渡特例等に関する法律というものによつてできることになつておりますので、只今正式に無償貸付手続をするということで、近くその手続を了する予定で今進めております。それから三百三十五号、これにつきましては、この物件開拓地域内にございまして、開墾の際に鮫島某その他がこれを掘出したという件でございますが、これもやはり検査院の御指摘通りでございまして、我々のほうは、大蔵省としては本人に対して代金を納入しろということで督促をいたしまして、徴収決定もいたしております。それで再三督促をいたしておりますが、相手方が一向に納入いたしませんので、法務府に取立て方を依頼いたしております。法務局からは本人に対して再三呼出して督促を続けて頂いておりますが、なかなか本人が出頭いたしませんようで、まだ今徴収することに努力中でございますけれども、まだ取立てるというところまで残念ながら至つておりません。それからその次の三百三十六号、高倉工業株式会社、これはここに書いてあります検査院の御指摘通りでございます。宇治製造所の分工場の一部を一時使用を受けでおりまして、それでその間にこの高倉工業株式会社不正搬出をした、そうして処分いたしました。それでこれについては我々いちいち検査院の御指摘のあつた通り処置をしたいと思つておりますが、実は本人指名手配中の犯人で、逮捕されないような状況で、今逃げて歩いておるような状況であります。私のほうは逮捕されましたら至急取立てるという手続を進めたいというふうに思つております。その次に三百三十七号、富士電業所、これも検査院の御指摘通りでございます。それでこの百十二万五千何がしというものを取立てるという方針で我々のほうは進んでおります。それでただここに書いてあります金額は、その物件地面の中になかつた状態地面の上に掘出された状態価格であるというふうに思われますので、これについては発掘の際の費用というものを大蔵省として認定いたしまして、この百十何万円のうち四十七万五千六百八十八円を請求しております。本人分割納入方法で納入したいというふうに申しておりますが、資力がない関係上まだ分割納入も十分に話が付いておりません。これは至急努力をして解決したいというふうに思つております。その次の三百三十八号、これもやはり検査院の御指摘通りでございます。それでその後御指摘のような事情を我々のほうとして改めるために、この東洋曹達株式会社が使い始めてから以降の使用料に相当する金額弁償金といたしまして徴収することにいたしまして、昨年の五月収納を完了いたしました。それで爾今は国有財産台帳に登載し、正式の貸付ということで解決して行きたいというふうに思つております。本件については旧海軍のほうから引継ぎの書類がなく、海軍人たちも句々の間に復員してしまわれたので、我々の財務部のほうとして、こういうものが国有であつたという事案を知らなかつたという点は誠に残念でございますが、只今申上げましたような方法で一応過去の分は解決し、それから将来の分は正式に貸付けて行くということで現在すでにやつております。
  10. 松永勇

    説明員松永勇君) 三百三十九号から三百六十号について簡單に御説明申上げます。  本件検査院指摘通りでございまして、社寺等境内地になつておりますものを、こういう社寺境内地をここに書いてございますように目的外使用を生じたのでございます。御承知のように社寺に対しては国からその境内地無償貸付けておるのでございます。それは社寺がその宗教活動に必要なものとしてその目的に使うことを予定しておるのでございますが、ここにあるような目的外使用になつております。これにつきましては只今社寺等無償貸付けてある国有財産処分に関する法律というものによりまして、社寺が今後も宗教活動に必要があるようなものは社寺譲与するということになつております。その処理が今度終りに近付いております。その境内地処分譲与しましたものにつきましては問題はございませんが、こういう目的外使用を生じておりますものにつきましては、これを譲与しないことにしておる。目的外使用譲与しないことになりました場合には、遡つてこの不当の使用料弁償金として国が収納することにいたして参つております。このうち未だ譲与決定をしてい互いものが四件ございます。それは三百四十一号、三百五十五号、三百五十七号、三百五十八号の四件でございます。これにつきましても、処理は今のようにこれが処分決定した後に措置することになつておりますが、それ以外のものにつきましては、すでに讓与しないことに決定いたしましたものがこの十四件、それからその後こういう目的外使用を取り除ける措置が講ぜられまして、社寺に讓与しましたものが四件となつております。  次に三百八十七号について御説明申します。本件職員である加藤某農地証券物納なつ農地証券を横領して使用した事件でありまして、誠に遺憾に堪えないところでございます。犯人である加藤に対しましては、昭和二十五年四月十一日附で懲戒免官にして、同じく四月十八日に告発しましたが、十一月二十五日に起訴猶予処分がごさいました。損害額につきましては、昭和二十五年六月十日、月賦弁済の和解が成立しまして弁済の方途を講じております。
  11. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) 三百八十八号から三百九十二号について御説明申上げます。この三百八十八号から三百九十二号まで、この五件は会計検査院指摘通りでございます。誠に我々としても残念に存じております。三百八十八号につきましては、物件としては全部一応回収済でございます、それで本人小泉某というものは二十三年の十月に解雇をいたしました。次に三百八十九号につきましては、古川某宇治製造所の看守に当つておりました際に、無断搬出いたしたのであります。その本人は目下服役中でございます。それで無資力のためにまだこの金額回収するというところまで行つておりません。三百九十号、これは岩瀬某外七名が共謀して国有物件を勝手に売却した件でございます。これにつきましては、価格として四十七万八千円何がしか、ここに計上されてございますが、これのうち十三万二千五百円を故買者から返還を受けました。残額がまだ取立が済んでおらんということに相成つております。これについてはこの岩瀬某外七名が全く無資力でございまして、今徴収についてはなかなか現在困難な状況にあります。今後努力したいというふうに思つております。関係者は全部二十四年の九月に解雇いたしました。それから三百九十一号、これは広島某が北海道で海軍航空基地にあつたものを勝手に処分いたしましたのですが、これについては今廣島某は起訴されております。これを只今損害額、これを求償の手続をいたしておりますけれども、まだ解決されておりません。今後この解決について努力いたしたいというふうに思つております。次に三百九十二号、これは近藤某ほか二名が処分いたしました。これは軍から引継ぎを受けた際に、国有財産として台帳記載漏れであつたというために、それをまあ奇貨といたしまして、この人たちが惡いことをしたということになつたと思います。本件については只今公判にかかつております。検察当局目下取調中でございます。それで公判終了次第、我々のほうは処置をとりたいと思つております。まだ金額は従つて回収されておらんということに相成りますが、公判終了次第速かに処置をとりたいというふうに思つております。
  12. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 以上で会計検査院及び大蔵省管財局関係のものは説明が終つたわけでありますが、これより質疑をお願いいたします。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ず三百三十二号の物納財産売渡代金徴収の件についてお尋ねをいたしたいと思いますが、その後回収不能の金を回収することができた二十七年の一月現在では、二千三百万円程度であるという御説明でありましたが、これは全体に減つたというのではなしに、回収でき得る委託業者からは完全な回収ができて、残つているのは回収ができないものが残つておるのだというふうに了解をしてよろしいかということと、委託手数料相殺をするという説明でしたが、委託手数料相殺すれば、そのうちのどれくらいのものが回収し得る見込みがあるかということについてお伺いします。
  14. 松永勇

    説明員松永勇君) 御質問の第一点につきましては、残つたものは比較的回収が困難なものが残つたことは事実でございますが、それにつきましても、たとえて申上げますれば、二十六年の三月に一千四百万円の未回収金がございました。或る不動産会社につきましては、本年の一月二十日には六百万円になつておりまして、これが相当大口のものでございますが、差引き約八百万円ばかりの回収になつております。困難なものにつきましても、相当それぞれこういうように回収図つてはおりますが、なお今後もこういうふうに回収したいと思つております。それから御質問の第二点の委託手数料でどのくらい相殺になるかという点につきましては、委託手数料計算がまだ私のほうにわかつておりませんので正確にはわからないと思いますが、例えて申上げますと、近畿の財務局で或る不動産会社に対しても正確な計算ではございませんが、国から支払うべきものが二百万円程度に上るであろうという推定を下しておりますが、正確ではございませんが、相当程度回収がこれで見込めるというふうに思つております。
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に三百三十九号の社寺国有境内地譲渡関係でありますが、先ほどの御説明では無償譲与又は時価の半額で売払うという方針だという御説明でありますが、そうしますと、それには必ず私は何か條件があると思うのです。譲渡を受けたものが何年間かその目的である宗教活動使用しなければいけないというような條件があるのだろうと思いますが、どういう條件がその場合付されておるかということをお尋ねしたい。
  16. 松永勇

    説明員松永勇君) 社寺譲与或いは半額売払い処分をなすに当りましては、従来特に條件を付けないことを原則として参つております。と申しますのは、これは譲与若しくは半額売払いをするということは社寺宗教活動に必要なものとして審査会にかけて、それを認定して譲与しておるので、社寺としてそういう宗教活動以外に使うことは先ずあるまいという道義的な問題が一つ。それからもう一つは、長年に亘つて国條件を付けてこれを監督するということは、憲法の宗教と政治との分離の趣旨から見ても、今後もそういう監督関係を続けて行くということは適当なことではないということで、原則としてはそういう條件を付けないことにして参つております。併しながら特に目的外、譲与したのちに目的外使用を生ずるでれのあるような場合或いは現に目的外使用をしておつてはいるが、その目的外使用物を撤去することにつきまして、訴訟が係属中であるというようなものにつきまして、近き将来にそういう條件が確定する見込のものにつきましては、例えば先ほどの訴訟の係属中のものは、その訴訟の判決を停止條件としまして、譲与するというような條件を付けて参つたことはございますが、先ほども申しましたように、原則としては條件を付けないことにいたしております。
  17. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、宗教活動使用するということが認定をされれば無條件譲渡をする。それはその後如何ような目的に使われるというようなことについての監督はやられておらないということでございますか。
  18. 松永勇

    説明員松永勇君) さようでございます。
  19. 小酒井義男

    小酒井義男君 大蔵省のほうとして、こうした譲渡物件がその後当初の目的のために使われておるかどうかというようなことを御調査になつたことはありませんか。
  20. 松永勇

    説明員松永勇君) たしか大蔵省の管下にございます財務局財務部只今のところ社寺係がございまして、まだ全国の社寺譲与処分が済んでないものが相当ございますので、そういう係でその事務をやるかたわら、現在の状態では目的外使用を生じているかどうかということをその都度やることにはなつております。
  21. 小酒井義男

    小酒井義男君 若し目的外使用をしておるというような事実が判明した場合には、その讓与を取消されるというようなお考えがありますか、どうか。
  22. 松永勇

    説明員松永勇君) この問題は非常にむずかしい問題でございまして、只今まで私たちのほうで運用して参りましたのは、目的外使用を生ずるに至つた原因が譲与のとき若しくはその以前から生じておる、即ち譲与という行政処分をする前から、それを他に転売する意図があつたかどうかというようなことがあれば、それは瑕疵ある行政処分としてこれを取消すことにいたしております。取消した事例も私の記憶で二、三ございます。併しながらそれがその後における事情の変更、例えばその後の事情によつて社寺の所在する地方公共団体が小学校、中学校の敷地として、どうしてもそれを必要とするようになつたから売つてくれということで売つたというようなことが確認されたような場合には、譲渡の取消のような措置は講じて参つておりません。
  23. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、公共のために使われるような場合は譲渡の取消というようなことはやらないが、それがそうでなしに、事業の目的とか、或いは営利のために使われるというような場合があれば、その譲渡の取消はやる、行うのだと、こういうような大体考え方に分けて了解してよろしうございますか。
  24. 松永勇

    説明員松永勇君) 只今までのところでは、その公共的な目的とか、営利的な目的とかいうことではなしに、その行政行為である処分に瑕疵があつたかなかつたかということで取消すか、取消さないかをきめております。
  25. 小酒井義男

    小酒井義男君 すると、将来もこういう問題について現状のままで取扱つてつていいというお考えですか、何かそういう問題について再検討されるようなお心構えがありますか、どうか。
  26. 松永勇

    説明員松永勇君) 御承知のように宗教法人法でございますか、文部省のほうで出しております。そちらでは今後宗教団体がその財産処分する場合には総代の同意と、それから所属宗派の同意を必要とすることになつております。社寺が本来の宗教活動を行うために必要な財産としてこちらで認定しているのでございますので、そういうことはないというふうに確信したいのでございます。併しながら長年に亘る、今後相当長期間に亘る間の事情の変更ということも予想されますし、又それが一概にいけないということも、事情の変更を考えますれば止むを得ない場合も考えられますので、只今のところではそれを変更しようというような考えを持つておりません。
  27. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから先ほどちよつとお尋ねした三百三十三号に関連してですが、この物納財産の売払いを委託する業者との点で、我々は非常に大蔵省と人的に繋がりのある人が業者に選ばれておるというような噂を聞くのですが、そういうことはあるかないか、一応ここで御説明を願います。
  28. 松永勇

    説明員松永勇君) そういうことはないと考えております。特に現在の委託業者というものは、もうすでに二、三年前にこの業者を指名しましたままでございまして、その後新たに加わつたものは一件か、二件、この一年以内に加わつたのは一件か、二件だつたと思つておりますが、そういうものを選ぶ場合に当りましても、特にそういう資産の状況とか、そういう点を考慮して選ぶことになつておりまして、人的にどうというようなことはないと確信しております。
  29. 小酒井義男

    小酒井義男君 業者が非常に固定しておるという今のお話なんですが、そうしますと、現在この売払代金の未納の業者、つまり焦付きの業者がその後も引続いて委託業者としての仕事をやつておるというところは何件、どのくらいあるのでしようか。それと、そうしたことをやらしておくことが果して妥当であるかどうかということについての一つの見解をお尋ねしたいと思い  ます。
  30. 松永勇

    説明員松永勇君) 先ほど未納になつている委託業者が八件あると申しましたが、八件のうち一件は本店、支店の関係でございますから、実質的には七件ということになつております。七件のうちこういう事故を生じましたので、委託の事務を停止しましたのは三件でございます。残りの四件がまだ委託の事務をやつておることになつております。なつておりますが、これは正式に、もり今後委託指名したものを取扱わせないと正式決定したものが今の三件でございまして、ほかのやつはそこまではやつておりませんが、実際の委託をする場合においては、その会社の実情に沿うて委託の発注を出じておりますので、十分その点は愼重にいたしております。なお御質問の第二点の、今後も続けて行くことがいいかどうかということにつきましては、大体日本のこういう不動産会社で有力な、資力もあり、能力もあるという有力な不動産会社をおおむね指定して参つておりますので、そのほかに新たにそういう不動産会社を探すということもなかなか困難な問題もございますし、もう一つは、今これをストツプさしてしまいますれば、未納になつている金もそのまま入つて来ないという関係もございますので、細々ながらも今後この回収ができるように措置するために、或る程度止むを得ず委託に出しているというのが現状でございます。
  31. 小酒井義男

    小酒井義男君 有力な業者を大体指定しておるとおつしやつておりますが、中に委託を取消した業者が三件くらいある、その取消した業者の未収入金、これはやはり残つておると思うのですが、一方は未収入金を回収するためにも継続して委託業者としての認可をしておる、一方はこの業者としての指定を取消しておるという、その関係はどういうふうで、その取消しと、取消されないという区分をされておるか。
  32. 松永勇

    説明員松永勇君) 取消しましたのは実は小さな会社でございまして、この件につきましては、本人が警察に引張られて行く等のことで、事実上仕事ができなくなつておるものでございます。そういうものにつきまして委託を取消しておるのでございます。
  33. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 他に御質疑はございませんか、他に御発言もないようでありますから……。
  34. 田中一

    ○田中一君 今のに関連しますが、不動産会社との契約はどういう契約でやつておるのか、契約書の写しを出して頂きたいのですが。
  35. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の資料としての写しを御要求になつたのですか。
  36. 田中一

    ○田中一君 そうです。
  37. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでしたら関連して、どういう業者が委託業者になつておるかということの業者の所在地と名称をも一緒に出してもらいたい。
  38. 田中一

    ○田中一君 今お手許になければあとでいいですから……。
  39. 松永勇

    説明員松永勇君) 今の未納になつておる業者でございますか。
  40. 小酒井義男

    小酒井義男君 それをですね、一応当初からの業者と、未納になつておるのと、そうして取消しされておるのも、未収入金がどれだけあるかということ、そうして継続しておるところで未納金のあるところはどれだけあるかという、そうした表を一つ出してもらいたい。
  41. 田中一

    ○田中一君 私のは契約の内容ですが、どういう契約でそういういろいろ手数料とか、何とかいう細かい契約があるでしよう。その案件一つ資料を出して頂きたいと思います。
  42. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) それでは、田中、小酒井両君から資料の提出を要求しております。当局より後日資料を御提出を願います。
  43. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからすでにこの委員会で、例えば、先ほど私からも質疑を行いましたところの国有地社寺等に払下げたというようなものに対する案件が何件ぐらいあつたか、或いはそういう問題があつたかということに対して報告をおとりになつたことがあるかどうか、一つお尋ねしたいと思います。
  44. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) まだこの委員会としてはとつてないと思います。
  45. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、私はやはり資料としてそれも一つ委員会にと一つて頂きたいと思います。
  46. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 只今小酒井君から要求のありました資料も一つ一緒にお出しを願いたいと思います。  他に御発言もないようでありますから、大蔵省国有財産関係のものの質疑は、艦艇解撤に関するものを除き終了したものと認め、終戰処理費関係の部を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議ないと認めます。  先ず、第三百九十三号から第四百三十一号までを一括して議題に供します。森專門員から説明をいたさせます。
  48. 森莊三郎

    專門員森莊三郎君) 終戰処理費に関する問題は、非常に事件が多いのでございまするが、主なものは、特別調達庁の関係でございます。そのうち三百九十三号から四百十五号までが工事に関するもの、それから四百十六号から四百三十一号までが物件に関するもの、こういう工合になつております。その中で、特に重要と考えました問題は、先ず三百九十三号、これは工事が二億円にも上る大きい工事でありまして、而もでき上つてからまだ数カ月しか経たないというときに改造費として一億六千余万円をも要したというような乱暴な工事なのであります。その工事は、設計者が誤まつたことをしておつたのか、若しそうでないとすれば、工事の請負者が誤まつたことをしておつたということになります。然らば、それができ上つたときに引渡しの竣工検査をする者が十分な検査をしておつたのか、どうか。そこにどこかに重大なる責任があるに相違ないと思われるのであります。而もこれだけ重大な事柄でありながら、行政処分としては、ただ厳重注意というだけのことで済んでおるようであります。その工事の状況などについて詳しく御審議を願いたいと思います。続いて三百九十四号でありまするが、これ又そこに書いてありまするように、非常に重大な事件と思いまするが、これが單にその事務担当者が算盤を間違えたとかというような單純な過失から起つたことであるのか、それとも何か犯罪事実が、常識で考えてもそこに犯罪事実がありはしないかというような疑問が起るのでございます。單に金銭の過払いばかりではなくて、官給された物品がそのままになつでおるという点も附加わつておるのであります。なおそのほか多くの問題がございまするが、特に三百九十七号乃至四百四号という、これにつきましては、その要点をここに記して置きましたが、それは軍の維持管理工事でありまして、会計検査院検査報告の第八十頁のところに相当長い文章で詳しく説明がありまするが、かいつまんで申しますると、検査院は、軍の直営工事に対する資材の納入であるから、五%程度手数料でよいはずだという批難であります。それに対して当局からの弁明では、軍の直営だというけれども、当時軍の受入体制が整つていなかつたので、実際は請負工事と殆んど同じであつたから、その請負工事と同様な経費で支払つたのだ、こういうふうに申しておりまするし、殊にその政府の答弁書の中の若干の場合には、昭和二十一年の法律第六十号による検査に基いてこれを決定した。だからして間違いはないというふうに言つておるものがあるのでございまするが、これらについてどうか事情を御聴取の上、検査院側の意見の対立を何とかこの委員会で判定しなければならないという立場にあるのでございます。それにつきまして、ほんの一つの例でありまするが、別紙に第四百一号のものを御参考にと思いまして、印刷をいたして置きました。それはたまたま私が福岡の特別調達庁へ参りまして、そこで聞いた話なのでありまするが、読みますると、長くなりまするから、内容はこの即刷物で御覧を願いたいと思いまするか、福岡の特別調達庁の事件がそこに数件ございます。その中の一つの、熊本におけるキヤンプウツドという所へ熊本の事務所から参りまして、その実情を聞きましたので、そのときの話の大要をそこに御参考に供したわけでございます。先ずそれだけでございます。
  49. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 会計検査院の御説明を願います。
  50. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 終戰処理費案件がここで御審議になるわけでありますが、その個々の案を御説明する前に、終戰処理費の全貌というものをちよつと簡單に御参考に申上げておくのがいいかと考えます。終戰処理費は御承知のように日本の財政の上で非常に大きなウエイトを占めておるのであります。二十四年度の支出額は九百七十九億八千四百余万円になつております。百三十二億二千六百余万円を二十五年度に繰越しまして、百二十六億四千余万円が不用額になつております。ざつと申上げますと、支出額千億とお考えになつて大差ないのであります。一般会計の決算額が御承知のように六千九百九十何億ざつと七千億であります。七千億のうちざつと千億というものが二十四年度は終戰処理費なつた、こういうふうにお考えになつていいわけであります。今申上げました九百七十九億、この支出額を検査いたしまして、二十四年度で検査が完了いたしませんで、未確認という取扱いをいたしたものが二十一億余万円であります。これを未確認といたしました事由は、検査院でいろいろ質問をいたしました回答が来ない、回答は来ましたが、なお調査を要するというような関係で未確認にしたのでありますが、二十三年度まではこの検査ができないで未確認するという案件が実は非常に多かつたのでありますが、二十四年度は概算払が減りました関係で、これが二十一億程度に少なくなつたわけであります。二十四年度のところの約千億というものの検査に当りましては、特に維持管理工事、役務、それから物品及び連合国関係使用人の給与と、こういうように重点をおきまして特に丁重な検査をしたわけであります。その結果、この検査報告事項も今申上げたようなものがたくさんに出ております。批難事項としてこの検査報告に掲げましたものは、先ほどちよつと專門員から御紹介がありました艦艇解撤、これを含めまして五十九件に上つております。前年度より若干減少しております。今の五十九件を分類して申しますと、工事が二十三件、物件に関するものが十六件、艦艇解撤に関するものが七件、それから不正行為、これは主として労務者の給与をごま化すというようなものでありますが、この不正行為が七件、それからその他役務などに関するものが六件、こういうことになつております。大体それだけ申上げまして、今の三百九十三号以下個々の案件について御説明申上げます。  先ずこの三百九十三号でありますが、これは先ほど專門員からも御紹介がありましたように非常に大きな批難事項であります。東京都におきまして、間組、それから小川鉄管、これに工事を請負わせまして二億円余り支出して、成増の家族住宅地区の室内保温と給湯等のために蒸気を送る屋外配管、それを又屋外配管を収容しますトンネル工事、これを実施したのであります。二十三年八月に完成したのでありますが、会計実地検査の際調べて見ますと、余り雨水の排水計画がうまくない、粗漏だというために、雨が降ると地表の水がたくさんに溜つてどんどんとトンネルの中に浸入して来る。又工事の性質がトンネル工事でありますから、どうしても防水工事というものを行わなければいけないのでありますが、これを全く行なつていない。防水工事はやりようによつてはそうえらい手数をかけないで初めやればできるものであります。地下の工事ではこれを行うのが普通なのであります。ところが大きな工事でありながら、まるつきりこれを行なつていない。それから現場を見ますと、鉄筋が裸かに出ておる。或いはコンクリートの地固めが不十分なために空隙がほうぼうに見える、こういうような施工も非常に惡かつたのであります。そういうふうに計画も惡いし、施工も惡い。こういう関係で完成後間もなく、二十四年の一月に更に特別調達庁で一億六千六百万円という大きな経費を投じまして改造工事を実施するの止むなきに至つた、こういう事案でございます。工事費として大きな案件であります。それから三百九十四のカーテンの取付工事費の精算が惡い案件でありますが、それは実は先ほど申上げたように五十九件という批難事項がありますが、この中で実は私どもの取扱つたものといたしまして最も質の惡いもの、こういうふうに考えております。三百九十四、これは特別調達庁で横井産業という会社に請負わせたやはり成増地区の家族住宅のカーテン取付工事の問題であります。いろいろ窓にカーテンやドレープを取付ける工事で、数に応じて代金を支払う、こういう契約つたのであります。いろいろ複雑なのもありますが、簡單に申上げますと、窓の数を二戸建のものを一戸建と同じに扱かつた。二戸建でありますから、その間には窓がないわけであります。それを別別に建てるのと同じように扱かつた、これが代表的なものでありまして、ほかにもつといろいろなものがありますが、二戸建、三戸建の場合に一戸建の二倍なり、三倍なりの窓の数が要るとして代金を払つた、これがこの中で一番大きな事案になつております。あとから考えますと、どうもおかしいのでありますが、そういうふうになつております。実際に代金を払いました数が三万千八十四であります。実際取付けた数を勘定して見ますと、二万六千二百七しかない。ざつと四千個ばかり余計払つてしまつた。こういう案件になつております。それから窓の附属品のレールでありますが、これなどは契約では真鍮を使え、こういうふうになつております。従つて真鍮に相当する代金を払つておるのでありますが、実際に現場を見ますと、鉄製の非常に粗惡なものを使つておる。これも相当金額の差がたくさんに出るのであります。それから材料の窓のドレープ、そういうようなものを今の窓の数が違つておりました関係で、過剰に渡したというのも批難の一つになつております。この案件につきましては、当局も横井産業といろいろ折衝されておりますが、相手がなかなかいろいろなことを言つておりまして、過払額が相当多いのであります。そのうち多分二十万円程度しか回収になつておらない。こういうふうに承知しております。それから三百九十五号以下の分でございますが、同じような工事に関する案件でございます。一々申上げるのも如何かと思います。先ほど專門員から御指摘がございました会計検査院の批難と当局との、特別調達庁との意見の食い違つておる点を簡單に御説明して行きたいと思います。当局は、検査院はこの三百九十七号以下のずらつと表に並べました案件につきまして、実質的には物品納入だ、物品納入だから物品納入に相当する諸経費を見てやればいいのじやないか。それを従来の惰性に引きずられて工事並みの諸経費を見たのはいけない、こういうのであります。これは物品の納入となりますと、ただ物を買つて納めさえすればよいのであります。間接的な諸経費は非常に支出が少くて済むのであります。工事になりますと、いろいろ企画もしなければいかん、人も雇わなければならん、工事請負になればいろいろ諸雑費が余計かかるのであります。大体二〇%以上の諸経費を見るのが、これは金額によつて違いますが、二〇%前後の諸経費を見るのが普通でありますが、物品納入の場合はそれが五%程度というのが一般の取扱いであります。ここに掲げました事案は、従来二十三年度までは請負工事として注文が軍から命令が出まして、請負工事に扱かつてつたものであります。二十四年度から軍が経費節約の意味で、従来だと請負工事で出しておつたけれども、軍が日本人の労務者を使いまして自分でやり出す、直営でやり出すという方針に全面的にこれは切替つたのであります。軍管理工事と申しまして、非常に細かい工事がいろいろ多いのでありますが、一口にメンテナンスと申しますが、メンテナンスは軍が従来は請負に出しておりましたが、二十四年度から軍が直営でやる、直営と申しましても、これは日本人の労務者を雇いまして軍が監督をして行うのであります。それで本件の場合丁度その切替えの直後であります。それで従来工事請負に出しておりました関係で、二〇%とか、二二%とかいう諸経費を見ていたのでありますが、このときから直営に変りまして、軍が別に日本側で金を出して雇う労務者を使いまして、そうしてそのものを使つて工事する、こういう体制に切替つたのでありまして、当然肝腎な物の購入ということになるわけであります。それを従来のように工事そのものを請負う場合と同じに高率の諸経費を払う必要はないじやないか、こういうのでありますが、それに対しまして、当局は軍の直営に変つたというが、軍の受入体制が整つていなかつた、こういうことを言つております。受入体制が整つていなかつたということは、実は私どもにはよくわからないのでありますが、いろいろこの弁明を見て調べて見ましたが、どうもやはり私どもはこの批難が行過ぎだつたとは思つていないのであります。軍の受入体制と申しますが、軍には監督者も従来請負時代からおります。それから労務者は従来は別に請負人が調達したわけでありますが、今度は日本側で労務管理事務所を通じまして雇つて、そうして提供する、結局請負人は單純な物の納入は従来の惰性がありますから、少しはいろいろなことをするかも知れませんが、原則として切替つた、そうして体制もそういうふうになつた、こういうふうに了解しておるのでありまして、こういうふうに折角経費節減の意味で直営に切替えたのに、なお且つ諸経費だけ二〇%とか、二二%とか工事並の諸経費を払う必要はなかつたんじやないだろうか、こう思うのであります。それから現に特別調達庁でも、この種の事案につきましては諸経費は五%程度でよろしいという通牒を二十四年五月に出しておるのであります。何なら通牒の写しを持つておりますから後ほどお読みしてもよろしうございますが、特別調達庁のこの種の案件につきましては、決して二十何パーセントというものは出す必要はない、五%でよろしい、こういうような通牒を出しておるような事案でありまして、私どもとしては強く当局が言明されるのは実はわからないのであります。この弁明の中に、先ほど專門員からも御指摘がありました二十一年法律第六十号の検査に基いてこれを払つた、こういうことを言つているところもあります。これもこの種のものにつきましては、概算払をするのが普通でありまして、概算払いのときに一八%とか、二〇%という甘い諸経費をやつてしまつては、業者はもらつた使つてしまう。このパーセンテージは当然低くなつておるのでありまして、これは初めから締めて、五%なら五%として計算すれば、それで済んだはずでありまして、六十号の検査は実績についていたしますから、業者はなかなか二〇%に持つて行くことはできませんが、それは初めのこちらのやり方が多過ぎた結果そうなつたのでありまして、初めから締めてやれば、そういうことはないと私は思うのであります。それは六十号の検査によつて支払つたということは何ら私は言訳にはならんのじやないかと、こう考えております。あと実は非常にたくさんございますが、大体工事関係案件は、先ほど專門員からもお話がございましたが、余り今のもの以外は当局も検査院に余り楯をついておりませんので、この程度にいたします。それから若し御質問がありましたら、解除物件の売渡し、これもたくさん案件がございますので、御質問によりましてお答えいたします。
  51. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) それでは特別調達庁の根道長官に一つ説明願います。
  52. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 昭和二十四年度の終戰処理事業費等決算のうち、特別調達庁において所掌しておるものについて御説明申上げます。  只今会計検査院から御説明がありました通り、当庁所掌の二十四年度決算批難事項として指摘されました案件は、工事関係二十三件、物件関係十六件、職員不正行為七件、これはそのうち地方庁の分五件を含んでおります。その他六件、合計五十二件に及んでおるようであります。この点誠に遺憾とするところであります。終戰処理事業費等の経理の改善につきましては、従来から鋭意努力を続けて参つたのでありまして、二十三年度の批難事項八十四件に比べますと、件数においては三十二件の減少と相成つております。昭和二十四年度からは御承知の通り財政法並びに会計法が改正されまして、いわゆる支出負担行為及び認証の制度が確立されまして、当庁におきましても、本経費の経理に当つては法令の精神に則りまして、鋭意これが適正な執行に当つてつたのであります。又複雑な軍関係調達の要領に漸く習熟を加えて参りましたこと、他面関係方面における予算並びに支出の統制に関する嚴正な指導を受けましたことなどと相待ちまして、適当なる会計経理の事務処理に更に努力を続けて参つた次第でございます。二十四年度の決算において指摘に相成りました各事項中、今日なお善後処理が終つていない事項がありますが、それらにつきましては、その処置を督励し、これ又完結に努力をいたしておる次第であります。御指摘の各案件につきましては、御質問に応じまして主管の部長等から詳細御説明いたさせたいと思つております。一応概略申上げます。
  53. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) どうですか、管理部長、業務部長から附加えて御説明がありますか。
  54. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 御質問によりまして申上げたいと思います。
  55. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 先ず三百九十三号の批難事項のこの問題について当時の事情を御説明願いたいと思います。
  56. 池口凌

    政府委員(池口凌君) この件は、先ほど專門員及び会計検査院からお話のありました通りでありますが、そのときの事情説明させて頂きます。この成増のこの地区の工事と言いますのは、千三百戸にも余ります我が国では勿論住宅地域としては一番大きい所であります。聞くところによりますと、世界にもこれほど広い住宅地域を一カ所のボイラーで厨用、暖房しておるというような所は殆んど類例がないというふうに聞いておるのでありますが、こういうようなものの設計でありますので、勿論これは米軍側のほうにおきまして設計をされたのであります。併し技術的に非常に困難なものでありますので、その設計が單に惡かつたということばかりではございません。非常に広範囲な平坦な敷地に徹底的な排水計画をして行くことが非常に困難であるようでありまして、そのために部分的には今のトンネルの中にも雨水が入る、建物の中の縁の下のほうにも防水工事が十分できなくて水が溢れて来る、そういうような地勢上止むを得ないところが相当あつたようであります。それからもう一つは、この成増の工事におきましては、LD資材としまして、住宅のために前から購入してあつた資材を全国の倉庫から寄せ集めまして、これを利用したのであります。木材初め媛房の器具に至りますまで、残つておりますその全部をかき集めまして、これに使つたのであります。その一番暖房関係で重要でありますところのトラツプと言いますか、蒸気のトラツプ、そういうものを終戰直後購入いたしました。その当時としましては、日本で作ります高級品であつたと思うのでありますが、材質そのものが余り優秀品でなかつたというようなこともありまして、設計の徹底的な排水計画というようなものの落度、又器具その他にも不十分な点があつたということ、又この地域は広いところでありますけれども、何分にも百社に余るところの工事業者が一時にこの場所に殺到いたしまして、短期間のうちにこれだけの……これは住宅もやりますし、道路もやりますし、このような穴を掘りましたダクトもやる、この工事業者の相乱れての突貫工事のために、本当にいい仕事ができなかつたということも事実でありまして、そのために一年余りいたしましてから、すぐこの一億六千万円にも余るところの改造工事をしなければならんということに相なつたのは大変申訳ない次第であります。ただこの一億六千万円の工事費をここにかけたのでありますが、このために排水工事と、それからトラツプの取替工事とか、それからパイプの傾斜と言いますか、蒸気の関係の、さつき申しましたトラツプのようなものが非常に大事なものでありますから、そういうトラツプを一万五千個ばかり取替えまして、徹底的な改良工事を加えたのであります。このためにその後、こまかい調査のことは今持ち合せませんけれども、石炭の消費量が非常に少くなつたということを聞いておるのでありますが、それにいたしましても、当初の工事が完全でなかつたということは非常に、如何に倉皇のうちにやつたといたしましても申訳ないと思つておる次第であります。
  57. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今の説明で当時の情勢というものがわかりましたが、この工事そのものの欠陷は大体今のあれでは排水計画が惡いというふうな、その他の設計が惡いというふうなことのように受取れたのですが、これは設計者だけが惡いのですか、それとも竣工検査に欠陷があつたのか、それらの点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  58. 池口凌

    政府委員(池口凌君) この施行の惡かつたことにつきましては、監督も不十分であつたろうと思つて非常に申訳ないと思います。コンクリートその他につきましても、十分一々いいコンクリートができてなかつたことが先ほどお話のありましたように、鉄筋が見えているところもあつたというようなところもあるようでありまして、非常に申訳ないと存じます。併しこの根本的なところは、一番大事なところは排水がよくなかつたということであります。相当大雨のときに泥水がトンネルの中に盗れてずつと入つてしまつたのであります。年に何回かそういうことがあり得るわけなんでありますが、日本では非常に雨量が多い、雨量が多いときには洪水のようになるということをよく設計の当初にも説明はいたしておるようでありますけれども、そういう点の、気候の違うものの設計したせいもありまして、雨水がダクトの中に入つて来まして、蒸気パイプ、これは保温装置をいたしますから、その保温してある中に泥水が入る、ふとんが泥水のために濡れたような結果になりまして、非常に保温の能力というものが惡くなつた、これが非常に大きな改造の点でございます。それからさつき申しましたトラツプというものが非常にみんなよくなかつたので殆んど取替えております。これが根本的なものであります。トラツプと言いますのは、媛房のところに付いておるのでありますが、蒸気は行きの場合と帰りの場合とパイプが二つございます。行きのときは蒸気で行く、帰りのときは必らず水で帰つて来る。行くときのパイプの蒸気がだんだん冷えますと水になる、その水は必らず帰さなければならない、そのときに帰りのパイプのほうに切換えてある水がたまりますと、水だけは帰りのトラツプの、パイプのほうに流れるのですが、水がなくなると蒸気が入る。水は通すけれども蒸気は絶対に通さない、こういう機能を持つている  のです。温度の関係でありまして水は多少ぬるいわけでありますが、それなら十分通す、蒸気が入つて来るとびしやつと閉めて、しよつちゆう舌のように出たり入つたりしながら、そういう調節をしている、そういうのが金属の性質に重大な関係があるのでありまして、終戰直後に作りましたものが長い間使つておりますると駄目になつてしまう。この機能が十分でありますと、少々パイプの傾斜が不揃いであつても十分な機能を発揮するのでありますが、そのトラツプが惡いということが非常に大きな原因をなしているように思います。
  59. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 これは最初の工事が二億円で、改造費が一億六千万円というと、殆んどやり直したようなふうに考えられるのですが、最初からこの計画、これだけの金額で計画することは無理があつたのですか。
  60. 池口凌

    政府委員(池口凌君) お答えいたします。一億六千万円も使いましたのは、メイン・パイプだけでありませんで、おのおの技のほうまで全部入つております。対象が同じところだけではございません。もう一つそれから重大なことだと思いますが、当初の二億円の工事につきましては、その当時は材料を官給すると言いますか、大部分、さつき申しましたトラツプのようなものは業者持ちではないのでありまして、調達庁なり、戰災復興院が購入しておりまして、それが全国の倉庫に残つておりましたものを集めたものでありますし、大体その当時は官給するような建前になつておりましたので、当時のものと直接比較にならないかと思いますが、あとのほうは全部その資材代等も入つているのであります。
  61. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 この蒸気を配給している戸数が千三百と言われましたが、面積等はどのくらいあるのですか。
  62. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 正確な数字を持つておりませんが大ざつぱなことを申上げますと、大体家族住宅は一戸当り三十五坪が平均であります。それの敷地は三十万坪くらいあるだろうと思うのです。
  63. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 それであとの改造工事はそれと千三百戸よりももつと広い範囲の改造工事なんですか。
  64. 池口凌

    政府委員(池口凌君) いや千三百戸と、それからそれに附属します学校とか、いろいろなクラブ、いろいろなのがありますが、そういうもの全部に供給する系統のものを全部含んでおります。
  65. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 それから今のこれらの不当な処置であるということで行政処分で厳重注意ということなんですが、誰に対してどういう責任者に対しての厳重注意をこれはされたわけなんですか。
  66. 池口凌

    政府委員(池口凌君) これにつきましては、その当時の直接現場の監督に当つておりました東京都の渉外部の関係のもの四名につきまして、その当時は所管が大蔵省でありますので、そのほうに厳重に注意をして頂くように申入れまして、渉外部長の下におります渉外部の工事課長、成増地区を担当しておりましたところの工事課長そのほか一名につきまして、厳重注意をして頂くように申入れをいたした次第であります。
  67. 田中一

    ○田中一君 官給資材の金額はどのくらいになつておるのですか、この二億の最初の工事は……。
  68. 池口凌

    政府委員(池口凌君) ここに資料を持合わしておりませんから、詳細なことはちよつと今のところ申上げかねます。
  69. 田中一

    ○田中一君 大体の比率くらいわかりませんか、請負と関係した者との比率くらい、その倍くらいあつたのですか、それとも半分くらいですか、五〇%くらいになつておるのですか。
  70. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 資材のほうが或いは多いかと思います。
  71. 田中一

    ○田中一君 それはあとで出して下さい。
  72. 池口凌

    政府委員(池口凌君) はい、承知いたしました。
  73. 田中一

    ○田中一君 二十二年頃の工事として無論先ほど池口君のほうから話があつたように、材料というものが非常に惡かつたということは間違いないことであります、同時にその点は先ずアメリカで設計を……、私はその当時のことを考えますのに、アメリカの進駐軍が相当強くあなたがたにすべてアメリカ式な、例えば日本の漁度なり、日本の雨量なりを考えずにやつたことが多かつたのではないかと考えるのです。無論アメリカはアメリカの持つているところのセメントならセメントの性能を基準にしてものを押し付けた。従つてそのような同じようなことを、トラツブの問題にしても同じようなことを、アメリカはアメリカの現在使つておるような資材の性能を最初に前提として、或いは設計を強いたとか、計画を強いたというような点があつたのではないかと思うのでありますが、その点どうなんですか。
  74. 池口凌

    政府委員(池口凌君) これは非常に実情に適したお言葉を頂きましたのですが、設計その他につきましては、十分当方からも日本の実情、雨量の実情等を申したのでありますが、十分聞き入れられない点がありまして、時間的に非常に制約されまして、この工事のよく我々の仲間で話が出るのでありますが、成増裁判と言いまして、毎日のように定期的に工事の進捗状況を非常に厳格にされたというようなことでありまして、我々のほうも意見は持つておりましたにもかかわらず聞入れられなかつたことも多うございましたし、又時間的にも十分我々のほうにも研究ができなかつた点もあろうと思いますし、その点につきましては非常に残念で申訳ないことだと思つております。
  75. 田中一

    ○田中一君 今伺つているのは、資材、器材その他材料の点については、アメリカ側のほうで今まで自分の本国で使つてつたようなものを基準にして要求したというような点がありはせんかということが一つと、例えばセメントならばセメントの性能というものが、当時の日本のセンメトの性能というものはどのくらいあつたか、アメリカの持つて来るセメントの性能というものはどのくらいあつたか、これは相当な開きがあつたように思うのですが、その点はどうなんですか。
  76. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 今の資材のことにつきましては、特に先ほどから縷縷申上げましたトラツプのようなものはもう全然比較にならないほど惡いのであります。恰好だけは似ておるのであります。竣功したときに検査しましても、一応はそのときは同じような恰好をしておりますから、機能を発揮するのですが、これが何万廻転かしている間に、すぐに言うことをきかなくなる、甘くなつてしまうというような実情でありまして、セメントのことは、セメントはあながち惡くなかつたかと思いますけれども、アメリカでやられますのは非常に水をやかましく言われまして、固練りのコンクリートでなければいけない、固練りにして置いて、これをバイブレーターと言いまして振動を与えて、そうしてやるのだというような規定であります。それから日本ではモルタルを塗るというようなことが常識になつておるのですが、絶対にアメリカでは、今でもそうでありますが、モルタルをあとから手直しに塗るというようなことは絶対に許されないわけでありまして、その点につきましては、セメントそのものはそう惡くなかつたかと思いますけれども、施工方法につきまして相当その当時の事情としては無理があつたように感じております。
  77. 田中一

    ○田中一君 設計はこれはどこがやつたのですか。
  78. 池口凌

    政府委員(池口凌君) これは俗にOCEと言つておりますが、GHQの技術部ということであります。
  79. 田中一

    ○田中一君 あなたがこれに関係していらつしやつて、アメリカがあなたがたにおつつける設計等が、このまま日本の立地條件、この環境において不適当だというような点が多々あつたと思うのですが、そういう点についてアメリカ軍に対して相当強く反対の要求或いは設計変更の要求をしたようなことがありましたか、ないですか。
  80. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今のお尋ねのような事例が多々あつたわけであります。又特にこれは私が特別調達庁に入りましてから、相当期間が経ちまするが、最近におきましては、実際に我々としては日本側の意見を十分に取入れてもらいたいと再々申入をいたしてあります。数年以前にはなかなか言うことを聞いてくれなかつたのであります。併しここ二、三年このかたにおきましては、意見を相当多分に取入れてくれるような傾向に相成りました。又併しながらそうでないことも往々にしてあるわけであります。
  81. 田中一

    ○田中一君 この工事の最初から関係なすつておるかたがおるならば、この設計並びに施工方法について、こういうことは日本では無理だということを向うのほうに注意したということはありましたか、ありませんか、一つこの工事について……。
  82. 池口凌

    政府委員(池口凌君) これは、只今申しました一番代表的なものといたしましては、前の総裁であります阿部さんからは、特にこういう土木工事については專門家でありますので、その当時のOCE、GHQのエンジニア、技術部の総帥でありまするゼネラル・ケーシーというかたがありましたが、非常に親しくしておりました。アメリカの大学でも同じ学校を出られたということでありまして、單に抗議を申込むというようなことでなくして、懇談的に又技術的にも米軍からも尊敬されておりました調達庁の総裁みずからも、この点は懇談的にも話をして頂いております。勿論おのおのの事務当局者等はお互いに意見の言い合いをしておるような実情も相当あるようであります。併しこの点につきましては、この工事が急にされたということと、それから先に申しましたように、殆んどアメリカでも類例のない水平の非常に広い……阿部総裁から直接聞いたところによりますと、こんなに広い所を一カ所の暖房でやるということは絶対にできない。だんだん非常に深くなつてしまう傾向が非常にあるものですから、どうしても深くなつてしまう。そこで非常に困難だということは随分仰せられて、三カ所くらいにせめてボイラーを分散していたしますと、トンネルも浅くなりまして技術的には非常に楽であります。そういうふうなことも申されたということは伺つておりますし、記録にもあるようであります。
  83. 田中一

    ○田中一君 そうすると、この工事についてはアメリカ側では日本の要請、要望と言いますか、そういうものを受入れなかつたということは言えますか。
  84. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 言えます。それから今のお話でありますが、附加えますが、一億六千万円の多額の工事が出るときに、私ども聞いたところによりますと、そのPDを出すという、一億六千万円の修理工事費を出すというときに、この工事については米軍側にも又日本側政府及び請負人の誰の責任ということはないということで、この新らしい改造工事の指令が出たというふうに聞いております。
  85. 田中一

    ○田中一君 私はこの程度の工事が、たとえその規模その他について大きかつたというふうな表現の仕方としても、この程度の工事は日本の技術で以てできないことはないと思うのです。現に今修理と言いますか、改造したところの工事は、やはり媛房が通らないでいるという事実があるならばこれはいざ知らずです。併しながら現在、そうして次の設計も恐らく今あると、アメリカ側としても自分のほうの主張を相当折れて、改造工事にはあなたがたの意思が相当入つて完成したものと、今のお話のあれで以て想像されるのですが、当時あそこには大変な大勢の請負人が入りまして、建築ばかりでない、電気屋、暖房屋、衛生工事屋等が入りまして、まるで戰争のような状態であつたのであります。道路にしても、一本の道路を一遍砂利を敷いてきれいになつた道路を、又媛房屋が来て掘返す、又終えると衛生工事屋が来て掘返すというようなこともあるように聞いております。従つて技術的にはこんな工事は、日本人だけでも何でもなくできる工事だと思うのです。恐らくアメリカの時期的な時間的な制約、それからアメリカが持つているところの資材と日本の資材との食い違い、食い違いというか、性能のいい惡いの問題というような点が、こういう不始末をしたと考えられるのですが、もう一点伺いたいのは、防水工事をセメント防水でやつたのか、或いはアスフアルト防水か、或いは中のただ漏水止めの形で以てモルタル防水ですか、で以てやつたのか、ちよつと伺いたいと思います。
  86. 池口凌

    政府委員(池口凌君) この防水は事前から全然なかつた、計画にもなかつたわけであります。
  87. 田中一

    ○田中一君 これは関係方面の話があつてつたということにしても、あなたがた特調にしても少くも技術に忠実なかたならば、日本の現状でコンクリートが防水なしでできるということは常識として考えられないのですよ。これはそういうことを言われても、技術屋の良心としてそれを默つて見逃すなんということは、これはあなたがた技術屋の大きな失敗です。そういうことは考えられないのです。今後そういうことが日本の……單に防水も何も、セメント工事もモルタル工事もしない、何もしないという形で以て水が滲透しないと考えられてやつたのですか、やらないのですか、どうですか。
  88. 池口凌

    政府委員(池口凌君) この防水等につきまして、どういう折衝をしたということは記録にはございませんので、今何とも申上げかねます。ただ浸水する程度の水は予想いたしまして、それは自然排水その他でポンプ・アツプする計画はできておつたようであります。ただ申しましたのはオーヴアー・フローしてマンホールその他から入つて来た、そういうような水はポンプ・アツプする能力は全然ないし、それで満水してしまつたというような事情であります。浸水程度のものでは、十分相当大きな排水溝を設けておりまして、その点でしたら大きな障害はなかつたのであります。こう考えます。まあ施工の惡い点につきまして、それによつて招いた所につきましては、非常に予想以上の大きな浸水があつたことを考えまして、これは非常に遺憾であると思います。
  89. 田中一

    ○田中一君 会計検査院に伺いますが、会計検査院はあの当時この成増の住宅群と言いますか、この建設当時の事情について、現場について見学というか、視察というか、検査に行つたことはありますか。
  90. 小峰保榮

    政府委員小峰保榮君) 成増の住宅は、先ほど御紹介しました千三百戸であります。これは日本中の進駐軍住宅で一番大きいのであります。それから最後の工事であります。このところは大体一番あとなつたわけでありまして、毎年々々検査に参りまして、詳しく調べております。これも御覧下さいますとわかりますが、実は一年留保したのであります。二十二年六月、八月云云と書いてあります。代金として二億円入つたうちで、二十二年度一億二千二百万円、二十三年度に比較すればできたのでありますが、それを私ども実は非常に大事をとりまして、簡單に書いてあることは簡單でありますが、相当細かく調べまして、今当局者から御説明のありましたアメリカ軍の経緯、こういうようなことも十分承知の上で実は批難したのであります。と申しますのは、この案件は昨年来その設計の惡いという点が非常に強調されておりますが、私どもは実はそうばかりは見ていないのでありまして、みんなが惡いのである、計画、設計勿論惡いのであります。排水は、あそこは御承知思いますが、元の陸軍の飛行場であります。成増の飛行場の跡であります。非常に排水が惡いのであります。排水というようなことを考えないで工事を強行したという点も惡いのであります。ここにもございます通り、先ず第一、防水工事をされた、田中さんお詳しいと思いますが、いろいろな方法がございます。相当丁寧にやれば非常に丁寧な方法がありますが、最も簡單な方法はセメント防水剤を入れるだけでも相当な効果があるわけであります。セメント防水剤のお話があとで出ておりますが、特別調達庁はセメント防水剤をしこたま持つておる。これは余り利かないのでありますが、とにかく相当持つておりますが、これを使うという努力さえしていないのであります。これを仮に使うとすれば、これをあとを見まして、その努力あとは十分に買うのでありますが、一方においてこれをたくさん持つていながら、これを使うという努力さえしていない。これは別にもう買わんでもいいのでありますが、工事のとき使えばいいのでありますが、そういうことも考えていないのであります。計画設計の惡いことは先ほど申上げましたが、工事が非常に粗漏だ、鉄筋が露出して来たり、大きな隙間ができたり、検査のときダクトを見まして、トンネルの中を見たりして、相当丁寧に検査をしておりましたが、結局計画設計が惡い、施工が惡い、検収が惡い、この三つ巴の惡さが重なつてこの結果を来たした、私どもはそう思つておるのです。これはみんな計画設計に重点を置いて、そればかりお考えになることも可能かも知れませんが、私ども検査の結果、計画も惡い、施工も惡い、検収も惡いということで、私はまとめた次第でございます。
  91. 田中一

    ○田中一君 今の会計検査院の御答弁で、材料が惡いということは考えませんでしたか。当時の日本の客観情勢で、戰後一軍乃至二、三年目の日本の材料がこれ以上のものがなかつたかということは考えませんでしたか。そういう点が一つと、それから今お話の防水の点ですね、滲透の水に対してポンプ・アツプしててこれを止められた、オーヴアー・フローしたやつはどうにもならないとおつしやるのですね、工事の鉄筋が出ておるとか、何とかという所から漏水したと、これは会計検査院で調べられておりますか。
  92. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 材料の点でありますが、昭和二十二年頃のことでございますが、これは戰前にありましたような材料が揃つていたとは考えておりません。惡かつたと思います。併しながら方々でやはり土の中の工事なんかもやつておりまして、これは大きいには違いありませんが、それが致命的な欠陷を生ずる、材料が惡いために非常に大きな欠陷を生じたというふうには考えておりません。終戰処理費のものでありますから、相当当時のものとしてはベストのものが入つておるわけであります。それからオーヴアー・フローした水と浸水がありますが、これは両方があるようでありますが、細かく分析はしておりませんが、トンネルの中を実地検査に行きました者が歩くと、ひどい龜裂があつたり、露出していたりというような状況でございます。それから上から入つた水、滲透水、両方に対してのポンプ・アツプの能力と申しますか、そこまでは考えてなかつたろうと思います。浸水というようなことは余り考えて工事のときにしなかつたわけであります。
  93. 田中一

    ○田中一君 併し龜裂とか、鉄筋が露出している所から水が漏水したと、滲透じやないですよ、漏水したという事実が確認されたんですか。
  94. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 漏水と言いますと、土の中からトンネルに入つたと、こういう意味ですか。
  95. 田中一

    ○田中一君 いや、鉄筋が露出しているとか、セメントに隙間が見えておるというところから滲透はありましようけれども、漏水したという事実はありませんか。
  96. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 今申しました間隙の所に水の滲み込んだ跡なんかたくさんあつたようでございます。
  97. 田中一

    ○田中一君 それは滲透したというのですね。漏水というのと滲透というのと大分違いますからね。滲透水と漏水と大分差異があります。あなたの批難事項が漏水ならとんでもない話ですよ。併し今まで防水をしたセメント、コンクリートに滲透したのはもう事実です。これは常識ですよ。これはもうあり得るのです。それは批難事項の不正工事に当らないのです。工事の仕上げの問題ですよ。鉄筋が出ているとか、或いは龜裂があるということは仕上げの問題ですよ。日本の常識としては仕上げの場合ですよ。仮に惡い場合ならば、そういうクラツクが出て来るのですよ。それは漏水したものじやないのです。表面の瑕です。瑕というものはやはりモルタル仕上げして、何というか、とめているのが実情なんです。だから批難事項に大きく掲げてありますけれども、これが不正工事のもとは私は考えられないですよ。それからもう一点設計の面に重点を、責任を持たすか、或いは施工の面に責任を持たせるか、あなたは両方を見てやつたと……無論設計がアメリカ軍ならアメリカ軍を批難することはできないから、どうもしようがない、施工のほうに一つ責任を持つてくれというような形で似て一年間お考えになつて、これはこのままじやいかん、とにかく金が一億何千万あとから出ている、だからこれを批難事項にはさせないということはちよつと困難だという点で以て涙を呑んで批難事項にしたと思うのですが、(笑声)決してこれはそうした面を細かく追及して、アメリカ軍のところに尻を持つて行くことはできないから、止むを得ずこういうことをやつたのじやないかと考えるのですが、それくらいの気持ちで批難事項にとどめたんだと、それとも工事に不正があつて、こんなに鉄筋が露出しておるとか、何か瑕があるとかいうことは、これは不正工事ではないのです。こんなものは常識です。あとでモルタル仕上げしてきれいにしておくんです。ただ設計上漏水しちやあいけないと、こう言われれば、当時の特調の役人でも、東京都の役人でも頭からおどかされてやつているものですから、あの当時は自分はそう思つてものが言えない、恐らくこれはそうだろうと思うのです。会計検査院関係方面と折衝がないから、そうは感じないけれども、現場にいる人は相当ひどいものですよ。こうすればいいと思つてもできなかつたという事実、これはそうすると、計画設計が惡いということになりますね。従つて無論関係方面にこちらから抗議するような良心的な技術者が日本にいなかつたということは甚だ不幸でしたけれども、併し実際に防水をしないでもいいなんという工事は、コンクリートは考えられないですよ、日本の住宅で……。これはやはり設計と当時の環境でそうしたものは止むを得ずこれをやつて批難事項を受けたという点で、さつきのお叱りの程度は結構だと思います。会計検査院としては、この問題については一応そうしたことでやつたのですか、それともうんと惡いということで批難したか、どつちですか。
  98. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 田中さんの御質問は非常にむずかしいのでございますが、これは御推察に任せたいと、こう申上げるほかないと思います。併しこの案件を全部取上げましたが、この次の三百九十四のカーテンとか、何とかとは全然違うのであります。スケールは非常に大きいのでありますが、一体日本側の、こちらをずつと読んで参りますと、日本側の惡い面が一体何によるかを書いてある面から突き詰めて参りますと、むしろこれはあまり申上げないほうがいいと思います。御推察に任せます。
  99. 田中一

    ○田中一君 私はもう恐らく会計検査院も親心を持つて批難したと思いますから、この問題はこれくらいにして……。
  100. 小酒井義男

    小酒井義男君 この問題はほかにないのですね。次の三百九十四号、これが例のカーテンの問題ですね。これは請負わせる場合に大体何カ所窓があつて、面積がどれだけで、材料はどういうものを使つてやるのだというようなことが無論見積られて注文が出ておると思うのですが、どうなんですか、そういう点は……。
  101. 池口凌

    政府委員(池口凌君) このカーテンの工事はまだ完成していないときに契約をいたしたようであります。ですから結局そのときには、今の正確な配置等は、図面の上できめて、それも現地で確定していないものもあつたようであります。そういうことで契約をいたしておるのでございます。併し何分にもこれの仕上つたところのものは、出来上つたときに検査してあるのでありまして、その点につきまして十分な検査が行われない、数等につきましても間違えたということにつきましては非常に申訳ないと思つております。契約の当初においてはそういうような事情であります。
  102. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、契約するときは、窓がどれだけあるかわからんというような恰好で、一括してこれでどれだけという金額で請負わしたということなんですか。
  103. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 各住宅のタイブがありますから、おのおの標準型によりますと、窓が幾つとちやんときまつておりますから、それが何個、Bが何個、Aが何個でありますから、それを全部いたしまして、それで契約をいたしておるのであります。ですからそれがいろいろな形なんか食つつたりなんかいたしますと、窓が一つなくなつたり、二つなくなつたりするのであります。そういう点は最後に精算的にこれを定めまして契約を更改すべきものであつたのであります。それをそのまま支払つてしまつたわけであります。
  104. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、この支払いをするとき、工事の施行が終つたあとで、どれだけの窓を、カーテンを付けたかといつた、何か書類の上で請求か何かにはつきりと窓の数が載つてつたか、どうか、検収の際にそれが確認をされておるのでしようか。
  105. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 検収は一応しておるのでありますが、軍のほうの受領書、レシートと言つておりますが、それに数が出ておるまま払つてしまつたわけであります。現地を一々数を算えて正確を期さなかつた点が今日の大きい問題になつておる点であります。
  106. 小酒井義男

    小酒井義男君 軍のほうから結局何か証明を出したわけなんですね。それに対してやはり支払うものは特別調達庁ですから、数を調べた上で支払う責任はあるわけなんですね。
  107. 池口凌

    政府委員(池口凌君) そういうわけであります。その責任がありますのでありますが、それを点検をしないでやつたわけであります。
  108. 田中一

    ○田中一君 これは私單純と言いますか、特調としては、無論この裏に横領の事実さえなければ、比較的單純な批難事項と思うのです。従つてこの結果はどういうことになつたのか、現在ここにあるところのさつきの百五十九万九千円というものは返してもらうような措置をとつておるのですか、それとも現在どれくらい返つて来ておるのですか。
  109. 池口凌

    政府委員(池口凌君) この点につきましては、過払金の総額を、これにつきましては二十六年の五月までに毎月十万円、その後毎月二十万円ずつ、昭和二十九年五月までに全額をお払いするというように分割納入を認めまして、そういうふうにきめておりますが、今まで金の入りましたのは先ほど二十万円という話がありましたが、三十六万円現在入つております。非常にまだ少くて申訳ないのでありますが、そういうわけであります。
  110. 田中一

    ○田中一君 私ちよつと間違つたわけですが、五百八十六万円のほかに、もう一つ工事があつて百五十九万九千円と二口あるわけですね。品物はどうなつています。ドレープ生地、カーテン生地両方は返してもらつたわけですか、どうですか。
  111. 池口凌

    政府委員(池口凌君) この生地のほうは軍のほうが直接これを支給するのでありまして、私の調達庁のほうからはこの数量を確めることが不可能でございます。この点につきましては触れておりません。
  112. 田中一

    ○田中一君 ちよつと速記をとめて……。
  113. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  114. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 速記を始めて……。
  115. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 今の件につきましては、一番調達庁としましても恐縮しておるわけでありまして、その処分についても一番厳重な処分をいたしております。戒告処分に附しました者が三人、訓告にとどめました者が三人でありまして、そういうような手続をいたしております。
  116. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今議題いろいろ伺つたの事情はわかりましたが、この生地の返還ができなかつたということは無理がないことかも知れませんけれども、これはやはり鋼板を使いながら真鍮製品としての代金を支払つた、それから窓の数とかいうことは本当に詐欺的行為だと思います。それでこういうことがなされたのですが、この当時直ちに過払金の回収をもう少し上手にやつたら、今まで回収がもつとよくできたのじやありませんか。時期を失した嫌いがありませんか。その点どうですか。
  117. 池口凌

    政府委員(池口凌君) この点につきましては、会計検査院からも御指摘を長けましたりいたしまして、それから行動をとつたのでありまして、時期の仕れましたことは大変申訳ないことだと思います。
  118. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 この前からずつと長いこと取調べになつている二重煙突事件でも、足利工業に過払金があれほどのものがあるということがわかつた際に、よく調査して回収に当ればもつとよく回収ができたと思うのです。現にあれが検事の取調ではつきりしたのですか、当時あのことが発見せられたときには二千万円というものが足利工業の社長の田中の預金に入つてつたのでありまして、その当時もう少し克明に周到な注意を以て強力に回収に当つたならば、ああいう事犯を伴なわないで済んだと思うのでありましてそういう点から見ましても、この事案についても何か手ぬるい点があつたように考えられるので、今後はそういうことのないように一つ過払金を発見した場合には適当な処置を即刻に、而も適切な措置をとられるように希望いたしてむきます。
  119. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからちよつとお尋ねしたいのですが、大蔵省のほうの調書を見ますと、この三百九十四号の案件に関する責任者、これは厳重注意ということになつているようですが、先ほど戒告とおつしやられましたが、どちらが本当でありますか。
  120. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 最初御提出しあには或いは訓告程度になつておつにかと思いますけれども、この事件を、その後この重大性をよく調査した結果、三人のものにつきましては戒告をいたしております。その点はお調べを願います。去年の十月二十日付でなつております。
  121. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) これは確か戒告しております。私ども実はこの案件は先ほど来申上げて置きましたように、今年の批難としては一番惡い件で、懲戒要求を出そうというので、処置し始めたのでありますが、当局のほうで自発的に処分すると、こういうことで、私のほうも正式の会計検査院法の三十一條の懲戒要求を差控えていたのでありますが、国会が始まる間ぎわまで延びましたが、十月の末に当局が現在懲戒できない人がおるのですが、それは一番の責任者が任務が東京都に変つてしまつておるので、地方公務員になつておるので、これを国家公務員法の規定で懲戒できるか、できないかというような点も人事院とも協議しましたが、ちよつと無理だというので、現在特調に残つておるところの人だけを処分したわけでございまして、戒告が三名と、こういうことになつております。
  122. 小酒井義男

    小酒井義男君 戒告になると実質的な損害と言いますか、何かあるのですか。
  123. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) それは、そういう処分の問題につきましては、非常戒告とか、訓告とか申しましても、月給を減らされるわけでもございませんし、余り痛くないじやないかという御批難を、こうむるのでございますが、実は官吏といたしまして戒告ということになりますと、これは相当行政罰といたしましては黒星を戴く、前科者になります。のみならず、こういうものの、直接は現れませんけれども、その後の進級とか、いいポストに就ける場合の考慮とか、表面に現われませんものがございますので、実は官吏としては、相当痛いことは痛いのでございます。
  124. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) それではお諮りいたしますが、只今審議しております議案のうち、批難事項三百九十四号までは審査が終了したものと認め、それ以下の分は次回にこれを更に審査を続行するということにして御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議ないものと認めます。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時九分散会