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政府委員(
渡邊逸亀君)
物価統制令と
地代家賃統制令につきましては、
ポツダム政令として現在まで扱
つておりますが、
平和条約の発効に伴いましてこれをどう扱うかという問題につきましては、現在の事態におきましては統制の必要はよほど緩和いたしておりますが、まだこれを全然
廃止してしまうという事態にまで至
つておりませんので、今暫らくこれを存続せしめることが適当と
考えられます。この両
政令を
法律の効果を持たせたいというのが
提案の
趣旨でございます。
内容につきましては、細かく検討いたしますと多少の問題もあるかとも思いますが、大体において現在の
政令の
内容を以て実施上別段の不便も感じませんので、このまま
内容を修正しないで存続したいと
考えております。
物価統制令につきましては
政令のテキストと「
物価統制令に関する
説明」というものを差上げてございますから、極く概略を申しますと、先ず沿革をここに書いてございますが、
物価統制令は
昭和二十一年三月、
勅令第百十八号を以て公布せられました。これは戰時中におきます価格等統制令を継承いたしましたと同時に、別の省令でござまいす暴利行為等取締規則、これをば吸收して一本の
政令といたしたのでございます。その
内容は、直接統制に関する規定と間接統制に関する規定とございまして、直接統制に関する規定といたしましては、統制額を超える契約、支払、受領を禁止いたしております。その統制額を
物価庁長官が指定することができるという規定がございます。それから協定額の
認可というものがございましたが、これは
昭和二十四年に削除いたしております。それから他法令
関係の統制額、即ち他の法令で統制額をきめ得る。例えば鉄道運賃とか、私鉄の運賃とかいうような他の法令で統制額をきめ得るというものを
物価庁のほうで指定いたしまして、
物価庁がその統制額をきめるということにな
つておるわけでございます。それから第二には間接統制でございますが、これは脱法行為の禁止、不当高価契約の禁止、暴利行為等の禁止、抱合せ等の禁止、物々交換の禁止、不正
取引を
目的とする所持禁止、買占め売惜みの禁止、そういうものが入
つておるのでございます。それからその他細かい運用に関する規定がございます。
次に価格統制の経緯、現状及び今後の見通しについて申しますと、先ず経緯につきましては、この表にございますように、大分類で申しまして
昭和二十四年六月には二千三十の統制品目がございましたが、これがだんだん少くなりまして、
昭和二十七年一月には百四十八に減少いたしております。その後又細かい手数料等を
廃止いたしましたので、現在ば百内外にな
つておる現状でございます。で現在の統制品目の主なるものをここに掲げておりますが、食糧品
関係では主食類、即ち米、麦、パン、それから酒、焼酎、ビール、砂糖というものを統制いたしております。それから重工業
関係では石油製品、機械油等、潤滑油を除きました揮発油、軽油、燈油、重油、それから金銀等の貴金属類、化学
関係では塩、アルコール、カーボンブラツク、医薬品の一部、ペニシリン
関係など極く一部のものでございます。それからその他の物資としましては、葉たばこ及び製造たばこ、それから樟脳、運賃
関係では国鉄、私鉄の運賃、自動車運賃、旅客船の運賃、それから料金
関係では水道料金、放送料金、郵便、電信電話料金、このほか入浴料金等もございます。今後の見通しにつきましては、従来の方針を継続いたしまして、
廃止可能なものにつきましては統制を
廃止して行くという方針でおるのでございます。
以上が
物価統制令関係でございますが、
地代家賃統制令関係につきましても、
勅令のテキストとそれから「
地代家賃統制令に関する
説明」というものを差上げてございますので、この
説明のほうの資料に基きまして極く簡單に申上げたいと思います。地代家賃の統制は
昭和十四年の十月に公布されました
地代家賃統制令から始りまして、その後継戰時まで続きましたのが、終戰後において
昭和二十一年九月ポツダム
勅令を以て現行の
地代家賃統制令が公布になりましたが、その
内容は大体一応旧令を継承いたしておるのでございます。
地代家賃統制令の
内容につきましては、直接統制に関する規定と間接統制に関する規定とございますが、直接統制には停止統制額というものと
認可統制額というものと
二つの統制額がございます。停止統制額は
昭和十四年十月公布されたときに家賃がストツプになりまして、そのストツプにな
つた家賃が現在まで続いて、その途中統制額の
改正は行われましたが、そういうものを停止統制額と申します
認可統制額は、その後新しく貸家にな
つたものなどというものは、府県知事をして統制額を
認可させておりますので、こういうものを
認可統制額と呼んでおるのでございます。なお規定としましては五条、七条、八条の統制額の
改正に関する規定、統制額の増額に関する規定、統制額の減額に関する規定というものがございます。間接統制に関する規定としましては、脱法行為禁止に関する規定、
権利金の受領禁止に関する規定、物納禁止に関する規定というものがございます。それから現行の地代家賃の統制額につきましては、ここに式を書いてございますが、家賃の決定方式としましては、固定資産の価格、これに千分の二を掛けまして、それに坪当り十二円を加えたもの、これを純家賃額といたしまして、これに地代を加えたものが家賃になるわけでございます。地代のほうは、固定資産の価格に千分の二・二を掛けたものを地代として決定いたしております。それから地代家賃の統制の範囲は、現在は居住の用に供する建物及びその敷地に限定されておりまして、例えば貸事務所とか、店舗、映画館、料理店、浴場などにつきましては、
昭和三十五年七月以降統制が解除されております。又新築住宅につきましては、
昭和二十五年七月以降の新築にかかるものは、統制額の適用はございません。それから現行令の施行のときから現行決定方式採用までの地代及び家賃の統制額につきましては、この表にこの推移を掲げておるわけでございます。その
説明は省略いたしますが、まだ現在におきましては、大体
昭和十四年以前の地代家賃に対して二十五倍乃至三十倍程度に現在は抑えられておる状況でございます。他の物価貸金等に対しまして著しく権衡を失しておりますので、
物価庁としてもこれに対して何らかの
改正を加える必要があると感じまして、地代家賃の統制額の
改正に関しまして目下研究中でございます。