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1952-02-05 第13回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月五日(火曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 二月四日委員堀末治君、石村幸作君及 び加藤正人君辞任につき、その補欠と して溝淵春次君、山本米治君及び山内 卓郎君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩男 仁藏君    理事            高橋進太郎君            溝口 三郎君            小酒井義男君            棚橋 小虎君    委員            大矢半次郎君            楠瀬 常猪君            瀧井治三郎君            團  伊能君            中川 幸平君            西山 龜七君            長谷山行毅君            溝淵 春次君            山本 米治君            飯島連次郎君            伊藤 保平君            常岡 一郎君            栗山 良夫君            小林 孝平君            カニエ邦彦君            小林 亦治君            田中  一君            石川 清一君            森 八三一君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君   —————————————   本日の会議に付した事件特別会計政府関係機関及び終戰処  理費経理並びに国有財産の処理に  関する調査の件  (昭和二十三年度決算会計検査院検  査報告批難事項第三百九十七号足利  工業株式会社契約当時は足利板金  工業組合)に対する二重煙突代金支  拂及び之に関連する事項に関する  件) ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 只今より委員会を開会いたします。  昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算のうち、昭和二十三年度決算会計検査院検査報告批難事項第三百九十七号足利工業株式会社契約当時は足利板金工業組合)に対する二重煙突代金支拂及びこれに関連する事項について東京地方検察庁検事正からの報告に関する件を議題に供します。
  3. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 この前の委員会のときにこの問題につきまして検察庁を呼んでこの捜査方法や何か内容亘つて聞いてみてはどうかというような御意見があつたのでありますが、決算委員会といたしましては、この問題を一括検察庁に依頼いたしまして、その捜査権に委ねて十分捜査をしてもらつたのでありまして、従つていわゆる捜査権の権限のある官庁によつてこれを調査捜査をした結果の報告があります錢ので、これを基礎にして我々として判断するということで十分であると考えるのでありまして、従つてその意味からこれ以上検察庁を呼んで、その内容亘つてこれを更に決算委員会として調査するというようなことは、これは当を得ないものと思われるのであります。若しその捜査なり或いはやり方なりについて、更にそこに政治性があるというのであるならば、これはおのずから別個の、検察庁に対する法務委員会なり或いは別個考査委員会なりそういうものでやるべきものでありまして、決算委員会としてはその捜査内容にまで入つて適、不適をきめるということは不適当でなかろうかと思うつのであります。  なおその際鬼丸委員から更に検察庁報告と、証人大橋君の決算委員会に対する証言とで食い違いがありはしないかというような問題が述べられたのでありまするが、その論点となりますのは、いわゆる大橋君が月々三万円ずつ顧問料として足利工業からもらつておるというのが当決算委員会における証言であつたにかかわらず、検察庁においては、それを一括三十万円足利工業高橋専務から前借りしておるというふうに述べておるじやないか、従つてその間食い違いがあるじやないかというふうに述べられたのでありまするが、我々も十分、その席におきましてその当時の証言内容についての資料がございませんから、実はこの前散会いたしまして、この点について十分速記録等によりまして調べたのでありますが、大橋君の証言月々三万ずつをもらつておるというような証言はしておらないのでありまして、月に三万円になる計算であつて、約一年問題問として就任したから、その額が三十数万円になつておるというようなのでありまして、若干その間の表現は違いますけれども内容におきまして本質的な食い違いがあると思われませんので、従つて鬼丸委員の言われるように、決算委員会証言検察庁報告とにおいて本質的食い違いがあるというふうには考えられないのであります。従つて更に検察庁を呼んでこの点を更に調べるという必要はないものと考えます。
  4. 小林亦治

    小林亦治君 今高橋君から本件に関して弁護的な意見が述べられましたが、その問題の一つとして、この前鬼丸委員発言した三十万円という金の性格についての疑問がありまして、当委員会で述べたことと検察当局に出頭して陳述した内容が違うじやないか、こういう意見が出ておつて、本日は鬼丸委員も出席しておりませんが、受取つた金の総額が三十万円であるということにはこれは争いがないのであります。それから三十万円受取つた動機、回数、その性格というものに相違があるということになると、この事実が根本的に違つて参るので、これは一応調べた検察当局係検事を喚問する必要がある。係検事でなければその上司を当委員会に呼んで、再度その内容を聞く必要が私はあると思うのであります。高橋君は、これを検察当局に依頼したというのでありますが、何も依頼したのじやないのであります。検察当局は、こちらのほうから告発はなさないが、それと同様な要望をするという申入書を出した結果、検察当局が活動となつたのであります。その結果がこの報告になつて現われたのであります。ところ報告内容は、我々が調ベ且つ握つた心証と比較して見ますというと、これ又相当な開きがあるのである。その間の相違というものは、やはり本委員会に呼んで一応聞く必要がある。私は只今高橋君の御発言には全然反対なんであります。一つ満場にお諮り願つて、いずれが本委員会の採用するところであるかを只今明らかにしてもらいたい。  それからなぜ本件が問題になつたかと言いますれば、委員の各位によつては、決算委員会の所管するところにあらずという意見のかたがたがありますが、それは私は違うと思うのであります。この綱紀粛正ということをスローガンにしている自由党内閣閣僚の中に、本委員会でも多分の疑問があり、告発ということまで数回問題になり、本会議においては前後三回疑惑の濃厚なる事実を指摘せられた報告になつているのであります。その当の御本人便々として内閣閣僚に坐つているということは、これは自由党スローガンにも反するところであり、我々が受取つているところ綱紀粛正ということにも相反するところなんであります。ここが問題にならなくちやならんと思うのであります。検察当局の調べたことは、これは検察当局としてやつておるのであります。本院には本院の使命もあり、とるべき責任もあるのであります。そこで鬼丸委員の指摘せられたような、事実の中に偽証があるとするならば、議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律の第八條によつて委員会としては義務としても告発もしなければならんのであります。検察当局が一旦不起訴にきまつても、本委員会の職権として告発することは一向差支えないのであります。告発に至るかどうかということは今後の問題でありまするけれども只今まで我々の握つた心証によりますれば、本委員会はおのずから委託せられたところ告発権を断行しなければならん程度までに事実が進んでいる、こう考えるのです。もう一遍愼重にお諮りを願いたいと思います。
  5. 溝淵春次

    溝淵春次君 私はあとから本日委員に加わりましたので、今までの経過は記録で拝見する程度で、極めて鮮明でないのでありますが、率直に申上げますると、第一点は高橋君からのこれ以上検察庁側意見を聞く必要はないという意見を前提として賛成するのでございますが、この事件に対して検察庁が本年の一月二十三日にいずれも大橋君に対する事件は不起訴決定をいたしております。不起訴決定をいたしておりまするので、私は決算委員会において、検察当局の、司法部が不起訴決定をした場合において、その問題に牽連して更にそれを掘り下げて、決算委員会係検事なり上司を呼んで聽取することが適切であるかどうか、只今の御見解も又一つの御見解ではありますけれども、私どもが端的に考えますると、検察当局の不起訴決定のありました事件、そうして相当精細に検討した結果、大橋氏に関する容疑起訴すべきものではない、起訴に値いしないということの結論になつている場合におきまして、決算委員会で更に係検事なり上司を呼んで掘り下げて聞くということが適切であるかどうかということに一つの疑問を持つのであります。同時にこれは当決算委員会における大橋氏の宣誓があつて供述をしているのであつて、その供述検察庁大橋君の供述決算委員会における供述とが違う。そこで今御意見のように宣誓をして虚偽の供述をしたものとして偽証告発をしなければいかんのじやないかという御意見でありますが、この根本的な、事件自体としては、これはもう各委員のほうからお叱りを受けるかもわかりませんが、起訴事件でやる場合におきましては、大橋君がいわゆる嫌疑がかかつているというような場合における、普通の法廷等におけるいわゆる日本の……、宣誓を要して偽証罪が成立するかどうかという、法廷の場合におきましては、すべてその本人証言は、本人利害関係に関することについては宣誓を用いないのが原則であります。大橋君が本件について容疑者の中に入つている、その大橋君を決算委員会に呼び出して、大橋君の不利益になる供述人間としてするはずがないのである。この場合に決算委員会宣誓をせしめたのでありますかう、せしめた以上は、その宣誓趣旨に反した供述をした場合においては偽証は成立するという、その御見解も無論形の上では成立ちますけれども日本刑事訴訟法なり民事法廷における宣誓趣旨からいつても、如何なる場合においても自己不利益なる供述をせなければならんという責任憲法の上においても刑事訴訟法の上においても、その不利益なる供述をせなければならんという義務はないのであります。自己不利益なる供述人間としてし得ないのでありますから、大橋氏も法務総裁とはなりましたけれども、やはり普通の人間であり、又足利工業顧問弁護士であります。で事情として、理論的に私は、宣誓をしておつて供述がそこに幾らかの食い違いがありましても、それを以て決算委員会がこれを告発して取上げるというようなことは、私は決算委員会としては如何かと存ずるのでありまするが、更に大橋君が法務総裁という、或いは国務大臣という要職になつたからここに論議が起きたのでありますが、足利工業顧問弁護士として、激職である衆議院選挙を控えたときにおいて大橋君が受取つた三十万円の金が、それがいわゆる顧問料である、或いは贈與である、いわゆる借金である、そういつたようなことについて、要するに足利工業という顧問弁護士たる立場において、而もそれが衆議院選挙をやるという前夜におけるいきさつとして、誠にその点は不明確な間に金銭が授受されたということも、私は常識的に考えられる点でございまするので、その意味におきましてこれ以上決算委員会が更に主任検事或いは上司を呼んで更に掘り下げて行くということについては私は反対であります。検察当局が不起訴処分をしたことに対して、それは適切にあらずという場合は、検察審議会の適当なる手続きを経るなり、検察庁の処置がいかんじやないかということにつきましては幾多方法があるのでございまするから、この程度におきまして大体事案の真相が、そこにこう不徹底な感じはありましても、一応検察当局が不起訴決定をしたことに対しては、これは検察当局が正義の擁護者として国家的見地に基いて処置したことであり、そうして大橋氏の決算委員会検察庁における供述の間に何か食い違いがあるように見えるけれども、掘り下げて考えてみると、そんなに食い違いのある案件ではないのであつて、当時の選挙を前に控えたどさくさのときの金銭授受を、今大橋氏が国務大臣或いは法務総裁なつたという、重責に就いたことから、あとから考えて非常に不徹底じやないか、そんな不明確な金を取るべきものではないじやないかという、そこに疑問は起きますけれども、又静かに考えると、これ以上決算委員会において議論を続けて行くべき案件ではないという意味におきまして高橋君の御意見に賛成するのであります。
  6. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今本件について情状酌量的な理由をお述べになりましたが、その内容においていささか事実と相違している点がありますので、私は御本人の御訂正を願つておきたいと思います。それは大橋氏が顧問料として足利工業から受けられた三十万円の金と選挙とが非常に関係のあるようにおつしやつておられますが、顧問料の三十万円は選挙とは全然無関係であります。大橋氏が選挙のときにはこの三十万円のほかに二十万円を足利工業高橋君が写真機を売買して贈與したというので、高橋君も証言をし、大橋君もそれを認められておる。三十万円のほかに二十万円の口があるはずであります。それがあなたの御発言内容と事実と違うようであります。高橋君並びに大橋君の証言に基きましても相違いたしますので、さよう御訂正願つておきたいと思います。
  7. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の溝淵君の御発言は、大体私の記憶からいつて栗山君の言われた通りであつて、これは御訂正願えればよいと思います。それから先ほどから論議になつております点は、検察庁がここに正規に報告書を出したので、不起訴決定したんだからこれを信用して、これはこのままでいいんじやないかという御議論と、それから決算委員会がそこまでもう追及しなくてもいいんじやないかというような点であるかと思うのですが、私はこれが是非を明確にしなければならないということは、本件にかかわらず、現在の国民疑惑の焦点となつておるものは、自分たちが出した税金がどのように使われておるかということに国民が多くの疑惑とそうして関心を持つておると思うのです。ところが近時におけるところ国費濫費というものは、当委員会がこれほど愼重国費の使途について追及をしておるにもかかわりませず、年々その濫費の状況は増加しつつある。これは記録によつても御承知であろうと思いますが、私はたびたび申すのでありますが、国の経理については誰が一体この使つた金を見守つておるかといいますと、この決算委員会しかほかには国会の中にはないのであります。従つて国権最高機関としての国会において決算委員会がこれを追及することが、国民に対して唯一のものであるということ、それから政府機関におきましては、これは会社で言うなれば監査役、そういうものは会計検査院だけでございます。それともう一つは、これは角度は違いますが、経済調査庁という役所ができまして、これが国民経済の面からこれを監視しておるということと、それから大蔵省の極く一部の中に会計法四十六條の規定によるところの四十六條監査というものが行われておること、この三つ政府機関としては先ず今のところ行われておるものであります。ところがこの三つともその全機能を発揮しておりません。会計検査院のごときは全部の、いわゆる国家財政を監視する能力なく、年々三分の一に足らざる状態である。経済調査庁においてもこれ又然り。又大蔵省の四十六條監査のごときは、全体の五十分の一しか監査をしていないというのが現状であります。こういつた現状において我が国のこの財政支出に対するところの不正というものはどれだけあるかというと、会計検査院国会報告したやつを見ますと、昭和二十一年度においては百六十何件であつたものが、昭和二十二年度になつて二百何件になつておる。それから二十四年になつて来ると、今度はそれが又倍加して六百何十件になつておる。そうして今ここで我々が審議しておりますものが七百五十件の多きに達している。年々逐次この会計検査院の三分の一の能力しか発揮しておらずして、調査をいたしました結果としてさように激増して来ているのであります。この激増して来たところのものが今年はどうであるかというと、私は恐らく会計検査院は二十五年度においてはこの七百台を突破いたしまして、一千台にまで上つていると聞いているのであります。併しながらこれはまだ国会に正式には参つておりません。併しながら非公式にこれを聞きますとやはり千件以上はある。この二十四年度、今審議しておりまするこの二十四年度の七百五十件というものの一体違反金額の総計はどのくらいあるかというと八百六十億あるのであります。これに経済調査庁なり或いは大蔵省監査による結果の報告を取りまとめて考えてみまするというと一千億円になんなんとしている。これが実際において十二分に監査を行われるならば、恐らく一般会計特別会計を通じて二千億円のこの不当なる金が年々国民税金の中から使われているということ、これをです、今ここで我々が国会が監視し、このイカキの中から漏れているところのこの無駄な金をとめなければならないというのです。これが一体年々我々が追及するにかかわらず、なぜ一体然らばとまらないのであるかというと、これは問題になつております。これだけではありませんが、こういつた最高幹部がです、若しそのことの性格如何は別として、参画をしているところのこういつたもろもろの事件、これが明確にされずして、うやむやのうちに葬むられ去つて行くというところに、我々が如何に努力してもこの無駄な金が年々流れて行つてしまつているということに相成つて来ると思います。そこで私は大橋氏個人の問題でなくして、事件一つあれば、その関係者の一人としての大橋君は不起訴である。そうして会社の重役、社長専務、これらは起訴される、こういうことでこのまま不明朗にこれが終つて行くとするなれば、一般会計特別会計の任に当つているところ官僚は言うに及ばず、国民全体がどういう気持で一体これを見ているかという二と、従つて国権最高機関であるところ国会がこれを正すことなくして、臭い物に蓋をして過すということは、国民に対しても我々の任務が十二分に盡されないという結果に終つてしまうと思います。特にこの問題については世上非常にやかましく言われた問題だけに、やはりあと腐れのないように明確にしなければならないということです。ましてやこの本件報告書検察庁が出したときには、私はこの検察庁報告書を信用せないというのではありません。併しながらただ検察庁といえども人間のすることでありますから、そこには幾多手落ちもあるかと思います。従つてこの報告書のうちには言い足らざる点もあれば、又事実と多少相違する点もあり得るので、この点を明確にやはり追及しなければならないということ、そうして国民の前にやはりはつきりしなければいかぬ。又ただ單にこれは検察庁の問題だけでありません。一国の国務大臣として大橋君がいやしくも、刑法に問われようが問われまいが、政治家として政治的、道義的責任はやはり私は免れないのではなかろうか。この点においてもやはり国権最高機関である国会はこれを明確にしなければならないのであります。だからただ軍に刑事問題の云々、或いは偽証問題の云々ということでなくして、政治的、道義的な責任においてもやはりこれは明確にせなければならない。これが若しも明確にならざれば、一体誰がこれを明確にするのであるか。信頼すべき検察庁といえども、幾度も申しますように手落ちのあることはこれは当然であると思います。従つて私はこの検察庁報告に対しても、又これに関連してこれに述べられておるところの川田或いは三浦、或いは足利板金田中社長等を再度呼びまして、そうして検察庁の前で御説明を聞けば、これはガラス張りの中で国民大衆の眼前において明白にでき得ることなのであつて、決してこれに蓋する必要は毫もないものである。その上において、成るほどこれはこうあつた、こうであるべきものであるということを明確にされることが、これがやはり大橋氏に対するところの少くとも政治家としての友情でなければならん。併しながら自由党と言うと又叱られますが、與党の諸君がこの内容についてわかつておると言われるのなれば、どなたでも結構でございますから、代表をなさつて下さいまして、私の質問に一一納得の行くように答弁をして頂けるのなら、これから私はこの内容について逐一御質問を申上げたいと思つております。それにおいてあなたがたが説明ができ得なければ、やはりこれは報告を出した当の責任者を呼んでやはり聞く以外には私はなかろうじやないか、かように思つております。だから私はただ單にこれは與党を攻撃するとか大橋君をどうするとかいう意味でなくして、近時激増しつつあるところのこの情ない状態において、これを如何に粛正し是正するかということ、如何にそのことにおいて全日本の末端の官僚にまで粛正のメスを入れるかということ、これが我々の持つ重要な任務であり、又これをやつておるところの意義であると、こう解釈をしておるのでありますから、以上私が申しました点において皆さんがたの御良識に訴えて、やはりこれは早急にはつきりさしたいというお考えなれば、さように取扱つて頂きたいと思いますし、又いや、そうせなくとも検察庁になり代つておれがそれでは答弁するというおかたがここにあるなれば、そう申出て頂きますれば、これから逐次質問をいたしたい、かように思つております。
  8. 小林亦治

    小林亦治君 先ほど田淵委員の御意見なんでありますが、自分疑いを受ける慮れある事項については憲法上、刑事訴訟法証言をなし得ないものである。憲法上、法律証言不可能なものについて証言をしたのであるから、その内容が稀薄であるといつたような御意見のようですが、これは若干私ども法理論とは違うのであります。御訂正願いたいと思います。なぜかと言いまするというと、先ずこの基本的規定憲法の三十八條にあります「何人も、自己不利益供述を強要されない。」尋問するほうから強要せられないところ保護規定憲法に確保せられておるだけであつて証言をなし得ないとはこれはないのであります。この規定を受けて立法せられた刑事訴訟法上の規定もある。これは刑事訴訟法の第百四十六條であります。「何人も、自己刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。」これは証言拒否権なのであります。拒まずしてみずから進んで証言した場合には、宣誓を述べてこれは立派にできるのであります。これはつとに溝淵委員も御存じの上でわざと申されたと思いますが、甚だけしからんことだと思います。若しかような一歩進んで保護する規定があつて、その保護法の上に免れようとするならば、これは看過できない。このときこそ我々は国民代表使命に起ち上らなければ、国会の権威というものはなくなるのであります。ここも御一考願いたいと思います。先ほど申上げましたように大橋君は、いやしくもこの事件疑いのあるような官吏があつた場合には、断固これを処分すべきものであるということを本会議の壇上において国民に声明せられておるのであります。然らば、何回も疑惑を向けられ、告発云々にまで、土壇場にまで立ち至つた大橋君が、粛然襟を正して、これは国務大臣というものはやめなければならないはずのものである。これが政治責任だと私は考えるのであります。ところが、本件が問題になつてから自由党内閣が二回に亘つて改造せられたのであります。便々として未だ台閣にあるということは、自由党大橋君も免れて恥なき徒だと私は考えるのであります。少くとも国民がそう思つておるのであります。本委員会としては、自分の親分であつた大橋を処分なし得ずして、大橋に利用せられて踊つたところの小者を二名処分しただけで、大橋君という呑舟の魚を逃がしておるのであります。かように検察庁は適正な捜査権の行使をなし得なかつたので、私どもはかように関心を高めておるのであります。この場合に決算委員会がその検察当局捜査処分を正当なるものと認められたならば、これはなきにひとしいのであります。遂には決算委員会国民から弾劾せられる羽目になると私は考えるのであります。そういう点も御参考に、愼重にこの問題をもう一遍初めから、出発からやつてもらいたいと思うのであります。そのほうが自由党の各位の考えられるような腑に落ちる結果になると思います。大橋君御本人も、この問題については徹底的に決算委員会がお調べになることを希望しますと、人を喰つたような挨拶をしておるのであります。又俗な言葉で言えばなめておるのであります。ここが私どもは感情的には気に喰わない。併しながら感情論ではありません。使命の上から私どもはどうせ進めた案件なのでありますから、使命を果し得る程度本件を処理すべきものだと考えております。その上から見まするというと、この点で検察当局報告を正当なりとして引下がることはどうしても私どもはできないと考えるのであります。
  9. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 只今小林君の法律見解に対する御意見は承わりましたが、私は結論においては只今小林君の御意見に賛意を表することはできないものであります。それから先ほどカニエ委員からおつしやられたことでありまするが、カニエさんがこれまで綱紀粛正に対しまして非常に熱意を持たれて、この決算委員会において一昨年以来非常に慎重な調査を遂げられて、誠に熱意を以て御努力下すつたことに対しましては心から敬意を表しておるものであります。私もその綱紀粛正の点につきましては全く同感であります。併しながら本件の取扱いにつきましては、私は遺憾ながらカニエさんの御意見とは反対に考えるわけであります。カニエさんの御意見とは反対に考えるわけであります。カニエさんは、これをこのまま打切ることは非常に不明期だと、かようにおつしやつておられますが、本件は、我々がこの決算委員になりましてから調査の最中において、この二重煙突事件には何か犯罪があるというふうな疑惑を私どもつたのであります。従いましてこれをはつきり真相把握するまで明確に調査しなければならないという考えからいたしまして、いろいろの小委員会においても証人を呼び、いろいろ資料を集めまして検討を加えたのであります。その結果これは更に專門の捜査機関である検察庁に移して、これを更に明確にして真相を把握しなければいけないという考えで、東京の検察庁に今までの委員会における調査の資料等をも提供して、そうして捜査を要請したというのでありまして、その結果検察庁においても愼重なる捜査をいたしまして、今回の結論が出て、その回答が来たのであります。それによりますれば、我々が最初或る程度予想したように、これからはつきり犯罪が認められまして、そうして第一点の二千万円の過拂いの詐欺の事実につきましては田中社長高橋事務、それから社員の高橋、それから検収に当つたところの藤原英三という四人の者が起訴せられた。又羽鳥という男はこれに関係はあつたが、犯罪の情状の軽微であるという理由でこれは起訴猶予になつております。それから第二点の横領の点につきましては、株式の点につきましては、これは高橋正吉が特調から騙し取つたということで詐欺が認められてこれが追起訴になり、自動車の売買に関與したところの山下は、これは横領の事実につきましては起訴猶予になつております。それから第三点の大橋氏の税法違反につきましては、これは嫌疑なし、第四点の政治資金規正法違反並びに贈與したほうの高橋につきましても、これも嫌疑なし、かような決定になつて回答が来ておるのでありまして、これによつてどもは、この二重煙突に関する事実の真相が誠に明確になつたと思うのであります。  そこで問題になりましたのは、この前の委員会におきましての鬼丸委員発言でありましたが、それはこの検察庁捜査の結果については、これは権威があるものと思うし、この通りだと思う。ただ問題は、この税法違反の点につきまして、これが顧問料大橋氏が当委員会において証言しておつたのに、それが、検察庁のこの回答によれば、これは顧問料として最初前借を受けたが、その後これがその債務が免除せられた。つまり贈與という形になつておる。その点で食い違いがあるのじやないか、ここにこの食い違いの点についてこれを一応明確にする必要があるのじやないかというふうなことが問題として提供せられたのであります。そこでこの問題は、どうであるかと申しますると、この検察庁の回答書、これと今までの当委員会におけるいろいろ調査の経過、速記録等によりましてよく熟読し、いろいろ勘案してみますと、これが必ずしも最初の大橋氏の証言と根本的には食い違いがそうないと思うのであります。これは速記録の順序、速記録を見てみますと、問い方の順序によつて答えがいろいろ変つておるようであります。変つておると申しますよりもその表現の仕方がちよつと違つておるのでありまして、これは昨年の二月六日の小委員会における大橋氏の証言を見てみますと、カニエ委員からこの顧問料について問われた場合の答えと、栗山委員から問われて答えた場合と、必ずしも同じ表現をしていないのであります。カニエ委員から聞かれた場合には、月に三万円というふうな表現をしておりますが、そのあと栗山委員のお問いに対しては、これは月に二万円ぐらいの割合でというふうな言葉になつたりいたしまして、その間に問い方の目的といいますか、順序によつて答え方がそう明確でないのであります。これは書面等によつてはつきりこういう目的でこういうことを調べるのだからこういうことを言えと、こう言われたならば、答え方ももう少し秩序立つてはつきりと明確な答えができただろうと思うのでありますが、ここへ参りまして、これはどなたでも証人に立たれまして、とつさに聞かれた場合には、過去の記憶がそう明確に出るものではなし、又問われるほうにおきましてもいろいろな角度から聞かれた場合には、受けるほうが感違いしてそれに対して答える場合も往々にしてあるのでありまして、そういう順序等を総合勘案してみまして、更に又この専務高橋正吉、これの二月七日の証言を見てみますと、これ又大橋氏の前日の証言を裏書きしているような所もあり、これと又食い違つたような所もありまして、それと今回の検察庁における捜査のこの回答書の文面から見ましての事実とを総合して考えてみますれば、根本的にはこれはそう食い違いがあるものとは思われないのであります。例えばこの顧問料ということでありまするが、先ほど小林委員からこの三十万円の顧問料の動機、回数、性格において相違があるのじやないかと言つておられますが、これはその動機においてはこの三十万円はやはり顧問料つたのであります。それから回数においては、これは一回であつたことが私は正しいことだつたろうと思うのでありまするが、それが月々三万円の割合でという意味が前の証言にもとられますので、はつきりと一度であつたかどうかという回数についてはそれほど明瞭に尋ねていないのであります。従いましてその点についても表現の仕方が足らなかつたということが言われると思うのであります。そうしてこの三十万円の性格の問題でありまするが、これは私は恐らく高橋正吉と大橋氏の間にはお互いに思い違いがあるのじやないかと思うのであります。一方は、高橋正吉のほうでは、これは顧問料だというようなことをずつと考えておつたと思うのでありまするが、一方大橋氏のほうにおいては、これは最初は顧問料の前借りであつたのだが、最後には免除を受けたのだ、高橋のほうでは免除したのじやない、自分会社に代つて立替えてやつたのだ、こういうふうに考えているのかもわからないのでありまして、その点はいずれにいたしましても、その当時の状況が大体これでわかると私は思うのであります。そして然らばこれが顧問料であればどうか、或いは顧問料の前借りで、それを贈與を受けた場合にはどうであるかと申しますと、これは税法違反としては、税法上から見ますればいずれも税法のいわゆる違反にはならないのであります。当時の税法によりますれば、これは作為犯を処罰しておるのでありまして、不申告というものは処罰していないのであります。従いましてその点につきましても、これはどつちにいたしましても、これによつて犯罪が成立するということはないのでありまして、思い違いと申しまするか、過去の事実を、そこだけをそれほど明確にしなければならないほどの問題ではないと思うのであります。事件全体としてはすでにはつきり明確になつておるのでありまして、たつたそれだけのことを顧問料であつたかどうか、或いはこれは免除を受けたいわゆる借入金であつたか、その点をはつきりしなければこの二重煙突事件が不明朗だということはどうしても納得できないのでありまして、すでにこの二重煙突事件の全貌は明確になつたと思うのであります。従いましてそれをどつちにきめようが、この事件全体について不明朗なものが未だに残つておると私どもは考えられないのでありまして、従つてこれは回答書並びに今までの我が委員会において十分調査せられて、この点は御納得なされておるので、この程度で本問題は打切るほうが至当だと思うのであります。決してこれだけ明確にした、この問題をこれで打切つたと申しましても、これを詳細にわかられるならば、国民は誰もこれは不明朗なもののままに、臭いものには蓋をしたというような結末を付けたなどとは微塵も考えない。誠に当委員会の努力によつてこの問題が明確に国民の前にさらされたという結果になると私は信ずるものであります。
  10. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今の長谷山さんの話を聞いていると、私の行き方がどうもおかしい、どうも反対である、こういうお説なんですが、どの点が反対であるか、結論的に聞かしてもらいたいと思うのです。  大体今のお言葉によると、この報告書は極めて権威あるものであつて、事実と何ら相違しないものである。だからもうこれは国民の前に明々白々なものであるからそれでいいじやないか、こういうお説のように思つているのであります。ところがそうでない。この報告書にはやはり鬼丸委員が言われたように、單にそういうものだけでなくして、内部には幾多の疑点もあり得るから、これを明確に一応したい、こう言つているのであります。それから報告書の全般を眺めて見ましても、僅かな差異でこれが逃れるか逃れられないかというようなところで非常に疑義がある点もあります。従つて先ほど私が言つておるように、長谷山君がそれほど立派に御言明なさるならば、これからこの報告書に基いてお伺いをして、そして立派に答えが検察庁になり代つておできになるなればそれもよろしい、こう言つておるのです。だからそれを長谷山君が御承知の上でこれから、あなたは疑義が毛頭ないと言つておられるけれども、我々のほうはまだ幾多の疑点があると言つておるのですから、お答え願えるならば一々やつてみてもこれはいいと思う。併しながらそれがやはりできなければ、何もそう国権最高機関である国会が、如何に独立機関とは言え検察庁から証人を喚問して調べて聞くということができないという私は根拠はないのではないか、又それをやつてみたらなおはつきりするのではないか、それ見ろおれの言つた通りやはりそれでいいじやないかということになれば、私はそれもいいじやないかと思う。それをここで長時間皆で議論して、いや、やめたらよかろうとか、いや、これはおかしいと言つておるより、そんな暇があれば呼んで来て聞けば一番早いのですよ。だから私はこんな議論をしておるより、関係者を皆呼んで聞けばいいと思うのです。
  11. 中川幸平

    ○中川幸平君 先刻来小林委員、カニエ委員その他から綱紀粛正を標榜しておる自由党内閣、殊にその閣僚大橋法務総裁が関連しておる事件であるから、徹底的に調査してガラス張りにしなければならん。これには我々自由党員といたしましても全幅的に賛成をいたすものであります。併しながら当委員会におきましては、公団等の経理に関する特別委員会という名前の下に、名前は公団等の経理に関する委員会でありますが、大橋法務総裁の関連しておるこの案件について数回に亘つて調査をして、或いは証人を喚問して徹底的に調べ、なお且つ飽き足らずして捜査機関である検察庁に頼んで、詳細に調べてもらつて報告書をもらつておる。併しながらその検察庁報告書にまだ信をおけない、もう一度調べる。成るほど決算委員会使命といたしましては結構な事柄であります。併しながらただ先般も申します通りに、この案件一つだけではないのであります。まだ大小幾多の批難事項が我々の手許に参つておるのであります。さように前例のない調べ方をして、なお飽き足らないというようなことをやつてつたのでは、一体大小幾多案件をどう処置するのか、さように考えまして、これ以上は徒らに議論に終始するに過ぎないと私は考えます。さようでありますから、私はこの際この処置について十分に協議を願うために暫時休憩の動議を提出いたす次第であります。(「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり)
  12. 棚橋小虎

    ○棚橋小虎君 休憩前にちよつと……。この事件決算委員会におきまして小委員会を設けて、十数回の委員会を開いて調査をいたしておるのであります。で委員長もすでに二回本会議に中間報告をいたしておるのでありますが、その決算委員会において調べましたところの、結論は出ておりませんけれども、大体の考え方と、今度の検察庁において調べましたところの結論とは相反しておる。つまり食い違いがあるのであります。そこで私ども国会といたしましては、一応検察当局を呼んで、そうしてどういうわけでこういう食い違いができ、どういう考え方からこういう結論が出たかということを一応これは調べて見なければならんものであると思うのであります。国会といたしましてはこれだけの愼重な手続をいたしまして、今日まで調べて来ておるのが、検察庁のほうは違う結論を出したからといつて、すぐ検察庁の結論を丸呑みにして、それに信頼したということになりますと、一体国会自分委員会が長い間かかつて調べ上げたことに対して信用しておらんかということになるわけであります。これは国会の権威といたしましても、結論がどういうことに仮になるとしても、一応は検察当局を呼んで我々の考えを質して見なければならん、これは国会として当然私はしなければならんことであると思うのであります。今日この場合になりまして、なお先ほどから長谷山委員小林委員、カニエ委員いろいろにこの内容についていわゆる議論のやり取りをしておられますけれども、結局それはいろいろの疑念を持つておられるかたが多いのであつて、ここで以て議論をしているよりも、調べをしたところ検察当局を呼んで、この点はどうであつたとかということを聞くということが、これが一番早いと思うのでありますが、それをしないで、ここで幾ら議論のやり取りをしても、それは私は無益なことであると思うのであります。こういう意味におきまして私は、国会自分委員会が調べ上げたところのことに対してそれを尊重し、そうしてそれに対して一応の信用をおいておるわけでありますから、国会の権威のためにも検察当局をもう一遍呼んで、そうして疑いを質して見るということは、これはどうしてもしなければならんことであると考えるのであります。それを強いてしないで、ここで数で押切つてつたということになりますと、自由党の諸君と申上げては甚だ失礼かも知れませんけれども自由党の諸君はみずから国会の権威を下げることをやつておる。又大橋法務総裁といたしましても、これは非常に迷惑なことだろうと思うのであります。そういうことを強いてやるということは、私はむしろ贔負の引倒しじやないかと思うのであります。私はこの国会が調べましたのは、大橋氏を証人として喚問いたしまして、そうして宣誓の上で大橋氏の証言をとつておるのであります。検察庁においては大橋君を被疑者として呼んだ。これは裁判所でありません。これは検察庁でありますから、宣誓をさせずに調べておるのであります。被疑者といたしまして検察庁で調べを受ける場合におきましては、これは被告人の心情といたしまして、できるだけ責任逃れをして、たとえ白のものを黒と言いくるめても責任逃れをして、罪の追及を受けたくない。これは被疑者の心情として当然なことであります。そうなりますというと、私は検察庁において大橋君の言つたことのほうが信用できるのか、証人として宣誓をして国会大橋君が言つたことが信用できるのかということになると、誰も国会のほうへ軍配を挙げるだろうと思うのであります。そういう疑いがある、この食い違つている事件が、ただ国会自分の審議した結果を捨てて、そうして検察庁意見を丸呑みにするということは絶対にできない。一応この点につきましてはやはり検察庁局当を呼んで、国会としてはその点を質して見なければならんと考えるのでありまして、自由党の諸君の言うふうに、これで打切るということは私は反対であります。
  13. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 先刻中川君から休憩の動議が出まして、賛成がありました。中川君の暫時休憩するという動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議がないと認めます。暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩    —————・—————    午後零時三十分開会
  15. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 休憩前に引続きこれより委員会を開きます。
  16. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 休憩前にもいろいろな御意見がありまして、特に中川氏からは、前回と同じように重ねてこれを余り時間を取つてつておると、二十四年度の決算の審議にも影響するというような御意見のようであつたと思います。併しながら、やはり我々として飽くまでも任務任務として追及せなければならんということと、それから我我これをやつておりましても、衆議院決算委員会等から見ましても、必ずこの参議院の決算委員会が、これがために審議が遅れておるというようなことは私は毛頭ないと思つております。従つてこれは希望を言つておくのですが、今後これは中川君あたりの熱心なかたに必ず委員会にやはり出てもらつて、そうして審議を進行さして頂くということを特にこれは自由党の諸君にもお願いをしておきたいと思つております。  それから次には本件のこの問題で私はたびたび言うように、検事正のこの報告については、これはやはり幾多の手抜かりがあるのではなかろうかと思える節もたくさんあるから、だからこれを質すためにやはりはつきりと呼ぶ者は証人として呼んで、はつきりせしめるということが一番これが手つ取り早いのじやないか知らんと思う。この事件につきましては皆さんがたも御承知のように、本件の発生の当初、今から約一年半にもなりますか、前に政府当局の検察責任者を呼びまして私から質したのであります。で、どうもこの事件ただ單に国の税金を間違つて四千万円支拂つたということでなくして、刑事的事件にまで発展するような様相が考えられるから、これを検察庁はよく調べる必要はないか知らんということを警視庁も、当時検察庁の者も呼んで聞いたのであります。ところがこれを手を著けていないということは、そういうような警察或いは検察庁が取調べるような刑事事件が伏在しておるというように我々は思つておりませんと、従つてそういう見解でありますから、これに対しては取調べを行なつていないのであると、こういう御答弁になられたわけであります。併しながらどうも委員会としては検察庁が、或いは警視庁が言つておるようなことではなかろうということで、いろいろ審議をして参りまして、そうしてこの委員会が、結局どうもこの点は刑事事件が伏在しておるというように思うからというので、再度又検察庁にこれは調べるべきものであるということを国会から意見を付したわけであります。そこで調べました結果が、当初検察庁や警視庁が言つてつたことと反対に、少くともやはり刑事事件があつて、そうしてその結果としては起訴までして公判を開いておるというのが現状であります。従いまして、必ずしも検察庁或いは警察のほうの国会に対する答弁が正確そのものであつて絶対に間違いがないということは言い得ないということ、それから検察庁がこれを調べましたのも、これは実は検察庁が心から、みずから進んで調べたのではなくして、国会から言われて、いやいやながらこれを調べた結果こういうことになつたのであります。かような当初からのいきさつから考えて見ましても、必らず今回出されたところのこの検察庁報告なるものが万全を期しておつて、何らの手落がないということはこれは私は言い得られないのである。かような点におきまして、ここで検察庁を呼んで質すかどうかということは、これは国民代表であるところ国会がやるべき義務なのであつて、これをどうするかこうするかということを数において争つて、否決をするとか可決するとかいう問題では私はないと思います。従いましてこれら少数の関係者でも、極く短時間においてでも私はこれはやれることであるから、飽くまで是非を質すために証人として関係者をお呼び願つて、そうしてここで皆さんの前で明白にして頂きたい、かように思つております。
  17. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 これはまあ連日この問題につきまして検察庁を呼ぶか呼ばないかということにつきましての御議論でありまして、我々は社会党の諸君と意見が異なるのでありまして、再三申上げました通り、どうも我々から見ますると、社会党の諸君は或る一つの結論を持つておられまして、その結論にどうも検察庁報告が到達しないから更に調べるのだというふうにも取られるのでありますが、これはたびたび申上げました通り捜査権のある、権限のある官庁におきまして取り調べたその報告を基礎にして決算委員会として決定すればいいのでありまして、若し更にそれをその捜査が不正であつたかどうか、或いは妥当であつたかどうかというようなことは、たびたび申上げますように、これは別個の機関において考えるべきことと思いまして、若しそういうことになりますれば、決算委員会一つの問題について裁判があつた場合、その裁判が正しいかどうかというようなことまで調べなければならんという問題にまで発展するのでありまして、従つてこれは幾ら議論をいたしましても決定しないのであり、且つ又先日鬼丸さんのお話のように、食い違いの点は、これは速記録その他十分……長谷山君からお話がありましたように、何らの検察庁報告と当委員会におきまする証言との間に食い違いがないのでありまして、従つてこれ以上議論しておつてもこれは果てしがないのでありますから、この際検察庁を我々としては呼ばない、そうしてこの二重煙突事件はこれを以て解決する。こういうことについての動議を提出いたします。(「採決」「賛成」と呼ぶ者あり)
  18. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 今高橋君から動議が出ております。賛成者があります。
  19. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今自由党のほうからさような動議がありましたが、私は飽くまでもこれは公平に国民の前にやはり明らかにしたいという意味におきまして、当の大橋武夫、それから検察当局の馬場検事正、その衝に当つた渡辺氏でも結構でありますが、検察庁から。それから田中平吉、それから関連者の特調の三浦、川田、これらの少数の人を証人として呼ぶ、そうしてこれを明白にするということの動議を提出  いたします。
  20. 小酒井義男

    小酒井義男君 私もこれを議論をしておつても併行線だと思うので、やはり採決をとつて頂くことがいいと思います。それで採決の方法で、一つ呼ぶか呼ばないかということで採決をとつて頂くようにして頂きたい。
  21. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 動議の採決に当りまして一言申述べたいと思いますが、議論は両方ともよく我々は意のあるところはわかりますが、併し一番重要な審議が、二十四年度の審議が遅れて、本筋に行かないということも心配されます。併しながら委員会の権威ということから考えましても、先ほど棚橋委員からの御説も御尤もだと思いますが、この打切りをしないで、検察庁を呼んでお尋ねいたしまして、そうしてそれが又長くなりますというと、決算委員会の本筋が遅れるということを非常に心配いたしますので、できますならば、この呼びますことによつてそれ以上に若し問題が残るようでありましたらば、法務委員会などに廻すとか、或いは何かそういうふうな方法によりまして一応これは証人喚問をして、はつきりした特定の人をきめて置いて、それ以上発展しない、そうしてそれによつて次の決算委員会の本筋のほうに進んで行くという前提の下に、打切りをしないで喚問をしてお尋ねをするということに賛成したいと存じます。そういう動議を提出いたします。(「採決々々」と呼ぶ者あり)
  22. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 高橋委員から、本日の議題であります。東京地方検察庁検事正からの報告、これについては本日を以て打切るという動議が提出されました。賛成者がありましたので、本動議は成立いたしました。ちよつと申上げますが、これは今日の出席者は、委員長を除いて二十二名であります。可否を決するに当つては、過半数は十二名であります。  これより高橋委員提出の動議を採決いたします。賛成のかたの御起立をお願いいたします。    〔賛成者起立〕
  23. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 少数と認めます。よつて高橋君の動議は否決されました。  次にカニエ委員から、本日の議題でありますところ本件について審議のため、馬場東京地方検察庁検事正大橋武夫、特別調達庁の川田及び三浦監事、取調べの任に当つた渡辺検事及び田中平吉の六名を本委員会証人として喚問されたいとの動議が提出されまして、賛成者がありましたので、本動議は成立いたしました。カニエ委員提出の動議を採決いたします。この動議に賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  24. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 過半数であります。よつてカニエ委員の動議は可決されました。速記をとめて……。    〔速記中止〕
  25. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 速記を始めて……。つきましては証人喚問の日時及び手続は、委員長に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 岩男仁藏

    委員長岩男仁藏君) 御異議ないと認めます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時四十八分散会