○
長谷山行毅君
只今の
小林君の
法律的
見解に対する御
意見は承わりましたが、私は結論においては
只今の
小林君の御
意見に賛意を表することはできないものであります。それから先ほどカニエ
委員からおつしやられたことでありまするが、カニエさんがこれまで
綱紀粛正に対しまして非常に熱意を持たれて、この
決算委員会において一昨年以来非常に慎重な
調査を遂げられて、誠に熱意を以て御努力下す
つたことに対しましては心から敬意を表しておるものであります。私もその
綱紀粛正の点につきましては全く同感であります。併しながら
本件の取扱いにつきましては、私は遺憾ながらカニエさんの御
意見とは反対に考えるわけであります。カニエさんの御
意見とは反対に考えるわけであります。カニエさんは、これをこのまま打切ることは非常に不明期だと、かようにおつしや
つておられますが、
本件は、我々がこの決算
委員になりましてから
調査の最中において、この二重煙突
事件には何か犯罪があるというふうな
疑惑を私
ども持
つたのであります。従いましてこれを
はつきり真相把握するまで明確に
調査しなければならないという考えからいたしまして、いろいろの小
委員会においても
証人を呼び、いろいろ資料を集めまして検討を加えたのであります。その結果これは更に專門の
捜査機関である
検察庁に移して、これを更に明確にして真相を把握しなければいけないという考えで、東京の
検察庁に今までの
委員会における
調査の資料等をも提供して、そうして
捜査を要請したというのでありまして、その結果
検察庁においても
愼重なる
捜査をいたしまして、今回の結論が出て、その回答が来たのであります。それによりますれば、我々が最初或る
程度予想したように、これから
はつきり犯罪が認められまして、そうして第一点の二千万円の過拂いの詐欺の事実につきましては
田中社長、
高橋事務、それから社員の
高橋、それから検収に当
つたところの藤原英三という四人の者が
起訴せられた。又羽鳥という男はこれに
関係はあ
つたが、犯罪の情状の軽微であるという理由でこれは
起訴猶予にな
つております。それから第二点の横領の点につきましては、株式の点につきましては、これは
高橋正吉が特調から騙し取
つたということで詐欺が認められてこれが追
起訴になり、自動車の売買に関與した
ところの山下は、これは横領の事実につきましては
起訴猶予にな
つております。それから第三点の
大橋氏の税法違反につきましては、これは嫌疑なし、第四点の政治資金規正法違反並びに贈與したほうの
高橋につきましても、これも嫌疑なし、かような
決定にな
つて回答が来ておるのでありまして、これによ
つて私
どもは、この二重煙突に関する事実の真相が誠に明確に
なつたと思うのであります。
そこで問題になりましたのは、この前の
委員会におきましての
鬼丸委員の
発言でありましたが、それはこの
検察庁の
捜査の結果については、これは権威があるものと思うし、この
通りだと思う。
ただ問題は、この税法違反の点につきまして、これが
顧問料と
大橋氏が当
委員会において
証言してお
つたのに、それが、
検察庁のこの回答によれば、これは
顧問料として最初前借を受けたが、その後これがその債務が免除せられた。つまり贈與という形にな
つておる。その点で
食い違いがあるのじやないか、ここにこの
食い違いの点についてこれを一応明確にする必要があるのじやないかというふうなことが問題として提供せられたのであります。そこでこの問題は、どうであるかと申しますると、この
検察庁の回答書、これと今までの当
委員会におけるいろいろ
調査の経過、速
記録等によりましてよく熟読し、いろいろ勘案してみますと、これが必ずしも最初の
大橋氏の
証言と根本的には
食い違いがそうないと思うのであります。これは速
記録の順序、速
記録を見てみますと、問い方の順序によ
つて答えがいろいろ変
つておるようであります。変
つておると申しますよりもその表現の仕方がちよつと違
つておるのでありまして、これは昨年の二月六日の小
委員会における
大橋氏の
証言を見てみますと、カニエ
委員からこの
顧問料について問われた場合の答えと、
栗山委員から問われて答えた場合と、必ずしも同じ表現をしていないのであります。カニエ
委員から聞かれた場合には、月に三万円というふうな表現をしておりますが、その
あとで
栗山委員のお問いに対しては、これは月に二万円ぐらいの割合でというふうな言葉に
なつたりいたしまして、その間に問い方の目的といいますか、順序によ
つて答え方がそう明確でないのであります。これは書面等によ
つてはつきりこういう目的でこういうことを調べるのだからこういうことを言えと、こう言われたならば、答え方ももう少し秩序立
つてはつきりと明確な答えができ
ただろうと思うのでありますが、ここへ参りまして、これはどなたでも
証人に立たれまして、とつさに聞かれた場合には、過去の記憶がそう明確に出るものではなし、又問われるほうにおきましてもいろいろな角度から聞かれた場合には、受けるほうが感違いしてそれに対して答える場合も往々にしてあるのでありまして、そういう順序等を総合勘案してみまして、更に又この
専務の
高橋正吉、これの二月七日の
証言を見てみますと、これ又
大橋氏の前日の
証言を裏書きしているような所もあり、これと又食い違
つたような所もありまして、それと今回の
検察庁における
捜査のこの回答書の文面から見ましての事実とを総合して考えてみますれば、根本的にはこれはそう
食い違いがあるものとは思われないのであります。例えばこの
顧問料ということでありまするが、先ほど
小林委員からこの三十万円の
顧問料の動機、回数、
性格において
相違があるのじやないかと言
つておられますが、これはその動機においてはこの三十万円はやはり
顧問料だ
つたのであります。それから回数においては、これは一回であ
つたことが私は正しいことだ
つたろうと思うのでありまするが、それが
月々三万円の割合でという
意味が前の
証言にもとられますので、
はつきりと一度であ
つたかどうかという回数についてはそれほど明瞭に尋ねていないのであります。従いましてその点についても表現の仕方が足らなか
つたということが言われると思うのであります。そうしてこの三十万円の
性格の問題でありまするが、これは私は恐らく
高橋正吉と
大橋氏の間にはお互いに思い違いがあるのじやないかと思うのであります。一方は、
高橋正吉のほうでは、これは
顧問料だというようなことをずつと考えてお
つたと思うのでありまするが、一方
大橋氏のほうにおいては、これは最初は
顧問料の前借りであ
つたのだが、最後には免除を受けたのだ、
高橋のほうでは免除したのじやない、
自分は
会社に代
つて立替えてや
つたのだ、こういうふうに考えているのかもわからないのでありまして、その点はいずれにいたしましても、その当時の状況が大体これでわかると私は思うのであります。そして然らばこれが
顧問料であればどうか、或いは
顧問料の前借りで、それを贈與を受けた場合にはどうであるかと申しますと、これは税法違反としては、税法上から見ますればいずれも税法のいわゆる違反にはならないのであります。当時の税法によりますれば、これは作為犯を処罰しておるのでありまして、不申告というものは処罰していないのであります。従いましてその点につきましても、これはどつちにいたしましても、これによ
つて犯罪が成立するということはないのでありまして、思い違いと申しまするか、過去の事実を、そこだけをそれほど明確にしなければならないほどの問題ではないと思うのであります。
事件全体としてはすでに
はつきり明確にな
つておるのでありまして、た
つたそれだけのことを
顧問料であ
つたかどうか、或いはこれは免除を受けたいわゆる借入金であ
つたか、その点を
はつきりしなければこの二重煙突
事件が不明朗だということはどうしても納得できないのでありまして、すでにこの二重煙突
事件の全貌は明確に
なつたと思うのであります。従いましてそれをどつちにきめようが、この
事件全体について不明朗なものが未だに残
つておると私
どもは考えられないのでありまして、
従つてこれは回答書並びに今までの我が
委員会において十分
調査せられて、この点は御納得なされておるので、この
程度で本問題は打切るほうが至当だと思うのであります。決してこれだけ明確にした、この問題をこれで打切
つたと申しましても、これを詳細にわかられるならば、
国民は誰もこれは不明朗なもののままに、臭いものには蓋をしたというような結末を付けたなどとは微塵も考えない。誠に当
委員会の努力によ
つてこの問題が明確に
国民の前にさらされたという結果になると私は信ずるものであります。