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証人(
高橋正吉君) 今の問でありますが、私にこの間その
資料を見せて頂いただけで余り
内容を読んでおりませんからわかりませんが、この点について一、二について、
大分私が知
つておる範囲と違
つておることが書かれておるということは申述べられます。それは
山下茂の損の中に全額返済したということが書いてある。これは全然返済をしておりませんというような面がございまして、大体
山下茂氏の話がとんちんかんで辻褄が合わない。私の聞いておる
山下が私に借金を返すと言われると辻褄が合わないので、嘘を
言つておるのかわかりませんが、
大分そういう点は違
つておるように書かれております。そういう点でありまして私もその
資料を余り一々
手許で見せる頂いておりませんからわかりませんが、大体私の感じでは
大分そういう点が違
つておるように書かれておると思います。
それから
大橋先生の点でありますが、私は
大橋先生とは極く近い附き合いで私情においては何ら変りはないと思います。併しながら私もここに夕べあらましをまとめまして
大分誤解をされておるというので、私ここに書いて持
つて参りましてこれを一部
委員長の許にお出しいたしますが、これを読ませて頂きます。
「この
事件について国民のかたが疑惑の目を以て見ておりますので、私としては事の真相を明らかにして、この
事件を早く鮮明にして頂きたいと存じますので、
証人として立
つたわけです。この前の
証言のときは、
大橋先生の政治的な地位や、延いては政党の政治的、
事件に利用されては困ると思いましたのと、他方には
大橋先生とは近い間柄であ
つたので、でき得る限り政治的影響のある
証言は避けましたところ、現在はこのような
事件のために長い時間を費すことは国家のためにならないという
立場に立
つて考えますと、たとえ
大橋先生の
関係といえども
証言をあいまいにすることができなくな
つたので、私は進んで
証人に立
つて積極的な
証言をしているわけです。これは一部の政党に動かされたわけでもなく、又或る
個人を陥入れるわけでもありません。むしろ政党政派を離れて二重煙突
事件という戦争直後の官庁及び社会の惡習慣から生れた
事件の真相を
はつきり申上げて国民の皆様にわか
つて頂いて、講和後の新日本を迎えて頂きたいと存じます。
大橋先生も進んで
自分ばかり自己擁護なさらず事を明らかにして頂きたいと思います。又私としても
大橋先生の人間性批判もあり、事の正邪を明らかにして頂きたいと思います。進駐軍上陸直後の世の中の秩序の定まらない時に起
つた軍の
指示に基き、占領下の官庁と業者の結付きによる官庁納入取引の商習慣から来ているものであります。多分には官吏の勢力争いも入
つているものでありますので、多少の作意はありましたが、当時としては普通に行われていたケースであります。結果的に未納の荷物に対して過大に支拂われていたということ、これに対する道義的な欠階によるものであります。それは未納及び、納入された物品代を
特調から支
拂いされた金が、
社長田中平吉と第一
銀行の作意によ
つて専務の私の知らないうちに巧妙に隠匿されて、
特調から返還を
要求されてもその責任を廻避したばかりか、
特調に対して虚偽の
念書等を入れていたため、又
特調も犯罪の要点あるもこれを放任していたものであり、ただ民間興信所の
調書を基にして私を誤解して、過拂金の回收の焦点を誤
つたものであります。四千万円の過拂と言いますが実際は二千二百万円であります。事実この過拂金を受けるときには
大橋先生は
特調前所属長でもあり、他の業者よりは便があり、過
拂いが容易になされましたが、
大橋先生がこの過拂金を領得はしておりません。金銭
関係についてに
個人的には未だ未解決とな
つて残
つています。その後の過
拂いに対する返済の方法は、
大橋先生のお薦めによ
つて法律上は
会社が負うべきものであるが、
田中と私
個人が負うことになり、
特調と
会社並びに私ども二人との間に返済について和解が成立しています。然るにこの問題が政治的に利用されたために過拂金を受けた二十三年の暮から足掛四年を経た昨年に
至つて私どもが起訴され、
大橋先生その人すら起訴、不起訴が問題にな
つたのです。」
以上がこれの
事件の性格でありますが、私としてはできるだけ具体的に真相を明らかにして頂きたいと思
つております。そうして国民の皆様及び
代表者の皆様に衷心から申訳けございませんということをお詫びいたします。